ジャン・コルベール(ゼロの使い魔)

ページ名:ジャン_コルベール_ゼロの使い魔_

登録日:2022/09/04 (日曜日) 11:18:00
更新日:2024/06/27 Thu 10:25:21NEW!
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ゼロの使い魔 教師 ハゲ 眼鏡 科学者 天才 ネタバレ項目 結構重い過去持ち 縁の下の力持ち 火属性 能ある鷹は爪を隠す ジャン・コルベール 炎蛇



「君は、いつかわたしに言ったな?別の世界からやってきたと」


「その世界では、ハルケギニアとは比べ物にならんほど技術が発達してる」


「あのだな、わたしはそれが見てみたい」


「わたしは、そんな世界が見たい」



【概要】

ジャン・コルベールはライトノベル『ゼロの使い魔』の登場人物。
cv.鈴木琢磨


本編では1巻から登場。最終巻まで登場し続ける主要人物の一人。
ルイズたちの通うトリステイン魔法学院の教師の一人であり、物語の重要キーマン。
見た目は頭が禿げ上がった中年男性で、見るからに気弱で風采の上がらない体をしている。生徒たちやファンからのあだ名はコッパゲ。
しかしメイジとしての二つ名は『炎蛇』と物々しく、後述の発明品にも「〇〇のヘビくん」と名付けるなど、強い思い入れもある模様。


解説していくが、「ある理由」があって非常にハイスペックな御仁である。


【人物】

性格は温厚でお人よし。学院の教師をしているからにはメイジであり貴族でもあるが、使い魔の平賀才人や平民のシエスタらにも誠実な対応をする、貴族としてはかなり異例な人物。
一方で色気に弱く騙されやすい一面もあり、女盗賊のフーケにまんまと色仕掛けで洗いざらい宝物庫の情報をしゃべらせられてしまったことも。
さらに、異世界から来た才人の言う地球のことも素直に信じてしまうなど、そのお人よしと素直さは心配になるほど。


だが、これだけなら単なる好人物ですむが、彼の特異なところは魔法万能のファンタジー世界であるハルケギニアで『技術』を研究しているところにある。


独力で原始的な蒸気機関=エンジンの発明に成功しており、それを見た時には才人は魔法万能主義が絶対でメイジが威張りくさっているハルケギニアにこんな人がいたのかと仰天した。
ただしその発明品を授業中に失敗も構わず見せびらかそうとするので生徒たちからは嫌われてこそいないが、かなり変人扱いされている*1


知識量と応用力に至る発想もずば抜けていて、わずかなガソリンのサンプルから、それを化石燃料であると見抜いて複製に成功した。しかも一晩で大量に。
もしこれを地球で披露したら石油メジャーが崩壊して世界経済が大混乱に陥るのは想像に難くない。


才人がゼロ戦を発見してきたときは、これまた独学で構造を解析してオーバーホールをできるほどになってしまった。
しかもその後短期間で、短距離でも離陸できるように火薬を使ったロケットブースターまで開発している。
この技術力は、後にタイガー戦車が発見された時にもおおいに生かされた。


才人からの地球の話を元にほかにも様々な発明品を生み出しており、その立ち位置はロボットアニメにおける博士と呼べるほど多様かつ万能。
ゼロ戦の機銃弾は精巧すぎて複製できなかったが、代わりにメイジに向かって自動的に飛ぶ空対空ミサイルと言える『空飛ぶヘビくん』を開発してゼロ戦に装備していたりした。


白眉と言えるのは、ゼロ戦のエンジンを解析して、キュルケの実家の援助を受けて建造した蒸気動力式飛行船『東方号(オストラント号)』であろう。
空飛ぶ船自体はハルケギニアでは珍しくないものだが、船体の左右から伸びた羽根に一基ずつプロペラが装備されていて、従来の飛行船をはるかに超える速力を持ち、浮遊のための風石の消費も少なく済むため航続距離も長い。
現実世界で喩えると、カリブの海賊が帆船で戦ってた所にいきなりペリーが黒船を率いて襲い掛かってくるようなもんだと思えば良い。そりゃ勝てんわ。
おまけに空飛ぶヘビくんを始めとする魔法兵器も内蔵しており、エルフの空軍ですら翻弄された。
ハルケギニアのレベルでは完全なオーバーテクノロジーであり、これを完全に独力で開発したコルベールの頭脳は天才だとしか呼びようがない。


