国旗

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登録日:2022/10/30 Sun 00:06:00
更新日:2024/03/02 Sat 10:50:34NEW!
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世界の国シリーズ 体育祭 個性派 勉強になる項目 十人十色 国家 国旗 日本 象徴 運動会 ナショナルフラッグ 万国旗



国旗とは、読んで字の如く国を象徴する旗のことである。






概要

英語ではNational flag。学校や裁判所や軍隊(自衛隊)、国会議事堂等の政府関連の建物や国際的な会議などの公的行事や公的機関で掲揚される。
またその国の国民によっても掲揚される。諸君も運動会で万国旗を見たことがあるはず。
その万国旗を見ても分かるように国旗はどれも個性派揃い。
カラフルなものもあれば単色のものもあったり、さまざまな動物や天体・武器・その国の遺産や象徴が描かれているものなど多種多様。
ただし縦横の比率だけはルールによって定められている。
また1月27日は国旗制定記念日である。


日本の国旗は、白地の中央に赤い丸一つというシンプルなもので、正式名称を「日章旗」という。
真ん中の赤い丸は日の出の太陽を表し、赤は博愛と活力を、白は神聖と純血を表している。実は1999年に制定された「国旗及び国歌に関する法律」(通称・国旗国歌法)により丸が僅かに右にずれるように改正されている。
1964年の東京オリンピック当時は明確な国旗が定められておらず、国旗の日の丸の位置や大きさを考えるのに苦慮したという。
また江戸時代の頃は、白地に黒のラインが入ったものが日本の国旗になる予定だったらしい。


主なタイプ

概ね以下のタイプに分けられる。
該当国はややこしくなるので現在の国連加盟国と日本が認めている国を主に掲載する。


ボーダー

該当国...モルディブ、グレナダ
国旗のデザインが外枠に覆われたタイプ。


カントン

該当国...台湾、マレーシア、ギリシャ、チリ、リベリア、トーゴ、アメリカ、(パナマ)、ウルグアイ、オーストラリア、ツバル、フィジー、ニウエ、
サモア、ニュージーランド、トンガ、クック諸島等


左上の部分と他の部分のデザインが分かれているタイプ。
パナマは少し特殊で4分割し、それぞれ色や星の有無が異なる。


スカンジナビア十字

該当国...スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランド


北欧諸国に見られる、キリスト教の十字を横棒を長くして縦棒を左側にずらしたタイプ。


斜め十字(X型)

該当国...ブルンジ、ジャマイカ


十字を斜めにしてXの字にしたタイプ。
ブルンジの国旗はX字の中心に丸い円が置かれ、さらに円の中には六角星が三つ描かれている。

縦二分割

該当国...パキスタン、カタール、バーレーン、ポルトガル、バチカン、マルタ、アルジェリア


縦に左右分割したタイプ。
ポルトガルやバチカンなどは枠の比率は違えど2色に分割されるが、カタールとバーレーンはジグザグで分割されている。


縦三分割(トリコロール)

該当国...モンゴル、アフガニスタン、アイルランド、フランス、イタリア、ベルギー、モルドバ、マリ、ナイジェリア、チャド、セネガル、
コートジボワール、ギニア、カメルーン、カナダ、メキシコ、グアテマラ、バルバドス、セントビンセント・グレナディーン、ペルー


シンプルに縦に三分割したタイプ。真ん中や左側にシンボルマークや星を描くこともある。
アフガニスタンは現在タリバンに支配されているものの、承認している国はないため旧アフガニスタン国旗を正式のものとするとこちらになる。


横二分割

該当国...インドネシア、シンガポール、サンマリノ、ポーランド、リヒテンシュタイン、モナコ、ウクライナ、アンゴラ、ブルキナファソ、ハイチ


横に二分割したタイプ。


横三分割

該当国...北朝鮮、ラオス、ミャンマー、インド、イラク、イラン、イエメン、シリア、アゼルバイジャン、タジキスタン、ウズベキスタン、アルメニア、
レバノン、オーストリア、オランダ、スペイン、クロアチア、スロベニア、スロバキア、セルビア、リトアニア、エストニア、ラトビア、ドイツ、
ハンガリー、ブルガリア、ルクセンブルク、ロシア、エジプト、リビア、エチオピア、モーリタニア、ガボン、ガーナ、シエラレオネ、ニジェール、
マラウイ、ルワンダ、レソト、ベリーズ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、パラグアイ、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ボリビア


