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更新日:2024/06/27 Thu 10:28:11NEW!
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なかよし 遠山えま 講談社 漫画 かみかみかえし なかよしラブリー
ずっと昔から存在しつづける神さま
長く生きていると神さまもだんだん疲れてきます
そんな神さまを髪の中に入れて休ませ元気にしてお返しする儀式がありました
その儀式のことを…
神々返しというのです
『かみかみかえし』はなかよしにて2010年から2016年まで連載されていた少女漫画。全8巻。
作者は遠山えま。『わたしに××しなさい!』や『ぽちゃぽちゃ水泳部』、『キミとなでっこ!』などで有名なお方。
日本神話をモチーフにした和風ファンタジーバトルもの。
神様を髪の毛の中で休ませてあげる代わりに願いをひとつ叶えてもらう『神々返し』という儀式が物語の中核。
儀式の巫女である16歳の幼女こと神束ましろが、神々返しを悪用しようとする神束家に立ち向かっていく。
遠山先生はちょっとエッチな学園ものを描くことが多いためこういった作風は地味に珍しい。
【あらすじ】
神様を髪の中で休ませる代わりに願いをひとつ叶えてもらう『神々返し』。
名家である神束家では古来よりこの儀式を執り行っていた。
主人公の神束ましろは分家の少女であったが、事故により間違えて神々返しの巫女に選ばれてしまう。
そうしてましろは本家の怒りを買い屋敷の小部屋に監禁されることとなった。「神様を出せるようになったらお母さんを返してあげる」と大好きな母を人質にされ……。
それから13年が経過した。長い監禁生活の中でましろは心がどんどんすり減っていった。今では幼なじみの少年である黒宮はやてに髪を梳いてもらうことだけが楽しみの無欲な少女に育ってしまっていた……。
何故かましろは13年間身体が殆ど成長していなかった。
そんなある日彼女の小部屋にウノとサノという謎の毛玉が現れる。
毛玉たちは不思議な力で小部屋の扉を開け、ましろはおそるおそる何年かぶりとなる部屋の外に飛び出していった。
だがそこで神束家が話していたのはましろの髪には特殊な封印が施されており神様が出てくることは一生ないということだった。
自分が騙されていたことを知ったましろはパニックとなり屋敷から逃げ出してしまう。
当然ましろを追う神束家たち。そんな中無欲だったましろはようやく自分の願いに気が付く。
いつも鉄格子のない空を見たかった
本じゃない世界を見たかった
自由に…なりたい
その願いに反応したことにより、ましろはついに神々返しの力に覚醒する。
そうしてましろの髪の中から召喚されたのは火の神ことヒノカグ。
ましろはヒノカグと神束家から離反したはやてに連れられ、外の世界へ向かうことに。
こうして神束家にとっての反逆者になったましろ達。
自身の願いを叶えるため、ましろは神束家と戦うこととなる。
【用語】
- 神々返し
本作の中核となる儀式もしくは神様召喚スキル。神束家の巫女に代々受け継がれてきた能力である。
選ばれた巫女が髪の毛の中で神様を休ませ、その代わりに神の力で願いをひとつ叶えてもらう。
ややこしいが本作のタイトルが「かみかみかえし」でこの儀式は「かみかみがえし」。
最初に「髪入り儀」を行い髪の毛の中に神様を入れる。その後は神様を休ませる準備期間となり大抵5年程度かかるらしい。十分に休んだ頃に「出す方の儀式」が行われる(作中ではここの部分が「神々返し」として扱われる)。そうして神束家の親族一同が集められ、四人の従者が巫女の力を高めた後、儀式が開始される。最後に神様が休ませてくれた恩として願いをかなえてくれる。なおこの時神様側には願いを拒否する権利はない(「自分の力では出来ない」と言うことは可能だが)。こうして儀式が終わり、また「髪入れ儀」が始まる。
神々返しの巫女の力にはピークがあり、力が弱まると子供に託されていく(託すためにも儀式が必要)。
本来は願いを叶えてもらうことはおまけであり、神様に休んでもらうための儀式である。
なお儀式を成功させるには負の感情をできる限り取り除くことが大切。そうしなければ神様が荒玉に飲み込まれ失敗する(この失敗を逆に利用したのが神々剥し)。
作中では儀式ではなく、主人公ましろの神様召喚スキルとして扱われる。戦闘などましろがピンチになった際にこの力を使うこととなる。ましろの髪の中にいる数多の髪の中から、ましろにとって必要な神様が召喚される。ましろの髪の中から召喚された神は、13年間髪の中で休ませてくれた恩があるためましろに力を貸してくれる。その後の神は自由の身であるが、基本はましろを案じて彼女のもとに残ってくれる。
実は神を殺すための禁忌の力が巫女から巫女に受け継がれている。
- 神様
日本神話の神々。本作では人間より優れた力を持つ種族みたいな扱い。
出生に関しては古事記から引き継がれている。ヒノカグは母親を殺しているしさくや姫はニニギと結婚している。
日本神話から現代にいたるまでは自由気ままに暮らしていたらしい。
不老不死に近い身体と特殊な力を持っている(なお彼らが死ぬときは黄泉の国へ行く)。
それぞれの能力は作中で「〇〇の神」として表現される。ヒノカグなら火の神でタケミカなら剣の神。登場人物大体の呼称が一致しているのを見るに、誰が何の神であるかはこの世界の共通認識であるようだ。それだとあの世界のヤマトタケルの扱いがすごいことになるが。
また神様は自分の力がこもった特殊な護符を作ることができる。神の力が一部入っているため身に着けると対応した神の力を一部使える。また強く念じることによって簡単なコミュニケーションを取れる。
- 神束家
代々神々返しを執り行ってきた名家。ましろは神束家に離反したため本作の敵組織となっている。
25代にわたって神々返しを行ってきたノウハウとそれにより得た富により効率的な神々返しのシステムを構築した。それにより四人の従者の開発に成功している。
現在は神様への敬意が抜け落ち「神は利用するもの」という価値観が根付いた腐敗した組織となっている。
神束家は本家から分家に至るまで成金揃い。神々返しについても「神の力を最も合理的に扱うための手段」としか考えていない。
四人の従者も本来は神々返しのサポート役であったが、現在は神を縛る能力に特化してしまった。
現在は家を仕切る当主と巫女を分けている。
そして巫女は幽閉し虐待に近い生活を送らせる。上述のように神々返しの際には負の感情を出来る限り取り除かなければならない。なので巫女を虐待し意志の弱い腑抜けにすることで負の感情すら持てない廃人にするというのが現在の神束家の考え。
「意志が弱く力の強い巫女」が神束家においては重宝される。
物語においては上述のようにメイン敵組織。神束家から逃走中のましろを取り返すため四人の従者をはじめとした刺客を送って来る。
- 13年前の事件
ましろを中心として起こった本作の根幹となる事件。
当時本家の娘ルリが次代の巫女として力を受け継ぐ儀式を行っていた。なお「髪入り儀」も同時に行われており、日本の大半の神をルリの髪に入れる予定だった。
だが儀式の部屋に間違って分家の少女であるましろが入ったことにより失敗。力はましろに受け継がれ、たくさんの神も彼女の中に入ってしまう。
これによりましろは神束家の屋敷の小部屋に監禁されることとなった。儀式を失敗させたましろは神束家にとって大罪人。だが同時に現状神々返しを行える唯一の人間でもある。折衷案となったのが「ましろに従来の巫女よりも厳しい虐待を施し神束家に逆らえない人格をつくる」というものだった。また安易に力を使えないよう能力を封じる『封印のベルト』を施されることになる。ましろは母を人質に取られたため言うことを聞くしかなかった。
こうして13年経過したのが『かみかみかえし』の1話となる。
