登録日:2018/12/24 (月) 23:10:10
更新日:2024/03/28 Thu 13:27:59NEW!
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竜騎士07 同人ゲーム いじめ 彼岸花 彼岸花の咲く夜に フリュー ゲーム 3ds ニンテンドー3ds
「彼岸花の咲く夜に」は、原作:竜騎士07(07th Expansion)による漫画作品、及び同人ゲームである。
なお漫画版は同人ゲーム版発売に先駆けて連載が開始されているが、本項ではエピソード数が多く原作者自身が執筆してる同人ゲーム版をメインに取り扱う。
●目次
【同人ゲーム版】
「めそめそさんが出たんだって」
「めそめそって泣いてたのを聞いたんだって」
“めそめそ、めそめそ。そこのあなた、哀れな私の話を聞いて下さいな。“
◆概要
07th Expansion製作のサウンドノベルであり、2011年夏のコミックマーケット80で第で「第一夜」、同年冬のコミックマーケット81では「第二夜」が頒布された。
同サークルの『[[ひぐらしのなく頃に>ひぐらしのなく頃に]]』や『[[うみねこのなく頃に>うみねこのなく頃に]]』と同様のサウンドノベルであるが、前2作とは異なり1夜ごとに7つのエピソードが含まれる短編集である。
キャラクターの立ち絵は竜騎士07が担当しており、影の部分を強調した彩色が施されている。
とあるマンモス校を舞台として小学生、教師、学校妖怪の交流を描く作品だが、学校という閉鎖空間の異常性を強調する作風となっており「いじめ」「虐待」「自殺」などの陰惨な描写が多い。
その為、妖怪等は多数登場するがジャンルとしては怪奇ホラーより社会派ホラーに近い。
特にいじめに関しては複数のキャラクターが独自のスタンスで対峙している描写が見られ、本作の主題の一つと言える。
◆収録エピソード
『第一夜』
- 「めそめそさん」
- 「心霊写真機」
- 「お姫様の嘘」
- 「鎮守神さまの祠」
- 「ハメルンのカスタネット」
- 「とある少女の一日」
- 「ユートピア」
『第二夜』
- 「お月見会」
- 「13階段の死神」
- 「鏡の世界へようこそ」
- 「少年たちの肖像」
- 「私の親友」
- 「復讐のアザミ」
- 「彼岸花の咲く前に」
◆登場人物
[主要人物]
- 『森谷 毬枝』
「めそめそさん」から登場するキャラクター。めがね。多くのエピソードに登場する本作の主人公的人物。
気の弱い少女であり学校ではいじめられ、家庭では優秀な姉の陰に隠れて親からあまり省みられていなかった。
担任である金森義仁の助力により学校生活は多少改善されるが、今度はその金森に弱みを握られ旧校舎のトイレで性的虐待を受ける日々を送ることになる。
彼岸花との出会いで学校妖怪の存在を知り、新しい妖怪『めそめそさん』として生きる決意をするも金森に返り討ちにあい、遺体を便槽に遺棄されてしまう。
金森に勝利し正式に『めそめそさん』と認められて以降は、悩む少年少女たちを助けようとしたり、トイレを掃除したり、彼岸花のワガママに付き合ったりしながら暮らしている。
- 『彼岸花(踊る彼岸花)』
「めそめそさん」から登場するキャラクター。毬枝と共に多くのエピソードに登場する。
学校の七不思議序列第三位「保健室の踊る人形」として保健室を根城とし、他の学校妖怪にも恐れられる凶悪な存在。
子供に怪我をさせる事で保健室通いにし、怪我による現実からの逃避を教え込んだ末に自殺へと導く狩りを得意とする。
普段は保健室に飾ってある西洋人形とよく似た赤と白のドレスを着用しているが、気合を入れる時はより豪奢な姿をとることもある。
一見物静かな佇まいだが、獲物や邪魔者に対しては容赦なくその残虐性を顕にする。しかしながらその本質はズボラでぐーたら。
保健室のテレビで深夜アニメを見たり、毬枝の持ってきたお菓子をだらだら食べる姿に凶悪妖怪の風格は見られない。
