登録日:2011/06/12(日) 18:06:11
更新日:2023/08/10 Thu 11:59:09NEW!
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回転式多銃身型機関銃(又は機関砲)のこと。1862年にアメリカの医者「リチャード・ジョーダン・ガトリング氏」が発明したため、この名がついた。
日本語では、銃と砲の区別が曖昧なので銃と呼ぼうが砲と呼ぼうが構わないが、響きや語呂がいいのは「砲」だろう。
「バルカン砲」と呼ぶ人もいるが、「バルカン」は「M61 20mmガトリング砲」の愛称なので間違えないように。バズーカ同様、発射方式や原理に由来する名前では無い。
またチェーンガンと呼ぶ人もいるがチェーンガンは単砲身で、チェーンを使った作動方式を採用した機関銃のことであり、ガトリング砲とはまったくの別物である。
間違えて「あれはね、バルカン砲だよ」なんて言うとA-10が襲来します。
機関銃の中にガトリング砲が含まれ、その種類のうちの一つがバルカン、ということ。
概要
複数の銃身(又は砲身、多くは3~6本)を束ねて外部の動力で回転させながら、弾薬の装填・発射・排莢を連続的に行うのが基本的な原理。
薬室も銃身と同じ数あるため、多数の銃を束ねたものとも言える。
南北戦争で北軍にも採用されており、西部劇や南北戦争を取り扱った映画などでは「定番アイテム」の一つでもある。
メリットとデメリット
利点
- 外部動力のため、不発が発生しても強制排莢して射撃が継続できジャムが少ない
- 銃身一本当たりの発射頻度が少なく寿命が長い(過熱やライフリングの摩耗による動作不良に強い)
- 並外れた連射速度
欠点
- 多砲身のため重い
- 小型の大砲並のサイズで軽便さに欠け、設置・操作には複数の兵士が必要
- 一定の速度で回さないと給弾不良を起こす
- 外部モーターを付けるとさらに重くなる
- 構造が複雑で整備性が悪い
- 始動から発射までに僅かながらタイムラグが生じる
- 弾薬の消費が激しい
威力
最初期のガトリング砲(手回し式)ですら人間をあっという間にミンチにする程度の能力がある。
アヴェンジャー様に至っては、一発掠っただけで人間を血煙にする。特性上大口径化しにくいが、小口径の火砲では最強クラスの破壊力を誇る。
どんなに鍛え挙げられた「鋼の筋肉」の持ち主でも
コーラ瓶をマッハ3で毎分3900発連射してくる鬼畜兵器」には勝てない。
勝てる御仁は「流派東方不敗」の伝承者ぐらいだろう
ガトリングの歴史
開発
銃が開発された頃から多数の銃身を並べて斉射(一斉射撃)するというアイディアはあり、ミトライェーズ砲などの多砲身斉射砲が存在していた。
当時のアメリカは軍事的後進国であり、歩兵は「密集して突撃してくる存在」と認識されていた。
そこでガトリング氏は斉射ではなく連射機能を持った銃器を発明する。
南北戦争当時はまだ前装式小銃が主流だったため毎分200発の連射速度は脅威であり、セールスマンが実戦に参加しながら宣伝(南軍を射撃)したとか。
日本でも戊辰戦争において長岡牧野家が太政官の越後口総督府軍に対し使用したという記録や宮古湾海戦で太政官海軍の甲鉄が箱館政府海軍に対して使用している記録が残っている。
映画「ラストサムライ」にも登場しますが、史実では、日本に三門あったうちの二門を長岡牧野家が所有。
この時、長岡城攻防戦で総督府軍に向けて発射した。
宮古湾海戦では、甲鉄に乗り込んだ箱館政府海軍を撃退するのに一役買っている。
フィーバーと衰退
アメリカ以外でも各国で改良型やバリエーションが作られ、拠点防衛に活躍したり、軍艦の側面に取り付けられたりとフィーバーしたのだが、その特性から野戦では使いづらく、歩兵銃の発展・高性能化により歩兵が「密集して突撃してくる存在」ではなくなり欠点が目立つようになる。
さらにブラウニング・マキシムらの発明した単銃身で軽量な機関銃の登場にシェアを奪われ、ほぼ廃れてしまう。
現在のガトリング砲
一度は衰退してしまったガトリング砲だが、1950年代に航空機用機関砲として復活。
航空機が高速化高機動化しても人間の反射神経は変わらず、毎分1200~1500発のリボルバーカノン(単銃身+回転薬室)では弾幕の密度が足りず、それを補おうと機関砲の多数搭載に頼ると重量増により機動性が低下してしまう。
大口径砲は火力があるものの弾速が遅く尚更命中率が低くなってしまう。
その為、博物館に眠っていた元祖ガトリング砲に電気モーターを取り付けたところ発射速度と絶大な破壊力が評価され、現在に至っている。
先述の利点は航空機にとってはうってつけであり、欠点も許容範囲内のものだったのだ。
