登録日:2011/05/16(月) 07:11:11
更新日:2023/08/12 Sat 19:37:13NEW!
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認知心理学 論文 記憶 なるほど、わからん 脳科学 マジカルナンバー 7±2 マジカルナンバー7±2 ワーキングメモリ 短期記憶 チャンク 塊 7〇〇〇 八百 ミューミュー ジェイル・ハウス・ロック(jail_house_lock) 雑学項目
『必要なことはなんだ?』
『大切な事は…』『忘れてはならない事は……!?』『この状況を打ち破る必要な事はッ!?』
マジカルナンバー7±2とは、アメリカの心理学者ジョージ・A・ミラーが1956年に提唱した、記憶に関する論文及び概念である。
ここではそんな魔法の数について簡単に説明したい。
…が、その前に皆さんにはちょっとしたテストをやっていただきたい(面倒な方はやらなくても構わないが)。
以下テスト↓
<テスト>
下記の数字の羅列を記憶してください。
紙媒体もしくはメール機能を使って書くと確認出来るのでいいのですが、見ながら書くのはNGです。
見直しは何度しても構いません。
724385873194
お疲れ様でした。
ではこれから「何故上記のようなテストをしたのか」ということを交えながら、マジカルナンバー7±2の説明をしたい。
◆記憶に関する概説
まず、人間(生物)は記憶という蓄積される(された)情報を持つことができる。
これは生きていく上で非常に大事なものなのだが、この記憶は大きく分けて「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」の3つに分類される。
これらをそれぞれ「信号機(赤)を見た」という場面で仮定すると、
感覚記憶…感覚器官が得た映像や音などを1~2秒程度覚える記憶。意味的な処理はしない。
(●●●) 「赤」
短期記憶…文字通り短期間保持される記憶。意味的な処理をし約20秒間保持可能だが、これは時間の経過とともに忘却される。
(●●●) 「ん、『赤だな』」
長期記憶…文字通り長期間保持される記憶。一度覚えたら何らかの理由で忘却しない限り死ぬまで忘れない。
(●●●) 「赤で渡るのは危険だ、止まろう」
といった形になる。
この中でマジカルナンバー7±2は、短期記憶をする際の条件的な存在なのである。
◆マジカルナンバー7±2の実態
提唱者ミラーは論文の中で
「一度見聞きしただけで直後に再生するような場合、日常的なことを対象にする限り記憶容量は7個前後になる」
という風に示している。
上記の短期記憶の説明にマジカルナンバーのことを加えると、
短期記憶…文字通り短期間保持される記憶。
意味的な処理をし約20秒間保持可能だが、その数は7±2(5~9個)までであり(この数はマジカルナンバーと呼ばれる)、これは時間の経過とともに忘却される。
となるのである。
先の信号の例でいうと『赤だな』という認知で1個、テストの例でいうと12桁の数字=12個がそれにあたる。
さてここまで読んだ人は、先のテストの件に関しておおよそどちらかの考えが浮かんだことだろう。
◎7±2しか記憶できないなら12個って最初から無理じゃね?実際何度も見直したし。
◎7±2しか覚えられない?自分一発で12個記憶できたんだけど?
この考えはどちらも正しい。
7±2の法則上12個の事柄は一度に覚えられないし、チャンキングということをすれば12個の数字も一度で記憶することが可能になるのである。
◆チャンク(チャンキング)
チャンクとは認知心理学の世界で「塊」という単位として用いられ、
論文「マジカルナンバー7±2」では「記憶する要素がなんであれ、若者が記憶できる量はチャンクという塊で約7個である」としている。
ちょっと分かりにくいので例をだすが、皆さんはこんなやりとりの経験はないだろうか?
(つ]´∀`)
「あ、もしもし?スマンが
〇〇君の携帯の番号分かる?」
[(・∀・)
「分かるよー。言うねー?」
(つ]´∀`)φ
「はいよー(メモメモっと)」
[(・∀・)
「090」
(つ]´∀`)φ"
「090」
[(・∀・)
「****の」
(つ]´∀`)φ"
「****の」
[(・∀・)
「####。」
(つ]´∀`)φ"
「####。090-****-####ね!ありがと!」
いかがだろうか?
