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更新日:2023/08/17 Thu 18:31:55NEW!
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E=mc²
(アルベルト・アインシュタイン)
核戦略の時代
米ソはじめ世界5ヵ国で保有する核兵器は合計数万発であり,その破壊力の合計は,全地球を何十回も破滅させるに十分であるといわれる.今や核戦略とは,実際にはいかに核兵器を使用しないかという事に関する戦略であるという他はない.核保有5ヵ国に対しては,いかに核兵器を使用させず廃絶に向かわせるかという戦略も重要である.そこで核戦略の問題は,今や軍人が取り扱う純戦略の問題ではなくて,文民(政治家や官僚)が取り扱う大戦略や政略の問題となる.…
核兵器は,方式としての全面戦争をすっかり時代遅れにしてしまったといえる.
(清水龍雄「戦略学序説IV」『豊橋創造大学紀要』3巻83頁 1999年)
2007年1月4日に「核兵器のない世界」と題する論文が、ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された。その著者は、ジョージ・シュルツ元国務長官、ウイリアム・ぺーリー元国防長官、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官およびサム・ナン元上院軍事委員会委員長である。…
この4人は、冷戦期に米国の核戦略・核政策を作成し実施してきた人物であり、米国の核抑止論を主張してきた人々である。しかし現在では、テロリストに対しては核抑止はまったく効かず、新たな核兵器国の核の管理は不十分であるので、核廃絶に進むべきであるという主張である。
(黒澤満「核軍縮に関する国際情勢(13)」『核戦争防止国際医師会議 大阪府支部だより』8頁 2008年)
「どうするじゃありません!スエサイド部隊も逃げてください!核兵器は破壊力もあるけど、毒も怖いんです!」
「冗談言わないで下さい! 百年も二百年も毒を撒き散らかすものなんです!戦ってる暇はないんです!」
(∀ガンダム27話「夜中の夜明け」作中より)
●目次
■核兵器
核兵器は大きく2つに分けられる。この他にも中性子爆弾とかコバルト爆弾などがあるが実用化はされていない。
単純な破壊兵器以外では原発(これは兵器じゃない)や原子力推進(こっちは兵器に使われることもある)などにも活用されている。
◆原爆(原子爆弾)
ウランやプルトニウムなどの原子番号の遅い(即ち重い)原子核が崩壊する時に発生するエネルギーを殺傷破壊力として利用した兵器。
原理の詳細は相対性理論の項目にて。
2回もブチかまされた日本人にとっては正直、聞いていい気持ちのする言葉ではないだろう。
これと同じ理論を平和利用したのが原発だが、原発事故による二次被害、そこから派生した再生可能エネルギー運動や風評被害までもが拡大している。また、核廃棄物の保管場をどうするか、並びに、それを途方もない年数に渡って不備なく点検し続けることができるか、等も問題である。
2017年には、日本の太陽光発電の導入量は世界2位(再エネ市場は世界3位)となり、Googleは使用電力を100%再生可能エネルギーで達成した。
しかし原子力、特に原発が日本の輸入依存への緩和策となりうることも事実である。更に地方の雇用創出や予算増加にも繋がっているため、こちらの影響も考慮が必要であり、代替案やより良い提案も推進していくべきである難しい話題でもある*1。
◆水爆(水素爆弾)