横に三分割したタイプ。ご覧の通りめちゃめちゃ多く、最も多くの国がこれに該当する。
分割時の分け方はさまざまで、真ん中が広かったり上が広かったりする。


斜め二分割

該当国...ブータン、パプアニューギニア


斜めに二分割したタイプ。地味に両国で斜め線の方向が対をなしている。


斜め三分以上割

該当国...ブルネイ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、タンザニア、ナミビア、(セーシェル)、アンティグア・バーブーダ、トリニダード・トバゴ、
セントクリストファー・ネイビス、ソロモン、マーシャル諸島


斜めに三分割したタイプ。
セーシェルは斜め五分割となっている。


パネル三分割

該当国...アラブ首長国連邦、オマーン、クウェート、ベラルーシ、ベナン、ギニアビサウ、マダガスカル


縦と横が混在しているタイプ。


三角旗・パイル旗

該当国...フィリピン、東ティモール、ヨルダン、チェコ、(エリトリア)、スーダン、南スーダン、ジブチ、ジンバブエ、赤道ギニア、モザンビーク、
南アフリカ、コモロ、バヌアツ、バハマ、キューバ、ガイアナ


左側に三角、そこに食い込むように二分割の配色を差し込んだタイプ。
フィリピンは戦時下の場合赤と青の配色が入れ替わる。エリトリアは奥まで行っているタイプでパイル旗と呼ばれている。


円旗

該当国...日本、韓国、ラオス、バングラデシュ、キルギス、チュニジア、ニジェール、パラオ、ベリーズ、ブラジル、北マケドニア


中央に円が描かれているタイプ。太陽や満月などを表している場合が多い。またラオスやニジェール、ベリーズは三分割ともとれる。
ブラジルは円が菱形に覆われているが、これは共和政が樹立された日の朝(1889年11月15日8時30分)に見えるリオデジャネイロの空を表している。
菱形に覆われているのは世界でもブラジルだけなので、これまでに示したどのタイプにも属さない見解もある。


特徴的な国旗

日本とよく似た国旗

バングラデシュとパラオは、国旗が非常に日本に似ていることで知られる。


バングラデシュはまさに太陽がモチーフ*1。ただ地の色がイスラム教を象徴する緑になっており、円も少し左に偏っていて左右対称ではない*2
しかし初代大統領のムジブル・ラフマンとその娘のシェイク・ハシナが日本を参照にしたと証言している。
一方パラオは太陽ではなく月を表しており、地の色は海を意識した青。
デザイナーのジョン・ブラウ・スキーボング曰く「日の丸は知っているが特別に意識した事はない。日本は日本、パラオはパラオだ。」とのこと。
ただパラオの元駐日大使が「日本の国旗から取った」と証言した事もあるため、月を図案化するにあたって同じく天体モチーフの日の丸がヒントになった可能性はある*3


また北マケドニアも旭日旗に似ているといえるかもしれない*4


なぜか似た国旗

インドネシアとモナコの国旗は全く同じと言っていいほどのデザインなので、縦横の比率で区別している。
ポケモンのボールでネタにされているポーランドとも逆さなこと以外よく似ている。
ビリリダマ(インドネシアとモナコ)、マルマイン(ポーランド)と連想する人も多いかも。


ルーマニアとチャドは1989年にルーマニア革命が起きてチャウシェスク政権が倒れたことで中央の国章が外れたことによりチャドとそっくりになった。
こちらに至っては縦横の比率まで同じなため、青の濃さで区別しているとされる。
また日本ではどこかの建物で掲げられていることが多いが、チャドもルーマニアも関係なく創…おっと誰か来たようだ。



単色の国旗

読んで字の如く一色しか使われていない国旗。一番描きやすい国旗ともよく言われる。*5
2022年現在は単色の国旗は存在しない。


有名なのはリビアの国旗。
カダフィ大佐が1969年にクーデターでリビア王国を打倒して実権を掌握し、しばらくの間は隣国のエジプトと似たような国旗を使っていた。
が、1976年にエジプトが自分が大嫌いなイスラエルを訪問したことに怒り、一夜にしてイスラム教の色である真緑に変更してしまった。
その後2011年の政変で現在の国旗に至る。


