スーパーマリン スピットファイア

ページ名:スーパーマリン スピットファイア

登録日:2012/05/28(月) 08:21:35
更新日:2023/11/20 Mon 11:49:11NEW!
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戦闘機 イギリス 名機 軍事 兵器 バトル・オブ・ブリテン 救国戦闘機 性能がすべてじゃない ×スーパーマリオ スーパーマリン スピットファイア




人類の歴史の中で
かくも少ない人が
かくも多くの人を
守ったことはない
ウィンストン・チャーチル
(イギリス首相)


スーパーマリン スピットファイアは第二次大戦中のイギリス空軍主力戦闘機。
「火を噴くもの」「短気者(主に女性の)」という意味。イギリス海軍バージョンは「シーファイア(不知火の意)」という。


第二次大戦の開戦から終戦まで主力であり続け、1950年代まで使われた。長期に渡って改良を重ねた結果なんとマーク24まである。最初は1000馬力級だったのが1500馬力級になりグリフォンエンジン搭載のマーク20以降は2000馬力級。実はマーク21以降は「スーパー・スピットファイア」というのが正式だが、名前が厨二っぽかったからか全力で見逃されている。
生産機数は約23000機。



◆開発
開発が始まったのは1931年。コンセプトは爆撃機を落とせる戦闘機。
上昇能力のみを追求したものだった。でも、爆撃機に護衛戦闘機がついて来たらヤバくね?てことで運動性も重視することに。
主翼の設計も難航。ドイツのハインケルHe70のコピー疑惑も出るが例によって全否定。実際この手のモノはパクりパクられの世界なんだからクロだと思うよ。たぶんね。
紆余曲折の末1936年に初飛行、1938年8月にようやく運用開始。実に8年もかかった。P51マスタングは初飛行まで9カ月。自重しろマスタング。
後に、フロートを付けた水上機型も作られたが、採用されなかった。


イギリスが平和ボケしてたおかげで第二次大戦が始まった時には少数しか配備されてなかった。よって、ドイツのフランス侵攻には出し惜しみして旧型のハリケーンしか派遣しなかった。毎度のことだが、イギリスのフランスに対する友情なんてぶっちゃけその程度。いじわるだね☆



◆実戦
本格的な実戦はバトル・オブ・ブリテン(後述)から。以後ヨーロッパ、北アフリカ、そして東南アジア・オーストラリアと世界中を転戦した。
格闘戦能力はドイツ機より優秀、強力なドイツ機が登場するたびに魔改造を繰り返したので終始有利で、特に北アフリカ、イタリアでは大活躍。
しかし致命的な航続距離の短さから爆撃機の護衛戦闘では役立たず。速度も優秀なP51ばかりもてはやされる。結果ヨーロッパの主役はP51のものに。おんなじロールスロイスのエンジンなのにね☆自重しろマスタング。


そして太平洋。結果から言うと零戦フルボッコされた。いくら旧式のマークXとはいえP40やF4Fよりは高性能。でも損害はそれ以上。


アメリカのパイロット達は
「ゼロに出会ったら逃げろ。絶対に格闘戦を挑むな」と忠告。
彼らは知っていた。零戦の恐怖を、戦争の恐怖を。そして今の機体では勝てない、今は耐える時なのだということを。


派遣されてきた、バトル・オブ・ブリテンを知らない若手パイロット達は、ドイツ機を格闘戦で落としてきたこともあり、全てを甘くみていた。
忠告は無視された。そして零戦に格闘戦を挑み、落とされた。性能差以上に圧倒された。


まあ活躍しなかったわけではない。日本陸軍のポートダーウィン空襲では、護衛戦闘機は零戦ではなく一式戦隼だったが、爆撃機隊に致命的な大打撃を与え、二度と空襲を出来なくさせたし。


スピットファイアは優秀な戦闘機だったが、圧倒的に強かったわけではない。戦績も性能も優秀な日本機や米軍機に比べれば平凡だ。
しかし紛れもなく名機だし、英国民にとっては英雄である。なせなら、あのバトル・オブ・ブリテンを戦い抜いた機体だからだ。


ドイツの電撃戦により為すすべなくパリは陥落。ダンケルクに追い詰められた連合軍はイギリスに撤退。
そんな絶望的状況の中始まったバトル・オブ・ブリテン。イギリスの制空権を奪うべく連日ドイツの猛攻撃が始まった。
レーダーによる待ち伏せで一網打尽にしていったとよく言われるが、そんなに楽な戦いではなかった。
レーダーサイトは度々破壊され、護衛のBf109も簡単な敵ではなかった。しかも半端な数ではない。爆撃機に対しては旧式だが重武装のハリケーンが担当し、戦闘機にはスピットファイアが担当する。そうすることで戦闘機の消耗を抑えていた。


