ダッソー ラファール

ページ名:ダッソー ラファール

登録日:2012/04/04(水) 18:49:54
更新日:2023/11/17 Fri 10:57:50NEW!
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軍事 航空機 戦闘機 フランス デルタ翼 マルチロール 疾風 カナード ラファール 水瀬伊織 アホ毛 ダッソー 欧州の美女



■概要

フランスの航空宇宙企業・ダッソー社が中心となって開発した多用途戦闘機(マルチロール機)*1


1970年代、次世代戦闘機の開発に向けて

  • イギリス
  • フランス
  • 西ドイツ(当時)
  • イタリア
  • スペイン

の五ヶ国は、「ECA(欧州戦闘機)計画」を開始した。後のEF-2000タイフーンの開発計画である。


しかしフランスは1985年、事情により計画から脱退、国内のメーカーであるダッソー社による独自の戦闘機、ラファール(フランス語で「疾風」の意)の開発を開始した。


脱退理由としては主に3つ挙げられる。
◆他国案だと、フランスの航空母艦では重量オーバーになる*2
◆フランスは戦闘機・攻撃機両方の更新を狙っていたが、他国の想定していたのは多用途性の薄い制空戦闘機だった*3
◆他国は共同開発のエンジンの搭載を予定していたが、フランスは自国製エンジンの搭載を主張していた*4


このように、少しばかりワガママな理由があったがフランスは独自に開発を開始。
もたつくタイフーンの開発を尻目に、86年には実証機が初飛行に成功していた。
しかし、その後は冷戦の終結による防衛費の削減により計画が遅延。結局量産機の引き渡しが開始されたのは2000年になってからだった。
タイフーンの初飛行は94年だし、量産機の完成も2003年だから一応早いけどね!



■主要諸元

  • 全長:15.30m
  • 全幅:10.90m(翼端ミサイルを含む)
  • 全高:5.34m
  • 空虚重量:9,060kg
  • 最大離陸重量:21,500kg
  • 最高速度:マッハ1.8
  • 実用上昇限度:16,750m


■武装

  • GIAT M791 30o口径機関砲(固定武装)

アメリカ製・ロシア製戦闘機の主流固定武装のガトリング砲や機関砲とは違い、
一本の銃身に複数の回転式薬室が円形に並んで装着された、いわゆる「リボルバーカノン」といわれるタイプ。


  • MICA空対空ミサイル(AAM)

赤外線画像誘導の短射程タイプ「MICA IR」と、アクティブレーダー誘導の中射程タイプ「MICA RF」の2種があり、広い領域での対空戦闘が可能。


  • AM39エグゾセ対艦ミサイル

フランス製の対艦ミサイル。フォークランド紛争で、アルゼンチン軍の所持した物がイギリス軍の脅威にもなったことでも知られる。
フォークランド紛争以後も改良が続けられ、現在では射程が初期型と比べて大幅に延長された他、終末誘導にGPS誘導も採用したことで限定的ながら対地攻撃にも使用可能。


  • AASM誘導爆弾

アメリカのJDAMと同じ通常の無誘導爆弾を誘導爆弾に変身させるキット。ただこちらはJDAMと異なり尾部にロケットモーターを追加しているのが特徴。


  • AS30Lレーザー誘導対地ミサイル

フランスのみならず、イギリス・西ドイツ等でも採用された空対地ミサイル。
非常に命中率が高く、湾岸戦争やボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で実戦投入された際には97%という命中率を叩き出した。


  • SCALP EG空中発射式巡航ミサイル

フランスとイギリスが共同開発した巡航ミサイル。ちなみにイギリスでの名称は「ストーム・シャドウ」。


  • ASMP超音速巡航ミサイル

フランスが開発した超音速巡航ミサイル。弾頭はなんと核弾頭
それまで配備されていた核爆弾を置き換え、フランスの核抑止力を担う重要なプラットフォームの一つとして配備されている。


  • アパシュ・スタンドオフディスペンサー

フランス・ドイツが共同開発したスタンドオフディスペンサー。滑走路破壊を主任務としており、滑走路上で大量の子弾をバラまくことで敵航空基地を長時間に渡って無力化する。
ただフランスがクラスター弾禁止条約に加盟したため、現在では退役している。



■特徴

タイフーンと似たカナード(先尾翼:そこ!名前が矛盾してるとか言わない!)付きのデルタ翼機。
タイフーンと比べて曲線が多いが、純粋なステルス機ではないにしろ翼にギザギザの加工がされたり胴体に溶け込んだ配置のエアインテークなど、
レーダー反射面積の低減が追求されている。
フランス製M88-2エンジンは、推力重量比こそタイフーンに劣るものの、旋回性能が勝っている。
またF-22に匹敵する高度なセンサー融合能力も持ち、レーダーも高性能。特にレーダーに関してはライバルのタイフーンより勝っているといえる。



■派生

  • ラファールA

実験用のデモンストレーション機、エンジンの開発が遅延していたためGE製F404エンジンを搭載していた。


  • ラファールB

空軍仕様の複座機。
計画当初は250機導入するうちC型225機・B型25機を予定で実質練習機として運用されるはずであったが、ラファールがマルチロール機になったことで
F-15Eのように後席に兵装管制員を乗せ複合任務に従事させることになったため総数こそ減ったもののB型は139機の大幅増になった。
輸出仕様はD型でDの後に会社が決めた国ごとのアルファベットが振られている。


