高校入試(ドラマ)

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登録日:2014/2/19(日) 19:57:49
更新日:2023/12/14 Thu 10:55:28NEW!
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「だからね、高校入試なんて、ぶっつぶしてやる。」



2012年10月~12月までフジテレビで放送された深夜ドラマ。
地元ではちょっと名の知れている県立の進学校を舞台に、入試を妨害するために起こる出来事を描いた学園ミステリー。
入試日とその前日に起こった、試験を阻止するための様々な出来事を同校の教師達や3人の受験生の視点で描き、その真犯人や目的を明らかにしながら、
現在の高校入試制度に一石を投じようとする意欲的な物語である。
脚本は「告白」「白ゆき姫殺人事件」で一躍有名となった
「読むと嫌な気持ちになるミステリー・通称【嫌ミス】」の作家として知られる湊かなえが全話担当した。


放送と連動して、フジテレビのSNS「イマつぶ」を利用し、掲示板のカキコミがリアルタイムで再現されるという、ネットと連動した演出も行われた。


2013年6月に角川書店からドラマのシナリオを基にした小説版が発売されているが、こちらはドラマ版と異なるラストとなっている。


主題歌は日本のロックバンドback numberの楽曲「青い春」。
ドラマ全話を見ると、歌詞の内容の意味が分かるという曲となっている。


あらすじ


県立高校「橘第一高等学校」通称・一高。学区内で一番の進学校として名高い、県内一の進学校である。
その高校に勤務している新人教師の春山杏子は、初めての入試を前日に控えていた。
入試目前の校内で杏子は、一高に勤務している教師達から一高伝説となっている「粗大ごみ置き場事件」や、
一高を卒業した人間が学区内でどれだけの価値があるのかを教えられる。
そのことに対して違和感を拭えなかった杏子であったが、入試の日は刻々と迫っていた。
入試前日、杏子が他の教師達と共に入試準備をしてる途中、入試担当の教師の一人である坂本多恵子が、試験会場となる教室に貼られた張り紙を見つける。
張り紙には筆で書いた文字でこう書かれてあった。


入試をぶっ潰せ!


この出来事を引き金に、教師の携帯電話の盗難、入試当日には受験生が隠し持っていた携帯電話の音が鳴り、
その後も答案用紙の紛失、試験中の試験問題が2ちゃんねるの掲示板で実況されて漏洩してしまうなどのほか、
それらの掲示板への投稿などに加えて、親や教え子の不審・情動的な行動も交え、教師達自身も不審な行動をとるなど、
関係教師が困惑する出来事が次々に起きてしまう。
果たして「入試をぶっ潰そう」としている犯人はだれなのか? そしてその目的とは…?


【登場人物】

  • 春山杏子(28歳)

演.長澤まさみ
このドラマの主人公。英語担当の新人教師。
高校まで海外で過ごした帰国子女。業界でも大手と言われる旅行会社「大洋ツーリスト」で高校の修学旅行を担当していたが、
その仕事をする中で自分が帰国子女であることから日本の学校制度を全然知らないことに気付き、
日本の学校についてより深く知りたいと思い、学校教育に携わる仕事に就きたいと思い教員採用試験を受け一発合格し、高校教師になった。
仕事をそつなくこなす姿勢から周りの教師に信頼され、教師1年目で2年B組の担任を任されている。
その勤務先の高校で、入試を巡った騒動に巻き込まれてしまう。


  • 滝本みどり(25歳)

演.南沢奈央
音楽担当の教師で菫ヶ丘女子高出身。同僚教師の相田と交際しており、「入手困難な旅行チケットを手配して欲しい」と杏子に依頼する。
杏子が分からない校内の事柄について快く相談に乗っている。 職員室のパソコンでふと思って検索をかけた際に、この事件を取り上げたネット掲示板の存在を見つける。


  • 相田清孝(28歳)

演.中尾明慶
体育担当の教師で一高出身。生徒指導部。掃除にうるさいことから生徒の間では掃除大臣と呼ばれる。
音楽教師の滝本と交際しているのに、2年B組の生徒である石川衣里奈とある出来事から交際関係に発展してしまう。生徒指導部なのにそれやっちゃダメだろ…。
校内に潜伏していた衣里奈を発見するが、自身との関係をバラされそうになってしまい、彼女を匿うことにする。


  • 小西俊也(33歳)

演.徳山秀典
英語担当の教師で清煌学院高校出身。新人である杏子の指導担当も受け持つ。
「入試をぶっつぶす!」という張り紙や、坂本の携帯が2年B組の黒板の上に放置されていた件に関し、事件に発展した場合は校長が責任を取ってくれるのかと追及したが上手くはぐらかされてしまう。一高の教師のメンバーの中では最も冷静な立場を取っていて、一連の問題については答えを出すのを急がず慎重にすべきだと考える傍観者サイドの人物。何気に杏子に気がある様子。


