円城塔

ページ名:円城塔

登録日:2010/10/04(月) 05:10:53
更新日:2023/11/20 Mon 10:52:06NEW!
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作家 小説家 円城塔 sf 平沢進 北海道 札幌市 時代が追い付いた 上級者向け 日本語でおk 理系 複雑系 芥川賞受賞者 プロットは図形と数式





fictional engine.




円城塔(えんじょう とう、EnJoe Toh)


作家。
1972年、北海道札幌市生まれ。男性。


主にSF専門誌や文芸誌で活動。




【作風・特徴】


いわゆる数理系小説。
複雑系を土台に数学物理学、古典文学、海外文学などをモチーフに使う。


――が、そんなことはどうでもいい。
兎にも角にも声を大にして言いたい特徴、それは、




よ く わ か ら な い も の を 書 く




無論、勿論、褒め言葉である。


百聞は一見に如かず。
代表作『Self-Reference ENGINE』のあらすじと冒頭を引用してみよう。



“彼女のこめかみには弾丸が埋まっていて、我が家に伝わる箱は、どこかの方向に毎年一度だけ倒される。
老教授の最終講義は鯰文書の謎を解き明かし、床下からは大量のフロイトが出現する。
そして小さく白い可憐な靴下は異形の巨大石像へと挑みかかり、僕らは反乱を起こした時間のなか、あてのない冒険へと歩みを進める――”

──商品紹介文より



……おわかり頂けただろうか。
こんな話たちが載っているのは事実であるし、粛々と以下の調子で語られるのだ。



“全ての可能な文字列。全ての本はその中に含まれている。
しかしとても残念なことながら、あなたの望む本がその中に見つかるという保証は全くのところ存在しない。
これがあなたの望んだ本です、という活字の並びは存在しうる。今こうして存在しているように。
そして勿論、それはあなたの望んだ本ではない”

──プロローグ「Writing」より



……芸能人で喩えると、真顔で下ネタを言うみうらじゅん氏であろうか。
とある人は「和製SFほら吹きおじさん」と呼んでいた。中々どうして、的を射たネーミングである。



さてこそ以上、あれやこれやと述べてきたわけだが、変な本が好きな方、論理的な不条理小説に興味のある方、奇想的な綺譚をご希望の方、煙に巻かれたい方、ご家庭にあるフロイトの処分に困っている方、実射影平面の三次元空間への嵌め込みに詳しい方、あるいはそれ以外の方には親しみ易い作風であるように思う。


その保証はどこにあるのか、という問いかけには勿論「よくわかりません」と答える以外にないのだけれども。




【主な作品】


単行本

■『Self-Reference ENGINE
連作短篇小説。2篇加筆した文庫版及び英訳版あり。
単行本は「黄色い本」と呼ばれるが、文庫は黄色くないので要注意。


■『Boy's Surface
短篇小説集。“解説”を加えた文庫版あり。
単行本は「ピンクの本」と呼ばれるが、文庫はピンク色ではないので要注意。


■『オブ・ザ・ベースボール』
短篇小説をふたつ収録。文庫版あり。
表題作は麦畑に囲まれた町で、空から降ってくる人をバットで打ち返すレスキューチームに所属する男の話。


■『烏有此譚
中篇小説。
注釈が本文と同じくらいの分量で付いて、その注釈にも注釈が付いている灰と穴の話。


■『後藤さんのこと
短篇小説集。文庫版あり。
表題作は後藤さん、後藤さん一般、後藤さん後藤さん後藤さん、反後藤さん、分後藤さん、偏後藤さん性についてあれこれ考える話。


