登録日:2018/08/15 (水曜日) 16:51:00
更新日:2024/03/21 Thu 13:34:32NEW!
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再び映画が撮れて 本当に幸福です
『サンセット大通り』とは、1950年にアメリカで製作されたモノクロ映画である。原題は『SUNSET BOULEVARD』。
監督は『お熱いのがお好き』や『アパートの鍵貸します』などの名作映画で有名なビリー・ワイルダー。
かつての大物女優の没落と狂気を通じて、煌びやかな映画界の闇を克明に描写した傑作。
日本でも古典的名作として評価は高く、ミュージカルとして舞台公演が行われた。
【あらすじ】
サンセット大通りにある古い豪邸に、警察やマスコミが殺到していた。そのプールに、銃で背中と腹を撃ち抜かれた一人の男の遺体が浮かんでいたからだ。
被害者は、売れない脚本家であるジョー・ギリス。
彼のモノローグにより、これまでの経緯が語られる……
遡ること半年前。生活苦に陥っていたジョーは、取り立て屋に車を引き渡すよう迫られていた。あらかじめ取り立てに備えていたジョーは、嘘をついてその場を切りぬける。ジョーは金を用意するべく、書き上げた脚本を映画会社に持ち込むも、酷評されて採用してもらえなかった。当てが外れたジョーは何とか金を工面するべく奔走するが、万策尽き、取り立て屋から逃げる最中、運悪く車がパンクしてしまう。
サンセット大通りにある、古びた豪邸へと逃げ込んだジョーは、そこに住む一人の女性に出会う。彼女は、かつてサイレント映画時代に大女優として活躍したノーマ・デズモンドであった。もはや過去の人となっていたノーマであったが、その現実を頑として認めようとしない彼女は、ジョーが脚本家であることを知ると、彼に自身が出演する映画の脚本を仕上げることを依頼する。窮地にあったジョーは、申し出を受け入れ、半ば強制的にノーマの屋敷に住まうことになる。
この悲劇は、狂気に憑りつかれた女優と、彼女に囚われた脚本家が織りなす「名もなき愛の物語」。
【登場人物】
●ノーマ・デズモンド(演:グロリア・スワンソン)
サイレント映画時代の大スターで、今は世間から忘れ去られた存在。しかし、本人は自分は今でも大物であるという妄想に憑りつかれており、ハリウッドへの復帰を目論んでいる(自宅のあちこちに自分の写真を飾り、自分の過去の主演作をホームシアター的に上映することも)。
全盛期の頃に稼いだ金額が余程のものであったのか、長らく仕事が無い状態であるにもかかわらず豪邸に住んで贅沢な暮らしを送っており、まったく生活に困っているような描写は無い。
自らが主演するつもりで映画『サロメ』のアイデアを温めており、ジョーにその仕上げを依頼する。脚本も自身で手掛けたが、その脚本は、ジョー曰く6作分の量であり、なおかつ見るに堪えない駄文であり、ハリウッドへ完成品を送った際は、「駄作」とすら称される代物であった。
サイレント映画の、そして自分の時代がとうに終わってしまった事実を受け入れず、自身をスターであると思い込む姿は、ジョーに「夢遊病者」と評された。そして気が昂ぶった際に見せる表情は、正に狂気に憑りつかれた恐ろしいもの。
『サロメ』の脚本を送った後、業界関係者の「撮影のため、車を貸して欲しい」という依頼を、「自分の脚本が採用された」と思い込んでしまった挙句、撮影中のスタジオに押しかけていき、気を遣った関係者の発言から、更に妄想をこじらせていき……。
失礼します 撮影ですので
●ジョー・ギリス(演:ウィリアム・ホールデン)
売れない脚本家で実質的な主人公。本作冒頭でプールに浮かんでいた死体の男性。本作は、殺害までの経緯を彼自身のモノローグで振り返るものとなっている。
窮乏を脱するため、ノーマが正常な精神状態ではないと分かっていながら依頼を引き受けるが、半ば監禁状態となってしまい、彼女の元を逃げ出そうとする。しかしそのことでノーマが自殺を図り、また戻って彼女と同居することになってしまう。
そんな中、脚本家を志すベティと出会って惹かれ合い、密にベティと脚本を共同執筆することになるが…?
