ジャスター・メリール

ページ名:ジャスター_メリール

登録日:2023/04/25 Tue 11:00:00
更新日:2024/07/05 Fri 13:13:03NEW!
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「こちらジャスター。作戦第一段階成功。第二段階に移行する、モントロス、狙撃開始!」



ジャスター・メリール(Jaster Mereel)とは、スター・ウォーズ・シリーズの登場人物。





【概要】

SW世界で戦闘民族として有名な、マンダロリアンの一員。
しかし古来のマンダロリアンが、破壊や略奪・殺戮を是として、それこそマンダロリアン文化と見做していたのに対して、
彼は高度な規律・規範・軍規を導入し、「名誉ある戦士」として発展させようとした。
彼の一派は「トゥルーマンダロリアン」と称された。


またジャンゴ・フェットの養父でもあり、彼がマンダロリアンという人生を選んだ原因でもある。


しかし彼の改革意識は伝統保守派「デスウォッチ」との内紛を招き、さらに同時期に完全非武装・平和主義を訴える急進改革派「ニューマンダロリアン」も分離・独立してしまい、ジャスターの改革はかえってマンダロリアンを分裂させてしまった。
最終的にジャスターは戦死し、彼の組織もしばらくのち、紆余曲折の末に滅亡することになる。



【人物】

◆種族

種族は人間。黒髪に黒目。身長・体重などは不明。やや面長。
生年は不明だが、死亡したBBY52時点でまだ頭髪などは黒いもののいささかやつれ気味の風貌で、中年以上ではあった模様。
またジャンゴ(BBY66生まれ)よりかなり年上のモントロスが「ジャスターのおいぼれ」と発言していることから、実はかなりの年配だった可能性もある。
出自はマンダロア星系の惑星コンコード・ドーンで生粋のマンダロリアンではないが、後天的に迎えられたタイプである。



◆性格

「マンダロリアンに戦士の規律を」と訴えたとおり、ジャスター・メリールは騎士道や武士道に近い強い倫理規定を持っていた。
マンダロリアンに属する前は、上官の悪事をも見逃さなかったほどの厳格な司法官だった。
マンダロリアンに属してからも、彼の「誇りや名誉を重んじよ」という主張は衰えず、相当数のマンダロリアンを感化している。


また彼は口先だけのエセ君子ではなく、自らが提唱する倫理や秩序・プライドの示し方を自らが手本となって示したという。
実際にマンダロリアン基準でもかなり強かったらしく、彼の主義・政策に完全には賛同していない部下でも、その戦士としての実力には尊敬する、という人物も多かった模様。


こうした戦闘能力や、名誉を重んじる点などは、養子としたジャンゴ・フェットにもよく引き継がれている。



反面、どうにも血の気が多く、行動力がありすぎる難点もあった。
マンダロリアン所属以前の上官(悪事を重ねていた)への対処も、ただ弾劾するだけではなく、いきなり殺してしまうというこれまた法規をブチ破る行いに出ている。このせいで故郷から追放されてしまった。
戦死することになったのも、直接原因はモントロスの裏切りだが、同時にジャスターがマンダロリアン全体の指導者でありながら一将校のように前線指揮を取ったり、孤立したモントロスを単身で救出に向かったことも大きな原因である。


また作戦指揮は苦手なのか、窮地に陥っている場面も多い。
ジャンゴと出会ったのも、敵に押されて民家(フェット家)にかくまわれたのが発端。
そして戦死した一番の原因も、デスウォッチと現地政府の壮大な罠に引っかかったためであった。
そのときのジャスターは依頼主の悪意もデスウォッチの復活と陰謀も全く察知できておらず、権謀術数への疎さが垣間見える。


そもそも内戦まで引き起こしたのも、彼自身の根回し・組織運営の稚拙さが原因とも取れる。



◆能力

マンダロリアンらしく、T字バイザーのヘルメットを中心とした重装備で武装する。


彼独自の要素としては、装甲が暗めのメタリックグレーであることと、肩やバイザー回りが赤もしくは赤銅色であること、肩部に猛獣の紋章などが施されている点。


一方、マンダロリアンの装備として名高いジェットパックは、意外なことに装備していなかった。飛ぶのが嫌いだったのだろうか。
しかしその結果、彼自身での飛行能力がなかったばかりに、敵中に孤立して戦死する最期を迎えている。


