株式会社マジルミエ

ページ名:株式会社マジルミエ

登録日:2022/09/26 Mon 23:53:26
更新日:2024/06/27 Thu 10:36:00NEW!
所要時間:約 22 分で読めます



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魔法少女 少年ジャンプ+ 漫画 集英社 株式会社マジルミエ 岩田雪花 青木祐




魔法少女


それは強くて格好良くてしなやかで


誰もが憧れて高給取りで人気が高い


立派なひとつの職業だ



『株式会社マジルミエ』は日本の漫画作品。
原作:岩田雪花
作画:青木 祐


【概要】

集英社のWEBコミックサービス『少年ジャンプ+』で連載。単行本は既刊4巻(2022年9月時点)。


魔法少女」が職業として浸透した社会を描く……と書くと同じジャンプ系列の『僕のヒーローアカデミア』のような作風を想像させるが、本作はベンチャー企業を舞台とした所謂「お仕事漫画」的な性格が強く出ているのが特徴。
そのため、「働く事の意義」や「拘りを貫き通す事の難しさと尊さ」といった現実の仕事にも通じるようなテーマが盛り込まれており、それらの要素と少年マンガ的なアクションとの両方を楽しむ事ができる。


単行本の書き下ろしページは登場人物のモーニングルーティーン*1が題材になっている。


『次にくるマンガ大賞 2022』ではWEBマンガ部門で3位を獲得している。



【あらすじ】

"魔法少女"

——それは、誰もが憧れる「職業」である。


就職活動に苦戦する女子大生・桜木カナ。
面接先で怪異に巻き込まれたカナは、駆けつけた魔法少女・越谷を手助けした事をきっかけに、ベンチャー企業『株式会社マジルミエ』に魔法少女として新卒入社することになり…!?


お仕事 × 魔法少女アクション、スタート!!


(単行本1巻 裏表紙より引用)


【用語】

  • 魔法少女

突如発生する自然現象である「怪異」の鎮静と、巻き込まれた一般人の救助活動を行う職業。
「ホーキ」に乗り、「魔法」によって怪異と戦うという意味で言えば我々の知るようなフィクションの魔法少女像に近いが、企業に所属し、給与を貰って働く職業として社会に大々的に認知されている点で大きく異なる。
かつては文字通りの「少女」が務めていた事もあるようだが、現在では社会人女性がなるのが普通とされている。
当然ながら「正体を知られてはならない」なんて事もなく、マスコットめいた謎生物もいない。*2
男性はいないが、これは適正が無いのではなく、逆に「男性は魔法の出力が強くなりすぎる」ためらしく、技術開発が進めば男性の魔法使いも現れる可能性はあるとの事。


かつては公営事業だったようだが、年々増加する怪異現象と共に民営魔法少女企業の需要も高まっており、現在では大小合わせて500社以上が存在する。


なお、我々の知るようなフィクションのアニメコンテンツとしての「魔法少女」も別個に存在しており、趣味的な世界ではあるが現実の「魔法」でアニメの「魔法」を再現するような事も行われている模様。


  • 魔法

上述の魔法少女たちが体内の魔力を消費して行使する技。
種類も豊富で、魔法弾を飛ばすものや物体をその場に固定するもの、魔法陣をバリアにするものなど様々。
ただ、魔法少女はただ魔力を持っているだけで魔力の操作はできず、それを魔法技として放出することはできない。


そのため、本作では魔法専門のエンジニアがプログラム(MQ言語なるものを利用しているらしい)で「技」を構築し、
現場の魔法少女はホーキ等にインストールされたそれらを必要に応じて呼び出すという形式になっている。
「魔法」の大規模なエキスポが開かれるなど周辺産業もかなり活発な模様。


  • アリスシステム

マジルミエの代表取締役である重本が考案したチーム戦術。
通常、魔法少女は予め魔法をインストールしてある杖やホーキ等の魔道具を持っていき、怪異と単騎で戦うのが一般的なスタイルとなっている。
が、このシステムでは魔法少女とエンジニアらバックオフィスチームが電話でリアルタイムに連絡を取り合い、魔法少女からのオーダーを受けたエンジニアがその場その場で新たに魔法を構築して対応する。
業界中では例外中の例外とも言える戦術であり、このスタイルを採用しているのは現状マジルミエのみ。
当然、これを見た社外の人間はほぼ例外なく驚いている。


