リョコウバト

ページ名:リョコウバト

登録日:2011/11/01 Tue 20:52:08
更新日:2023/08/11 Fri 16:45:09NEW!
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  • 名称

 リョコウバト

  • 分類

 鳥綱ハト目ハト科

  • 学名

 Ectopistes migratorius
(仮名転写:エクトピステス・ミグラトリウス)


リョコウバトとは北・中米を中心とした地域を生息域としていた渡り鳥。
夏はカナダ南部、冬はメキシコ湾沿岸へと渡る事で暑さや寒さを凌いでいたためこの名前がつけられていた。
鳥類の中で最大の生息数を誇っており、ウィスコンシン州では1億3600万羽が確認され、ケンタッキー州では22億3000万羽以上が生息していたと推計された。
何と一説には50億羽近くいたとされている。



〇リョコウバト伝説

鳥類の博物画家として有名なジョン・ジェームズ・オーデュボンが記した所によれば、

  • リョコウバトが通った際はそのあまりの多さに太陽の光が遮られ、しかも3日3晩途切れる事が無かったという。
    オーデュボンはリョコウバトの生息数を1兆と見積もっていたが、流石に多すぎ。
  • 休憩に止まった大木の枝がポッキリと折れ、あっという間にフンだらけで雪のように真っ白になった。


〇絶滅までの経緯

1800年代に入り、ヨーロッパ系の移住者達が次々に北米大陸の開拓を開始。
餌場を失ったリョコウバトは人間の畑を荒らし始め、害鳥として認識されるようになる。
これだけならまだしも、その数の多さから「ハト撃ち」と称してスポーツの的にされて行った。
しかも肉が美味だった為に食用としても重宝され、大陸横断鉄道が完成した後は貴重な商売道具となる。
羽根は布団やコートにされ、余った死体はブタの餌として処理された。
というか、撃ちまくって持って帰れなかった分を処理させる為にわざわざブタを連れていったとか。
中には1日で1万羽も捕まえる者もいたとの事。
前述のオーデュボンも「Even if catches a lot. OK and no less than 5billion birds are.」という言葉を残している。
意訳すると、「50億羽もいるんだから、どんなに捕まえたって平気っしょwwwwww」という意味である。アホか。



案の定、僅か50年で個体数は激減。1890年代にようやく保護活動が開始される。
しかしこの当時は現在ほど野生動物保護に対する意識が高くなく、ハンター等に対する啓蒙活動はなかなか功を奏さない。
それどころか、生き残った群れなどハンターにとっては「狩猟対象のかたまり」でしかなく、残された25万羽の群れにハンターが殺到するという事件さえあった。


その上この鳥、繁殖期が年に1回、なおかつ1回に生まれる卵が1個という、個体数からは信じられないほどに繁殖力が極めて低い鳥であった。
もちろんただでさえむちゃくちゃ多かったリョコウバトに繁殖力が加われば個体数が増えすぎ、リョコウバト自体が生態系を破壊しかねなかっただろう。
だが、絶滅回避という視点からはこの進化は完全に裏目に出てしまった。(なお、卵を一度に複数産む近縁種のナゲキバトは今でもアメリカでごく普通に見られる野鳥である)


生息地の森林伐採もあいまって、個体数は減少の一途を辿った。
野生では1906年(1907年とする資料もある)にカナダのケベック州で撃ち落とされた個体が最後に記録されたもので、
飼育下の記録ではシンシナティ動物園に飼われていた「マーサ」というリョコウバトが1914年に死亡する(1910年に1羽となり、4年間1羽で過ごした)。


たった100年でリョコウバトは絶滅した。


マーサは死後標本にされスミソニアン博物館に展示された為、古代エジプトの石板があればもしかして……
皮肉の意味も込めて、リョコウバトは「世界で一番美しい鳥だった」と評されている。



〇フィクションにおけるリョコウバト

ドードーも登場した「モアよドードーよ、永遠に」の回でのび太がこっそりリョコウバトを連れて外出し、通りすがりの鳥類学者に見つかり大騒ぎになった事がある。
その後、ドラえもんたちが作った無人島で生活し、しばらく後の大長編「のび太と雲の王国」では天上世界に移住させられた(と思われる)。


