AI(ドラクエ)

ページ名:AI_ドラクエ_

登録日:2022/12/20 Tue 00:16:03
更新日:2024/06/28 Fri 13:30:22NEW!
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[[クリフトは ザラキをとなえた!>お約束(展開)]]


ここではRPGドラゴンクエストシリーズ』に登場するAI、作戦について解説する。



概要

初期のドラゴンクエストシリーズは、原則全ての味方の行動を逐一入力する方式である。……というか初期のRPGは大抵このシステムである。


それに一石を投じたのが『IV』。当時は「AI搭載」が最先端の要素として盛んに宣伝されていた。
パーティーに「作戦」を指示し、それぞれのキャラが作戦に従って戦うという形式への変化。
これは主人公(=プレイヤー)が「一人の戦士」から、「チームを率いる指揮官」へと進化した象徴とも言える。


以降もシリーズ定番の要素として定着していった。
ガラケー版以降のリメイク版『III』も含めて実装されているため、本編シリーズでは『I』『II』以外の全作品に搭載されている。


この手のシステムによくあることではあるが、シリーズを追うごとにシステムはどんどん改善されている。

  • AI任せにするしかなかった→「めいれいさせろ」が登場し、従来のコマンド入力もできるようになった
  • パーティー全体に一括で作戦を指示するしかなかった→個人個人に作戦を指示できるようになった

初期からの改善だとこの辺りが有名。
主人公に作戦を出せるようになったのも最近の作品からである。


ただAIの精度も高まっているかと言うとそうでもなく、むしろ昔の作品の方が頭いいというのは割と頻繁に言われる
特に『V』はSFC版では柔軟かつ的確な行動を取ってくれるシリーズでも屈指の有能なAIであった一方、PS2版ではすさまじい勢いでポンコツ化。
落差が激しく割と有名。


これは単純にシリーズが進むに連れて特技や呪文の数が飛躍的に増えてAIが対応しきれなくなった…
…というのもあるが、むしろ意図的におバカにしている面もあるようである。
近年のAIの進歩に合わせれば、ほとんど常に最適解を叩き出すような完璧なAIを組むことも可能だと思われる。
しかしそれをやってしまうと「RPGの醍醐味」が失われてしまうこともまた事実。
だからこそ、「自分で考えて自分で攻略する」余地をある程度残しているのだろう。それでもPS2版『V』やリメイク版『VII』はちょっと酷すぎるが…


ちなみにたまに勘違いされることがあるが、ステータス「かしこさ」はAIの行動精度には一切影響しない。AIの判断はキャラクターを問わず一律である。
ただし『V』のみ仲間モンスターのかしこさが一定値以下だと命令を聞いてくれない。



AI戦闘の長所

  • コマンド入力の手間が省ける

雑魚戦でAI戦闘に任せる最大の長所がこれであろう。
特に単調な稼ぎプレイなどの際、MP効率などはあまり気にせずとにかく手早く戦闘を終わらせたい時には非常に頼りになる。


  • 敵のステータスや耐性を把握してくれている(時もある)

原則ドラクエは敵のステータスや耐性はマスクデータである。
しかしAIは相手のHPを正確に把握しているため、基本的に攻撃の無駄打ちは行わず「最も効率よく相手のHPを0にできる」攻撃を優先する。
なぜか同じ無消費攻撃でもワンランク弱い攻撃でターンを無駄にしたりする作品もあるが…
耐性に関する把握も完璧。
人間操作だといちいち攻略本などを参照して弱点や無効化される攻撃を調べないといけないが、AIは無効化される攻撃は原則行わない。
また、初見の相手の耐性を調べるヒントにもなる。


