白ゆき姫殺人事件

ページ名:白ゆき姫殺人事件

登録日:2014/07/10 Thu 20:53:44
更新日:2023/12/18 Mon 13:56:35NEW!
所要時間:約 13 分で読めます



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私は、私がわからない




集英社から刊行された湊かなえによる小説で、『小説すばる』で2011年5月号から2012年1月号まで連載され、2012年7月に発売された。
2013年には湊かなえ初の電子書籍として2013年8月23日よりeBookJapan、BookLiveで配信され、
また、2014年にはメディアミックスにより映画化・漫画化されている。


ネット炎上やマスコミによる報道被害をテーマにしていて、美人OL殺害の容疑者となった女性の人物像が、
Twitterに酷似した架空のSNS「マンマロー」上での噂によって、魔女のように語られて形作られてゆくゴシックサスペンスである。
本編は第一章~第五章までの章構成のストーリーとなっており、第一章~第四章は電話や取材における対象者の発言録などで記述されていて、
第五章は事件の容疑者となってしまった女性によって語られる事件の真相と顛末が描かれている。
巻末には「関連資料」という形で登場人物によるSNSの書き込みや、週刊誌の事件報道が収録されている。
しかし、「巻末資料と一緒に話を読まなきゃ、事件の全貌がいまいち伝わらない構成になっている」という意見が多く、
電子書籍版では各章末に設けられたリンクのタップ操作によりその章に関連する資料が表示されるようになっており、
「電子書籍で読むのに向いた作品」「最初から電子書籍で販売すればよかったのでは?」と評価されている。


2014年に「ゴールデンスランバー」で知られる中村義洋監督が映画化。
加熱していくネット上の噂や報道を次々と積み重ねていく重厚な現代的サスペンスに仕上げ、
初日2日間で映画観客動員ランキングで初登場第4位となった。
宣伝量などで優位に立っているとされた東宝の映画『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』をわずかに上回り、
東宝の独壇場とされた公開当時の日本映画界では、久々に松竹企画の映画がランキングで上に立つという快挙を残した。
また事件の中核となるSNSが架空のものではなく実在のTwitterそのものとなっている。勿論ツイッター・ジャパンの協力を受けてのもの。


同年には集英社から漫画化されており、こちらは関連資料のマンマローの過去ログでしか、その人となりが明かされなかった赤星雄治を主人公として描かれていて、
原作者の湊かなえから「なるほど、赤星には事件がこのように映っていたのか」と内容を絶賛されている。



あらすじ


T県T市しぐれ谷の雑木林で、化粧品会社のOL・三木典子が、全身を滅多刺しにされて燃やされた遺体となって発見される。
フリーのライターである赤星雄治は、知人の狩野里沙子から三木殺害に関する情報を知らされると、
その内容をマンマローに呟き、たちまちマンマロー上で注目の的となる。
赤星は狩野から三木に恨みがあるとされ、事件の日から失踪している同僚・城野美姫の存在を知る。
評判の美人だった三木の事件は、いつしか勤務する会社の目玉商品「白ゆきせっけん」になぞらえて、
白ゆき姫殺人事件」とネット上で呼ばれるようになる。
赤星は週刊誌で特集を組むべく、周辺に取材を敢行する。
取材を通じてさまざまな噂を語り始める、美姫の同僚・同級生・家族・故郷の人々…。


「城野さんは三木さんに付き合っていた人を取られた」
「小学生の頃、友達と呪いの儀式をやってたんです」
「彼女は犯人です、絶対に間違いありません!」


報道は過熱していき、やがて、匿名の何者かが城野の実名や学歴までもをネット上で暴露し、事件を巡る噂は噂を呼ぶ…。
果たして城野美姫は残虐非道な魔女なのか、それとも、マスコミやネットの住人達が勝手に作り出した虚像にすぎないのか…?