  • 村井祐志(25歳)

演.篠田光亮
数学担当の常勤講師。県立橘第三高校出身。校長から契約更新の打診がないことを不安に思っている。
作中終盤では入試の日なのに、受験生のことを考えずに己の保身しか考えていない一部の教師や、痴話喧嘩でもめている相田と滝本に怒りを爆発させ、自分の過去を吐露する。


  • 宮下輝明(43歳)

演.小松利昌
美術担当の教師。一高出身。
新任で分からないことが多い杏子を気にかけていて、職員室で隣の席に座っていることもあって何かと助言している。何気に奥さん持ち。
水野とは同期の間柄。
作中では犯人の真の目的に近づくところまで行くも、その正体を掴むことができなかった。


  • 荻野正夫(55歳)

演.斉木しげる
情報処理担当の教師。一高出身。本年度の入試部長で、去年の入学試験も取りまとめていた。かつては英語を教えていた経験もある。
上条や的場などの入試本部の人間の中では、比較的落ち着いている方である。
入試の問題が実況された掲示板に関しては曖昧な書き込みが多かったこともあり、当初は問題視はしなかったが、
水野の意見を受け最終的に管理人に警告文を送る決断に至った。


  • 水野文昭(43歳)

演.阪田マサノブ
社会担当の教師。一高出身。東京大学出身で管理職候補ナンバー1。隙がなく真面目で気軽に話しかけにくい雰囲気を醸し出している鉄面皮。
一連の騒動が起こった試験会場の責任者で、村井が答案を数えた後、自分もまた全員分の枚数が揃っているのを確認し受験番号も一応チェックしたというが…。
試験終了後も学校内の様子が掲示板に書かれ続けていることから、管理人に削除要求を出すことを提案する。


  • 松島崇史(45歳)

演.羽場裕一
英語担当の教師。一高出身。常勤講師の村井はかつての教え子。
英語科をまとめる立場にあるものの、息子の良隆が今年一高を受験することになって、公平を期するために答案用紙の採点などが出来ない状況にある。
試験中は沢村の要求で待合室に待機しており、他の保護者達にお茶を入れ、息子達の受験をよそにメロドラマを見ているバカな保護者達を蔑視していた。


  • 坂本多恵子(48歳)

演.高橋ひとみ
英語教科の主任。一高出身。水晶を持ち歩いており、頭痛が起きるとそれを額に当てる癖がある。
娘も地元では名門である一高の卒業生で、結婚相手も一高を卒業していないと格差が生まれて結婚生活も長く続かないと思っており、キャリアよりも一高を卒業しているという事実が大事だと考えている。
電卓が悪いと言い訳にした採点ミスや、採点結果のパソコン入力ミスなど、入試採点の時に様々なトラブルを引き起こしてきた。
さらには小西から「管理職を希望してるなら、批難と言う名の銃弾を受ける覚悟があるんじゃないのか」と訊かれた際、
上りつめた時には受ける覚悟はあるが、途中で撃たれてしまったのでは、今までの苦労が水の泡だ」と開き直った*1
作中の無能教師第一号。


  • 上条勝(50歳)

演.清水一彰
一高の教頭で、元国語担当の教師*2
書類を作成する際、手書きよりもパソコン入力して作った方が何倍も楽であることに気付き、古い考えに固執せず勉強したためにパソコンに詳しくなる。
それなのに作中では掲示板の書き込みが過激になっていくことに頭を抱えたり、採点が終了後に一時的にトイレに行くために席を外し、その際に採点結果を纏めたパソコンを残して本部を空室としてしまったり、後述するモンスターペアレントの怒鳴りこみ(という名の不法侵入)に怖気づいたりと、良いところがほとんどといっていいほど皆無。
挙句の果てには保身のために、麻美が入試に落ちることを祈るという、教師としてかなり問題のある行動を取っている。
作中の無能教師第二号。


的場一郎(58歳)
演.山本圭
一高の校長。一高出身。
「高校入試の採点ミス問題が取りざたされるようになってから、周囲の目が厳しくなっているのでより気を引き締めて採点に臨むように」教師たちに訓示する。後述するモンスターペアレントコンビの沢村や芝田のクレームに対し動揺を隠せないでおり、芝田の娘である麻美の携帯電話問題に関しては保身のために「県に責任がある」と無責任なことを言い出す始末。
作中の無能教師第三号……という印象は作中前半~後半までであり、本部のパソコンで掲示板の書き込みを荻野と共に見ている際「今の若者たちはこんな掲示板に書き込んで、世の中を変えることができると本当に考えているのか?」という旨の言葉を語り、今までの汚名を返上した。
この時の荻野との問答はこの作品の名シーンの一つでもある。



