登録日:2014/03/20 (木) 04:58:30
更新日:2023/12/14 Thu 11:10:07NEW!
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魔獣め!このキハーノ様が成敗してくれる!!
「キハーノ」とは、テレビアニメ版『星のカービィ』第54話「やりすぎの騎士!キハーノ」に登場するゲストキャラクターのことである。
概要
自らを「遍歴の騎士」と名乗る、一頭身の老騎士。
鎧(厳密には兜と一体化したデザイン)を身にまとい、槍を携えて宇宙船で旅をしている。
素顔はヒゲをたくわえたご老人で、弱きを守り悪をくじくという立派な信念のもと戦う。
……信念だけなら立派だったのだが……
「成敗成敗成敗、成敗~~~ッ!!警戒警報発令!空襲警報発令!総員シェルターに避難せよぉ~~ッ!!」
その実態は支離滅裂な言動を口走り、たびたび興奮したかのように奇行を繰り返す暴走老人。
騎士を名乗ってはいるが、まず外見については疑問符がつく。
鎧の羽根飾りがみすぼらしいのはまだ良いとしても、武器の槍は先端がみっともなくひしゃげており、靴に至ってはそれらしいブーツでも何でもないただのスニーカー。
同じ騎士であるメタナイト卿、ソードナイト&ブレイドナイトと比べてもその格差は一目瞭然である。
劇中での問題行動は数多く、カービィ達とのファーストコンタクトからしてカービィはともかく他二人(フームとブン)はどう見ても人なのに魔獣と勘違いし、ためらいなく子供相手に暴力を振るうというはた迷惑ぶり。
プププランドでの言動・行動の殆どが正気を疑われるものばかりであり、中には騎士の風上にも置けない行為さえしでかしている。
- 上記のファーストコンタクトにて魔獣ではないと釈明されても、謝罪するフリして不意打ち
- カービィを追い立てる途中で川に落ちても溺れたフリして更に不意打ち
- 無関係のデデデ大王達を車ごと崖下に落とす
- 飯を食わせてくれたコックカワサキを国王陛下と呼ぶ
- ブンの吹聴にあっさり騙されてさっき崖から落としたデデデ達を魔獣と思い込み襲撃
- ププビレッジの村人を難民呼ばわりしながら演説*1
- メーベルをかつて自分が守護したライヤ王女と勘違い
- ↑を見かねて止めに入ったサモを無礼者と見なしてボコボコにする
……これのどこが騎士なんだ???
遍歴の騎士を名乗る割には名が知られておらず、村の誰もがキハーノの事を知らないなど、はっきり言って知名度は皆無。
元星の戦士の経歴を持つメタナイト卿も、彼のことを知らない上に「変な老人」と切り捨て、むしろさっさと帰ってもらった方が安全との理由で宇宙船修理に向かうぐらいには煙たがった。
キハーノも星の戦士について一切の知識が無く、少なくとも銀河戦士団とは全く無関係なようである。
極めつけに、肝心の実力はとんだ素人レベル。
メタナイト卿が腕試しのために差し向けたソードナイト、ブレイドナイトとの戦いでもまとな武術を知らない様子で、やった事といえばしっちゃかめっちゃかに槍を振り回すだけ。
これには二人も途中で「あ、こいつ強くないな」とでも言わんばかりに顔を見合わせ、相手が興奮して周りを見てないうちに退散する程だった。
(そして何も知らないキハーノは自分が勝ったと思い込み、勝手に一人で勝ち誇っていた)
その他にも生活能力が無く、不時着した宇宙船*2の中はゴミ溜めと化しているなど私生活もだらしない。
どこをどう切り取っても擁護しようがない変人の一方、ライヤ王女に関する記憶はやけに事細か。
自分とライヤ王女の関係をはじめ、途中でやむなく別れたこと……過去を堂々と語る様は単にもうろくしているだけとは思えない。
メーベルに対する接し方も従者らしく忠誠心がみられ、これまでの奇行を除けば確かに騎士の振る舞いを多少感じられる。
果たして遍歴の騎士の真実とは……?
騎士の正体
あいつマンガの読みすぎで、頭が茹で上がったぞい?
傑作ぞい!!
