天使

ページ名:天使

登録日:2023/01/26 Thu 01:44:00
更新日:2024/07/05 Fri 10:28:36NEW!
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天使てんしとは、キリスト教イスラム教ユダヤ教といったアブラハムの宗教に登場する超自然的な存在の総称である。
英語での呼び方「angelエンジェル」でも広く知られているだろう。
スペイン語では「アンヘル」、フランス語では「アンジュ」、イタリア語では「アンジェロ」、ヘブライ語やアラビア語では「マラーク」と呼ぶ。





概要


人間と同じく唯一神の創造した存在。
「闇」「邪心」「誘惑」といった「悪」の概念を司る悪魔とは逆に、「善」「光」「正心」といった「正義」の概念を司る。
人々を正しい道へ導く、神に最も近い存在でもある。
当然ながら悪魔とは対を成し、対立する関係ではあるが、同時にこの二つは表裏一体でもある。
あのルシファーサタン、そしてソロモン72柱も元々は天使であったと言われているのだ。


純真・清らかな心の持ち主であることの比喩として「天使のよう」という表現が使われることも多い。
ただし伝承上においては悪魔よりも寧ろ神及び天使の方が人を殺していると言われるのは有名な話である。
これも「正義」や「この世の理」を司る存在故に「間違いは許さない」という側面もある為だろう。
とはいえ後述するヘブライ語の「マラーク」という言葉では、それ自体に「神の使い」と同時に「神の闇の側面」という意味合いもある。
ある意味では、この性質も最初からある正しいものと言える。


冒頭で述べたように欧米圏では英語の「エンジェル」をはじめそれに類する言葉で呼ばれることが多い。
これはギリシャ語の「アンゲロス」という「使者」を意味する言葉が語源。
更に起源を辿るとサンスクリット語で「アンゲレス」或いは「アンギラス」暴龍のほうではないという言葉が語源ともされる。
元々はヘブライ語の方で「使者」を意味する「マラーク」と呼ばれていた。


もっと辿るとかつて古代ペルシャで信仰されていたゾロアスター教に辿り着くとも言われている。
その神話に登場するアフラ・マズダに仕えている「7大精霊」の一つ、アムシャ・スプンタという上級精霊が大元であるらしい。
7大精霊の数がミカエルらを表す「7大天使」とその数も一致していることから実際に元になったという説もある。


他にも名のある高名な天使に関しては、三大宗教成立以前の古代神話の神々を起源としていると推測される者も幾人か存在する。
その代表的な天使がミトラスを基にしたと言われるメタトロンである。


ちなみに後述するように九つの階級が存在しており、それぞれでさらに異なる呼び方がある。




姿


日本含め一般的に「天使」というと
「頭に輪っかのある鳥のような白い翼を生やした少年、または青年の美しい姿」
でイメージされるが、実はこれは後の時代に脚色されたものであり、原典においてはこの限りではない。
具体的に言えば

  • 天を貫く凄まじい巨体
  • 全身が炎で燃えている

のはまだ序の口で、極端なものになると

……といったような、むしろ初見では魔物と勘違いされそうな外見であり、今日においてイメージされる姿とはかけ離れていた。
これは「人間を超越し、この世の理を司る存在」として「あえて人間の形から崩れ、かけ離れたもの」にしたためではないかと言われている。




階級


それぞれ上位から順に、以下の9階級が存在している。

  • 熾天使(セラフィム/セラフ)
  • 智天使(ケルプ/ケルビム)
  • 座天使(ソロネ/オファニム)
  • 主天使(ドミニオン)
  • 力天使(ヴァーチャー/ヴァーチェ)
  • 能天使(パワー/エクシア)
  • 権天使(プリンシパリティ/アルケー)
  • 大天使(アークエンジェル)
  • 天使(エンジェル)

階級の詳細に関しては個別項目を参照。




主な天使


神に反逆したルシファーを打倒した、大天使の代表格。
四大天使の一人ともされる。
欧州圏における人名の「ミハイル」や「ミシェル」「マイケル」等の語源でもあり、
かの「ミケランジェロ」は読んで字のごとく天使ミカエルを意味している。