登場人物


週刊英知でグルメ系のコラムを書いているフリーのライター。
知人である狩野からしぐれ谷で化粧品会社のOL・三木典子が殺害されたことを聴き、
その内容をマンマロー上で呟いたことから、事件は大きく広がっていく。
取材をしていくうちに、城野を事件の犯人として決めつけ、週刊太陽で白ゆき姫殺人事件の特集記事を書くが…。
ぶっちゃけ全ての元凶であり、自分の出世のために事件を利用したマスゴミの典型。
映画版では、無責任な噂・口コミが真実とされてゆく様を表現し、物語の展開や表現手法を映画向きに処理するため、
職業をフリーのライターから、テレビワイドショーの契約ディレクターに変更されている。
漫画版では実質的な主人公であり、原作では分からなかった彼の心情が事細かに描かれている。


  • 城野美姫(演:井上真央)

事件の容疑者で、日の出化粧品の女性社員。
上司である篠山聡史と交際していたが、三木に篠山を奪われ、さらに同期として何かと比較されてしまっていた。
故郷の知人達からは、幼少期に城野が放火騒ぎを起こしたことや、呪いの力を持っているという噂をされている。
このことが週刊太陽で特集され、城野は事件の犯人として決めつけられてしまう。


  • 三木典子(演:菜々緒)

事件の被害者で、日の出化粧品の女性社員。
美人で、後輩の面倒見が良い素晴らしい人と言われており、フランス人の血を引いていると噂されていた。
事件当日、しぐれ谷において、何者かに全身数か所をめった刺しにされて惨殺される。
その死体は火を付けられて燃やされた。


  • 狩野里沙子(演:蓮佛美沙子)

日の出化粧品の社員で、殺害された三木典子の職場でのパートナー。
赤星とは高校時代からの付き合いで、彼女が赤星に三木が何者かに殺されたことを電話越しで話した。
漫画版での彼女は映画版で狩野役を演じた蓮佛美沙子に似た外見となっており、結構可愛い。


  • 満島栄美(演:小野恵令奈)

日の出化粧品の社員で、城野美姫の職場でのパートナー。
狩野の同期で、「みっちゃん」というあだ名で狩野から呼ばれている。
噂好きなところがあり、有名どころの週刊誌である「週刊英知」よりも、適当で大げさな記事が多い「週刊太陽」が好き。
城野を一連の事件の犯人として睨んでいる。
漫画版第一章の中盤で、自分の推理を狩野に語るシーンは、某金田一少年を彷彿とさせる。
映画版では元AKB48の小野恵令奈が演じており、赤星の取材で事件のことについて「これは綿密に練られた殺人計画なんです」と、
熱を入れて語っている。


  • 篠山聡史(演:金子ノブアキ)

日の出化粧品の男性社員で、城野達の上司。役職は係長。
城野と付き合っていたと社内で噂されていたが、彼自身は城野と付き合っている気はさらさらなく、
城野からの手作り弁当を受け取っていたが、内心迷惑がっていたようである。
三木としばらく交際していたようだが、去年三木から一方的にフラレてしまった。


  • 小沢文晃(演:草野イニ)

日の出化粧品の男性社員。
事件当日の夜、城野が券売機によらずに、駅の改札を抜けて出ていくところを偶然目撃する。


  • 前谷みのり(演:谷村美月)

城野の大学時代の友人。
城野を事件の犯人として報道した週刊太陽に抗議の手紙を送り付ける。
しかしその手紙は城野のプライベートな話題や、篠山の性癖まで書かれていたため、
前谷自身に悪気はなかったものの、赤星に記事のネタとして使われてしまう。
漫画版では週刊太陽の編集長から手紙の内容について、「抗議の手紙と見せかけた悪質なリークだよな」と決めつけられてしまった。
しかし映画版では、彼女が送った手紙がTV番組制作上層部の目に止まり、赤星は番組上層部の人間から大目玉を食らうこととなり、
ある意味で赤星に一矢報いることができた。


  • 尾崎真知子&島田彩(演:川面千晶・野村佑香)

城野の高校時代の同級生達。
当時、城野には呪いの力があるという噂を聴いていた。
二人とも城野に対しては「陰気」「印象になかった」と思っていた。


  • 江藤慎吾(演:大東駿介)

城野の中学時代の同級生。
当時はサッカー部のキャプテンであり、天狗になっていた頃、掃除の時間に城野に対し悪ふざけをしてしまった。
その後、城野に謝るも許してもらえず、後日、自転車の事故を起こし、脚を骨折。
完治したものの、プロとしての実力は無きに等しいものだったため、サッカー選手にはなれなかった。
自分の過去の行いが、城野の心の闇を作ったのかもしれないと赤星に語った。


  • 谷村夕子(演:貫地谷しほり)

