登録日:2017/10/29 Sun 22:33:44
更新日:2024/02/15 Thu 13:42:21NEW!
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ぼくが、 めに なろう。
「スイミー」とは、レオ・レオニ作の絵本。
【解説】
1963年に出版された作品で、小さな黒い魚の活躍を描いた作品。
日本では谷川俊太郎の手で翻訳され、『スイミー ちいさな かしこい さかなの はなし』という題名で出版された。
光村図書出版が発行する教科書にも1977年から掲載されており、教科書経由で本作を知った者も多い。
ただし、教科書版は教材向けにする都合からか文章表現が多少変化している。
また、教科書の都合から挿絵も省略などの変更を強いられてしまっている*1。
本作の特徴としては、絵本の美しいイラストや表現技法が話題になりやすく、この点は評価はかなり高い。
絵で描かれる様々な生物やラストのスイミーら魚たちの姿などインパクトに残っている人は少なくないはず。
ストーリーも良い意味でシンプルで分かりやすく、そちらの評価も高い。
ストーリーのテーマとしては「集団の協力の必要性」が挙げられやすい。
それも間違いではないが、実際の真のテーマとして「自己存在の確立」などの哲学的思想があるとされる。
なお、作者のレオニは本作執筆の直前にアメリカでの地位を捨ててイタリアに帰国している*2。
レオニはそこから芸術家としての活動に入っており、本作への影響を指摘する声もある。
また、絵本の絵そのままに動かしてナレーションをつけた短編アニメ版がヤマハの世界絵本箱シリーズの一つとして存在している。再販の度にナレーションが変わってるのは内緒だ。
1986年には日本製のアニメ映画『がんばれスイミー』も作られている。全然絵が似てないとか言ってはいけない。
主題歌「がんばれスイミー」(歌:子門真人)を聞いたことがある人もいるかも。
【簡単なあらすじ(ネタバレ注意)】
広い海の中で小さな赤い魚の兄弟が平和に暮らしていた。
そんな兄弟の中で、スイミーという魚は何故か唯一体色が真黒だった。
一方で、泳ぎという面に関しては兄弟の中で飛びぬけて優れていた。
そんなある日、空腹のマグロが恐ろしい速度で兄弟の群れに突っ込んできた。
一口で兄弟らは全滅したが、泳ぎが得意だったからかスイミーのみは生存した。
スイミーは暗い海を1匹で泳ぐことになり、恐怖や孤独といった感情に襲われる。
しかし、そんな中で海の素晴らしく面白い生物を多く見ることになる。
それらの物を見ていく中で、スイミーは元気を取り戻す。
その時、岩陰にスイミーとそっくりな(同種?)小さな魚の兄弟の群れを発見する。
スイミーは面白い物を見た経験から彼らを遊びに誘うが、断られてしまう。
「大きな魚に食われるのはNG」との返答だったが、そこでじっとしている訳にもいかないと訴えるスイミー。
スイミーは様々な案を考えていくが、しばらくして案を思いついたようで、突然叫び出す。
スイミーの案は「全員で海で一番大きな魚に擬態して泳ぐ」という策だった。
そしてスイミーは決してはぐれないことや持ち場を守ることなどを指示する。
やがて全員が大きな魚として泳げるようになった時、スイミーは自分は目のパーツを担当する事を明かす。
こうして朝や昼の海中を全員で泳ぎ、大きな魚たちを追い出すことに成功したのだった。
【登場キャラクター】
・スイミー
本作の主人公となる小さな魚。
赤い魚の兄弟たちの中で何故か身体がカラス貝(ムラサキイガイ)を超えるほど真黒な個体だった。
理由は作中では語られていないが、突然変異個体的な存在だったのだろうか。
しかし、魚としては大切な泳ぐという点では誰よりも速かった。
ある日、マグロによって兄弟が捕食される中で唯一逃げ切ることに成功する。
だが、それ以降は1匹寂しく暗い海の中を泳いでいかなければならなくなる。
孤独に打ちひしがれるが、海の中で新たな発見を繰り返すうちに元気を取り戻した。
海を泳ぐ中で、かつての兄弟らと似た魚の兄弟たちと遭遇。
隠れていた彼らを率いて巨大魚へと擬態し、巨大魚を追いやりながら泳ぎ続けた。
作中の描写から分かるように、小さな魚にしては相当頭が良いことが分かる。
実際に日本語版のタイトルに「小さな賢い魚」とそのまんまな題名になる訳だ。
泳ぎも捕食から逃れられる程には優れているし、色を除けば相当優秀な存在である。
変わった体色も、赤い色が基本と思われるスイミーの種族から見るに、人間的な観点から見ると非常にレアな存在とも見れる。
・スイミーの兄弟
物語冒頭で語られるスイミーの兄弟である赤い魚たち。
楽しく海で暮らしていたが、空腹のマグロに目を付けられて一瞬で全滅する。
特に語られていないが、全滅後や後に同種を見たスイミーの反応から見るに、体色が違うスイミーの差別はしていなかった模様。
・マグロ
ある日現れた恐ろしいマグロ。
腹を空かせていたため、ミサイルの如く素早い動きでスイミーらの群れに突っ込む。