- ウノとサノ
謎の動く2体の毛玉。「のーっ!」と鳴く。
1話にてましろの小部屋にいきなり現れた。この毛玉たちが謎の力で小部屋の扉を開けたことにより物語が動き出す。
ましろが神々返しを行うときに必須の2体になる。あらゆる封印を解く能力を持っており、ましろの頭に乗ることで一時的に彼女の封印のベルトを無効化させる(小部屋の扉が空いたのもウノとサノが封印を解いたため)。
このように謎の力を持っているが本当に正体が分からないため放置されている。
- ヒノカグの神社
神束家から逃走したましろ達の居候先。地方にある小さな神社でヒノカグを祭っている。
神主であるおじいさんと孫娘のあさぎの二人暮らし。おじいさんが信心深くヒノカグを神様本人とあっさり認めたためましろ達はタダ暮らしが出来ることになった。
ヒノカグがましろの髪で眠っていた影響か、神の御利益が働かなくなったらしくかなりボロイ。これでも昔は夏祭りを開く程度の規模の神社であった。
- 四人の従者
神々返しの際に巫女が上手く力を使えるようサポートする四人の従者たち。神に干渉する力を持ち「神は神にしか傷つけられない」というルールがある本作で、唯一それを破ることができる。あさぎの力について深くツッコんではいけない。
「神梳き師」「神斬り師」「神遺い師」「神祓い師」の4人。
「神斬り師が髪の均衡を保ち神梳き師が髪をとき清める。髪遺い師が髪に栄養を与え最後に神祓い師が髪にまとわりつく邪気を祓う」というのがそれぞれの役割。
神々返しの巫女と同じく力は子どもに相続されるものらしい。それぞれの名字には「宮」がつく。
というのは過去の話。現在は神束家が腐敗したことにより神を制御し縛るための者たちとなっている。
この「神に干渉できる」という力を利用し神に攻撃できるよう力が変質させられてしまった。
そのため神に守られているましろを倒せる存在として本作のメイン敵となる。
- 神梳き師
本来の意味は「神を隙く者」。作中での使用者は黒宮はやて。
能力は式神ならぬ式髪。呪符を折り紙のように折りたたんだものを魔獣に変化させる。
主に使うのは青龍・朱雀・白虎・玄武など。いわゆる四神。
- 神斬り師
本来の意味は「神を斬る者」。作中での使用者は神束翠。
4人の従者のメインアタッカー的存在。神斬り師が手にした武器は何でも神を傷つけられる能力を持つようになる。シンプルだが武器の数だけやりようがある存在。
- 神遺い師
作中での使用者は花宮萌黄。
本来は巫女の髪を結ったり特別なかんざしで髪の中の神様にいい夢を見せたりする役割。
だが神束家の腐敗の結果、神に悪夢を見せ制御するというものに変わっている。見せる悪夢は思い出の深さに比例して強くなる。
戦闘ではサポート的な役割。
- 神祓い師
作中での使用者は奥宮灰治。
本来は悪い気を祓うための力だが、作中では大体悪い気を集め攻撃するために使われる。神と人間両方に有害な気であるという凶悪な力。さらに悪い気を集め骸骨の形に変えて攻撃するということも可能。
- 神々剥し
神束家の研究の末に編み出された神々返しと対になる能力。作中での使用者は黒い巫女。
荒玉を使用し神を制御するための力。荒玉は神が持つ裏の顔で理性を失った怒りの状態のこと。神から荒玉のみを剥し理性のない神を操るというのが神々剥しのコンセプト。
このような力のため神々剥しで召喚された神はバーサーカー状態になる。
ましろの神々返しが神と分かりあうための力であるのに対して神々剥しは神を支配するための力。
- 八咫の鏡
三種の神器のひとつであり最高神おねえちゃんことアマテラスを象徴するアイテム。
真実を見抜く力とあらゆる攻撃を跳ね返す力を持つ。
何故か現在は神束家が所有している。
- 先代巫女の事件
先代巫女であるましろの母・神束碧が中心となった事件。
碧は神を利用する現在の神束家に反感を覚えていた。そのため神々返しでは神束家と関係ない小さな願いをあえて叶え続けていた。碧は神々返しを半年で完了させる特殊体質のため神束家は彼女を丁重に扱わざるを得ない状態。
そして20歳の時、儀式で「今後神束家に神々返しが出来ない様にする」という願いを叶えようとした。生まれたばかりのましろに儀式を継がせないため、何より「人は人の力で生きていかなければならない」という考えのためだった。
しかしその儀式は失敗してしまう。神々返しは神が叶えられる願いであることが前提だが、その願いを叶えられる神はいなかった。結果的に碧の力が失われるだけとなった。
碧は反逆者として一族を追放され、神束家は妹である茜が当主となる。ましろは先代巫女の娘という事実が抹消され分家の子扱いを受けるようになった。
【登場人物】
◇メインキャラクター
「誰かを笑顔にしてあげたい…これがわたしの欲で…道です」
- 神束ましろ
本作の主人公。長い間監禁されていた16歳の幼女。
13年前の事件以来ずっと屋敷の小部屋に閉じ込められ虐待に近い生活を送っていた。部屋から出られず、食事は冷めたものだけ、風呂はおけの湯のみと。長年そんな生活が続き無欲な少女に育ってしまった。
腕と首には神々返しの力を封じる特殊なベルトをつけられている。ベルトには成長を送らせるという副作用がある。そのため本来は16歳にも関わらず外見的には事件当時の幼女の姿から変わっていない。神様の入った髪は切ることができないため13年間一度も髪を切っておらず異様に長い。そしてあまたの神を入れた影響で髪の毛は全て白色に変質している。
こんな経緯のため精神的に成長できておらず、見た目も中身も幼女であり世間知らず。テレビを見れば「箱の中に人が!」と言い出すし、赤ん坊を見ると「小さい人間?」と首をかしげる。天然でもあるらしくタケミカが自分をかばって血を流したのを見て、速く治すために指ペロしはじめたこともあった。何もない平坦な生活を送っていた為か感情が一部欠落しており、特に怒りの感情は終盤まで見せていない。
ただ根っこは誰にでも謙虚で素直な頑張り屋さん。13年間監禁・虐待を受けていたとは思えないほどまっすぐで穏やか。誰かに喜んでもらえることを「暖かい」と思えるような純粋な感性を持つ。
こんな子であるためなんだかんだ彼女が好きな者は多い。というかましろサイドの大半はましろに対して過保護。状況だけなら限りなく逆ハーに近いはずだが正直「親戚の幼女を見守るおじちゃんたち」に見える。
そんな彼女のメインスキルが神々返し。
普段は封印のベルトの作用で力を使えないが、ウノとサノが頭に乗ることで一時的に封印が解除される。それによって初めて神々返しが使用可能となる。
なお封印が解けることにより、神々返し中のみ本来の16歳の姿に戻る。ウノとサノが空気読むのか16歳の姿に戻ると衣装が召喚する神に対応したものとなる。作中では魔法少女扱いされた。
ましろにとって神々返しは体力を消耗するものであり使えるのは一日一度が限度。それ以上は4人の従者などがサポートする必要がある。
ちなみに本来の姿のましろは中々エロい。かなりスタイルがよく巨乳の上、衣服は谷間や鼠蹊部がよく見える露出度の高いもの。何よりましろは中身が幼女のため自分の身体について理解していない。1巻では16歳の姿のまま風呂上りにノーブラで着物をはだけさせるというアレなことをしていた(描写的にノーパンに見える)。
願いを叶えるための巫女だが自分の願いを持たないというある意味矛盾した少女。そのため時に自分の願いが無いことに苦悩することもあった。
しかし戦いの中で様々な人間と関わる内に「誰かを笑顔にしてあげたい」という願いを抱いていく。その願いを叶えるためにも神束家との戦いに身を投じることとなる。
作者の「髪の長い変身する幼女」を描きたい願望が具現化した存在。
「我が名はヒノカグ 火を統べし久遠の神」
- ヒノカグ
火の神。本作のメインヒーローであり作中では初めて神々返しで召喚された神様。
神々返し中のましろの衣装は麻布風のミニドレスに勾玉がついたもの。