原爆を重水素(D2)とリチウムで包み、原爆の熱エネルギーで重水素を核融合させて巨大な爆発エネルギーを得る。
核融合自体はよく太陽などの恒星の内部で起きている現象で、世界中の科学者が平和利用の為に研究している。
ちなみに太陽の数十倍以上の恒星は核燃料を使い果たすとブラックホールと化す。
■運搬
ここでは攻撃地点への運搬手段を紹介する。
◆爆撃機
広島と長崎に原爆を落としたのはB-29(それぞれエノラ・ゲイ、ボックスカー)。
何せ直接運んで落とす形式なので、核兵器としてはもっとも単純な運用方法だと思われる。
何も考えなければ一番簡単なのは自爆だが、それは運用とは呼べないだろう…。
しかし爆撃機は必然的に動きが遅く大きな的になりがちなので、護衛を付けたり道のりをクリーンにしておくなどの必要があったり、
さらに積載するものによって機体的な制限や動きが遅くなったりなどといったデメリットがある。
また、単に核爆弾を目標上空に運んで落とすだけではその間までに容易に迎撃されてしまうため、高空ではなく低空を進んで防空網に引っかからないようにしたり、
核爆弾ではなくそれを搭載した長距離巡航ミサイルを装備し、目標の遥か手前からロングレンジ攻撃*2を行うなど運用の工夫が求められる。
とはいえ、核だけでなく大型通常爆弾など種類をあまり問わず積載出来るのは大きな利点。
更に挙げると、爆撃機はミサイルと違って途中で引き返せるので今でも重要な位置を占めている。
◆ICBM
大陸間弾道ミサイル。一般人だとよく分からない人が多いと思うけど、単語自体は目にしたことは結構多いと思う。
今この瞬間でも地下サイロにて日の出の時を待っているミサイル。
もともとWW2でドイツが開発したV2ロケットが元。
宇宙開発のロケットの要領で高高度(ほぼ宇宙)に向かって飛ばし、力学的に決まる弾道を描いて目的地に達する。
実用に耐えうる設計・製造は非常に難しいものの従来のミサイルに比べて射程距離が飛躍的に伸びた。
更に落ちるときの速度が早い上に弾道の関係から迎撃がとても難しいことも特徴。
大国以外においては最も現実的な運用方法だが、海洋と接している国ならSLBMへの繋ぎ的存在でもある。
単純なICBMでも脅威なのにそこに核弾頭がつくと思うと、もうね…。
そんなわけで全ての国はこの兵器に関してとてつもなく過敏な反応を示しているが…当然だね。
もちろん日本も例外なく怯えている。
ちなみにアメリカ⇔ロシア間は30分で着くので、世界の終焉が決まってから30分間はせいぜい有意義な時間を過ごそう。
と思っていたら北朝鮮もそろそろ普通に完成させていそうだし、核弾頭も…というところで実の所、日本の終焉は30分どころではなかったりする。
(例)
- アメリカ
- ミニットマンIII
- ピースキーパー
- ロシア
- SS-18,19,24,25
- 中国
- 東風5
- 北朝鮮
- てぽ☆どん2
- 火星シリーズ
- 絶対に持っているだろうとされる国々
- イスラエル
- パキスタン
- インド
- 多分持ってるかも?
- イラン
- すまんね
- イラク
◆SLBM
潜水艦発射弾道ミサイル。日本語訳の通り、ICBMを水中からでも撃てるようにしたものと考えればおk。
非脆弱性(後述)を持つ最強の核抑止力。
なんと言っても全世界を射程に収めるミサイルを搭載した、動くミサイル基地がどっかの海中に潜んでると考えただけで……、
核で先制攻撃すればどんな国も余裕で滅ぼせるんじゃね?という幻想を打ち砕いてくれます。
やはり良くても相打ち、悪くて世界滅亡に繋がりますね。
対策?発射される前に潜水艦を見つけて叩ければあるいは?