  • ホーキ

魔法少女が用いる移動用魔導具の通称で、「全ての魔導具の基本」とも称される標準装備。
「棒状の部位の後端が膨らんでいる」と大雑把なシルエットは我々の知る「箒」に似るが、実態は完全に別物で、例えるならスマートフォンの拡張性を備えた飛行バイクのような代物。動力は魔力。
デザインや機能は製品毎に千差万別だが、業界内である程度の共通仕様は整えられており、作中では簡易魔法弾の射出*3やライト機能などが登場している。
専用のソフトウェアのインストールや専門技師の手を借りるなどの手段で自分好みに改造を施す事も可能で、改造情報を特集した雑誌なども市販されている。



  • 怪異

突如として自然発生する災害・自然現象の一種、及びそれによって出現する存在。
劇中では前者を「怪異現象」、後者を「怪異」と分けて称する事が多い。
外見上の特徴としては、基本的にフォルムは不定形で、体表に人間の目のような部位があるパターンが多い。
また体内には宝石のような形状の「コア」と呼ばれる本体が存在しており、魔法少女は魔法弾などにより体表を削って怪異のコアを露出させ、これをUSBメモリのような魔導具を用いて封印する「圧縮納品」により退治業務を行っている。


「怪異値」なる物の測定ができるなど出現メカニズムに関してはある程度研究が進んでいるようだが、根本的な発生対策はできておらず、怪異現象の発生は年々増加の一途を辿っている。
怪異全般の傾向かは不明だが、劇中では長年マトモに使っていない空き部屋や下水道などひと気の無い場所から発生するパターンが多い。
怪異は「触手系」「冷却系」などいくつもの系統に分かれており、見た目や能力も様々なため、現場の魔法少女にはそれに応じ臨機応変に立ち回る判断力が求められる。
また放置すればするだけ成長してしまうため、可能であれば早期発見、万が一成長してしまっていた場合は安全などを考慮した複数人での対処が求められる。



  • 変異

怪異が突発的に活性化し、体積の肥大化や別系統の能力を発現する現象。
近年になって変異型怪異の発生件数は増え続けており、現場の魔法少女達のリスクも増大している事が問題となっている。
そのため魔法を含めた変異への対応策の開発は業界でも注目度の高いトピックであり、変異対応魔法の研究開発なども盛んに行われている。


変異の発生メカニズムは不明瞭だが、重本は「大きすぎる魔法が怪異をも強くする」と考察している。



  • 災害怪異

本編開始時から数えて15年前に発生したSクラス怪異現象の通称。
大規模な怪異の発生により魔法少女・民間人共に犠牲者を出した事件であり、これを機に民営の魔法少女企業が大幅に増加した。
原因については現在でも分かっておらず、大規模な変異とも、悪条件が重なった人災とも囁かれる。


当時を知る世代には痛ましい事件として一種のトラウマになっているが、15年の年月を経た事で社会的には半ば風化しつつあり、基本的に勉強家であるカナも詳しくは知らなかった。



【登場人物】

株式会社マジルミエ

創業10年のベンチャー魔法少女企業。社員数は5名(カナ入社時点)。
社屋は何故か雑な継ぎ接ぎ痕のあるボロビルの超零細ベンチャーだが、奇跡のようなバランスで仕事をこなす少数精鋭の社員達と独自の高い技術力・対応力が売り。ただ、その分ひとりひとりの変態性が強く初見の人間を度々困惑させる。
経営方針には社長である重本の美学や拘りが強く反映されており、実務面においては「魔法少女第一」「現場主義」といった傾向が強い。


自社の魔法少女の変身アイテムは社員証。
自分の前に掲げて「コードC起動*4」と命令する事で、光のエフェクトがコスチュームを形成、変身が完了する。
コスチュームデザインはカナと越谷と共通で、肩にラインの入った警官風のシャツワンピースの上からパレオ風の装飾が付いたもの。肩やベルトには十字形の星が、胸元にはマジルミエのロゴがあしらわれている。