「彼岸花の咲く前に」では彼女の前日譚が語られ、意外な一面を見ることができる。
[学校妖怪七席*1]
- 『校長先生』
序列第一位。「心霊写真機」で登場。
校長室の動く写真から抜け出たと噂される存在で装飾過多な西洋紳士のような出で立ちで現れる。
魂を食らった存在を人間世界から消す能力*2を持ち、魂の献上と引き換えに学校妖怪の狩りの後処理を行う立場を担う。
実際作中だけでも相当数の児童が自殺や事件で死亡しており、その能力の重要性が窺える。
- 『イザナミ』
序列第二位。「13階段の死神」で主に登場。
段数の増えた「13階段」を踏んだ人間に憑りつき、夢の中に現れて四十九日間追い回す。
1日ごとに追跡の時間は長くなり、追いつかれると永遠に胃袋で消化されることになる。
本人の性格は松岡修造を敬愛する熱血漢であり、魂を食らう為というより走る事の楽しさを広めるために狩りを行っている節がある。
普段はコタツ布団にしか見えないマントを羽織っているが、その下に着ているのはピンクのジャージ。
その姿で体育教師として体育の指導をする姿も見られた。
- 『彼岸花』
序列第三位。詳しくは主要人物の項を参照。他の妖怪の獲物に手を出す姿がしばしば見られる。
- 『アザミ』
序列第四位。「復讐のアザミ」で主に登場。
第七位スミレの姉であり、和服を着た妙齢の女性の姿で現れる。
いじめられっこにのみ発見できる魔法のアザミを食べさせることにより、いじめられっこに力を与えいじめるほうの立場へと変える。
一見すると慈悲深い物腰でいじめ返すことの正当性を説くが、真の目的はいじめの方向性を反転させ続けその内容を苛烈にしていく事である。
- 『キョウ』
序列第五位。「鏡の世界へようこそ」で主に登場。
現実世界と鏡の世界の境界を守る妖怪。動物霊であり尻尾と耳の映えた和服の男性の姿で現れる。
様々な物が反転した鏡の中の世界を自由に出入りすることが可能であり、キョウだけはどの世界でも性格や行動の反転が見られない。
人間に悪意を持っているとの説明があるが、事実その言動には邪気眼闇を感じる。
- 『ルノワール』
序列第六位。「少年達の肖像」で主に登場。
普段は休眠状態で滅多に狩りを行うことはなく、他の妖怪と獲物がかち合うことも少ないため弟のように扱われている。
『ルノワールに絵筆を借りてはならない』『ルノワールは美術室に掛けられた絵を指して、作者が誰かを尋ねてくる。その画家の名を正確に答えなければいけない』等のルールを破った人間を絵の中に引きずり込み、その絵に相応しい方法で殺害する。
容姿は中性的な少年。それ故に厄介な人間に目をつけられる。
- 『スミレ』
序列第七位。「ユートピア」で初登場。
日本人形として茶道室を根城にしており、和服を着た少女の姿で現れる。
かつては座敷童として子供に混じって遊ぶ妖怪だったが、時代の変化によりいじめを狩場とする性質に変化。
いじめやすい人物の姿で集団に紛れ込む事で周囲にいじめの魅力を教え込み、その被害の拡大を目論む。
彼岸花をライバル視しているが主に泣かされている模様。
第四位アザミの妹であり、姉をほめるつもりで余計な事を口に出してはこれまた泣かされている。
- 『めそめそさん』
序列第八位。旧校舎のトイレですすり泣く毬枝の声に尾鰭がついて怪談化した噂であり、後には毬枝自身が襲名した。
「扉越しの問いかけに答えると全身の骨を砕かれて殺されてしまう」という噂話の通りに扉を挟んだ状況には強く、そうでなくとも剛力の妖怪として知られるようになる。
[その他の妖怪]
- 『紅茶紳士』
「お姫様の嘘」で登場。
学校妖怪としての序列は持たないが校長先生の右腕を担っており、その為に他の妖怪からは「教頭先生」「影の序列2位」などと呼称される妖怪。勲章やバッジを多く身に着け、ティーカップを携えた紳士のような姿で現れる。