しばしばネタにされる「壊れやすいジェットパック」も、無いとやはり問題なのだ。



ジャスターは「AIAT/i トランスポート」という旧式の宇宙船を持っていた。
この船は彼の死後ジャンゴが受け継ぎ、一時彼が捕えられて全ての資産を失ったあとも何とか回収。
ジャンゴはこの船に「ジャスターズ・レガシー」(ジャスターの遺産)という名前を付けて、破壊されるまでどれだけ老朽化してもからかわれても愛用し続けた。



【作中の活躍】

◆前歴

出身は惑星コンコード・ドーン。銀河系辺境域アウターリムのマンダロア星系に属する。
もとは、この星の保安官組織「ジャーニーマンプロテクター」の一員だったが、腐敗・堕落していた上官の悪事に怒りを燃やし、その上官を殺してしまった。そのため彼は殺人罪でコンコード・ドーンから追放されてしまう。


そしていつしか、彼はマンダロリアンに所属していた。
もともと警察のような任務についていたため戦闘技術・経験ともに豊富で、マンダロリアンの間でも敬意を払われていた。
BBY60頃、すなわちEP1の30年ほど前(正確に何年かは指定されていない)には、彼はマンダロリアンの代表、「マンダロア」の称号を得ている。



ところで彼には、ひとつの理想があった。
マンダロリアンの改革である。



もともとマンダロリアンとは戦闘民族で、破壊・略奪・暴力にこそ文化を見出していた。
それはマンダロリアンの間では高尚な文化として通用するが、外部の種族・民衆にとっては野蛮な脅威でしかない。


ジャスターは生粋のマンダロリアンではないため、マンダロリアンの伝統的戦闘文化を客観視していた。周囲の種族からの嫌悪の念も理解しており、またかつて自身が司法官として学んだ法治の理想も燻っている。


そこでジャスター・メリールは、単なる蛮族に等しかったマンダロリアンに「戦士の規律」を導入する、と提唱。
「超戦士の写本」(Supercommando Codex)という成文法を公表し、マンダロリアンに戦士としての軍規や倫理を明文化し、学ばせようとした。
マンダロリアンは単なる傭兵ではなく、「名誉のある戦士」であり、名誉にふさわしい行動を取らねばならない、と訴えたのだ。
ちなみにこの「写本」というのは完全なるジャスターの独創ではなく、かつてマンダロリアンが持っていたが長い年月で忘れられた、古い規範に基づくらしい。
その意味ではジャスター・メリールの思想的立ち位置は、マンダロリアンの復古派と言えるかもしれない。


カノン作品では、ドラマ『マンダロリアン』に登場する「チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ」という集団は古代の掟に則った厳しい教義を今なお実践し続けているとされており、他派閥の同族からカルトや原始人などと揶揄されるシーンがあるなど、
古来には名誉を重んじる規律が存在し、なおかつそれが年月を経て薄れつつあったことはカノン・レジェンズ共に示唆されている。


◆マンダロリアン内戦への発展

しかし、改革は常に反発を招く。伝統保守層、すなわち「マンダロリアンは破壊や略奪こそを是とするのであり、中途半端な規律はむしろ堕落である」と主張する勢力が、ジャスターの改革に猛反発した。
しかも、現実には彼らこそが伝統派、主流派である。彼らはトア・ヴィズラのもとに集結して「デスウォッチ」を名乗り、マンダロア(マンダロリアン代表)であるジャスターの麾下から離反してしまった。


さらにマズいことにこの時期、マンダロリアンの中ではもう一つ別の思想グループが現れていた。
伝統的な略奪文化はもちろんのこと、ジャスターの提唱した戦士文化にも反対し、完全なる非武装・中立・平和主義を提唱した、「ニューマンダロリアン」である。


そしてジャスターも、反発されたからと言ってすぐひっこめるわけにはいかない。それに彼の思想は、戦士の規律は求めるが、戦いそのものを否定してはいない。
むしろ戦いとなれば勇敢に戦うのである。


ここに至り、マンダロリアンは三派に分かれてしまった。
伝統の破壊・略奪文化を是とする伝統保守派「デスウォッチ」、完全なる平和主義を提唱する急進改革派「ニューマンダロリアン」、新しい戦士文化を築き上げようとする伝統改革派「トゥルーマンダロリアン」の三派である。
その分裂が同時に起きたため、マンダロリアンは一気に三つ巴の内戦状態に陥ってしまった。
しかも三大派閥のいずれもが、それぞれの理想でまったく妥協できない点があり、内戦は激化の一途をたどってしまった。
後世に言う「マンダロリアン内戦」である。



