ガルーダ(インド神話)

ページ名:ガルーダ_インド神話_

登録日:2018/10/23 Tue 20:00:45
更新日:2024/03/26 Tue 11:22:51NEW!
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■ガルーダ(迦楼羅かるら)

『ガルーダ(Garuḍa)』インド神話に登場してくる神鳥。
猛禽を神格化した鳥の王であり、恐ろしく巨大で光輝き、高熱を発して飛ぶと言われている。


赤い翼で黄金の身体の鳥であるが、シンボル化の都合かその特徴を備えた鳥人として描かれることが多い。


本来の梵語の発音ではガルダに近く、巴語ではガルラとなる。


仏教では名前を音写した迦楼羅と呼ばれ、天竜八部衆の一氏族、または鳥頭人身の迦楼羅天として、天部の一員として二十八部衆にも加えられたりしている。


仏教では光輝く赤い翼を広げると三百三十六万里(太陽直径の10倍以上!!)にもなるといい、その巨大さが伝えられている。


ヒンドゥーでは三大主神の内のヴィシュヌの眷属として知られ、その乗り物(ヴァーハナ)となるという。


【インド神話】

創造神プラジャーパティ*1、或いはその一人であるダクシャ仙の二人の娘の内のヴィナターの息子。


母のヴィナターが、彼女の実の姉である叔母のカドゥルーと賭けを行い、それに破れてカドゥルーの子であるナーガ族の奴隷となっていた頃に誕生した。


カドゥルーとヴィナターは共に、ブラフマーの子である聖仙カシュヤパの妻となっており、カシュヤパが二人の妻の願いを聞いた所、
カドゥルーは千のナーガの母となることを望み、ヴィナターは二人でいいのでカドゥルーの子より優れた子を得ることを望んだ。


この願いは叶えられ、カドゥルーは千の卵を、ヴィナターは二つの卵を生んで五百年も温めた。
五百年の後にカドゥルーの千の卵からは千のナーガ・ラージャが生まれ、それがナーガ族となった。


……一方、ヴィナターの卵は五百年でも孵らず、それを恥じたヴィナターが卵の一つを割ると不完全な身体のアルナが生まれた。
アルナは暁の神であったが母を恨み奴隷となる呪いをかけた。


この呪いの作用か、ある日のことカドゥルーはヴィナターと口論になり、
姉妹は太陽を牽引する神馬ウッチャイヒシュラヴァスの尾の色を当てた者が外した者を五百年の間は奴隷に出来るという賭け事を行うことになった。


実は、神馬の尾の色はヴィナターの主張通りに白であったが、賭けの前にそれを見たカドゥルーは子であるナーガ達に命じて白い尾を黒に見せかけるイカサマにより勝利し、ヴィナターを奴隷にした。


奴隷となった母が連れ去られて後、やや有って残った卵からガルーダが生まれた。
ガルーダは生まれた時より強烈な光と熱を放ち、天に居た神々をも驚かせた。
神々は賛美という建前でガルーダに光と熱を納めさせた程だったが、カドゥルーとナーガ達はガルーダが生まれたことを知ると、彼をも呼び寄せて奴隷としてこき使った。


嫌気が差したガルーダは、酷薄な叔母に、どうして自分達が奴隷の身なのかと聞くと、上機嫌のカドゥルーはうっかりとイカサマの事実を漏らしてしまい、
それを知って怒りに燃えたガルーダは奴隷の身からの解放を希望する。
それに対してナーガ達は天界の神々が独占する、彼等の力の源である霊薬アムリタを持ってくることを条件とした。


ガルーダは地上で腹ごしらえをすると、天に向かって飛んだ。
かつて、自分達を恐れさせた神鳥の襲来に、神々は持てる力や策を講じて立ち向かい、
或いは罠を仕掛けたがガルーダの翼はそれらをも素早く突破してアムリタを奪い去ってしまった。


そこで、ガルーダはヴィシュヌと出会う。
流石のヴィシュヌ相手では一筋縄には行かず、ヴィシュヌもガルーダの強さに感服して話を聞いたので休戦となった。


事情を知ったヴィシュヌは、ガルーダに希望通りに不死の祝福を授けることを約束すると、それに感謝したガルーダは、ヴィシュヌを背に乗せることを誓った。


そこに、神々の王たるインドラがヴァジュラを手に襲いかかってくるが、卵の頃より、
密かに小人のヴァーラキリヤのインドラの百倍強くなるようにというチートコード祝福を受けていたガルーダにはインドラの力すら通じず、
これを見たインドラは神々と相談して、ヴィシュヌが約束していたガルーダの願いを聞き届けることにした。