この例では携帯番号(11桁の数字)が出てきている。
090****####
数字一つを1チャンクとした場合は11チャンク、一度で覚えてきれる数ではない。
しかし間にハイフンを挿入し、より大きな塊、まとまりに(チャンク化、チャンキング)することで、
090-****-####
これらの数字を3チャンクに減らすことが出来、結果一度で多くを記憶することが可能になるというわけである。
なので、先のテストで12桁の数字を一度で記憶できなかったのは容量の7チャンクを超えていたから、
一度で記憶出来たのは7チャンク未満に分割し、記憶したからといえる。
(ミラーはこれを硬貨で例え、1~500円までサイズに関わらず7枚入る財布があり、
全部1円を入れると7円にしかならないが、500円を7枚入れれば3500円になると説明した)
現在では短期記憶(ワーキングメモリ)の研究が進み、容量はチャンクの種類に依存し、数字:約7個、文字:約6個、単語:約5個であることがわかった。
しかし、単語の長さや声に出して読んだときにかかる時間と記憶容量、その単語を知っているか否かなどにも依存するため、
マジカルナンバーの具体的な定量化は難しかったりする。
一応厳密な条件統制をした上で、正確な推定法を用い、見かけ上の記憶増加の要因を可能な限り排除すると、
若者の純粋な短期記憶容量は約4チャンクになる…らしい。
このチャンクの概念(認知心理学)が使われている創作物はあまりない。
ただ、ジョジョの奇妙な冒険第6部に登場する敵キャラ・ミューミューのスタンド能力がこのチャンクに関係するのではないかと思われる。
スタンド、ジェイル・ハウス・ロック(Jail_House_Lock)の能力は触れた者の記憶容量を以降3つまでにし、
4つ目に新たなことを認知すると最初に記憶していたことを忘却するというもの。
この忘却のレベルがどの程度なのかということが論点となるのだが、
作中では1セリフ、もしくは『』で囲まれた言葉が1チャンクとしてカウントされ、合計3チャンクまでが記憶出来る容量限界と考えることが出来るのである。
このスタンドは成長性がナシなのだが、仮にこれがAだった場合、最終的には1文字=1チャンクとなり、
記憶し憶してしていているいる言る言葉言葉の葉の意の意味意味が味がロがロクロクにクに理に理解理解で解できできずきずにずに第に第6第6部6部完部完!となっていたことだろう。
なんとも恐ろしいスタンドである。
◆余談
7という数字は、地域や価値観を問わずあらゆる場所・概念で重要視されてきた。
例えば7つの大罪や7不思議、中陰(四十九日)、七洋、七大天使に七福神もそうだし、一週間が7日なのも音階が7つなどもそうである。
これらには世界で決めた明確な統一基準があるわけではない。
ただ、少なからず無意識のうちにでも「覚えやすいから」といった理由も含めて決定したのだろう。
そうでなければこれほどまでに7の頻度が多い理由が説明できないのである。
ちなみに古代日本では8、とりわけ八百という数字が『多い』といった意味で使われていた。
現代でも八雲に八百屋に八百長、八百万(やおよろず)や嘘八百も使われているし、アンサイクロペディアも八百科事典と呼ばれている。
また、文字を写したりするときはこの7±2の法則とチャンキングを意識すると早く済むかもしれないので、試してみるといいだろう。
カチカチッ
「うわああああ」
「ブ…ブラ…『ブラウザバックをしてしまった』」
「『追記修正できないんだ』…『しばらく待たないと』…」「『じゃないと誰かが編集中で項目変更画面に入れない』」
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- 戯言シリーズだとER3システム(学者集団)のトップメンバーを七愚人 -- 名無しさん (2016-06-04 18:24:40)
- ↑と称してたな。これを参考にしてると作中でも明記されてたし -- 名無しさん (2016-06-04 18:25:05)
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