◆ジャンゴ・フェットとの出会い

「ブラスターの使い方は分かるか? 坊主」
「ああ。父さんが教えてくれた……」


58 BBY、マンダロリアン内戦はコンコード・ドーンにも波及。ジャスターは故郷にてデスウォッチと戦ったが利あらず、ある農地に追い詰められた。
ところが、そこの農地を経営していたフェット一家が、ジャスターの隊をかくまった。食料を渡して、畑のなかを逃げる道を教えたのだ*1
しかもフェット一家は、ジャスターを追ってきたデスウォッチに捕まってしまう。
やがてフェット一家とデスウォッチのあいだで銃撃戦が起き、ジャスターたちが異変を感じて戻ってきたときには、フェット一家は息子ひとりを残して殺されてしまった。


この子が両親を失った原因は自分にある。それにこの息子は、あの修羅場の中でも知恵と胆力を示して、自分たちを救ってくれた。
フェット夫婦を殺して娘を拉致したデスウォッチは、逃げる際に農場に火を放ってジャスターたちを焼き殺そうとしたが、フェットの息子はジャスターたちを灌漑パイプに案内して火の手から逃がしたのだ。
さらにその後のデスウォッチへの報復戦で、少年はトア・ヴィズラが乗っていた戦車の下に爆薬を仕掛けて、退却しようとしたヴィズラをふっ飛ばし、さらに戦闘のさなかにヴィズラとともに両親を殺した仇を見つけて、挑みかかっていた。
(さすがに大人と子供の実力差は覆せず殺されそうになったが、間一髪ジャスターが仇を殺して助かった)
驚くべき子供である。自分たちを守って殺された両親のためにも、放っておいていい子供ではない。
ジャスターはその少年、ジャンゴ・フェットの勇気を賞賛し、彼を仲間に加えて旅立った。
いつしかジャスターは、ジャンゴを自らの養子として扱い、正式なマンダロリアンに迎え入れたのだった。


「ようこそ、マンダロリアンへ」



◆コルダ6の敗北

「全部隊はジャンゴの地点に集結! ベルティゴ隊、攻撃を中止しろ!」


コンコード・ドーンの戦いから六年後の52 BBY。
この時のジャスターは、デスウォッチがもう滅んだと思っていた。なにせ首領トア・ヴィズラは六年前に乗っていた戦車をジャンゴの爆薬で破壊されており、それから彼らの組織は消えていたからだ。
ジャスターはトゥルーマンダロリアンの精鋭部隊「スーパーコマンド」を率いて、本来目指していた「規律ある傭兵部隊」の運営に立ち返っていた。



そんな折、惑星コルダ6から傭兵業の契約依頼を受ける。
コルダ国防軍は、地元の敵対勢力によって包囲された新人の警備隊を救出するため、力を貸してほしいと雇い入れたのだ。ただ、敵はゴリラ型の原住民で正規軍というわけではなく、武装もたいしたことは無いという。


ジャスターは兵を三つに分けた。
第一隊「ベルティゴ隊」(Vertigo Company)はジェットパックを装備した空中からの支援部隊で、率いるはジャスターの次席司令官モントロス
第二隊「ジャンゴ隊」(Jango's Grunts)は後方からの火力支援部隊で、その名の通りジャンゴ・フェットが指揮。なおこの時のジャンゴはまだ十代だった。
そして最後はジャスター自身が率いる「司令本隊」(Headhunter Company)で、目標地点への突撃と、目標である孤立部隊の救出を担当する。
上記の情報で敵には大した戦力がないということで、ジャスターには「楽に稼げる仕事だ」と、油断があった。




しかし目標地点に近づくと、彼らの部隊は強力なイオン砲火に見舞われて大損害を被った。
生き残った部隊も荒野に不時着し、そこに待ち伏せていた敵の集中砲火まで殺到。そのゴリラ型原住民が使う武器はどう見ても一級品の武装で、「大した武装は持たない」という事前情報からは大きく逸脱していた
しかも、ジャンゴ隊(ジャスターたちとは別の場所に落ち、なんとか司令本隊に合流しようと移動中)の前には、六年前の敗戦以来姿を消していたデスウォッチが、伏兵として襲い掛かっていた。


