登録日:2018/06/17 Sun 14:54:27
更新日:2024/02/26 Mon 13:45:24NEW!
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漫画 スポーツ 柔道 部活 柔道部 格闘漫画 アンチテーゼ ヤングアニマル ヤングアニマル嵐 白泉社 柔のミケランジェロ カクイシシュンスケ ブラック部活批判
本当に強い奴ってどんな奴だと思う………?
『柔のミケランジェロ』は、カクイシシュンスケ氏の漫画作品。
「ヤングアニマル嵐」誌にて連載開始し、同誌の休刊後は「ヤングアニマル」誌に移籍して完結した。
単行本は全2巻。
【あらすじ】
ここ20年、団体戦で全国大会への切符を逃し続けている古豪・武橋高校柔道部。その現状を変えるべく、エース・獅子田が目を付けたのは…運動神経ゼロのインドア1年生・三毛蘭丈だった!? 父親の営む画塾で日々デッサンを繰り返し、シルヴェスター・スタローンに憧れる蘭丈が持つ特殊な能力とは一体…? 文系男子が投げまくる! 下剋上柔道ストーリー、堂々開幕!
〈公式サイトより引用〉
【登場人物】
- 三毛蘭丈
僕は柔道部って決めたんです
身長:170㎝
体重:58㎏
得意技:足払い
(上記ステータスは6話時点)
武橋高校の1年生でスポーツ経験ゼロのインドア派。
画塾の講師を父に持ち、彫刻家になるように誘導されて育てられたが、本人にその気は無い様子で、絵はそれなりに描けるが上手という程ではない。
部屋はスタローンやシュワルツネッガーが主演した映画のポスターと厳つい男のリアル系フィギュアで埋め尽くされており、フィギュアでコマ撮りアニメを制作するのが趣味。
その冴えない見かけと貧相な体もあって新入生の部活勧誘に全く声を掛けられず、友達も出来ずに一人で武道館の裏で昼食を取っていたところ、「柔道部員を転ばせられたら1万円贈呈」という話を聞いて武道館に入ってゲームに参加。二度に渡って転ばせたことで、獅々田に目をつけられ柔道部に誘われることに。
筋力はゼロだが、美術とコマ撮り人形劇の制作を続けたことで「重心の位置が見ただけでわかり、体重移動のタイミングが的確に掴める」という長所があり、それを活かして2度もゲームに勝利したことで獅々田に目をつけられ、体験入部に参加させられるハメに。
最初は「大きい声を出すのが恥ずかしい」と乗り気ではなかったが、初日でかなりの体格差がある先輩部員を不完全だが倒させたことで柔道の楽しさを自覚して、正式に入部を決意。自主的に足りない筋力を補う為のトレーニングを始め*1、「せめて同じ一年生には負けないように」と目標を決めるなどドンドンのめり込んでいく。
特に光の華のある柔道には魅せられて、夢中になって撮影していた。
その後、 帰宅してすぐに光そっくりのフィギュアを自作して、映像をコマ撮りで再現して「光くんの内股だ…フフフ…」と笑みを浮かべるという傍から見ればかなりアブない行為をしている。
渾身の力を発揮する際や決め台詞を言う際にスタローンの顔真似をする変な癖がある。
(他の部員からは田中邦衛だと思われていた。光はスタローンだと気付いた)
- 獅々田龍一郎
「いいか 体が小さいことなんざどうってことねぇ ちっぽけな問題だぜ」
2年生だが団体戦メンバーに選ばれる実力者で部内のエース。
逆立った髪型の強面で性格は豪気。
蘭丈の才能を見抜いて彼を体験入部に無理矢理引っ張り込み、その才能が本物だと確信して喜んでいた。
ライバル校に勝てるメンバーが欠けていることもあって蘭丈に過酷な特訓をさせて即戦力にしようとするも、顧問から厳重に止められて引き下がり、11月の新人戦までには仕上げようと丁寧な指導を始めた。
柔道一筋で蘭丈が好きな映画には興味ゼロだった。
- 真城誠
「そりゃ 勝つことも大事ですけど柔道って勝ち負けだけじゃないんじゃないですか?」
身長:156cm
一年生で蘭丈とは違うクラス。柔道経験者で真面目な性格。
実際に倒されたこともあって蘭丈のことを認めており、体験入部に誘っている。
「ロッキー」を全部見ているので蘭丈からは親近感を持たれている。
- 桃山田光
「…そう 僕ってすごいんだ」
身長:186㎝
体重:91㎏
得意技:内股
(上記ステータスは6話時点)
一年生だが、主将に勝つほどの高い実力を持つ柔道経験者。
俳優としての活動しており、子役として映画に出演していたこともある。
(映画マニアの蘭丈は知っていて握手を求めている)