四大天使の一人であり、熾天使。
神の言葉を伝える役割を持ち、聖母マリアに受胎告知をした天使でもある。
こちらも欧州圏における人名の語源である。読みはそのまま、あるいは「ゲイブリエル」等。


  • サンダルフォン

ユダヤ教において存在が言及される天使。
生まれてくる胎児の性別を決める役割を持っており、天使の中でも屈指の巨体であるとされている。


  • メタトロン

ユダヤ教において存在が言及される天使。
サンダルフォンの双子の兄弟でこちらもかなりの巨体であると言われるが、先述したように原典においては全身に目玉が存在した異形の姿であったとも。
古代ペルシャで崇められた太陽神ミトラを語源とする説がある。


ヘブライ語で「神は癒される」という意味合いの名を持つ天使。
ユダヤ教において存在が言及されるがこちらはキリスト教にも登場する。
四大天使の一人ともされる。
人々へ癒しを与える役割を持っており、悪魔アスモデウスを退治した話で知られている。
その際は人間の姿を借りて行動しており、アザリアという偽名を名乗って人間の青年をパートナーに旅をしていた。
こちらも人名の語源となっている。イタリア語の「ラファエロ」、或いは「ラファエレ」等が該当。


ユダヤ教において存在が言及される天使。智天使の長とも言われる。
四大天使の一人とされるが、四大天使の中で唯一『聖書正典』には名が出てこない。
そのためカトリックでは天使と認められていないとのこと。


  • キューピッド

厳密に言えば天使ではなく、ローマ神話系の神様。だが現在はほぼ天使の一種類とみなされている。
気まぐれに恋の矢を射る、背に翼の生えた幼児として描かれる事が多い。
創作におけるキャラクターにも、天使とキューピッドを混同したような特徴を持つ者は少なくない。




創作作品における天使


基本的には創作においても正義・善の存在、主人公の味方として登場する。
代表的なのは天界(神や天使のいる世界)から人間界(人間がいる世界。下界ともいう。)に降りて特定の人間こと主人公をサポートする設定だろうか。
主人公のために天使が派遣されてきた、天使本人が主人公を選んだ、そもそも天使が主人公にやらかしてしまったので責任を取りにきたなど理由は様々。
いずれにせよ、天使は主人公の相方として有事に力を与えつつ、普段は主人公と心を通わせたりボケツッコミを交わしたりする。


天使が「人間を助ける」修行のために人間界に降りてくる設定も定番。
その対象は前述通り特定の人間だったり不特定多数の人間だったりする。天使が主人公の場合は後者であることが多い。
修行を課せられるという設定上、天使は落ちこぼれか見習いなど半人前であることが多く、人助けがすんなりいかずドタバタしたり悩んだりするところも見所。


捻ったものではワケあって天界に帰れなくなった天使をたまたま出会った人間(主人公)が帰れるように手伝ったり滞在中の面倒を見る設定もある。
天使が帰れなくなった理由は神様からの罰、羽衣を失くした天女オマージュで天使の輪か翼を失くした(あるいは傷付けた)辺りが定番か。


人間界に降りた天使は基本的には

  • 天使の姿のまま、サポート対象の人間(と別の天使にサポートをされている人間)以外には視認できない。
  • 天使の姿のまま、サポート対象含め人間には視認できない。
  • 天使の姿のまま、天使であることを全く隠さない。
  • 人間の姿になる。
  • 人間に転生する。

のいずれかで活動する。
天使の容姿はお馴染みの人間に翼と輪っかがある姿が九割九分。残り一分はマスコットのようなかわいらしい姿。ギャグ作品ならイロモノもいる。髪の色、身体に模様など人間と異なる特徴をもつこともあるが、恐ろしい異形の姿であることはまずない。
格好はお馴染みの白装束のほか、構造やデザインが独特の服、人間と変わらない服、全裸と様々である。


天使の階級は一般クラスの「天使」と上司にあたる「大天使」しか出てこない。たまに「天使長」が出てくる程度か。階級というよりは役職に近い扱いであることもままある。
作品によってはオリジナルの階級や役職が登場する。