火之迦具土神は神産みにより伊邪那岐命と伊邪那美命の間に生まれた神。火の神であるためにその力で出産時に伊邪那美命を焼き殺してしまう。それを怒った伊邪那岐命に生まれた直後に首をはねられ殺され、その時跳ねた血から様々な神が生まれたという。
『かみかみかえし』のヒノカグは殺されなかったものの勘当同然の身になったらしい。
ましろのパーティーでは一応最年長であるにも関わらず一番ガキっぽいことはよくネタにされる。
快活で破天荒な少年のような性格の神様。基本的に明るくお調子者。どこか詰めが甘いために足をすくわれることも少なくない。初登場時のバトルではコントロールをミスって小火を起こしかけていた。通称1200歳児。
同時に人間好きのお人よし。いつでも人間の役に立ちたいと考えている。その中でも特にましろのことを気にかけている。「自由になりたい」という願いから召喚されたこともあり、彼女が自由になれる方法を常に探している。一度は自分を裏切ろうとしたはやても自身の命を賭けて守ろうとするなど人間に対しては本当に甘い。
いつもにぎやかな神様であるが、実は内面はかなり後ろ向きで悩みが多い。
過去に山火事が起きた際、力が足りなかったために助けられず、人間に責められるという体験をしたことがあった。そのせいで自身の無力さを痛感するように。さらに現代では神束家のように神を利用しようと暴走を始めている連中がいる。そのようなことから「神は本当に人間に関わっていいのか?」と考えるようになってしまった。
自分の無力さには長年悩んでおり、はやてに「苦しんでいる人間を助けられないで何が神だ!」と突き付けられた時には涙を流していた。
また自身が原因で両親が別れてしまったことにも苦悩している。
ましろとの仲は良好。なおヒノカグはましろの前では比較的精神年齢高めの姿を見せる。
ましろにとってヒノカグは自分を狭い世界から連れ出してくれた大切な存在。
元々ヒノカグは自分の力の無さを悔やんでいた。そんな中ましろは「力や願いも関係なく一緒に居たい」と初めて自分を見てくれた人間だった。そんなこともあり徐々にましろを意識していくように。ただ自分がましろと居ていい神なのか迷いが降り切れないらしく、彼女にキスを求められた時には、(メチャクチャ苦しみながらも)拒んでいた。
「これからはオレがましろのいちばん安全な場所をつくるよ」
- 黒宮はやて
神梳き師の少年でましろの幼なじみ。本作のメインヒーローその2。8歳の時にましろ専属の神梳き師となりそれ以来彼女の髪を梳いていた。
クールで落ち着いた性格をしている。合理的な考えの持ち主で時には現実的で非情な決断を下す。そのためヒノカグとは対立しがち。それでいいのか1200歳児。
幼なじみが監禁・虐待を受けている中で静観していたのも「神束家にとって大罪人であるましろが生き延びる道はこれしかない」と考えたため。だがその考えも一時しのぎでしかないと気が付き神束家と離反する。
ましろに対しては「たとえ彼女の自由がなくなろうとも安全でいて欲しい」と考えている。
こう書くとクールな二枚目だがその正体はましろラブのロリコン。ましろが大好きで彼女に対しては基本イエスマン。たまに犯罪スレスレのことをやらかしておりそのたびに周囲から呆れられる。
- ましろの着替えの様子を盗撮する
- ましろの盗撮写真を多々ストックしている
- 朝起こしに来てくれたましろに対して寝ぼけて「朝から大胆だね」と布団に引き込む
- キスの意味を尋ねられ悩んだ末に「実践した方が分かりやすいかも」
ヒノカグにすら「お前いつか捕まるぞ」と苦言を呈されている。
極端な二面性を持ってしまったのは父との因縁が原因。
彼の父はましろの母の神梳き師であり、その仲は「巫女と神梳き師の関係以上のもの」と揶揄されるほどであった。ましろの母の失墜後は、はやてと妻を捨て彼女についていってしまう。はやての母が病気で臥せ亡くなる時も手紙ひとつくれなかった。
この経験から「みんなきたなくて気持ち悪い」と考えるように。そんな時純粋無垢なましろと出会い彼女に惹かれるようになった。
このように「ましろが好き」であり断じて「幼女が好き」ではない。それはそれとしてコイツは16歳のましろより幼女のましろといる方が機嫌いいが。
こんな経緯からましろ以外誰も信用していない節がある。神たちに対しても協力関係を結んでいるだけで仲間じゃないというスタンス。特にましろの安全を守りたいはやては、ましろの自由を得たいヒノカグとは考えが真逆のためよく言い争いになる。心の奥では神について「肝心な時に母さんを助けてくれなかった奴ら」という怒りとも八つ当たりとも言える想いを抱えている。
それでも神たちと触れ合う中で少しずつ考えを変えていく。最終的にヒノカグとは相棒と言える仲となった。ある意味作中で最も成長した子。
「我は剣の神タケミカ いざ尋常に…勝負!」
- タケミカ
剣の神。翠戦で神々返しされた。いつも武士口調で話している。
神々返し中のましろの衣装は甲冑風のものとなる。
建御雷之男神は上述の火之迦具土神が首をはねられた際に飛び散った血で生まれた一柱。
神武東征など様々な戦いに参加しており剣と雷を操る最強の武人として扱われている。
この世界においては父に殺されそうになっていたヒノカグを助けたのは彼であるらしい。
真面目で温厚な神様。人のことをよく見て思い遣っている。翠との戦いでましろをかばい怪我をしたときは「ずっと髪の中で休ませてもらったのだから当然のこと」と笑って許していた。我が強い連中が多い神様たちの中では数少ない常識人。そんなこともあるため作中ではましろチームのストッパー&まとめ役を行っている。
また過去に最強おねえちゃんことアマテラスの元で働いていたために神々についての知識も深い。
ただしド天然。優しすぎるためにたまに斜め上のことを言いだす。タケミカがましろに指ペロされそれをはやてに嫉妬されたときには「拙者で良ければペロぺ…」と言いかけ周りに止められた。違う、そうじゃない。また女の子慣れしていないウブ体質。過去には女の子に触れられた際に照れて物理的に雷を落としたこともあるとか。それでいいのか雷神。
ましろサイドの中では最高戦力と言える神様。
戦闘時はふっつーこと布都御魂剣という刀の形をした刀の神を使用する。「ふつ!」と鳴く可愛い神様である。ふっつーは物から概念的な存在まで何でも斬ることができる最強の刀。タケミカの武人としての戦闘力もあり、この二柱がコンビを組めば大体の敵に勝てる。
必殺技はふっつーに雷をまとわせ敵を斬る「神雷征斬」。
ヒノカグの血で生まれたということもあり彼とは家族同然の仲。兄弟のような関係であり信頼し合っている。ヒノカグがはやてと険悪になり、それをなだめてやる様はただのいいお兄ちゃんである。一応関係上はヒノカグの方が兄のはずなんだが。
ヒノカグが悩み多いことに気が付いており内心かなり気にかけている。ましろにヒノカグに寄り添ってやるように頼んだことも。
「…あしたからもよろしくたのむわよ」
- あさぎ
ヒノカグの神社の神主の孫である女子高生。神社の巫女もやっている。最後まで名字が判明しなかった。
勝ち気でややぶっきらぼうなところのある少女。ヒノカグを神様本人と認めた祖父と違い不審者扱いしている(人としてはそれが正しいが)。根っこはかなり面倒見がいい。
ヒノカグが神本人だとは思っていないが、ましろ達が訳ありであることをなんとなく察している。しかし足手まといにならないよう敢えて深入りしなかった。
神社がボロく貧乏なためか守銭奴なところがある。だが巫女としてのプライドがあるのか、飽くまで神社のマナーの範囲内で儲けようとする(結婚式のコースで「松」を選ばせようとするなど。)。
巫女としての能力はそれなりに高い。神社の正しい参拝マナーも大体頭に入っているし、御神楽も踊れる。
事実上ましろの教育係とも言える人。てかましろの周囲が世間知らずな神々&ロリコンなのでまともに教育できる人がいない。