しかし彼はこれらの技術を戦いのために使おうとは考えておらず、自衛のための抵抗力は仕方がないとして、世の中を魔法に頼らない技術力で良くしていければとだけ切に願い続けている。
そしてそのための勉強をしたいと、才人の故郷である地球に行くことを夢見ている。


【過去】

現在でこそ温厚な良識人にしか見えないコルベールであるが、彼が今の性格と信念に至るまでには大きな過ちとトラウマがあった。


二十年前、若い頃の彼は国の直下である王立魔法研究所実験小隊というものに所属する戦闘専門のメイジであった。
これはタバサの所属しているガリアの北花壇騎士団と同じく国の汚れ仕事を請け負う組織で、かなり後ろ暗い非道なこともしてきた。
そこの小隊長であったコルベールは、それでも必要悪として仕事をこなしてきたが、ある時タングルテール村に疫病が流行ったとして村を住人ごと焼き討ち皆殺しにせよとの命令を受けた。


コルベールは小隊を率いてタングルテール村を炎で包んだが、部下からの報告で村に疫病が蔓延している気配はないと知り、これが国の一部の重臣の私欲による「新教徒狩り」であると看破してしまう。
だが、時すでに遅く、かろうじて幼少の頃のアニエスだけを救い出すことはできたが、村は完全に壊滅してしまった。


このことで、国のために杖を振るうことへの空しさを感じてしまったコルベールは実験小隊を辞め、自分が小隊にいた痕跡もすべて消して野に下った。
そして以後、罪滅ぼしのために財産も投げうって、人々の役に立つ研究に没頭してきたのであった。


この信念と覚悟は本物で、成長して故郷の復讐に燃えるアニエスが目の前に現れた時はためらわずに命を差し出そうとした。


一方で実験小隊時代の戦闘力はまったく衰えておらず、生徒を傷つけようとする相手には「炎蛇」と呼ばれて恐れられた凄腕メイジとしての凄みを見せる。
本編では20年ものブランクがあるにもかかわらず、かつての部下であり20年間戦闘経験を積んできた傭兵メイジであるメンヌヴィルを瞬殺してしまった。
また、王宮に幽閉されてしまった才人たちを、警備の兵士を誰一人殺さずに気絶させて正面突破で救出するという離れ業を演じている。
エルフなどの人外を除いても、作中で彼に比肩し得るメイジは最終巻時のタバサや烈風カリンなどのごく一部に限られるだろう。
ぶっちゃけて言えば、コルベールがいなければゼロの使い魔の物語は詰んでいた。


キュルケにはこれらのことやメンヌヴィルから助けられたこともあって本気で惚れられており、コルベールは生徒が相手だということで困惑しているものの、キュルケは引くつもりは微塵もなく、歳の差20以上の遅咲きの恋となった。


【劇中での活躍】

1巻の冒頭から、使い魔召喚の儀をおこなっていたルイズたちの教師として登場。
なにげにサブキャラとしても一番の登場である。
人間を召喚してしまうという前例のない事態にも落ち着いて対処し、ルイズに「召喚した使い魔はやり直せない」と告げる。
その後、才人の手に浮かんだ奇妙なルーンの正体を伝説の使い魔であるガンダールヴのものであると調べ上げた。
ギーシュとの決闘に勝利した才人をガンダールヴだと確信し、すぐに王宮に報告すべきだとオスマン学院長に詰め寄るが、学院長から「戦争の火種になりかねない」と制止されるという、彼の素性からすればおかしな行動もしている*2


3巻では授業中に自作の原始エンジンの模型を見せ、授業を見学していた才人に驚かれて交流を持つようになる。
その縁で才人が見つけたゼロ戦の整備と燃料調達を請け負い、見事ゼロ戦を大空に復活させた。