戦闘機の他にAC-130ガンシップやヘリコプターの搭載機銃、艦船の近距離迎撃システム(CIWS)にも使用され、配備・運用する国自体は多数に上る。
しかし、現在に至っても先に述べた欠点が完全に克服された訳ではなく*1、アメリカとロシア以外はあまり積極的に開発していない。
航空機用でも欧州などはリボルバーカノンが未だに主流となっている。
フィクションでのガトリング砲
フィクションでは見た目の派手さも手伝い、小型のガトリング砲を一人で運用するツワモノもよく出てくる。
しかし本体と電源や弾薬(4000発でワンセット)で最低でも数十kgを超えるので現実ではそれこそパワードスーツ着用かサイボーグでもないと無理。多くの場合使い手のほうが人外か、それに類する設定を与えられている*2。
ロボットアニメでも「いかにも強そう」な見た目から人気が高い。
主に火力を重視した機体に採用され、身体能力の問題がないからか二丁ガトリングなども少なくない。この辺は大剣などと同じ。
余談ながら、古い作品だと公式でも「多連装」と「多銃身」を混同していると思われる例がよくあった。
ゲーム等ではおそらくはバランス調整のため、トリガーを引いてから発射されるまでにタイムラグがあるという欠点を持たされている事が多い。
トリガーを引くと銃身が1秒前後ほど空転し、それからやっと弾丸が発射されるというのである。
上述の通りガトリング砲はトリガーを引いてからから発砲されるまでにラグがあるのは事実であるが、
それは実際にはコンマ数秒程度であり、1秒以上も待たされることは現実にはない。
なお、異世界を舞台にしたファンタジーやSF作品でも、これに類する兵器が登場することがある。
そのこと自体は良いのだが、問題はそれが「ガトリング○○」というネーミングだった場合である。
語感の良さから好んで使われがちだが、冒頭部で述べた通り現実の発明者の名前が由来となっているため、冷静に考えればおかしなことになってしまう。
創作上、もし異世界にガトリングと名の付くモノを出したいなら、
「実は現代から何世紀も経過している未来の世界だから」「現実世界から異世界に持ち込まれた兵器だから」「その世界でもガトリング氏が発明したから」
「『日本語(我々の世界の言語)』で表記・表音した結果『ガトリング』と訳されただけに過ぎない」
……などのように、多少強引でもフォローできるような設定を敷いておけば多少は不自然さは緩和される。
尤もこれはガトリング砲に限らずエポニム全体に言える事である。
ガトリングに限っても毎回毎回律儀に「多銃身回転式機関砲」と呼称・表記するなど庵野秀明フォロワーでもなければやってられないし、テンポも悪くなる。
異世界モノ・人工言語の項目にもある通り、全く別の名前を付けてしまうのが一番自然であるが、
そうすると固有名詞が必要以上に増えてしまい受け手を混乱させる要因となる。
更に言えば「駄目」「打ち合わせ」といった今日では当たり前に使われている言葉一つ一つを取っても異世界に囲碁や雅楽が存在する必要が出て来るため、
余程目に余るレベルでもなければ「そういうもの」と無視してしまうのが良いだろう。
主な実在のガトリング砲
多分固有名詞としては一番有名なガトリング砲。詳細は個別項目へ。
「M134」はアメリカ陸軍の呼称で、空軍では「GAU-2B/A」、海軍では「GAU-17/A」と呼ばれる。
詳細は個別項目へ。
こちらは「一番カルト的に人気なガトリング砲」。
詳細は個別項目へ。
- GE GAU-12「イコライザー」
ハリアーやAC-130などに搭載されている、25mm5砲身のガトリング砲。
派生型としてF-35用に軽量化した「GAU-22/A」がある。
- GSh-6-30
ソ連版30mmガトリング砲。こちらは6砲身。型番を見た通りで非常に分かりやすい。
アヴェンジャーと比べれば多少スリムだがそれでもやはりデカくて重い。
搭載例はMiG-27など。
余談
- 現実で映画の真似をしたいのなら、CAW社のM134(電動ガン)を買うのも一つの手。資金(込み込み50万前後+すんごい弾代)と体力(全部で30kg位)が有り余ってる豪気な漢は、やってみてもいいかも。
- 電動ガンを所有している人をサバゲーで見かける事が稀にあるが、数ゲームで使わなくなる事が殆ど(主に体力的な問題で)。だが、持っていけば間違いなく注目の的。正しく運用できれば戦術的にも脅威的で、据え付けての弾幕は凄まじいものとなる。
- アメリカの場合、手回し式なら州によっては法的に規制される自動火器に区分されないので、.22LR弾を用いたミニチュアのガトリング砲も市販されている。電動ガンに飽きたらどうぞ。
- ギヨタンもガトリングも医者である。医者スゲェー!