石川衣里奈(17歳)
演.山崎紘菜
杏子が受け持つ2年B組の女子生徒。男子バレーボール部マネージャー。
かつて、自身の入試受験日に廊下に置いてあったバッグの中で携帯電話が鳴ってしまい、そのことで入学後に理不尽な言いがかりともいえる因縁をクラスメイトにつけられ、友達ができず仲間外れにされていた。その際に体育の担当教師である相田と出会い、交際関係に発展してしまう。相田には滝本がいるというのに…。
また、かつて坂本からの連絡メールに気づかなかったことでスピーチコンテストを失格になったことがある。
試験当日は彼女の誕生日であり、受験生のふりをして相田に会うためにバレー部部室に潜伏しており、相田が紛失したはずのGOLD・VIPカードも彼女が所持していた。
作中後半では、相田と滝本との泥沼の修羅場寸前に陥ってしまう。


沢村幸造(50歳)
演.入江雅人
同窓会の会長。一高の卒業生であることに誇りをもち、一高を敬愛している。
同窓会会長の立場であることから他の保護者と同一に扱われるのを嫌うという、この作品のモンスターペアレント第一号。
息子である翔太から試験会場で携帯電話が鳴った話を聞き、彼の試験結果に影響が出ると考え、理不尽なクレームを突き付け、
さらに校内に不法侵入し、窓に張り付けられていた翔太の答案を発見して突き付けた。
自身のやった行いを省みることもしない、ダメな父親の典型。


  • 芝田昌子(38歳)

演.生田智子
受験生の一人である麻美の母親。夫は県会議員という立場のため、一人娘に過度な期待を掛けている。作中のモンスターペアレント第二号。
麻美の携帯電話の件で応接室に呼ばれ、自身が試験中に励ましメールを送ったことを認めるが、注意事項の不備を指摘した。そもそも自分がメールを送るのが悪いんだろ…。第一、試験開始から終了までずっと携帯電話は回収されているため、本来は励ましのメールを読むことができない(読むのは試験終了後になる)ので、全く無意味なメールになるのだが。
麻美がこのことで一高に行かないと言い始めたことで再び学校に詰め寄り、掲示板の書き込みを知るや、全ての責任を学校へ押し付け、
「謝罪会見を行え!」と無茶な要求をした。
娘が受験に落ちるかもしれない状況を作ったことを棚に上げて、責任を他者へ押し付けようとする「自分が悪ということに気づいていないもっともドス黒い悪」ともいえる。


  • 芝田麻美(15歳)

演.美山加恋
受験生の一人。母親や県会議員の父親に過度な期待を掛けられ苦しんでいる。
所謂ケータイ中毒者で、教職員が試験妨害やカンニング防止の理由で携帯電話を回収しようとした際、「持っていない」と嘘をつくが、最終1科目の試験途中で携帯着信音が鳴ってしまい、その際に過呼吸を起こしてしまったこともあり退場処分を受け、保健室へ運び込まれる。
しかし、2年B組の教室だけ「入試の注意事項」が去年の注意事項の紙に差し替えられており、「携帯電話は電源を切っておく」の項目だけが更新されていないという謎の不備が見つかったことで、試験妨害による失格処分は免除された。
ケータイ中毒となったのは、携帯電話がないために同級生から仲間外れになったためで、携帯電話を持ち込みが知れることで一高入学後も同じ目に遭うのではないかと恐れ、作中後半では中学時代の同級生にそのことをメールで送ってその同級生から励ましの言葉を受けるも、あまりにも残酷な裏切りをされることに…。


  • 松島良隆(15歳)

演.高杉真宙
受験生の一人。一高の教師である松島の息子。
翔太の同級生で、彼から執拗ないじめを受けている。
清煌学院を志望していたが結局不合格に終わってしまい、一高を逃すと後がない状況にある。
麻美の携帯着信音が鳴った騒ぎに乗じて、翔太が麻美の答案をカンニングしてるのを目撃し、
自身の答案に翔太のカンニングを告発する文を書いた。


  • 沢村翔太(15歳)