最初はましろのことを疎んでいた。まあ居候がいきなり増えた上に、一番役に立たなそうなのがましろなので……。
だが彼女が過去に虐待を受けていたという話を聞き、少しずつ親身になっていく。その後は面倒見がいいということもあり、何かとましろのことを助けてやっていた。ましろが「誰かを笑顔にしたい」という願いを得られたのはあさぎも関わっている。
ましろ達の事情に深入りしないようにしているが、心の底では心配している。
なお「神と4人の従者以外神を傷つけられない」というルールの本作において、あさぎは何度かヒノカグとタケミカを殴り倒している(もちろんギャグ描写だが)。何者なんだこの人……。
「ただ自分の信じた道を歩め それが生きる者のさだめじゃ」
- さくや姫
桜の神。2巻の翠戦で神々返しされた。さくや姫と言えば絶世の美女のはずだが本作では何故か幼女の姿をしている。その癖何故か自分を美女だと信じて疑わない。ただし喋り方は古風。つまりのじゃロリ。
神々返し中のましろの衣装は一番露出度が高い。
木花咲耶姫は花、酒、安産etcと幅広い方向に後利益がある神様。木花咲耶姫と邇邇芸命の子が天皇であるとされている。
豪快でワガママな性格をしている。神々返しで召喚された際は「美女の顔に傷がつく」と言って戦闘を拒否った(最終的に力を貸したが)。酒の神であるためか酒乱で夜になるといつも飲んでいる。二日酔いになり安産の神の癖に初宮参りに来た参拝者を追い払おうとしたことも。
だが本質的には神様として理知的な部分を持っている。「神ならば全ての人間に目を向けるべき」というのがさくや姫の考え。そのため最初はましろたちのところに長居することは考えていなかった(結局神束家に姉がいると聞いて戻ってきたが)。逆にましろに親身になり過ぎているヒノカグにツッコミを入れていた。不安定になりがちなましろにもよく助言を送っている。さくや姫の「自分の信じた道を歩め」という言葉により、ましろは自身の願いを決めることが出来た。
能力は植物全般を操る力。植物を自由に動かしたり成長させたりすることができる。枯れたはずの樹をもう一度甦らせることもその気になれば可能。
もうひとつ対象に憑依して、自分の力を一時的に貸し与えるということもできる。自分で戦うのを嫌がっていたころはこれでましろを戦わせていた。
実はましろの母の碧とも親交があった。というか彼女の髪でよく休んでいた。
破天荒な彼女によく振り回されており「人としても巫女としてもいろいろ終わっている女」と評している。その一方で腐敗した神束家の中で自分を保ち続ける碧のことを気に入っていた。
このため先代巫女の事件について一部始終知っている。ましろにも碧のことを伝えたのもさくや姫である。
「太古の昔から決まってるんだよ 美形は勝つ 醜い者は負けるってね」
- ヤマトタケル
美の神。4巻の黒い巫女戦で神々返しされた。コイツまでがましろサイドのレギュラーキャラとなる。
まさかの女装キャラが強調された神様。神々返し中の衣装は白鳥の羽があしらわれたもの。
倭建命は超人的な武力とDQNぷりを父に恐れられ日本中に遠征を命じられた神様。様々な武功をあげた戦績と后との関係をはじめとする悲劇性から、日本の神の中でも人気の高い英雄。
九州の熊襲に乗り込んだときに女装して敵を騙したという伝説があるため女装キャラも間違いではない。
ぱっと見少女に見えるような華奢な体つきと顔立ちの神様。腰から尻にかけてのラインがエロい。
そんなヤマトタケルの神としての能力は女装。服装が男物から女物へと変わり、表情も女の子っぽいものに。……うん、これだけの能力である。色仕掛け出来る以外は特に役に立たない(色仕掛けが成功したシーンもあるけど)。
一応元ネタが武人なので戦闘面では役に立っている。あらゆる攻撃を避ける俊敏さと岩をも切り裂く剛腕を併せ持つ。
初登場時に「あれは美の神ヤマトタケル!」みたいな反応をされたのを見るに、この世界のヤマトタケルの一番の印象は女装らしい。戦の神とか英雄神とかではなく美の神である。
性格は快活でナルシスト。普段も女装中もこれは変わらない。常に自分が美しい存在であると考えている。それを活かすために女装することが大好き。日常パートでは数ページごとに衣装を入れ替えるという器用なことをしていた。7巻で神束家に変装して潜入することになった際は、当たり前のように女装していた。当たり前すぎたためか周囲は誰もツッコまなかった。
男の状態でヒノカグにキスをかましたためバイ説がある。
作中最年少の神であるためか、若者であることが強調されており、言葉遣いが若干粗い。
思考は結構柔軟な方。ましろ達が神束家への対策を思いつかなかったときは、「ましろの髪の中にいる頭のいい神に聞けばいい」という打開策を考え付いていた。また作中で初めてウノとサノが封印を破る力があると気が付いた。
「鏡が必要といわれたならば鏡の神であるこの…イシコばーさんの他にいるわけねーべなー!」
- イシコばーさん
鏡の神。4巻にて神々返しされた。ましろの衣装は胸に三枚の鏡が付く。
伊斯許理度売命は八咫の鏡の制作者。この鏡によって一時期岩戸に引きこもった天照大御神が出てくることとなった。
本作でのイシコはおばあちゃんの姿をしており手のひらサイズしかない。
語尾に「だべ」をつけるのんびりとしたおばあちゃんである。
鏡を造る力を持つが、能力が限定的過ぎるためか作中ではあんまり使われない。というかストーリーの中であまり活躍することなく、自分より後に出てきたヤマトタケルにレギュラーキャラの座を持っていかれた。
巻末のおまけ漫画でははっちゃけており白雪姫に出てくる鏡や鏡の国のアリスの世界に入れる鏡の制作者を主張していた。
◇神束家
「おまえの母がなげだした儀式をわたしはつづけよう!」
- 神束茜
現神束家の当主。ましろにとっては叔母(ましろの母の妹)。
ましろを13年間監禁した張本人である。当主として神束家に反逆したましろ達の命を狙う。
いつも扇子を持っているのだが、なぜか中に刃を仕込んでいる。
一見にこやかだが、神束家のためなら人を人とも思わない残虐な女性。神を利用し神束家を繁栄させることしか考えていない。
ましろへの仕打ちも笑顔のまま表情動かさずやっていたのだからすごい。1話でましろが部屋から出てしまった時にまず思ったのが「おばさんに見つかったら殺される」だった。これまでましろに相当非道なことをしていたようである。ましろは脱走後も茜がトラウマであるらしく事あるごとに怯えている。
他の神束家と同様に「神は神束家のための道具」と考えており神に対する敬意は全くない。
神束家を世界の中心と考えているために家に反逆するものを嫌う。特に神束家を崩壊させかけた先代巫女である姉を強く憎んでいる。
こんな人格になったのは彼女自身神束家に振り回される人生だったから。
彼女は生まれつき巫女としての力が弱かった。繁栄が全ての神束家にとって力の無い巫女は意味がなく、周囲からは見下されておりかなり鬱々とした少女時代を過ごしていた。その上姉は神束家に反抗的で殆どまともな神々返しをしなかった。
当主になった後はしきたりに従い碧の神斬り師だった男と結婚している。彼の心が自分ではなく姉にあると思い込んだまま……。「求めていたものを全て姉に取られた」という点からいわなが姫にシンパシーを感じている節がある。
元々責任感が強い人だった(少なくとも真面目にならない姉に怒りを覚える程度には)。その上こんな経緯から「自分含めた全ての神束家は個人の心を殺して家を繁栄させなければならない」と考えるようになってしまう。
良くも悪くも神束家らしい人。
「ひさびさにボクと遊ぼうかましろ」
- 神束翠
茜と先代神斬り師の息子。本来の巫女だったルリの兄でもある。一応神束家サイドの主人公ポジ。
神斬り師として何度もましろの命を狙ってくる本作のメイン敵である。
序盤は糸目&針金体型の怪しい男だったが、いつの間にか開眼デフォ&細マッチョの正統派イケメンになった。
