一般名詞化した商品名

ページ名:一般名詞化した商品名

登録日:2019/12/18 Wed 23:29:57
更新日:2024/05/16 Thu 10:13:36NEW!
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コメント欄ログ化項目 一般名詞化した商品名 固有名詞 商標 広がり過ぎた 商品名と思われない 一般名詞 普及



ここでは、普及しすぎてもはや一般名詞と化してしまった商品名を紹介する。


概要

元々は、特定の会社から発売された特定の商品名だったものが、あまりに人口に膾炙しすぎて一般名詞になってしまう場合がある。
普通の人からすると、そもそも商品名であることをほとんど認識していないケースが多く場合によっては辞書にすら掲載されることもある。


発売元の会社からすれば、基本的には名誉なことであるが、後述のシャチハタのようにあまり好ましい意味合いで使われないケースもあり、あまりに一般名詞化するのもよし悪しである。
権利というのは取得したらおしまいではなく維持する努力も求められるため、
取得した商標が「我が社独自のものである」と表明する努力を怠って一般名詞になった場合は商標権が取り消されたり権利の行使に制限が生じたりもするので、
それでも構わないとかそれどころではない状態でない限り企業は自社の商標が一般名詞化するのは避けようとするものである。


なお、NHKはこの手の商品名の扱いについて非常に敏感。
公共放送であるNHKは、特定の商品名だけを取り上げることを基本的に自粛しているため、一般名詞化していても放送内で使用することは滅多にない。
フィクション作品における実在の商品などの言い換え表現も参照。


正式名称が不明な商品も一部存在する。そうなると商標名以外で何と呼べばいいのかわからなくなる。この辺りは名前のわからないアレも参照。


代表的な一般名詞化した商品名


  • キャタピラー

一般名詞「無限軌道」 販売元「キャタピラー社」


ブルドーザーなどの重機や戦車によく付いているアレ。一般的には「キャタピラー」「キャタピラ」「カタピラ」などと言われるが、正式名は「無限軌道」である。
他にも、車両の種別としては「クローラー(クローラークレーンなど)」と呼ばれることが多い他、自衛隊では「履帯」と呼んでいる。
呼び名の種類が比較的多いが、「キャタピラー」自体はアメリカの「キャタピラー社」の登録商標である。
なお、「カタピラ」の呼称は日本国内の運転免許の特記事項にも使われる。


  • ユニック車

一般名詞「積載形トラッククレーン」 販売元「古川ユニック」


街中でもよく見かける、トラックにクレーンが付いた車両のこと。
日本で初めてこのクレーン装置を開発したのが古川ユニックで、「赤いクレーンのユニック」というキャッチコピーの通りクレーンが赤いのが特徴。
現在同種のトラックについてはタダノとシェアを分け合っており*1、売買の電話では「タダノのユニック…」なんて会話が出て来るのは日常茶飯事である。


  • バルカン砲

一般名詞「ガトリング砲」 販売元「ゼネラル・エレクトリック」


正確には、バルカン砲というのはガトリング砲の中でもゼネラル・エレクトリックが発売している「M61バルカン」というシリーズの兵器のみを指す固有名詞である。
しかし、特に日本では厳密な使い分けがほとんどされておらず、「多銃身・外部動力の機関銃」なら大抵は語呂がいいのか発射方式の一種と間違えているのかバルカン砲呼びである。
また「ガンダムシリーズ」では初代ガンダムをはじめとして様々なモビルスーツに装備されている。
顔や腕部に内蔵する小口径が「バルカン」、砲として独立している大口径が「ガトリング」という使い分けがされており、用途は対人、牽制用で威力が低いため「バルカン=弱い」というイメージを持つ人もいるのではないだろうか。


  • アフターバーナー
  • リヒート
  • オグメンター

一般名詞「オーグメンター」 開発元「GE」「ロールスロイス」「プラット&ホイットニー」


会社によって3パターンもあるという珍しい例。一番多く使われているのはアフターバーナーか。
ジェットエンジンの推力増強装置で、排気に燃料を吹き付ける事で再度燃焼させ、燃費の大幅悪化と引き換えに大きな推力を生み出す装置。
開発会社によって名前がコロコロ変わるが、少なくとも上2つはほぼ同じ意味である。
なお、「オーグメンター」の意味は「増幅装置」である。
余談だが、アフターバーナーに関しては同名のシューティングゲームも存在するのだが、今のところ問題になっていない。


