ガンダムGT-FOUR

ページ名:ガンダムGT-FOUR

登録日:2024/12/31 Tue 14:07:30
更新日:2025/10/12 Sun 10:21:39NEW!
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これがこいつの本当の姿だ!!


RX-78E


Flight & Operations Unification Reacters


ガンダムGT-FOUR!!




ガンダムGT-FOURジーティーフォーとは、漫画『機動戦士ガンダム MSジェネレーション』に登場する可変モビルスーツ(TMS)である。







【性能諸元】

型式番号RX-78E
所属地球連邦空軍
開発地球連邦空軍
生産形態試作機
頭頂高19.8m
本体重量69.2t
全備重量98.5t
出力1,990kw
総推力83,200kg
センサー有効半径6,030m
最高速度マッハ1.2 (Bモード)
巡航速度1,030km/h (Bモード)
航続距離900海里=約1,667km
武装胸部バルカン砲 ×2門
機首バルカン砲 ×4門
ビームキャノン ×2基
専用ビームライフル
シールド
主なパイロットジェームズ・A・アーノルド中尉
チャールズ・S・サインツ中尉
アリーナ・ホワイト・ミサキ少尉




【機体解説】

一年戦争末期。MSの本格運用を開始した地球連邦軍では早くも次期構想機の開発計画が発動していた。
「G-4計画」と呼ばれたそれは、G-3ガンダムを開発母体として宇宙軍・陸軍・海軍・空軍のそれぞれで異なるコンセプトのガンダムを開発するというもので、宇宙軍はニュータイプ対応機を、陸軍は格闘専用機と重火力機を、海軍では水中専用機の開発が推進していた。
そして、地球連邦空軍においてバンネンバー・ハヤミ博士を中心とする開発チームが「大気圏内でのMS単独の行動範囲拡大」を目指して開発した機体こそ、このガンダムGT-FOURである。


なお「GT-FOUR」とはG」undam 「T」ransformer / 「F」light & 「O」perations 「U」nification 「R」eactersの略称。
意味合いとしては「飛行と作戦(MS戦)を統合した可変型ガンダム」といったところだろうか。



そんなGT-FOURの特徴は、地球連邦軍初の可変MSであるという点に尽きる。*1
機体構造はMSを変形させる…というよりはコア・ブースターにMSの機構を取り込んだといった方が正しい。


また実験機ということもあってか操縦が複雑化しており、コックピットは複座式でパイロットとガンナー兼ナビゲーターの2名での運用が前提など初期のガンタンクのような乗員の配置となっている。
その影響で頭部もV字アンテナこそあるものの、有視界戦闘を行う為にレ〇ズナーみたいにキャノピーを有したガンナーコックピットになっているなど、ガンダムとしては特異なものとなっている。
一応パイロット1人でも運用は可能だが、当然ながらワンオペとなるので負担は大きくなる。



意欲的な機体ではあったが、やはり一年戦争当時の技術力では要求された性能には至らず、低空低速時の運動性の悪さや変形時の機体バランスなど多くの問題を抱えており、ハッキリ言って完成度は低い。
また、軍内部の派閥闘争によりG-3ガンダムのデータを入手出来なかったことで基本動作の精度が低く、余程の熟練パイロットでもなければ機体をコントロールし切れないことも本機の完成度を下げる一因となった。


ただし、開発者のバンネンバー・ハヤミ博士は「シミュレーション上では問題なく、パイロットの問題」と主張しており、実際に劇中で搭乗したパイロット達は手を焼きつつも存分に使いこなしている。



結局のところ試作機が数機完成した時点で一年戦争は終結。完成した機体も良くて中破、最悪喪失してしまったこともあって本機の開発は打ち切りとなり制式採用されることはなかった。
しかし、GT-FOURの開発チームはその後オーガスタ基地やNT研究所に移籍してTMS / TMAの開発に携わり、後にアッシマーギャプランを完成させるに至った。



一方、ジオン軍でもGT-FOURの情報をキャッチしており、研究員の暗殺や対抗馬としてザク・スピードを開発するなどの対抗措置を講じている。
ザク・スピードは開発経緯や性能について不明な点が多いものの、ジオン脅威のメカニズムによりTMSとしての完成度はGT-FOURのそれを遥かに上回っていた。



GT-FOURは優れたTMSでこそなかったが、次の世代に繋がる確かな存在であったと言えるだろう。





【各形態】

  • コア・ファイター

文字通りの中核となる小型戦闘機。
Bモードでは機首となり、G、Fモード時にはガンダムと同様のバーティカル・イン・ザ・ボディ方式で胴体内に収納される。
ガンダムと同じく空中換装も可能。


ガンダム用のFF-X7の改良型だが、ほぼ全面的に新規設計となっている。
主翼が前進翼になった他にコックピットが複座式に改められ、後部のナビゲーターシートは移動してG・Fモード時にガンナーコックピットに移動する。



  • Gモード

ガンダムモード。所謂MS形態。
「MOBILE SUIT」モードではなく「GUNDAM」モードなのはG-4計画に基づいて開発されたガンダムであることに由来している。