演.清水尋也
受験生の一人。同窓会会長・沢村の三男で、良隆の同級生。
中性的な外見をしているが、その本性は周囲に隠れて良隆をいじめているクズ野郎。
英語科目の試験中に、麻美の携帯着信音が鳴った騒ぎに乗じて、答案のカンニングをするも、それを良隆に目撃される。
一高卒業後、二流大学へ進学し、現在プータロー状態の兄の哲也を軽蔑している。
小説版において彼は、いじめの標的にしていた良隆から「自分がバカだということに気づけない奴」と軽蔑され、
試験監督の水野からは「調子の良い時は人一倍明るいが、少しでも思い通りにならないことが起きた途端、周囲に八つ当たりをするタイプ。出来れば受かってほしくない人間」と散々扱き下ろされている。


  • 田辺淳一(15歳)

演.柾木玲弥
受験生の一人で、後述する光一の弟。
内申書で最高評価を取っていて、一高の試験では英語以外の科目でほぼ満点を取るほどの優等生。実は既に清煌学院に合格している。
採点の際、彼の英語科目の答案用紙が無く、代わりに見つかった白紙の解答用紙が彼のものではないかと疑われるが…?


  • 田辺光一(20歳)

演.中村倫也
楢沢学園高校出身。5年前に弟の淳一と同じく一高の入学試験に望み、自己採点では合格ライン上にいたが結果は不合格だった。
その際、採点ミスを疑い答案の開示請求をしたところ、高校側の採点ミスではなく、単に自分が受験番号を書き忘れただけだったということを知る。
その後、この経験を元に制作したドキュメンタリー映像を作り、大会で銀賞を受賞するが…。


  • 沢村哲也(25歳)

演.荒木宏文
翔太の兄で、沢村家の次男坊。
一高に入学し、二流大学を卒業するが、特にやりたいことがが見つからないという理由でフリーターを続けているダメ人間。
ネット仲間から掲示板のことを紹介してもらい、その中に自分に関する書き込みを見つけ父や弟の関与を疑う。
父親の幸造に関しては、弟の翔太を甘やかしていることに苛立っていて、
そのことで父と口論になった。
水野については「国家試験に挫折して教師になったクセに、やたらと威張り散らすイヤな奴だった」と批判している。


  • 寺島俊章

演.姜暢雄
元高校教師で杏子の元恋人。修学旅行を通じて知り合うようになった。
熱血教師で高い理想を持っていたが、受験生男子が第一志望にしていた高校を採点ミスで落とされて自殺し、
その入試に関わった自責の念から酒に溺れるようになってしまう。
アルコール依存症を患った状態で車道に飛び出し死亡するが、それが事故死か自殺かは判明していない。
彼が酒におぼれている際に杏子に言った「帰国子女の君には分からないよ…」という言葉は、今でも杏子の胸に刻みこまれている。


  • 徳原優介

演.倉貫匡弘
旅行会社「大洋ツーリスト」社員。杏子の元同僚。
相田が旅行チケットを紛失してしまったので、杏子の依頼で一高に出向きカードを届けた。


















【以下、事件の真相、ネタバレに注意】




















頑丈な入れ物の中身がわからない。

蓋がないから入れ物を開けて確認することはできない。

それでも知りたいと思ったら、どうすればいい。


入れ物をぶっ潰せばいいのだ。

全部壊すことができなくても、小さな穴や傷ができればそこから中身がこぼれ出て、その正体を知ることができるかもしれないのだから








  • 春山杏子

一連の事件の首謀者に協力していた人間の一人。
彼女は寺島の死後、自分の気持ちを回復させてから、寺島の死に向き合うため、
そして、どうして彼だけが死ななくてはならなかったのかを知るために教師になることを決めた。
しかし、いざ教師になれば聞いていたほど過酷な現場ではなく、ほとんど旅行代理店で務めていた時と変わりがなかった。
だが、どうしても引っかかりを感じられた。


問題提議をすれば「帰国子女だから」とあしらわれ、小さな問題はなかったことにされる。
よほど大きな事件が起きないと学校は真剣に動かないし、正体を現さない


そんなことを考えてるうちに杏子は疑問に思った。
「なぜ入試から半年もたって採点ミスが発覚したのだろうか?」と。


杏子はそれを調べているうちに、田辺光一が放送コンクールに出したドキュメンタリー映像が掲載されているHPを発見し、
光一の作った高校入試に関するドキュメンタリーが、最初は励ましや応援のメッセージがコメント掲示板に寄せられていたものの、
次第に誹謗や中傷のメッセージが多数寄せられ、掲示板は罵詈雑言にまみれた、見るに堪えないものとなってしまったことを知る。
杏子はこれを見てサイトの管理人である光一にメッセージを送ると、本人の弟だと名乗る後述の人物から返信をもらい、
サイトに溢れかえった中傷の嵐のせいで光一は精神不安定となって高校を退学し、
一高の受験に失敗したころから生じていた両親の不仲は退学によりさらに悪化して、
母親は家出し、父親も家に帰ってこなくなり(小説版では母が家出したのをいいことに別の女と交際していることが明かされている)、
田辺家は事実上の家庭崩壊となってしまったことを知った。
そして、その返信してきた人物から一連の計画を事前に聞いて、
学校側が高校入試にどれだけ真摯に対応するかを見れば、学校の正体を掴めるかもしれない」と思い、事件に加担することを決めた。


