とむらいの鐘(灼眼のシャナ)

ページ名:とむらいの鐘_灼眼のシャナ_

登録日:2012/02/10(金) 11:44:29
更新日:2023/08/08 Tue 13:56:15NEW!
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灼眼のシャナ とむらいの鐘 紅世の徒 都喰らい 組織 架空の組織 天秤 涙腺崩壊 中世ヨーロッパ 両翼 戦闘集団 個性派集団 精鋭



新しき世に響き渡る、

古き理を送る、

ゆえに我らは[とむらいの鐘]!!



とむらいの鐘トーテン・グロッケ]とは『灼眼のシャナ』に登場する組織。
X巻、その漫画版である『Eternal song ‐遙かなる歌‐』では彼らとフレイムヘイズとの最終決戦が描かれている。


概要

莫大な“存在の力”と卓越した自在師としての力量から当時最強とされた“紅世の王”、“棺の織手”アシズに率いられた中世最大の“徒”の大集団。
“紅世の徒”の群れの中でも異質で「同胞に仇なすフレイムヘイズを駆逐し安寧に暮らせる世界を作る」ことを目的とした戦闘集団。
『両界に革新的な試み』である『壮挙』を目的として掲げ、フレイムヘイズと争った。
アシズによる『都喰らい』をきっかけとして組織されたフレイムヘイズ兵団との18年に及ぶ『大戦おおいくさ』の末に、
本拠ブロッケン山の要塞での決戦でアシズと最高幹部『九垓天秤くがいてんびん』が討滅され壊滅した。
一部の残兵は、[仮装舞踏会バル・マスケ]に収容されている。


ストーリー構成的には明確な「悪役」なのだが、構成員それぞれの個性及び能力の高さとそのどこか悲劇的な末路から、人気は高い一団である。


主要メンバー

首領

  • “棺の織手”アシズ

「十分だ、十分だとも―――この願いさえ、あれば」


[とむらいの鐘]首領。ジャリを除く構成員からは「我が主」と呼ばれ、一人の例外もなく慕われている。
仮面をつけた、6枚の羽根をもつ青い天使の姿をした“王”。炎の色は青色。
卓抜した自在師の上、『都喰らい』で莫大な力を得た当時最強の“王”であり、『九垓天秤くがいてんびん』を筆頭に[とむらいの鐘]を率いた、両界のバランス最大の敵。
かつては“徒”の放埒を止めるために人間の少女ティスと契約し、フレイムヘイズ『棺の織手』の力を与えた最古の“王”。
しかしティスが守るべき人間の裏切りによって死亡したことから、世界を守る使命から離反し、存在の乱獲者となった。
その後の彼が名乗る真名“棺の織手”は、ティスと一体であった時に彼女が名乗っていた称号であり、アシズ本来の真名は“冥奥の環”。



九垓天秤くがいてんびん

[とむらいの鐘]の最高幹部の総称。アシズに付き従い千年以上に渡り戦った九人の強大な“王”たち。
その由来は[とむらいの鐘]が有していた巨大な上皿天秤型の宝具『九垓天秤くがいてんびん』から。
アシズが得た膨大な“存在の力”をこの宝具の特性により分け与えられ、当時の数多の“王”の中でも際立った強大さを誇っていた。


