登録日:2022/11/03 (木) 15:40:00
更新日:2024/06/27 Thu 11:20:11NEW!
所要時間:約 11 分で読めます
▽タグ一覧
寿司 漫画 裏サンデー グルメ漫画 貴種流離譚 マンガワン 不老不死 蓮華 寿エンパイア せきやてつじ 華山 寿司バトル
日本もトーキョーも知らないけど、ウマい寿司は知ってるよ。
寿司はキレイで華やかな食べ物だ。その上食べると元気になる。
少しでも理想に近づきたいと思ってるよ!
エンジョイ!
■概要
『寿エンパイア』とは「裏サンデー」「マンガワン」に連載されている漫画作品。
作者は『バンビ〜ノ!』のせきやてつじ。2020年3月24日より連載開始。
単行本は5巻まで紙媒体でも発売されていたが、6巻以降は電子書籍に一本化されている。
当初こそ主人公が有名飲食店で周囲から理不尽なパワハラを受けながら悪戦苦闘しながら徐々に頭角を現していく、『バンビ〜ノ!』と似た感触の漫画だったが、途中から路線を変更。
たとえ人格が歪んでいても動機が憎しみであっても、「客に旨い寿司を食わせること」に関しては不正も妥協もしない筋の通った寿司バカどもが鎬を削る寿司バトル漫画の様相になっていく。
そんなダークサイドに堕ちた寿司ヴィランたちがどこまでも真っ直ぐな湧吾との対決を通して浄化される、少年漫画風味の爽やかな決着も大きな見どころ。
また電子漫画という媒体をフル活用しており、美麗なフルカラーで色彩豊かな寿司ネタが描かれている。
本作は映画『バーフバリ』にインスピレーションを受けて書き始めたという経緯があるので、それを匂わせる要素を探して読むのも面白い。
■あらすじ
江戸時代に生まれ、創業160年の歴史を誇る老舗寿司屋「華山」。
現代においても日本一の呼び声が高い超有名店だが、四代目の華山剣蔵は病に侵されており、後継者選びに頭を悩ませていた。
一方、日本から遠く離れたハワイには我流で寿司を握り、露店で客をもてなす松田湧吾・アービングという青年がいた。
寿司を握る際の独特のフォームは母親から教わったものと湧悟は話すが、その型はかつての剣蔵の恋人であり、20年前に行方を晦ませた松田美咲と同じものであると発覚する。
偶然から湧吾の存在を知った剣蔵は彼が美咲との間に生まれた自分の息子であることを確信し、彼を東京に招待。剣蔵の握った本物の寿司を食べて感銘を受けた湧吾も、華山で本格的に寿司の修業を始めることを決意する。
だがその直後に剣蔵は病に倒れ、一命こそ取り留めたものの体調が悪化してしまう。そして剣蔵は招集した全国の支店長たちの前で「華山の跡目は、今後、店の中で最も目覚ましい働きをした人間に継がせる」と宣言。
湧悟もまた、王座を欲する寿司職人たちによる激しい後継者争いに巻き込まれてしまうのだった。
■登場人物
華山「たつくら」
- 松田湧吾・アービング
「寿司は憎しみで握る物じゃない。俺が母さんから教わった寿司はそんなんじゃない」
日本生まれハワイ育ちの19歳。現地の大学で魚の研究をしつつ回転寿司屋でアルバイトをしていたが、竹部の誘いに乗り日本へと向かう。
寿司を握る際は母親から見様見真似で覚えた「落雷」という独特のフォームを用いる。
また通常の握りだけでなく、山のような形に握ったシャリにネタを巻き付ける本人曰くロール寿司という独得の形の寿司を得意とする。
好みの女の子のタイプは「自分を持ってるキリっとした女の子」。
生まれついてのリーダーであり、常に人の輪の中心にいて多くの人に愛される。だがその強い引力は時に味方だけでなく敵をも引き寄せてしまう。
対決した相手の邪気を払い、友誼を結んでしまう陽の気と大きな器の持ち主。
現在本店から「華山たつくら」に副店長として異動となり、たつくらを盛り立てようと奮闘中。
店の宣伝として大江戸寿司番付に参加する。
- 鶴岡朝里
料理学校を卒業し「華山」に就職が決まっている女の子。
卒業旅行でハワイに行き、偶然口にした湧吾の寿司に驚いて祖父に感想を伝えたことが湧悟と華山とのつながりを生んだ。
湧悟と共に本店から「たつくら」に異動となった。
- 藤原幸太郎
「華山」本店の見習い。あだ名は「コーちゃん」。
千葉の漁師の家系で育ち、見かけはチャラく言動もナンパだが寿司にかける情熱は本物。特にスズキには強い信念がある。
またその家柄から様々な漁師とコネがあり、良い魚を調達することに役立つことも多い。
社交的で他人とすぐに仲良くなれるタイプであり、仲間想いで友情に厚い性格の持ち主。
漁師をしている父親と兄を深く尊敬しており、彼らの獲った魚を最高のお寿司にすることが自分の使命だと考えている。
しかし時にはその使命感から悩み過ぎて迷走してしまうことも。
当初から湧吾に目をつけており、橋本からのパワハラに苦しむ彼を救い共に見習いから昇格するため「東京寿司職人若獅子杯」に誘い、コンビを組む。
2人で激闘を戦い抜いたことから湧吾とは心から信頼し合える親友となった。
湧悟と共に本店から「たつくら」に異動となった。
- 岸田晃司
「華山」本店の見習い。
京都の老舗料亭「岸田」の息子。
跡取りを期待され幼い頃から料理を仕込まれていたが、料亭という客と直接会うことのない、本当の反応がわからない仕事に違和感を覚え、高校生になると完全に煮詰まってしまう。
そんな時、姉に連れ出されカウンターの寿司屋で接客の妙を体験すると、「自分はこんな仕事がしたい」と確信し家を飛び出してしまった。