事件後、ドラマでは良隆、翔太、麻美のクラスを受け持つこととなるが、三年後に厳しい現場へ異動することが示唆されている。
小説版ではフリースクールへ異動することを決意する。


  • 田辺淳一

一連の事件を起こした犯人
サイトでコンタクトを取ってきた杏子と、後述するもう二人の内通者と連絡を取りあって騒動を巻き起こし、
一高の入試の杜撰な対処法を公に明かして、入試制度に一石を投じ、
かつて自身の経験を基にして作ったドキュメンタリーで世の中に問いかけようとして返り血を浴びた兄の光一の無念を晴らそうとした
2ちゃんねるにあった掲示板も、この事件をきっかけに入試について語り合う場として盛り上げようと、彼が作ったものだった。
しかし、清煌学院の一次試験を受けに来ていた良隆に怪しまれてしまい、それがきっかけで計画は瓦解してしまった。


上述のように、例え一高を落とされても、清煌学院というすべり止めがあり、
さらに、兄の光一のように名乗りを上げてぶつかっていったわけでもなく、
内通者に指示を出して、さらに「計画が失敗したら証拠隠滅のために、2ちゃんねるに立ちあげた掲示板を強制削除してくれ」と頼んだりと、
最初から最後まで自分の手を汚さずに事を成そうと企んでいた。
そのため、光一から「お前も所詮は、ネットで俺を罵った奴らと同じなんじゃないのか?」
「何のリスクも冒さずにただ指示を出す。気持ち良かっただろう」と、自身のした行いを責められてしまう。


結局は、責任を取る覚悟の無い子どもがと安全な場所で行った犯行でしかなかったのである。


事件後、淳一は一高を不合格とされ、事件の顛末を杏子から聞いた後、清煌学院に入学することとなった。


  • 石川衣里奈

淳一と連絡を取りあっていた内通者の一人
試験中に校内に忍び込んで、淳一が彼女の携帯に送ってきた試験問題の一部を掲示板にアップしていた。
相田のインディゴ・リゾートのGOLDカードを盗んだり、入試の点数の流出をしたのも彼女の仕業である。
事件に加担したのは、二股をかけていた相田を困らせてやろうという、首謀者である淳一や、学校の正体を掴もうとしていた杏子、
後述するもう一人の内通者の三人と比べて、あまりにもしょうもない理由からだった*3


衣里奈は途中で実況するのが怖くなり、途中離脱しようとするが、淳一が相田の三角関係の情報を彼女に教え、校内の実況を続けさせた。
(この三角関係の情報は、淳一が一高の向かいの独身寮に住んでいる同級生から一万円で買ったものだと、小説版で明らかとなっている)


事件後の彼女の処遇はドラマでは描かれていないものの、小説版では一連の事件の責任と、教師と交際をしていた事実からか、
五日間の停学処分(ただし春休み期間中)を受けている。


  • 荻野正夫

淳一と連絡を取りあっていた内通者の一人
試験前に「入試をぶっ潰せ!!」の張り紙を貼ったり、注意事項の貼り紙を昨年の物にしたり、答案用紙を流出させたりなどをして、
一高の試験委員会を混乱に陥れた。


彼が事件に加担したのは、自分のした過ちを償うためだった。


かつて荻野は光一のサイトの掲示板を偶然見つけて、光一が受けていた試験会場の監督を務めていた自分が批難されている事に恐怖を覚え、
サイトの運営者である光一に対して、彼の人間性を否定せず、かつ、受験番号を書き忘れて不合格になったことで学校側を糾弾するのは間違っていると、言い回しを変えながら何度も書き込んだ。
普通、掲示板の書き込みは賛同が続くと否定され、否定が続くと擁護されと、流れに波ができるのだが、
荻野はその擁護意見を理詰めの文章で潰していったため、掲示板は流れが否定のままで続くようになってしまった。
掲示板の流れがすっかりビテオに対して否定的になったころに、たまたま会議で光一が通っている私立高校を訪れ、
すっかり憔悴してしまっている光一と出会い、通りかかった女性教師に光一が作ったドキュメンタリーがネットで叩かれていることを聞かされる。