  • 桜木さくらぎカナ

ついさっきまで どこにも必要とされなくて

社会人になれるかすらわからなかったのに

ここでは私は世界から必要とされるんだ


本作の主人公にして、偶然から魔法少女業界に足を踏み入れた新卒新人魔法少女。
小柄でやや童顔気味な顔立ちが特徴。そして就活会場にピンク髪ツインテールで踏み入る勇者。
二子山の見立てでは身長153cm、肌の色はサマー系、靴のサイズは23.5cm。


映像・文章・音声と媒体を問わず大量の情報を正確に記憶する凄まじい記憶力と、それらを取捨選択し最適解を引き出す高い対応力を持っている。
しかし成功体験の少なさからか自己肯定感が低く、それが災いして就活が難航していた最中に訪れた大手金融企業の面接会場で怪異現象に遭遇。現場に現れた越谷を記憶力を活かして手助けした事が縁でマジルミエに就職した。


性格は素朴で真面目な、魔法少女モノの登場人物としてはある意味王道の主人公タイプ。
上述した自己肯定感の低さから普段は良くも悪くも自発的に前に出る事はないが、それ故に状況を俯瞰して分析、把握する能力に長けており、前線での斥候役として優れた資質を持つ。
また銀次曰く「説明書を読む才能」の持ち主で、これが上記の才能と合わさる事で、大量の選択肢を適切に把握して使いこなす即応性を発揮する。
一方でフィジカル・メンタル面では新人という事もあって他の魔法少女に劣る面が強く、それらの要素を的確に補填する人材の揃ったマジルミエはカナにとって正に理想の環境と言える。



  • 越谷こしがや仁美ひとみ

「カナち よく頑張ったな あとはお姉さんに任せな」


「上等上等! 何から入ってもどーせ覚えりゃ楽勝だから」

(この人の「楽勝」レベル 参考にならんな…)


マジルミエ所属の魔法少女。
抜けかけの金髪(所謂「プリン頭」)やピアス、ジャージ着用などヤンキー風のルックスが特徴の女性。


細かい事を気にしない姉御肌の天才肌で、他人への指導や難しい話、機械の扱いなどが苦手……という典型的な元ヤン系キャラ。
一方で魔法少女の負う責任の重さを正しく認識しカナに助言を与える、頼れる先輩でもある。
基本的に誰に対してもフランクで、上司を「社長ちゃん」呼びするなど怖いもの知らず。1話ではそれなりに敬語が使えていたはずがあっという間にフランクなヤンキー敬語になっていった変な子


魔法少女としてはとにかく高いフィジカルとセンスが売りで、被弾を恐れない度胸で怪異に突っ込んでいくマジルミエの特攻隊長。曲乗り突撃で攻撃と人命救助を同時にやってのけるなど、こと魔法少女業務に関しては抜群の冴えを見せる。
またホーキの改造に興味津々らしく、待機時には度々改造系の雑誌を読みふけったり、銀次にホーキを見て貰う際には露骨にテンションが上がったりしている。
名乗り口上は『スケバン刑事』や極道モノ映画のような、本人の趣味を反映したと思しき硬派なもの。


好物はラーメンと肉、趣味はラーメンの食べ歩きという筋金入りの食いしん坊。それ以外でも大食いらしき描写が多い。
また、訪れたスポーツジムでそこ一番のマッチョと筋トレ対決する「ジム破り」なる趣味もあるらしい。
通勤スタイルはジャージ姿で竹刀を担ぎ、先端にカバンを吊るしたふた昔前のスポ根めいた代物。とりあえず竹刀はそうやって使うもんじゃない


ちなみに相手をアダ名で呼ぶ癖があるが、細かい事を気にしない性格故かはたまた単に作者や編集のミスなのかコロッと呼び方や表記が変わったりする、データベース系オタク泣かせの罪な元ヤンでもある。