ただしFC版『IV』は「学習して成長する」という独自のシステムを採用*1しており、初期状態では耐性把握が完璧ではない。
クリフトがやたらとボスに効かない「ザラキ」を連発するのは、初見のボスで耐性把握が済んでいないため。
「アストロン」などでしばらくターンを稼ぐとちゃんと効かないことを学習してくれる。
ラスボスデスピサロは形態ごとに別モンスター扱いなので、形態が変わるたびザラキマシーンと化してしまうが。
この仕様や「めいれいさせろ」がないこともあってか「FC版『IV』のAIはポンコツ」と言われることもある。
しかしきっちり耐性等を把握した状態であればクリフトのボスに向けたザラキのような無駄行動を取ることはなくなり、ある程度は柔軟に動いてくれる。
また例え全滅したとしてもそのターンまでの学習状況はちゃんと保持される。
ただしリセットするとこの記録は消えてしまうため、また学習していない状態からのスタートになる。
全滅時に失うゴールドを取るか、学習を取って再戦をスムーズにするかはプレイヤーに委ねられている。
ただ取説には「リセットすると学習が消えるので非推奨」という旨の注意書きが書かれている。
リメイク版『IV』でザラキを連発するのは学習レベルの問題ではないのでどれだけ待とうが決して解決しない。


実はSFC版『V』もFC版『IV』と同じ学習型のパターン。
ただし遭遇後3ターンもすれば敵の耐性や最初からの「マホカンタ」を把握した完璧なAIへと変化するため、ポンコツ行動するのは最初の1ターンくらい。


なお、耐性は把握してくれるが、流石にエスタークの「眠らせるとかえって危険」というような極めて特殊な行動パターンまでは考慮してくれない。そのため、耐性がないからと言って安易に眠らせにかかって大惨事を招くことも場合によってはある。


  • 後出し回復が可能

ボス戦におけるAIの最大の利点。
ドラクエは原則ターンの初めに全員分の行動を入力し、素早さに準じてそれらの行動を順番に処理していく…という形式を取る。
そのため「味方より素早い敵モンスターの攻撃で生じた被害」に対して回復を行うには、被害を予測して先読みでコマンドを入力しておく必要がある。
もちろん先読みが外れれば被害が甚大になったり無駄回復になったりしてしまう。


しかしAIは「行動順序の直前に行動を決定する」という特性を持つ。
そのため自分の行動ターンの直前に致命傷を負った味方がいれば回復を優先するし、回復をする必要がなければそのまま攻撃に転じる。
この柔軟さは人力操作では決して再現できない。
ただPS4版『XI』および『Xオフライン』は仕様変更により人力操作での後出しの回復が可能になっている。


  • AI操作時のみの特殊能力

本編シリーズではSFC版『VI』にのみ、「AI操作時のみ2回行動」の能力を持つ仲間モンスターが存在する。
AI故に行動が不安定ではあるが、覚えさせる技を必要なものだけに絞ればある程度行動はコントロールできるため、使いこなせば強力。
この能力を持ち、ステータス面もぶっちぎりで優秀な「カダブウ(ランプのまおう)」は仲間にする難易度の高さを除けば満場一致で最強の仲間モンスター。
…というか仲間にするのがやり込みレベルで難しいからこそ優遇されていると言えるが。
『モンスターズシリーズ』では「AI◯回行動」という特性として登場している。
この特性持ちのモンスターはステータスが低かったりデメリット特性を持たされたりしているが、それでも使える作品では使える特性。



AI戦闘の短所

  • 長期的なリソース確保の概念がない

基本的にAIは「その戦闘において、最も効率よくMPを消費して敵を倒せる」戦法を選ぶ傾向がある。
メラミ」で倒せる相手ならオーバーキルになる「メラゾーマ」は使わないと言った具合である。
しかし「この先のダンジョン探索は長引くから、この弱めの敵にはMPを使わずに直接攻撃だけで倒そう」などと言った長期的な思考はAIにはない。
倒せるなら常に全力投球である。メラミだってメラゾーマだって何発も使う。
メラでは無い…メ ラ ゾ ー マ だ… つまりメラゾーマのほうが威力が大きいということだ・・・
かと言って「じゅもんつかうな」だといざという時に回復してくれなかったりするので悩ましいところ。
この欠点がダンジョン探索においてAI戦闘がイマイチおすすめできない理由である。


