登録日:2012/06/06(水) 11:15:58
更新日:2023/08/17 Thu 18:16:41NEW!
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mtg 奇跡 一人去るとき 独楽 イカサマ キーワード能力 アヴァシンの帰還 神引き 安い奇跡 中にはマジ奇跡 奇跡は起こすもの 積み込み
奇跡/Miracleとはアヴァシンの帰還にて登場したキーワード能力。
各ターンの始めに引いたカードが奇跡を持つ場合そのコストで唱える事が出来ると言うもの。
早い話が今引きをシステム化したものである。
それぞれ普通に唱えるには割高だが、奇跡コストで唱えられれば破格のコストで大きなアドバンテージが得られる、または危機を脱する事ができる。まさに奇跡である。
奇跡の発動タイミングは引いたカードを公開した時なので基本的にはドローステップで使うことになるが、その際はソーサリーでもそのタイミングでプレイ可能。
もちろん相手ターンでもインスタントドローなどで引いた場合には公開して奇跡コストでキャスト可能。
なのでデッキトップを操作しておいて「相手の終了ステップにインスタントドロー→終末」なんて芸当もできるし、極端な話「お願い、何か来て!」と《選択》を打ったら《終末》がめくれてそのまま勝ちなんてこともできるわけだ。
スタンダードではあまり見られなかったが、お手軽ライブラリー操作が山程あるレガシー以下の環境では相手エンドにデッキトップ操作→通常ドローで奇跡という流れは定番。
モダンでも《選択》が使用可能になったことなどに伴い、見られるようになってきた。
「今引きすれば強い」という分かりやすい理念のおかげで人気があるが、その一方でプレイヤーからの評価は「大好き!」「大嫌い」と真っ二つに分かれる。
今引きゲーを嫌う層、という話もあるのだがそれ以上に実際に使ってみるとかなり問題が多いのである。
たとえば奇跡は不正防止のために引いたその時に公開しなければならず、そのまま手札に混ぜてしまうと「今引いた」ことの証明が難しくなるので奇跡効果が使えなくなるとルールで定められている。こういううっかりからのトラブルを防ぐため、奇跡カードはすぐに目に付くようにカード枠が専用のデザインになっている。
しかしそういったことがなかったとしても、「奇跡をにおわせるテクニック」というのも必要になってくる(ブラフ)。奇跡コストを使って打った時の恩恵が非常に大きいので、相手にそれをにおわせて圧をかけていく必要があるというもので、これは公式のストーム値解説コラムでも言及されている。
また、不正行為の積み込みとも非常に相性が良い。特に現在奇跡が存在する環境は、フェッチランドのようにデッキに自然に手を付ける手段が多く採用されており、不正行為を非常に行いやすい。
悲しいことだが、奇跡がトップメタだった頃のレガシーではたまに見受けられた。さらに不正しているなんて思われたくないというプレイヤーが不正をしていないと証明するために心を砕いたりと、とにかく普通に使うだけでも疲れてしまうのである。
公式コラムでも奇跡はプレイに関し特殊な神経を使うと言われており、好き嫌いがはっきり分かれるとのこと。
さらに以下にカード一覧で示す通り、奇跡は色ごとに強さがはっきりと分かれてしまっている。
スタンダード当時は黒に奇跡が存在せず、緑の奇跡はクリーチャーに大きく依存する。その一方で赤は《忌むべき者のかがり火》がスタンで大活躍してしまい、白に至ってはレガシー級のカードが2枚も登場して禁止カードを生む原因にもなった。
そのため黒や緑のプレイヤーは奇跡を嫌ったりやっかんだり、「白は優遇されている色である」という論拠として好んで用いるなど、好きな人が熱烈に語るほどにそこまで好かれたメカニズムというわけではない。
レガシーには奇跡と相性の良いカードが多く、特にトップメタの一角だった「相殺コントロール」と、全体除去やトークンの展開を行える白の奇跡カードは非常に相性が良かった。ライブラリートップを操作できる《師範の占い独楽》《渦巻く知識》によってカードを積み込むことが日常的に行われ、「奇跡は積み込んで起こすもの」などと笑い話にされたものである。