ときには大胆に行動できる熱い情熱の持ち主だが同時に冷静に状況判断ができる理知的な面も持ち合わせているため、勢い任せに突っ走りがちな湧吾の抑え役になることもある。
なおその冷静な性格ゆえかはたまた京都人のためか湧悟が考え無しの行動をするとねちねちと説教をすることも。
とはいえ湧吾のことは「人を惹きつける不思議な魅力がある」「真っ直ぐなやつ」と高く評価しており深く信頼している。
その出自から京料理の知識と技に深い造詣を持っており、その技術を惜しみなく湧吾に教えている。
湧吾と共に本店から「たつくら」に異動となった。
大江戸寿司番付に湧吾の助手として参加する。
- 伊坂直人
「華山」本店の見習い。
日本橋の老舗寿司屋「いさか鮨」の息子であり、高校卒業から華山で修業を始めた。
外で様々な技を吸収し、いつか実家に戻って跡取りとして店を盛り立てるのが夢。
こだわりのネタはコハダ。
湧吾と共に本店から「たつくら」に異動となった。
- 宇佐美守男
「寿司職人が自分を引き上げることができるのは、その2本の腕だけだ」
「華山たつくら店」の店長。
肩書は店長だが店は制作部長の長沼に任せっきりで、日がな一日釣りばかりしている。
元々は華山とは違う流派の寿司職人だったらしいが、どういう経緯かは不明だが剣蔵の推薦で店長に据えられたという。
実は「北陸の握り神」の異名を持つ凄腕の職人であり、駆け出し時代は「雷鳥」で華山泰臣に師事し落雷の握りを教わっている。
かつては華々しい活躍をしていたが仕事に没頭しすぎて妻の相手をなおざりにし、結果的に彼女を亡くしてしまったことを深く悔やみ、寿司を握る情熱を失っていた。
しかし湧吾や他の若い職人たちのひたむきさに絆されて彼らを導くようになる。
湧吾の落雷を進化させるべくトレーニングを施した。
- 長沼聡
「華山たつくら店」の製作部長。
たつくらを寿司弁当工場に改造した人物で、普段はパート任せにして社員仲間と度々ギャンブルや女遊びに興じている。
元は本店で将来を期待されていた寿司職人だったが、壁にぶつかるうちに酒に溺れて身を持ち崩してたつくらに左遷された過去を持つ。
たつくらを寿司屋として再生させる湧吾に反発し、その案を通すかどうかの寿司対決において投票操作を企むも敗れる。
しかしパートのおばちゃんたちに喜んでもらいたかったと語る湧吾を見て改心して不良社員と決別。
寿司屋として再出発するたつくらの一員として働いている。
当初は酒好きだった頃の知識を生かして酒の手配や提供を担当していたが、コロナ禍の間に寿司職人としての腕前も鍛え直している。
華山本店
- 華山剣蔵
「華山」本店の四代目当主。シュミット3ツ星を14年連続で獲得する日本が世界に誇る伝説の寿司職人だが、筋繊維が萎縮し体を動かすことが難しくなる難病が進行しており、職人としての命は長くない。
寿司職人としては作中登場人物の中でも最高峰であり、剣蔵の寿司を食べた湧吾を「レベルが高すぎる!」と驚嘆させたほど。
20年前に自らの元を去った松田美咲の行方を追っている。対面した湧吾のことは自分と美咲の子だと確信している。
(ただし公式文書やDNA鑑定による確証があるわけではなく剣蔵の思い込みである。剣蔵がそう思っていることもあり事情を知る人には親子扱いされているが)
その反面、義理の息子の雅には正面から向き合ったことがなく、父親としてかなり問題ある姿も見せている。
良くも悪くも芸術家肌の人間であり家庭を顧みずひたすら寿司の追及に没頭してきたようだ。
一度体調の悪化で倒れたことで病状の急激な悪化を自覚し、華山全体を跡目争いの動乱に巻き込んだ。
- 華山雅
「寿司は刹那の食です。どれだけその職人が常日頃努力をしていようと──握るのも食べるのも一瞬。裏も表もない」
「華山」本店の若旦那。
17年前に華山家に迎え入れられた後妻、愛美の息子。連れ子のため剣蔵との血縁関係はない。
真理曰く、旦那に愛されようってそればかり考えて育った重度のファザコン。愛に飢えた人で序盤は登場するたびに濡れ場が多かった。
雅が直系でないことは華山の幹部格の間でも周知の事実だが、腕前そのものは掛け値なしで剣蔵の次点にあるため、何もなければ五代目の椅子はまず確実だった。*1
だが湧吾が現れたことで跡目の件は一旦白紙に戻り、再度自分の力を証明する必要にかられており湧吾を敵視している。しかし誰が握った寿司であっても旨ければ正しく評価するので、その点においては公平。
若獅子杯では審査員を務めるが、自分の舌に従い湧吾の絡んだ3戦全てで湧吾に票を投じている。
大江戸寿司番付には職人として参加し順調に勝ち進むも、決勝トーナメント2回戦を終えたと同時に剣蔵が危篤になったことに自分が剣蔵に認められる日が来なくなる恐怖でメンタルブレイクし、やむなく棄権となった。
その後、剣蔵の意識が回復したこともあって立ち直り、パリ国際寿司杯の出場者を決める華山内の予選において圧巻の実力を見せている。
- 華山愛美
「華山」本店の女将で雅の母親。東京の地主の娘で当時経営不振だった華山との政略結婚のような形で剣蔵と結婚した。
剣蔵の実子と目される湧吾の存在を危険視しており、妨害工作を講じて彼を排除しようと企んでいる。
また華山を敵視している泰臣との繋がりもあり単に雅を跡継ぎにしたいだけではない思惑がある模様。
- 鶴岡真理
朝里の姉で「華山」本店で働いている。
気風が良くて快活な姉御肌の美人で湧吾のタイプど真ん中の女性だが、実は雅の元恋人。