荻野は「自分はとんでもないことをしてしまった」とがく然とした。
自分が戦っているつもりでいた敵が、まだ十代の傷つきやすい心を持った少年だったのだから。
荻野はそんなことに気付けなかった自分を最低の大人だ、教師失格だと恥じた。
彼はどうにかして掲示板の流れを変えようとするも、掲示板はすでに管理人を中傷してストレス解消をしたい荒らしや、
ネット炎上に便乗しようとする香具師などといった、大きな悪意が渦巻いていた。
その後、荻野は光一が不登校になり、三学年になる前に退学したことを知った。


そして、数年経ったある日、「受験生を裏切らない入試制度のあり方を。その思いを込めて兄が投じた一石を、今度は自分が投じよう」と
淳一がサイトで思いを綴っているのを見つけ、過去の償いをしたいと淳一に持ち掛けた。
それは光一に対する贖罪だけでなく、校長である的場に、昔尊敬していた頃の熱い心を取り戻してほしいという想いもあった。


受験番号が書かれてない答案用紙に翔太の受験番号を書いて、合格発表の場に貼り出したのも彼であり、
本来の計画ならば杏子が頃合いを見計らって答案用紙を見つける手筈だったが、学校に乗り込んだ幸造が先に見つけてしまうという自体が起こってしまう。
しかし、それも荻野にとっては想定内の事であり、学校の運営に余計な口出しをする同窓会会長とはそんなに偉い存在なのかという議論を、この一件を通して教師達としてみたかったからと彼は語っている。


事件後、ドラマでは県内一荒れている柏木男子工業高校に異動となった。
小説版では教職を退任した。


  • 松島良隆

作中の事件の首謀者の正体に気づいた最大の功労者
自分と違って清煌学院の一次試験に合格した淳一が、わざわざ一高の試験に受けにくるのはおかしすぎると思い、
淳一が掲示板を管理していて、「入試をぶっ潰そう」としている犯人ではないかと疑う。
その後、父の崇史に「淳一が清煌学院に合格している」旨のメールを送り、掲示板にも同様の書き込みをした。
これがきっかけで淳一の目論見は一気に崩れさることとなった。


なお、一高にはちゃんと合格することができたが、彼が告発した翔太のカンニングは、
「証拠がない告発は信用性がないし、認めてしまえば今後の入試で冤罪を生み出しかねない」として、退けられてしまった。


  • 沢村翔太

試験の休憩時間の際、淳一に掲示板の存在を教えられ、まんまと引っ掛かった野次馬要員。
掲示板に兄の哲也のことを(名前は伏せてあるものの)うっかり書きこんでしまったことや、
父親の幸造が学校に乗り込み、教師を問い詰めていることが実況されたことから、
哲也に「弟が父親に泣きついて点数を上乗せしてもらおうとしてるのではないか?」と疑念を持たせてしまう。
結果、家庭内のムードは険悪となり、掲示板で実況しているのは良隆だと決めつけ、激怒する。
しかし、自分の答案用紙の件や、父親が自分の地位を悪用して学校に乗り込んだことが明かされたため、
掲示板を閲覧していた者達に知れ渡り、彼は良隆をいじめることができなくなった。
淳一が不合格になったこともあって、一高には繰り上げで合格することができたが、
小説版では合格して喜んでいるところを、掲示板を見ていた受験生に冷笑されているため、
入学後にいじめの標的とされる展開が示唆されており、順風満帆な高校生活を送ることはできないと思われる(因果応報ではあるが)。


  • 芝田麻美

ある意味で彼女も淳一の計画を狂わせた者の一人。
淳一の計画では、試験中に会場に仕込まれた携帯電話を鳴らす手筈だったが、
麻美の携帯電話が鳴ってしまうというアクシデントが発生し、計画は軌道修正を余儀なくされる。
その後、母親が注意事項の不備などを指摘して不合格となるのは免除されたことを中学時代のクラスメイトにメールで送るが、
実はこのクラスメイトは掲示板を閲覧していた人間の一人であり、麻美からもらったメールをネタに、彼女になりすまして書きこむという最低の行為を行った。
このクラスメイトは麻美のことを「自分達の輪の中に入り込もうとする鬱陶しい虫ケラ」としか思っておらず、
麻美はクラスメイトの裏切りにショックを受ける。
彼女も淳一が不合格になったこともあり、繰り上げ合格することができたが、掲示板に自分のことが書き込まれてしまったこともあり、
「高校でいじめを受けるのではないか?」と不安そうに自分の受験番号を見つめていた(小説版では淳一から「入学後、いじめられなければいいけれど」と心配されている)。
本作における報われないキャラの筆頭。