当初ヒトラーは無差別爆撃を厳禁していたが、ロンドン空襲が始まると、状況は一変した。爆撃機を生かしておくということは、家族、友人そして子供達が焼かれるということだ。スピットファイアも執拗に爆撃機を狙うようになった。
護衛戦闘機を無視して爆撃機を狙うということは敵戦闘機に背中を見せるということだ。敵機に撃ち抜かれ、機体から火を噴きながらも、機銃は爆撃機に向けて火を噴き続ける…爆散する最期の瞬間まで。友軍機が墜とされている間にもスピットファイアは爆撃機に殺到する。一機でも多くの爆撃機を墜とすために。
イギリス国民はそうやって墜ちていくスピットファイア達を間近で見ている。自分達のために死んでいくスピットファイア達を。
ベテランのパイロットも戦死が相次いだ。しかし士気は下がることがなかった。
冒頭のチャーチルの演説は、毎日死んでいく、戦闘機に乗る騎士達に向けられた賛辞である。


バトル・オブ・ブリテンは数字が全てを物語っている。



○ドイツ軍
 戦闘機1464機/被撃墜873機(損耗率59%)
 爆撃機1380機/被撃墜1014機(損耗率73%)


○イギリス軍
 戦闘機1403機/被撃墜1023機(損耗率73%)


これは双方とも自軍の被害報告である。自軍の被害は小さく報告することが多いため、もっと損害が大きかった可能性もある。


どれだけ激しい戦闘だったか解るだろう。


マスタングの時も書いたが、スピットファイアもまた必要な時に必要な場所に存在した戦闘機だった。
ただ、ギリギリの勝利だったから、最良戦闘機とは呼ばれない。
バトル・オブ・ブリテンで、落とした爆撃機よりも多く落とされていることがそれを物語っている。
格闘戦能力だって日本機と比べたら最後の最後までBf109対策の域は出れなかったし、そのBf109からも基礎設計の出来の差から終始互角の戦いを強いられた。
Fw190というもっと厄介な敵にたいしては、格闘戦能力も気休めにしかならなかった時もある。
また、グリフォンの初期不良にも悩まされ続けていた。
本当ならもっと早い段階で搭載されるはずだったのに、グリフォンが抱えていた問題から搭載は遅れに遅れてしまう。
諸問題を解決した2000馬力級版グリフォンを搭載したマーク20以降のモデルも、その強大なパワーと引き換えに航続距離の短さが悪化。
更にこれまた基礎設計の問題からグリフォンの出力に耐えきれない機体が続出してしまった。


しかし、イギリス国民にとっては英雄であることには変わりない。


バトル・オブ・ブリテンには世界各地からたくさんの義勇兵が集まった。たくさんの騎士達がBf109とFw190に殺された。たくさんの外国人の名が名誉戦死者の碑に名前を刻まれた。そして生き残った者達は、故郷でスピットファイアという戦闘機の話を伝えた。
時には敵国であるドイツ軍、それも将校すら優美なフォルムと特徴的な主翼で魅了したことさえある。


だから、スピットファイアは名機なのだ。




性能だけがすべてじゃない。
機体に刻まれた伝説も
名機の条件である。


スピットファイアはそう教えてくれている。この時得られた技術は、イングリッシュ・エレクトリック ライトニングホーカー ハンターといった機体に受け継がれている。
機械仕掛けの騎士・スピットファイアが戦場の空を飛ぶことは、もうない。
だけどその技術と魂を継いだ機体たちは、新たな機械仕掛けの騎士たちは、今も戦場の空を飛んでいる。



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  • Mk5の時点で600キロのトップスピードとゼロに少し劣る上昇力、高い格闘戦能力にそれなりの降下速度、機関砲の重武装と総合的に見て極めて優秀だと思う。 -- 名無しさん (2014-08-31 18:53:48)
  • 迎撃戦闘機で航続力捨ててるからな -- 名無しさん (2014-11-30 18:19:04)
  • 「日米の戦闘機に性能で負けてるやんw 航続距離短いし何が名機だよw」とかイギリスアンチの友達に言われたが、そうじゃない そうじゃないんだよ -- イギリスかぶれ (2019-09-25 11:07:16)
  • そもそも大戦通して高性能機だったろうが -- 名無しさん (2020-06-24 10:24:14)

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