旧ソ連の連邦内では共産主義を象徴する赤一色の国旗も複数使用されていた。
それぞれをよく見ると朱色に近いものや鮮やかな赤いものなど濃淡の違いがあるが、全部同じじゃないですかと言いたくなるほどパッと見で見分けるのは難しい。


またアフガニスタンでも1880〜1901年、1996〜1997年にそれぞれ真っ黒な国旗と真っ白な国旗が使われている。


紫色を使った国旗

諸君は国旗の一覧サイトや本を見て、「あれ、紫色を見かけないな」と思ったことはないだろうか?
聖徳太子の冠位十二階の一番上である大徳・小徳が紫なことからもわかるように、技術が未熟な時代は紫の染料を出すには莫大なお金がかかっていた。
このことから古今東西関係なく、紫は高貴な色として扱う共通の文化があったためなのだ。
紫色の染料は昔は450グラムで1.4キログラムの金に相当し、現在に換算すると約636万円の価値にもなるらしい。
これほど貴重で高価な染料をむやみに国旗に使うことなんてできないのは言うまでもない。
現在でもその風潮は変わらず、国旗で使われる紫はドミニカ国の真ん中に描かれたミカドボウシインコの腹と頭、ニカラグアの真ん中に描かれた虹やスペインの国旗の紋章部分の一部のみとなっている。


表裏でデザインが異なる国旗

サウジアラビアの国旗にはイスラム教の聖典コーランの一節が書かれている。
これは裏側から見ると文字が裏返しになってしまうため、裏側からもコーランの一節が読めるように別々に作られた旗が貼り合わせられている。


モルドバの国旗の裏面は赤と青の位置が入れ替わり、真ん中の国章に描かれたワシの顔が向きを逆にしている。


パラグアイは世界で唯一表裏で真ん中の紋章のデザインが異なる国旗で、表は独立を象徴する5月の星の図、裏は自由の帽子とライオンの図となっている。
基本的には表が用いられる。


イギリス

通称ユニオンジャック。
イングランドの国旗(白地に赤い十字のセント・ジョージ・クロス)と、スコットランドの国旗(青地に白い斜め十字のセント・アンドリュー・クロス)が、イングランドとスコットランドの同君連合時代に組み合わされて作られた。
形状が漢字の「米」に似ていることから、中国では「米字旗」と呼ばれることがある。
ウェールズについては、いち早くイングランドに服属していたため取り入れられなかった。
また、かつて栄華を極めていた大英帝国時代に統治されていたという証として、オーストラリア、ニュージーランド、ツバル、フィジー、ニウエは国旗の左上にイギリスの国旗を描いている。



ネパール

日本ではインドカレー店をよく経営していることで有名。
世界で唯一の四角ではない国旗。直角三角形を二つ組み合わせたような形をしている。上は月、下は太陽を表す。


こうなった理由はネパールの歴史が関係している。
かつてネパールはシャハ朝によって統治されていたが、1846〜1951年に渡ってラナ家に実権を奪われていた。
その時から二つの王家のシンボルマークが組み合わさったものが使われるようになり、現在のネパールの国旗になったとされている。
また他の国の国旗は全て整数で縦横比が決められているが、その形状故にネパールのみ無理数となっている。
その後シャハ朝に実権が戻ったはいいが、国王が好き放題やったため2001年に王族殺人事件が発生。
その7年後に王制は廃止され2008年に共和制となった。
位置的に昔から中国とインドに翻弄され続け、立地が立地なだけに「世界で最も開発が難しい国」とも呼ばれるなど発展は厳しい。


トルクメニスタン

世界で最も複雑な国旗」とも称される国旗。5つの模様は絨毯で、トルクメニスタンを代表する5つの部族を表す。
それぞれデザインは大変きめ細かいもので、ググらずに描ける者はまずいないだろう。いやググってもかなり難しいが。