  • ボウガン

一般名詞「クロスボウ」 販売元「ボウガン社」


「ボウガン」という名前は、ボウガン社から輸入されたクロスボウの固有名詞である。そのため、商標が使えない場面では「洋弓銃」と呼ばれることも多い。
+銃」というわかりやすい名前もあって、「ボウガン」というイメージはかなり強く、「モンスターハンターシリーズ」では、武器の種別の一つとして登場している。
が、どう見ても弓部分が仕事していないただの銃である、ロボアニメに登場するライフルっぽいのもあるし


  • ウォークマン

一般名詞「携帯音楽プレイヤー」 販売元「ソニー」


最近ではスマホで音楽を聴く人が増えたので、携帯音楽プレイヤーもあまり見なくなったが昔はこの手の持ち運び式音楽再生機は大抵「ウォークマン」と呼ばれていた。
もちろんこれはソニーの商品名であり、それだけウォークマンの印象が強かった、ということである。
2000年代にAppleの「iPod」が普及して以降、アナログカセットやCD・DAT・MDの音楽プレイヤーは廃れ*2、ソニー以外のHDDやフラッシュメモリ式の音楽プレイヤーが「ウォークマン」と呼ばれることは殆どなくなった。ただし「MP3プレイヤー」と今でもよく呼ばれている
今ではデジタルオーディオプレーヤーの略で「DAP」が一番多く使われている。ポーダブルの部分はどこに行ったと思われるが、そもそもポーダブルじゃないデジタルオーディオプレーヤー自体が絶滅危惧種なのでしゃーなし*3
そしてポーダブルのもスマートフォンの普及でほぼ死にかけている。ほんのごく一部に「中に高級アンプを組み込みました」的な商品が残っているぐらい。


一般名詞「リバーシ」 販売元「メガハウス(旧ツクダオリジナル)」


正確には、長谷川五郎と言う人がツクダオリジナルに持ち込んだゲームの名前が「オセロ」。これはシェイクスピアの歌劇に由来する。
「リバーシ」はオセロの原型になったとされる別のゲームの名前なのだが、ツクダオリジナル以外で同型のゲームを発売する場合は大抵はこの名前で呼ばれる。
なお、NHKでは「白と黒の石を取り合うゲーム」という何とも言い難い呼び方で呼ばれていた。それ囲碁じゃね? 囲碁は「陣地を囲いあうゲーム」だから違うよ


  • チャッカマン

一般名詞「不明」 販売元「東海」


筒の長いライターの一種。スイッチと点火口が離れているので、着火の際に手に火が当たらないのが利点。
大体どこの製品でもチャッカマン呼びされるが、本来は株式会社東海の登録商標である。
では一般名詞としては、というと実はこれといって正式名称がない商品である。まぁチャッカマンで通じるしね……。
一応「点火棒」というのが比較的多く使われているようだが、業界内ですら統一されておらず、かなり混乱が見られる。
ニュースなどでは単純に「ライター」と呼ばれることも多い。


  • ウォシュレット

一般名詞「温水洗浄便座」 販売元「TOTO」


「ウォッシュ+トイレット」を組み合わせたTOTOの登録商標である。業界シェア1位だからなのか、今でもよく言われる。
なお、業界シェア2位のLIXIL(旧INAX)は「シャワートイレ」という名称。


  • シャチハタ

一般名詞「浸透印」 販売元「シヤチハタ」


手軽に押せるスタンプ式印鑑の一般名詞と化しているが、実際には作っている会社の名前である(正確な会社名は「シヤチハタ」と書いて「シャチハタ」と読む)。
が、「シャチハタ」の名前が日常生活で出てくるのは大抵がシャチハタ不可という文脈なので、シヤチハタ社としては風評被害もいいところだろう。
一応シヤチハタ社としても、「銀行印や実印としては使わないでください」という前提の商品ではあるのだが、だとしても割と公的な文書からすら名指しで排除されるのはかなり不遇である。
逆から言えば「安価で同じ性能のものを大量に入手可能」であるとも言えるが。
まあシャチハタじゃなくとも、実印じゃなければ100円ショップでさっくり買えるわけだが。
公的物不可の真相は安価で同じ物が大量入手ではなく「印面がゴムなので印影が安定しない・インクなので色が落ちる可能性があるため」ということらしい。
元はと言えば朱肉・スタンプ台メーカーだったシヤチハタ社が「朱肉の要らない印鑑がいずれ作られる」という危機感から開発した商品なので露骨に相方の縄張りを荒らすわけにもいかないという事情もあったとか