その一口でスイミーを除いた兄弟の群れを捕食してしまった。
後日、スイミーの一計によって追い払われた。
・素晴らしい物/面白い物
スイミーが海を泳ぐ中で見かけた物。以下、作中で描かれたそれら。
- 虹色のゼリーのようなクラゲ
- 見えない糸で引っ張られている見たことのない魚たち
- ドロップみたいな岩から生えている昆布やワカメの林
- 顔を見る頃には尻尾を忘れているほど長いウナギ
- 風に揺れる桃色のヤシの木みたいなイソギンチャク
・岩陰の魚の兄弟
孤独の身となったスイミーが海を彷徨う中で見つけた、スイミーと同種の赤い魚の兄弟。
岩陰に潜んでいる中でスイミーに遊びに誘われるが、捕食を恐れて一旦は誘いを断った。
この警戒心の強さを見るに、かつてのスイミーの兄弟らよりは警戒心は持っているのかもしれない。
その後は、スイミーの提案を受けて指示通りに動く。
【余談】
よく「スイミーは何の魚か(或いは何の魚をモデルにしたのか)?」という疑問が挙がる。
絵本から得られる情報では「マグロに捕食対象とされる」「赤い色が基本」「稀にスイミーのような黒い個体がいる」という情報だけ。
群れで活動する小型の魚は多くいるが、スイミー作中の描写と噛み合わない魚が殆どなので、明確なモデルはいないと思われる。
「群れでいる小型の魚イメージor全くの空想上の魚」というぼんやりとしたイメージで描かれたというのが真相だろう。
また、最近ではグッピーが捕食者に対して仲間で団結した行動をするとの見解をScientific Reportsが発表している。
鉄拳の作品「こんな金魚すくいは罰金だ」に、金魚たちが本作品よろしく集団で泳いで「僕たちはでかいんだぞーって、スイミーだ」というのがある。
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▷ コメント欄
- なつかしい。小学1年生の時に国語の授業で出てきたなこれ。 -- 名無しさん (2017-10-30 03:04:43)
- 遊戯王のカラスの巨群とかアルチンボルドの絵とかこういうの好き -- 名無しさん (2017-10-30 07:39:54)
- ポケモンのヨワシとかはまんまこれかな -- 名無しさん (2017-10-30 10:53:30)
- だがちょっと待って欲しい、岩陰に生存に必要なものがあるならじっとしてても良いし、外に出ても決められた役割を強いられるなら岩陰にいたほうが幸せではないだろうかと突っ込みたくなるのは私が汚れてしまったからですね、はい -- 名無しさん (2017-10-30 11:10:40)
- 小学生の時の学芸会の題材になったので知ったな -- 名無しさん (2017-10-30 19:37:50)
- こちょこちょむにゃむにゃにゃー? -- 名無しさん (2017-10-31 12:53:02)
- 「スイミーは1匹しか居ないので目が片方しかない不自然な魚になるのでは?」と昔から訝しんでいたが、今では「マグロはとにかくデカい生物がいた事に驚いたのであり、スイミーの有無は問題ではない」という結論に落ち着いた。 -- 名無しさん (2017-10-31 13:05:54)
- スイミーはもうちょっと自分の体色にコンプレックスを持っていたイメージがあったんだけど久々に読んだら全然そんな事は無かった -- 名無しさん (2017-10-31 23:10:36)
- 某絵師のせいでスナフキンが浮かぶ -- 名無しさん (2017-11-01 11:23:17)
- 凶暴なバイオマグロに妻子を殺された水中サラリマン、スイミーに無数の邪悪なるサカナソウルが憑依。大型魚に匹敵する異常巨体を得た彼は無慈悲にマグロを狩り殺しツキジに出荷する殺戮的漁業者と化した。「マグロ、殺すべし!」 -- 名無しさん (2017-11-02 09:44:17)
- うじょうじょしているのでかゆくなってきた。 -- 名無しさん (2017-11-02 10:03:37)
- ↑2 ニンジャの恐怖が抜けていないようだな。オモチをくわえてセンベイを額に当てるのだ。ニンジャの悪夢が浄化される…どうだ、ピンク色の光が見えてきたか? -- 名無しさん (2018-07-18 14:07:39)
- 教科書に採用される前の、翻訳直後の絵本ではみんなひらがななのかな。教科書では「ぼくが 目に なろう。」だったと思った。一年生でも漢字少し習うもんなあ -- 名無しさん (2021-03-19 20:25:23)
- 幼稚園児の時に絵本を見て「赤い魚がレオ、黒い魚がレオニ」だと思っていた、という謎の思い出。 -- 名無しさん (2022-08-30 18:56:36)
- クラスメート「ドロップみたいな岩から禿げている昆布やわかめのもやしw」 -- 名無しさん (2022-11-12 14:21:45)
#comment
*2 レオニ氏の出身自体はオランダである
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