だが創作においては時に敵勢力として出ることもある。
これは先述の通り、

  • 光や正義を司る存在であるが故に融通が利かないと解釈される
  • そもそも原典において悪魔よりも人の命を奪っている

といった部分が強調される為であると思われる。
このため、敵として登場した場合は傲慢・独善的といった性格が強調される事が多い。
その場合自分の行いが正義だと信じている分、時として悪魔などよりよほど質が悪い者も少なくない。
天使の容姿も人間に近いものとは限らなくなる。


例えば『仮面ライダーアギト』に登場する怪人である「アンノウン」は、同作における悪役で獣の特徴を持った恐ろしい姿をしている。
しかし設定によると、彼らはその獣の祖となった天使であるという。
劇中ではある素質を持った人間を容赦なく手に掛けるため、それが原因で仮面ライダーと戦うことになる。
一方で、普通の人間を手に掛けることはよほどのことがない限りはしない性質を持った存在としても描かれている。
これは彼らの親玉である闇の力が歪んだ形ではあれど彼なりに人間を愛しているがためであり、彼らもそれに従っているからである。


また、『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する使徒のように、人間の常識や条理が通用しない敵が天使の名を冠するケースもある。


バトルもののような「戦い」をテーマにした作品では敵の勢力の強大化、世界観の膨大化の果てに神との戦いという展開に至ることもあり、天使が神側の勢力として、あるいはその前章の敵として立ちはだかることもある。
「天使と戦う」というのは「神に刃向かう」「神と戦う」とほぼ同義であり、悪魔や侵略者以上に敵として高い壁であるからこそ天使を敵設定にする作り手もいるのだろう。



一般的なイメージとは逆に、悪魔のほうが善良・潔白で天使が腹黒だったり我欲に忠実だったりするパターンもしばしばある。
こちらは特にギャグ作品で見られる傾向で、それなりに定番化している。


属性相性においては、光と闇は相克することも多い。
そのせいで聖なる天使のくせに闇の力に弱いパターンもよく見られる。


概要でも述べたように、実際に天使ではないキャラクターがその純真さ、優しさ、美しさなどから「天使」と呼称されるケースもしばしば見られる。
該当するキャラの多さから、「○○ちゃん(さん)マジ天使」のスラングも生まれている。


また古典的な漫画表現として「『倫理的な行動』/『真面目な行動』と『非倫理的な行動』/『不真面目な行動』とを迷う」様を、前者を天使、後者を悪魔の囁きと描写されることがある。
「拾った財布を警察に届けるかネコババするか」といったシチュエーションが有名。
この場合、まさしく戯画化された天使・悪魔そのものの姿で描かれる事が多い。
作品によっては迷っているキャラ自身、あるいはその知り合いなどが天使・悪魔のコスプレをした姿で描かれたりもする。
漫才の題材としても用いられ、だいたいツッコミ役が迷う人間、ボケ役が天使と悪魔の一人二役を担当する。



ゲーム

  • てんしっち(てんしっちのたまごっち)

初代たまごっちの一種。死んだたまごっちの霊が転生して、生まれ変わった存在。ご飯はパイで、おやつはホワイトチョコ。基本性格は純粋で素直でお人好しな天使らしい性格である。おいのりが得意で、天敵はデビルっち。


おなじみ神も悪魔もごちゃまぜゲーム。人外の存在=悪魔という設定のため、天使だけど悪魔というややこしい事になっている。
メガテンでは大体ロウルートに関わってくる。ペルソナではプレイヤー側がピカレスク(悪党)ポジションの『5』が存在感強め。
四大天使は登場する機会も多いが、かませ犬的な微妙な扱いを受けることも…。



終章以降のメインヴィランとなる勢力。天界を統べる女神イリアスの掲げる世界の再創世のため、地上に住む人間や魔物に無差別攻撃を仕掛ける。
R-18的なゲームの作風もあるが、上述した「異形の姿の天使」というモチーフに沿った天使たちが数多く敵として登場する。ちなみにイリアス様はこういった異形の天使たちがお嫌いらしい。部下なのに…。
地上の生物とは異なる身体組成ゆえに(主人公や同族を除く)殆どの攻撃を無力化する性質を持つが、同時に地上の存在と関わる事が滅多にないため戦闘そのものの経験値は全体的に低いのが欠点。