  • QRコード

一般名詞「二次元コード」 販売元「デンソー」


最初に二次元コードを商品化したデンソーの商品名が一般名詞化しているが、QRコード自体は商品名で、正式には「二次元コード」と呼ばれる。
他の種類としては「SPコード」や「CPコード」もあるが、やはり一般には「QRコード」と呼ばれることが大多数だろう。


  • 弾丸ツアー

一般名詞「不明」 販売元「JTB」


意外過ぎる商品名。実はJTBが商標として登録しているため、他社はこの名前で旅行パックを販売することができない。
とはいえ、個人旅行でも0泊3日などの強行軍は大抵弾丸ツアーと呼ばれている。弾丸ツアーかどうかは多分に主観的要素を含むため、特に一般名詞のようなものはないと思われる。
一般名詞かどうかは微妙だが、他社では「弾丸トラベル」などの似たような名前で売られていることはある。


  • クラクション

一般名詞「ホーン」 開発元「クラクソン」


自動車のハンドルの中央に設置されている警笛といえば大抵の人は「クラクション」というが、
これはフランスのクラクソン社に由来する。
実際に自動車のマニュアルなどではホーンが用いられることが多い。


  • テトラポッド

一般名詞「消波ブロック」 販売元「不動テトラ」


海辺の沖にいい感じで置いてある4脚のトゲトゲしてるアレ。
釣りスポットだったり海水浴に来た少年少女の飛び込み台として設置してあるわけではなく、海岸線が波に侵食されないように設置してある。
英語でもtetrapodというのだが、日本においては不動テトラが商標を取得しているため、他社は利用できない名称である。
なので、組み合わさったトライアングルの様なものや、直方体が7個集まった様なものはテトラポッドとは呼ばない。


これが問題になったのが2000年のNHK紅白歌合戦
紅白に初出場したaikoの代表曲「ボーイフレンド」には、よりによって歌い出しに『テトラポット登って~』という歌詞があったのだ。
NHKには過去にも同様の理由で歌詞の言い換えを強いた例*4がありどうなるか注目されたが、結局変更されることなく放送。
歌詞が不動テトラの登録商標である「テトラポッド」ではなく、「テトラポッ」なので問題ないとされたのではないかと言われている。


なお消波ブロックに登った人間が落っこちて死亡するという事故は定期的に発生しているため、良い子の皆は登って遊んだり釣りをしたりしないように。せめてライフジャケットを着よう。
ちなみにテトラポッドの隙間に落ちた場合、ライフジャケットですら無駄になる乱流が発生しているので諦めるしか無い模様…。



  • マジックテープ

一般名詞「面ファスナー」 販売元「クラレ」

支払いは任せろー      ∧_∧      (゚ω゚ ) バリバリC□ lヽlヽ      /  (   )      (ノ ̄と  |         しーJ      やめて!

日本ではどうにも低年齢向けの靴や財布に使われるイメージが強いためか、デートの際の支払いにコレが付いた財布がポケットから出てくると、
「私女だけど彼氏の財布がマジックテープ式だった 死にたい。。」と恥ずかしがられてしまうので注意しよう。


明らかに低年齢向けのデザインなのは別にして、実際にはブランドモノの財布にも使われていたり、
「あの音が良いんだ」ということで、大人向けのファッションにもわざわざマジックテープが採用されていたりもする。
他には軍服のワッペンや、無重力の宇宙開発での様々な器具の固定、特撮のスーツなど活躍の場は幅広い。