実はキハーノとは本来、フィクションの登場人物そのもの。
彼の物語は確かに、漫画のシリーズやアニメとして存在はした。だがそれはプププランドで迷惑千万を働いた方の彼をモデルにした、という意味ではない。
その漫画を愛読していた「キハーノを名乗る」老人こそが彼をモデルにし、コスプレで自分を騎士キハーノと思い込んでいただけなのだ。
故にこの老人、本当の名前はキハーノじゃないということになり正式名が不明なゲストキャラでもあったりする。
(他に正式名の分からないキャラクターは一部の魔獣しかいない)
フィクションと現実の二人を比較すると、前者の身なりは靴や羽根飾り、そして槍もずっと整っていることがわかる。
(ただし劇中劇のキハーノは風車型の敵に蹴散らされて負けるなど、ちょっと情けないところもある)
当然、メーベルの正体もライヤ王女ではなく、ライヤ王女もまた物語中の登場人物に過ぎない。
カワサキを国王と勘違いしたのも物語に影響されてのことだろう。
とはいえ、自分をキハーノと思い込んだ結果、老人とは思えぬほど活発に動けたこともまた事実。
即ち老人は、自分が物語の主役という夢を見続けることで、生きる活力を得たのである。
だからこそ妄想に閉じこもっているだけの老人という現実を突きつけることは、この老人にとって何より耐え難いであろう苦痛なのだが、カービィ達よりも先にキハーノの真実を知ったデデデは勿論、何もしない筈がなかった。
復讐のために差し向けられた風車型魔獣「カザグルー」の襲撃を受けた老人は、魔獣の鏡によって現実の哀れな老いぼれの姿を見せつけられたショックと傷が重なり、命の危機に瀕してしまう……。
既に言うまでもなく、キハーノの元ネタはスペインの有名小説『ドン・キホーテ』である。
まず、「マンガの読みすぎで自分をフィクションの登場人物だと思い込んでいる」設定は、
原作のドン・キホーテが愛読する騎士道物語の読みすぎで、現実と物語の区別がつかなくなった部分をなぞったもの。
サンチョに該当するキャラがいなかったことを除けば、騎士道精神云々で暴れまわる所もそっくりである。
(それにつけてもドン・キホーテ以上に野蛮な一面が目立つが。原作は意外と理性的な面もある)
恐らくキハーノも、彼同様に正気を失っていたのかも知れない。
他にもドン・キホーテ原作から引っ張ってきたであろうネタはいくつか存在する。
- キハーノ……ドン・キホーテの本名はアロンソ・キハーノ。
- カワサキ国王陛下……宿屋の亭主を城主だと思い込む
- ライヤ王女……思い「姫」というポジションと空想の存在である点が原作のドゥルネシーアと共通?
- 風車……巨人と勘違いして突撃。こっちの魔獣が風車そのものである由来は巨人を意識した可能性あり
- カザグルーの鏡……故郷の学士が扮した「鏡の騎士」から?
- あるいはこの戦いでカービィの初獲得したミラー能力が、鏡の騎士のポジションにあるとも考えられる。
このように本当は妄想に浸っていただけの老人なのだが、意外なことに振り回された一人のメーベルは真実を知っても尚、そんな生き方もまた良しとしている。
否定するのではなく「例えアニメでも漫画でも、正しいことは正しいでしょ!!」と力強く肯定する彼女の発言は、同じくフィクション作品に触れて育ってきた我々にどこか刺さるものがある。
そして、メーベルの姿勢が最後に老人、否、キハーノの心を救うことにも繋がった。
ドン・キホーテは最後の決闘に負けると生きて故郷に帰り、穏やかに息を引き取ったが、異国の地でキハーノが最後に選んだ生き方とは……。
余談
- 他作品の話ではあるが、キハーノ役を演じた島田敏氏は同時期に『ONE PIECE』で奇しくもカービィと同じような能力を持つ敵・ブリキのワポルとして出演しており、この回が放送された2日後にはあのDr.ヒルルクがアニメに初登場した。
- キハーノからは特別な存在として扱われたメーベルだが、次回予告では「このププビレッジにはカービィみたいな訳の分からないのが年中やってくる」と前置きした上でキハーノを「頭の湯立った爺さん」呼ばわりするというかなり辛辣な発言に及んでいた。
- その一方で「でもね、女心ってピュアなものに弱くって……」ともこぼしており、王女扱いしてくれるキハーノのひたむきな押しの強さは満更でもなかった様子。
追記・修正は現実とフィクションの線引きができている方にお願いします。
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▷ コメント欄
- メーベルかっけえ -- 名無しさん (2014-03-20 13:15:11)
- うるせえ妄想が正しくねえなんて誰が決めたボケってオチは、子供ながら見ててもやもやするようなそれでいて痛快なような不思議な気分だった -- 名無しさん (2014-03-21 10:52:02)
- メーベルは占い師と言うより実質村のカウンセラーだから、キハーノの思いをしっかりと理解することが出来たのかもしれないな -- 名無しさん (2014-03-21 15:01:51)
- 「アニメや漫画を見続けるとキチガイになるよ」→「うるせえ、生きる支えになってるんならそれでいい」この発想はなかった。 -- 名無しさん (2014-04-04 20:09:30)