ずいぶん昔に付き合ってて今は別れて何でもないと話すが、実際はズルズルと付き合いは続いている。
湧吾は一度彼女に告白し交際を申し出たが、「雅には私がいないとダメだと思う」という理由で断った。
大江戸寿司番付に雅の助手として参加する。
何気に巨乳。
- 竹部紀夫
朝里・真理の祖父で、剣蔵を「ぼっつあん」と呼ぶ彼の右腕的存在。
古くから華山で働いていたこともあり生き字引でもある。
剣蔵の命で世界中を飛び回って松田美咲を探していた。
若獅子杯参加者
- 橋本隆
「そうやって俺は成長したんだ。同じことをやって何が悪い?」
「華山」本店の地下厨房総括(仕込みのトップ)。
陰険で横暴な男であり、自分が新人の時に理不尽な仕打ちを受けたことを理由に湧吾にも同じ仕打ちを行い、掃除と皿洗いだけ(それも全て1人で)を押し付けて苦しむ様子を見て楽しんでいた。*2
ある意味本作にまだバンビ〜ノ!の作風が残っていた名残を象徴するキャラ。
若獅子杯に出場するが、決勝トーナメント前夜には湧吾たちが仕入れ、熟成させていたネタを故意に腐らせるなど外道行為を働いている。だが中学卒業からすぐこの世界に入り15年のキャリアを積んでいることもあって、寿司職人としての技術は確か。
若獅子杯後は改心し、一から修業をやり直すために本店を離れ北海道店へ出向した。
- 桃乃木彩花
- 柿原萌
神楽坂「いしだ」所属の女性寿司職人コンビ。
美大生だったが回転寿司でバイトするうちに寿司の美しさに魅了され、美しいアートな寿司を握る職人を志す。
しかし修行に出たいしだで保守的な寿司職人たちや女性だからと蔑視する客などに接するうちに伝統や男職人を憎むようになり、彼らを見返すために若獅子杯に出場した。
彼女たちの握る寿司は江戸前をベースとしながらも独創的で見る者を魅了する所謂「映える」創作寿司であり、優勝候補だった伝統的な寿司屋「ほくと」をストレート勝ちで即落ちさせるほどの実力を持つ。
決勝トーナメント準決勝で湧吾たちに敗れるも、女性だからという目で見ず自分たちの寿司に興味津々の彼らを見て、憎しみから解放されていった。
- 阿島稔
「あい変わらずゴミゴミしてやがる。こんな街───ブチ壊してやるよ。俺の寿司で!!」
新宿御苑前「あじま」所属。
世界中を放浪して自分だけの武器を探していた時、シンガポールで華山泰臣と出会い師事するようになる。
湧吾と同じ「落雷」を使いこなし、海外で習得したエスニックの技法を施した邪道寿司の握り手。
阿島の実家はある港町の料理旅館だったが、高校生の時、彼は津波で被災し家族と店を失ってしまう。
小さな港町の小さな避難所にはろくに救援物資も届かなかったらしく、自身も親戚の家をたらい回しにされ、阿島の中で"日本人"への嫌悪が大きく育っていった。
そんな境遇の中で「どんな人間も旨いものを前にした時は嘘をつけない」「金持ちも貧乏人もお人よしも悪人も──旨いものを食っているときはただの動物だ」と感じ、「俺の寿司で奴らの仮面を引っぺがし動物に戻す」という歪んだ信念を得た。
なおその手段は伝統から乖離した邪道の寿司を日本人に旨いと言わせることで日本の伝統文化を汚すというもの。邪道とは言っても料理としての完成度はとても高く、実質的には日本人を美味しいお寿司で喜ばせているだけと言ってはいけない。
若獅子杯に出場し、決勝戦で湧悟に敗れる。
大江戸寿司番付には泰臣の助手として参加するが、再会した湧吾と気さくに語り合うなどわだかまりは無くなっている。
大江戸寿司番付参加者
- 児島渡
「マッズ!!よくも金沢で寿司屋をやってる俺にこんなモンを食わせたな?」「来い。ヤマメの握りを教えてやるよ」
去年オープンした「華山金沢店」の店長。41歳。「金沢の曲がり玉」の異名を持つ。
愛美の指示もあったとはいえ初対面の湧吾を放火犯の息子呼ばわりし、たつくらの職人を山の中に捨てられたゴミ扱いするなどかなり口の悪い嫌味な性格。
……なのだが、湧吾の寿司を酷評しながらこの寿司がなぜマズいのかどうすれば改善できるのかを懇切丁寧に説明しながら正しい手順を目の前で実演し旨い寿司を食わせる妙な誠実さを見せつけたため、作者の予想外に高い人気を集めたおじさん。
一見すると理不尽な物言いの毒舌家だが中身は筋道通った理論であり、厳しい口調ながらも主人公にコツを示して自身も料理に対して真摯な態度を取るという要素から、一部の読者から寿司メガネとか呼ばれている。あまりの人気ぶりにマンガワン側も「1コマしか登場しないのに児島サムネ」「ヒロインズの入浴シーンがあるのに児島サムネ」「特に大した出番も無いのに12巻の表紙に一番デカく描かれている」と露骨な児島商法をやっており、読者も嬉しい悲鳴を上げながら釣られている。*3
無論口の悪さだけではなく寿司の腕前も超一級品。
「料理は各々の口の中で完成させるもの」という信条を持ち、極めて高度な調理技術を駆使しながらも慢心することなく只管味を追求するプロフェッショナル。
実は駆け出し時代(19歳~)は「雷鳥」で華山泰臣に師事しており、宇佐美とは兄弟弟子の関係。
だが児島だけが泰臣の乳母とされていた老婆、よしのから今際の際に全てを聞かされており、彼女が今から60年前に結婚した泰臣の妻であることをはじめとした「蓮華」にまつわる真実の一端を知る数少ない人間。
- 華山泰臣
「今、東京で華山を名乗っている方々は───全てニセモノです」
金沢の「雷鳥寿司」店主。
世界中を放浪して寿司を握る謎の美男子。宇佐美曰く「妖怪」。