ある程度は発射口の予測や観測の出来るICBMよりも発射の予兆も弾道も読めないので、現時点では絶望としか言えないレベル。
そんなわけで全ての国はこの兵器に関してとてつもなく過(ry
(例)
潜水艦部門
- アメリカ
- オハイオ級原子力潜水艦
- ロシア
- タイフーン級原子力潜水艦
(サウナ・プール付の世界最大の潜水艦) - イギリス
- ヴァンガード級原子力潜水艦
(拠点がスコットランドのため、独立問題の際に一悶着あった) - フランス
- ル・トリオンファン級原子力潜水艦
- 中国
- 092/夏級原子力潜水艦
- 094/晋級原子力潜水艦
(故障が多いためかあんまり評価は宜しくない。ただ脅威なのは確か)
ミサイル部門
- アメリカ
- トライデント
- ロシア
- SS-N-6,8,17,18,20,23
なお、イギリス・フランスはICBMこそ持っていないがSLBMを持っている。
もちろん北もこれの製造を目指している。実際の進捗状況はもちろん不明で、ほとんど想像で話が進んでいる。
このアンチユニットがロサンゼルス級潜水艦に代表される攻撃型潜水艦と呼ばれるもの。
◆他
上に挙げた戦略核兵器とは別に戦術核兵器と呼ばれるものがあり、
巡航ミサイルや機雷・魚雷に搭載されることはある。その最たる例がフランス原子力空母「シャルル・ド・ゴール」。
- 巡航ミサイルは速度が遅いので迎撃されやすく
- 機雷・魚雷は味方に誤爆し易く、やはり迎撃もされやすい
- 核兵器使用は核兵器の応酬を招くのは想像に難くない
- これらの短所を無視してまで、あえて戦術兵器にする長所はほぼない。
以上の理由などから配備が進んでいるとは言えない状況である。
ちなみにアメリカは戦略核兵器を好み、ソ連は戦術核兵器を好んでいた。
つまりこれは、米ソで想定してた戦場が違う(あるいは抑止力としても考え方がわずかながらに異なる)ということである。
一発辺りの単価・作りやすさや研究・実験のしやすさなども関係していると思われる。
◇MIRV
MIRVとは一言で言えば
- 複数独立目標弾頭
- 個別誘導複数目標弾頭
- 多目標弾頭
みたいなかんじ。
よーするに弾道ミサイル一発でワシントンやらニューヨークやらフィラデルフィアやらを沈めることが出来ますよ。ということ。
弾頭が別れるので益々迎撃が難しい。
流石にこれはマズいと思った(当たり前)米ソ両国はSALTU・STARTでMIRVを撤廃した。
しかし、アメリカはこれらの協約の期限切れを以て再びMIRV化弾頭を配備したりしてやっぱ予断を許さない。
想像上の話だが、当然こちらに関しても北は開発を目指していると目されている。
■使用すると…
核爆発によって発生する主な効果を簡単にあげると「熱線」「爆風」「放射線」である。
更に「放射能汚染」ももたらす。
◆熱線
核爆発によって発生した火球によって、広島型原爆ですら数万度を超える熱線が照射された。
これにより短時間で一気に大量の熱量が照射されるため、爆心地では地表温度が3000度を超え、
木造家屋などの可燃物は自然発火し、火災が広がる。
このような熱線を受けて人体が無事であるわけもなく、爆心地1キロ圏内で直撃すると皮膚は一瞬で炭化し、剥がれて垂れ下がってしまう。
一瞬で死ねればまだマシ…かどうかなど分かるわけがないが、仮に即死を免れても重度の火傷を負うことで大半が苦しみながら命を落とすことになる。
もちろん熱線を直撃した衣類などは融解したり燃えたりして肌に焼付く。
多少距離が離れていたなどで一命を取り留めたとしても、ケロイドなどの痕になって残ってしまう。
熱線の凄まじさを端的に表したものとしては、広島や長崎で熱線照射時の人影などが非可燃性の床や壁に残ったと言えば分かりやすいだろうか…。
電磁波なだけにとてつもない速度なので、爆発前から物陰などに避難していないと回避不能。
◆爆風
爆発によって数十万の気圧が発生し、気圧差によって音速を超える猛烈な爆風が吹くことになる。
特に風圧は凄まじく、熱線による破壊を免れた建造物も崩壊する。
熱に関しては風圧と熱線の関係でやや影は薄いが、猛烈な熱量を急激に拡散させることには変わりない。