一見にぎやかでにこやかな少年だが、その実残虐な性格。人を傷つけることに躊躇がない。初登場時は(恨みもあるんだろうけど)ためらいなくましろの頭を矢で射とうとした。その後はましろを孤立させたうえで恐怖を与えつつじわじわ殺そうとするというえげつない行動に出ている。登場するたびにましろを精神的にボロボロにしようとしている。
思想も神束家のものに染まっている。「みんなを笑顔にしたい」というましろの願いについても大爆笑してバカしていた。神々返しについても「神の力を最も効率的に使うためのもの」としか考えていない。
ルリが神束家に捨てられる原因となったましろのことを強く憎んでいる。事件が起こるまでましろと翠はよく遊ぶ仲だったらしいが今ではその面影は全くない。「きみだけ幸せになろうなんてボクは絶対ゆるさない」というのが彼の心境を表している。自身が大怪我を負って死にかけ、ましろの神々返しでしか助けられない時も「死んだ方がマシ」と吐き捨てたほど。
神斬り師としての戦闘能力は高め。武器収集が趣味というだけあり様々な武器を使って襲い掛かってくる。直接的な戦闘も得意だが妖術を使った戦いも得意。ちなみににぎやかな精確なためか戦闘中はいつも喋っている。
圧倒的な戦闘力を持つタケミカと対峙したときは、全ての攻撃を跳ね返す八咫の鏡でカウンターを狙うというしたたかな面も。
こんな彼だが母とだけは仲がいい。というか共依存状態。まあ妹と父はもう本家におらず残された家族であるので……。心労が多い茜にとって翠は唯一本音を出せる相手。翠も本質的には「神束家のため」よりかは「母のため」に生きている。
- カルビ
翠と行動を共にする謎の牛。戦闘時に翠の補助をする。
以外と翠と仲が良いらしく彼が大怪我した際にはいの一番に助けようとしていた。
- 神束ルリ
翠の妹。13年前の事件が無ければ本来巫女になるはずだった少女。
神束家を追放されたらしく現在行方不明。
幼いころの翠が語ったところによると神束家のために頑張ろうとする素直で健気な女の子だったらしい。
翠もそんな妹が大好きで、彼女のためになりたいと思っていた。
「いつかぜんぶわたしのものにするよ」
- 黒い巫女
ましろと対になるもう一人の巫女。神束家が長年探し求めた神々剥しができる巫女である。何気に最後まで本名が明かされなかった。
巫女であるが、数多の神を神に入れているましろと違い、一柱しか入れていない。だがその神に何か秘密があるらしく……。
彼女もましろと同じく幼女の姿をしている(本来はましろと同じ年)。ただ封印のベルトの作用で成長しないましろと違い、髪の中の神の力によるものらしい。
元々一柱しか神を入れていなかったが、ましろの髪の末端を奪ったことでその中にいる神も神々剥し出来るようになった。
ましろと同じく肉体が成長しなかったためか精神的にも幼い。だが純真でまっすぐに育ったましろとは対照的にワガママで残酷。自分を特別で偉い巫女と信じているため周囲を見下している。
神束家とかしきたりとかはどうでもよく、自分が特別な巫女になることに固執している。そのためにも自分の髪の中の神を神々剥ししたいというのが彼女の考え。そのたびに茜と翠にたしなめられる。二人とも彼女への対応に手を焼いている様子。
場合によっては部屋を勝手に抜け出し好き勝手に神々剥しをしようとしたりましろの髪の中の神を奪おうとする。抜け出したことについても「私が神を持っているんだから自由に儀式をしていいはず」と短絡的にしか考えていなかった。
そんな彼女のメインスキルが神々剥し。なお黒い巫女は神々剥し中容姿や服装が変わることは特にない。
本質的な巫女としての力はましろと同等らしく、一日一回の神々剥しが限度である。
神を怒りに呑ませ暴走させる力であるが、黒い巫女は何故かこの力に肯定的。彼女曰く「怒りや苦しみは力をくれる」とのこと。
自身と対の巫女であるましろとは対立し続ける存在。
ましろにとっては神を荒玉で支配しようとする黒い巫女は許せない存在。黒い巫女は自身が「巫女」という特別な存在であることに固執しているため、もう一人の巫女であるましろが気に入らない。
完全に負けたときには「わたしがっ一番えらい巫女なのに!」とましろに強い怒りを抱いていた。
ネタバレ
髪の中の神の正体はアマテラス。
天照大御神は日本の最高位の神様である最強おねえちゃん。
アマテラスは太陽の神であり、太陽を操れることは世界を操れることと同義。
それを神々剥ししアマテラスを意のままに操ることで世界を掌握するというのが神束家の最終目的。
黒い巫女には生まれた時からアマテラスが憑いていた。小さい時から彼女に話しかけられていたらしい。……そしてそれが黒い巫女の人生が狂う原因となった。
元々黒い巫女は神束家の分家として生まれた。アマテラスが自分の髪にいると主張するが、本家でもない人間がそんなことできるはずないと誰も信じなかった。むしろ年を経ても殆ど身体が成長しない黒い巫女はいじめられるようになった。
当時の誰にも顧みられず愛されない生活の反動で、周囲を見下すワガママな性格になったと考えられる。またこの時得た恨みや憎しみなど負の感情と髪の中の神の力が合わさり神々剥しの能力を得た。
そうして彼女の力と中にいる神のことが本家に知られ、向かえ入れられたことで現在に至る。
なおその時黒い巫女の周囲は手のひらを返して「我が家の誇り」と言い出したらしい。
なので神々剥しに成功したらまず分家の連中を血祭りにあげると考えている。
こんな彼女だが根っこの部分はかなりのさびしがり屋。今まで誰も愛してくれなかったからこそ愛されることを欲している。そのため孤独であり自分のことを分かってくれる人間がいないことに内心悲しんでいる。
翠の「帰る家のない捨てられた子」という言葉に怒りを見せていたのを見るに相当思うところがある様子。
神々剥しに肯定的なのも、「自分が感じた負の感情を他の神にも知って欲しい。自分の想いを誰かと共有したい」ということから。
また自分に向き合ってくれる存在には意外と素直。髪の中の神が時折話かけてくるのだが、彼女に対しては姉のように懐いている。「日本をアマテラスと自分だけのものにする」というのが彼女の願い。
ストーリー後半からはとある事情からタケミカと共に行動することになる。その中できちんと自分の話を聞いてくれる彼に徐々に心を開いていった。「わたしの特別な神にしてあげる」と言い出すなどタケミカのことをかなり気に入っていたようだ。
そうして最終章では神束家に離反し独力でアマテラスを神々剥ししようとする。
もちろんましろたち&神束家はそれを止めようとするが、タケミカ&サルタヒコの二柱を神々剥しし優位に立った。
だが最後は一時的に協力関係を結んだましろと翠に敗れる。神が入った黒髪を断ち切られ、神々剥しの力を失ってしまった。
戦闘中にましろに「あなたはたださみしいだけ」と突き付けられ激しく動揺していた。
結局彼女の本当の願いは「日本を自分のものにする」ではなく「誰か一人でいいから分かってくれる人が欲しい」だったのだろう。
だがすべてが終わったと思われた直後、斬られたはずの彼女の髪が怪しく動き始め……。
髪の中にいたものの正体を考えると、この子が作中一の被害者だった気がする。
「はいはいブスですよドブスですよそういえば満足なんでしょ」
- いわなが姫
岩の神でさくや姫の姉。とある事情により神々返しと関係なく自分の意思で神束家に協力している。
岩の神だけあって岩を操る力を持ち、その力で生成した岩の仮面を常に身に着けている。
石長比売命は木花咲耶姫の双子の姉。美女を評判高い妹に対して石長比売命は醜い容姿をしていた。ある日父の計らいで、妹と共に邇邇芸命に嫁ぐことになる。だが邇邇芸命は石長比売命を追い返し、木花咲耶姫と結婚。石長比売命はそれを恨み「私と結婚したならばあなたの子は岩のように永い命を得ただろうが、妹との子では花のように限りある命になるだろう」と言葉を残した。こうして人間は花のように限りある命になったらしい。