そんなデッキがトップメタになってしまったことを受け、ただでさえ遅延で悪名高い《師範の占い独楽》の使用者数が増えてしまい、レガシーでも禁止カードと相成った。強いデッキは使用者が増えるのだが、奇跡デッキの場合は複雑な盤面での判断基準が難しかったのだ。禁止になる前のレガシープレイヤーの間では「弱い奴が奇跡デッキを使うな」という意見がまかり通っていたほど。もちろんどこまで本気かは人によるだろうが、これでは禁止になるのも無理からぬことだろう。
つまり賛否両論。そして賛側は「強いし楽しい!」と10文字以下で好きな理由を説明できるため、どうしても否側が長くなってしまう。
ストーム値は8。まぁフェイジングとかマッドネスとか戻ってきたし、そのうち戻ってくるだろう。
さて、ここまで奇跡というキーワードについて大まかに説明した。
それでは主な奇跡について見ていただこう。
Bonfire of the Damned / 忌むべき者のかがり火
(X)(X)(赤)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。忌むべき者のかがり火はそのプレイヤーとそのプレイヤーがコントロールする各クリーチャーにX点のダメージを与える。
奇跡(X)(赤)
当時のスタンダードにおける最強火力と名高い奇跡呪文。神話レア。
赤の全体火力でありながら被害を受けるのは相手だけであり、
最悪でもプレイヤーに対するX火力になるので、どんな時に引いても気軽に奇跡しやすい。
さらに奇跡で撃てずに3ターン目にX=1、5ターン目にX=2で撃っても十分強力、
奇跡で撃った時のGG感は言うに及ばず(俗に言う「かがり火ゲー」を生み出した)。
おまけに奇跡も素撃ちもシングルシンボルなのでタッチで使える、
と三拍子も四拍子も揃ってる超優良火力呪文。
無論ノンクリーチャーデッキ相手では本体X火力にしかならないし、重いクリーチャーがメインのデッキ相手でもクリーチャーを焼くのは困難になってしまう。
ところが、スタンダードの環境はまさに小型クリーチャーによるビートダウン全盛期であった。
スタンダード前期はデルバーやイリュージョン、後期は人間や呪禁オーラや赤系ミッドレンジなど。
カモるべきデッキに困らないこのカードはアヴァシンの帰還のトップレアに輝き、
「2012年を代表するカード」として選ばれるほどに大活躍した。
ただし、環境にがっちり噛み合ったがゆえの強さであるため、スタンダード落ちした後の出番はそこそこに留まっている。
余談だが、アヴァシンの帰還発売当初は「普通の神話レア」程度の値段だった。
X火力はあまり強くないというイメージが先行していたのかもしれない。
また、どちらかというと使われて初めてヤバさがわかる類のカードでもあるからだろう。
逆にこのカードの「評価の急上昇」の印象が残っていたのか、次のブロックで登場した《オレリアの憤怒/Aurelia's Fury》は高評価からの急落という真逆の経験をすることになる。
Terminus / 終末
(4)(白)(白)
ソーサリー
すべてのクリーチャーをオーナーのライブラリーの一番下に置く。
奇跡(白)
白お得意の全体除去呪文だが、タイミングを選びたい呪文と奇跡は相性が悪い。
が、その分奇跡で打てればたった1マナと言う破格の奇跡コスト。
また、再生も不死も死亡誘発も死亡後の墓地利用もトークンの生存も一切を許さないライブラリー送りと言うのも大きい。
なにせイニストラード・ブロックは墓地利用のブロックである。
全除去を撃つ側の求める能力としては完成形に近く、
素撃ちの6マナという重さに関わらずコントロール系には割と遠慮のない枚数が投入されている。
スタンダードでも強力ではあったが、主戦場はレガシー。ドロー操作が多く、軽い呪文こそ正義であるこの環境で、
1マナ全体除去と言うのは強力無比であり、「青白奇跡コントロール」と言うデッキタイプを成立させ、成立から3年以上もトップメタに君臨し続けた。その後主要カードを禁止されたものの、同デッキタイプは相変わらず環境上位に居座っている。
また、最近はモダンでも見られるようになってきた。「奇跡1マナ」と「墓地に送らない」の2つの点が大いに生かせる環境であり、
手札に来てしまったこのカードを処理できる《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が解禁されたのが大きい。
Entreat the Angels / 天使への願い
