登録日:2019/02/10 Sun 14:33:00
更新日:2024/03/28 Thu 13:42:14NEW!
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鬼殺隊 鬼滅の刃 鬼 十二鬼月 上弦 上陸 上弦の陸 雷の呼吸 クズ 桃 桃先輩 幸せの箱 勾玉 闇堕ち 傲慢 兄弟子 細谷佳正 裏切り者 承認欲求 メンヘラ 逆恨み 補欠 博打打ち コメント欄ログ化項目 穴埋め 善逸の兄弟子 獪岳 元・鬼殺隊
じいちゃんなんて馴れ馴れしく呼ぶんじゃねえ!!
先生は“柱”だったんだ 鬼殺隊最強の称号を貰った人なんだよ!
元柱に指南を受けられることなんて滅多に無い!
先生がお前に稽古をつけてる時間は完全に無駄だ!!目障りなんだよ消えろ!!
なぜお前はここにいるんだ!!なぜお前はここにしがみつく!!
獪岳とは『鬼滅の刃』の登場人物である。
◆プロフィール
身長:167cm
体重:64kg
趣味:賭博
◆概要
かつて我妻善逸と共に元「鳴柱」の育手・桑島慈悟郎のもとで雷の呼吸を学んだ兄弟子であり、雷の呼吸の継承権を持つ青年。
初登場は単行本4巻の34話の那田蜘蛛山での善逸の回想だが、過酷な修行に泣きべそをかく善逸に苛立ちをぶつけ罵倒するという、お世辞にも良い兄弟子とは言えない人物として描かれていた。
その後は長いこと存在に言及すら無かったものの、後に岩柱・悲鳴嶼行冥の回想にて似たような風貌の子供が自分の命惜しさに悲鳴嶼と他の孤児を鬼に売って生き延び、彼の心にトラウマを植え付けていたことも発覚。
他人の空似の可能性もあるとはいえ、まさかの再登場に読者も驚きを隠せず、近々出番があるのではという予想が挙がっていた。
ちなみにこの時点では名前すら判明しておらず、読者からの渾名は「桃先輩」。由来は善逸を罵倒する際に桃を投げつけていたことから。
柱稽古編終盤、密かに事態は動き出す。
何かの手紙を受け取った善逸は、それまでのヘタれた雰囲気から一転、険しい顔つきとなっていた。
「やるべきこと、やらなくちゃいけないことがはっきりしただけだ」「これは絶対に俺がやらなきゃ駄目なんだ」と。
そして、遂に……
獪岳 鬼になったお前を俺はもう兄弟子とは思わない
知ったことじゃねぇよ
だから?何だ?悲しめ?悔い改めろってか?俺は俺を評価しない奴なんぞ相手にしない
俺は常に!!どんな時も!!正しく俺を評価する者につく!
143話の無限城での決戦の最中に「十二鬼月」の新たな“上弦の陸”として出現。
鬼の始祖・鬼舞辻無惨に魂を売り、鬼へと成り果てた姿で善逸と対峙する。
◆外見
鬼化した影響で黒く染まった白目に翡翠色の瞳、頬に黒い紋様が浮かんだ青年。
服装は鬼殺隊の隊士だった名残か隊服の上に黒い着物を着込んでおり、腰には青い帯を巻いている。
また、首や腕には青い勾玉が付いた装飾を身に着け、背中に日輪刀を背負っている。
◆性格
自尊心が非常に強く、傲慢。
自分がより優れた人物である事、自分だけが特別扱いされる事に執着する承認欲求の塊であり、他人より下に見られることを酷く毛嫌いしている。
一方で、修行時代の鍛錬に対してはひたむきに努力をしており、その背中を見ていた善逸からは尊敬の念を抱かれ、慈悟郎からも自身の技を継承する一人として期待されていた。
しかし、獪岳本人は自分が雷の呼吸の壱ノ型だけ使えないこと、自身にとって恥ずべき弟弟子である善逸と同列に扱われることに強い劣等感と屈辱を抱いており、内心では不満を募らせていた。
師である桑島は善逸と同じ柄の着物を手渡していたが、着物に袖を通すことはなかったという。
とはいえ初期の善逸は炭治郎や民間の子供にさえ見下げ果てられる程に情けない人物であったため、そうした人物と同列扱いされることを侮辱と感じても仕方ないだろう。加えて善逸が修行辛さに逃げ出すたびに桑島は彼を連れ戻すことに時間をとられ、獪岳に対して割く時間が少なくなることから『贔屓されている』と感じるのも無理からぬことではある。
こうした面に関しては桑島や善逸にも非がないわけではない。