同じく藤子作品から。現代で密かに二羽だけ生息していたつがいのリョコウバトがアメリカのギャングに狙われ、キテレツ達はギャングから守るべく奔走するという、かなりシリアスな物語が展開される。
最終的に保護されたリョコウバトの一羽(片方は死亡)はリョコウバトが生息していた過去にタイムスリップをして野生に帰された。
ちなみにそのリョコウバトの名前は「マーサ」であった。


  • 「50億のマーサ」

「漫画界のシートン」の異名を持つ漫画家の佐藤晴美がマーサの最期までを描いた読み切り漫画。
……が、表紙に描かれているのは雌のマーサではなく雄のリョコウバト


  • 「オーデュボンの祈り」

伊坂幸太郎の小説。
劇中の登場人物・田中が前述のリョコウバトに関するオーデュボンの話を主人公に語っている。


  • 「ワイルドサイド~ぼくらの新世界~」

SF作家スティーブン・グールドの小説。
主人公・チャーリーがタイムトラベルの可能なトンネルを利用し、リョコウバトを捕まえて動物園に売りさばくシーンがある。


ハカセがハトを出す手品を披露しようとした際、何故かリョコウバトが出現。
なんでも、偶然見つけた絶滅種のつがいを増やしてあげたらしい。無事何羽かのリョコウバトが自然に放たれた。が、オリジナルの2羽はネコに食われるという悲劇に見舞われる。


絶滅種のフレンズとして登場。名前からツアーガイド風の外見をしている。
『けものフレンズ2』ではジャパリホテルのお土産コーナーで、サーバルやジャイアントパンダのぬいぐるみがある中、彼女のだけは棚に置かれていないという描写があり、
絶滅種と非絶滅種の差異がわりと曖昧(トキが仲間を探すエピソードなど数えるほどしかない)なアニメ版においても、ここだけは珍しく意図的な演出がなされている。


  • PCゲーム「大航海時代II」

発見物としてリョコウバトが登場するが、その説明文が「これだけ繁栄している動物が絶滅することは決してないだろう」と史実上の後の顛末を痛烈に皮肉ったものになっている。
PSに同ゲームが移植された際に何故かこの説明文が差し替えられたことは有名。