こうして、不死の肉体を得たガルーダは、更に報復の為に知恵を働かせると、取ってきたアムリタをクシャの葉の上に置き
「沐浴してからでないと飲めない」とナーガ達に告げ、解放した母親と共に去っていった。


ナーガ達は素直に沐浴したが、誰もアムリタを見ていなかったので、示し会わせていたインドラがアムリタを持ち帰ってしまった。
騙されたと気づいたナーガ達は、せめてもとアムリタの乗っていたクシャの葉を舐めるが、これによって蛇の舌は二つに分かれるようになったのだという。


また、これより先、ガルーダは神々の許しを貰いナーガを餌にするようになり、だから猛禽は猛毒の蛇も平気で餌に出来るようになったのだという。


全体的に激しい神話が多い一方で、シヴァの宮殿で美しい小鳥に目を奪われたガルーダが、ヤマがその小鳥を見つめて眉をひそめたことから、
その命を助けようと遠くに運んだばかりに、小鳥は輪廻の法則によって川のほとりで蛇に食われて生命を失ってしまった……という哀しい話もある。


【モデル】

名前は「gr」(呑み込む)に由来すると考えられており、前述のように旺盛な食欲を持ち、毒蛇をも食らう猛禽の神格化である。


古代インドより恐れられてきたコブラ=ナーガ達をも越える力を持つ神鳥として、インドラですら圧倒する力を持つとされた。


古代オリエントにはガルーダと共通した、途方もなく巨大であったり、光輝く神鳥の神話が他にも見られる。
またはガルーダ自体が他の地域である、インドネシアやタイ、モンゴル等でもシンボル化されている。(ガルーダ・インドネシア航空なんかも有名)


【仏教】

迦楼羅天として八部衆、更には二十八部衆の一尊となっている。


仏教では、他に金翅鳥こんじちょう食吐悲苦鳥じきとひくちょうという、格好いい漢訳もある。
ナーガを食らう神話はそのまま持ち込まれており、悟りを開いた龍王でも無ければ、竜(ナーガ)は迦楼羅に食われる苦しみを生まれつきに持っているという。


元の神話もあってか戦闘神として信仰を集め、毒蛇避けの御利益を語られる他、信仰的な意味での三毒(貪欲・怒り・無知)をも食らうとされた。


また、天を飛ぶ神話からか雨乞いや、逆に雨を止める願掛けもされたという。


仏像としてはインドよりも更に人っぽく、篳篥ひちりきや横笛を吹く姿でも知られる。


完全な人身に羽根というデザインから、大陸では流星を指していた、我が国に於ける天狗の成立の大本になったと考えられている。


元の神話の通りに那羅延天(ヴィシュヌ)の乗り物であるが、仏教では圧倒的に迦楼羅天の知名度の方が高く、我が国では単独で信仰されている程である。
(漫画の題材になってたり、鬼太郎助けてたり、フェニックス共々地底冥府インフェルシアと戦ったりもするし。)


尚、インドと敵対していたスリランカでは神話内でヒンドゥーの神々が悪魔化しており、ガルーダもグルルと呼ばれる凶鳥になっていたりするのだが、
一方では仏教国なので那羅延天が、ガルーダに乗ったインドに近い姿のままで仏法の守護神となっており、中には十のアヴァターラまで描かれた作例も存在する。


この他としては、シヴァ神に由来する不動尊が背にしている巨大な炎を迦楼羅焔と呼び、迦楼羅が吐いた炎、或いは炎が迦楼羅の像となったものだという。


【種字】


■ガ


【真言】


■オン ガルダヤ ソワカ


【登場作品など】

ご本尊が様々な作品に登場する他、主に空を飛ぶものの名に使われる。


漫画

牛鬼(妖怪)憑依された鬼太郎を助けた。


  • カルラ舞う!