かつてはソ連の一員であったが1991年に独立。独立後は強烈な個人崇拝を敷き、情報統制が厳しく年間6000〜7000人しか入国を許していない。
入国できたとしても行動は厳格に制限されるなど非常に閉ざされており、「中央アジアの北朝鮮」とも言われる。
特に初代大統領のサパルムラト・ニヤゾフがとにかくすごい人物で数々の破天荒な政策や行動を起こしている。


+ 主な政策・行動-

◆首都には50m間隔で自分の肖像や銅像を設置させ、また大理石の使用量が基準未満の建造物は建築禁止にする
◆メロンが大好きなので8月の第二日曜日を「メロンの日」として国民の休日に制定。
◆国内全土で禁煙を実施
◆自身がヅラであることを報道してはいけないとしたが、そのせいで自身がヅラであることがバレてしまう
◆トルクメン人本来の肌が一番美しいとしてニュースキャスターの化粧を禁止
◆「田舎者は本を読まないでしょ?」「都市部の病院やに行けばいいじゃない、それに良い医者は首都で働いてるはず」と地方の病院や図書館を閉鎖
◆自伝を国民に読むことを強制させ、運転免許などの国家資格取得の際にも暗記を義務化。
◆地球温暖化で絶滅の危機に瀕しているペンギンがかわいそうなので動物園での飼育を義務化
◆親の面倒は子供が見るべきと年金制度を廃止
◆健康のためと閣僚に36km走らせる


ただし一概にニヤゾフ大統領が一方的に悪いかと言えばそうでもなく、戦争や震災で肉親を次々に失い孤児院で育ったという壮絶な生い立ちによるものも大きい。
一方で天然ガスや石油などの資源に恵まれ物価や光熱費、ガソリン代などがとても安い。
一戸建ての家を国からプレゼントしてもらえるなど所得の数値以上に国民の生活は大変豊かである。
後継者のグルバングル・ベルディムハメドフはこれらの政策を一部緩和。
年金制度の復活・地方の病院や図書館の再開放など部分的な自由は認めつつも、強烈な個人崇拝は引き継いでいる。
2020年に新型コロナウイルスが世界的な流行を見せると自国にはコロナはないと宣言。
マスクの着用禁止、コロナと発言しただけで逮捕したりするなどの問題行動を起こしたが、同年7月にはほこり対策という名目でマスク着用を許可。
2021年1月にはワクチンを緊急承認しやむなく感染拡大を認めた。


ブータン

こちらも真ん中の龍の鱗が1つ1つ細かく描かれておりトルクメニスタンの次くらいに複雑な国旗である。正確に描くのは至難の業。
龍はドゥク(Druk、雷龍の意)と呼ばれるもので、それはブータンがチベット語の方言で「龍の地」として知られていることを意味している。
爪で掴んでいるのは宝石で富を現し、白いのは純粋さと忠誠心、背景の黄色は君主制、オレンジは仏教を表している。
国については該当項目で。


シエラレオネ

某コンビニによく似ているとネタにされている。本国を知らない人は初見だとコンビニと答えてしまうかも。
なお、コンビニ側は誤認を回避するためか色のみで表示する場合は33:58:9になるように幅を定めている。
国旗の意味は、緑は農業、山、天然資源を、青色は天然の良港である同国の首都フリータウンを、白は団結と正義を表す。