  • 重本しげもと浩司こうじ

「気づいていないかもしれないが 君はとても優秀だ」


「……… 俺は意地を張っているだけだ」

「…まだ子供だよ 子供だから ベンチャーをやっている 強すぎる希望を信じているんだ」


マジルミエの創業者にして代表取締役社長。
……そして、いい歳こいたオッサンなのに職場で常に魔法少女コスプレをしているマジルミエきっての変人構成員ある意味、本作で一番の人気キャラ。


深いクマの刻まれた目に痩け気味の頬とくたびれた雰囲気の顔つきの中年男性で、フリフリの魔法少女服とのギャップも相まって初見の人間を高確率で困惑・恐怖させる変な人だが、その実、社長としては凄まじく有能な理想の上司。
人を見る目も確かで、越谷を助けた際のカナの記録からその資質を汲み取り評価したり、見切れ同然の僅かな写真から学生時代の二子山を見出しスカウトするなど劇中描写されただけでも非凡かつ変態的な観察・分析能力が窺える。
更に元は技術者だったらしく、マジルミエで使用されている独自の魔法運用インターフェース「アリスシステム」も彼の手によるもの。


見た目や語り口調はダウナー系を想起させるが、「慣例に疑問を呈するのがベンチャー企業の存在意義」と豪語し、新奇なアイディアも躊躇わず受け入れる気質の持ち主。
また非常に涙もろく、社員の成長などで感極まると真顔で滝のような涙を流す。そして大抵は翠川や二子山も連鎖的に泣き出すため絵面が凄い事になる
コスプレ趣味からも分かる通り魔法少女アニメの熱心なファンでもあり、カラオケで最高の魔法少女ソングを歌うために一週間かけて喉を作ったり、ニチアサを毎朝リアタイと録画で一週間見て過ごすなど筋金入り。コスのためなのかメイクや美容などにも気を使っているらしい。


アストの古賀やミヤコ堂の麻生といった大企業の社長や現職の厚生労働大臣といったビッグネームから銀次のような優秀な技術者までカバーする人脈、「15年前」=災害怪異に関わったと思しき言動など謎も多いが、本人はあまり語ろうとしない。


なお単行本1巻での原作者コメントによれば、この漫画が生まれるキッカケとなったアイディアの時点で既に魔法少女コスのおっさんだった模様。



  • 二子山にこやま和央かずお

「今変身って聞こえましたけど!?!?!?」


(社長に任されたんじゃないか 応えなきゃ)

(僕を 必要としてくれる人達に)


マジルミエの魔法エンジニア。
小柄で童顔、ボサボサ頭の丸メガネにチェックのシャツをジーンズにインした典型的なオタクルックの青年。


極度の人見知りだが、魔法少女に対しては非常に強い熱意を持った生粋の魔法少女オタクであり、学生時代から趣味で膨大な量の魔法プログラムを作っていた優秀なエンジニア。
一度スイッチが入るとオドオドした姿が嘘のように活力溢れる目つきに様変わりし、オタク特有のまくし立てるような早口を交えつつ高い分析力とプログラミング能力を活かした頼れる裏方として魔法少女達を強力にサポートする。
変身エフェクトやスーツデザインを含めた各種魔法製作の他にもホーキの調整や遠隔でのオペレーティングなどを一手に引き受けており、「デタラメ」とも称されるマジルミエの業務形態を維持する上で欠かせない役割を担っている。