城野の小学校時代の親友。一人称が「オレ」の美人。
当時は城野と『赤毛のアン』の世界に浸っていて、夕子は城野のことを「アン」、城野は夕子のことを「ダイアナ」と呼んでいた。
名前の字面のために「タコ」とあだ名されるなど、小学校時代はクラスメイトからいじめの対象とされていて、
ある日、城野と一緒にクラスメイト達を改心させるおまじないを神社で行った結果、神社が全焼する火事を起こしてしまい、
大人達から城野と二度と会わないようにと引き離されてしまい、それ以後引きこもりとなってしまった。
実はマンマローを使用しており、事件の取材内容を投稿していた赤星に目を付けていて、
城野を犯人扱いして事件の特集記事を書いた赤星に自分の怒りを爆発させた。
漫画版ではそれが顕著に表れており、


「オレはアンが人を殺したなんて信じちゃいねぇ
最悪もしそうだったとしても動機はアン自身のことじゃないはずだ!
もっと被害者のことを調べろよ! あんな殺され方するってことはハートは真っ黒のはずだ!
優しいアンが協力せずにはいられなかった 被害者からひどい仕打ちを受けてたヤツが絶対にいるはずだ!!
わかったか赤星雄治!!」


と、赤星に対し怒鳴り散らした。


  • 芹沢雅也&芹沢優也(演:TSUKEMEN)

巷で「芹沢ブラザーズ」という名で知られている兄弟のバイオリニスト。
自然の気が溢れている場所に訪れると、『空からメロディが降ってくる』らしく、
それを書きとめるために天然の木で作ったボールペンを使用しており、そのボールペンはオリジナルグッズとして5000円で売られている。
事件当日、雅也が階段から転落するという事故が起こり、全国ツアーは中止となってしまう。
その後、雅也は奇跡的に回復し、年内に活動復帰が予定されていたが…。
映画版では芹沢ブラザーズを演じたのが、三人のアンサンブルユニット「TSUKEMEN」であったため、三兄弟の設定となっていて、
彼らが劇中で弾いた楽曲「All alone in the world」が、映画のサウンドトラックとして実際に発売された。


  • 八塚あかね(演:米山実来)

城野・谷村の小学校の同級生。谷村の不登校の原因を作った張本人。
谷村と負けず劣らずの美人だが、自分が一番でなければ気が済まない性格ゆえに、
谷村をいじめの対象とする。谷村に「タコ」のあだ名を付けたのも彼女だが、
そのあだ名は「ダメだよ、夕子ちゃんのことをタコちゃんって間違えちゃ」
というように周りをたしなめるかのような彼女の発言が初出。その口調は(恐らく)わざとであり、かなり腹黒い。
新しく赴任してきた担任の女教師にまでそのあだ名を吹き込んだ(なお、その教師も他の男子に変なあだ名が付く原因を作っており、教師としてはかなり問題人物である)。
現在は母親曰く客室乗務員とされるが、それは(谷村の発言によれば)実は母親の見栄による嘘であるらしく、
本当は新幹線の売り子をしているとのこと。











【以下、事件の真相とネタバレが含まれます】




























  • 城野美姫

事件とは関係が無く、三木典子を殺害していなかった。
しかし、完全に無関係であるかというと、それは


同期の三木典子は城野から篠山を略奪愛同然に奪ったり、城野の大好きなアーティストである芹沢ブラザーズの肩割れである芹沢雅也と交際したりと、
社内の評判や赤星が週刊誌で書いたような完璧な女性ではなく、他人のものを欲しがるという悪い癖があった。
挙句の果てには城野にあげた芹沢ブラザーズの全国ツアー初日のチケットを「やっぱりあげるのやーめたっ」と取り上げる始末であった。
そんな三木に対して城野が不満を持っていたところ、
居酒屋のお手洗いで狩野からの「酒と風邪薬で三木さんを眠らせて、チケット奪っちゃおうよ」という誘いに乗り、
見事三木を眠らせてチケットを奪い取ることに成功。
そのまま乗っていた車をマンションの近くの駐車場に止め、車内に三木を残して特急電車に乗り、大阪からは深夜バスで東京に向かい、
芹沢ブラザーズコンサートツアー初日、人混みの中、雅也に握手してもらうために手を伸ばすも、
雅也は城野の伸ばした手のせいでバランスを崩し、階段から転落してしまう。
自分のせいで雅也は転落した、このままではファンの皆にリンチにされると思った彼女は、その場を後にし、近くのホテルに身を潜めた。
しかし、その時、後述する犯人が三木を殺害したことを、彼女は知る由もなかった…。