そして『かみかみかえし』のいわなが姫は、ニニギにフラれたショックで自分をドブスと信じて疑わない喪女と化した。
岩の仮面を身に着けているのも素顔を見られたくないから。
自分をドブスと自称する癖にそれを他人に言われると見境なくキレる面倒くさい神様。被害妄想の気もあり些細なことでキレだす。初登場時にはましろに見つめられてただけで「ドブスなのが珍しくて見つめているに違いない」と勘違いし殺しにかかった。
こんな神であるためさくや姫との仲は最悪。「中身がドブスなくせにちょっとかわいいからちやほやされている」というのがいわなが姫のさくや姫評。妹はいい加減和解したいようだが聞き入れる気はない。むしろ出会ったら殺そうとする。神束家に協力しているのも、「翠がさくや姫を美女扱いしない貴重な男子だから」という点から。ちなみにいわなが姫は翠を「翠きゅん」と呼んでいる。
さくや姫以上にニニギのことを嫌っている。だがなんとなく察せられるように、本人は未だにニニギに未練タラタラ。
ある意味常に暴走状態にあるためか戦闘能力は高い。地形攻撃を駆使し多数対一でも互角に渡り合える。5巻ではさくや姫、タケミカ、ヤマトタケルの三柱を独力で相手にしていた。
ただ暴走気質なため味方にも甚大な被害を与えている。というか翠はコイツのせいで一回死にかけている。
「儀式なんてどうでもいいけど…翠さまのためにがんばっちゃいますか!」
- 花宮萌黄
神遺い師の少女。4巻から登場し翠と同じくましろを狙って暗躍する。
オシャレやかわいいものが大好きなイマドキ女子。萌え袖&片足のみニーソという何気にフェチ度の高い格好をしている。
本人は「萌」とかわいく呼ばれることが好き。まあ誰も呼ばないが。
翠のことが大好きな女の子。
翠のことが大切であり、彼に振り向いてもらうために頑張っている。初登場時は参拝客に扮してましろに近づいたが、「恋のお守りありますか?」と言っていた。また翠が大体いわなが姫のせいで大怪我したときには真っ青になって心配していた。その後も出来る限り傍にいて看病している。
神束家のためではなく翠のために動いている人。神束家の事情は割と気にしないらしく大罪人であるましろのことも気に入っている。
当の翠も萌黄には優しい。というか翠は身内には基本面倒見いいので……。萌黄の不安を和らげるために軽くハグをしてあげるなど、彼女といる時の翠は普通にイケメンである。
翠は母のために生きているため、本当は自分に振り向いてくれないことは萌黄もよく分かっている。それでも翠のために戦うのが萌黄の幸せ。
ある意味衝撃的な正体
実は男である。つまりは女装男子。
元神遺い師である母の影響で元々かんざしなどかわいいものが好きだった。
その影響でかわいいものを身に着けるようになっていき、いつしか女装が趣味になった。
ましろサイドは萌黄が男であると最後まで知らなかった説がある(せいぜい元神束家のはやてくらい)。
ただ女装仲間のヤマトタケルのみ察していたらしく「あなたも私と同じなのね」とコメントしている。
男ではあるが翠への想いは本物。
元々男なのにかわいいものが好きなことについてコンプレックスを抱いていた。小さい頃は軽くいじめられていたらしい。
そんな時翠に「おかしくないよ、萌黄」と言ってもらえたのが恋に落ちたきっかけ。
ちなみに翠は萌黄が男と理解したうえで女の子扱いしている節がある。
「報酬さえいただければ巫女の一匹や二匹つかまえてきますよ?」
- 奥宮灰治
6巻から登場する神祓い師の少年。萌黄の幼なじみでもある。
金が大好きで、金のためにいくらでも動く軽い男。ましろを捕まえるために茜から召集を受けた際には「報酬次第では巫女を捕まえてもいい」と足元見てふっかけていた(当時は神祓い師が一番確実に巫女を捕まえられる状況)。
萌黄とは幼なじみだがなんとも言えない関係。
萌黄は灰治のことを結構嫌っている。久しぶりに再会したときには「あんたそのものが邪気のかたまりだわ!」となかなかひどいことを言っていた。萌黄は灰治のことを警戒しているらしく棘のある言動が多い。
対して灰治は萌黄のことを気に入っている。小さい時からかわいいと言い続けていたとか。だが萌黄本人は「セクハラ」と切り捨て聞く耳を持たない。
こんな感じだが本当はお互いそこまで本気で言っていない。本質的にはお互い本音で話せる気心知れた仲。
幼なじみであるので当然萌黄の秘密も知っている。その上で彼女が翠に惚れていることに思うことがある様子。「あの人は母親しか見えていないぜ?」という言葉を送ったことも。まあ萌黄を怒らせるだけだったが。
萌黄の秘密を知っているくせに翠と結ばれない理由について母親のことしか触れない灰治は空気の読める男である。
- 髪の中の神
黒い巫女の髪の中にいる謎の神様。
この神こそが神束家にとって切り札となる存在らしい。
ネタバレ
「わたし…死の神イザナミが毎日人を千人殺しここをヒノカグと暮らせる死の国とする!」
- イザナミ
死の神。その正体はアマテラス……ではなくイザナミ。
神束家及び黒い巫女を騙すためにアマテラスを名乗っていただけである。そして本作のラスボス。
伊邪那美命は伊邪那岐神の妻であり日本の始祖となる神。上述の通り火之迦具土神を産んだ際の火傷が原因で死の国である黄泉の住人になった。伊邪那岐神は黄泉の国まで妻を迎えに行こうとするが、腐敗した伊邪那美命の姿を見て逃げ出してしまう。こうして始祖となる夫婦は決別した。
「かみかみかえし」におけるイザナミはヒノカグに会うため何度も地上の世界に戻ろうと画策していた。
そんな中それを止めようとする本物のアマテラスと戦いになり、勝利したものの傷を負ってしまう。なおこの時アマテラスは真っ二つになったとのこと。
その傷をいやすために黒い巫女の髪に入ったのだった。そして髪の中から黒い巫女に都合のいいことを吹き込み、彼女を操っていた。
黒い巫女がイザナミに依存し神々剥しを肯定する残虐な性格になったのは幼少期のいじめが原因。
いじめられていたのは突き詰めると生まれた時からイザナミに憑かれていたからである。
なんという壮大なマッチポンプ。
タケミカが後半から黒い巫女と共に行動していたのは、彼女の中にいるのがヒノカグの母と気が付いていたから。
本作のイザナギは腐敗したような黒い肌をしている。またウルトラマン並みに巨大化しており、服は何も来ていない。
そのため「かみかみかえし」におけるラスボス戦はVS全裸のデカいカーチャンという構図になった。
戦闘中はフキダシ、髪ブラ、死の瘴気全てを使って大事なところを隠した。
作者「けど全然セクシーでなくむしろ怖いですね」
本格的に登場するのは7巻の最後の最後。斬られた黒い巫女の髪の中から現れた。
力を取り戻したイザナミは地上を自分の住める世界にするため、黄泉の死の瘴気を溢れさせ地上を死の世界に変えようとする。
最凶レベルの神が登場し、さらにアマテラスはもういないと聞かされ、ましろたちは最大のピンチに陥ってしまう。
◇その他
「いわなが姫をえらぶとかオレにはムリだわ」
- ニニギ
人の神。さくや姫といわなが姫のイザコザの中心にいる神様。
コイツがいわなが姫を「ムリ」の一言でフッたことがのちの禍根となった。
ネタバレ
7巻のいわなが姫戦にて神々返しされついに本人が登場。ましろの衣装はウエディングドレス風の和服。
こうして召喚されたニニギはまさかの俺様系ダウナー男子であった。
登場直後からいわなが姫に壁ドン&顎クイをしている。その後も本人たちは自覚無いがイチャついており、さくや姫には「ラブコメでやれ」と苦言を呈されていた。
いわなが姫はあんまりにも衝撃が大きかったのか仮面が割れた。
なお人の神なので人間と同じ力しか持たない。
そして物語の最後の最後でとんでもない事実を明かした。
実は彼が本当に好きなのはいわなが姫の方だった。
だがニニギは人間には不老不死ではなく限りある生を尊んで生きられる存在になって欲しかった。