コーヒーやカカオを産出する農業国でダイヤモンド鉱山やチタンなど地下資源にも恵まれている。
奴隷制から解放された黒人たちの移住地として1808年にイギリスの植民地となるが、奴隷貿易を取り締まる艦隊の基地とされた。
そのため他のアフリカ諸国によくありがちな過酷な植民地支配は受けず、1961年4月27日に独立。
初代首相のミルトン・マルガイこそ各民族の融和に努め安定した国の基盤を築いたものの、1964年に彼は亡くなり、その後継者として就任した彼の弟のアルバート・マルガイは出身部族であるメンデ族を優遇するなどの偏った政治や自身の政党以外一切認めない一党制を推進しようとし国民から非難が殺到。
1968年のクーデターでマルガイは失脚し、新たにスティーブンスが就任しようとする…がマルガイ派の軍の指導者であるランサナ准将が無血クーデターを起こす。
再びマルガイが政権を奪取したものの先述のような政策から国民がついていくはずもなく、全人民会議からのカウンタークーデターを喰らい再び失脚し追放された。
再度就任を果たしたスティーブンスだったが、長期に渡るにつれ独裁化。1978年には名実ともに一党独裁になってしまう。
当然のごとく政権は腐敗の一途を辿り1985年に民衆の反発により退陣に追い込まる。
後継者のモモ少将は民主化しようとしたものの、当時国有化していた鉱山が閉山に追い込まれ、その上さらに国際的なコーヒー価格の下落という追い打ちまでかけられモノカルチャー経済の弊害も相まって景気は急速に悪化。ダイヤモンドが眠る鉱山の利権争いが激しくなり1991年に内戦が勃発。
政治は大混乱に陥り1997年には軍部に掌握され内戦はさらに激化。
1999年には首都を反政府軍統一革命戦線に占拠され市民が略奪・強姦・虐殺される大規模なジェノサイド事件が起こり街の病院は死体の山ができる地獄絵図となった。
皮肉にも豊かなダイヤモンド鉱山が各軍隊の資金源となり、内戦が長引いた理由の一つとなった。
世界はこの現象を紛争ダイヤモンド(ブラッドダイヤモンド)と呼んだ。
2002年3月1日に和平合意が結ばれてようやく内戦は終結。2007年には選挙でアーネスト・コロマが大統領に就任し民主化に成功。
しかし長く続いた内戦の爪痕やHIVにより乳児死亡率も高く、内戦終結直後の2003年の平均寿命は34歳だった(現在は約60歳)。
その後は復興に向けて尽力し、経済は回復基調にあった…が2014-2015年にはエボラ出血熱の流行で約4000人が亡くなり経済は再び低迷…
したかに思われたが翌年には回復路線に復帰。
だが近年は新型コロナウイルスの流行によって物価が急騰しており、2022年7月1日には3桁切り下げるデノミネーションを実施している。
また、2018年に就任したビオ大統領は毎週土曜日に家の前を清掃する「クリーンデー」と言うユニークな政策を取り入れている*6

アルバニア(シュチパリア)

真ん中に描かれた双頭の鷲の紋章が厨二心をくすぐるかっこいいデザインだと評判が高い。
まるで悪の帝国やフィクション作品の悪の組織が使いそうな旗である。
アルバニア語でシュチパリアとはワシの国を意味し、国民は自分たちのことを「ワシの子孫」と呼ぶ。


ヨーロッパ唯一のイスラム教国で、聖女マザー・テレサでも有名。
国旗こそかっこいいが国内経済はあまり奮わず、長らくヨーロッパでも指折りの貧乏国の一つであった。
冷戦時代は旧ソ連を後ろ盾に共産主義政党の労働党が与党となり、岡田真澄スターリン大好きおじさんことエンヴェル・ホッジャが大統領に就任。
大統領に就任した後は相手が共産国であろうとスターリンの意向に叛けば敵対するという行動を取る人物だった。
そのためスターリン批判をしたフルシチョフ政権、さらに文革終了後にアメリカを訪問させた中国、挙句の果てにルーマニアのチャウシェスクや北朝鮮の金日成をも批判した。
結果共産圏内ですら四面楚歌状態となり、1978年には全ての国の国交を断絶し引きこ…もとい鎖国状態となる。
無宗教国家を宣言し、モスクや教会等の施設を封鎖したりイスラム教のラマダンの月に国民にわざと豚肉を支給し、食べなかった者を村八分にする等して宗教を徹底的に弾圧。
なおその間国民は隣国のイタリアからしか外国の情報を得られなかったため、現在でもイタリアの影響力がとても強くイタリア語も国内では通じやすい。
1985年にホッジャが死亡したことにより彼から忠君とみなされていたラミズ・アリアが大統領に就任する。
彼は比較的穏健派で、国交回復や政治犯の釈放、観光客受け入れの許可等の民主化を進めることになる。
1989年に起きた民衆の抗議運動が決め手となり共産主義政権は崩壊し、アリアは在任中の汚職の疑いで投獄され、開国に至る。
が、当時は近隣のユーゴスラビア連邦の解体により勃発したボスニア・ヘルツェゴビナの紛争真っ最中だった。
そこに目をつけた投資会社が武器を購入し、それを紛争当事者に高く売りつけるという転売ヤービジネスでねずみ講が蔓延。
本来ねずみ講は会員への配当金が新規参入者の加入金を上回った時点で破綻するものだが、この時点では利益を出せていたため破綻せず、旧共産主義故に国民が経済に疎いことも相まって伝染病が広がるかの如く国民の3割がねずみ講に加入。割合だけで見ればまさに前代未聞の規模である。
その後のボスニアの紛争終結によりねずみ講は当然の如く破綻。
国内経済は大きく傾き、ねずみ講会社も破産を申請して倒産。怒り狂った民衆は武器庫から銃を盗み英語では戦争と称されるレベルの暴動に発展。
こうして国も関与して行われたねずみ講により政権は信用を失い、労働党あらため社会党はあっさり政権復帰。
アリアも釈放され、自著を出版して余生を過ごし2011年に亡くなった。
2022年現在も社会党は与党のままで、国家議席140の内75議席を獲得している。
現在は観光業にも力を入れていて街の景観も大変良く、小さな国でありながら数少ない複合遺産持ち。
物価も安いため日本人の99%以上は一生行かないとされているものの、なかなかにおすすめのスポットである。