  • 人力操作のキャラと連携する能力はない

上記先読み回復と表裏一体の欠点。
AIは「自分が行動する直前」の状況までは把握できるが「自分のあとに行動するキャラ」の状況までは一切考慮しない。
人力操作キャラAの後にAI操作キャラBの順序が回るなら、Aが回復済みならBはそれを考慮した行動を取れる。
しかし順序が逆だと、AI操作キャラBは「Aが回復してくれるならB(自分)は回復しなくてもいいな」というような細かい配慮は一切してくれない。
むしろこの点は「AIに合わせて人力操作キャラを動かす」ようにするとある程度改善される。


  • AIが決して使わない技・アイテムがある

作品次第ではあるが、原則的に消耗品系のアイテムは一切使ってくれない(「やくそう」ぐらいなら使ってくれる作品もある)。
まぁ「せかいじゅのしずく」などの貴重品をAIが勝手に使ったらマズイので、これはある意味仕方ないが。
作品によっては無消費系のアイテムすら使ってくれないことがあり、本当に欠点なのはこちら。
けんじゃのいし」などの有用な無消費系アイテムは人力操作キャラに持たせておこう。
また発動するかや効果量が不定なギャンブル系の技もあまり使ってくれない傾向にある。
これは特に『VII』で顕著で、「つるぎのまい」や「どとうのひつじ」といった強力な特技もAI任せだと全然使ってくれない。


他にも「メガンテ」や「メガザル」、「たいあたり」などの自爆技や、相手を報酬ごと消してしまう「ニフラム」なども原則使わない。
まあこの辺も勝手に使われた方が困るので当然と言えば当然の措置である。
ちなみにFC版『IV』のミネアは条件を満たせばメガザルを使う。
が、尋常ではなく厳しい条件に設定されているため、通常プレイでメガザルを使うことはまずない。


  • 逆にAIがやたら好きな技もある

これは『VI』のハッサンが「とびひざげり」を覚えた直後からとびひざげりマシーンと化すのが割と有名だろう。
とびひざげりは浮遊系特効だが浮遊系でない相手にも一応通常攻撃と同程度のダメージはある特技である。
……のだが「会心の一撃が出ない」という欠点から、期待値自体は実は通常攻撃にわずかに劣る。
しかしAIに任せたハッサンはこの欠点など気づきもせずに飛んでいない相手にも律儀にとびひざげりをかましまくる。
他には「グランドクロス」もシリーズ通してなぜかAIの優先順位が高めの技になっている傾向がある。
これを覚えると特に有効でない相手にもグランドクロスを発動しまくることも。
上記リメイク版クリフトのザラキも、意図的にAIにザラキを優先するプログラムが組まれているための現象である。


「特定の行動を使ってくる」かつ、「その行動を封じる特技・呪文に耐性がない」の両方を満たすと、行動封じを優先する思考もあったりする。
まず使ってこない「メガザルダンス」を警戒してわざわざデススタッフ相手に「おどりふうじ」を使う『VI』のAIは割と有名。
なお「呪文を封じると激しい炎を乱れ打ちしてくるしれんその1にAIがマホトーンを使う」というのも有名な話である。
ただ相手の使う呪文の危険度もAIの行動封じの優先度に関係してくるようで、呪文を多用するからマホトーンを使うとは限らない。
実際は低級呪文しか使わないしれんその1に対しては、適正レベルではAIはほぼマホトーンは使わなかったりする。
このエピソードについては噂に尾鰭が付いた都市伝説であると思われる。


レベルアップで技を習得する作品では回避しようがないのも対処の困難さに拍車をかける。良い感じに作戦を指定するかこちらが合わせるしかない。
転職・スキルポイントで技を習得する作品の場合は「不要な技の手前で育成を止める」ことである程度AIの行動を縛ることはできる。
ただしこの場合、「そういった地雷技の先に本命の強力な技がある」と悩ましいことになるが。



ドラクエシリーズに登場する作戦

ドラクエでは作戦にもそれぞれ固有の名前が付いている。
いずれも「ドラクエ節」とも言うべき独特な名前であるため、印象に残っているプレイヤーも多いとか。
なおムドー(幻)やエビルスピリッツのように「主人公の声真似」によって作戦を勝手に変えてくる特技を持つモンスターもいる。
特に、ムドー(幻)が主人公の声真似を使用することはストーリー的にも重要な意味が存在する。