重本と同じく涙脆い面があり、似たようなタイミングでボロボロと涙を零す。
一方で平時はコスチュームの方向性など魔法少女観で意見を戦わせる事もある模様。



  • 翠川みどりかわかえで

「ハイ株式会社マジルミエです」


「大企業みたいに1年かけて新人を教育できる訳じゃない その代わり」

「どんな新人でもすぐプロになる 君も 望めば今日から魔法少女なんだよ」



マジルミエの営業マンにして社長の右腕的存在。
短い茶髪の男性で、「([∩∩])<死にたいらしいな」のAAめいた笑顔がデフォの営業マン。


肩書きは「営業」ではあるが、事務や弁当の手配、広報業務なども行なっており、実質的に魔法関連以外のマジルミエの業務をほぼ一手に引き受ける凄腕の社員。二子山不在時にはオペレーティングを代行しているらしき描写もある。
もちろん本業である営業スキルも凄まじく、劇中では右耳にインカム、左耳に固定電話の受話器、デスクにPCと複数のスマホを置いて別々の問い合わせに対して一斉に通話を行うという物理的に無理のあるマルチタスクを笑顔でこなしている。
また気配りの達人でもあるが、察しが良すぎるせいで逆に怖がられたり、20年待ちの饅頭を「たまたま」入手したと抜かして手土産に渡し、取引先を騒然とさせるなど高すぎるスキルがかえって周囲を困惑させる場面も。


重本とは付き合いが長いらしく、謎に包まれた彼の過去や目的も知っている模様。
また、「翠川楓」は偽名であり、本名は不明。



アスト株式会社

魔法少女派遣・魔法技術開発の両面でトップを独走し、海外にも複数の支社を構える業界最大手の魔法少女企業。
周囲の高層ビル群を悠々と見下ろせる超・高層ビル丸々一棟が社屋というビジュアル的にも大変分かりやすい超巨大企業であり、これまた大変分かりやすい効率主義にして実利主義の経営方針から一部では「非人情経営」とも揶揄される。
あと会社のエントランス前にクビになった社員目当てのスカウトマンが待機してる疑惑がある。
社屋からは巨木が生えており、所属魔法少女が離発着を行う止まり木的な役割も果たしている。


所属魔法少女はコスチューム・魔導具共に装飾が少なく、上述の実利主義を反映したと思しいデザインが特徴。
杖に至っては剥き出しの基板が複数くっ付いているだけという逆に使いづらそうな無機質な物を使用している。



  • 古賀こがけい

「マジルミエ… ふーん 会社やってんだ」


「契約の無い仕事なんて仕事じゃないよ 金にもなんないし」

「本当にやばきゃ依頼が来るよ それまでは理想主義者がなんとかするんじゃない」


アストの代表取締役を務める男性社長。
いかにも「今時の大企業の社長」らしく無地のとっくりセーターなどラフでシンプルな服装に身を包んでいるが、目元は窪み、光のないぼんやりとした瞳をしている。


社風を体現したかのような効率&実利主義の権化。人情や美学よりも実利を重んじ、金にならない事はしない。
一方で外面を取り繕うだけの演技力も持ち合わせており、対外的にはにこやかな顔でインタビューに応じ、業界でも穏やかな人柄と見られている事が多く、それだけに重本に対して大っぴらに挑発するような言動をした際には居合わせた業界人が困惑したほど。
また、単純な拝金主義というよりは、利益に結びつかない「理想」や「拘り」を仕事に持ち込む事を嫌悪しているような言動も見せる。


マジルミエの重本やミヤコ堂の麻生とは旧知らしく、特に重本に対しては上述したように外面を取り繕う事もなく挑発的に振る舞うなど何らかの確執があるらしい。
その中でも重本の「15年前」という言葉に激しく反応していた事から、災害怪異に纏わる何らかのトラウマがある模様。



  • 土刃つちば

「そういった利益にならない美学で 仕事をした気にならないで下さい」


「効率が悪く結果のない美学は 顧客にとって詐欺と同じではないですか」


アスト所属の魔法少女で、納品数トップ記録を更新し続けるエース格。
短めの黒髪と光のない黒々とした瞳の、虚無感を漂わせる女性。この会社のトップはこんなんばっかである


社長同様に社風の体現者であり、効率主義に傾倒していると思しき無機質で機械的な言動が特徴。
通常業務に留まらず、他社のヘルプや「通りがかり受注*5」も積極的に行い、まさに攻撃を受けている最中にも防御すらせず「致命傷未満の傷は織り込み済み」と真顔で語るなど社畜の鑑とことん実利と効率を重んじた行動をしている。
この姿勢は他者に対しても同じで、居合わせたカナや越谷とはその度に口論になっている。