はっきり言ってしまえば、車内の中で寝ている三木を完全に放置して、
さらに芹沢雅也が階段から転落したことに対し、その場から逃げるという選択をした彼女は、
事件とは関係が無いにせよ、無責任な部分が多すぎるところがある。
別の場所に三木の寝ている車を置いていれば、後述する犯人に三木が殺害されることもなかったし、
彼女が軽率な行動を取らなければ、雅也は階段から転落することもなかった。
事件の容疑者とするには不十分な人物であるが、あまりにもうかつな行動を取りすぎたのは否めない。
正直、疑われても仕方がなさすぎる。
事件解決後、おそらくは普通の生活に戻ったと思われる。
映画版では職を失った赤星に「きっと何かいいことがありますよ」と励ましている。
漫画版ではホテルから出るところを赤星にすれ違いざまに目撃されているが、
その赤星が白ゆき姫殺人事件の記事を書いた張本人であると気づくことは無かった。



  • 狩野里沙子

三木典子を殺害した真犯人
三木と仕事上パートナー関係だった狩野は、日ごろから三木に仕事のミスを責められて不満を持っていた。
そのストレスを発散するために社内のスイーツや物品を盗んでいたが、ある日その行為を三木に目撃され、弱みを握られてしまった。
そんな時、居酒屋のお手洗いで三木に不満を持っている城野を「酒と風邪薬で三木を眠らせて、チケットを奪おう」と唆す。
事件当日、偶然マンションの近くの駐車場に止まっている車の中に、風邪薬の副作用で眠っている三木を見つけ、衝動的に殺害。
その後、自分のアリバイを証明するために赤星に電話をするが、まさか赤星が自分が電話で語った内容をマンマローに投稿するとは思ってなかったようだ。
満島は事件のことを「綿密に練られた計画殺人」と推理していたが、実際のところは「恨んでいる奴がそこにいたから殺した」という、殺意の衝動に任せた無計画殺人だった。
警察からは事件当日の行動に不審な点があると最初から睨まれていて、窃盗行為の罪で逮捕されたことを皮切りに、
三木殺害の罪が芋づる式に暴かれることとなった。
要するに、赤星が狩野のアリバイ確保のための証言をマンマローでうかつに呟かなければ、
警察は早い段階で狩野を殺人の容疑で逮捕することができ、城野が容疑者として吊るし上げられることもなかったのである。


ちなみに彼女は「白ゆきOLのハッピーブログ」というタイトルのブログを持っていて、犯行当日に、



白ゆき姫はもういない。
真っ赤な血はリンゴ色。
真っ赤な炎もリンゴ色。
リンゴは転がる森一杯に。
リンゴを見て思い知る。
わたしはこんなに
彼女を憎んでいたのかと。



という、自分の犯行をモチーフにした詩を書いており、最後は、



心の準備は整った。さあ、
王子様に電話をかけよう。
この白ゆき姫を救ってくれと。



という文で締めくくっており、漫画版では赤星がこの詩がブログに書き込まれた時間が、
事件当日に狩野が自分に電話をかけてきた6,7分前ということに気づき、彼女が事件の真犯人だったと悟る。
さらに、第一章で赤星と電話で会話をしてる際「でも城野さんが犯人ならいいのにな」と呟いており、
このセリフから彼女が真犯人であることが示唆されている。
映画版では城野を唆すところから、三木をしぐれ谷で殺害し、アリバイ証明のために赤星に電話をかけるまでが彼女の計画であり、
原作と違ってかなり打算的な性格に変更されている。
全て順調にいくと思っていたのかもしれないが、赤星が自分の証言をワイドショーのネタとして使ったのは、
彼女にとって計算外だったに違いない。
警察での取り調べにおいて、取り調べ担当の刑事から動機について訊かれた際に彼女は、「クビにされると困るんで」と悪びれもなく語っており、
この返答を聞いた刑事は、そのあまりにも身勝手な理由から呆れかえってしまった。