  • ガンガンいこうぜ

「とにかく消費のことは考慮せず、持てる最大火力を叩きつけて最速で戦闘を終わらせることを優先する」作戦。
『月刊少年ガンガン』の名前の由来になったことでも有名。
作戦としての長所短所がハッキリしており、下手に使うと危険だが豪快なので人気はある。レベル上げではこれでOK。
MPに依存しない物理アタッカー等なら比較的ローリスクで運用可能。
実は「絶対に回復しない」というのは近年できた特徴で、初期は瀕死の味方には普通に回復を行う柔軟性があった。
あくまで回復に移行する閾値が低いだけだったのである。
少年ヤンガス』では仲間モンスターが自分の判断で行動するようになる。


  • バッチリがんばれ

各自の判断に基づいて最適解とされる行動を取る……つまりまぁ「攻撃も補助も回復もバランスよくやれ」という作戦。
個別指示ができなかった頃は「みんながんばれ」という作戦名だった。
とりあえず迷ったらこれでいいだろう、という柔軟性が売り。ただそれだけに何を優先するのか読みづらいので、AIとの連携は取りづらい。
トルネコ3』と『少年ヤンガス』では基本的にプレイヤーの後ろについてくるが、敵を見つけるとそちらに向かうようになる。


  • いのちだいじに

「味方の生存を最優先する」作戦。「いのちをだいじに」という作戦名であることも。
AI行動の長所が一番ハッキリと現れるので、僧侶などのヒーラーにはこれがオススメ。
しかし作品によっては少しでも傷つくと過剰回復を優先してしまったりして、全然戦闘が終わらなくなることも。
逆に戦闘を早く終わらせる=身の安全を確保するという思考からかガンガンいこうぜ張りにMPを惜しまなくなる。
決してプラプラ様の像の前でパンを尻に挟み右手の指を鼻の穴に入れ左手でボクシングをしながら叫んではいけない


  • おれにまかせろ/わたしにまかせて

「主人公の補助を最優先し、自発的な攻撃を行わなくなる」作戦。女性主人公だと「わたしにまかせて」になることも。
補助呪文・妨害呪文を主に使い、できることがなければ防御に徹する。
やることは明白だが、アタッカーを削ってでも補助を優先したいシチュエーションはそうそうないので実戦ではあまり日の目を見ない。
ただ「攻撃に参加させない」という行動自体は有用で、盗みなどのアイテム稼ぎを行う際コマンド入力の手間は省ける。
あくまで「オレ」は主人公なので、主人公を控えに入れると役立たずになる作戦。


  • じゅもんつかうな

「MPを消費する行動全般を封じ、通常攻撃や無消費の特技のみで攻撃を行うようになる」作戦。
長丁場のダンジョン攻略などで役立つ…が回復呪文だろうが蘇生呪文だろうが問答無用で封じるため、使い所を誤るとジリ貧。
回復が必要な場面では臨機応変に切り替えよう。
特技にもMPを消費するようになった『IX』以降は「MPつかうな」に名称変更。


  • じゅもんせつやく

FC版『IV』とSFC版『V』でのみ登場した作戦。なんで廃止されたかというと、おそらく万能すぎたというのが理由として大きかったのだろう。
基本の趣旨は「攻撃呪文は唱えず、ボス戦のみ補助呪文を優先、ヤバくなったらキチンと回復呪文」という作戦。
回復呪文すら封じる「じゅもんつかうな」よりも遥かに柔軟性がある。攻撃呪文を封じるので、魔法アタッカーが使いづらくなるのが数少ない欠点か。
特に『V』のこの作戦はとにかく柔軟かつ融通が利き、よほどのことがない限り道中はこれ一本で攻略できたほど。
無消費攻撃であるブレス系の特技を覚える仲間モンスターが登場したのも大きいだろうが。