その名の様に迦楼羅天の加護を受けた霊能力姉妹が活躍する、マニアックな知識も満載のオカルトアクション。


  • 迦楼羅王(聖伝-RG VEDA-)

南の武神将にして六星の一人。鳥使い。
天界の支配者、帝釈天によって妹の迦陵頻伽が死に至らしめられあまつさえ遺体が辱められたことで復讐を誓う



アニメ

  • 迦楼羅王レイガ

「天空戦記シュラト」にて、主人公・日高秋亜人/修羅王シュラトを助ける仲間。普段はオネエ言葉で掴み所がないキャラだが、本気になると男前になる。
羽手裏剣だけでなく両腕に携えた金輪を武器とし、戦闘時は「オン・カルラ・ソワカ!」のタントラ(今作でいう真言)で迦楼羅のシャクティ(いわゆる甲冑)を装着。
羽手裏剣を飛ばす迦楼羅翼吹雪(かるらはねふぶき)や遠くの物やあらゆる事象を見渡せる迦楼羅霊視羽(かるられいしう)など、風と羽手裏剣を用いた技が得意。



ゲーム

サロニア滅亡を目論む大臣ギガメスの正体で、普通にプレイしてきた程度のレベルでは全滅必至のかみなりを連発してくる。誰が呼んだか全滅の雷帝
FF3でバトル2(ボス曲)の似合うボスNo.1。
姿は伝承通りの鳥人で、3D化されたDSとPSP版では変態にしか見えない。
時期的に、日本でガルーダに悪者のイメージを付けた元祖かもしれない。
攻略法として全員ジョブを竜騎士にしてのジャンプによる博打的な攻撃が一般的な攻略法として語られているあたりに、如何に正面突破が難しかったかが解る。



  • 女神転生シリーズ

FC版『2』に種族“神獣”で初登場して以降、SFC版『真・女神転生』以降はインド系が優遇されていることもあり、最高レベルの“霊鳥”を定位置として派生作品を含む多くのタイトルに登場。



  • 迦楼羅王

浮世亭開発のSFCの横スクロールアクションゲーム。
魔神の血を継ぐ青年、迦楼羅が老人ブラフマとともに魔神アシュラや魔王ラバーナに立ち向かう直球のインド神話ゲー。
最大必殺技「天翔舞」ではまさしく輝く鳥の姿となる。



モチーフにしたキャラクターなど

鳥・飛行機型

Gフォース(平成ゴジラシリーズ)が開発した対ゴジラ用ロボット一号機。
火力が足りなかったが二号機のメカゴジラ(VSシリーズ)の弱点を補うべく背中に合体、スーパーメカゴジラとなる。


グランセイザーの火のトライブ(セイザータリアス・セイザーミトラス・セイザーリオン)が召喚するガルーダ型超星神。鳥を模したライブモード(アニマル形態)からウォーリアモード(人型ロボット形態)に変形、両腕のガルクローで敵を迎え撃つ。必殺技はガルクローから放つ炎の剣戟ファイヤーバードクラッシュ。


  • 鋼鉄迦楼羅(七人の超将軍編)

武者飛駆鳥/飛駆鳥大将軍の支援メカ。V2ガンダムのアサルトバスター追加パーツが元ネタ。
大将軍になるとともに迦楼羅鳳凰へ出世。対となる影迦楼羅もいる。


人面鳥の姿をした闇の種族ダーク・ワンの中級眷属(強い雑魚(ゲーム)のようなもの)。主人公を運び去ったことがある。


アウドムラなどに代表される地球連邦軍の超巨大輸送機。


真理野コウヤが駆るクラッシュギア。優れた空力フォルムを持つ風属性。


鳥人型

キャンベル星の戦闘司令官。普段は人間の姿であるが、戦闘時には名の通りの鳥人に変身する。 


竜騎将バラン直属のエリート三戦士、竜騎衆の1人。
他の竜騎衆共々バランにポップ(ダイの大冒険)の始末を命じられた。残忍、傲慢、自分勝手ではあるが相棒のスカイドラゴン、ルードのことは兄弟のように大切にしており、
ルードが倒された際は怒り狂ってポップをレイピアで滅多斬りにした。その形相は仲間すら「イカれてる」と評するほどだった。


裏次元ディメンシアの巨大ロボで、その名の通りガルーダをモチーフにした2号ロボ。
地球でスカイフォースに改造を施されてからは、ジェットイカロスと合体することでグレートイカロスとなる。


マジイエロー/小津翼が巨大呪文で変身したマジマジン。
こちらもその名の通りガルーダモチーフで、他の兄弟が変身したマジマジンと合体することでマジドラゴンおよびマジキングとなる。マジドラゴンやマジキングの翼はマジガルーダの翼がビヨ~ンと伸びて出来る。翼だけに。