年齢不詳で顔も声もいい。カウンターに立つだけで人をいい気分にできるが、同時に独裁者でコントロールマニア。「人を天国にも地獄にも連れて行ける」と評された怖い男。
普段は物腰柔らかだが敵対者には容赦がなく、過去にはいちゃもんを付けてきた客を自身の寿司で魅了し、過度に店に通わせ続けて客を破産に追い込んだこともある。
阿島の師匠らしく海外の技法に通じるが、昔ながらの江戸前寿司にも深い造詣がある。
落雷の第一人者であることもあって握りの技術も別格で、試合では豊富な江戸前寿司の知識・技術に分子ガストロノミーの知識と技術、世界中を放浪して身につけた広大な料理知識を巧みに融合させた未知なる寿司を得意とする。
元弟子だった児島は「江戸前寿司の歴史と共に生きてきた」「奴との戦いは江戸前寿司との戦い」と評している。
苗字から華山との関係を示唆されるが、彼は華山の先々代当主の孫*4であると言う。
「雷鳥」こそが本物の「華山」であると広めるために大江戸寿司番付に参加する。
若い青年に見えるが、江戸時代の生まれで実年齢は180歳に達している。
1839年2月10日に北武蔵・松山藩(現在の埼玉県・東松山)の農村に生まれるが、天保の大飢饉もあって生活は貧しかったらしく、9歳の時に口減らしで深川の料亭に奉公に出される。
18歳で華山の旦那──華山幸兵衛に寿司の腕前を見初められ、旦那が出した寿司屋「華山」で働くようになる。
そして20歳の時、泰臣は旦那に「蓮華」を食わされ身体から老いを失くす。
それから世界中をさまよい、あらゆる経験と冒険を積み、生に飽いて死を渇望するようになる。
本名は松田泰臣。松田美咲の父親であり、湧吾の祖父に当たる人間である。
- 襟沢麻央里
「アドバイス、ありがとう!でも───お人好しは長生きできんよ?」
福岡の「鮨 えりさわ」所属。
明るいギャル系の女性。しかし寿司を握る前は急に自信を失って被害妄想でナイーブになる悪癖がある。
しかしその実力は本物であり、被害妄想さえ断ち切ればベテランの職人すらも圧倒するほどの寿司を握る。
地元では寿司の女王になる器の持ち主と評価されているほど。
熟成と仕事が肝の「江戸前寿司」ではなく、採れたての魚を使った「海鮮寿司」を武器とする。
大会の試合直前に被害妄想に囚われてネガティブになっていたところを偶然出会った湧吾に励まされたことで彼に好意を寄せるようになり、積極的にアピールするが残念ながら全然タイプじゃないらしい。
大江戸寿司番付後も地元に帰らず「たつくら」の手伝いをしていたが、後に正式に入店し腕を振るっている。
- 徳山慎司
北海道・小樽の「寿司一堂」店主。
端正なルックスとキレキレな寿司を握る高い技術から「小樽のカミソリ」の異名を持つ有名な寿司職人。
それでいて新人の湧吾に対して紳士的に振る舞い、彼を余裕で勝てる相手と見ず全力を持って立ち向かおうとするなど、それまでどこか歪んだ一面を持っていたヴィランだらけの湧吾の対決相手の中でも屈指の聖人。
愛妻家かつ地元の人間たちからも好かれており特に裏表もない好人物である。
もうすぐ子供が生まれるというバリバリのフラグには敵わず敗れるも、自らも更に職人として成長することを誓った。
- 廣田礼二
「マグロはカネだ。みんなカネが欲しいのと同じように───俺の寿司を食いたくない奴はいないんだよ!!」
港区・六本木の「れいじ」店主。「六本木の怒れる牡牛」の異名を持つ。
多彩なマグロの握りを武器に、東京の寿司業界を席巻した風雲児。
実力は確かだが頭に血が上りやすい激情家であり、助手を地面に正座させて説教し手を上げることさえあるパワハラ男。またかよ……
安物の魚を見下しカネになるマグロだけを握る偏った握り手だが、それでも寿司にかける情熱と闘志は本物であり、客に喜ばれる上等な仕事をしていることは疑いない。
実は廣田の父親は普段は優しいがしょっちゅう酒に酔って家族に暴力をふるうDV亭主であり、彼が幼い頃に離婚し女手一つで育てられた過去がある。
大江戸寿司番付の予選ブロックで湧吾と対戦し、幾度もの引き分け再試合を繰り返した末に惜しくも敗れる。
敗因は廣田自身のミスだったが、床に額をこすりつけて謝罪を繰り返す助手の姿を見たことで自分は親父と同じことをやっていたと自覚し、改心した。
試合後のモノローグでは「後に廣田礼二は松田湧吾の右腕と呼ばれる存在になる」と語られている。
大江戸寿司番付後はコロナ禍の影響を受けたことで自分の店をたたんで「華山」に入店しており、現在は麻布店の店長を任されている。
- エンリケ・マルティネス
「寿司が好きすぎて日本にまで来てしまったメキシコ人の俺の───俺にしか握れない寿司だ!!」
カルフォルニア「サクラ・スシ」所属。
大江戸寿司番付敗者復活戦での湧悟の対戦相手1人目。ロサンゼルス出身のメキシコ人。
焼けた肌の強面の顔に腕にタトゥーを刻んでいるため誤解されがちだが性格は生真面目。
ロサンゼルスの貧民街出身でたまたま寿司屋でアルバイトを始めたところ、その店の賄いの寿司の旨さに魅了され、その店の店主に弟子入りして修業を積む。
その後さらに本格的に寿司の修行がしたくて単身日本に訪れるも、外国人への偏見から冷や飯を食わされ腐りかけていたが、自身の現状を打破するために大江戸寿司番付に参加した。
決勝トーナメント2回戦で敗れ、敗者復活戦に臨むも湧吾に敗北。
だが湧吾だけでなく審査員全員から賞賛されるなど、職人としての腕前は本物だった。
大江戸寿司番付後は繁盛し始め人手不足に陥った「たつくら」に招かれ、念願叶って寿司職人として働いている。