追記修正は弾を撃ち尽くしてからお願いします。
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▷ コメント欄
- アニオタの皆さーん、会いたかったぜぇー。特にカシム、砂漠での借りは忘れねぇ -- 名無しさん (2014-04-14 12:26:36)
- 個人的に、これを装備してると重装備なイメージ。 -- 名無しさん (2014-07-31 21:09:14)
- いま電動ガンは50万弱でなけりゃ買えない。あと実は30kg -- 名無しさん (2014-07-31 21:18:02)
- ↑30万は原型になったトイテックの方だな。 -- 名無しさん (2014-07-31 21:21:02)
- 長岡市が「河井継之助記念館」に置いてあるのは、米国・コルト社製の6本の銃身がついた1865年型ガトリング砲。市の委託を受けた市内の郷土史愛好家団体「長岡ガトリング砲研究会」が、市の委託を受け、市内の企業の協力を得て半年がかりで製作した。主に鉄製で、全長2・1m、幅1・36m。6本ある銃身の口径は15㎜で、1分間に約200発の連射ができたという。移動用の車輪(直径1・1m)に取り付け、重さ約220㎏。既存の復元模型と異なり、より正確に当時国内にあったとみられるモデルを復元したという。 -- 名無しさん (2014-08-02 10:59:06)
- るろ剣でも個人が使ってた中では最強の武器だったか? -- 名無しさん (2014-08-02 11:06:33)
- ↑アームストロング砲があるぞい -- 名無しさん (2014-08-02 11:22:44)
- ドリルや電動ノコギリと並ぶ、電動式回転武器の代表 -- 名無しさん (2014-08-02 12:08:53)
- ガトリングとマシンガンの違いがよくわからん -- 名無しさん (2014-08-02 13:35:00)
- ↑たくさん弾をばらまく、というのは同じなんだが、そのやり方が違う感じと言えばいいのだろうか。というか、ガトリングもマシンガンと言えばマシンガンだし。マシンガン(機関銃)の中でも、銃身が複数あってギュンギュン回転するのがガトリングだと思っておけば問題ないと思う。普通の機関銃と比べればたぶんガトリングの方が威力の点だけ見れば強力だと思う。項目にもある通り、複数の銃身をローテーションして使うおかげで比較的たくさん撃てるからね。その分もっと重くて複雑になってるわけだが。 -- 名無しさん (2014-08-02 14:43:00)
- ゼノサーガのKOS-MOSが使うガトリングガンは3連装。しかも両手に1個ずつ持ってるし -- 名無しさん (2014-08-02 15:02:05)
- チェーンガンをバックからだしなよ -- 名無しさん (2014-08-02 15:17:51)
- ↑3 なるほど センクス -- 名無しさん (2014-08-04 10:23:55)
- サバゲー時、相手の陣地にミニガン持ってるのが三人居た時は泣きかけた。 -- 名無しさん (2014-09-16 23:13:11)
- 異世界系のフィクションでこいつの表記を見るたびに、ああ、この世界にもガトリングさんっていたのねwと思ってしまうw -- 名無しさん (2014-09-17 00:03:57)
- ↑2 旗のまん前にミニガン、横にミニミのダブルなら当たった事あるwww絶望するよなwww -- 名無しさん (2014-12-03 16:53:01)
- 初めて見たガトリングはサイボーグクロちゃんのやつだった。以来、ガトリングと聞くと真っ先に浮かぶのはあの空気砲に穴開けたみたいなフォルムだ -- 名無しさん (2016-02-05 23:12:37)
- るろ剣でのこれの攻略法は原作では単なる弾切れだったけど、アニメでは癋見の螺旋鋲が弾詰まりを起こしたからという事になってて、こっちの方が納得いくし泣ける演出だったなぁ… -- 名無しさん (2016-02-06 00:54:24)
- ギヨタンとギロチンは一緒やん… -- 名無しさん (2016-02-27 12:55:18)
