登録日:2016/11/25 (金曜日) 17:32:53
更新日:2024/01/29 Mon 13:47:52NEW!
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川上稔 都市シリーズ 創雅都市s.f サンフランシスコ イラストノベル ライトノベル ネタバレ注意 電撃hp
『創雅都市S.F』(そうが とし サンフランシスコ)とは、川上稔の〈都市シリーズ〉6作目*1であり、
雑誌『電撃hp』のvolume「4、6~9、11、15、17、18」(1999年2月~2002年8月)に連載された*2「イラストノベル」で、通販限定で単行本が発売されている。
時系列としては1999~2002年の出来事に当たり、創雅都市S.Fの3年間を描いている。
他の都市シリーズに比べて「ノホホン系」を目指して書かれたが(単行本解説より)、最終的には都市の危機に立ち向かっていたりする。
また作中の時期は「矛盾都市TOKYOの閉鎖」後だったり香港が『風水街都香港』の事件後で復興途中だったり*3するため、「サラの周囲だけノホホン空間だったかも…」と作者が呟いていたりした。
ちなみに作中では『風水街都香港』・ゲーム版『奏(騒)楽都市OSAKA』・『閉鎖都市巴里』・『機甲都市伯林』に関連する人物がゲスト出演している。
特に巴里関連は単行本にて未読の読者に対する重大なネタバレ(&あるキャラのその後に関するショッキングな示唆)があるので注意。
単行本では「都市世界の地図」や「歴代ヒロインズ集合絵*4」、「シリーズの解説」等が掲載されている。
●あらすじ
全てが「絵」として存在する都市「創雅都市-S.F」。そんな街で「匪堕天(ディスデモン)」のサラは気ままに「描いて」街を整備したり、都市を飛び回ったりして日常を過ごしていた。
だが甚大な被害をもたらす「大神祭」到来が予測される中、サラも仕事かねて里帰りしたりと対策に追われることに。
そして「大神祭」当日…S.Fとこんな状況でもお気楽なサラの明日はどうなる!
●登場人物
- サラ
本作の主人公。「使堕天」級の「匪堕天(ディスデモン)」の女性で、年齢は2002年時点で25,6歳。昔から絵で生きていくことを考えており、1995年頃に「風水街都-香港」から創雅都市S.Fに移住してきた*5。
遺伝詞的には恐らくマルガ・ナルゼとマルゴット・ナイトを足して2で割って陰を無くしたような感じ。魔女でも同人作家でもないが。
長めの金髪に根本が黒で先端が金の1対の翼(左右合わせて6枚羽)を持っている。性格は「テキトー」でユルイが絵等好きな事には全力を出せるタイプ。
あらゆるものが「絵」であり「描く」ことで世界に干渉できる創雅都市S.Fの法則の中で、神型具(デヴァイス)を絵筆替わりにして空やものに描くことで干渉する力を持ち、故郷香港でも「描いて」ものを治したりした。
所持神型具は、仕事用の珠座神型具(マウス・デヴァイス)「白帝」(ハリハクス)と市役所勤務前から持っていたナイフ形神型具(単行本解説での正式名称は「IKDkー1032“割(92型)”」)で、いずれも日本の「IZUMO社」製。
作中ではS.F市役所の「衛生課(クリアード)」に勤務し、「夜を朝に書き換える」・「嵐を晴れに書き換える」等の業務に当たっている。
- BENDAUGHTER(ベンドゥーター)
創雅都市S.Fにある巨大桜内の時計台「ハイパーベン」から都市に時報の唄を届ける眼鏡っ娘時詠式自動人形で、英国からの贈り物。改修後の正式名称は「ArcSZ-069“BENDAUGHTER-S.F.” 」。
なぜか高音部の音が外れやすく、改修しても治らなかった。また最初は裸眼だったが、100年間暗い部屋で歌本を読み続けた所為か眼鏡をかけるようになった。
サラがS.Fに来て初めて「友だち」になった存在で、感情のない「アイラム式」として歌うだけだった頃からサラと会っていた。
アイレボーグ式へと改良された後は和風趣味なおっとり系女子となっている。
- ベレッタ
サラが飼っている「狐鬼」(スリーテイル)の子供で、名前は前の飼い主から来ている。でも性別はオス。2002年に7歳となる。
サラに引っ付いて仕事にもついてきており、サラの長い金髪に引っ付いているせいか箒や他人の髪にも引っ付いていた。
サンダーバード登場後はサンダーバードに喧嘩を売ってはフルボッコされるのが日常になっている。
- シングルホーン
「衛生課(クリアード)」課長でサラの上司な「魔神族(ディスロード)」。白い甲殻に覆われ2対のたくましい腕を持ち、名前は頭に生えている角から。
テキトーなサラに厳しく対応しながらも、頼るときはきっちり頼りにしている。
BENDAUGHTERが組み立てられたとき既にS.Fにおり、単行本の解説ではBENDAUGHTERのいる巨大桜を巨大化した張本人だそうな。