  • いろいろやろうぜ

なんとも曖昧模糊とした作戦名だが、FC版『IV』では「実行可能な全てのコマンドからランダムに一つを選んで実行」というとんでもない作戦。
特に魔法使い系キャラは選択肢の多さからほぼ使い物にならなくなってしまう。
物理アタッカーならまだマシだが、それでも消耗品を勝手に使ってしまうなど普通に使うと欠点が目立つ。
基本的にはミネアに「ぎんのタロット」を使わせるなど、通常の作戦ではまず使ってくれないアイテム・呪文を使わせるために存在する。
特にFC版『IV』では「めいれいさせろ」がないので、仲間にアイテムを使わせるにはほぼこれしかない。
呪文など、勇者に「モシャス」を覚えさせて唱える以外ではこれでしか見られないことも。
『IX』で再登場したが、こちらは外伝作品の要素が組み込まれて補助を優先する作戦になっている。
『JOKER2プロフェッショナル』以降の『モンスターズシリーズ』では更に細分化。
味方のサポート中心の「サポートたのむぞ」と相手の妨害中心の「せんりょくうばえ」に分かれている。


  • めいれいさせろ/めいれいするわよ

「AIに任せず、プレイヤーのコマンド入力によって行動させる」作戦。女性主人公だと名称が「めいれいするわよ」になる作品も。
常に全員これにしておけば初期と同じ感覚で遊べるので、AI戦闘は「遊び方の一つ」というポジションに収まった。
面倒でさえないならゲーム中ずっとこれでもさほど問題はない。
普段はAIに任せていても「どうしてもピンポイントでこの行動をしてほしい」というときはこれに切り替えてもいい。
AI初登場の『IV』ではこれが無かったため、否が応にもAIのやりくりに四苦八苦せざるを得なかった。
また戦闘がリアルタイム方式のオンライン版『X』でも登場しない。
しかしやたら身も蓋も無い言い方なので、何だかパーティー仲がギクシャクしそうな作戦名である。


  • テンションためろ

VIII』『JOKER3』でのみ登場。
「『ためる』やテンション上昇系のアイテム・特技を優先的に使用するようになる」作戦。その他の行動に関しては「ガンガンいこうぜ」に準ずる。
テンションを上げてから攻撃を始めるため、結果的にMPの消費を抑えられるという副次的なメリットもある。
もちろんそれはテンション上げの間に敵の行動を許すことにも繋がるため、主人公が全体攻撃などで相手を削ると結果的に攻撃移行が早まる。
ボス戦では「いてつく波動」で消されるリスクがある一方で、1ターンで片付く雑魚相手だとかえって面倒なこともある。
そこそこ敵の強いダンジョンの道中向けか。
不思議なタンバリンを持ったククールは大体この作戦



敵のAI

基本1人用ゲームであるドラクエでは、敵モンスターの行動はコンピューターによって制御されている。
よって「敵のAI」というべきものも一応存在していることになる。
とはいえ、それは味方キャラと比べるとずっとシンプルなもの。ネット上ではよく「判断力」という俗称で呼ばれている。


敵モンスターの行動は「基本的に」いくつかの選択肢からランダムで選ばれている。
選択率がいずれも均一な場合もあれば、意図的に偏りを持たせて敵モンスターの行動に特徴付けをしていることもある。
どちらにせよ、この選択をする際に「その行動が無駄な場合は中止し、別の選択肢に切り替える」という判断をさせることで敵の戦略性を表現している。
無駄と判断されるのは、効かない攻撃、封じられた攻撃、無意味な呪文の重ね掛け、必要のない回復など。
この判断への対応を①「全くしない(完全ランダム行動)」②「ターン開始時にする」③「自分の行動の直前にする」といった感じで段階に分ける。
例えば「バイキルト」を使えるとある敵が、MP切れやこちらからの「マホトーン」で呪文が使えなくなったとする。
この敵の思考パターンが①の場合、一度バイキルトが不発に終わったとしても、次のターン以後もそのままランダムでまた使うことがある。
もちろん使えないのでターンを無駄にすることになる。
また平常時であっても同じ相手にバイキルトを意味もなく重ねがけしたりと、無駄な行動を中止するという判断ができないのである。
では②の場合、一度バイキルトを使って不発に終わったら、次のターンからは「自分はもうバイキルトは使えない」ということを理解する。
その後は別の行動を取るようになり、一度ターンを無駄にした後はなるべく無駄な行動をしないようになる。
そして③の場合、自分が呪文を使えない状態になった時点でバイキルトを使わなくなり、ターンを無駄にせずに行動してくる。
こういった形で
「呪文を封じられているのに撃ってこようとする単純なザコ敵」
「一回使えなかったらその状態異常を直そうとする賢いボス敵」
「状態異常にかかっていることを理解してまず直すことから始めるラスボス」
といったバリエーションを形作っている。
みんな大好きメタル系が基本やたらめったら逃げまくるのに、たまにやけに逃げずに殴ってくることもあるのもこの設計のため。
前述の「いくつかの行動パターン」の中に「にげる」が多く含まれており、その上で①の思考パターンでランダムに行動するためである。