ダホメ王国

存続期間:1600年〜1900年
現在のベナンに位置していた王国。
まるでフリー素材かのようなに王冠を載せた子どもの落書きのような国旗。かわいい。
流石に実際にはネットに転がっているようなものではなかったようで、よく知られているものよりもう少しリアルな象となっている。


だがかわいい国旗に反して実態は奴隷貿易を産業としており、奴隷をヨーロッパ人に売り最新武器を貰い他国を攻めていくというループで国を発展。
奴隷貿易で男が不足したためか当時としては珍しいめちゃくちゃ強い女だけで構成された兵隊を持っていた。
1818年には残虐さで悪名高いゲゾ国王が即位しすぐに周辺国への侵攻を決め最盛期を迎えた。
しかしその後アメリカやヨーロッパで奴隷解放運動が盛んになった影響で国力の衰えを隠せなくなる。
ゲゾ国王がアブラヤシ産業を育てて奴隷貿易依存経済からの脱却を試みたものの、国内の保守派の影響もあり奴隷制廃止には至らず、1858年には彼が暗殺される事件も起こる。
暗殺後も奴隷貿易を続けたもののイギリス、フランスなどの圧力がさらに強まり、アベオクタなど周辺諸国の抵抗も激化。
退廃が進み、1890年にはフランスによって征服され戦争が勃発。この時ダホメ王国と交戦した兵士は皮肉なことにフランス軍ではなく、ほとんどがダホメ王国の暴虐を恨んだアフリカ人であった。
彼らの怨恨がダホメを追い詰めたのかもしれない。戦争は10年に渡り、激戦の末に敗戦し1900年に国王がフランス軍に追放され滅亡した。
その後国王は現地の祭祀の長として帰国を許され、現在のベナンは共和制であるものの彼の子孫は歴代国王の伝統的な祭祀を現在も執り行っている。


マリ連邦

存続期間:1959年4月4日〜1960年8月20日
アフリカでよく使われている三色にまるで棒人間のような絵が描かれた国旗。


旧フランス領スーダン(現在のマリ共和国)とセネガルが合併して独立したが、すぐに関係が悪化して僅か1年4ヶ月で分離独立し滅亡した。


棒人間のようなものはマリのドゴン族が死者の儀式で使う仮面「カナガマスク」と呼ばれるもの。
国旗に描かれているものは上下逆さまになっており、仮面の方は棒人間の顔の部分を下にして顔につけて使用する。


ベニン王国

存続期間:1170年〜1897年
左側の人が剣で右側の人の首を刎ねるというなんとも物騒な国旗。国旗内で殺人をしているのは流石に前代未聞。


現在のナイジェリア南部に位置しており、12世紀後半にエド人によって建国され、上述のダホメ王国と同様奴隷貿易で15世紀には最盛期を迎えた。
しかし18世紀に入ってから衰退の一途を辿り、イギリス外交官虐殺事件を契機にイギリスの侵攻を受け、1897年に滅亡した。
ただし本当にこれがベニン王国の国旗だったのかは諸説あり、ベニン軍の軍旗だったのではないかという説もある。
現在のベナンは同国を国名の由来としているが、繋がりはない。
1914年にはイギリスがベニン王室の復活を許可し、現在も実権はないもののベニン王家は住人の尊敬を受けている。