- 盛山龍平
「テクノロジーを使えば料理人のクリエイティブは解き放たれます。未知なる食感、味覚を造り出す事ができるのです」
IT企業から寿司職人に転向した異端の職人。
大江戸寿司番付敗者復活戦での湧悟の対戦相手2人目。
元々突出した知能の高さから順風満帆の人生を送り、若くして株主になり東京を含めた主要海外*5の不動産を買い漁って億万長者にまで上り詰めた人生の成功者。
しかし成功しすぎたが故に世界各地で贅を尽くした豪遊で散財するしか楽しみが見いだせなくなり、それすらも飽きて心が何も感じなくなっていたところ、
故郷に帰郷した際子供の頃食べていた寿司屋に偶然寄って食べた寿司に感銘を受け、贅を尽くした億万長者の地位を捨てて寿司職人に転身。
寿司職人の修行生活にかつてない人生の充実感を覚え、「寿司しか俺を奮い立たせない」という信念まで掲げるようになった生粋の寿司バカ。
自身が開発した3Dプリンターを応用した巨大寿司製作マシーンで寿司ネタを作る未来寿司の握り手。
『最新鋭機械とデータを駆使して戦う料理人』という料理漫画でかませ犬にされやすい要素てんこ盛りだったが、蓋を開けてみれば『寿エンパイア』屈指の名勝負を繰り広げた凄腕であった。
ハイテク機器を使っているとはいえ伝統的な寿司に対する敬意は持ち合わせており、ハイテクを駆使するようになったのも世界中の人々に美味しいお寿司を安定供給するにはテクノロジーが必要であるという考え方から。
敗北後は師匠と湧吾たちの寿司には、寿司への敬意と愛情が俺の未来寿司よりも注ぎ込まれていたと素直に自分の未熟さを認め、修行のし直しを誓っている。
- 眞栄田宣行
「あのフラー。いっそ死んでてくれたらいいわけさ!」
那覇「SUSHI MAEDA」店主。「琉球の登り龍」の異名を持つ。
大江戸寿司番付敗者復活戦での湧悟の対戦相手3人目。
銀座の名店で修業した本格的な江戸前の技と沖縄の魚と融合させた琉球江戸前寿司の握り手で、寿司を握る際は妹が奏でる沖縄民謡の曲で踊らないと調子がでないという変わった職人。
一見沖縄への郷土愛に溢れた気さくで陽気な人物だが、本性は自分と妹を捨てて消えた母親への憎悪の念に燃える男。
大会に出たのも心底憎む母親を見つけ出すと同時に沖縄の海の素晴らしさを日本中に轟かせるため。
そして沖縄の魚を軽んじる人間を「フラーども」と吐き捨てるなどかなり荒れた精神を持つ。
『ヴィラン』と銘打たれた初の人物であるが、悪いのは憎悪を寿司に込める悪堕ちした精神性位のもので特に不正行為や対戦相手への妨害工作等には手を染めず正々堂々寿司で戦うこの漫画らしいヴィラン。
- 荻政次
「ワシの生きてきた記憶のほんの僅かでも、後世に伝えられたらと思おとる。この両手で握った寿司で」
広島「源鮨」店主。1943年生まれの高齢ながら今なお現役で「広島の至宝」と呼ばれる寿司職人。
広島県三原市糸崎で生まれて暮らしていたが、広島で働いていたため原爆で被爆した父親を放射能によるガンで亡くしている。
幼い頃から貧しい暮らしと飢えに苦しみ、中学時代から寿司屋で働いてきた。
独立してからはバブル経済期には好景気に乗り経営を拡大したものの、バブル崩壊にともない全てを失い再出発した過去を持つ。
その後は地道に寿司の道を邁進し名声を取り戻す。現在は本店の切り盛りを息子に任せ、自身は小さな店をやっている。
福島第一原発事故の事故を見て放射能への恐怖から人生を考え直すようになり、自分が見てきた記憶を後世に少しでも伝えるために大江戸寿司番付に参加した。
などと湧悟とは直接対決しなかったにもかかわらずバックボーンが語られている珍しいキャラ。
本戦の2回戦で麻央里に敗れるも、敗者復活戦初戦では相手が浮ついて手抜かりがあったとはいえ先出し・昆布締めの敗北フラグで圧勝している。
しかし続く眞栄田との試合でシャリにまで手を加える彼の独創的な発想の前に敗れた。
- 曽我部薫
「悔しいけど……この人の寿司は俺より遥かに……!!」
渋谷区・奥渋谷*6「鮨かをる」店主。「伝統と革新の寿司」を信条とする。
修業から5年で横浜のホテルの中にある寿司屋に務め、後に店長に昇進。
ホテルで働いていた女性と出会い結婚。5年で独立して自分の店を出し人気を博すると順風満帆すぎる寿司人生を歩んでいる男。最近娘も生まれた。
店の格式を高めるために大江戸寿司番付に参加した。
本戦の2回戦で湧吾に当たるが、彼の怪我の影響もあって辛くも勝利。
しかし3回戦の児島との試合でアイデアとセンスは光るものの、より完成度を高める試行錯誤が足りないという欠点が露呈。
児島に「マッズ!!」と罵倒された直後に「目の付け所は見事」と褒められるも、「これでいいって考えた時点で寿司職人の歩みは止まっちまうんだよ!!」と一喝され敗北を喫する。
とはいえレティシア以外の審査員からは高得点をもらっており、ベスト8に恥じない実力者ではあった。
試合後は未熟さを突き付けられた羞恥からか赤面しながらも、自分の負けを素直に認める潔さも見せている。
その他
- 松田美咲
湧吾の母親。独特なフォームで寿司を握り、家族に振る舞っていた。
生まれたばかりの湧吾を連れてハワイに渡り、湧吾が9歳の時に病で亡くなっているが、自分がどんな出自で、日本でどんな生活をしていたかを語ることは最期までなかった。
実は「華山」現当主である華山剣蔵の元恋人であり、自身もかつては凄腕の寿司職人だった。