  • 沢村幸造&芝田昌子

作中の騒動がややこしくなった主な原因その1&その2であり、この作品の象徴でもある人物達。
合格発表当日に自分達の子供と結果を見に行って、子供が合格していると知るや、笑顔で喜んでいた。
特に昌子は「掲示板の一件でいじめられるかもしれない」と不安になっている麻美の気持ちを知らないで大はしゃぎしていた。
つくづく反省というものを知らないモンスターぺアレント達である


  • 相田清孝

作中の騒動がややこしくなった主な原因その3
彼が二股していることを滝本にばれたくない一心で衣里奈を匿ったせいで、衣里奈が校内で実況できる状況を作ってしまい、
さらに入試の答案の点数が漏えいしてしまう遠因を生んでしまった。
実は衣里奈、滝本両者と危ないこと(おそらく男女の関係だと思われる)をしてしまっている。
事件後、荻野と一緒に県内一荒れている柏木男子工業高校へ異動となった。
それについて小西は「日ごろの行いを正せということだろう」と推察している。
同じ現場の教師と生徒に二股をかけていたのだから、この処置はかなり妥当である。
小説版では荻野が退職したため、一人でそこへ行くこととなった。


  • 水野文昭

作中の騒動がややこしくなった主な原因その4
全員分の枚数が揃っているのを確認し受験番号も一応チェックしたと言うが、実はきちんとチェックしておらず
さらに翔太のカンニング行為を見逃してしまっていた
これでは哲也から「威張り散らしてるイヤな奴」と批判されても仕方がない*4


事件後、教育委員会へ異動となった。小西曰く「改革派としては心強い」とのこと。


  • 上条勝

作中の騒動がややこしくなった主な原因その5
彼が採点結果を纏めたパソコンを残して本部を空室にしなければ、点数の漏洩はされなかった。
空室にするにしても、きちんと鍵をかけておけばよかっただろうに…。


  • 村井祐志

一高OBの教師達のように、ある意味で一高に囚われ続けた人物
中学生時代は算数が好きで、もっと新しいことを学びたかったのに、
当時ひたひたと忍び寄っていたゆとり教育という名の悪平等で、学ぶことに興味が持てなくなるのを危惧し、
向学心の高い生徒が集まっている一高に入学しようと必死に勉強していた。
そのため、同級生達から死語になっている「ガリ勉」というあだ名でいじめられてしまい、神経性の胃炎や頭痛に悩まされ、
処方された薬を飲むも、その副作用で思考力が低下し、成績は惨憺たる有様になり、
担当教師から「一高は無理だから、無難に三高にしろ」と言われてしまった。


その当時村井の父もリストラされ、そんな父が一高の受験を許してくれるはずもなく、結局無難な三高を受けることとなった。
結果、三高に合格するも、自己採点はなんと94点という一高にも受かれる点数だったため、
「これなら一高を受けても大丈夫だったのではないか?」と感じ、以降それが彼の心の澱として残ってしまい、
講師になっても保護者から「三高の出の奴に数学の講師をやらせるな!」とクレームを言われ、
契約更新もおぼつかない現状に陥ることとなった。
それゆえ、自身の保身ばかり優先する一部の教師や、三角関係でもめている相田、滝本、衣里奈の三人に、


たったの一日。それでその後の三年間、いや、人生が決まるんだ!それを貴方達はわかってるんですか!!
痴話喧嘩でもめている場合じゃないし、ましてや、リゾートホテルに行かせないために受験を妨害してやろうだなんて、
絶対に許されることじゃない!!


と、今まで溜めこんでいた怒りを露わにした。
彼のこの言葉は、杏子が「一部の人間の胸先三寸次第で、生徒の人生が決まってしまう。自分がこの事件を通して知りたかったのは、こういうことだったのではないか」と感じたほどであった。


しかし、そういう彼も自分の辛い過去を引きずったままであり、いつまでも契約更新がされないのも一高のOBが身内贔屓してるからだと思い込み、面接の自己反省をしても、自分の方が他の人よりも現在の高校の教育の問題点を的確に指摘していたと、採用試験に落ちたのを自分ではなく面接官のせいだと決めつけていた。
そのため、杏子からは「過去に囚われ続けるのはやめたらどうだ?」という旨の言葉を、
小西からは「いつまでも他のせいにしていては、今年の試験もどうかと思う」と苦言を言われてしまった。
そして、的場からは「問題点ばかりあげつらうだけの人間は教育界にいらない。面接官は身内贔屓ではなく、きちんとした理想や夢を語る人間を選んでいるんだ」と、自身がどうして何度も試験で落とされたのかを説明された。
この三人の言葉で、村井はやっと一高の呪縛から解放された。
事件後、かつての恩師である松島の推薦で、三高の講師として異動となった。