(X)(X)(白)(白)(白)
飛行を持つ白の4/4の天使(Angel)クリーチャー・トークンをX体戦場に出す。
奇跡(X)(白)(白)
マナを振り絞っての最後の願いが天に届き、強烈な天使トークン達が降臨する。
素撃ちは5マナで4/4飛行が1体、7マナで2体とまずまずのコストパフォーマンス。
もちろん奇跡は言うに及ばず。奇跡コントロールにフィニッシャー枠として採用されている。
レガシーにおいても、終末と共に「青白奇跡コントロール」隆盛の立役者だったが、近年はちょっと重いからか抜かれることも多い。
リミテでは初手ピック級の完全なるフィニッシャー。
奇跡で唱えることさえできれば、盤面の状況を完全に無視して勝ちに持っていける。
Revenge of the Hunted / 狩られる者の逆襲
(4)(緑)(緑)
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+6/+6の修整を受けるとともにトランプルを得て、このターンにそれをブロックできるすべてのクリーチャーはそれをブロックする。
奇跡(緑)
1体のクリーチャーがガチムチ化して無双し始める奇跡。
2/2ぐらいの熊に使っても容易に2:3交換ぐらいまで持っていけるし、
接死持ちに撃つと相手のクリーチャーは甚大な被害を被る。
緑という色が素撃ちの重さをカバーしてくれるので、
ハンドに抱えた状態からフィニッシャーをフォローすることもできる。
だが、こちらのクリーチャーが飛行のみ、相手のクリーチャーに飛行持ちがいない場合
単なる打点アップにしかならないのでいまいち使い勝手が悪い。
調子に乗ってこれでムキムキにした極楽鳥で殴ったら誰もブロックしてくれず
返しのターンにフルパンでGG、などというケースもあった模様。
ただし当時の緑は呪禁を得始めた時期であり、これとさらに似た効果の《自然の祝福》を入れた「緑単奇跡」というデッキが野良大会を荒らすこともあった。
動きが当時始まったばかりだった別のカードゲームをどことなくほうふつとさせるため「ヴァンガード」なんて呼ぶプレイヤーもいたとか。
当時のMTGはまだカジュアルに遊ぶゲームとしては敷居が高かったため、なかなか記録に残らない話である。
Temporal Mastery / 時間の熟達
(5)(青)(青)
ソーサリー
このターンの後に追加の1ターンを行う。時間の熟達を追放する。
奇跡(1)(青)
奇跡で撃てればパワー9最強の一角、Time Walkと同等の効果を得る事が出来る奇跡呪文。
発売時におけるアヴァシンの帰還のトップレア。
当時は超優良ライブラリトップ操作である《思案/Ponder》がスタンダードで共存していたため、
壊れ呪文、禁止間違いなし、青なら必ずデッキに入ると散々に騒がれた。
ガイドブックで様々なカードを見てきた「まきぽん」すら有力カードと書ききってたほど。
……だが実の所、追加ターンは戦況を整えておかなければ効果を発揮してくれない。
タイミングが悪ければドローと追加の土地セットぐらいしか出来ず、初手に来れば腐ってしまう7マナ呪文は、
決して無思慮にデッキに入れて良い訳ではない。
「青なんだから呪文を使ってデッキトップを操作すれば」と言う意見もあったが、
冷静に考えて見れば「手札2枚+デッキ操作に使うマナ+2マナ」もかけてしまったら、
それはもうお得でも何でもない。
何より、「何が出来るか分からない追加ターン」より、「その場で効果を発揮する全体除去やフィニッシャー展開」の方が遥かに強い。
結局、評価は大幅に低下。ドロー操作のないスタンダードはもちろん、レガシーでも暫く有効に使われるデッキは出ず、他の奇跡呪文に話題とトップレアの座を持っていかれてしまった。
一応ブロック構築の青白奇跡コントロールには4枚投入され、プロツアー優勝デッキに輝いた(これ以外にも土地以外全バウンスの《壊滅的大潮/Devastation Tide》、《終末》、《天使への願い》がそれぞれ4投という奇跡のオンパレード)。
が、このフォーマットで行われた大会がプロツアー「アヴァシンの帰還」とグランプリアナハイム12の2戦しかなかったこともあり、この活躍で値上がりというのは特になかった。
その値下がりぶりは、近年稀にみるレベルであったと言う。「時間の熟達 禁止」とかでググるなよ!