嘘を信じさせる力を持ち、子供たちを辛い現実から遠ざけ夢の世界に誘い込む。口癖は「気にしないことです」。彼の見せる幻で現状が改善することは無いが、同時に苦境を思い悩んで自死するようなこともなくなるため、そのような逃避も時には必要である旨が作中でほのめかされている。
一部では現実の学校における教頭と等しい存在であるような描写も見られた。
- 『さくのしん』
「鎮守神さまの祠」で登場。
鎮守の祠に住み着き付近の動物を治めている存在であり、正確には妖怪ではない。ちくわやはんぺんが好物。
外見はうみねこに登場したさくたろうと同一であり、一種のファンサービスだと考えられる。妖怪同様に一部の感性が鋭い人間以外には視認できないが、本人はやや臆病で心優しい無害な性格。
- 『ハメルン』
「ハメルンのカスタネット」で登場。
本作では珍しい学校外から縄張りを狙ってやってきた妖怪。自称「音楽室のハメルン」。
目元を隠すマスクとマントという、如何にもな怪人といった姿で現れる。素顔は美形らしいが残念ながら披露の機会は無い。
自身の奏でるカスタネットを聞かせた相手を動物に変える力を持ち、本編では子供たちや彼岸花をウサギに変えた。学校妖怪の地位を狙って彼岸花に挑むも、ウサギの彼岸花に内臓を食い破られて敗北。作中では唯一の消滅した妖怪となった。
- 『悪魔』
「私の親友」に登場。
死んだ親友を蘇らせるために桜田 みちるが召還した悪魔。
生活の一部を捧げることと引き換えに死者の魂を呼び戻すなど実際に悪魔らしい力を持つが、会話内容は常識的で細かい規則等も教えてくれる。学校妖怪ではないが、彼岸花とは比較的親しげに会話をしていた。
当該エピソードではそこそこ出番も多く重要なキャラなのだが、立ち絵が存在せず資料室でも特に語られることはなかった*3。
【漫画版】
月刊ドラゴンエイジ2010年5月号より連載が開始された。作画はつのはず壱郎。全6巻。
ゲーム版の第一夜から「めそめそさん」「心霊写真機」「お姫様の嘘」「ユートピア」を抜粋する形となっており、6巻には本作を題材とした小説コンテストの受賞作もコミカライズして収録されている。
ゲーム版と展開において大きな差異は無いが作画担当の性癖個性が遺憾なく発揮されており、(登場する少女たちが妙にムチムチしているだけでなく)いじめの描写や顔芸も鬼気迫るものとなっている。
【その他】
『学校妖怪紀行 第八怪談募集中』
ドラゴンエイジピュアで連載されていた本作のプロトタイプとなる小説作品*4。「学校妖怪紀行〜葉〜」として漫画連載も行われたが雑誌の休刊等により短期で終了している。大筋は後の「めそめそさん」に近いものだが細部の展開は異なる。
『3DS版』
フリューのインディーADVシリーズ「カタルヒト」の第一弾として本作の第一夜が発売されている。
さぁ、行きましょう。踊る彼岸花の手を取って。
残酷だけれど美しい世界へ、追記・修正の世界へようこそ…。
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▷ コメント欄
- 今までなかったのか。この調子でローズガンズデイズの項目もお願いします -- 名無しさん (2018-12-25 18:18:22)
- 3DS向けに一夜だけ移植されたけど、なんで二夜も出してくれなかったのか。カタルヒトシリーズ自体のウケが悪かったのか -- 名無しさん (2019-02-22 22:40:13)
- 彼岸島で吹く夜に? -- 名無しさん (2023-08-17 20:20:40)
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*2 存在の痕跡はいたるところに残っているが、普通の人間にはそれが認識できなくなる。
*3 作中では猫の目のような画像で表現されている。
*4 登場キャラクターの何名かはこの際にデザインされたものであるためキャラクター原案が異なる
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