  • 小西俊也、宮下輝明、坂本多恵子

事件に最も振り回された人物達。
光一のドキュメンタリーの影響もあり、一高も入試の採点方法に細かく解釈が付くようになったものの、
採点は結局人間が行うものであり、それ故にミスが起こるのは仕方がないといってもいい。
だから入試の採点は業者を雇って同じ条件で一斉採点をしてもらうか、入試自体をマークシート制にしてほしいと宮下と坂本はぼやき、
傍観者の立ち位置だった小西も「入試の採点方法については改善してほしいところがある」と思っていた。
なんやかんやありながらも、彼らも高校の入試制度に不満を持っていたのである。
それは三人だけでなく、他の教師達も同じ想いだったのかもしれない。
事件後、坂本は生徒指導部の部長に任命され、小西はその生徒指導部の副部長となり、
宮下は教頭の次の立場である総務部長となった。


  • 滝本みどり、松島崇史

事件の真相を知ることができなかった人物達。
作中後半、松島は衣里奈を家に帰すために学校を出ることとなり、
その際に滝本は「衣里奈がなにか騒いで松島に迷惑をかけるかもしれない」と危惧し、松島に同行することにした。
事件後、滝本は相田と別れ、一人でインディゴリゾートに行き、そこで新しい出会いがあった様子。女はたくましい…。
松島は元教え子の村井と共に、三高に異動となった。


  • 的場一郎

上述の通り、前半までの汚名を返上した人物。
作中の騒動の真実を知り、部外者の侵入・テストの流出・点数漏洩など、
あまりにも外部の人間達につけいれられる隙がありすぎたと反省し、
今後起こりうる可能性のある事への対策案を県側に提出することを約束してくれた。
田辺兄弟の想いは、ようやく報われたのである……。
事件後、騒動の責任を取り、辞職した。
それは、自らは安全圏にいて、責任を取るという覚悟が足りなかった淳一に対して、
責任を取るとはどういうことかを教えることとなった。


小説版では荻野との問答の後に、


「気が付けば、闘った時期よりも、勝ち得たものを守り続けていた時期の方が長かった。
それもまた家族のためだと自分に言い聞かせていたが、
家族にとっては言い訳に使うなと、いい迷惑になっているのかもしれない。
子ども達を社会人として家から送り出し、あとは妻と穏やかに暮らすだけだ。
守り続けてきたものが何だったのかも思い出せないようなら、潔く捨てればいい」


と、騒動の責任を負い、辞職する決意を固めたと思われる描写がある。




  • 田辺光一

上述の通り弟がしでかしたことを叱責するも、それが大好きな兄のためにやったことは理解していたようで、
彼は通信制の高校に通い、新しい一歩を踏み出すことを決意した。
その際、やり方は間違っていたにせよ、自分のために行動を起こした淳一に「ありがとう」の言葉を送った。





踊りながら必死で追記・修正しているんだ 理想の項目なんて用意されていない
でもその中で願っているのさ 光に包まれるその日々を




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  • どう考えても受験番号書かなかったあいつが悪い -- 名無しさん (2014-02-19 21:20:22)
  • なついw -- 名無しさん (2014-02-19 23:36:46)
  • 鎌田がいるな -- 名無しさん (2014-02-19 23:57:13)
  • おいコラタグに鎧武つけたの誰だw -- 名無しさん (2014-03-03 10:18:00)
  • ろくなオチでなかったのは覚えてる。 -- 名無しさん (2014-03-11 16:35:14)
  • ミッチとリオ様おるな -- 名無しさん (2014-06-10 09:50:22)
  • やたら記事が詳しいな -- 名無しさん (2014-06-19 15:38:32)
  • 「 自分がバカだということに気づけない奴 」のところが黒ミッチで脳内再生できた -- 名無しさん (2014-08-20 21:18:25)
  • ネタバレだけ見ると酷い作品だなw -- 名無しさん (2014-08-20 23:23:57)
  • 結構面白かった -- 名無しさん (2015-11-14 14:18:24)

#comment

*1 これに関しては宮下も「通してほしくない理屈だけれど、こうもはっきり言い切られると、むしろ爽快だ」と呆れる始末であった。
*2 そのこともあってか達筆で、書道の個展を開いたこともある。
*3 ちなみに衣里奈は、相田が滝本と付き合っていたという事実は知らず、「相田は杏子と付き合っている」と勘違いをしていた
*4 この試験監督としての致命的なミスから、一部の視聴者に「光一が受験した時の試験会場のメイン監督だったのではないか?」と疑われたが、小説版において、その当時はサブ監督だったことが明かされている。

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