  • “大擁炉”モレク

「私如きを、必要と仰る……?」


宰相。
通称「牛骨の賢者」。宮廷の礼服を着た牛の骨の姿をしている。
『九垓天秤』のリーダーであり、[とむらいの鐘]のNo.2。
強者ではなく賢者として知られた“王”であり、[とむらいの鐘]が組織されたのは彼の手腕によるもの。
そして、大戦の真の元凶である。(後述)
アシズという、その場の感情で動く巨大な力に理論と理屈による裏付けと方向性を与え、その望みの実現へ向かう道を示して均して導く、まさに賢者たる男。自分の事を過小評価し過ぎる欠点がある。
持てる力は非常に大きく、空間制御の力は現代まででも比肩するものがほとんどいない。
その能力に反して非常に臆病な性格だが、それは慎重さゆえであり、平常時においても組織の強化と敵の弱体化に努め、その方面において限りなく有能な男。そのため、討ち手からもその手腕を恐れられていた。
目下の相手にすら敬語を用い丁寧に接するなど、非常に礼儀正しく寛容だが、人間に対しては冷徹で、“紅世の徒”としての立場を堅持している。
自身が組織のNo.2であり、主たるアシズへの上奏はまず通るため、実質的に組織の方向性はモレクが決断すれば決定されるのだが、その性格ゆえに他の「九垓天秤」の同意を取り付けることを優先するため、平時には他の面子を苛立たせることも多い。
その分、戦時や難局に置いては優秀な司令官として采配を振るう。
役職と能力の関係で前線に出ることはほとんどないが、戦略には明るく、ソカルやニヌルタには「机上の空論」と揶揄される作戦案は、結局のところ一番正しいがために最後には通る。
自身を巨大な迷宮として展開する難攻不落の自在法『ラビリントス』を用いるが、マティルダに全域まとめて吹っ飛ばされ討滅された。
『ラビリントス』を解けば回避はできたが、あまりに咄嗟のことで一緒に取り込んでいた『両翼』との位置関係を調節できなかったため、「アシズに敵を近づけるリスクを負うより、マティルダに全力を使わせ消耗させる方が良い」と考え、そのまま死を選んだ。
恋愛沙汰には極端に疎く、平時は頼りないが非常時には有能、と何気に悠二に通じるものがある。
炎の色は黄色。




「いいだろう、見せてくれ。貴公の世界を」


通称「虹の剣士」。[とむらいの鐘]最大の戦力、「両翼」の右の片割れ。
騎士の装いの美青年であり、剣に長ける。
当代最強の自在法『虹天剣』を使い、さらに虹天剣を自在に反射する“燐子”の軍団『空軍アエリア』を持つ。
初代『炎髪灼眼の討ち手』マティルダ・サントメールに想いを寄せており、アラストールとは恋敵。
ブロッケン要塞の最終決戦でマティルダに敗れ、次代の『炎髪灼眼の討ち手』を育成する役目を約束させられた。
その後の顛末はV巻で描かれている。
炎の色は虹色。




  • “甲鉄竜”イルヤンカ

「御身は、なぜ泣かれているのか?」


通称「鎧の竜」。その名の通り、鱗に覆われた巨大な四つ足の竜。[とむらいの鐘]最大の戦力、「両翼」の左の片割れ。
当代最硬の自在法『幕瘴壁』を使うメリヒムの相棒。
老人を自称する古株の“王”。
かつて“祭礼の蛇”の『大縛鎖』創造の儀式に参加した模様。因みに今の主であるアシズの契約者『棺の織手』ティスもこの闘いに参加していた。
『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルとはライバル同士であり、「大戦」では形質強化された鉄塔の上に叩き落とされ、致命傷を負い討滅された。
敵には冷徹に迫るが、本性は物静か。
炎の色は鈍色。



  • “凶界卵”ジャリ

「なにを手に入れたいのか」「差し出せと言うのか」「厚かましき者よ」


大斥候。
通称「奇怪な卵」。三つの仮面がついた人間大の卵。
空を覆う規模の蠅の群を展開する『五月蝿る風』によって情報を収集する組織の要。基本的には偵察用だが、『空軍』壊滅後の組織にとっては貴重な航空戦力であり、自身の体を守るだけの力がない者の飛行を許さないだけの防衛力も備える。ぶっちゃけこれさえなければ上空から一気に要塞に戦力を送り込めて大戦の趨勢は序盤で決まっていた
大雑把な意味を込めた出鱈目な言葉を仮面が口々に喚くという形で話し、内心は仲間でも伺い知れない(アシズだけは理解している模様)。アシズのことは「主」ではなく「王」と呼んでいる。
アシズへの忠誠心は極めて高く、最強の敵を前にしても最後の最後の最後までアシズの傍で付き従ったが、それがためにマティルダの『天破壌砕』の生贄にされた。
しかし、それでもなお塔を崩落させて妨害に走るなど、死を迎えるまで「九垓天秤」として戦った。
炎の色は亜麻色。