鬼に変じてからは大勢の人間を喰らった代償か人格は更に歪み、「俺を正しく評価し認める者は“善”!!低く評価し認めない者が“悪”だ!!!」と嘯くまでにその傲慢さやコンプレックスが肥大化。
修行時代には「先生」と呼び慕っている様子であった慈悟郎を「クソ爺」と侮辱するまでに性根が腐り果てており、対面した善逸からは「クズ」呼ばわりされている。
獪岳の方もかつての弟弟子である善逸の存在を完全に見下して侮蔑しており、彼を「カス」呼ばわりしている。
※獪岳オリジン
圧倒的強者に跪くことは恥じゃない 生きてさえいれば何とかなる
死ぬまでは負けじゃない
地面に頭をこすりつけようが 家がなかろうが泥水をすすろうが 金を盗んだことを罵られようが
生きてさえいれば いつか勝てる勝ってみせる そう信じて進んできたんだ
人間時代は非常に荒れた生活を送っていた孤児で、強烈なハングリー精神で生き抜いてきた子供だった模様。
そういった過酷な生い立ちゆえか「どんなことをしても最後に勝てばいい」という歪んだプライドを持ち、生き延びるためなら文字通り何でもする、良く言えばある意味非常に前向きな、悪く言えば生き汚い性格だった。
鬼殺隊入隊後は自身が柱になることを目標にしていたが、ハングリー精神とプライドの高さもあって他の隊士との人間関係は良好なものではなく、壱ノ型を使えない獪岳への周囲の目はかなり冷ややかだった。
鬼となり…更なる力が欲しいか…お前も…
あの方に…認められれば…我らの…仲間と…なるだろう
そんな彼の致命的な不運は任務の最中に『上弦の壱』黒死牟とばったり遭遇してしまった事。
絶対的格上である黒死牟の存在は、ただ目にするだけで絶望と敗北感を植え付けるには充分すぎる相手。
良くも悪くも一般人的な感性を持っていた彼にとって、柱や主人公のように「鬼が相手ならば命を捨て、相討ちになってでも殺す・立ち向かう」という覚悟ガンギマリ勢になれるはずもなく、何時ものように土下座してでもその場を切り抜けようとするが、待っていたのは鬼への勧誘。
「その場で殺されるか血を飲んで鬼になるか(意訳)」を突き付けられてしまう。
そして稀に…鬼とならぬ体質の者も…
……
存在するが…お前は…どうだろうな…
有り難き血だ…一滴たりとて零すこと罷り成らぬ…零した時には……
お前の首と胴は泣き別れだ
血を掌に注がれた獪岳は恐怖に震えながら掌の血を摂取。人を貪り食らう悪鬼に変じてしまった。
彼の不幸は自死を選べなかっただけの(ある意味で)真っ当な価値観を持っていた事と、そして何より上弦の壱に遭遇してしまった事だろう。
黒死牟の言葉を鵜呑みにして血を呑んでも鬼にならないことを期待していたのかもしれないが、そんな都合のいい奇跡はそう起こらない無情さも感じられる。*2
……まあ境遇のせいで早くから性根が歪んでしまっていたことは否定できないのもまた事実だが。
そして17巻のおまけページにて、悲鳴嶼の子供達を鬼に差し出した子供の正体が獪岳であると明記。
更に悲鳴嶼の寺でも盗みを働いて寺の子供達に責められ、悲劇の事件の日に寺から追い出されていた事(それに加え、目の見えない悲鳴嶼に対し子供達は『獪岳は寝ている』と嘘をついていたため気付かなかった)が明らかになるなど、情状酌量の余地が大幅になくなってしまう顛末となった。
とはいえ獪岳に突き付けられたのは「他を差し出すか己が死ぬか」という究極の二択であり、まだ幼い少年期に後者を選べる人間の方が稀であろう。
加えて悲鳴嶼に鬼のことを聞いていたにもかかわらず何の相談もなしに山中にある寺から追い出し挙句に嘘をついた寺の子供たちの行動にも問題はある。
◆戦闘能力
雷の呼吸の継承候補者であり、鬼となった今でも雷の呼吸の型を戦いに用いるが、エフェクトは鬼に堕ちたことを顕すかの如き黒い稲妻。
更に呼吸による斬撃を血鬼術で強化し、斬撃を加えた相手の肉体を罅割って焼く効果を付与している。
「雷の呼吸を超えた」と豪語するこの斬撃に侵された相手は皮膚と肉体を焼かれ続けることになり、時間が経過する程に罅状の傷が広く深く身体を蝕んでいく。「避けるのが困難で、かつどこかに当たれば勝てる」という恐るべき能力。