「基本的に」と書いた通り例外も存在する。
例として『VIII』のオセアーノンを題材とすると、このモンスターは行動の選択肢が順に

と決められている。そしてこれを1ターンに1回行動で上から順に行い、1番下の通常攻撃を行ったらまた「燃え盛る火炎」からスタート……を繰り返す。
行動のスキップも無いため判断力も最低…というか判断していない。
流石にこれは極端な例だが、判断も何もしていない上にランダムでもない好例と言えるだろう。


モンスターの行動枠は初期のシリーズでは8枠、後のシリーズでは6枠が基本となっている。
では、一つのモンスターの行動は6種類が限界か…というとそうでもなく、「行動パターン切り替え」という行動により、行動パターン自体を戦闘中に切り替えて行動の種類を増やしているモンスターも数多い。
行動パターン切り替えに、ローテーションや後述の制限行動が絡んでくると、もはや何をやってくるのか初見ではまるでわからなくなるが、低レベルプレイなどの縛りプレイではボスの行動パターンを読み切り、時には誘導までかけないと土俵にすら上がれないこともザラである。


シリーズが進むと「制限行動」と呼ばれる要素も登場し、これも敵AIの判断に影響を及ぼしている。
これは「グループ内で特定のアクションの使用回数に制限を設け、同じアクションばかりを取らないようにする」というもの。
この意味は『II』の大灯台でドラゴンフライ5匹組と出会った際の絶望感を知っている人ならわかるだろう。
強力な技を連発されてなすすべなくパーティが瓦解するような理不尽を制限することでゲームバランスを整えているのである。
『VI』のデススタッフの「凍える吹雪」がなぜか制限行動じゃないのは、完全に開発スタッフの悪意である


上記の通り判断力が高いと無駄な行動を取らなくなるが、だからと言って「それが本当に強く効率的な行動」であるかはまた別の話。
判断力が高くても、それがたたって付け入る隙が割と多い敵も居る。
「こちらが瀕死で殴れば勝てるような場面でも、律儀に低威力の呪文やバフ・デバフを執拗に繰り返す賢しい敵」なら戦線は立て直せるだろう。
逆に「判断力は低いものの、元々高い攻撃力でこちらをぶん殴り続ける厄介な脳筋」も存在する。
前者の一つの例として『Ⅵ』のボス、ミラルゴが挙げられる。
ミラルゴの行動は「通常攻撃、マホターン、メラミ、ベギラゴン仲間を呼ぶ(ランプの魔人)」の5つ。
こいつは『自分にマホターンが掛かっていない時は、必ずマホターンを使う。その後攻撃に移行する』という行動パターンになっている。
ここで、こちらから何かしら呪文を唱えてマホターンをかき消してやるとどうだろうか?
1回行動なのに律儀にマホターンを自分に掛け直すのである。
そのため実質2ターンに1回しか攻撃して来なくなり、この時点では驚異的なベギラゴンも連発される可能性を無くせて戦闘の難易度が大幅に下がる。