- オババ
先住民族(リアルでのネイティブ・アメリカン)のシャーマンで、都市の地下にある竜骨や地下遺跡の管理を担当している。年齢は80歳前後。
都市に時折訪れる「大神祭」の気配を察知し調査を開始し、その時ペット(?)のサンダーバードをサラに預けた。
- サンダーバード
若かりし日のオババに救われ、彼女の傍にいる風雷神の神獣…といえばカッコいいが、現在の見た目はデフォルメされ過ぎた2足歩行鳥(過去はカッコいい大鳥だった)。
喧嘩売ってくるベレッタをボコにするのはいい暇つぶしらしい。
- 地味娘(仮名)
サラの同僚兼友人その1で、事務職担当。衛生課ではないがサラに欠けている「事務能力」をフォローしているという。
- 義腕娘(仮名)
サラの同僚兼友人その2。左腕が義腕でエンジニア担当。
- 藤浦・鉄
日本の『機密都市-KURE』から来た技術者で、曽祖父やマクワイルド家の職人らが組み立てたBENDAUGHTERに会いに来た。「藤浦さん」と呼ばれている。
その後もメンテ要員としてあてにされS.Fに滞在しており、サラやBENDAUGHTERに「カキフライ」を教えたりした。
裏設定ではS.Fを訪れた時、護衛役として日本代表や彼女の上司である「池丸・孝一」が同伴していたという。
- 海辺のおばあさん(ベレッタ)
サラの回想時(1995年)に登場した老女。
バイト時代のサラが偶然訪れたS.F郊外の家に住んでおり、サラに「子供の狐鬼が食べたくなるように洋梨を描き変えることが出来たら職を世話してあげる」なんて提案をした。
サラ自身は苦闘の末「狐鬼が食べたくなるような洋梨」を描けた後、職ではなく狐鬼を預かることにしたのだが、狐鬼を託した後彼女は家から去り、家にいた彼女の知人たちから聞いた名前をサラは狐鬼につけた。
実は…
その正体は『閉鎖都市巴里』ラストの歴史改変で消えずに済んだ茶髪で米国に残留したベレッタ・マクワイルド。家は自動人形の整備工房でもあった。
改変前は「女剣士」と名乗っていたが、改変後はその名に至る経緯を「金髪のベレッタ」が担っている。
また「女剣士」が伴侶を得た切っ掛けが「巴里から逃げた」事にあるため、彼女が巴里で恋をしないままS.Fへ帰還した事になったこの時間軸において、「金髪のベレッタ」に相当する孫がいるかは不明。
単行本の初期設定込み解説では「養子をとっていた」とも書かれており、家を離れた後は母の故郷である欧州へと隠居。街を去るときS.Fの市役所へ「BENDAUGHTERの改修」を命令した。
- 貴婦人
海辺のおばあさんが去った後黒衣の老女と共に彼女の家に現れ、サラに彼女の名を教えた金髪の女性。後にサラが香港に里帰りした時に再会した。
「大事な人が亡くなった」ためか「私の時間が停まって」しまい消沈するも、この世界に「生まれ変わり」がある事を教えられ、生まれ変わりを探して世界を旅しているという。
ちなみに探している相手(金髪)とその思い人の特徴は、どこかサラには聞き覚えの有る様な感じを抱かせた。また直接は触れられないが仏蘭西代表の師匠でもある。
彼女の背景
正体は『閉鎖都市巴里』のヒロインで自動人形の「ロゼッタ・バルロワ」で、「時間が止まった」とは「歳を取るという概念」が進化しなくなったという意味。常若の女重騎師として有名になっているらしい。
ちなみに巴里本編では家の近くにいた狐鬼達に「ベレッタ」等友人たちの名がついており、狐鬼ベレッタの先祖も巴里から来たそうな。
大事な人は『閉鎖都市巴里』主人公ベレッタ・マクワイルドだと思われ、金髪ベレッタが有翼の騎を駆っていた事からか、サラと会った時懐かしそうな顔をしていた。
つまり「未来から来た金髪ベレッタ」は本編後…。
またS.Fを訪れた時傍にいた老女は『閉鎖都市巴里』のキャラ「マレット・ハルキュリア」の老後の姿で、二人とも独身。
- サラの母親
香港に住む風水師で、昔サラの「絵で身を立てたい」という夢に反対して大喧嘩となり彼女に出て行かれた。
『風水街都香港』での大崩壊時市役所職員として避難に当たった経験に学ぶため、家に英国代表と仏蘭西代表が訪れていた。
- 英国代表
「大神祭」対策のためS.Fに派遣された各国の実力者の一人で、猫人の「遠隔神術師(エナジーガンナー)」。
作中では香港にてサラの母親の元を訪れ「大神祭」時に関する情報収集にあたっており、その合間に仏蘭西代表に賭けポーカーを仕掛けて大儲けしていた。
正体はゲーム版『奏(騒)楽都市OSAKA』ヒロインの一人で、本名は「グレアン・クーラーズ」。現在は「NUSIF(新反独隊)」所属。
裏設定ではBENDAUGHTERが改修のため英国に送られ、再びS.Fに輸送される時警備を担当し、その縁で代表に選ばれたという。
「NUSIF(新反独隊)」の有力者「大佐」の孫であり、「大佐」は恐らく『機甲都市伯林』のキャラ「ロバート・E・クーラーズ少佐」の未来と思われる。