人体に関しては爆風に吹き飛ばされたり、吹き飛ばされた石やガラスが散弾状の破片となって突き刺さったり、衝撃で眼球や内臓が飛び出たり、
建物の崩壊に巻き込まれたりと非常に危険。
これも死をもたらす大きな要因となる。
爆風に関しては熱線・放射線と比べれば少しだけ避難する余裕はある。
爆心地付近や近くにまともな障害物がなかったなど、運が悪ければどうしようもないことに変わりはないのだが…。
あくまで空気の圧力による破壊のため空気のない宇宙空間で起爆させてもほとんど発動しない。
『逆襲のシャア』でアクシズを核ミサイルで破砕する作戦があったが、熱や光や放射線はともかく
もっとも求められる物理的な破壊エネルギーについては実は不向きな用法だったりする。*3
とはいえ宇宙では物理エネルギーは大きく減衰するというだけでそれでも核兵器が危険なものには変わりないが。
◆放射線
アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線などの放射線が発生、また中性子線によって誘導放射能が発生する。
また電磁パルスも発生し、電子機器は使用不能となる。
さらにキノコ雲にも放射能が含まれ、そこから発生した放射能を含んだ塵などが混じった黒い雨が降り注いで周辺一帯を放射能で汚染する。
爆心地付近にいる人は強烈な致死量の放射線を受け即死することになる。
即死しなかった場合でも、放射線による障害や疾病によって苦しむこととなる。
厳密には放射線で即死するような場合は大抵熱線をもろに浴びているわけで、『放射線のみで即死』はほとんど確認されていない(※簡単には判別できない)と思われるが、
熱線は放射線でもあるので爆発してからの回避はほぼ不可能である。
放射線のうちガンマ線や中性子線は透過性が高いために防ぐのが困難。もちろん物陰に隠れていれば多少なりとも防いでくれるのだが…。
逆にアルファ線やベータ線は遮蔽物に隠れていればほぼ防げるのだが、その分直撃するとすぐに被害が発生する。
放射線だけでも隙を生じぬ二段構えというわけである。
熱線で焼けたのが一部分だったり障害物で緩和されたなど死ぬほどではなかったとしても、被爆はしているという場合もある。
症状の重さは状況にもよるし人によっても変わるが、重篤化するケースも当然多い。
ちなみに即死に至らず且つ致死量を浴びていた場合は、全身が焼ける感覚などの症状に襲われ、とても苦しみながら死ぬことになる。
◆放射能汚染
前述しているが、爆風やその後降る雨*4に放射性物質が混ざり周辺地域を汚染する。
一応前3つとは異なり、灰がかかったり雨が降り始める前に被爆地域から速やかに撤退して洗浄などの適切な対処によってある程度は対応可能…ではある。
放射線で挙げた通りこちらで即死することこそほとんどないものの、「放射能で結果的に死に至る」例については珍しくない。
もちろん死ぬほどではなくとも障害に至ったり、体に何らかの影響を与える例も多い。
各国の原爆実験場近くの市民や第五福竜丸などの被害要因も主にこれ。
放射性物質が時間差で降り注いだり、気流にのって拡散することで、思わぬ被害拡大に繋がってしまうというわけである。
タチの悪いことに時間差で広範囲に渡り汚染するために、前3つに対して助かった人達や救助のためなどで現地入りした人たちはこれで大体一網打尽である。
しかも目に見えない被害なので、知識が無ければ放射能汚染には全く気付くことができない。
原爆の詳細を知らない場合、白血病によって出血が止まらなくなったり、貧血(気怠さ)や嘔吐や頭髪が抜けたりしてようやく気付くレベルである(※放射線による影響は色々とあり、画一的な症状が出るわけではない)。
これは骨髄などの細胞周期の短い細胞ほど危険であるため。
長期的に見ると発癌の可能性も高まるがこちらは主に統計によるものであり、おかしな症状ではないが、あまりに長期にわたることから厳密な解明はあまり進んでいない。
ちなみに被爆してすぐに鼻血を出したり、体調はほぼ問題ないのに鼻血が出たことで初めて異常に気付くなんてことはまずない。