その後、アルビオンとの戦争に赴くことになったルイズと才人に改造したゼロ戦を託し、自身は学院に残る。
同時に「戦争に慣れるな、必ず生きて帰ってこい」という激励の手紙を自分の夢と贖罪の意思を込めて渡し、二人の価値観に少なからぬ影響を与えている。
学院では残った生徒たちに授業を続け、銃士隊が生徒たちへの軍事教練を始めた時もかたくなに反対の態度をとり続けた。
だがしばらくして魔法学院に生徒たちの身柄を狙ってきたアルビオンの傭兵団が来襲し、生徒たちや護衛の銃士隊の力では手に負えないと判断したコルベールはついに杖を取る。
圧倒的な実力差で傭兵団の団長であるメンヌヴィルを始末するが、乱戦の中でアニエスをかばったことで重傷を負ってしまう。
そこでタングルテール村の生き残りであるアニエスから、故郷の仇と剣を向けられるが、話の途中で力尽きてしまう。


だがそのときにはまだ絶命してはおらず、とっさに機転をきかせたキュルケが死んだとハッタリをかますことでアニエスを引かせていた。
しかし重傷を負ったことは変わらず、かつしばらくアニエスの目から逃れるためにキュルケの実家で療養生活を送っていた。
その際に、大貴族であるキュルケの支援を得て、自身の念願であった冒険船「東方号」を建造していた。


学院では才人たちも、コルベールは死んだという知らせを信じていたが、学院がシェフィールドの襲撃を受けた時にキュルケとともに東方号に乗って颯爽と駆けつけた。
シェフィールドの飛行ゴーレムを空飛ぶヘビくんで一掃し、生きて帰還した姿で皆を喜ばせる。
以後はさらわれたタバサを救うためにガリアに潜入しようとする才人たちをアシスト。
王宮に幽閉されてしまった才人たちを助け、その際に「王宮の警護の質も落ちたな」と兵を気絶させながらつぶやくゴルゴっぷりを見せている。
しかし追手のアニエスから才人たちを逃すために一人で殿として残り、アニエスと一対一で対面。
タングルテールを虐殺した罪を糾弾するアニエスに、罪は消しようが無く償いようもない、だから裁きは生き残りである貴官にゆだねるとして命を差し出した。
だがアニエスは、貴様を殺せば貴様の生徒たちが自分を憎むだろうと、憎しみの連鎖を断ち切ることを決意。二人の止まっていた時間が動き出した瞬間であった。


以後はしばらくの間、熱烈アタックをかけてくるキュルケに困惑しながらも研究生活を続けていた。
ロマリア行きの先は東方号で彼らを送り届け、タイガー戦車が発見された際には整備して自分も乗車してヨルムンガンド撃破に一役買っている。


さらにルイズがエルフにさらわれた際には東方号を失うことも覚悟で奪還部隊に参加した。


【使う魔法】

メイジとしての系統は2つ名通り「火」。
魔法学院の教師として教鞭をとっているため、火の系統の魔法はおおむね使えると思われる。


しかし戦いにおいては過去の後悔から、可能な限りの不殺を心がけているため本気では滅多に戦わない。


作中で本気で殺しにかかったのは、自身の元部下であり狂人とわかっているメンヌヴィルに対してのみ。そのときも無理とわかりつつ降伏勧告をしている。
その際に使った魔法は、その名も『爆炎』。
「火・火・土」の組み合わせからなるトライアングルスペルであり、空気中の水分を『錬金』で燃料油に変えて着火し、周辺の空気から酸素を奪いつくして範囲内の生き物を一瞬にして窒息死させるというドえげつない魔法である。
これを例えれば原理は現実にもある燃料気化爆弾*3。効果は溶解効果こそないがオキシジェンデストロイヤーに近い。


【余談】

原作ではメンヌヴィルを瞬殺したが、アニメ版ではメンヌヴィルがコルベールにとどめを刺そうとしたところアニエスが刺殺するという形で実質勝敗が逆転している。
また死を装うのも原作ではキュルケの機転と演技だったものがアニメではタバサが仮死の魔法をかけたという形になっている。
もっともアニメ版は原作では最後まで登場するワルドが1期最終話以降登場しない、など改変が非常に多いため些細な改変だったりする。