上記のように「マジックテープ」や「バリバリ」でも通じるほか、「ベルクロ」も割と多い呼び方。*5
最近では「フワフワ」と「チクチク」の面の区別がないタイプや、キノコ型の突起が噛み合って結合するタイプもある。


  • サイリスタ/SCR

一般名詞「サイリスタ」(RCA)または「シリコン制御整流子(SCR)」(ゼネラル・エレクトリック) 販売元「RCA」または「ゼネラル・エレクトリック」


電車の制御装置や整流回路、或いは溶接機などでおなじみの電力用の半導体素子。
回路記号で使われることのある「SCR」という表記は、実はゼネラル・エレクトリックの商標である。
また「サイリスタ」の方は、RCA(TVのコンポジット端子とかを開発した企業)が、「真空管のサイラトロンに似た働きをするトランジスタ」という意味合いで作った言葉であるが、
後に国際電気標準会議によりこちらのサイリスタの方が正式な名称となった模様。


  • ベークライト

一般名「フェノール樹脂」 販売元「ゼネラルベークライト」または「住友ベークライト」


人類最初の熱硬化性樹脂。アメリカのベークランド博士が実用化し、自身の名前をとって「ベークライト」という商品名で販売したのが広まってフェノール樹脂全般をベークライトと呼ぶようになった。その商標権は幾つかの企業の手を渡りながら今も残っており、日本国内では住友ベークライトが権利を保持している。
アニメ等でプラスチックの類を指して「ベークライト」と呼ばせて特別な素材であるかのように見せかけることも稀にある。
%%やけにこの素材に信頼を置いている某特務機関とか%%


  • ヘロイン

一般名「ジアモルヒネ」 販売元「バイエル」


麻薬と言えば真っ先に思い浮かべるであろう薬物、レクイエム・フォー・ドリーム
ケシから採れる茶色い樹脂 (アルカロイド樹脂) をごにょごにょすることで作ることが可能で、純粋なそれの見た目は白い粉である。
摂取方法は静脈注射などが一般的だが、炙り*6やスニッフ*7でも摂取が可能。


ちなみにケシの別名はポピーで、日本でもそこら辺に自生している。
「日本でもヘロイン作れんの!?」と思った人には残念だが、作ることができるのは一部の種類だけなので作ることは不可能。
麻薬及び向精神薬取締法で規制されてるからやめようね


  • ホバークラフト

一般名詞「空気浮揚艇」「エアクッション艇」 販売元「ブリティッシュ・ホバークラフト」


空気圧で水面から浮上し高速走行を行う船。
一般名詞としては上記の通り空気浮揚艇、エアクッション艇という名前があるのだが、「ホバークラフト」と呼ばれることのほうが多い。
現実だけでなく「ディディーコングレーシング」などのゲーム内ですら。


ちなみに日本では「ホバークラフト」とも呼ばれる事があるが、こちらは三井造船の商標である。ややこしい…と言いたいところだが、実は三井造船はブリティッシュ・ホバークラフト社からライセンスを得ており、これ故イギリスの発音に近い「ホーバークラフト」と呼称しているというのが実態である。


  • バンドエイド

一般名詞「布(ガーゼ)付絆創膏」「救急絆創膏」 販売元「ジョンソン・エンド・ジョンソン」


軽い傷の手当にお馴染みのアレ。
「絆創膏」は傷口などを覆う道具全般を指し、救急箱常連のあれはその一種。
実際には「バンドエイド」等の商品名で呼ばれたり、「絆創膏」でまずこれを思い浮かべてしまう人が多いだろう。


  • セロテープ

一般名詞「セロファン(製粘着)テープ」 販売元「ニチバン株式会社」


え、略称じゃないのこれ?と思った方も多いことだろう。なにせ出願当時の特許庁もそう考えて拒絶したのだから。
不服申し立てや裁判を経て、やっとこさ商標権を認められたため、「セロテープ」の商品名は使えるのはニチバンだけ。


とはいっても日常では他社製品も纏めて「セロテープ」「テープ」と呼ばれることが殆ど。


  • ガチャ

一般名詞「カプセルトイ自販機」 販売元「タカラトミーアーツ」


「商品を直接買うが、買って開けるまで何が出て来るかわからないもの」の代名詞。
同種の自販機としてバンダイは「ガチャガチャ」「ガシャポン」「ガチャポン」の商標を保有している。両社とも対象は玩具や器具のみ。