追記・修正は50億を100年で使いきってからよろしくお願いします。


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  • 生態を調べもせずに乱獲したから、絶滅したのだが…。 ……何を根拠にその人は絶滅しないと言ったのか? -- 名無しさん (2014-02-28 03:24:51)
  • ↑多かったから。繁殖力が弱まってたのもその多さゆえに必要が無かったからだろう。リョコウバトは多すぎたために滅んだ、いや滅ぼされた鳥 -- 名無しさん (2014-03-01 03:04:43)
  • コイツといいバッタといい、まるでパンパンに膨れ上がった風船だな……膨らむまで膨らんで最後は破裂、跡形もなくなっちまう -- 名無しさん (2014-03-01 04:12:35)
  • 白人ってこうやってどんどん絶滅させてきたよな -- 名無しさん (2014-03-01 04:24:47)
  • 美味くて狩られたリョコウバトとは逆に不味くて狩られたハトもいたと聞いた -- 名無しさん (2014-03-01 07:58:33)
  • 白人が絶滅したら助かる動物は多いだろうな。 -- 名無しさん (2014-03-01 21:36:44)
  • ↑寄生獣でも読んだの? -- 名無しさん (2014-03-01 21:43:59)
  • ↑読んでなくてもこの手の話を多く知ればいかに白人が人類の面汚しかわかるだろ -- 名無しさん (2014-03-01 21:51:56)
  • ↑大工の息子「あなたたちの中で罪を犯したことのない者だけ、白人を貶め糾弾しなさい」 -- 名無しさん (2014-03-01 21:59:22)
  • 日本人もごく普通に居たトキやコウノトリを絶滅させてるし、白人だけを糾弾する意味が分からん -- 名無しさん (2014-03-01 22:04:10)
  • しかもリョコウバトはたちの悪い害鳥だったしな -- 名無しさん (2014-03-04 17:08:04)
  • ↑もっとも、それも無闇に開拓した結果による自業自得でもあるのだがね -- 名無しさん (2014-04-26 08:48:35)
  • 現在進行形でウナギがこれと同じ運命を辿りそうだねぇ。それでも捕るの食べるのやめないあたり肌の色が違おうが人は人、同じ穴のムジナなんだよねえ。 -- 名無しさん (2014-06-05 01:57:30)
  • この鳥の名前を聞くと、伊坂幸太郎の「オーデュボンの祈り」を思い出すわ。 -- 名無しさん (2014-07-28 18:13:13)
  • これほど繁殖力の弱い生物がどうやってこれほどの数にまで増えたのか不思議でならない。魚類とかも似たような群れを作って種を保存する戦略を取るけどあれは繁殖力ありきらしいし…マジでどうやってここまで殖える事が出来たんだろう -- 名無しさん (2014-08-11 13:45:09)
  • ↑逆だろ、繁栄しまくったから繁殖力が低下した。その程度の繁殖力で十分だったからな -- 名無しさん (2014-08-11 13:52:30)
  • ↑なるほど、数がいなかったころは普通の繁殖力だったのか、それが何らかの理由で殖える事が出来たので繁殖力を失わせることで種全体の個体数維持(餌や営巣地の数の限界)をしてたわけか。そのことに気づかず人がばたばた殺しちゃって対応する暇もなく全☆滅と、納得いったわ。 -- 名無しさん (2014-08-11 14:01:17)
  • ???「どうせろくな鳥じゃないんだ見つけ次第殺せ!」 -- 名無しさん (2014-09-22 11:24:21)
  • そもそも生物保護の概念やノウハウは現代でも試行錯誤の真っ最中。ましてや100年以上前のことを糾弾するのは後知恵でしかない -- 名無しさん (2015-06-18 14:23:27)
  • ↑ それでも保護活動が始まってるのに平気で密猟するのは流石に・・・。リョコウバトに限った話しじゃないし現代でもそうだが -- 名無しさん (2015-06-18 17:07:40)
  • リョコウバトに比べると、見た目が美しくなく、繁殖力があり、なんでも食べて、どこにでも住めて、頭もよくて、力も強い、かつ食べてもうまくないから狙われない、カラスがいかにしぶとい鳥かってのがよくわかる -- 名無しさん (2016-04-12 12:20:39)
  • ↑2 今ほど情報が得やすい時代じゃないから、そもそも保護対象だと知らない人も多くいたと思うぞ。 -- 名無しさん (2016-08-22 11:08:33)
  • キテレツの話だと結局滅びの運命は変えられないというオチか -- 名無しさん (2016-08-22 12:54:29)
  • 50億いた種族が絶滅するのにかかった時間はわずか1世紀。恐ろしい話だ -- 名無しさん (2017-03-27 21:07:01)
  • 非公式、公式含めて同じ人類をも絶滅させるんだから人間て恐ろしいよな… -- 名無しさん (2017-03-27 21:19:12)
  • 剥製が残ってるなら将来的にはクローニング技術で蘇らせることも不可能じゃないな -- 名無しさん (2017-03-27 22:41:21)
  • 大移動で土地をフンだらけにするというが、これで困るのは人間だけだな。 -- 名無しさん (2017-03-28 11:22:28)
  • ↑×2 銀色の眼のイザクというお話がありまして・・・ -- 名無しさん (2017-03-28 11:34:24)
  • このままだとニホンウナギも同じ運命だろうな・・・ -- 名無しさん (2017-08-15 10:08:12)
  • G「いっぱいいると思ってたらあっという間やで」 -- 名無しさん (2017-12-21 10:50:43)