このようにチートじみた能力を持ち、作中人物の中でも特筆しているコルベールであるが、メタ的に言えば理由がある。


実はゼロの使い魔は初期プロットでは、発明少年である才人が魔法の異世界で科学を駆使して活躍するという、決定稿とはまったく違った形が考えられていた。
それが才人が普通の高校生という設定に改められた時に、科学で活躍するという設定を受け継いだのがコルベールだったというわけである。
つまり、コルベールは本来才人が持つはずだった「主人公属性」を持っているサブキャラということになるわけで、チート化するのもさもありなんというわけなのだ。
風体を頭の禿げたうだつのあがらなそうな中年ということにして才人たちの存在感を食わないようにしたヤマグチノボル先生の采配は見事なものだったと言えるだろう。



追記・修正願えるかな。


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  • アニエスに「自分を裁く権利がある」とか言いながら、証拠である名簿から自分の名を消したりするのは自分の罪を隠して逃げてるのと同じで、卑怯なんじゃないか? って声も割とある。二次創作ではその辺はコルベール以外の人物が代わりに隠蔽したりと少しフォローされたりもする。 -- 名無しさん (2022-09-04 12:34:17)
  • ↑まあ、20年前の行動を今になって責めるのも酷だと思う。当時何もかもが嫌になって証拠消して逃げだして、後々になって考えを改めてもどうにもならないわけだし。 -- 名無しさん (2022-09-04 12:56:51)
  • 超有能ハゲ、二次創作においても出番に恵まれていたりする -- 名無しさん (2022-09-04 17:06:59)
  • タバサの機転だが、仮死状態からの復活という、これまた主人公っぽいことをしてる(というか、実際に才人も、ティファ二アによって仮死状態からの復活をしてる) -- 名無しさん (2022-09-04 21:42:19)
  • アニメで遺書を読んだ才人が泣いていて死んだと思ってたけど、アレってなんで生きてたんだっけ? -- 名無しさん (2022-09-04 21:53:05)
  • ↑2でタバサが仮死魔法をかけていたから・・・というのはアニメのみ。原作だとキュルケが気絶したコルベールに演技で上手い具合に死んだと誤解させた。ゼロ魔は死んだと思ったキャラが実は生きてましたってご都合展開が非常に多い。 -- 名無しさん (2022-09-04 22:51:25)
  • 最終的にキュルケとくっついたのはびっくりしたな -- 名無しさん (2022-09-04 22:54:28)
  • 爆炎は現実世界の燃料気化爆弾の方が近いのでは? -- 名無しさん (2022-09-04 23:21:29)
  • ↑それは思いましたけれど、焼く効果や物理的な攻撃力は無くて窒息が主な効果だったので -- 名無しさん (2022-09-04 23:30:37)
  • 何で登録日が「2022/09/24 (日曜日) 11:18:00」と未来の日付になってるんだろう。編集履歴によると「2022/09/04 (日) 11:24:38」みたいだけど。 -- 名無しさん (2022-09-05 01:30:07)
  • ↑修正しました -- 名無しさん (2022-09-05 09:27:12)
  • サイトに出した手紙の所本当好き。自分がやってきた事を断片的にも告白して「人の死に慣れるな」と言いつつそれでも自分の夢を語る所とか -- 名無しさん (2022-09-05 10:44:01)
  • ワンピースの小説に登場したドロウも任務のためなら住人ごと焼き討ちする炎使いだけど、あちらは罪悪感ゼロの過激派でぶっちゃけ「改心する機会がないまま冷酷であり続けたコルベールのIF」と呼べる悪役。おまけにドロウの焼き討ちの巻き添えで家族を失った生存者がアニエスとは逆に首謀者を恨むどころか「命の恩人」と思い込んで首謀者の部下になるという皮肉……もっとも、真相を知った後は幻滅してたけど -- 名無しさん (2022-09-06 09:14:51)
  • 実際はトライアングルじゃなくてスクエアメイジじゃなかったっけ。終盤でそう書いてあったような -- 名無しさん (2023-02-17 11:50:40)

#comment(striction)

*1 発明品のエンジンの有用性を説明されても「魔法で動かせばいい」という冷たい反応しか返ってこなかったほど。
*2 ただし初期の巻では設定が固まりきっていなかったものと思われ、ほかのキャラも明らかに矛盾した行動をとっているシーンが多々ある
*3 ただし気化爆弾は強烈な爆圧を発生させて、対象を「圧し潰す」という兵器であるため目的は異なる

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