本人の技量とアストの高いテクノロジーが合わさる事で魔法少女として非常に高いパフォーマンスを実現しており、その能力はカナとリリーが二人掛かりで苦戦した変異怪異を一人で平然と相手取り、退治してしまうほど。



株式会社ミヤコ堂

大手化粧品メーカーにして、「広告塔」も称される魔法少女企業。
本社は「高級ホテルみたい」と称される高層ビルで、カフェが併設されていたり、部屋の番号が花の名前だったりと美容メーカーらしくオシャレさが強く意識された社風であり、新人研修でもその社員が輝ける服や化粧の講習が行われるという。
また危険が伴い、ともすればイメージの悪くなりやすい環境にある「魔法少女」のイメージ向上にも努めており、所属の魔法少女自身も華美で優雅なイメージを心がけている。
劇中では社長である麻生と重本が旧知の中である事から、カナが1週間の協働業務に赴く事になった。


変身アイテムは大きな鍵型のネックレス。
鍵を額に添え、詩のような変身口上を唱える事で鍵から光のリボンが展開、コスチュームに変化する。



  • あおいリリー

「私はミヤコ堂の魔法少女として そして1人の魔法少女として」

「魔法少女は素敵な仕事だよって伝えたいんだ」


「笑って桜木さん 魔法少女は美しく笑ってるものよ」


協働業務にあたりカナのバディを担当した、ミヤコ堂所属の魔法少女。
カナが初見で気圧される程の美貌を持つ、ふわりとしたロングヘアーの美女。


元は開発部に所属しており、魔法少女部署に異動になったのは2年前だが、「ミヤコ堂の魔法少女」として強いプロ意識を持っており、負傷しても決して狼狽えず人々に美しい姿を見せる覚悟を持った強い人物。
そのあり方はある種正反対な土刃と合わせ、カナが「プロの魔法少女とは何か」「美学を貫くとはどういう事か」を強く意識するキッカケとなった。
その後もカナとは交流があり、自分が他社の魔法少女を受け入れる側になった際はリリーに服装のアドバイスを求めている。


……と、本編だけ見ると完璧超人のように感じられるが、実際は若干残念美人のケがあり、単行本描き下ろしではその辺りをフィーチャーされている。



  • 麻生あそう美弥子みやこ

「笑顔よ重本くん 経営者なら大変な時こそ笑わなきゃ」


ミヤコ堂の社長。
デキるキャリアウーマンを思わせるスマートなルックスの女性。


重本と古賀とは古い知り合い。
二人の間にある溝についても知っており、仲違いしている現状を憂いつつ、弱気を見せた重本を励ましている。



アプダ株式会社

多くの魔法少女を抱える魔法少女企業。
安定感のある中堅企業で、出向などにも熱心。
登場した社員が二人とも熱意を物量・文章量に込めるタイプであるため、カナは「そういう社風」なのかと推測している。


変身シーケンスは二子山曰く「魔法少女の衣装性を活かして働く朝をイメージ」したもの。
両手を広げ「クローゼットオープン」とコールする事でタンスが具現化され、「ドレス・オン」のコールでコスチュームやメイク道具がひとりでに動いて装着とメイクアップを完了させる。
あかねは最後に「アカネ燦然!!」という決め台詞と思しきコールを入れている他、技名らしきものを叫ぶシーンもあり、他の魔法少女に比べてよりマンガチックな印象になっている。



  • 柏呑かしのみ

「当然助けるさ 同じ業界の仲間だろ」

「それで仲間のよしみに教えて欲しいんだけど あのミドルウェアどこ製? いくら?」


アプダの魔法エンジニア。
スーツにメガネ、オールバックというサラリーマンらしい風体の男性。


元はDCダイレクトコア社でプロジェクトマネージャーをしていたらしく、相棒格の横出と合わせて「黒の3ヶ月」なる事件を切り抜けた伝説のコンビと称されている他、魔法開発用のプログラム言語「MQ言語」のオープンソース化を先導した人物としても知られている。


見た目は真面目そうだが、もっともらしい理屈を付けて事件を野次馬したり、いい事を言ったかと思った直後にそれをダシに抜け駆けをしようとするなど実際は結構ちゃっかりした性格。
これは技術者としての熱心さの裏返しでもあり、新たな魔法技術にも目が無い。