■『これはペンです
中篇小説をふたつ収録。文庫版あり。
表題作は叔父が文字通り文字の話。


■『道化師の蝶
中篇小説をふたつ収録。文庫版あり。
表題作は蝶と旅、ことばと文章、料理と刺繍、文章とことば、手芸と蝶の話。


■『バナナ剥きには最適の日々』
短篇小説集。1篇追加収録した文庫版あり。
表題作は宇宙空間があまりに暇だから、脳内に架空の友人を作り出した無人探査機の話。


■『屍者の帝国
伊藤計劃×円城塔の長篇小説。文庫版あり。
そう、これは屍者の話。


■『シャッフル航法』
短篇小説集。文庫版あり。
表題作は、わたしとあなたが、シャッフル航法。


■『エピローグ』
長篇小説。文庫版あり。
SF。もしくは『プロローグ』のエピローグ部分。


■『プロローグ』
長篇小説。文庫版あり。
私小説。もしくは『エピローグ』のプロローグ部分。


■『文字渦』
連作短編小説。文庫版あり。
ルビがびっしり詰まってるページ画像がTwitterで話題になったりもした。
文字が生きていたり、文字でポケモンバトルをしたり、文字が殺されたり、ユニコードの上で戦争が起きたりする。いくつかの話は歴史ものという側面も。



翻訳、脚本その他

■『ホワイトスペース
Webライトノベル
ボーイ・ミーツ・ガール、はたまた有無を問わず見たり見られたりすることにまつわる話。


■『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』
翻訳。著者はチャールズ・ユウ。
タイムマシンを使って未来の自分を撃つ(撃たれる)話。


■『雨月物語』
翻訳。著者は上田秋成。池澤夏樹個人編集『日本文学全集』第11巻収録。


■『これで駄目なら 若い君たちへ――卒業式講演集』
翻訳。著者はカート・ヴォネガット。
ヴォネガットの卒業式講演集。そういうものだ。


■『読書で離婚を考えた。』
エッセイ。妻・田辺青蛙との共著。
相互理解を目的とした夫婦読書リレー格闘エッセイ。


■TVアニメ「スペース☆ダンディ
第11話の脚本、第24話の脚本とゲストキャラクターのデザイン原案を担当。
脚本には図形と数式(出典付き)がもちろん添えられていたそうな。


■TVアニメ「ゴジラ S.P<シンギュラポイント>
全編の脚本を担当。ノベライズも担当している。



※この他、2017年7月現在において


■積み上げられた話(『パリンプセストあるいは重ね書きされた八つの物語』)


■ある事情から時間を逆行しようとする男の話(「Four Seasons 3.25」)


■ふよふよ可哀いみどるさんの話、他(「中間小説集」)


■翻訳。ジキニンキが出てくる話、他(原作:P. Lafcadio Hearn『Kwaidan』、他)


■ぼくのお父さんとぼくのお父さんの娘の話(「お父さんの娘」)


■〈ゲンジ物語〉の作者、〈マツダイラ・サダノブ〉の話(「〈ゲンジ物語〉の作者、〈マツダイラ・サダノブ〉」)


■縦籠家と横箱家が交差する話(「バベル・タワー」)



など単行本にまとまっていないものが多数ある。




【備考・余談】


奥様はホラー作家で僕っ娘眼鏡っ娘で趣味がコスプレの田辺青蛙。
ご両人の結婚披露宴では新郎が碇ゲンドウ、新婦が碇シンジ(プラグスーツ着用)の格好で仲睦まじく登場したそうだ。



Twitter上でも執筆する作家のひとり(専用アカウントあり。2011年11月29日で更新停止中)。
小説以外には「ストパン見てる。全裸で」「俺が妹なのでこんなに可愛い」とつぶやいたり、毛糸の編み物を始めたり、焼きまんじゅうを作ったり、国民的猫型ロボットの性生活について考えていたりする姿が見られる。


『プロローグ』やTwitterにて、作家と編集と印刷の間の原稿のやり取りを電子化するべきだ、とたびたびぼやいている。





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  • 屍者の帝国、アニメ映画化おめ! -- 名無しさん (2014-11-28 00:01:26)
  • ホワイトスペースの記事ができてるみたいなのでリンクしたげて -- 名無しさん (2014-12-23 12:17:17)
  • ツィッターを見ると、どうでもいいことつぶやいている。きっと、好きな人は好きなのだろうけれど、興味がなければ本当にどうでもいいと感じるのは、著作と一緒。でも屍者の帝国は面白かったよ -- 名無しさん (2019-08-29 23:20:30)
  • 『異常論文』はコンセプトがはっきりしているからこの人の作品のとっかかりにいいと思う -- 名無しさん (2022-02-13 20:45:49)

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