ガルーダの姿をした完全体の鳥人型デジモン。
初代アニメ「デジモンアドベンチャー」ではメインキャラのパートナーの一体であるピヨモン→バードラモンから進化し
以降はこの進化ルートが定番となった。前身のこの2体が炎属性なためガルダモンも炎属性として扱われるが
必殺技の「シャドーウィング」は超速の真空刃であり炎要素は特にない。というか当初は大気(風系)属性扱いだった。


デュラハン種ヒノトリ派生のモンスター。作中でもレア種同士の掛け合わせであり非常に貴重なモンスターである。ゲーム的にもヒノトリ派生のモンスターはこれ一体のみ。
デュラハンは鎧そのものがモンスターなのでこれも鳥人の鎧の姿をしたモンスターであり、中身はない。


人型

なぜか極悪人でラスボス。上記のグルルでもあるまいに…何故?


ギリヤギナ族の大剣使いの美女。


  • ガルダ(北斗の拳シリーズ)

パチスロ版で初登場したラオウ率いる拳王軍の将軍。後に漫画『北斗の拳外伝 金翼のガルダ~南斗五車星前史~』で主人公となった。
南斗神鳥拳の使い手でその腕前は南斗五車星をも凌ぐ。
ラオウに対する畏敬の念は全く無く、神鳥拳が南斗で発言権を得るために利用しているだけに過ぎない。



追記修正は鰻料理*2に舌鼓を打ちつつお願いします。


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  • フェニクスのモデルかな -- 名無しさん (2018-10-23 20:47:25)
  • ↑フェニックスはベンヌというエジプト神話の鳥がモチーフらしい。 -- 名無しさん (2018-10-23 21:06:07)
  • ギルガメッシュ叙事詩の不死の霊薬の話の繋がりも感じるな -- 名無しさん (2018-10-24 00:11:59)
  • ↑古代オリエントは共通のモチーフが多いから名前が違うだけの可能性はある。 -- 名無しさん (2018-10-24 00:14:06)
  • 桃太郎伝説だと外道キャラに -- 名無しさん (2018-10-24 05:04:58)
  • メカゴジラと合体(ロマン)!! 圧倒的火力(ロマン)!! 立ち位置的にはメカラドン(ロマン)!! 多分他にも機動向上ユニット的なガルーダはいたと思う。あとはガンダムにもガルダがいるな -- 名無しさん (2018-10-24 08:45:54)
  • 顔 面 三 点 パ ン チ 兄 貴 -- 名無しさん (2018-10-24 09:18:30)
  • ガルーダ・インドネシア航空の元ネタか -- 名無しさん (2018-10-24 09:34:55)
  • タイのモンスターパニック映画もあったな -- 名無しさん (2018-10-24 11:12:19)
  • ドラクエシリーズのガルーダはヘルコンドルやごくらくちょうに比べるとあまり印象に残らないな。 -- 名無しさん (2018-10-24 11:50:23)
  • 車田作品ではなぜか西洋の邪悪なモンスター扱いされてた -- 名無しさん (2018-10-25 00:59:51)
  • FF14で朱雀が人の姿になったときに笛を吹くのは迦楼羅天がモチーフかな -- 名無しさん (2018-10-25 14:08:53)
  • FF3のトラウマ -- 名無しさん (2019-06-15 18:32:53)
  • Zガンダムのガルダ級がガルーダが元っていうのは気付くのに時間かかったわ -- 名無しさん (2020-08-06 19:41:51)
  • どこぞのソシャゲではただのオエー鳥だったなあ。 -- 名無しさん (2020-09-01 18:10:35)
  • こいつヴィシュヌ神と戦って勝負付かないとか三十三億の神々を蹂躙したとか普通にインド神話最強候補だよねこれ。仏教でも天部なのに殺生して食っても何のお咎めも無い処か世界のルール扱いだし。 -- 名無しさん (2020-11-26 17:18:02)
  • メガテンの方が馴染みがあるが… -- 名無しさん (2020-11-26 18:03:40)

#comment

*1 ブラフマーが生み出した十の神仙。或いはブラフマー自身のことで世界を生んだ神や神仙。
*2 古語では蛇や虹と区別が無かった。

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コメント

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