ジャッキー・チェンを超えるアクションスターになることが目標だが、一方で中学時代に勝てなかった獅々田のことをライバル視している。
自信家であり、明らかに細い体格の蘭丈に「柔道はやめた方がいい」と言い放つが、本気で柔道に取り組んでいると知ると素直に謝罪するなど嫌味な性格という訳ではない。
タレントの性か蘭丈に自分の柔道をカッコいいと評された際には本気で喜ぶ子供っぽい面もある。
蘭丈のことは経験ゼロの初心者だとタカをくくっていたが、実際に乱取で組み合った際にただの初心者では無いことに気付いている。
俳優志望なだけあって映画にも詳しく、蘭丈の物真似をスタローンだと見抜き、 吹き替えの声優が誰かまで言い当てた 。
- 織田
「柔道事故は絶対に起こしちゃならんのだ 初心者をシゴこうとするのなら試合には一切出さん いいな!」
顧問の教師で外見はパパイヤ鈴木にそっくり。
非常に穏やかな性格で、「事故はあってはならない」という主義の下に部員に無理をさせず、特に経験が浅い者には過剰と言える程に気を使った指導を行っている。
蘭丈の連日の見学を認めるなど大らかだが、一方で顧問の不在時には初心者組の乱取を禁止する他、先輩が後輩にキツい練習をさせようとするのを見つけると鬼の形相となって厳格に止めに入る一面を持ち、「強い子や強くなりそうな子ほど心配になる」と同僚に話している。
【特色】
新聞の書評では 「シゴキ禁止、絶対無理させない柔道部」「従来のスポ根の定番とは大きく異なる」と説明されている。
実際に作中では
- 女性キャラがほとんど登場しない。
- 柔道経験のある女子部員が二人入部しているがほとんどモブ。
- 2話で獅々田が蘭丈に猛特訓を受けさせてインターハイ予選のメンバーに加えようとするが、顧問が止めに入り「初心者にキツい練習をさせるな。させるようなら試合には出させない。事故は絶対にあってはならない」と先輩全員に厳命。獅々田も引き下がってインターハイに参加させることは諦める。
- 「ちゃんと休憩しろ」「無理はいけない」「勉強も大事だ」といった言葉が随所にある。
- 蘭丈が入部届を提出した際に顧問が「獅々田に目をかけられているようだが無茶なこと言われてないか?」と気遣う。
- 主将を倒す程の高い実力を持つ光が入部したことで3年生がレギュラー争いの為に鬼気迫る練習を始めるのだが、誠が「この調子じゃ団体戦のレギュラー選抜の部内試合で光をケガさせてまで勝とうとする人が出るかもしれない」と話し、蘭丈がゾッとして引くなど否定的な面も描かれる。
- 6話で蘭丈の「基礎練習を休んで先輩達を見学してもいいですか」という申し出を顧問が快諾する。
- 顧問は「体調が悪いのか」と尋ねているが、蘭丈は「元気ですが見たいんです」とだけ返答。その様子を見た他の一年生は「サボリじゃねぇのか」「ありえねぇだろ」と陰口を言っている
と従来のスポーツ漫画、特に格闘技の漫画ではあまり見られない描写が多い。
作者のカクイシシュンスケ氏も1巻発売後にTwitter上で、
スポーツを描く上でやらないと決めていたことがあって
- シゴキや体罰を肯定的に描かない
- 長時間練習で強くさせない
- 怪我に耐え頑張る姿を美しく描かない
- 女性キャラをトロフィーやエロ要員にしない
- いじめられっ子が強くなるため競技を始めたり、周囲を見返すために奮起させない
などです。
とコメントしている。*2
部活を題材にしたスポーツ漫画の定番要素のアンチテーゼを実行しているかなり異色の作品であり、
フィクションでは美化されがちなスポーツ界の苛烈な指導や体罰、部活動の長時間化、行き過ぎた上下関係といった諸問題に踏み込んだ作品とも言えるかもしれない。
追記・修正はスタローン主演の映画を視聴しながらお願いします。
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▷ コメント欄
- ケンイチとか特にそうだけど師匠が弟子に過酷な特訓を貸すシーンはギャグっぽく描写されるけど、シリアスに描くと体罰や虐待を思わせるって理由もあるのかな -- 名無しさん (2018-06-18 10:26:24)
#comment
*2 同時に、「自分はやらないというだけで、これらの要素がある作品は好きだし、描いちゃダメとは思わない」(作者自身『アイシールド21』や『はじめの一歩』を読んでスポーツ漫画を描きたいと思ったそう)とコメントしている。
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