作中の世界的宗教「マーテル教」に於いて重要な存在。
作中ではレミエルが登場し、後にコレットも天使となる。
他にも登場するが割愛。


シリーズ通しての主要な敵であり、ベヨネッタと彼女が使役する魔獣たちのおやつ。
詳細な設定は一般的な天使に準拠している部分も多いが、天使をここまで純粋なクリーチャー枠で扱う作品は割と珍しい。


本家シリーズにおいては「天使のような姿の悪魔」が登場する程度に留まる*1が、海外制作のパラレルワールドの今作のみダンテバージルは悪魔と天使のハーフという設定。
天使の力を使ったエンジェルリフトやエンジェルブーストといったアクションが用意されている。


天使の名を冠する十人組の生体兵器。『SO3』ではFD人、『SO4』ではグリゴリなど堕天使の名を冠する主要ボスも登場する。


フロントウイング発売のエロゲー。メインヒロインが白スク天使の姿に変身して敵に負けたら○○されるジャンルの代表作。


カードゲーム





漫画

  • 天使(ぴたテン)

ヒロイン・美紗と、彼女の姉の早紗が登場。美紗は低俗な見習い天使で、早紗は免許を持つ一人前の天使。人間とは全く別の種族であり、人間が魂になっても天使にはならない。「人間と違う種族の人外である」事が強調されていて、人間とは違う常識を持っている。「天使と人間は一緒にいると不幸になる」「天使と人間は関わり合いを持つものでは無い」「人間は天使が見えてはいけない」という常識を持っている。本作の天使は、一人前の天使は悪魔の血を引く人間にしか感知できず、また触れる事も出来ない(見習い時代の美紗は例外)。性格は美紗は「みんなが思い描く天使」で、早紗は「天使様」である。






舞天市を舞台に、ネトゲ大好きぐーたら駄天使ガヴリールと世話焼き悪魔のヴィーネを中心としたハチャメチャな日常生活が繰り広げられる。
他にも、自称大悪魔のサターニャ弄りが大好きな鬼畜天使ラフィエルやぽんこつ後輩天使のタプリスなどが登場。
タプリスはスピンオフ漫画『タプリスシュガーステップ』の主人公も務めている。


天使の輪が欠けてしまい、地上に落ちてきた。輪が治るまで天界に帰れない悲しき天使。



  • 天使(花さか天使テンテンくん)

役割によって才・知・愛・力・運の5種類に分けられており、それぞれの分野で人間を影から助ける仕事をしている。額の文字でどこに所属しているか判別できる。
階級の高い天使になると翼が増える、輪に角がつくといった外見上の変化がある。


アニメ

名前が冠されているのはTVシリーズのみ。キリスト教だけでなくユダヤ教やイスラムの天使の名を冠する使徒もいる。
なお、劇中で使われている「使徒」の英訳は「Angel」である。こちらはTV版と新劇場版共通。


死後の世界に於いて、主人公達「死んだ世界戦線SSS」と敵対している?少女。
元々本名不明であり、「天使」はSSSの日向がコードネームとして考案したもの。かなでは、自身は天使ではないと否定している。


私設武装組織 ソレスタルビーイングが保有する第3世代以降のガンダムのほとんどは「天上人」という組織名にちなみ、天使の階級や個体の名を冠する。


ロジャーを翻弄する謎の女性。物語のキーパーソン。


TV版と比べると天使の羽のような意匠が施されているのが特徴。



ビッチな姉のパンティと毒舌家な妹のストッキングの双子の天使姉妹が主人公。
凄まじくアクの強い性格から二人とも天界でも落ちこぼれ扱いされており、天界に帰るべく(男漁りとスイーツ漁りの傍ら)地上で悪霊退治をするというのが本作のあらすじ。腐っても天使なので戦闘能力自体は高く、その体液には魔除けの力がある。
なお「天使がビッチなら悪魔は処女なのでは?」と放送当時は予想されていたが、別にそんな事はなかった。