劇中ではエキスポでの怪異退治を手伝った縁でマジルミエの技術力に惚れ込み、長文のFAXで技術交流目的の出向を打診した。



  • 槙野まきのあかね

「選択するのってこうやって責任が伴いますけど」

「選択しないより絶対キャリアアップできますからね」


「大きい退治来ないかな… こう…私のキャリアにビシッと刻まれる感じの!」


マジルミエに出向で訪れた、アプダ所属の魔法少女。
跳ねっけのあるセミロングの髪をひっつめにした活動的なルックスの女性で、魔法少女歴は4年目。
コスチュームも活発さをイメージさせるビタミンカラーの明るいイメージのものを着用している。


常にキャリアアップを意識しており、上昇志向の強さとポジティブさを併せ持ったアクティブな人物。
それ故に疑問に感じた事は悪意なくずけずけ言ってしまう面もあり、重本に対して初対面で服装にツッコんだ勇者。
口癖の「お任せあれ!」からも高い自信がうかがえる。


劇中ではアプダとマジルミエでの業務に対するパラダイムの違いから窮地に陥ってしまう面も描かれたが、社内の年度MVPを受賞するなど魔法少女としては優秀。
特に学習能力や対応力の高さはまだ付き合いの短い越谷やカナからも信頼を置かれるほど。また、コスチュームの装飾を武器にする奥の手も持っている。


劇中では彼氏の愚痴を言う場面があるが、今も付き合っているのか元カレの話かは不明。



その他


  • 銀次ぎんじハナ

「早速だけどホーキ見せて 道具を見ればどんな人かもわかるの」


「あんなに活かしまくってくれるなんて 開発者としてこんなに嬉しいことないじゃない?」

「だからカナちのお姉ちゃんは 作り手にとっての夢なのよ」


マジルミエで使用されているホーキの製作と調整を担当している専門業社の技術者。小学生
メガネにそばかす、ダボダボの白衣を着た正真正銘の幼女。


エリート科学者の下に生まれた生粋の科学者で、越谷曰く「コマゴメピペットでミリ単位でミルク飲んでた」らしい。
見た目や実年齢はアレだが本物の天才であり、ホーキを見るだけでどんな性格・適正の人物がどんな乗り方をしているかを把握し、それに見合った調整・改造を施す事ができる。
また技術者としての確固たる信念も持ち合わせており、組み込んだ機能全てを使いこなしてくれるカナの事を大層気に入っている。


ただ、この手の天才キャラの常として生活能力が果てしなく欠如しており、開発に熱が入ると風呂や宿題をすっぽかしたりも当たり前のため、助手兼世話役の仁科はどうにかしてマトモな生活を送ってもらうべく陰に日向に奮闘している。
また本人は隠しているつもりのようだが何故か二子山にベタ惚れしており、普段は自信満々で物怖じしない彼女が二子山相手では目を見て会話するのも恥ずかしがるほど。
だが二子山が想像を絶するレベルで女心が分からないため、周囲は半ば呆れ顔で見守っている。
更に、弱点と言えるかは微妙なラインだが、ネーミングセンスがやや独特。


好物は「やらとの羊羹」とヤクルト*6。羊羹と合わせる際には黒糖を混ぜて飲む派らしい。



  • 仁科にしな

「おう 誰かと思ったら重本んとこの嬢ちゃんか」


「銀次さん!! 駄目ですよ溜まってる宿題ありますし」

「今日こそはお風呂入るって約束しましたよね」


銀次の元で住み込み助手を務める壮年男性。
白髪のオールバックが特徴のシブメン。


越谷曰く元は国の技術者だったが、銀次の技術力に惚れて弟子入りを志願したとのことで、劇中では回想かイメージかは不明だがメガネをかけた赤ん坊に土下座して弟子入り志願するスーツ姿の壮年男性というシュールな弟子入りの光景が描写されている。