もちろん判断力の高さが危険なモンスターもきちんと存在する。
好例としては『VII』のボスの一体、ガマデウス…というよりも、ガマデウスのお供のシードラゴンズが挙げられる。
このシードラゴンズの行う行動は「通常攻撃」「ベホイミ」「激しい炎」「焼けつく息」の4つ。
特に大ダメージで防ぐ手段の乏しいブレスである激しい炎と、麻痺を全体に与えてくる焼けつく息の危険度が高い。
しかも判断力がかなり高く設定されているため、無駄な攻撃を控えるうえにベホイミも的確に使ってくる。
そして「HPが減っておらずベホイミの必要がない」「守備力が高すぎて通常攻撃が通らない」の両方を満たすと…
…前述の設計を見ればお分かりだろう、危険なブレス二択というとんでもない行動パターンに突入する。
他の奴らのも含めた通常攻撃のダメージだけでも減らそうと、「スクルト」や「戦いの歌」で守備力を上げると逆効果になるのだ。
ガマデウスのお供の時はHPと守備力が高く攻撃力が低く設定されているので、これらの条件を満たしやすいのもある。
判断力が高いと、こういう罠的な行動を取るモンスターも多い。


またボス級モンスターは元々耐性が高く、MPも飾りでいくらでも呪文を使い放題なパターンも多い。
つまり「マホトーン」や「マホトラ」などがまず効かず、行動を阻止するのが不可能ということである。
その場合「無駄な行動を取らない」という思考パターンが不要なため、上記の例のように判断力0で完全にローテーション行動を取るのも珍しくない。
シナリオ上は多くの部下を纏め上げるボスキャラクターであっても判断力は低い、という事もあるのである。