小説・ライトノベル


実写作品

所謂「怪人」ポジションの悪役であり、ある素質を持った人間(ライダー含む)をコンクリートの壁に埋め込んだり地上で溺死させたりといった「不可能殺人」で手に掛ける。
その実態は天使であり、モチーフを問わず背中には翼のような造形がなされている。
またヒョウやヘビ、アリなど各々動物に似た姿をしているが、これは『アギト』では動物の方が天使に似せて創られたという設定であるため。「(動物名)ロード」という通称もそれに由来する。
基本的にターゲットではない普通の人間に危害を加える事はないが、彼ら自身は人間を低俗な存在として蔑み、嫌っている。


地球上で人類と共に誕生したとされる超人。
「ゴセイパワー」という超能力で「護星界」という疑似空間を作り出し、今も地球を護り続けている。
宇宙虐滅軍団ウォースターの幹部・流星のデレプタが、護星界と地上を結ぶ中継地点「天の柱」を壊したことが『ゴセイジャー』の物語の始まりであった。


謎の敵勢力「根源的破滅招来体」の切り札。
普段は巨大で白い美女の姿をしているが、本性はドラゴンのごとき超巨大怪獣。


大天使の名前を冠した理想都市国家『ジーザスタウン』を守る公安司令官ロボット。
表向きは正義と秩序を重んじ、いたずらな武力行使や無益な殺生は意識して避けているのだが、それは『ジーザスタウン』の最高権力者であるグルジェフの都合であり、それに反する者を処刑する偽善者である。


  • 天童世死見(天国に一番近い男)

生きる価値の無いダメ人間の元に現れ、神に課された命題(ダメ人間を更生させる目的も兼ねた生存チャレンジ課題)の案内やサポートを行う。恋愛禁止の掟がある。
外見は黒尽くめの中年男性で、多少の記憶操作や予知能力を除けば天使らしさは感じられない。
某大物歌手をもじったその名には「世の中の死を見つめる天の童」という意味が込められている。




天使と名が付くものあれこれ


  • エンゼルフィッシュ

南米を原産とする「シクリッド」という魚の仲間。
体の上下にヒラヒラとした長いヒレを生やしたザ・熱帯魚な姿をしており、実際にアクアリウムにおける代表的な種の一つ。
しかし性格は優雅な外見に反して凶暴。天使というより悪魔である。


ちなみにキンチャクダイ科の海水魚も英名では「エンゼルフィッシュ」という。
アクアリウムに関する文献を読むときなどでは文脈に注意を要する場合がある。


  • クリオネ

北極圏に生息する貝類の仲間。
そのかわいらしい姿から「流氷の天使」と呼ばれるが……?


  • テンシノツバサガイ

そのものズバリな名前の二枚貝。主に浅瀬の柔らかい泥の中に棲む。
白い貝殻がまるで天使が翼を開いているように見える事からこの名で呼ばれ、インテリアやコレクションに人気の美しい貝である。
ちなみに身は美味いらしい。


  • カスザメ

主に温帯から熱帯の海に生息する底生性のサメ。英名を「エンジェルシャーク」。
海底の砂に埋もれて獲物を待ち伏せするという生態を持ち、平べったい見た目はサメというよりもエイに似ている。
ぱっと見では何が「エンジェル」なのかさっぱり分からないが、大きく広がった胸鰭が天使の翼を彷彿とさせるからだとか。


  • スナネコ

アフリカの砂漠に生息する世界で最も小さな野生ネコの一種。
過酷な砂漠で生きる為に独自の進化を遂げており、日中は岩陰などに身を隠し、夜間に餌となる昆虫やヘビを探して活動する。
その愛らしい姿から「砂漠の天使」とも呼ばれ、日本でも知名度を向上させつつある。
しかし戦争や環境の変化によって近年個体数が急速に減少し、現在は絶滅危惧種としてレッドリストに登録されている。
そうでなくとも、高温の乾燥地帯に適応した動物のため多湿な日本の環境には順応出来ず、気性も荒いためペットとして飼うには全く向かないと言える。
自宅を砂漠に改造するくらいの事でもしない限り、飼育は考えない方が良いだろう。