  • “闇の雫”チェルノボーグ

「永の助太刀も、また一興」


隠密頭。
通称「黒衣白面の女」。黒衣を纏い黒の獣耳を持つ『九垓天秤くがいてんびん』の紅一点。巨大な右手が特徴。
暗殺・遊撃を主任務とし、職名に反して部下はいない。
影に潜んで奇襲をかける自在法『影浸』を持つ。
モレクに思慕を寄せているが、度の過ぎた強がりが災いして常に冷淡な当たり方になるのが悩み。
好きな花はタンポポ。
モレクの死に半狂乱となった挙句、最後にアシズのために働くべく、メリヒムと闘って疲労困憊のマティルダに特攻同然の奇襲をかけ、致命傷を与える。
直後にヴィルヘルミナと交戦し一時は圧倒するが、冷静さを失っていたことが災いし、戦技無双の『万条の仕手』に同じ手を二度使うという致命的ミスで勝機を逃し、討滅された。
モレクへの思慕は、明晰な頭脳故に事実を明確に捉え、ゆえに怯える彼を守りたい、という庇護欲の表れであり、彼の指示に従い戦うことでそれを為す、という自分に充足感を覚えていた。
彼の死によりその根源を失い、自殺同然の拙攻を仕掛けて散った。ヴィルヘルミナはその最期を見届けた際にチェルノボーグが心底から笑っていたのを目撃しているが、「ES」ではこの時にモレクが迎えに来ていた。
炎の色は枯草色。



  • “巌凱”ウルリクムミ

「恩義に報いるためえええ、我が身命をををを、主に捧ぐううう」


二人いる先手大将の片方。
通称「鉄の巨人」。双頭の鳥が描かれた頭のない鉄の巨人。語尾を震わせるようにして延ばす独特の語り口が特徴。
戦陣を預かる指揮官であり、優れた戦術家。
鉄を集めて竜巻とともに放つ『ネサの鉄槌』を使い、先頭きって軍を率いる。
戦場以外では万事において公正で慎み深い性格。
戦場においては常に目の前の現実を見据え、事実と効果を踏まえて的確な指揮を執る戦上手で、ベルペオルをして「うちに欲しいくらいだ」と言わしめた。
大願の失敗、幹部連の戦死、そして戦の敗北という悲境にあってなお、部下たちを逃がすため戦場に留まり続け、最後は『震威の結い手』ゾフィー・サバリッシュの落雷蹴りを喰らって討滅された。
アシズに付き従った理由は不明だが、なんらかの恩義を受け、それに報いるため彼の下に参じ、その中でアシズに仇を為す者を打ち砕くことが天命であると悟ったらしい。
炎の色は濃紺。



  • “焚塵の関”ソカル

「相応の代価は、頂けるのでしょうな?」


二人いる先手大将の一人。
通称「石の大木」。
ウルリクムミとともに先陣を率い、石の森『碑堅陣』で味方を守り敵を討つ戦上手。ウルリクムミが攻撃ならこちらは防御に長けている。
戦術家としても優れているが、それゆえに驕りやすいという欠点がある。
ウルリクムミ曰く「陰険悪辣の嫌な奴」。
甲高い声で話し、言い回しがいちいち周囲の癇に障るという困り者で、謹厳実直を持って鳴るニヌルタとは不仲。
何かと言い争ってはモレクに仲裁されたり、メリヒムに力ずくで止められたりしていた。
しかし、[とむらいの鐘]メンバーの常としてアシズには至誠忠実。
『極光の射手』カール・ベルワルドと戦って討滅。「ES」ではこの一戦が描かれている。
炎の色は黄土。



  • “天凍の倶”ニヌルタ

「私は欲しいだけなのだ、私を振るう腕が」


[とむらいの鐘]主力軍を率いる中軍首将。
通称「氷の剣」。無数の剣が刺さった球形のガラス壺。
謹厳実直な指揮官だが、戦の場面は本編・外伝・漫画版とも描かれていない。
性格的にソカルとはそりが合わず、何かと言い争っては周囲の手を焼かせていた。
無数の剣を操り、浮遊させて攻撃する自在法を用いる。
小夜啼鳥』の争奪戦の際、[とむらいの鐘]の殿を守ってマティルダと戦い倒されるが、本編前に討ち死にしたためにあまり活躍が描かれず。
炎の色は黝(あおぐろ)。