得物の刀は自身の肉体から生み出したものだが、黄色い刀身に黒いひび割れのような紋様が浮かんでおり、雷の呼吸の日輪刀を模している(ちなみに善逸の日輪刀は普通の日本刀のような地に稲妻のような黄色い紋様)。
柄は黒を基調としている。
◆流派
- [[全集中 雷の呼吸>全集中の呼吸(鬼滅の刃)]]
高速の居合斬りで仕留める壱ノ型とは対照的に、手数の多さで攻めるヒットアンドアウェイ系の攻撃の多さが特徴的。
一撃でも当たれば効果が発動する自身の血鬼術との相性は良好。
型一覧
- 弐ノ型 稲魂
瞬く間に一息で五連の斬撃を叩き込む。
「稲魂」とは稲妻の別称。
- 参ノ型 聚蚊成雷
敵の周囲を高速で旋回しながら切り刻む波状攻撃。
「聚蚊成雷」とは「蚊の羽音も集まれば雷の音となる」という意味の四字熟語で「塵も積もれば山と成る」と同じ。
- 肆ノ型 遠雷
遠間から強烈な踏み込みで相手に接近し、横一文字に斬り捨てる技。
- 伍ノ型 熱界雷
衝撃を伴った強烈な斬り上げ。
「熱界雷」とは強い日射による上昇気流に前線が作用して起こる雷のこと。
- 陸ノ型 電轟雷轟
広範囲に雷の様な斬撃を炸裂させて敵の全身を斬り裂く。
由来は勢いが非常に激しいという意味の四字熟語「電光雷轟」だと思われる。
◆物語での活躍
無限城で遂に邂逅を果たした善逸と獪岳。
善逸は邂逅早々に嘲る獪岳を意に介せず「適当な穴埋め」と罵倒し、さらにある事実を告げる。
それは善逸と同じく雷の呼吸の次期継承者とされていた獪岳が鬼に墜ちた責任を取り、彼らの師である慈悟郎が介錯もなしに切腹、自ら命を絶った(首を落としてくれる者がいない=長時間苦しみながら死んだ)という哀しい報せであった。
尊敬する師が自責の念に苛まれて一人孤独に苦しみながら死んでいったことを知らされても、そのことを涙ながらに叫び、怒りの糾弾を投げかける弟弟子の姿を見ても、鬼となり歪んだ獪岳の感情は微塵も揺るがない。
爺が苦しんで死んだなら清々するぜ!
あれだけ俺が尽くしてやったのに俺を後継にせず!テメェみたいなカスと共同で後継だと抜かしやがったクソ爺だ!
元柱だろうが耄碌した爺に用はないからな!ハハハハ!
……フッ ははっ 爺ちゃんは耄碌してねえよ
俺がカスならアンタはクズだ!
壱ノ型しか使えない俺と壱ノ型だけ使えないアンタ!
後継に恵まれなかった爺ちゃんが気の毒でならねぇよ!
テメェと俺を一緒にすんじゃねぇ!!!
獪岳の侮辱混じりの高笑いに対して善逸の自虐も含んだ痛烈な皮肉が炸裂。
激昂した獪岳は刀を抜いて斬りかかるが、善逸の実力を見誤り逆に肩口を斬り裂かれてしまう。
おせーんだよ クズ
(斬られた!! 速い… コイツ!!)
(動きがまるで別人だ!!)
自分の知る姿とはまるで別人の様な動きを見せる善逸に驚く獪岳の脳裏には鬼となった時の記憶が蘇っていた。
黒死牟を前にして戦うことすら叶わず、刀を置き地に額を擦り付ける己の姿。
あの圧倒的な恐怖に比べれば目の前の「小物」など大したことはない。
獪岳は修行時代のみっともなく泣き喚く善逸、そして自身をその善逸と共同の後継とした慈悟郎を想起すると、彼等への身勝手な憎しみと怒りを叫び反撃を開始。
どうだ!?
血鬼術で強化された俺の刀の斬れ味は
目に体に焼きつけろ俺の力を
鬼になり雷の呼吸を超えた!!
血鬼術と雷の呼吸を組み合わせた戦術で善逸を終始圧倒し続け、全身を自身の術に蝕まれ奈落の底へと落ちていく善逸を見て勝利を確信する。
だが───
(どんな時もアンタからは不満の音がしてた)
(心の中の幸せを入れる箱に穴が開いてるんだ。どんどん幸せが零れていく その穴に早く気づいて塞がなきゃ 満たされることはない)
(爺ちゃんごめん 俺達の道は分かたれた)
(ごめん 兄貴)
走馬燈のように過去の思い出を振り返りながらも覚悟を決め、兄弟子への未練を断ち切った善逸の技「漆ノ型 火雷神」が直撃。
未知の雷の呼吸の一撃に反応することすら叶わず、呆気なく頚を両断された。
(みっ…見えなかった!!何だ!?今の技 速すぎる 俺の知らない技だ 何を使った!?)