これがコルダ政府と結託したデスウォッチの罠だったと悟ったジャスターは、即座に全軍退却を指示。
しかしその撤退命令は一歩遅く、しかもここで、次席司令のモントロスが退却に反対した。
さらに、前進しようとしたモントロスのもとでいきなり手榴弾が炸裂。これでベルティゴ隊は壊滅し、モントロスだけが負傷しながら生存という状況になる。
ジャスターはやむなく突進、包囲網を打ち破りつつモントロスのもとに駆け付けたが、モントロスは撤退命令を口頭で出すジャスターに、後続部隊はまだかとさらに言い続けていた。


さらに、この場面での口論で、ついに二人はわずかな残り時間を使い潰した。
二人の眼前に突如、四脚型の大型戦車が殺到したのだ。コックピットでそれを操るのは、六年前のジャンゴのスピーダー爆破を間一髪凌いだ、あのトア・ヴィズラだった。
ジャスターもいい加減、モントロスの愚行に我慢がならなくなっていた。


「貴様のせいだぞモントロス。もう脱出するべきだったものを……お前は除名処分にしてやる。生きて帰れたらだがな」


だが、この場でこの発言はまずかったかも知れない。モントロスの邪悪な決意を固めてしまったからだ。


「お前は俺からマンダロリアンを奪い、コンコード・ドーンで殺そうとした……今度こそ逃がさん!」


ヴィズラが戦車から放ったビームが、ジャスター・メリールを撃ち抜いた。


実はこの瞬間、モントロスは彼を助けられた。
モントロスはジェットパックを背負っており、空を飛べる。そしてジャスターを救出して二人で脱出することは、できるはずだった。
だがモントロスは、ここで彼を裏切り、ヴィズラの手で上官を殺させたのである。



◆死後

本隊の元に戻ったモントロスは、「前線が壊滅してジャスターとフェットが戦死した。全軍の指揮権は次席司令官の俺が代行する。まずはいったん退却するぞ」と告げた。


ところが、その直後にジャンゴ・フェットが現れた。しかもジャンゴは、死んだジャスターの遺体を抱えている。


実はジャンゴも、ジャスターとモントロスとヴィズラの殺し合いの場にいた。
彼はジャスターを助けるため必死に駆けていたが、寸前で間に合わなかった。しかしそのおかげで彼はヴィズラにもモントロスにも気付かれず、ジャスターの死を看取り、かつ彼の遺体を持ち帰ったのだ
そしてジャンゴは、全員の前でモントロスの裏切りと欺瞞を告発・弾劾。


モントロスは「こんなガキのいうことを信じるのか!」と訴えたが、もともとの性格の凶暴さと悪辣さから疎まれていたモントロスは仲間からの支持を得られず、上官への裏切りを以って追放される。
そして次の首領「マンダロア」の座は、ジャンゴに受け継がれた。



しかし数年後には、デスウォッチの策略によって、トゥルーマンダロリアンはジェダイ部隊に滅ぼされ、その勢力を絶やしてしまった。
ジャンゴはその後も活動し、息子ボバ・フェットも授かるが、残念ながらジャスター・メリールが志した「名誉ある超戦士」の思想がマンダロアに蘇ることはついになかった。




【余談】

ジャスター・メリール(Jaster Mereel)という名前は、旧三部作時代に作られた小説作品(1996年12月発刊)で、ボバ・フェットの正体・本名として発表されていた
しかしEP2でボバ・フェットという名前がそのまま本名として設定されたため、この設定は立ち消えになってしまった。
後にジャンゴの養父にその名前が流用され、そこからさらに発展して「ジャンゴやボバは、祖父にあやかって『ジャスター・メリール』という偽名を使うようになった」と設定し直されたという。


またクローントルーパーの一人が「メリール」という名前を使っていたらしい。



ジャスター・メリールのエピソードはその後、カノンとレジェンズの分化によってレジェンズ枠となり、立ち消えとされた……
と思われたが、最新作「マンダロリアン(ドラマ)」にてわずかに名前のみが登場、ジャンゴの養父という設定が拾われているという。
ボバが自分の父ジャンゴの来歴(マンダロリアンの孤児)を説明する際、マンドア文字で一瞬だけ「養父はジャスタ……」と映るだけという、ほとんど隠しメッセージに近い感じだが、とりあえずその実在だけはカノン入りしたと言える。





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*1 フェットの父はジャーニーマンプロテクターの経験者で、ジャスターのことを尊敬していたという。

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