変形に耐える為か装甲強度は意外と高く、グフのヒートサーベルが腕の半ばまで食い込みつつも受け切るくらいのことは出来る。
逆に関節部は脆い様子が見受けられ、ザク・マシンガンくらいの火器でも手脚がもげてしまっていた。



  • Fモード

フライヤーモード。
Gモードから背部ブースターユニットだけを後方に展開した中間形態。


MS並みの機動性と航空機並みの行動範囲の両立を目指した形態だが「自由落下とあまり変わらない」と評される程度に飛行性能が低く、変形を潤滑に行う為の形態としての意味合いが強い。



  • Bモード

ブースターモード。
コア・ファイターを機首に変形したボディが後部ブースターとなったコア・ブースター型の飛行形態で、この姿がGT-FOURのメインとなる。


翼面積が小さく思うように揚力を得られない為に飛行はブースターの生み出す大推力に依存しているので運動性は高くなく、解説ページでも「航空機というよりは飛翔体(ミサイルなど)」と描かれるように連邦製よりもジオン製の航空機や後のギャプランに近い特性を持つ。





【武装】

  • 胸部バルカン砲

胸部に2門装備された機関砲。
一瞬でグフを蜂の巣にする威力を持つ。


  • 機首バルカン砲

オリジナルのコア・ファイターと同じく機首に4門備わる航空機銃。
変形の都合上GモードとFモードでは使用出来ない。


  • ビームキャノン

バックパックに2基装備されたメガ粒子砲。
コア・ブースターに装備されたものの改良型で、威力は据え置きだが銃身の延長によりビームの収束率と命中率が向上した。
基部が可動するので完全固定式だったオリジナルより射角も広い。


  • 専用ビームライフル

GT-FOUR専用に開発されていたビームライフル。
開発4号機がロールアウトした時点ではまだ未完成だったので劇中で装備されることはなかった。


  • シールド

専用のシールド。
表紙で持っているだけで本編未登場どころか設定にすら記載が無い。





【劇中での活躍】

『MSジェネレーション』を通して合計4機が登場。
開発1、3~4号機は無断搭乗を含めてジェームズ・A・アーノルド中尉(ジム)がパイロット、チャールズ・S・サインツ中尉(チャーリー)がナビ/ガンナーを担当した。
開発2号機のみアリーナ・ホワイト・ミサキ少尉の単独操縦。


カラーリングは基本的にトリコロールだが、2号機のみブースター部分のカラーリングが異なる。*2



  • 開発3号機

一番最初に登場。
飛行テスト用で、Gモードへの変形を想定していなかったのか、両腕が無く両脚はフレームの一部のみになっている。


テスト中にドップと遭遇し、弾は積まれておらず護衛も全滅という極限に追い込まれたが、急接近した状態で強引に変形することで無理矢理キック?をかましてドップの撃墜に成功した。
だが、燃料が尽きかけたので遭難者救助でたまたま近くにいた空母タカオに着艦した際に甲板に飛び出した民間人を避けてオーバーラン、海没・喪失してしまった。



  • 開発1号機

3号機をぶっ壊した件で輸送隊のパイロットに左遷されたジムとチャーリーが操縦を担当していたミデアに積まれていた。
外見等ハード面は完成しているが、ソフト面では調整不足の為にオートバランサーや照準に不具合が生じている。


ピレネー山脈付近で輸送隊がドダイYSに乗ったグフ部隊に襲撃された際、咄嗟に搭乗・応戦。
どうにかグフを返り討ちにしたが、直後にGT-FOURを敵と誤認した*3味方の攻撃で大破してしまった。



  • 開発2号機

イギリスのマーナム基地で試験運用を行っていた機体。


開発4号機との模擬戦中にジオン軍の可変MSザクスピードの襲撃を受けて1人乗りであることと性能差から一方的にボコられ、4号機にブースターを譲ってコア・ファイターは一時戦闘から離脱。
その後4号機のピンチにザク・スピードの不意を突いて撃破に成功する。



  • 開発4号機

最後に開発された機体。
この4号機を以て試作機としてはほぼ完成となった。


開発2号機との模擬戦中にジオン軍の可変MSザクスピードの襲撃を受けてブースターを破壊されてしまうも、2号機のブースターを貰う形で戦闘を続行。
しかし完成度で勝るザク・スピードには不利を強いられトドメを刺されそうになるが、2号機のコア・ファイターの援護でどうにか生還を果たした。





【余談】

  • デザインは藤田一己氏。
    元ネタはトヨタから発売された乗用車のセリカGT-FOURで、胸部や後頭部のデザインに実車の名残が見られる。

  • あまり言及されたことはないが、「地球連邦軍初」の可変MS(可変MA)である。
    かつては「宇宙世紀初」だったのだが、現在はヒルドルブが登場した為にその座を譲っている。