とはいえ2マナで追加ターンという効果自体は強力であり、レガシー環境ならばライブラリートップを操作しつつアドを取るという動きも普通に可能なため、コンボ要素がそれなりに強めなコントロール系デッキに、多少の居場所を見つけている。また、追加ターン呪文の数そのものが大事なエターナルブルーにも使用される。まあ、どちらも地雷デッキの域は出ないが。
その他、そもそもハイランダー構築な統率者戦でもよく用いられる。こちらは、そもそも多人数戦では追加ターンと言うだけでただただ強い。まあその分、青いと言うだけでヘイトを集めがちではあるが。
なお余談だが、「パワー9のコストそのままリメイク」としてはこの3年後、「ターン強制終了と自身の追放」が追加されたTimetwisterこと、《一日のやり直し/Day's Undoing》が登場している。
そしてこれもまた「壊れ、禁止と騒がれたがたいした事はなかった」と言う同じ経緯を辿っている。MTGプレイヤーは歴史に学ばない
とはいえ、一応当時から時間の熟達よりも評価はマシでそこそこ使われ、さらに現在では相性の良いカードを得て倍近く値段が上がっている。面汚し扱いだったTimetwisterも、今ではすっかり汚名を返上してしまっている感がある。
Entreat the Dead / 死者への嘆願
(X)(X)(黒)(黒)(黒)
ソーサリー
あなたの墓地からクリーチャー・カードX枚を対象とし、それらを戦場に戻す。
奇跡(X)(黒)(黒)(あなたがこのターンに最初に引いたカードであるこれをその直後に公開したとき、あなたはこれの奇跡コストでこれを唱えてもよい。)
奇跡呪文が初登場して6年、遂に黒にも奇跡呪文が登場。カード名・マナコスト・効果すべてが《天使への願い/Entreat the Angels》に対応している。
効果は大量蘇生。
素撃ちでも5マナで1体、7マナで2体とそれなりに優秀だが、奇跡だと3マナで1体、4マナで2体と凶悪なコスパに早変わり。
出てくるクリーチャーが4/4飛行止まりだった天使への願いに比べるとお膳立ては必要なものの出せるクリーチャーの柔軟度はこちらが上。上手く活用すれば即死に追い込むことも出来る。
Triumph of Saint Katherine / 聖カトリーヌの凱旋 (4)(白)
クリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)
絆魂
聖骸保護執行会 ― 聖カトリーヌの凱旋が死亡したとき、これとあなたのライブラリーの一番上にあるカード6枚を裏向きの束1つにして追放する。そうしたなら、その束を切り直し、あなたのライブラリーの一番上に置く。
奇跡(1)(白)(あなたがこのターンに最初に引いたカードとしてこのカードを引き、すぐに公開したとき、あなたはこれを奇跡コストで唱えてもよい。)
5/5
「ウォーハンマー40,000統率者デッキ」でも奇跡を持つカードが3枚登場。3枚とも初の「奇跡持ちのクリーチャー」。
こちらは「死亡してもライブラリーの上から6枚のうちのどこかへ行くため、また奇跡で戻ってくる可能性がある」というデザイン。
2マナ5/5絆魂かつ再利用も容易という性質から、レガシーでもよく採用されている。
追記、修正は奇跡を起こしてからお願いします。
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▷ コメント欄
- 黒・・・ -- 名無しさん (2014-02-25 08:56:47)
- 黒には「不運」とかがふさわしい… -- 名無しさん (2014-11-20 08:43:09)
- 黒にはグリセルさんが居るから、ま、奇跡が無くても多少はね? -- 名無しさん (2014-11-23 17:10:56)
- 白→宗教的奇跡 青・赤→突発的ひらめき 緑→制御不能な自然の奇跡 という感じかと思われる 黒はそういうものには頼らないからフレーバー的にしゃーない -- 名無しさん (2015-01-30 04:17:38)
- レガシーの活躍は? -- 名無しさん (2015-03-20 01:56:06)
- 奇跡も魔法もあるんだよ!(マジで) -- 名無しさん (2016-03-09 03:15:36)
- ついに来たな黒奇跡 -- 名無しさん (2018-07-31 11:23:05)
- ↑4青はデッキトップを操作できるから突発的というより布石を打った結果として起きる奇跡という名の必然だと思う -- 名無しさん (2021-05-31 02:10:48)
- 起きないから奇跡っていうんですよ--ジェイス -- 名無しさん (2022-08-29 07:27:32)
- 雰囲気とギミックは好きなんだけど積み込み前提で使われまくるとげんなりしてくる -- 名無しさん (2022-12-19 12:03:03)
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