- 仏蘭西代表
「大神祭」対策のためS.Fに派遣された各国の実力者の一人で、隻眼の女重騎師。師匠は「貴婦人」。
作中では香港にてサラの母親の元を訪れ「大神祭」時に関する情報収集にあたっており、英国代表にポーカーでぼろ負けして重騎で彼女を送る羽目になっていた。
本名は「フォレット・ミゼール」で、ミゼール家の末裔。恐らくフィリップ・ミゼールと金髪のベレッタ・マクワイルドの子孫と思われる。
裏設定では貴婦人たちがS.Fを訪れた時も護衛として付き添っていたという。
- 日本代表。
「大神祭」対策のためS.Fに派遣された各国の実力者の一人で、黒髪眼鏡っ娘な「言霊師(ワードマスター)」。
作中では香港でサラと鉢合わせ、香港商店師団の連中と宴会になっていたりした。またS.Fでは英国代表と会話している。
正体はゲーム版『奏(騒)楽都市OSAKA』ヒロインの一人で、本名は「九条・句刻」。
現在は矛盾都市TOKYO閉鎖を機に、『電詞都市DT』の青江・正造と同じ「GASAS」に所属している。ちなみにグレアンのNUSIF入りも閉鎖が切っ掛け。
- 独逸代表
「大神祭」対策のためS.Fに派遣された各国の実力者の一人で、航空艦運用を担当する初老の軍人。
実は独逸G機関に所属する自動人形「ベルマルクシリーズ」の一体で、初号機にあたる「ベルマルク・アインス」。
- 香港商店師団の面々
香港に里帰りしたサラが協力要請のため訪れた治安組織の人々で、『風水街都香港』出演キャラ。作中では副団長・副団長補佐と面会した。
それぞれ副団長は「奉・鈴」(ホウ・リン)、副団長補佐は「フェイ・ガーランド」、師団前でサラが「用務員」だと思った老人は師団衛生課顧問の「将軍」、章表紙キャラは「山城・孔臥(コウガ)」にあたる。
単行本解説では将軍の過去について、「元々は五行師だったが、香港に現れた時は妻とのセッションで風水師の力を得ていた」と明かされた。
●用語
- 創雅都市S.F(イメージ・シティ サンフランシスコ)
本作の舞台となるアメリカ西海岸の都市。ちなみに作中では登場しないがちゃんとアルカトラズもあるという。
全ての物事が「描き綴られる」ことで成り立つ「絵」として存在しており、昼夜を「空」の書き換えで切り替えたり、季節によって街並みのデザインを描き分けたりしている。
また生き物のデザインを「落書き(コミカライズ)」によってSD化して、「リアルタッチなら死にかねないダメージの軽減」等を可能にすることも出来る。
但し「既にあるもの」の書き換え・修復は出来ても、「ないもの」を描く事は出来ないと思われる。
現実世界のサンフランシスコとの最も大きな違いは、街の南に巨大な桜(元々は地震対策のためワシントンDCから贈られたもの)があること。
- 風水街都香港
同名小説の舞台となった中国の都市。サラの故郷でもある。
本作では『風水街都香港』の事件でかつての都市部が壊滅しており、代わりに事件最後に整調化された「香港洞」をジオフロント「新香港洞」に改造。新香港洞に主要施設や観光地が集約される一方、一般避難民の多くは新界にバラック街を築いている。
- 大神祭(だいしんさい)
単行本には詳しい仕組みは書かれていないが、雑誌掲載の解説や『電詞都市DT』の設定を総合して平たく言うと「地脈が暴走して、内部にある神や運命の遺伝詞の具現化による様々な災害が起こる」ものである。
作中のS.Fでは地竜が目覚め地震が起こる「地竜型大神祭」が時折街を襲っており、その対策として各国から戦闘要員を送ってもらったり避難体制を厳重にしたりして対応している。
なおこの世界では神戸を「時震」(クロッククエイク)なる神祭が襲っていたりする(小説版『奏(騒)楽都市OSAKA』)。
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▷ コメント欄
- 都市シリーズの続き書いてくれねーかなー -- 名無しさん (2016-11-25 23:50:08)
- やっさんの絵の変化が凝縮された一冊。この後もどんどん変わるけどw -- 名無しさん (2016-11-26 00:11:22)
- ホント「お祭り」って感じだったな。TOKYOが文主体なのに対してこっちはイラスト主体だった -- 名無しさん (2016-11-27 18:42:53)
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*2 後半は『矛盾都市TOKYO』と並行連載された
*3 時系列的には香港クライマックスの後、エピローグの少し前にあたる。
*4 『矛盾都市TOKYO』組は省かれている。
*5 なので『風水街都香港』の事件は地元の友人達からの連絡で聞いている
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