  • “戎君”フワワ

「喧嘩、できるんだろう?」


通称「牙剥く野獣」。腹まで裂けた口を持つ巨大な狼。
戦い以外に興味のない性格で、自身の功名や名誉にも全く無関心。
アシズの『都喰らい』の戦いの際、戦勝の勢いに任せて追撃をかけたところ、待ち構えていたマティルダと激突、討滅された。ニヌルタ同様の理由で活躍が描かれていない。
炎の色は焦茶。



  • [その他構成員]

万単位の多くの構成員がいるが、唯一名前がわかっているのは彼女のみ。


  • “架綻の片”アルラウネ

文中では「妖花」と表現される、美女の顔を中心に抱いた花の“徒”。
ウルリクムミの副官として彼を補佐する。援護や補助の自在法を得意とする優秀な自在師。
疑問形で話す癖がある。
炎色は薄桃色。


目的

『壮挙』とは、平たく言えば“紅世の王”であるアシズと、「この世」の人間であるティスの子、つまりは二つの世界の存在の融合態である「両界の嗣子」を生み出す為の儀式。
アシズは己の全てをこの願いの実現のために費やしており、付き従った九垓天秤くがいてんびんらがこれに賛同し、助力するようになった。


それでも当初は、あくまでアシズは己の望みを果たし、9人の“王”がそれを助けるというだけのものだった。
だが、「大命詩篇」の発見によってその実現が現実味を帯びたこと、それを受けたモレクがアシズを中心とした一団全体の目的としてこれを掲げたことにより、「両界に革新的な試み」として大量の支持者が集まり(そしてアシズが誰も見捨てず迎え入れたため)、大集団[とむらいの鐘]となった。
これは、中世当時の“徒”たちは因習や慣習に縛られ、愚にもつかぬ権力争いに明け暮れる人間たちにウンザリしていた、という時代背景が大きく関っている。


代わり映えのしない「この世」に疲れていた“徒”たちは、「革新的な試みを目指す首領のもと、明確な目的を持って邁進する一団」へとこぞって参集。
アシズは彼ら、集う“紅世の徒”を一人も見捨てず迎え入れ、時には傷つき、病み、逸れていた同胞に自ら手を伸べ、同じ目的のために共に進もう、と呼びかけた。[とむらいの鐘]が巨大化したのはこの姿勢が理由であり、組織として機能したのはアシズの絶大な求心力と、的確極まる采配で舵取りを続けたモレクの存在によるものが大きい。


だがその中で、本来アシズ個人の望みでしかなかった『両界の嗣子』の生成は、モレクが掲げた「両界に革新的な試み」という大義名分を筆頭に、様々な名目、飾り、大義を纏い、どんどん膨れ上がっていった。


まさに「大きな仕掛けの、ちいさな望み」というべき目標だったのである。


“存在の力”を無茶苦茶なまでに使用する(作中では都市一つ分の“存在の力”を使おうとした)上、実行に当たってはアシズ並みの自在法の腕が必要になる。
フレイムヘイズ兵団としては、今後も別の者が真似することのないよう、成功することのない『暴挙』として阻止しなければならなかった。
仮装舞踏会バル・マスケとしては『壮挙』自体はどうでもよかったのだが(密かに『愚挙』と称していた)、教授が組織の目的に関わる自在式を持ち出して放り投げ、それが『壮挙』に使われていたためにお出ましするはめになった。


結果としてアシズによるこの試みは阻止されたが、数百年の後、創造神による新世界創造に乗っかった「約束の二人」がこの方法を実行、最終的に「両界の嗣子」の生成に成功した。
ただ、こちらは両者の存在自体を完全に変換・融合・変質・定着させたものであり、アシズの試みとは微妙な点で異なる。



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  • コイツら好きだったわ 10巻面白い -- 名無しさん (2014-02-22 21:08:49)
  • サイボーグ009がよく似合うもの(違) -- 名無しさん (2014-02-25 14:18:57)
  • 主役共の活躍より、こういう作品では珍しいちゃんとした指揮官をやってたウルリクムミが印象に残ってる。あの状況で味方の退路を確保していた(半ば押し付けたともいう)のはすごいわ -- 名無しさん (2014-05-13 01:10:18)
  • 敵がみんな格好いいんだよなあ、目的にひたむきな分ともすると味方より -- 名無しさん (2014-09-21 19:30:04)
  • 「都喰らい」の戦いや「小夜啼鳥」争奪戦も読んでみたい -- 名無しさん (2019-04-20 05:55:31)

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