現在の国旗で人が描かれているのはベリーズとマルタのみ。
ベリーズは船を作る木こり、マルタはキリスト教の聖人である聖ゲオルギオスを表しているためこのような物騒なものではない。


国旗に関する決まり

日本では外国国章損壊罪が存在し、他国の国旗や国章の損壊、除去や汚染をした者には2年以下の懲役または20万円以下の罰金が課せられる。
また二つの旗を並べる場合は自国を左側にし、3カ国以上並べる場合はアルファベット順に、奇数の場合自国を真ん中に並べるのが基本。
同じポールに二つ以上の国旗を並べるのはマナー違反とされている。
破損や劣化で国旗を破棄する場合は人の目につかない場所で行うこと。


国旗に関するトリビア・雑学

☆ノルウェーの国旗からは、色々な部分を切り取ることで実に7カ国の国旗を作ることができる。
☆スイスとバチカンの国旗のみ真四角である。
☆ジャマイカの国旗は三色旗のなかでも世界で唯一の色の組み合わせである。
☆人工染料の開発で紫の染料が安くなった後も高貴な色と扱われた名残で2カ国しか紫を使っていないが、ピンク(桃)に至っては一カ国も使われていない。
☆デンマークの国旗は、少なくとも700年間変更されずに使われ続けている、世界最古の国旗。
☆一方でアフガニスタンは1900年から2022年現在までに24回変わっている。
☆カナダの国旗のサトウカエデは自然界では同じ形状のものは見られない。レバノンの国旗に使われているレバノン杉も実物はもっと幹が細い。
☆国旗を組み合わせると、ある国の国旗になることがある。

アルゼンチン+ギリシャ=ウルグアイ
リベリア+ギニア=トーゴ
トルコ+インドネシア(モナコ)=シンガポール
イングランド+スコットランド+北アイルランド=イギリス(ユニオンジャック)
☆他にもちょっと手を加えるだけで別の国の国旗になるものもある。

青と赤を反転
ノルウェー⇔アイスランド
タイ⇔コスタリカ
裏返す
アイルランド⇔コートジボワール
紋章を足す
コロンビア→エクアドル
イタリア→メキシコ


国旗と同じ扱いを受ける旗

前述のアフガニスタンのように統一した政権を持たない国を除き、殆どの国は国旗は一種類のみだが、中南米を中心に公式な場では国旗とともに掲揚される旗が存在する。

アルティガスの旗、33人の東方人の旗(ウルグアイ)

ウルグアイの独立に対し多大な貢献をしたホセ・アルティガス氏と33人の東方人(これは関係ない)が制定した旗は国旗とともに国会議事堂に掲げられており、国家行事でも使用されることが多い。
アルティガスの旗のデザインは陸軍や海軍の標章に流用されており、33人の東方人の旗に書かれたスローガン「Libertad o Muerte(自由か、それとも死か)」はウルグアイの標語として使われている。

ウィファラ(ボリビア)

ウィパラ、ウイパラとも言われているボリビアの先住民、アイマラ人の旗。この手の旗では珍しく紫が使われているのも特徴で、赤・橙・白・黄・緑・青と共に虹やインカ帝国を構成する地域など様々な意味を含んでおり、かつて旗そのものがカレンダーとして使われていたとも。
他の南米の国々でも先住民を表すシンボルとして使われているが、法的に国旗と同じ位置付けになっているのはボリビアのみ。

アボリジニの旗、トレス海峡諸島民の旗(オーストラリア)

オーストラリアの先住民であるアボリジニとトレス海峡諸島民は独自の民族旗を持ち、1953年国旗法に基づき*7 国旗と同じように国会議事堂や官公庁に掲げられている。
ただし、アボリジニの旗をデザインしたヘラルド・トーマス氏は「アボリジニの旗にこれ以上の意味合いを加える必要はない」と政府の決定に反対しており、反イスラムのシンボルとして使われるなどトーマス氏の意図しない意味合いが含まれてきている。