近年はソーシャルゲームでの使用例が一般化されているため、実生活ではバンダイの商品名で呼ぶことの方が多いだろうか。
商標権を気にする場面では「カプセルトイ」を用いることが一般的。


  • 宅急便

一般名詞「宅配便」


個人同士の荷物の送り送られから昨今では通販の需要増加によって全く利用しないという家庭はなくなったのではないかとも言われる運送会社による宅配サービス。
中でも「宅急便」という言い方は広く使われているが、これはヤマト運輸の宅配便サービスの名称であり商標登録もされている。
厳密に言えば「佐川(もしくは郵政などの他社)から宅急便が届く」という言い方は誤用であるのだが、個人間ではそこまでツッコむ細かい人はいないだろう。
ただし、映画魔女の宅急便の映画化の際には商標登録の件もあり当初ヤマト運輸側が難色を示したものの、社のイメージキャラでもある黒猫がメインキャラとして登場することもあり最終的には正式にスポンサー契約を締結するに至った。


商標権が切れているため他社も使用できる商品名

  • ホッチキス

一般名詞「ステープラー」 販売元「伊藤喜商店」


日本国内での「ホッチキス」という名称は、伊藤喜商店が所有しているため、他社の場合はステープラーという名前になる……とされていた
実際NHKではある時期までは「ステープラー」と呼んでいる。
しかし、実際には伊藤喜商店にそのような商標が存在していた痕跡すらない(失効したなどではなく最初から見当たらない)ことがわかり、
最近ではNHKでもホッチキス呼びを解禁している。
なお、「ホッチキス」の由来は、かつて日本が輸入していたステープラーを開発製造していたE.H.Hotchkissオチキス*8である。
フランス語では頭文字のHは発音しないため、Hotchkissは「オチキス」と読むのだ。


  • カッターシャツ

一般名詞「ワイシャツ」 販売元「ミズノ」


この「カッター」は刃物のカッターとは何一つ関係なく、ボートのカッター競技に由来する。
商品としてワイシャツとカッターシャツに違いは特にないが、ミズノが大阪の会社であるため主に西日本圏ではカッターシャツと呼ばれることが多いようである。
現在は商標が残っていないのでミズノ以外の会社も普通に使える。


  • チャック、ジッパー

一般名詞「ファスナー/線ファスナー」開発者「ウィットコム・L・ジャドソン/ギデオン・サンドバッグ」


ズボンやカバンのジーーッとやって口を閉じる金属製のアレ。お姫様はおくちにチャック、イタリアのギャングは閉じろジッパーッ! と言ったりするが、正式名称はファスナー。
じゃあなんで名称が違うの? というとちょっとややこしい歴史がある。
ウィットコムによって当初開発されたファスナーは現在我々が利用しているファスナーとはちょっと構造が違い、ジーーッとやるとホックをパチパチ留めてくれるようなものだった。その時に名付けられたのがクラスプ・ファスナー。
そしてそれを改良したのがギデオンであり、布をzipzipと留めてくれるもの、つまりジッパーである。
そしてそれを日本で製造していたチャック・ファスナー社が名付けたのが、チャック。由来はchuckではなく巾着なので、全くの日本語である。
現在日本では、いずれの名称も商標登録されていない。


日本では何故か特定箇所のチャックに限り社会の窓と呼ばれたりする。


  • 魔法瓶

一般名詞 不明*9 販売元「日本電球」


真空断熱によって内部の温度を一定に保つ容器。元々はドイツで発明されたもので、発明された当時は「サーモス」という商品名だった。
国産第一号を発明したのは1911年に大阪の日本電球に在籍していた発明家の八木亭二郎氏で、電球の真空技術を応用して開発した。
その際、商標登録をしなかったため他社からも同じ名前で販売された。
現在では、JIS規格など公的なものにも使われるなど他の言葉に置き換えできない一般名詞となっている。
なお、大阪では今でもタイガーや象印などの魔法瓶のメーカーは多い。