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  • いろいろやろうぜの再登場はXオンラインからだぞ -- 名無しさん (2022-12-20 07:34:16)
  • 「AI」って言葉を初めて知ったのはDQ4だったなあ…4はファミコンなのに自己学習機能まで付いてたり何気にかなり時代を先取りしてた気がする。使い勝手はともかくとして。 -- 名無しさん (2022-12-20 08:23:11)
  • プレイヤーが知らない状態異常耐性も考慮してとくぎ使ってくれたりするからSFC版5のAIは下手すれば俺より頭良かった -- 名無しさん (2022-12-20 08:25:09)
  • 個別指示のおかげで始終AIにのみ戦闘を任せてクリアみたいな制限プレイの戦略性も上がった。というかガチの制限プレイでもAIに任せる場面もあるのだが -- 名無しさん (2022-12-20 10:43:19)
  • 知らない敵のはずなのに的確に弱点突くのも少し不自然だから賢すぎるのもどうかって製作者の意図もわかる ドラクエ7に至っては初見の敵なのに会話で「アイツはザキ系使うから注意しろ」とか話し出すし -- 名無しさん (2022-12-20 10:53:05)
  • ↑PS版7の場合、台詞では初対面の敵には「何してくるかわからないから気を付けろ」みたいなこと言ってたはずだぞ。まぁ耐性とかはその時点から完璧に把握してるみたいなんだが -- 名無しさん (2022-12-20 12:21:05)
  • 6のデススタッフに対する踊り封じや9のバックダンサー呼び等が鬱陶しいから敢えて覚えさせないのも手か -- 名無しさん (2022-12-20 12:31:05)
  • SFC5のじゅもんせつやくはマジで賢い。「HP3割切った味方いるけど、この敵相手ならこのターンに死ぬことは絶対ないから攻撃」なんて判断されたら戦闘にプレイヤーの出る幕は無い。6で廃止されたのもしかたないね。 -- 名無しさん (2022-12-20 14:15:26)
  • Vは頭良すぎた。馬鹿すぎても困るが賢過ぎるのもやりすぎだわな。 -- 名無しさん (2022-12-20 14:33:27)
  • その反動でリメイク5は超ポンコツと化した。堀井さん曰く「完璧すぎない調整」らしいけど、加減しろ馬鹿 -- 名無しさん (2022-12-20 15:51:48)
  • ターン制とリアルタイムの中間のようなシステムのXでは、AIは後出し回復ならぬ先読み回復をする。通常プレイヤーは誰かが死んでから蘇生呪文を唱えるが、AIは対象が生きている内からザオラルの詠唱を始め、死亡直後に効果が発動するように行動する。プレイヤーもタイミングをはかれば同じことができる。 -- 名無しさん (2022-12-20 15:52:10)
  • PS4版『Ⅸ』って何…? -- 名無しさん (2022-12-20 20:14:43)
  • ギリシャ数字は一応環境依存文字だから、可能なら使わないほうがベターなんだよね。今時の環境なら大抵対応しているから、問題視されることはまずないけど、わざわざ改変するものでもないと思う -- 名無しさん (2022-12-20 20:19:29)
  • そもそも『Ⅸ』はDSしか出てない。PS4版『Ⅺ』が正しいってツッコミじゃないか -- 名無しさん (2022-12-20 20:42:26)
  • 自分はコマンド入力が面倒とは思わなかったから全員命令させろで行動させていた -- 名無しさん (2022-12-20 20:56:09)
  • 敵AIの判断力も解説してくれんか -- 名無しさん (2022-12-20 21:20:00)
  • ↑6 サポAIは人より優秀な点も多いけど人よりポツコンな点もあるな。敵の範囲攻撃は確実に回避するよう行動するのはいいけど一人で受けた方がいい場合でも移動して被害大きくしたり、HP回復を優先しすぎてザオラルは二の次になったり、ザコ一体相手にCT付きの強力な範囲攻撃使ったりとか -- 名無しさん (2022-12-20 22:38:18)
  • ↑2 DQの敵側は基本的に決められた行動パターンに沿って動くだけなので、味方側のAIのように「状況を見て行動を決める」っていう要素がほとんどないのよ。精々判断力の高いモンスターが「相手にマホカンタが掛かってるから呪文やめとこ」ってやるくらい -- 名無しさん (2022-12-20 22:54:43)
  • あれ?クリフトにガンガンいこうぜって無かったっけ?いや、クリフト以外いのちをだいじにだっけ?あ、クリフトにガンガンいこうぜだ! -- 名無しさん (2022-12-20 23:42:49)
  • SFC版DQ5のAIを賢いってもてはやすのはちょっと違うと感じるな。あれはただの後出しジャンケン&ピーピングでDQのターン制バトルの否定でしかないよ -- 名無しさん (2022-12-20 23:47:51)
  • なおFC版のクリフトがザラキばかりするのは他に有効な攻撃が無いからなので、はぐれメタルの剣を持たせることである程度補正できる。 -- 名無しさん (2022-12-20 23:50:28)
  • ↑2 その後出しジャンケンでどれだけ効率的な手を選べるかを「賢い」と評価してるんやで。リメイク5なんかはわざとやってんのかってくらい攻撃も補助も非効率だしな -- 名無しさん (2022-12-21 07:10:37)
  • これ項目名を さくせん(ドラクエ)にしたほうが適切だったかも AIだと敵の思考も書いたほうがよくなるし 判断力(ドラクエ) みたいな項目で敵に絞るって手もあるけど -- 名無しさん (2022-12-21 10:49:01)
  • ドラクエ4がAIって言葉を押してたあたりAI(ドラクエ)で特段問題ないと思うけどねえ 敵AIは一般的なRPGの敵と一緒で特筆する部分ないし -- 名無しさん (2022-12-22 01:19:56)
  • 正直じゅもんせつやく(じゅもんつかうなもだが)で「まんたん」使うと、ちょっとした傷はスルーしてくれるとか優遇されすぎだろと思った -- 名無しさん (2022-12-23 21:29:53)
  • 受けた相手を強制的にAI行動にする状態異常があったらと思うと… -- 名無しさん (2023-11-08 19:08:28)
  • それはメダパニでは? -- 名無しさん (2023-11-08 21:50:49)

#comment(striction)

*1 正確には「相手の耐性に関するフラグを何段階かに分け、ターンが進むごとに判定を行い、判定がOKならフラグを進めて耐性把握させる」という形で擬似的に学習を再現しているだけであり、本当にAIが学習しているわけではない。宣伝の通りこれでも当時ではかなり凝った仕組みであり、もしFCのスペックで本当に学習成長するAIが実現していたら完全なオーパーツである。

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