だからこそニニギはいわなが姫ではなくさくや姫を選んだ。本作終了後にさくや姫はニニギに離婚を言い渡した。
あとがき曰くこのエピソードは古事記にある「ニニギがさくや姫との子が本当に自身の子か疑う」という話に疑問を抱いてつくったらしい。
まあこの話は古事記の中でもかなり頭おかしい部類に入るので……。詳しくは調べてみよう。
- 手力男
力の神。4巻にて黒い巫女に神々剥しされ暴れまわった。
天手力男神は岩戸隠れの際に天照大神を引きずり出した神として知られている。
作中では黒い巫女の力で暴走しヤマトタケルと戦いを繰り広げた。最終的にはましろに神々返し仕直されたことにより正気に戻る。
元々は気さくな性格であった模様。黒い巫女の髪の中の神について忠告すると去っていった。
- サルタヒコ
道の神。最終章にて黒い巫女に神々剥しされた。
猿田毘古神は天狗の元ネタ(もしくは首領)と言われている神様。
元々は道案内の神であり「空間を歪めることで相手を任意の場所につれて行く」という形の道案内をしているらしい。そして黒い巫女の力で能力が魔改造され「空間を歪め全ての攻撃を跳ね返す」という最強の防御能力を得た。
黒い巫女はアマテラスを神々剥しするために時間稼ぎが必要だったので、そういう意味では最適な神を召喚できたと言える。
- ウズメ
踊りの神。最終決戦にてサルタヒコのカウンターとしてましろに神々返しされた。
サンバ風の格好をしている。神々返し中の衣装はオタゲーっぽい法被。
天宇受賣命は日本最古の踊り子。猿田毘古神の夫でもある。
作中ではただ踊っていただけ。しかしサルタヒコはウズメにベタボレしているため、神々剥しされているのにウズメの踊りに夢中になった。
「自分にできる精一杯のことをしていきたい…それがわたしの幸せだってわかったの」
- 紅子
おおよそ600年前の日本に生きていた女性であり、神束家の初代巫女。
6巻にてましろが神束家の歴史を知るために、巫女修行の巻物でつくられた過去の世界に入り込んだ際に登場した。
彼女が髪の毛で神様を休ませられる特殊な体質(及び異様に髪が伸びるのが早い)だったことが全ての始まりとなった。
明るく気立ての良い他人思いな少女。特殊体質から故郷では村八分状態だったがそれでも誰も恨まず自分のできることを探していた。
そんなある日泣澤という神様を髪の中で休ませ、お礼に願いを叶えてもらう。これが初めての神々返しとなり「困っている神様を助けるために旅をしたい」と考えるように。
それから時が経ち結婚し子供にも恵まれる幸せな生活を送っていた。
そんなある日山火事に巻き込まれた神様を救うために重傷を負ってしまう。そこに日本始祖の神ことイザナギが現れ、今まで数多の神を助けた分、紅子の願いを叶えようとする。
しかし紅子が願ったのは自分の命ではなく、自分の体質が子孫に受け継がれていくことだった。旅の中感じた、自分が神様を助け神様が誰かを助けるという幸せを、自分だけでなく多くの人に感じて欲しいという想い故だった。
こうして初代巫女の神々返しへの想いを知ったましろ。彼女は変わってしまった神束家を変えるべく戦うことになる。
「巫女のためにすべてを捧げるのが黒宮家に生まれたわたしの使命だ!」
- 黒宮かける
はやての父。元々碧の神梳き師であった。現在は失踪中。
上述の通り妻のいる身であるが碧とは主従関係を越えた仲と噂されていた。実際に碧の失墜後は彼女についていってしまい、妻の死の際にも訪れなかった。
作中では回想を中心に碧の髪を梳いてる姿がチラッと映ったくらい。
そして5巻にてようやく本人が登場。碧が隠居している山にて彼女の世話をしていた。
山には強力かつ意地の悪い結界がいくつも張られているためましろ達は苦労することに。
なおはやては彼を見た瞬間式髪で殺しにかかった。
碧はとある事情で昏睡状態であり彼女の看病のために付きっきり。
山にこもっているせいか神束家の野望は知らなかったらしい。そのことを聞いた後は碧を眠りから覚ますために全力を注ごうとしていた。
碧のことになるとよく「黒宮家の使命」と口にする。はやてはそんな父の必死な姿と、同じ言葉を母が口にしていたことから、父を本当に憎んでいいのか悩むことになる。
ネタバレ
かけるが碧の元に残ろうとしたのは妻自身の願いだったから。
かけるは悪化する妻の様態を気にして碧の元にはいかないつもりであった。
だが妻はかけるが神子に仕える黒宮家の人間であることを尊重し、夫に自分よりも碧を守るように頼んだ。
「黒宮家の使命」とよく口にするのはそのため。
- スクナ
薬の神。5巻にて翠が大怪我をした際に助けるためにましろに召喚された。
ましろの衣装は何故か変わらなかった。
少名毘古那神は小人神であり医療の神。一寸法師の元ネタらしい。
気が弱くモジモジしている。「オペ」や「クランケ」などの用語を使いたがる。
かけるの事情を知った後は彼の元に残り、碧を目覚めさせる手伝いを始めた。
「人は人の力で生きていかなければならないのよ!」
- 神束碧
ましろの母で茜の姉である先代巫女。通常5年かかる神々返しを半年で出来る特殊体質。
神束家による巫女の監禁でも天真爛漫な姿を保ち続けていたタフな女性。
あまりにも賑やかなことから親友のさくや姫には「人としても巫女としても色々と終わっている女」呼ばわりされていた。
それでも明るい性格から多くの神様に好かれていたらしい。
神を利用する現在の神束家に反感を覚えており敢えて小さな願いを叶え続けていた。
そして20歳になった儀式に日に神束家を変えるため、神々返しにて「神束家から力をなくす」という願いを叶えようとする。だがそれを叶えられる神がいなかったために願いは不発で終わってしまう。自身が巫女の力をなくし神束家から追い出され幽閉されることに。
……ここまでがさくや姫の知る神束碧。
5巻にて再開した碧は昏睡状態であった。
幽閉後はましろから引きはがされた悲しみで以前とは打って変わって暗くなっていた。
だがそんなある日巫女の力を失ったにもかかわらず髪の中に神が入ってしまう。ましろを守ってもらうためにもその神を神々返しすることを決め、力を取り戻すための修行を始める。
そうして神々返しされたのがウノとサノ。神々返しに成功したのはいいもののその神には何故か実体がなかったため碧の髪を依り代にしていた。
そして一度力を失った巫女に負担は大きく、神々返しの後に眠りについてしまった。
ネタバレ
「我は太陽の神アマテラス」
- アマテラス
太陽の神。イザナミとの最終決戦にて顕現したウノとサノの正体。
繰り返しになるが天照大御神は日本最高格の力を持つ最強おねえちゃん。
地上世界を死の世界に変えようとするイザナギを止めようとしたものの敗北し力を失い、碧の髪に宿っていた。ウノとサノの二柱に分かれていたのはイザナミに真っ二つにされていたから。
碧に神々返しされた後も戦いの傷から記憶と実体を失っていた。それでも碧の「ましろを守って欲しい」という言葉だけは覚えており、1話でウノとサノの姿でましろの元に訪れた。
記憶と実体を失っても力は一部残っており、ウノとサノがあらゆる封印を解くことが出来るのもそのため。
ましろがイザナミたちと戦う中で、ウノとサノが八咫の鏡によって力を取り戻すという形で登場。
最高位の神様だけあって力はすさまじく、地上に蔓延していた死の瘴気を一掃した。オマケに死の瘴気を吸って死んでいたはやてたちを全員生き返らせた。流石おねえちゃん。
意外とノリがいいらしくウノとサノがアマテラスだったことに戸惑うましろに「の!」とウノサノ時代の口調で返すお茶目な面も。
今度こそイザナミを倒そうとするも、力としては相手の方が上らしくまたしても圧倒されてしまう。
そんな中はやてが四人の従者の力を使いましろの髪の中の全ての神を召喚することを提案するが……。
「そのとききみはわかるだろう一人じゃないって」
- タヌキ面の男
時折ましろ達の前に現れ情報を与えてくれる謎の男。いつもタヌキのお面をつけている。おそらく10代後半から20歳くらい。