  • エスカレーター

一般名詞「階段式自動昇降機」 販売元「オーチス・エレベーター」
1900年、アメリカの発明家チャールズ・シーバーガーが考案した機械。
自動的に上または下へ動き続ける階段で、乗っているだけで階を移動することができる。
1950年に同業他社との間で商標権争いが起きたが、「あまりに長く一般名詞として使われ過ぎた」という理由から、オーチス社が敗訴。
商標権を手放すに至った。


  • ガリアンソード

一般名詞「蛇腹剣」元ネタ「機甲界ガリアン
もともと蛇腹剣はフィクションの武器だが、機甲界ガリアンの主人公機ガリアンが持っていた武器が元祖なので、他作品でもそのまま「ガリアンソード」と呼称することがある。
(商品名かは微妙だが、ガリアンはプラモなども出ているので一応こちらに記載する)



厳密には商品名でないもの

商品名ではないので、NHKも遠慮なく呼ぶことができるモノ。


  • バズーカ砲

一般名詞「ロケットランチャー」元ネタ「米軍60mmロケットランチャー」


「ロケットランチャー」とは、自力でロケット噴射してやな感じ~!と飛んでいくタイプの弾「ロケット弾」を発射できる携帯型武器のこと。
そして「バズーカ」とは、元々コメディアンのボブ・バーンズの使っていた巨大なラッパのような楽器の名前であった。
第2次大戦で米軍が使用した60mmロケットランチャーがこの楽器に似ていた事から、米兵が愛称としてこれを「バズーカ」と呼び始める。
この「バズーカ」があまりに普及しすぎてしまい、現在ではロケットランチャー全般のみならず、「携帯できる大砲っぽい武器」全般が「バズーカ」と呼ばれている。
ガンダムシリーズなどロボット物の創作物での人型兵器用携行火器としてよく登場し、スーパー戦隊シリーズの合体武器などにも「○○バズーカ」が頻出する。


  • ビュート

一般名詞「鞭、ウィップ
元ネタ「レッドビュート」


ゲーム等には時々「○○ビュート」というムチ系の武器が登場する。(例:FFシリーズの「ファイアビュート」、ドラクエシリーズの「カルベロビュート」)
これを見て「なるほど、ムチを英語でビュートと呼ぶんだな!」と思った子供達は少なくないだろうが、そんな単語は英和辞書のどこにも載っていない。ムチはwhipウィップである。
この「ビュート」の元祖は、スーパー戦隊シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』でアカレンジャーが所持するムチ「レッドビュート」。
名前の由来は、ムチが「ビューっと風を切る」から。まるっきり日本語である。
これが「レッド=赤」なんだから「ビュート=鞭」なんだろうと誤解され、色々な所に採用されて現在に至る。


  • コング

一般名詞「ゴリラ
元ネタ「キングコング


日本ではコング=ゴリラの英名or学名という認識が定着してしまっているが、そのような英単語は存在しない。
元ネタは1933年に公開された映画『キングコング』であり、「コング」とは本映画に登場する巨大類人猿の固有名である
日本で誤解を広めた最大の要因は恐らく『ドンキーコング』であり、実際『キングコング』の製作元であるユニバーサル・シティ・スタジオが任天堂に対し訴訟を起こしたこともあるが、最終的には商標権は認められずに敗訴している。(詳しい顛末は「ユニバーサル・シティ・スタジオ対任天堂裁判」で検索のこと)
今となっては『ドンキーコング』シリーズにとどまらず、ゴリラの別名として一般名詞として定着している。(ドラクエシリーズの「コング」、ゾイドの「アイアンコング」等)




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*1 こちらのクレーンの色は青または紫である。
*2 アナログカセットは2010年代後半に再注目され、一部のアーティストがこれで新曲をリリースしている。
*3 パソコンとUSB接続のアンプでほぼ代用可能。
*4 山口百恵の「プレイバックpart2」の『ポルシェ』→『クルマ』など。
*5 ベルクロはアメリカでの商標。
*6 加熱して出てきた煙を吸い込む方法。
*7 粉を鼻から吸いこむ方法。
*8 フランスの軍事企業オチキス社とは無関係。
*9 初めて日本に輸入された当時の新聞記事には「寒暖壜」という名称で紹介されている。

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