軽度の被ばく単体ではすぐさま出血させる要素はほとんどないため*5、そういう事例があったとしても他の環境要因(+風邪)などに起因する可能性が高い。
放射線被害で鼻血が出る可能性もあるが、その場合は骨髄や内臓や脳やら皮膚などにもダメージを受けたり、他の箇所からも出血しているような重篤状態に陥っている可能性が高い。
例えば1999年のJOC東海村臨界事故では、至近距離で放射線を浴びた作業員が皮膚を含めた全身の細胞の再生が立ち行かなくなり死亡しているが、この様な状態ならばおかしくない。
放射能による症状は状況・人それぞれによって違い、数年後になって発症することもままある。
仮に被害が無くとも風評被害を生むなど、肉体・精神面のそれぞれにおいて大量の二次被害者を出す結果となった。
一応爆心地から概ね2キロ圏内に居ながらも、運良く放射線の影響があまりなかったと思われる人もそこそこ居る。
こちらは被害に遭ってからすぐに爆心地から避難したケースも多いと思われる。
例として、現在の原爆ドームから170mという爆心地近くの燃料会館の地下室で探し物をしていて直撃を免れた男性は、建物を脱出後降ってくる火の粉を板で避けつつ避難、当日中に廿日市市へ逃れてその後37年間生存(84歳で逝去)している。
この男性の同僚は他に7人生きていたが、避難に失敗したのかその場に止まった時間が長かったのかいずれも助からなかった。
広島・長崎での原爆投下時においては、研究者以外は放射能のことなど知らなかったことも被害を続出・拡散させた。
それどころか原爆研究者達ですらデータ不足で影響を把握していなかったというか…
では日本人研究者は? 当時の日本の発表によれば、科学者は大いに戦争や戦略兵器に貢献しており、しかも、日本製の原爆は実戦投入寸前だった(ということになっていた)。
(例)
優秀な學者が電波兵器その他の新兵器研究第一線に多大な貢献をなしつヽある 原子核エネルギーの実用性の研究などは時局的にも意義深いものである
一事が万事この調子だった。むしろ電波を飛ばしてるのはその発表体制だという気がしなくもない
では実情はと言うと、勇ましい物言いに反してかなり絶望的だった…と現在の科学史学では考えられている。
理研では食料の確保にも苦心しており、味噌汁の具になるものはないかと野草を探すのが職員の日課となっていた。ウラン分離を担当していた木越邦彦は山形高校の校舎に疎開しており、毎日かなりの時間を草刈りに費やし、狩った草を農家で牛乳に交換してもらっていたという。戦争末期、科学者たちもまた、兵器研究に専念するどころではなかった。
(『核の誘惑:戦前日本の科学文化と「原子力ユートピアの出現」』281頁)
2017年現在においても、人体への影響を完全に把握出来ているとは言い難い。
なお、日本では原爆被害の補償に関しては「投下後2週間以内の半径2km以内立ち入り」も被爆者と認定されている。
◇放射能汚染とは一体何か
まず社会環境的に見ると、放射能汚染は前述の通り、猛烈な不安や風評被害を発生させ得る。専門的調査が入らない限り、不可視の被害だからである(人体や服などにも放射性物質は付着する)。
放射性物質が体内に入り込んだ場合は、医学的問題(※内部被ばくや二次被害等)が増大することも厄介である。
惨状によるトラウマもだが、これらによる差別を嫌って当時のことを語りたくないという者や、被爆者ということがバレて縁談を破棄されたなどの話も耳にする。
もっと言えば放射能の被害の説明・理解が難しいことも、風評被害を発生させやすい要因となっている。
放射線による即死に至る致死量はさほど高くないことから放射線被害は大したことないという誤解を与えやすいのもある意味厄介なところ。
えてして「騒ぎすぎor軽視し過ぎ」のどちらかに偏りやすいため、適切な知識・情報を得ることが非常に重要である。
どちらに偏っても、被害者にとっては気分の良い話ではない。中には利益を得たいだけの人もいるが、そこはまた別の話である。
また放射能被害に関する情報は各国の政治的思惑・被害者やその支援者の思想の影響なども大きく受けており、