- ちなみにキハーノの中の人は島田敏さん、つまりカワサキとのやりとりはまんまZガ○ダム -- 名無しさん (2014-04-10 18:16:58)
- ゲストキャラの声は大抵カワサキ役の飛田展男さんが兼任してる中で数少ない専用声優がいたキャラだったね -- 名無しさん (2014-05-20 17:52:16)
- やっぱりドンキホーテだったかw -- 名無しさん (2014-05-25 17:34:45)
- この話、デデデが正しいのかメタナイト&メーベルが正しいのか…www -- ルウィーの女神・ブラン (2014-05-25 18:43:36)
- ↑両方正しい。デデデがやった事は悪意から来てるけど、一度本当の自分を自覚したしその後メーベルに叱咤されて「それでもやっぱり」と騎士に戻る過程は本当に大切な経験だと思うよ。再登場しなかったからアレからどう変われたかはわかんないけど -- 名無しさん (2014-05-30 21:47:22)
- 俺も二次元に -- 名無しさん (2014-06-19 22:20:22)
- ↑途中送信してしまった・・・ 俺も二次元に入りびたりすぎるとこうなるのかな・・・気をつけよう・・・ って思ったなあこの話 -- 名無しさん (2014-06-19 22:22:14)
- ↑は人の話聞かないタイプ -- 名無しさん (2014-07-21 22:44:45)
- 関係ないが魔獣カザグルーは個人的に好きなデザイン -- 名無しさん (2014-07-30 11:59:15)
- よくもこんなキチ○イキャラを! -- 名無しさん (2014-08-22 15:34:28)
- 母星を追われ、王女と別れて宇宙を漂ってきたって話だけならカービィの設定にはあってるけど、ブンが完全にイカレてるって判断したのはそれまでの行動がめちゃくちゃだったから -- 名無しさん (2014-10-01 00:38:38)
- 客観視するところを主観的になるのは確かに問題かもな。逆にいえば酒のように意図して我を忘れる手段はいくらでもあるわけで、それが消毒や治癒に利用されるなら誰もが本望だろう -- 名無しさん (2014-10-05 23:47:20)
- アニカビのエピソードは深良い話が多いよなぁ -- 名無しさん (2014-11-04 01:04:15)
- さすがに朝っぱらから亡くなったまま終わる落ちなんてのもな -- 名無しさん (2015-03-02 21:35:23)
- おならをバスターの弾にする、箱を右腕に吸って撃つなどして戦う特殊なロックマン。これが、僕の鬱の特効薬、かな? -- オックセンマン (2015-07-04 17:54:49)
- もし妄想の世界に引き戻さずに目覚めたとしても生きる気力がないからプププビレッジで廃人みたいに過ごしてただろう -- 名無しさん (2015-10-12 12:22:21)
- MEBR姉貴の迫真の演技ほんとすこ -- 名無しさん (2015-10-29 19:15:10)
- このエピソード見たことあるんだけど声優までは覚えてなくて…でも何となく島田敏さんの声で台詞を脳内再生してたらまさかのCV島田敏さんだったw -- 名無しさん (2016-01-28 22:02:32)
- みなもと太郎が書いた -- 名無しさん (2018-07-31 14:29:32)
- ↑続き ドンキホーテも一度は目を覚まして衰弱するが、姫の言葉で最後の輝きを取り戻した。 -- 名無しさん (2018-07-31 14:33:14)
- デデデもあやうく殺人やりそうだったが、現実を見せたこと自体は悪いことではないからなあ -- 名無しさん (2019-06-02 16:17:53)
- ワポルとカービィの夢の共演 -- 名無しさん (2020-07-14 17:14:47)
- 現実を見ろ!に対しての「幻想がその人の生きる力になるなら幻想でもいいじゃないか!」という感じか -- 名無しさん (2022-04-08 16:28:06)
- ドンキホーテ(元ネタ)vsドンキホーテ(ペンギン)が見られるとは… -- 名無しさん (2022-04-12 22:13:22)
- ↑4 これまで散々魔獣送り込んでる癖に殺人云々とか今更... -- 名無しさん (2022-08-24 23:02:53)
- 話の流れを変えるほどハッキリ言うメーベルが良い。たとえ妄想でも空想でも、生きる力になってるのはとても良いことよ····まあ、線引きできずに迷惑行為は勘弁してほしいが -- 名無しさん (2023-05-25 02:55:51)
- 著作権保護のための対応のための編集を行い、「やりすぎの騎士!キハーノ(星のカービィ)」→「キハーノ(星のカービィ)」に項目名を変更しました。 -- frzn6879 (2023-08-24 22:27:22)
#comment
*2 ちなみにこの宇宙船は谷のシーソーのような岩に落ちたため、フームのアイデアにより「テコの原理で反対側に大岩を落として跳ね上げる」というギャグみたいな救出方法が実行された。そうはならんやろ……
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