漫画版のラストは、彼女が三木の死体に恨み節を吐き捨てて、三木の死体に火を付けるシーンで終わる。





  • 赤星雄治

上述の通り、マスゴミの典型ともいえる人物であり、社員や故郷の人々の噂を寄せ集めて、
城野が事件の犯人であるという記事を週刊太陽に載せた。
しかし、事件の犯人が城野ではなく、三木の後輩で、かつ、自身の知人である狩野だったと明らかになったことで、
彼はライターの職を追われたと思われる。
(実際、事件後の週刊太陽の記事では、赤星との契約を切ったと示唆されるお詫びの文が掲載されている)


赤星を演じた綾野は、彼がまだ報道されていない三木典子殺害事件をTwitterで呟いた理由について、
ニュースでまだ報道されていない事件をTwitterで呟けば、RT数をたくさん稼げると踏んだからだろう」とコメントしていて、
映画版の監督を務めた中村義洋も赤星について「自分のことしか考えていない、あさはかな奴」と批判しており、
もし赤星が本物の城野と出会っても、赤星は城野であると気づかないんじゃないか」と考察している。
映画版のラストはその中村の考察が基になっており、
原作同様、契約を切られ、城野の故郷へ謝罪に訪れた際に彼女と出会い、「きっと何かいいことがありますよ」と城野に励まされるも、
赤星はその励ました人物が城野であることに気づかずに、その場を後にした。
(なお、赤星に同行していた別のスタッフは、彼女が城野であることに気付いており、気付かない赤星に呆れていた)


ちなみに漫画版では、
『取材を続けるたび、城野は無実なのではないかと感じるようになり、夕子の怒りの言葉を聴いたあと、城野に同情的な記事を書くも、
週刊太陽の編集者から「事件の容疑者に同情的になっていて面白みを感じない。もっとドカンと強い感じのを入れろよ!」とつっかえされると、
事件前の自分の惨めな姿を思い出して「もう後には引けない」と感じ、記事の手直しをした』と補完がされており、
自身の行いのせいで城野を事件の容疑者にしてしまったと反省し、城野は無実だという記事を書こうとするも、
今までの自分の境遇と、週刊誌の編集者やネット上の住人が容疑者の過去を望んでいるという後戻りできない状況から、
やむを得ず城野を事件の容疑者とする記事を書くに至るという、原作や映画と違って、やや同情できる性格となっている。
事件後、週刊英知・週刊太陽からクビにされ、路頭を彷徨っているところを、ホテルから出る城野を偶然目撃し、
「容疑者Sさんはこんな近くにいたのか」と感じながら城野を見送るという、映画版とは真逆の反応を見せている。


  • 三木典子

上述の通り、社員の話や週刊誌の記事に書いてあったような完璧な人間ではなく、
他人の持っているものを欲しがり、それを自分のものとしてしまう悪癖を持った人物だった。
しかし、ストレス発散のために窃盗行為をしている狩野を見逃さなかったり、
大学や高校時代の友人達からは慕われていたりなど、完全な悪人ではなかったようで、
実際、友人達は彼女のことを「尊敬できる自慢の親友」と涙を浮かべながら語っていて、
さらに「三木さんは努力を認めてくれる人だった」「正義感が強く、努力をしない人には厳しかったが、彼女自身いつも輝けるために人一倍努力をしていた人だった」と話していたことから、人柄はかなり良かったようである。
狩野の窃盗行為については「タイミングを見て告発しよう」と思っていたが、そのことをマンマローで呟き、
それを偶然にも狩野が閲覧してしまったことが、事件のきっかけとなってしまった。


彼女が狩野に殺害された後、交際していた芹沢雅也が実は美人モデルと交際していた事実が明らかとなり、
マンマローを使用しているユーザー達は「身代わり姫」「天罰」「殺されて当然」「犯人に感謝」と、彼女に対しての誹謗中傷を垂れ流した。
結局三木も城野と同じく、信じていた人に裏切られ、当事者の及ばない所で見も知らぬ他人から誹謗中傷を受ける羽目になってしまった。


映画版では、狩野が販売前の白ゆきせっけんを工場から盗んだと見せかけるための偽装工作をしたり、
狩野に「今度食事をおごって」と言っておきながら、いざ狩野が食事をおごろうとした際、
「やっぱりおごってもらうのはいいわ」などと白々しく断ったり、狩野に対して陰湿な嫌がらせを行い、
狩野が窃盗行為を行う引き金を引いてしまったりと、原作や漫画版と違い、かなり同情の余地が薄れる人物となっていて、
上司の間山からも送別会の帰り際に「もう二度とあなたの顔を見ないで済む」という旨の嫌味を言われたりと、
一部の上役達からは快く思われていなかったようである。