  • ラファールC

空軍仕様の単座型。
前述のようにマルチロール機になったことで単座では対応できる任務が狭まることからこちらは95機に削減されている。
輸出仕様はE型でこちらも同様にアルファベットが振られる。


  • ラファールM

海軍仕様の単座機。
空軍機に比べてアレスティング・フックや脚部回りが改修されている他、重量増加によって搭載兵装数が削減されハードポイントが空軍機の14から13に削減されている。
前述のように老朽機の代替機として導入されたもののこちらも冷戦終結によって60機に減少。
これとは別に複座機のN型も計画されていたが白紙になってしまった。


・採用国


当初は導入を検討されるも採用を見送ったり、導入数が削減されことでミラージュ2000に比べるとセールスはあまりよろしくなかった。
日本ではF-4の後継機候補として取り上げられたこともあるが、同じ欧州製戦闘機であるタイフーンが日本にユーロファイター社の
幹部を派遣したり好条件を提示するなど積極的に活動していたのとは異なり、そもそも提案すらしていないと会社が発言していた。
2010年代以降には数多くの国で採用が決まるようになり、採用国数ではタイフーンと大差ない数となっているがあちらは最低でも4か国の採用が確定していたことを考えるとセールは好調である。


2011年には、インド空軍のMig-21に代わる次期戦闘機としてタイフーンを下して採用が決定した。
…が当初入れ替え予定の126機のうち20機ほどはフランスからの輸入、残りをインド国内でライセンス生産を予定されていたが
フランス側がライセンス生産で品質を維持できるか難色を示し交渉は難航。
結局導入は36機にまで減ってしまい全てフランスからの輸入、価格も126機で約200億ドルの予定が36機で88億ドルになり1機あたりの価格も1億ドル近く高くなってしまった。
…と採用国でもおおよそ30機前後、2個飛行隊前後の採用数が多いがAEUでは80機の大口契約が結ばれている。


・来日
2023年7月末、空自との共同訓練のためフランス空軍のラファールB 2機が輸送機のA400・A330MRTTと共に宮崎県新田原基地に展開。
参加部隊はグアムに展開していた本隊からアジア諸国に分散展開、来日前に韓国に展開し韓国空軍と共同訓練を実施後来日。
記念塗装を施されたF-15に迎えられ編隊飛行を実施、訓練終了後基地に降り消防車の放水シャワーと自衛隊員に迎えられた。
ラファールは初来日ということもあり新田原基地周辺には全国からファンが集まった。


前年アジアに展開したドイツ空軍が百里基地に展開した際には来日時に自衛隊と富士山上空で編隊飛行をしただけそのまま帰路についてしまったが
こちらは展開・撤収の4日間の日程で2日目は午前と午後の2回自衛隊機との訓練を実施、基地上空では自衛隊機とのオーバーヘッドアプローチを行った。
3日目はかつて飛行場があった所沢に約100年前にフランス技術者を招き技術伝授をした記念公園があり日仏合同式典に併せて航過飛行を実施。
始めて日本の空を飛んだ飛行機であるファルマンⅢ複葉機が眠る入間の空で展示飛行を行った。
この時式典に参加する関係者を入間基地にA400が降り立ち、式典参加の関係者の送迎を行った他、日本の報道関係者を乗せて機内の様子を公開した。
4日目は台風が発生し天候が不安定になる可能性が高かったため、中継地のジャカルタへ向かうために朝早くに隊員やファンたちに見守られ日本を後にした。


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  • 機銃どこについてるの? -- 名無しさん (2018-06-09 21:21:09)
  • 右のエアインテーク横 -- 名無しさん (2020-02-16 14:10:08)
  • グリペンやタイフーンと比べるとちょっと悪人面というかライバルキャラっぽいフォルムしてる気がする。だがそれがいい。 -- 名無しさん (2022-01-12 04:04:12)

#comment

*1 戦闘機の分類の一つで、装備の変更によって同一の機体のまま制空戦闘から対地・対艦攻撃、偵察まで幅広い任務に対応した戦闘機のこと。航空機向け電子機器やエンジン、ミサイルなど各種の技術進歩によって実現し、開発費の高騰によって用途別の機体を必要数揃えづらくなりつつある現代国家の空軍では主流の機体となっている。
*2 当時ECA計画に加わっていた5カ国のうち、フランスのみがCATOBAR式空母(カタパルトで発艦しアレスティングワイヤで着艦する方式で艦載機を運用する空母)であるクレマンソー級航空母艦を保有していた(他の4ヶ国のうち、イギリス・イタリア・スペインはいずれもVTOL機やヘリコプターを運用するSTOVL式空母のみを保有、西ドイツに至っては空母そのものを保有していなかった)。このクレマンソー級、アメリカのエセックス級空母と同程度のサイズを有するが、ジェット機対応改修を受けた同級よりはカタパルト能力で劣っていたため、発艦させられる機体の重量は20トン程度が限界だった。加えてサイズの都合上、フランスは小型軽量の機体を求めていた
*3 元々フランス空軍はミラージュF1とミラージュ2000、フランス海軍はF-8とシュペルエタンダールの後継機を求めていた。またクレマンソー級の搭載機は40機前後であり、できる限り多用途機に機種を統一した方がより効率的に戦力として運用できた。
*4 当時フランスの航空機用エンジンメーカーであるスネクマ社は経営危機に瀕しており、自社製エンジンのECAへの採用に会社の存亡がかかっていた。こうした自国産業保護の観点に加え、できる限り他国に左右されたくないという事情から、フランス政府は何としてでもスネクマ社製のエンジンにこだわっていた。

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コメント

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