飛ぶ教室

ページ名:飛ぶ教室_ひらまつつとむ

登録日:2025/04/10 Thu 19:12:20
更新日:2025/04/12 Sat 11:56:15NEW!
所要時間:約 10 分で読めます



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集英社 週刊少年ジャンプ sf 学校 小学校 核戦争 ポストアポカリプス サバイバル 漫画 ひらまつつとむ




『飛ぶ教室』は、ひらまつつとむによる日本の漫画作品。1985年に週刊少年ジャンプで連載され、大きな話題となった。ひらまつつとむの代表作の一つで、30年以上経った今でもネット上で話題になる感動作。
この作品は、偶然シェルターに入れたことで難を逃れた122人の小学生と1人の女教師が、核兵器によって崩壊した世界を生き抜こうとする物語。
ジャンプの中でも異彩を放つ本作は北斗の拳ドラゴンボール(DRAGON BALL)キン肉マン(漫画)シティーハンター(CITY HUNTER)魁!!男塾、キャプテン翼といった濃い面子の中で、2巻で飛んでしまった。
いくらでも悲惨に描けるところを、ポジティブに、明るく逞しく未来志向で描いているところが素晴らしい。


あらすじ

舞台は埼玉県の小学校。偶発的に起きた核戦争後の世界で、学校に設置されていた地下シェルターへ避難したため生き残ることができた小学生たちと担任の先生との、苦難に満ちた日常をコミカルに、そしてシリアスに描いた作品。核戦争後の過酷な世界で、小学生147人と1人の女教師が協力して生き抜く姿を描いている。まるで「サバイバル小学生版」とも言える内容で、ポジティブで未来志向の物語。


制作背景

ひらまつつとむは「イダテン・ホーク」で第19回手塚賞で準入選。その後、3本の読み切りマンガが増刊ジャンプに掲載されたが、人気が出なかった。担当編集のK氏が自信をつけさせるために原作付きの連載企画を持ってきたのが「マッド・ドック」(武論尊原作)。


連載の経緯

ペンネーム鷹沢圭で何度も直し、徹夜もむなしく、人気がなく10回で打ち切り終了となった。この経験から、以後原作付きはやらないと決心した。 飛ぶ教室の誕生 傷心の日々が続き、強烈な危機感が芽生えたひらまつつとむは、少年漂流物を描くことを決心。「ガボテン島」「蠅の王」「2年の休暇」などの影響を受け、核シェルターのアイデアと組み合わせて「飛ぶ教室」が誕生した。


「飛ぶ教室」の誕生は、傷心の日々が続き、強烈な危機感が芽生えたひらまつつとむが、少年漂流物を描くことを決心したことから始まる。この題名は、敬愛するドイツの作家ケストナーの児童小説『飛ぶ教室』から付けられた。ただし、原題は「移動教室」や「さすらう教室」で、日本語訳をなさった某方が「飛ぶ教室」と訳した。


誕生秘話


読み切り45ページの「飛ぶ教室」のネームは、たった1日でできた。
シナリオも書かず、キャラクター表も作らず、話もキャラも一瞬で頭の中に出現したとのこと。まるで天から何かが降りてきたかのようだ。


自分ではいい作品ができたと思ったものの、担当K氏の意見を聞くまでは不安でいっぱいだった。昭和59年1月、ドキドキしながら集英社で担当K氏にネームを見てもらった。K氏は平然と「なかなかいいから下描きして上に回そう。ただし数字やデータはどこから引用したか、雑誌名、著作者は明記すること」と言われ、ホッとしたのが本音だ。


あっさりネームが通ったものの、ひらまつつとむはもっといい作品にしたかったので、絵柄を100%変える決心をした。ひらまつの世代のマンガ家は、池上遼一やながやす巧に憧れ、劇画タッチだったのを、明るい少女マンガ風にしたくて帰路「りぼん」「なかよし」「少女フレンド」など数冊買って必死に練習した。


さらにGペンから細い線の描ける丸ペンに変更した。これがよかった。自分でも信じられないほどペンが走り、手にペンが吸い付くようだったという。自分で満足いく下描きができて、編集長N氏に見せるとこれも高評価で、必ず掲載するので時間をかけて絵を丁寧に描くように言われ、それから2ヵ月かけて読み切りが完成した。


作品は「フレッシュ・ジャンプ」7月号に掲載され、人気投票もよく、週刊ジャンプ連載に向けネームを創り、5本を連載企画に回した。後で聞いた話では会議は紛糾したそうだが、当時の編集長N氏の英断と担当K氏の努力で連載が決まった。


連載とその後

昭和60年4月、ジャンプ24号から新連載が始まった。既に7本前倒しして原稿は完成していたのでずいぶん楽だったが、連載に興奮していたので眠れなかった。


連載が始まると、人気はまずまずだったが、核や放射能という重いテーマ性から15回で終了した。しかし、連載終了後もファンレターが多く寄せられ、単行本も13刷まで売り上げた。続編の依頼があったものの、満足できる形で描けないと判断し断った。


しかし、2014年の年末に夢でキャラクターたちが現れ、ストーリーが浮かび上がり、復刊ドットコムからの連絡で復刊が決定した。
完全版では第2部が描き下ろしで収められており、更に明るい未来を目指す子どもたちが描かれている。小学生がそれぞれの年齢・能力に応じて役割分担をし、協力しあう様子は、何か今、置き忘れてしまっているものを思い起こさせてくれるようだ。


メッセージ性

反戦反核のメッセージを含みながらも、教育再生の願いを込めて描かれた作品。生き延びるための協力や人間関係の重要性を描いている。「飛ぶ教室」は、未来の人々にも届くよう、ひらまつつとむは全力で描き続けるつもりだ。



評価と影響

『飛ぶ教室』は、シリアスなテーマとコミカルな要素を巧みに織り交ぜ、メッセージ性を持ちながら展開する感動的な作品である。週刊少年ジャンプで連載された短命作品の中でも名作とされている。
物語は核戦争後の世界を舞台に、小学生たちが校庭の核シェルターで生き延びる姿を描いている。登場人物たちは、バイクの運転や銃の扱い、医療行為などを行う場面があり、現代の視点からはご都合主義的と捉えられることもある。また、物語の中で生存者が山梨にいることが示唆されながらも、彼らとの接触が描かれない点は未回収の伏線として指摘される。
主人公サトルのセリフ「オサム、もう昔とは違うんだよ(中略)子どもだと言うことでもう誰も大目に見てはくれないんだよ」は、作品のテーマを象徴する印象的な言葉である。さらに、赤ん坊のクミちゃんが亡くなるシーンや北川先生の死など、涙を誘う場面が多く含まれている。
本作は、東北地方太平洋沖地震を経験した後に読み返すと、当時とは異なる読後感を与え、人と人との繋がりや日常のありがたさを再認識させる内容となっている。可愛らしい絵柄とは裏腹に重いストーリーが展開され、読者に深い感動を与える。
『飛ぶ教室』は、漂流教室に匹敵する名作として評価されており、子供の頃に共感した部分だけでなく、大人目線で見た際の感動も大きい。書き下ろしでは子供たちの成長が描かれ、微笑ましい場面もある。生きるために必要な言葉が詰まった本作は、多くの人々に手に取ってほしい作品である。



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  • 劇中劇は最後に -- 名無しさん (2025-04-11 08:48:34)
  • ↑天国で仲間との再会を喜んでフィナーレというメリバだったのを覚えてる。 -- 名無しさん (2025-04-11 08:49:26)

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