普段はくわえタバコで競馬新聞を読むなど外面を取り繕うような姿勢は見せず、他人にもラフな口調で接しているが、弟子としてのケジメなのか銀次相手では敬語で喋っている。
住み込みの助手としての業務だけでなく銀次の世話係も務めており、朝食を用意したり入浴や宿題をキチンとするようにと誘導したりと育児にも開発にも奔走する苦労人だが、銀次の態度に呆れこそすれど苦にしているような描写はあまりない。


技術者としての熱意は強いが、一方で良かれと思って開発した機能が利用者に見向きもされない現実に諦観を抱いているらしき描写もあり、過去には技術者として色々と苦労してきた模様。



  • 及川おいかわ真幸まさゆき

「何故そんな対応ができたんです? 御社は…どういう会社なんですか?」


技術力ではアストに次ぐとも称される中堅魔法技術会社「株式会社サテスファ*7」のCEO兼魔法エンジニア。
もじゃっとした黒髪と薄めの口髭が特徴。業界では「若手社長」と称されるが、越谷に「おっちゃん」と呼ばれた事をめちゃくちゃ気にしており、その手の話題には敏感なお年頃らしい。
また柏呑、横出とは知人で年齢も近い模様。*8


話し慣れした雰囲気のあるやり手で、大規模なエキスポである「魔法業界EXPO」でも目玉講演の一つを任されていた。
その際の事故が縁でマジルミエの怪異退治を間近で目撃しており、マジルミエという会社の異常性を劇中でいち早く指摘している。



  • 横出よこで

「うん…俺も見える デスマーチで見た幻みたいなヤツ」


DC社で長年に渡り柏呑の開発パートナーを務めていた魔法エンジニア。現在の所属は不明。
丸顔にタレ目、ω型の口など、柏呑とは反対に緩い見た目の男性。


柏呑と同様、新しい魔法技術に目が無い根っからの技術者だが、言動を比較すると若干冷静で常識的。






追記修正は魔法少女のコスプレ衣装を着用してお願いします。


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  • 作成乙。多種多様な魔法少女が見れてお気に入り。 -- 名無しさん (2022-09-27 13:38:29)
  • この項目きっかけで試し読み読んでみた。魔法少女のガワだけど雰囲気は仮面ライダーぽさを感じた。あと(こっちは悪の組織だが)黒井津さんも思い出した -- 名無しさん (2022-09-27 16:51:07)
  • 魔法少女版ダイ・ガードって感じよね。作風としては。基本コミカル路線だし -- 名無しさん (2022-09-28 13:29:36)
  • 設定とかお話そのものは面白いんだけど、労働を賛美する感じが強いので、週休8日欲しいと考えている自分には読んでてちょっとウッとなる -- 名無しさん (2023-05-14 12:29:33)
  • 企業モノ・魔法少女もの両面で黒い部分がガッツリ描かれるようになってきてる。最新刊とかもうね... -- 名無しさん (2024-01-17 13:36:21)
  • このタイトルで男性キャラの多さはすごいな。設定も面白そう -- 名無しさん (2024-01-17 13:37:42)

#comment(striction)

*1 2巻のみナイトルーティーン。
*2 ただし「AI使い魔」なるものは存在するらしい。恐らくは魔法少女業務用のAIアシスタントの類と思われる。
*3 共通仕様ではあるが、実際は認知度の低い裏技のようなものらしい。また、それなりに火力は出るが打てる弾数は一発のみが基本。
*4 第1話のみ起動コールの前に「システムログイン」と付け足している。
*5 他社の魔法少女が対処中の怪異に横から攻撃してコアを納品する事。劣勢など緊急時であれば、通りがかりで案件を受注していない魔法少女にも等しく攻撃の権利があるため違法ではなく、出動報酬も本来の受注会社にしっかり支払われる。
*6 劇中では伏せ字も捩りもなしで「ヤクルト」とされている。
*7 エキスポでの講演における魔法実演の際には別会社の魔法少女を招いており、自社では魔法少女業務を行わない技術専門の会社の模様。
*8 具体的な年齢は出ていないが、劇中や単行本おまけページでの描写から柏呑達と同年代、かつやや年上程度ではないかと思われる。

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