●マックス(演:エリッヒ・フォン・シュトロハイム)
ノーマの執事で、神経質そうな男性。ノーマのことを崇める言動を取り、彼女が夢から覚めないように努めている。ノーマに対する態度を除けば話の通じる人間であり、ジョーに対して礼儀正しく接し、ジョーがノーマに隠れてベティと会っていることも咎めることはなかった。しかしその際に、自身の素性を明かして、ベティとの密会がノーマにばれてはならないとジョーに忠告している。
●ベティ・シェーファー(演:ナンシー・オルソン)
若手の脚本部員で、ジョーの親友の婚約者。祖母の代から映画業界に関わっているが、自身は見た目や演技力から、表舞台で輝くことはできなかった。しかし本人は裏方の仕事を気に入っている。脚本を執筆中であり、ジョーと共同で作業を行うことになる。その最中でジョーに淡い恋心を抱いていく。
【作品について】
本作は、作品のリアリティーを増すためキャスティングが徹底しており、出演している俳優達の多くが、当時の彼らの実際の状況を反映した役柄を演じている。
主演のグロリア・スワンソンも、作中のノーマ同様の「現在は落ちぶれたサイレント映画時代の大スター」であり、そのことが劇中の鬼気迫る演技を生み出した。
上述した主要な登場人物の他にも、ハリウッドの名監督であるセシル・B・デミル、グロリア同様にサイレント映画で活躍した喜劇王、バスター・キートンらが本人役で出演している。
しかし、やはりというべきかキャスティングは相当に難航したようで、特にノーマ役は役柄が役柄であるため誰に打診しても断られ、最終的にダメ元でビリー・ワイルダー自身が説得に当たったグロリアがノーマ役に収まることとなった。
ハリウッドの映画業界を皮肉るかのようなその内容も問題視され、現在のような評価が得られるまでにはかなりの時間を要したらしい。
ちなみにオープニングは2種類存在しており、最初に試写会で披露されたものは、遺体安置所から始まるというものであった。
が、「遺体安置所でジョーがこれまでの経緯を語りだす」というその光景がなんだかギャグみたいに見えてしまうことから、現在よく知られるバージョンへと差し替えられることとなった(最初のバージョンは、DVDの特典映像でスクリプトのみ見ることが可能)。
なお、ジョーの遺体がプールに浮いているオープニングの場面は、まるでプールの中から撮影しているかのようなその構図が当時としては非常に斬新で、この構図を撮影するために特殊なセットが組まれている。
後に「アイ・ライク・ショパン」などの楽曲を世界的にヒットさせることになるイタリアの歌手・ガゼボのデビュー曲「マスターピース」の歌詞の中で語られている映画は、この「サンセット大通り」のことであると言われている。
追記・修正をお願いします。
遂にカメラが回り始めた
人生は奇妙に慈悲深くノーマに情けをかけた
取り付いた夢で彼女を包んでやったのだ
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▷ コメント欄
- 主演のグロリアはこの映画のヒットでスターの座に返り咲いたって聞いた事がある -- 名無しさん (2018-08-15 18:26:44)
- ハリウッドの夢と挫折、狂気を描いた作品は今作のほかに『イナゴの日』『何がジェーンに起ったか?』などがある。いずれもおすすめ。最近だと『アーティスト』『ラ・ラ・ランド』もある -- 名無しさん (2018-08-15 21:51:27)
- パブリックドメインゆえニコニコでタダで観れるから -- 名無しさん (2018-08-15 22:14:41)
- ミュージカル版のパーフェクトイヤーっていう曲がむちゃくちゃ好き。 -- 名無しさん (2018-08-16 20:52:20)
- 登場人物の辺り本家wikiと記述がダブってる?と思って両方の履歴見比べたらこっちで先に書かれた記述がほぼそのまま本家に転載されてますね -- 名無しさん (2024-02-17 01:18:03)
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