  • 芹沢雅也

腕の骨折は完治して年内に活動復帰できるようになったものの、
後日、週刊誌で彼が美人モデルの黒崎ユリと交際しているというスキャンダル記事が特集され、
ファン達の間で「黒崎と背格好の似ている三木をダミーとして利用したのだろう」と推察された。
要するに三木は、雅也のスキャンダルの隠れ蓑にされていたのである。
スキャンダルを公にしたくない所属事務所からの命令だったのかもしれないが、
人気アーティストが一般人をスキャンダル隠しのための道具として使ったことに関しては、疑問が残るところである。
雅也も、自分のファンを騙していることに関して、良心は疼かなかったのだろうか…。


映画版では彼が三木と付き合っていたこと自体がデマで、雅也は「三木という人とは顔も合わせたことすらありません」とコメントしている。
三木の「雅也と交際していた」という話自体、彼女が城野に対して見栄を張るための嘘だったようである。


  • 谷村夕子

関連資料のマンマローの過去ログでは、夕子と思われるユーザーが赤星の個人情報を晒して、赤星を糾弾することを煽るコメントを投稿しており、
赤星を半ば社会的に抹殺した
事件後の動向は不明であるが、映画版では城野が故郷の家に帰って来た夜、ロウソクの明かりを使って、
「自分はお前の味方であり続ける」とサインを送り、城野を励ました。
このシーンについて中村は、「SNSをはじめとしたネット上でのコミュニケーションの対極として入れた」と語っている。




【余談】


  • 作者がこの作品を書くきっかけとなったのは、とある女性週刊誌における作者のことを特集した記事で、その記事を書いた記者は事前許可も取らないで、作者の故郷へ取材に行き、実家の親族や知り合いにインタビューを行ったらしく、その記事は作者に対して肯定的な内容であったものの、その取材があったことを後に知った作者は「例の記事は自分に対して肯定的な内容であったから良かったものの、否定的な内容だったらその記者はどう責任を取るつもりだったんだ! もし否定的な記事を読者が読んで誤解したり、関係者が傷つくようなことになったら、ただではすまないんだぞ!?」と激怒し、この経験を作品に活かすことを決めたという。そして、その経験を基にして作ったこの作品の登場人物である赤星のモチーフとなった人物こそが、その記者であったりする。

  • ネット上における無責任な書き込みが、一人の人間の人生を大きく狂わせる」というこの作品のテーマは、後に作者が全話脚本を担当したフジテレビの深夜ドラマ「高校入試」でも引き継がれており、こちらではネットでの誹謗中傷のせいで一人の少年が精神にダメージを負って高校を退学したどころか、それが原因で家庭が崩壊してしまっている。



追記・修正は、白ゆき姫を殺した犯人を突き止めてからお願いします。



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  • 関連資料を章の合間に挟んだ方が読みやすかった気がする -- 名無しさん (2014-07-11 07:15:34)
  • 直接は関係ないけど担当は20年前にVジャンプの「犬マユゲでいこう」の初代担当してた ナマサさん -- 名無しさん (2014-07-11 23:19:38)
  • 小説では赤星はツイッターーもどきの中で谷村に徹底的に叩かれてましたね。うかつな事を言うから・・・・。 -- 名無しさん (2014-08-07 22:36:59)
  • 元凶は赤星・狩野・三木だな! -- 名無しさん (2014-09-24 18:59:21)
  • ↑ここにも記事がある例のアレみたいな感じだろう。 -- 名無しさん (2014-12-08 17:21:27)
  • この映画見た時に「花子とアン」を思い出した。当時、放送していたしね。 -- 名無しさん (2017-01-28 09:19:26)
  • 赤星を推護する訳じゃないけどツイッターに個人情報とかバラした谷村さんは赤星とそう変わらないんじゃないかと思ってしまう自分がいる…許せないのは分かるけど -- 名無しさん (2017-03-03 19:43:02)
  • 原作では三木は「自分の足引っ張ったり自分よりいい物を持ってたりしない人にはいい人」だったんだろうか… -- 名無しさん (2023-01-30 07:27:20)

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