20年前に華山の秘技を盗み出し、支店に火をつけて行方を晦ましたとされるが…
今際の際には「湧吾がもし本当の父親に会いたいといっても、決して会わせてはいけない」とウィルに伝えている。
その正体は華山泰臣、否さ松田泰臣の実の娘。
父親である泰臣の不死の呪いを解くために「蓮華」を求め、「華山」に乗り込んだというが…
- ウィリアム・アービング
アメリカ人。シングルマザーだった美咲の結婚相手で湧悟の育ての親。愛称はウィル。
血のつながりがない湧吾を実の息子のように愛している。
妻の遺言に従って湧吾の渡日に強く反対していたが、彼の意志の固さに負けその巣立ちを見送った。
- 飯田和也
全国すし協会会長。
確かな寿司や海産物の知識を持つ老人で、今作の全大会において登場する代表的な審査員。
若獅子杯の頃は阿島の作った寿司を邪道寿司と嫌悪して凄まじく難色を示す良くも悪くも保守的な人物だったが、湧吾vs阿島の決勝戦の中で意識の変革が発生。
大江戸寿司番付の時には、保守的な立ち位置はそのままに江戸前寿司の定石から逸脱した技術や調理法も柔軟に受け入れて審査するようになった。
大江戸寿司番付では伝統を踏まえながらも技術をメインに評価している。
- 玉城レティシア・グリーン寛子
グランメゾン「ヴィオレット」オーナーシェフ。フランスでシュミット3つ星を5年連続で取り続けている若き天才女性料理人。
読者からの通称は「セボン」。
大の寿司好きでにこやかな笑顔を絶やさないが、「寿司は究極のオーダーメイドの料理」「客一人一人の頭蓋骨の形状。口腔の状態を想像しながら寿司は握るべき」という考えから、評価基準に満たさないダメな寿司には笑顔のまま辛辣な評価を下す怖い女性。
大江戸寿司番付では料理の革新性を重視して審査する傾向にある。
- 佐野幸之丞
寿司好きで知られる若手歌舞伎役者で、大江戸寿司番付や敗者復活戦で審査員を務める。
寿司に対して特に技術的なこだわりはなく、純粋な味の良し悪しや好みで判断を下す一般人ポジ。
基本的に全肯定な評価基準だが、3人制の審査となった敗者復活戦では伝統を重んじる飯田と革新を求めるレティシアが対立して点差が縮まってしまいがちなため、彼の評価が勝敗を決める影の審査員長ポジと読者に見られている。
- 相沢実弥子
フードコーディネーターで若獅子杯や敗者復活戦では司会を務める他、大江戸寿司番付では審査員も担当。
序盤から登場し続けている準レギュラーなのだがイマイチ目立たない人。
- ヨーコ・マクガフィン
女装家(IKKOみたいなものだろうか?)で大江戸寿司番付で審査員を務める。
敗者復活戦ではスケジュールの都合で不在、本戦でも特に印象が残る審査やセリフがない、とイマイチキャラが薄い人。
- 華山幸兵衛
江戸時代の人間で、彼が興した寿司屋こそが「華山」。現在まで続く寿司の帝国の始まりであり、後の時代で言う「初代華山」である。
幸兵衛は凄腕の料理人であると同時に生命の研究者であり、夜な夜な生き物を解剖してその生命の仕組みを解き明かすことにとりつかれていたという。
助手として見初めた泰臣に事実を黙って「蓮華」を食わせ、生体実験を行ったことが明らかになっている。
泰臣は自分を実験台にして完成した「蓮華」を幸兵衛も食べて今もどこかで生きていると考えている。
■用語
- 華山
安政6年に創業し、創業160年の歴史を誇る老舗寿司屋。
現在は全国に23店舗の系列店を持つ名実ともに日本一の「寿司の帝国」。
東京都中央区隅田川に本店を置き、シュミット3つ星のこの店で寿司を食べることはステイタスとされる。
大江戸寿司番付にも華山名義の職人は12人参加し、内3人がベスト8入りを果たすなど質の面でも一強状態。
- すしくらべ
「華山」で行われる一対一の寿司勝負のこと。
基本的には本店で毎週行われているまかない寿司の味比べのことを指すが、その他意見の対立が起こったり実力者を選考する際も「すしくらべ」は行われる。
「華山」では旨い寿司を握る職人が正義なのである。
- 東京寿司職人若獅子杯
湧吾&幸太郎の参加時点で7度目の開催となる30歳以下の寿司職人が2人1組で出場するコンクール。
40人20組がエントリーし、予選を通過した8組が決勝トーナメントに進出する。
- 大江戸寿司番付
江戸時代の料理店ランキング「江戸料理茶屋番付」を元として、その寿司職人版を現代にリビルドさせる試み。
平たく言えば日本一の寿司職人を決める大会である。
日本全国から243名もの寿司職人が参加している。
参加者はA・B・Cの3つのブロックに分けられ、トーナメント形式で各ブロック約10人までが決勝トーナメントに進出する。
- 敗者復活戦
「大江戸寿司番付」決勝トーナメント2回戦を制した華山雅が棄権したことからレティシアの案により開催された、湧悟を含む2回戦で敗退した寿司職人8名を集めたトーナメント。
優勝者は雅の枠を譲り受け、決勝トーナメント3回戦以降に進むことができる。
- パリ国際寿司杯
各国の寿司職人が1チーム5名による団体戦で寿司の技を競う、言うなれば寿司のワールドカップ。
各国の代表団の定員は10名で、日本代表は「華山」の職人6名と「全国すし協会」の推薦を受けた職人4名でチームを形成する。
「華山」の代表は例によって「すしくらべ」で選抜される。
チームの総監督は華山剣蔵。
華山 | ||
名前 | 所属 | 備考 |
松田湧吾 | たつくら店 | チームリーダー/たつくら店副店長/大江戸寿司番付優勝 |