  • どマイナーな作品故に森永が1990年代初めに出していたミニ食玩「SDガンダムモビルジャケット」程度しか立体化に恵まれていない。

【関連機体】

  • ギャプランの変形機構の源流とされるガンダムは実はもう一機存在する。

シグマガンダム。名前の響きだけで既に「何かある」感がすごい。ギリシャ文字コードの中でも、ΖやΔほど派手じゃないけど、妙に技術屋っぽい。そんなこの機体、実はガンダムMk-Ⅱと同時期にアナハイム・プラントIIで開発されていたという、知る人ぞ知る裏ガンダム。


【技術】

まずこの機体、ミノフスキークラフトを応用した揚力強化型の可変MSという時点で、当時の技術力からすればやりすぎ。飛ぶだけでも大変なのに、上下分離型の可変構造まで盛り込んでくるあたり、開発陣のロマンが爆発している。
しかもこの上下分離型、胸部と股間にそれぞれ独立したコクピットを持つという、ギャプランの腰折れ式変形を上下に分けたような構造。もうね、変形というより“分裂”に近い。パイロットからすれば「どこまで分かれるんだよ!」ってツッコミたくなる設計だ。


【サイコガンダムへの技術継承】

このシグマガンダムの可変技術がギャプランに受け継がれた一方で、開発陣が後にムラサメ研に異動して、サイコガンダムの開発に関わったという話もある。プロトタイプサイコガンダムから大型化の過程でミノクラ技術がMRX-008や009に反映されたという説は、技術的にも納得がいく。つまり、シグマは「飛ぶガンダム」の系譜の始祖であり、サイコガンダムの「飛翔力」の源流なのだ。
ちなみにプロトエプシィ(Mk-V)との関係も面白い。あれ、永野版ZZに近いデザインで、全身分離によるオールレンジ攻撃が可能って、もうターンXかよって話。でもそれがΖΖガンダムの候補機だったというのも、シグマ→サイコ→ZZという技術の連鎖を感じさせる。


【カラバでの再評価と木星圏の戦い】

連邦軍では試作止まりだったシグマガンダムだけど、カラバが空戦用MSとして再評価してMSK-009として完成させたという流れも熱い。0093年には木星圏のゲルジオン動乱に投入されたという設定もあって、まさに復活のガンダム。
しかもこのカラバ仕様、分離合体式でサイコミュ誘導ミサイルまで搭載してるって、どこまで盛るんだよって感じ。でもそれがまたいい。量産には向かないけど、技術的には“やれること全部やった”感があって、開発陣の執念が伝わってくる。


シグマガンダムは「完成度は低いが、技術的挑戦としては最高に面白い機体」。GT-FOURと同じく、量産には向かないけど、後世に技術を残したという意味では“技術の橋渡し”とされている。


【空を目指したガンダムの原型】

シグマガンダムは、飛ぶことにこだわったガンダムの原型であり、サイコガンダムやZZガンダムの技術的進化において、確かな足跡を残した機体だ。量産されなかったことがむしろ“伝説感”を強めていて、設定資料の片隅にひっそりと佇むその姿は、技術者の夢そのもの。
GT-FOURが「飛ぶガンダムの実験機」なら、シグマは「飛ぶガンダムの思想」。そしてその思想は、今もどこかで次の世代のMSに受け継がれているのかもしれない。




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  • 何気にビームサーベルの無い機体だったのか、まぁヤバくなったら変形して戦域離脱するんだろうだけど。 -- 名無しさん (2024-12-31 19:07:00)
  • 昔のGジェネだとガンダムと適当な戦闘機で設計すると生産できる。簡単に手に入るわりにはSFSを使わず飛行可能なので、宇宙世紀後半の単独飛行可能なMSを手に入れるまでは地上マップで重宝する -- 名無しさん (2024-12-31 19:48:06)
  • こいつはともかくザクスピードが完全にオーパーツ -- 名無しさん (2024-12-31 21:31:13)
  • 現在ではザク・スピード共々公式・正史の存在なのか曖昧だが「月刊モビルマシーン」では名前がチラッと出ている -- 名無しさん (2024-12-31 23:21:52)
  • Dガンダムも立体化したし、こいつもいつか立体化した姿を見たいもんだ -- 名無しさん (2024-12-31 23:58:53)
  • 実際GT-FOURは立体化前提みたいな感じで考えられていたらしい。逆にザクスピードは最初から再現不能な変形として描かれたんだとか。 -- 名無しさん (2025-01-02 15:58:32)
  • 可変はともかくライトライナーとかコルベットブースターとか見てからだとむしろFモードが自由落下と変わらないのは性能控えめすぎるように見えてしまう -- 名無しさん (2025-01-15 23:33:56)
  • 胸部ダクトがセリカST165型のリトラクタブルヘッドライトの形なんだよね -- 名無しさん (2025-04-13 09:46:46)

#comment()

*1 あくまでBモードがメインなので本来なら「可変モビルアーマー」に分類されるが、この時期にはまだ正確な定義が決まっていなかったのだろう。
*2 黒っぽいようだが、漫画媒体なので正確なカラーは不明。
*3 機密だったので存在を知らされていなかった。

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