情報が錯そうしているせいで正確な情報を得ることが非常に難しいこともこの迷走に拍車をかけている。
特に核実験に関しては、旧ソ連や現在の中国・北朝鮮のように情報統制の厳しい国もあり、汚染地域の調査すらままならない状況である。
自然環境を見ると、放射能は被爆地を中心に、地球の生態系にも影響を及ぼす。地球科学の観点からも、放射能汚染は重大な問題である。
例えば、東京大学出版会の『Isotope News』(2015年9月号)は、『原発事故環境汚染:福島第一原発事故の地球科学的側面』という研究書を紹介して
「いまだ避難生活を余儀なくされている人々も多く、除染により生じた汚染廃棄物の処理もままならない現状では、とても問題が収束に向かっていると述べることはできないであろう」と掲載している(42頁)。
放射能汚染の程度にもよるが、「放射線・放射能のリスク回避のため企業・住民が離れる」という影響も大きい。
これを調べるとなると原子核物理学だけでなく、自然地理学・社会科学など多岐にわたり、厳密に調べることは人体の場合よりも難しい。
動植物などの放射能の蓄積状況だけなら、まだ分析しやすい。しかし環境開発制度研究者の長谷部俊治によると、放射能汚染は自然環境と社会環境とで問題が絡み合っており、「基礎的な調査研究から始めなければならないような、根の深い問題」とされている。
「環境の回復という視点の欠如」
「事故によって損壊したのは、生活や資産だけではない。自然を含む地域の環境全体が変容したのである。生活再建や地域の復興は、多層にわたる環境に支えられている。その回復が見通せないとすれば、対策は上滑りなものとなる。とりわけ生態系の回復は重要である。
この問題は、安全確保の要請と密接な関係にある。除染は汚染された物質の位置を人為的に動かしているのであって、放射性物質が消え去るわけではない。残された放射性物質は物質循環に従って移動し、それに伴い汚染の状態が変化する。」
(長谷部俊治「原発事故被災地再生政策の転換:地域政策からのアプローチ」『サステイナビリティ研究』54頁 2015年)
一方、汚染を嫌って人間の手が入らなくなるために、放射能汚染された地がかえって自然豊かになることもあり得る。
原発事故後、動物の「楽園」と化したチェルノブイリは分かりやすい例である。
環境科学者ジム・スミスによると、放射能は「安全」のレベルではなく、「彼らのDNAが損傷を受けていることは確実」だが、「土地開発や人間が居住することのほうが、野生生物にとっては脅威」とのこと*6。
■結果
端的に言って、一発の核兵器によって一つの都市がいとも簡単に壊滅した。
これは1945年の広島と長崎での話であり、しかも実験的な意味合いが強かった(そのこともあって広島、長崎+小倉などいった候補地への空爆はほとんどしていない)。
ついでに言うと実際に観光しにいった結果、原爆について知ると同時に「公園近くに落ちたのは幸運だったね」などと勘違いする人が結構多いのだが、広島平和記念公園と長崎平和公園は一発の爆弾で街が吹っ飛んだ跡地の極一部を公園として整備したものである。
細かい事情を抜きで今の核兵器を戦略的に活用した場合、
都市圏を崩壊・立ち入り出来ない様にすることと、広範囲に渡る電磁パルスの影響で日本程度ならば一発で滅ぼせるとも言われている。
WW2当時と異なり、色々なものが電子機器に支えられていることも大きい。
■核抑止力
核抑止力とは核兵器が飛んでくるのを理論的に防ぐ為の力のこと。
しかし今の世の中では核兵器に対抗しうる兵器は核兵器しかないので必然的に
「核抑止力=核兵器」ということになる。
なので核保有国では敵国に先制攻撃を食らった時に反撃するに十分な核兵器を残しておかねばならない。
もちろん奪われるのは論外である。
そのため、
SLBMの存在は勿論のこと、
ICBM発射基地を地下サイロに埋めたり、可動式にしたり、
戦略爆撃機をいつでもスタンバイさせる
などの対策が必要になり、核兵器を造ればそれで終わりとはいかない。
隠し玉が一発でも通れば破滅を招く以上、他国の持つ核を完全に潰すことは実質できないし、仮に撃つ事態が起きれば他の国も撃ってくるかもしれない。