華山雅 | 本店 | 本店若旦那/大江戸寿司番付ベスト8(棄権) |
児島渡 | 金沢店 | 金沢店店長/大江戸寿司番付ベスト4 |
廣田礼二 | 麻生店 | 麻生店店長/大江戸寿司番付予選敗退 |
襟沢麻央里 | たつくら店 | 大江戸寿司番付ベスト4 |
鶴岡朝里 | たつくら店 | |
全国すし協会推薦 | ||
名前 | 所属 | 備考 |
来栖美沙希 | 「来」 | 大江戸寿司番付ベスト8 |
清水東洋 | 「清水」 | |
御子柴達也 | 「芝浜」 | |
鳴木康介 | 「鳴木」 |
- 落雷
手の中でシャリを回転させ、多くの空気を含ませることでふわっとほどける様な食感に仕上げる握りの技法。基本形の他、「遠雷」「万雷」というバリエーションがある。
松田湧悟が松田美咲から受け継いだフォームだが、その源流は金沢「雷鳥寿司」の流派にある。
作中の使い手は湧吾、美咲、阿島、宇佐美、泰臣。
創始者は華山幸兵衛。彼が生み出し、泰臣が阿島、宇佐美に教えている。
美咲は泰臣の所作を見様見真似で覚え、湧吾も同様にきちんと習ったわけではないので継承は不完全。*7
幸兵衛は「最も魚を旨く食べられる握り方」と称するが、本家「華山」では伝えられていない。
- 雷鳥寿司
その昔「華山」から分家したとされる一派。
華山の先々代当主、華山英幸が愛人に生ませた子を祖とする寿司屋であり、元々は「金沢華山」として許可されたものがいつの間にか「雷鳥」を名乗るようになった。
現在店は閉店している。
華山愛美は松田美咲は雷鳥が「華山」に放ったスパイであると話している。
- 華山たつくら店
青梅の龍倉温泉郷にある「華山」の支店。
龍倉温泉郷は本店から車で2時間の山奥にあり、かつては賑わっていたものの今やさびれた山間の集落と化している。営業している温泉場はわずか1軒。
現在は寿司弁当工場として稼働しており、社員8名とパート従業員20名が働いている。
ここに飛ばされた人間はたいていやめてしまうため、華山の墓場と呼ばれている。
湧悟らの改革の改革によって寿司屋として再出発するが立地の難もあって当初は苦戦を強いられ、店の宣伝のために湧吾が大江戸寿司番付に参加する。
ただし弁当工場を廃業してしまったわけではなく、1階を寿司屋、2階を工場と分業して営業している。コロナ禍の際はこの弁当工場をフル稼働させて仕事を作り苦境を凌いだ。
- 昆布締め
魚の身を昆布で挟み込み、魚の余計な水分を昆布に吸わせ身を引き締めると同時に、昆布の旨味を魚に浸透させる江戸前の代表的な仕事の1つ。
主に白身魚に使われるが、シンプルに旨いだけに漫画的に面白くないためか、登場回数こそ多いが昆布締めを施した寿司の勝率が極めて低い。
一部の読者の間では「昆布締めデバフ」と呼ばれ恐れられている。
- 蓮華
江戸時代の初代華山が秘伝とした、「華山」に代々伝わる幻の寿司。
天・地・人の三巻の巻物に記され一子相伝で当主へと受け継がれてきたが、剣蔵が先代から受け取る前に巻物が消え失せ、そのうち先代も亡くなったことで全容はわからなくなった。
蓮華を受け継いだ者は寿司の王様になると言われているが、竹部は「あくまで昔の調理法。現代でも再現可能で旨い寿司なのかはわからない」と懐疑的に見ている。
松田美咲は「華山」から「蓮華」を盗み出し、支店に火を放って逃亡したという噂がある。
事件を覚えている人間も蓮華の正体を知る人間も現在はほとんどいない。
その正体は食した人間に不老長寿の恩恵を与える寿司。
あくまで児島の推測だが、「蓮華」を食うことで起こる作用は老化を止めるほどの代謝機能の活性。
効能は不死ではなく長寿であるため大怪我を負ったり大病にかかれば死ぬが、そうでなければ若々しいまま生き続ける、正に究極のアンチエイジング料理。
生きた証拠は華山泰臣その人であり、彼は180年という時を生きている。
美咲が持ち出したのは天と地の二巻であり、天の巻はハワイ某所に隠され後に湧吾の手に、地の巻はローズボア伯爵の手に渡っている。人の巻の所在は不明。
三巻全てが揃わなければ解読はできない仕組みになっている。
- 新型コロナウイルス感染症
2020年から世界中で大流行した気道感染症。
世間一般の生活習慣さえ一変させるあまりの影響力の大きさから現代を舞台とする創作物でも存在しないものとして扱われることは多いが、『寿エンパイア』では現実と同じように発生し作中世界に大混乱を引き起こした。
飲食店全般、特に素手で調理し、客と密にコミュニケーションをとる寿司屋は苦境に立たされたようで、「華山」グループも全店が大きく売り上げを落とし盛岡と岐阜の支店が閉店に追いやられた。
追記・修正お願いします。
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\エンジョイ!/
#vote3(time=600,8)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
- タフや彼岸島と同系統の読者を持つ漫画 -- 名無しさん (2022-11-03 17:35:23)
- 人情寿司修行マンガかと思ったら寿司バトルマンガだったでござる。かと思ったら怪奇寿司伝奇マンガだったでござる -- 名無しさん (2022-11-03 17:56:08)
- >ダークサイドに堕ちた寿司ヴィラン 草 -- 名無しさん (2022-11-03 19:50:18)
- 将太の寿司とはまた別種の狂気 -- 名無しさん (2022-11-03 20:01:38)