追記・修正は国旗を全て丸暗記して正確に描いてからお願いします。


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  • 赤色の「『情熱』『革命の為に流れた血』を表す」率の高さよ -- 名無しさん (2022-10-30 01:00:37)
  • ためになる項目だなあと読んでたらベニン王国の国旗の詳細で苦笑いしか出てこなかった…w -- 名無しさん (2022-10-30 09:21:23)
  • 中学の夏休みの宿題でくじ引きで決まった国の国旗を書いてくる奴でスイスあったけど、真四角なの知らなかった -- 名無しさん (2022-10-30 13:12:31)
  • 国旗ネタだとやたら横に長い上にかつては縦横比を揃えられるとバーレーンとの差異がギザギザの数だけだったカタールの国旗とかも(しかも色を変更した理由に「日焼けして茶色に変色したのをそのまま採用した」という話がある) -- 名無しさん (2022-10-30 13:40:44)
  • 小ネタとして挙げれるのはAK-47が描かれてるモザンビークかな -- 名無しさん (2022-10-30 14:32:34)
  • ニュージーランド等の、左上にイギリスの国旗が描かれているパターンは述べないのね -- 名無しさん (2022-11-01 07:14:05)
  • 史上最強の武器商人って映画で密輸がバレないための工作として船に国旗何十枚も積んでたり、フランスの旗を横にしてオランダにして誤魔化したり…国旗をここまでネタにした映画はないと思う -- 名無しさん (2022-11-01 08:46:00)
  • 声優の某杉田さんがラジオで言ってたバングラディシュ弁当思い出した。 -- 名無しさん (2022-11-07 19:51:18)
  • 相棒でおなじみサルウィン・エルドビア・ルベルタ共和国にも存在する。……んだけど東亜民主共和国は出てこなかったり(見逃してただけならスマン)、科捜研の女のほうが登場頻度が高かったりもする(泣) -- 名無しさん (2022-12-01 20:08:19)
  • ちょっと突っ込んでいいか?スペインの国旗の盾の右上部分のライオンにピンク色が使われているんだが? -- 名無しさん (2023-06-18 14:22:49)
  • ↑4>フランス国旗を横にしてオランダ国旗 ←マギー司郎やんけ -- 名無しさん (2023-06-18 16:53:56)
  • ↑2 あれ、紫らしいぞ -- 名無しさん (2023-08-11 00:55:26)
  • https://en.wikipedia.org/wiki/Flag_desecration ←国旗の毀損に関する世界の法律一覧。これを見ると日本がめちゃくちゃ特殊なのがわかる。赤い国は自国の国旗の毀損は違法(外国の国旗はデモなどで毀損OK)だが、日本は逆で日本の国旗の毀損はOKだが外国国旗はNG。めちゃ道徳的で誠実(?)であるし自虐的(?)この傾向って面白いからwiki書ける人に書き加えてほしいな。 -- 名無しさん (2023-10-06 02:53:18)
  • ↑リストアップされてる国のなかではデンマークと日本だけなのか デンマークに何があったのやら -- 名無しさん (2023-11-09 22:31:12)

#comment

*1 制定当時対立していたパキスタンの国旗(月と星)に対抗する意図があったんだとか。また、独立して1年は円の真ん中に国土の地図が描かれていたが見辛くなってしまったため、すぐに省かれている。
*2 これは旗がはためいた時にやや左に寄せることで中心に見えるように、という配慮が込められている
*3 スキーボング氏が否定したのはあくまで「意識して日の丸に似せたのか」という点であり、デザインを参考にした可能性までは否定していない。
*4 実際、1995年に提案された国旗のデザインの中には赤地に金色の丸という日の丸と言うよりは戦国武将の旗印のような物もあった。
*5 手描きの場合は塗り潰すのが面倒かもしれないが、色紙やソフトの機能を使えば一瞬である
*6 大統領の名誉のために書いておくと、奇抜な政策だけでなく初等教育の無償化等真面目な取り組みも進めているのであしからず。
*7 ややこしいが、「オーストラリアにおいて国旗に関する制定が憲法に書かれたのが1953年」と言う意味の法律であり、アボリジニとトレス海峡諸島の旗がオーストラリアに承認されたのは1995年である。

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