畜生!!畜生!!やっぱりあの爺贔屓しやがったな!!お前にだけ教えて俺に教えなかった!
違う 爺ちゃんはそんな人じゃない
これは俺の型だよ 俺が考えた俺だけの型
この技で いつかアンタと肩を並べて戦いたかった…
崩れゆく肉体の中で未知の雷の呼吸の技に負けたことで「善逸が贔屓されていた」と喚き、恩師を罵倒する獪岳。
しかし続く言葉を聞いて「善逸に」完全敗北したことを悟るが、頭が変になりそうだとそれを受け入れることはなかった。
全力を使い果たし意識を失った善逸を見て、高所からの転落で自分と一緒に死ぬため負けではないとほくそ笑むが…
人に与えない者はいずれ人から何も貰えなくなる 欲しがるばかりの奴は結局何も持ってないのと同じ
自分では何も生み出せないから
!?
独りで死ぬのは惨めだな
突然出現した愈史郎が間一髪で善逸を救助したことで最期の目論見すらも瓦解。
そして、哀れみ混じりに自身の生き様と在り方を痛烈に批判されたことで、生まれてから今まで積み上げてきたプライドさえも完全に砕け散ってしまう。
何かを叫ぶもその内容は最早声にもならず、強欲な男は最期まで満たされる事なく塵と消えた。
~~~~
……
◆余談
その後の愈史郎の解説によると、鬼としてのポテンシャル自体はかなりのものだったようで、敗因は鬼になって早すぎたが故に血鬼術を十分に使いこなせてなかったことと断言。
仮に1年後に戦っていた場合斬り傷から一気に身体がバラバラになり善逸は即死していたとのこと。尤も、善逸も土壇場になるまで躊躇いを捨て切れていなかった節があるので、最初から容赦なく戦っていたらアッサリ勝っていた可能性も否定できないが……。
更に言えば獪岳は善逸が最終選別に合格し鬼殺隊に入隊した時点ではまだ鬼にはなっていなかったようで、145話の回想シーンが正しいなら獪岳が鬼になった時期は、最大でも約一年程度でしかなく柱稽古直前に鬼になったのなら半年も経っていない可能性がある。
劇中では非常に呆気なかったものの、彼を鬼に変えた黒死牟の慧眼は正しいものであったと思われる。
但し、柱でもない善逸一人に倒されたのは事実であるため、当時の他の上弦ほどの実力はなく、いわば補欠合格の形で選ばれたようである。
実際、上弦の鬼の肆、伍、陸が戦死して空席になり、後任で鳴女が肆で獪岳が陸に選ばれ、伍が空席だったことから分かる。
下弦の鬼が解体・廃止された後で登用されたこともあり、読者からも堕姫単体や魘夢、累より弱いのではないかと評されることも。
後に彼が上弦に選ばれたのは黒死牟に推薦されたからということがファンブックで明かされた。
それでも、もしただの数合せで上弦の鬼に選ばれたのなら空席を作る意味がない上、無惨は十二鬼月に関しては基本実力主義、結果主義であるため、いわば下弦の壱以上、上弦の陸未満の力だったと思われる。
また、善逸に終始辛辣だったのは、内心では自分より才覚が上だと感じていたからだとも考えられる。
実際、善逸は修行から逃げてばかりだったにもかかわらず、一つの型から原型の弱点を克服した独自の派生型を編み出すなど、確かな才覚を見せている。そんな姿を見てきた獪岳が、弟弟子に対して才能面での劣等感を刺激されていたとしても不思議ではない。
そして普段は情けない善逸が、いざ実戦に出てみれば多数の鬼を滅殺し、下弦の鬼相手に市民を守り通し、更には百余年ぶりの上弦の鬼討伐に大きく貢献するなど目覚ましい成果を挙げているとなれば、それと比較して大きな功績を挙げていない自分に焦りを覚えていた可能性はあるだろう。
ちなみに「獪」はズル賢い・調子よく立ち回るという意味。
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*2 ちなみに「鬼化に至らなかった者は肉体が崩壊し、死亡する」事が序盤の浅草編で描かれており、おそらくコイツの言う「鬼にならない体質」もそういう意味だと思われる。まあ鬼を食って一時的に鬼の性質をコピーできる玄弥とか、グラマーな体格に反して筋肉量「は」ムキムキマッチョな蜜璃とかイレギュラーな奴も結構いるので、本当に「鬼化せずそのままでいられる」奴もいたのかもしれない……が、その辺の真相はもう確かめようもない
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