- エンジョイ! -- 名無しさん (2022-11-03 20:20:28)
- >ダークサイドに堕ちた寿司ヴィラン ホントにそんな奴ばっかりだから困る -- 名無しさん (2022-11-03 20:24:14)
- ス シ の 暗 黒 卿 -- 名無しさん (2022-11-03 20:46:22)
- エンジョイ!! -- 名無しさん (2022-11-03 20:53:26)
- 先週辺りからホラーファンタジー要素まで・・・ -- 名無しさん (2022-11-03 21:41:21)
- スシは完全栄養食だからね、仕方ないね -- 名無しさん (2022-11-03 22:26:08)
- 顔付きは濃ゆいし毒舌を極めてるけど、決して暴力は振るわないし握る寿司の美味さと丁寧な説明で説得力を持たせてくれる児島さんとかいうナポリタン眼鏡。気付いたら支店長を差し置いて主人公の師匠みたいになってて笑うんだ。 -- 名無しさん (2022-11-03 22:27:32)
- 児島さんはもはやツンデレを通り越した何か。やってることは料理の腕という真正面からの正論パンチした上で罵詈雑言を浴びせてるのにやることが丁寧過ぎて読者に好かれるって何? -- 名無しさん (2022-11-04 01:58:11)
- 説明を見てるとジャンとかいても違和感のない世界観だ -- 名無しさん (2022-11-04 13:19:52)
- 調理の演出は結構すごいことになってたりするけど(特に主人公)、出来上がる寿司はとても綺麗だし寿司ネタもバラエティに富んでて美味しそうなのもこの漫画の特徴。未来寿司とか普通の漫画だと機械頼りのカマセ1号みたくなりそうなのに、味だけでなく寿司職人としての格と信念も備えたすごい寿司で面白かったわ。 -- 名無しさん (2022-11-04 15:49:54)
- 寿司が普通にうまそう 作風に比べたら地に足付いてる感じがする -- 名無しさん (2022-11-05 05:04:52)
- エンリケがメキシコで寿司を食べたことになってるけど、エンリケが寿司を食べたのはロサンゼルスだぞ。エンリケはメキシコ人ではあるけどアメリカ生まれのアメリカ育ちだ。 -- 名無しさん (2022-11-06 04:32:14)
- こんな街ぶっ壊してやるよ・・・。俺の寿司でな!(おいしい寿司を握るだけ) -- 名無しさん (2022-11-09 08:01:46)
- 若旦那と対決する前に若旦那の格が落ちてしまったのだけは残念 -- 名無しさん (2022-11-11 13:49:01)
- 昆布締めorマグロの負けフラグっぷりよ… -- 名無しさん (2022-11-23 02:18:55)
- なお湧悟は突如掲載された特別編でマニューバイプシロンを手にして以来ダイアクロンにドハマリしているとかなんとか -- 名無しさん (2023-01-19 20:40:18)
- 今週の件でたつくらは一息つけるか、と思ったが、ヒロイン争奪戦は新たなダークホースが生まれた、のかなぁ?とりあえず蓮華関連の進捗が望まれる -- 名無しさん (2023-03-17 14:00:46)
- 昆布締めデバフクソ笑う、なんでや超正統の江戸前やんけ!www -- 名無しさん (2023-05-04 00:56:35)
- 昆布締めで勝った大ベテランのお爺ちゃんもいたので、この世界の昆布締めは使いこなす難易度が超高い伝統技法という位置付けなのだと思われる -- 名無しさん (2023-07-01 14:36:58)
- 主人公の浄化能力が高すぎて、対戦相手がどれだけ恨み辛み背負ってても軒並み白くなっちゃうのは、翔太の寿司や鉄鍋のジャンのようなドロドロ恩讐展開にならなくて読みやすい。一気に読めるのはいいな -- 名無しさん (2023-08-07 07:43:11)
- 『将太2』『きらら2』もそうだったけど、こと寿司に限れば日本は勝って当然負ければ切腹の全然美味しくない立ち位置だから世界大会やる意味ないと思う(←2つも日本代表決めたところで終わったし) -- 名無しさん (2023-08-15 07:23:41)
- 児島さん寿司だけじゃなくほかの料理の腕も一流なのが・・w カレーとナポリタンで大絶賛されてたの笑ったw -- 名無しさん (2024-05-29 13:51:25)
#comment(striction)
*2 これは個人的な趣味ではあるが愛美からの指示でもある
*3 ちなみにマンガワン掲載中の寿エンパイアの全エピソードの中で一番読者コメントが集まったのは児島が助手と共に洋食屋で昼飯を食うスピンオフ回で、明らかに人手も技術も足りていない店員たちにキレた児島が彼らの代わりに極上ナポリタンとカツカレーを客に振る舞っており、寿司だけではなく調理の技術・知識全般に長けている事が解かる。他、本当にまずい料理は心のなかで「マッズ…」と呟くだけな事も判明し、大声で不味を伝えるのは改善点がある料理に向ける事も判明した。
*4 愛人の子
*5 ドバイ、上海、ニューヨーク、パリ
*6 神山町・宇田川町・富ヶ谷
*7 泰臣は「落雷」を積極的に後世に伝える気はなかったようで、阿島、宇佐美への教授も握り方を傍で一度見せたという程度らしい
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