  • ↑2「絶滅寸前だから食べるのやめましょう」じゃなくて「絶滅寸前だから今のうちに食べましょう」だもんな。 -- 名無しさん (2017-12-21 10:56:31)
  • 何処かのマンガで直接的な原因はひな鳥を乱獲したから次の世代残せなかったとか言ってたけどひな鳥まで狙うほどひな鳥にも価値があったのかえ? -- 名無しさん (2018-05-09 20:05:29)
  • 「50億もいるんだから、」と言って滅ぼされるハトもいるなら、藤子F不二雄の「絶滅の島」みたいに侵略宇宙人などの人外から「70億もいるんだ、」とばかりに殺戮されたらと思うと、 -- d (2018-05-09 23:06:09)
  • コーエーの大航海時代だと「この様に反映している鳥が絶滅する事は決してないだろう」とか痛烈な皮肉コメントが載ってたな… -- 名無しさん (2018-05-10 08:53:31)
  • ↑ゲームカタログ@wikiで知ったけど、本文中に載せるに値すると思う。プレイした人は追記して欲しいな。移植で削除された件も含めて。 -- 名無しさん (2018-05-11 14:16:29)
  • 絶滅危惧種になったらなったで希少価値があるから現代だって密猟者が絶えない -- 名無しさん (2018-09-03 13:19:28)
  • いたらいたで結局迷惑だから、まあ…たくさんいなきゃ繁殖できない動物を守るのも難しい。実際、保護動物と害獣の差なんてほんのちょっとの匙加減だから。もっともゆるやかな減少なら、うまい具合に繁殖能力が向上していたかもしれないが…我慢できるわけないな -- 名無しさん (2018-09-03 13:47:17)
  • ↑2 有名なのがオオウミガラスの絶滅。もう絶滅する!!となったときに博物館とかが「保護しろ!!」じゃなくて「標本確保しろ!!」とやったのでトドメになった。 -- 名無しさん (2018-09-03 14:03:40)
  • こんなに繁殖力が弱い動物がなぜあれだけ増えることができたんだろうな。 -- 名無しさん (2018-09-03 14:45:54)
  • ↑一年に一匹だけ、の条件なら人間も当てはまってるけど人間は70億突破してまだまだ増えるでしょ。環境が整っていて天敵の爆増さえなければ十分数は増えるよ -- 名無しさん (2018-09-03 14:58:39)
  • 大航海時代2の書き換えは、裏にアメリカ政府からの圧力があったのではないか、と推測してみる。 -- 名無しさん (2018-09-03 15:01:38)
  • 人間は同じ人間をも絶滅させるのだからタチ悪いよね。ネイティブアメリカンの一部の部族とかタスマニアンアボリジニなんかがそうだと聞いたことがある。 -- 名無しさん (2018-09-03 15:05:36)
  • 白人の身体に付いてた細菌のせいでそれへの抵抗力がない原住民が大量死したって例もあるから悪意以前の問題とも捉えられる。 -- 名無しさん (2018-09-03 15:25:28)
  • アイヌとかも現在進行系で絶滅させられそうだしなあ -- 名無しさん (2018-09-03 15:41:28)
  • ↑2 それを悪用しなければまだマシなんだが…(天然痘ウイルスつき毛布だかをインディアンにプレゼントした例が…もちろん人それぞれ、たまたま物凄く悪い人間がやっただけかもしれないけど -- 名無しさん (2018-09-03 15:54:08)
  • 絶滅してなかったら、テレビ番組でレギュラー化してるかも。 んで、イモトあたりが取材とか -- 名無しさん (2018-10-15 14:59:03)
  • リョコウ?伝書鳩?と思ったら全然違った -- 名無しさん (2019-05-17 22:32:53)
  • ↑3 それって白人との接触で病気が広まったところから発生した都市伝説じゃなかったっけ? 逆にヨーロッパで密かに猛威を奮った梅毒はアメリカ大陸産というのが定説 -- 名無しさん (2019-06-12 13:30:42)
  • ↑ すまんレス貰ってたのに気づかなかった。wikipediaの天然痘やポンティアック戦争の記事にその記述があるよ。 -- 名無しさん (2019-11-21 11:27:10)
  • ↑ それこそそのwikipediaの天然痘の項目に「ただし、肝心の英国側にはそのような作戦を行った証拠となる記録は無い。」って書いてあるよ -- 名無しさん (2019-11-21 11:41:10)
  • 上の方にあるようにウナギもヤバイらしいし完全養殖とかナマズのウナギ風調理とか研究進んで欲しいな。とりあえず自分はウナギ風かまぼこで満足しておきます。 -- 名無しさん (2020-06-24 00:25:31)
  • リョコウバトの絶滅が知られたことで生物種の保存意識が劇的に高まった…というのが唯一の救いか オレンジヒキガエルに比べればまだマシだ -- 名無しさん (2021-07-14 14:05:39)
  • もし、絶滅してなかったら動物番組で見れたのだろうな考えてしまう -- 名無しさん (2021-12-16 20:38:28)
  • 『オーデュボンの祈り』で知ったな、懐かしい -- 名無しさん (2021-12-16 20:46:21)
  • 「地球観光を楽しみにしていたのに動物が減ってて光線銃を乱射する宇宙人にドラえもん一行が弁明しようと各地の絶滅の事情をタイムマシンで辿る」というドラえもんの学習漫画で、リョコウバトの事例があまりにもあんまりでドラえもん一行が観念してしまい、宇宙人は逆に光線銃撃って済む問題じゃないと冷静になってしまってオチに向けてのターニングポイントになった話があったの思い出した -- 名無しさん (2022-09-02 21:09:45)

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