  • ヘブンシリーズ

岐阜県揖斐郡大野町にある「(有)河本バラ園」が育種・販売しているバラのブランド品種群。
それぞれ「ミカエル」「ラファエル」「ルシファー」「アブデル」など、失楽園に登場する天使の名前が付けられており、それに違わぬ美しさと繊細さを誇る。
少々値は張るが公式サイトから苗を購入可能。


  • エンゼルトランペット

別名「ダチュラ」。和名を「キダチチョウセンアサガオ」とも言う熱帯植物。
名前の通り天使のラッパのような縦長の花が垂れ下がるように咲き、可憐な外見から園芸植物として人気が高い。
しかし花、葉、樹液、種と全体に幻覚性の毒を持つ。
特に果実はオクラに似ており、今でも誤食による中毒事故がたびたび起こる。
なので近くで野菜を育てたりしないよう注意。


  • アンゼリカ

英名を「ガーデンアンゼリカ(Garden Angelica)」、和名を「セイヨウトウキ(西洋当帰)」という植物。
名の由来はラテン語で天使を表す「Angelicus」から。
伝説では天使ミカエルが草の薬効を伝えたとされ、その事から「天使のハーブ」「聖霊の宿る根」とも呼ばれている。


また、その中空の茎や葉柄を砂糖で煮つめた菓子素材も同じく「アンゼリカ」と呼ばれる。
日本ではフキを煮つめた代替品も用いられるが、独特な香りは本家でなければ出ない。


傘から茎に至るまで全体が真っ白な毒キノコ。
タンパク質の合成を阻害・内臓を壊死させる「アマトキシン」という猛毒を持ち、たった一本で確実に人を死に至らしめる程の殺傷力を誇る。さらに年中何処でも見かける事が出来る程分布性も広い。
そのため欧米では「Destroying angel(殺しの天使)」という異名で呼ばれている。
当然日本にも生息している。素人は野生の白いキノコには絶対手を出さないように。
しかし近年ではその毒を癌細胞の破壊に活かせないかと、抗癌剤に利用する研究も行われている模様。人間って逞しいね。


  • ダンビュライト

主にミャンマーやメキシコで産出されるケイ酸塩鉱物。和名は「だんぶり石」とも。
身に着けた人に安心感を与え、明るい気持ちへと導くパワーストーンとして知られており、雑誌の胡散臭い広告でブレスレットやネックレスを見かけた事のある方も居るだろう。
特にピンク色の石は「天使の柱」とも呼ばれ、天上世界に住まう天使たちとの繋がりを強め、あらゆるエゴや不安から持ち主を解放してくれるほど強いの力を秘めているのだとか。
……実際の効能はともかく、美しい宝石には違いない。


  • サンタンジェロ城

イタリアはローマ市内に建つ城塞。日本語訳だと「聖天使城」となる。現在は国立博物館。
名前の由来は、590年にこの地をペストが襲った際、城の上に大天使ミカエルが降臨して終息させたという伝説から。
現在、降臨したとされる場所には巨大なミカエルのブロンズ像が設置されている。
ダン・ブラウンの小説『天使と悪魔』及び同名の実写映画の舞台の一つとしても有名。
城の前を流れるテヴェレ川にはサンタンジェロ橋という大きな橋が架かっている。
こちらは『ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風』の最終決戦地としてファンの間では知られている。


  • ロスアンジェルス(ロサンゼルス)

アメリカ合衆国はカリフォルニア州にある郡及びその最大都市。ディズニーランドやユニバーサルスタジオの街としても知られる。
かつてカリフォルニアがスペイン領だった時代、この地域はスペイン移民によって
El Pueblo de Nuestra Señora la Reina de los Ángeles de Porciúnculaエル・プエブロ・デ・ヌエストラ・セニョーラ・ラ・レイナ・デ・ロス・アンヘレス・デ・ポルツィウンコラ
(我らが貴婦人、ポルツィウンコラの「天使たちの女王(マリア)」の町)
……略して「Los Angeles(ロサンヘレス、天使たち)」と命名された。
アメリカ領になった後も、読みこそ英語になったが地名は今でも受け継がれている。




追記・修正は悔い改めてからお願いします。


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*1 ただしアイテムや敵の紹介文から本物の天使が存在する事は示唆されている

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