だからといって単純な攻撃力としてなら頼もしい限りの核をホイホイ放棄すれば他国に漬け込まれるし、そもそも放棄したと宣言してあっさり信用する国がどれほどいるのか……。正直言ってキリがない。
悪代官がいつも謎の病死を遂げるのはどの時代も変わらないのである。
そして上に挙げた事を相手に示せば、
「嫌いだが親の仇というほどでもないし、万が一にも反撃されるのは勘弁」
となり、核抑止力に繋がると言うわけである。
ただ、言い換えれば「仮に親の仇となれば、例えあいつと刺し違えてでも…」となるのが人の情なわけで、
「復讐されるのが怖かったら恨まれるような真似はするな」ということでもある。
どれだけ力の差があろうとも、誰しも窮鼠にも猫にもなりうる可能性があるのだから…。
■厳密な意味での核兵器ではないが、放射能の危険がある兵器
◆汚い爆弾
戦略核兵器及び運搬手段(爆撃機やICBMなど)を製造・運用するのはとても難しい。
少なくともそこらの武装集団が手軽に扱えるような代物ではない。
しかしながら放射能を利用しただけの兵器ならテロリストでも十分に製造・活用可能であり、現実的な危険である……。
要するに放射性物質を混ぜた爆弾を爆発させるだけでも脅威である。
また、核物質保管庫などを爆破して放射性物質を飛散させた場合にも同様のことが言える。
◆劣化ウラン弾
使用済みの核燃料の再利用・重金属としての比重を利用した高性能弾として用いられる。
対戦車砲などとして用いられるために衝突時に粉末化して飛散するために内部被ばくに繋がりやすい。
劣化ウランの放射能自体は弱めだが半減期が途方もなく長いため、環境汚染も長期にわたる。
仮に放射能の影響を考慮しなくても、重金属なので体内に入ると結局危険なことに変わりはない。
時間差による生物濃縮にも注意が必要となる。
また、戦争アニメなどでもみられる描写だが子供たちが弾丸の薬莢を拾って宝物にしたり売って小遣い稼ぎに利用したりすることは実際に行われている。
当然劣化ウラン弾が入っていた薬莢などはウラン粉末などで放射線まみれである。この結果子供たちが気づかずに重篤な被ばく被害にあっていることを知っておいてほしい。
◆放射性物質そのもの
兵器というより毒物という扱いだが、暗殺に使われることもある。
実際に2006年にイギリスに亡命したロシアの元FSB諜報員が暗殺された事件で有名になった手法。
主に飲食物に混入させることで経口摂取させ、内部被ばく(長期間放射線を体内から浴びる)させることで死に至らせる。
この場合体内に存在する間に致死量に至れば良い上に、原材料を保持している国ならば開発・製造費用はあまりない。材料の管理と用意が最大の問題である。
外部被ばくの形でも狙えるはずだが、工作の手間と確実性に欠ける点から内部被ばくが基本スタイルではないかと思われる。
基本的に即死するほどの量は混入しないので発覚が遅れやすく、しかも初期症状の間は最初から疑っていない限り体調不良の原因も分かりづらい。
気付いた時点で基本手遅れでどうしようもなくなっている。仮に致死量でなくとも骨髄やら内蔵などにダメージが蓄積して結果的に致命傷に至る可能性も高い。
ただし、下手な毒物以上に管理に困る上に、持ち込み自体が密輸であったり国際問題に繋がったり、最終的には症状で推測できて解剖などで証拠も出てくるなど、
感情論を無視しても欠点は多い。
そのため完全犯罪目的などではなく、『手段を選ばずに絶対殺す』という裏切者(あるいはその関係者)への示威効果の意味合いが強いものと思われる。
兵器としては余談だが、1987年のゴイアニア被曝事故に見られるような、廃病院に放置されていた放射性物質が盗難され、次第に格納容器も解体されていき、
光る放射性物質に興味を抱いた住民が持ち帰ったり接触したりして次々に被害が広まっていった…なんてケースもある。
■オマケ
☆弾道ミサイル迎撃ミサイルは米ソ両国で開発を推し進めてきたが、
- やはり弾道ミサイルは高性能、特にMIRV化弾頭になると防ぎようがない。
- 今の核抑止力で十分
- てかこれ核抑止力薄れるよね
- 大金かけたけど費用対効果あんの?