- 初期のガトリングは給弾機構は無く単に箱に詰めた弾を下に落として発射しているので実際は延々発射出来る物では無かったり -- 名無しさん (2016-03-04 09:07:28)
- 今まで、バルカンとガトリングは別物だと思ってた…… こないで! A-10たん来ないでぇ!!(悲鳴 -- 名無しさん (2016-03-04 09:12:06)
- ↑F-35「よし俺が代わりに」25mm掃射 -- 名無しさん (2016-03-04 12:19:37)
- 映画プレデターで字幕ではミニガンて言ってるけど吹替えだとチェーンガンて言ってるんだよな -- 名無しさん (2016-05-03 23:35:45)
- ガトリング2丁は漢のロマン。異論は認めん -- 名無しさん (2016-05-03 23:53:48)
- ↑10とある作品では後付けだがガトリング砲の開発者(notガトリングさん)の出身地がガトリングって名前にされてたな。 -- 名無しさん (2017-04-14 16:17:01)
- ギロチンは処刑される人を「苦しまずに殺してあげるために(一瞬で首を断つ)」 ガトリング砲は「戦争に動員される人を減らし、負傷者を減らすために(小銃とは違い、一人でも多くの弾を撃てる)」…しかし製作者の願いからズレていった悲しい例。 -- 名無しさん (2017-04-14 18:06:48)
- ロボットアニメだと比較的弱めの武装になりがちなイメージ -- 名無しさん (2017-06-12 10:20:29)
- ゾイド世界だとみんな大好きガトリング -- 名無しさん (2018-04-16 13:29:38)
- ↑2 まあ火力重視の機体の主力武器に選ばれやすいけどそういう機体は武器の数ばかり多くて一番火力が高いのは主人公機の必殺技だから結果的にいいところなしの機体になるってパターンは多い。あと手持ちのマシンガンより小さなガトリングガンを腕とか肩に付けてる奴とか居るけどアレは完全にガトリング式にしてる意味無い -- 名無しさん (2018-04-16 16:11:59)
- ロボットものだとゲッターロボの機関銃は鬼のように強かったな…いつもは一対一でも苦戦するようなメカザウルスの群れを瞬殺したり、性能が遥かに上のゲッターGを蜂の巣にしたり -- 名無しさん (2018-04-26 19:00:39)
- るろうに剣心の武田観柳はあの見た目でものすごい力持ちだったんだな… -- 名無しさん (2018-04-26 22:06:19)
- ↑3 主武器は大物用に口径のデカい単砲身、副武装として小目標用の小型ガトリング、って組み合わせは現代の艦船や戦車の武装構成(艦砲+CIWSとか)と同じなんだが…全く意味ないってほどでもないんじゃ? -- 名無しさん (2018-04-27 19:39:01)
- バンゴウゴチガイマス -- 名無しさん (2019-05-09 18:02:21)
- ↑×4 初代ゲッターに登場したミサイルマシンガンは文字通りミサイルをマシンガンみたいに連射しててガトリングとロケットランチャーの良いとこ取りみたいな武器だったね -- 名無しさん (2022-05-28 19:29:22)
- サイボーグクロちゃんだとこれをメインウェポンかつ片手で撃てるからハイスペックな武装 -- 名無しさん (2022-05-29 14:09:08)
- あんまり言及されない観点だけど、見た目や機能に対して「音と字面が合ってる」のもジャパニーズオタクに人気の理由のひとつかなと。ガトリング。ガトガト連射できるし丸く並べた多銃身がリングリング回転する的な意味で…… -- 名無しさん (2022-05-29 14:47:25)
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*2 「バイオハザード」シリーズや「プレデター」などはそうした設定がない例
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