飄々としてつかみどころのない胡散臭い男。
初登場は2巻。いきなり現れましろにウノとサノに封印の力があることを教えると去っていった。
その後も定期的に現れては何かしらの情報を与えて去っていく。
本格的に活躍するのは最終章間際から。ましろに神束家を継がせたいらしく、茜を失脚させるために協力を申し出てくれる。
正体については完全に不明。ただ神束家の人間であることは判明している。翠と茜の顔見知りであるらしい。茜は彼に怯え翠は怒りを見せていた。またましろも思い出せないがどこかで会った記憶があるとか。さらにはやての父とも知り合いであり、「父ともども世話になった」と言っている。
ましろが当主の座に近づくたびに怪しい笑みを浮かべているが……。
一見人当たりもよく有益な情報もくれる。だがその実彼にとって有益な情報しか渡さず自身のことは何一つ明かさないという胡散臭い男。
本作の根幹に迫るネタバレ
「ぼくがほんとうの神斬り師、神束翠だ。さぁ神々返しの儀式を始めよう」
- 神束翠
最終章のイザナミ戦にてついに正体を明かした。
実は13年前の事件にはまだ隠されていた部分があった。13年前茜はましろを幽閉しようとしたが、息子と夫はそれに強く反対した。それにより2人は神束家から追放され、特に夫は牛に姿を変えられるという罰を受けた。茜のもとに残ったのはルリだけとなった。
それからというものの翠は妹を神束家から守るために長年計画を進めていた。ましろに家を継がせることに固執したのは、彼女が当主となればルリは家を継がなくて済み、神束家から離れられると思ったから。
なおこのようなことから茜のことを本気で恨んでいる。
「なぜあの日…ボクの髪ではダメだったんだ…神様…」
- 神束ルリ(神束翠)
今まで「神束翠」を名乗っていた少年……というか少女の正体。
あの事件で父と兄は追放されてしまった。残ったのは、自分のせいで儀式が失敗し母を追い詰めたと思い込んだルリだけだった。そうしてルリは母のために、翠に成り代わり「ルリ」だった自分をなかったことにしたのであった。「個を消して神束家を繁栄させる」という一番神束家らしい人。
一応伏線として「真実を写す八咫の鏡に翠ではない誰かが映る」というものがあった。
なお彼女は飽くまで巫女であるため、神斬り師の力はないらしい。2巻で神斬り師の力でタケミカと戦っていた気がするが忘れろ。
「ボクはどんな姿でも家族といっしょにいたいんだ」
- カルビ
大体察しが付くと思うが正体は茜の夫。ましろの幽閉に反対したことで牛に姿を変えられるという罰を受けていた。
旧友であったかけるは「そこまでの仕打ちを受けて神束家に仕える必要はない」と言っていた。それでも「神束家の重圧に押しつぶされそうな茜のそばにいたい」と考え神束家に協力していた。
碧の神斬り師であったが、本気で茜に恋をして結婚したらしい。
「好きな奴が死んでいく様を見るなんて、自分が死ぬよりやるせないだろ」
- 奥宮灰治
なんかいきなりカミングアウトした人。
翠曰くイザナミを倒すためには四人の従者がましろに力を貸す必要がある。反逆者であるましろに力を貸していいのか、と各々が悩む中灰治はこの言葉を萌黄にかけ、いの一番にましろへの協力を決めた。
おさらいだが灰治と萌黄は幼なじみである。そのため萌黄が男であることを良く知っている。
友情と捉えられなくもないが、この時の彼の表情は友達に向けるものとしてはあまりにもアンニュイなものであった。
作者にとってもあまり触れられたくないグレーゾーンであるらしい。実際あとがきでこの話題が出た時は「愛する人の性別なんて関係ないよね!」と話をぶった切った。
こうして揃った四人の従者たち。彼らの力によりましろの力が解放され、髪の中の全ての神が召喚された。
だがそんな姿をただ見ていることしかできないルリ。そんな彼女の髪の中から声が聞こえ……。
「ルリの髪とっても気持ちよく休めたよ。ほんとにありがとう!」
- ツクヨミ
月の神。13年前の儀式は完全に失敗したわけではなく、ルリの髪には一柱の神が入り込んでいたのであった。
月読命は天照大御神、素戔男尊と共に三貴子の一柱とされる位の高い神。天照大御神の妹でありあちらとは対照的に月の力を持つ。
今作のツクヨミはボクッ娘ロリ巨乳という癖の強いビジュアルをしている。
こうしてましろwithアマテラス&ルリwithツクヨミ&数多の神たちという過剰戦力でイザナミに挑む一同。
最終的にはましろが巫女としての禁断の力を使ったことによりイザナミを黄泉の世界に追い返すことに成功する。
だが禁断の力の代償は大きく、ましろは命を落としてしまうことに。
- イザナギ
始祖神。イザナミと共に日本を創った神でありヒノカグの父親。どこにいるかは分からず現在行方不明である。常に無表情で感情を見せることのない男。
T.M.Revolutionに白い羽のファーをつけたような恰好をしている。
作中に明確に登場することはほぼ無い。ヒノカグの父であることが語られたり、巻物の過去の世界で紅子の願いを叶えようとしたりしたくらい。
イザナミの件からヒノカグとの仲は悪いらしい。
ネタバレ
最終巻後半に登場。イザナミがラスボスならイザナギはエクストラボス。
禁断の力を使った代償として黄泉の国へ送られてしまったましろ。
そして危険を承知でましろを黄泉の国から連れ出そうとするヒノカグ。
ついでに黄泉の国に戻された腹いせにましろを殺そうとするイザナミ(巨大化解除)。
そんな3人の前に現れた。
実は神を殺す禁断の力を巫女に与えたのはイザナギ。600年ほど前に紅子の意思を汲み神々返しを子孫に相続させたのはイザナギだが、同時に神に逆らえない様に禁忌の力も与えていた。
そうして禁忌の力を使って神を殺そうとした場合、その巫女も死ぬという仕組みになっていた。
ついでに言うと紅子以降の「相続される神々返しの力」はイザナギによるもの。歴代巫女の髪の中にイザナギが入ることによって神々返しの力を与えていた。イザナギの力によるものなのか髪の中に入っている他の神はイザナギを認知できていなかったらしい。
なお神々返しで神が願いを拒否できないのは神々返しがイザナギの力によるものだから。
作中では壮絶な親子喧嘩の末に割と駆け足な展開でましろとヒノカグの絆を認め地上に戻ることを許した。
無表情で怖そうな神だが日本神話由来の「死の国まで妻を迎えに行くが腐った姿を見て恐れて逃げてしまう」という過去はあるらしい。作中でもイザナミに「そもそもお前があの時ビビッて逃げたのが原因だろ」とツッコまれた。
地上に戻ったましろたちだが、ヒノカグは戦いの中で大怪我を負っていた。
ましろはそんなヒノカグのために、彼を髪の中に入れる神々返しを行うことを決める。
傷は深くヒノカグが戻ってくるまで何年かかるか分からない。それでもましろは大好きなヒノカグを待ち続けるだろう。
これが『かみかみかえし』のエピローグとなった。
- ましろの父
本当に何もよく分からない人。
作中で本当に誰も触れなかったうえに、回想シーンでもその辺りは描かれなかったので本当に何も分からない。
最後の最後のネタバレ
流石にマズいと思ったのか最終巻の描きおろしでようやく触れられた。
夫は榎本明人というおっとりとした少年。碧が幼女時代に、巫女として監禁されている部屋にふらりと入ってきた。おっとりしすぎているせいで住んでいる場所を奪われここに来たらしい。
それ以外のことは不明で妻である碧自身名前以外知らない。名家の跡継ぎが名も知れぬ男と子供作ったという事実に茜は大いに慄いた。
その後も定期的に会い続け、そのうち碧は身ごもりましろを産むことになった。
碧が神束家に反逆して以降はお互いに別れてしまいもう長らく会っていない。
そして監視されている巫女の部屋に何度も入り続けることは物理的に不可能であり、彼は神様であったことが示唆されている。
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