と特にアメリカで不要論が噴出し、結局アメリカでは撤去してしまった。
☆近年は米露のICBMが減る一方で中国のICBMの数が増え続け、遂にロシアを超えるに至った。
☆日本にも導入が進められているPAC-3(PAC-3/Config.3形態)を主とした、最近流行りのMD(ミサイルディフェンス:弾道ミサイル防衛構想)は、
イラン等のいわゆるならず者国家が持つ核抑止力を削るためである。
上述のように五大国の核兵力には抵抗しきれないが、やせ我慢の強がりの面子を叩き潰し追い込むことが目的。
現在は研究が進み実験も成功を重ねている。
ただ精度は昔より向上していると思われるが、実戦でどの程度の精度を発揮出来るのかは不明。
少なくとも絶対的なモノではないので、これがあるから恐れる必要はないということではない。あくまでも防衛要素の一つである。
☆核兵器を起爆する前に通常兵器で爆破した場合、基本的には核爆発は起きないとされている。
核爆弾にはいくつかの種類があるが、2017年時点ではいずれも核爆発に至るには厳しい条件をクリアする必要があり、起爆プロセスを順序良く実行する必要があるためである。
理論上では簡易的な手段で核爆発を引き起こすものもあるが、そちらは現在の技術では大規模装置が必要で実用化されていないと目されている。
これらから通常兵器で爆発させた場合、爆弾の外装などの落下物や積載されている放射性物質(放射能)の飛散と、
対抗策の運用コストやその後の混乱(核兵器を使われてのらりくらりとしているわけがない…というか何とも思っていなかったら別の意味で危険)などが主な被害となる。
■創作において
前述のように非常に強大な兵器であるため作品によって扱いは多岐に渡る。単純に強い兵器として使われるよりはどちらかというと「発射をめぐる攻防」や「核戦争により世界を荒廃させてしまった」といった形での舞台装置として登場することが多いか。
他には「核でも倒せない相手」という咬ませ扱いにされることもある。
■ゲーム作品において
前述の舞台装置としての登場の他、戦略シミュレーション系の切り札やロボット系の必殺武器として登場することが多い。
プレイヤーが自由に使える場合何故か使用リスクが全然無い事が多いので通常兵器感覚でバンバン使われることも。リスクがあってもプレイングで無視できる場合はやはり容赦なく使われる。
■核兵器が登場した作品
○ぼくらの~alternative~
○Falloutシリーズ
○半熟英雄4 〜7人の半熟英雄〜
○学園黙示録
○デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!
○ゼロの使い魔
○メタルギアソリッドシリーズ
○機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
○機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
○∀ガンダム
○機動戦士ガンダムSEED
○ゴジラ
○はだしのゲン
○相州戦神館學園 八命陣
○フルメタル・パニック!(原作小説版)
○ゴルゴ13
○スプリガン
○PEACE MAKER
○シェイファーハウンド*7
○ブラック・ジャック等の一部手塚治虫作品
○北斗の拳*8
○SCP Foundation*9
○静かなるドン
○CoD4 MW
○CoD WaW*10
追記・修正は、核による悲劇が二度と起きないように願いながらお願いします。
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*2 例えばアメリカが開発した核搭載型長距離巡航ミサイル「ALCM」の場合、射程は約2400kmとされる。もちろん目標を射程に収めるまでに搭載した爆撃機が敵軍に迎撃されたり、発射された巡航ミサイルが目標到達までに迎撃される可能性はあるが、それでも核爆弾を目標上空まで運搬して投下するよりは爆撃機の生存性は飛躍的に高まる。
*3 小説版では「博物館もの」と呼ばれるほど古い核兵器を引っ張り出した設定なので宇宙でも破壊力を出せるような改造をされてるかも疑わしい。
*4 黒い雨と言われているもので、雨の他に灰なども含む。ただしこれは爆風による塵などによるもので放射性物質を含んだ物体が必ずしも黒いというわけではない
*5 原爆による重度の被爆者で後に死んだ人ですら、最初は自覚症状がなかった人も大勢居た。
*6 「動物の楽園になった世界の立入禁止区域5カ所」
*7 核兵器と明言はされていない
*8 核兵器自体は登場しないが核兵器の打ち合いでいわゆる『世紀末』に。戦争前までは戦争こそ頻発していたが、現実に近い世界だった模様
*9 怪奇創作コミュニティ。収容違反対策として当たり前のように「核兵器」「核起爆装置」が登場する
*10 エピローグにて…
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