ガンバ!Fly high

ページ名:ガンバ_Fly high

登録日:2022/07/26 Tue 18:32:56
更新日:2024/06/24 Mon 13:39:00NEW!
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◇概要

菊田洋之が『オッス!少林寺』に続いて週刊少年サンデーで1994年から2000年まで連載したスポーツ漫画作品。
スポーツ漫画としては珍しく男子体操競技を題材としている。体操漫画の金字塔的作品で、内村航平選手などが愛読していた。


原作者としてロス五輪の金メダリストである森末慎二が参加しており、一部を除いてリアリティがありつつもダイナミックな競技描写が特徴。
とりわけ競技を行っている選手の視界を描写するという斬新な手法を取り入れ、技のスピード感や迫力を表現している。
実際に森末が技を披露して動きの参考にしており、技の動きをわかりやすく連続絵で解説したり、技を失敗した際の描写などに活かされている。


また、作中に登場した新技が後に現実となったり、終盤に登場したある技に対して「G難度級」と称賛したが、後にF難度とG難度が創設される*1など、後の体操界の予想がぴたりと当たったものも存在するなど先見性も高い。
2004年アテネ五輪における男子体操の活躍が本作終盤の展開と酷似していたのも話題となった。


1996年7月から1997年3月にかけて『ガンバリスト駿!』のタイトルでサンライズの手によりアニメ化されている。
しかし、こちらは全30話で、原作のコミックス10巻あたりまでで終了した。



◇あらすじ


「ボク、オリンピックの金メダルを獲りたいんです!!」



その宣言と共に体操で有名な平成学園中等部へ入学した13歳の少年・藤巻駿。
翌日、いきなり試合に出された駿は、実は有名なのは女子の方で男子体操部は県最下位のダメ体操部であることを知る。
個性的な先輩たちに囲まれ、体操を楽しんでいた駿だったが、ある事件をきっかけに才能が開花。
男子体操部はスペシャリスト軍団に変貌し、その名を轟かせていく。




◇登場人物

【平成学園・主要人物】

・藤巻 駿
CV:阪口大助
本作の主人公。得意種目は「鉄棒」。逆に苦手種目は「つり輪」「あん馬」。
平成学園中等部入学と同時に体操部に入部したド素人の少年。
かつて体育の授業中、跳び箱を跳ぼうとして失敗したことがトラウマとなっていたが、入部翌日に出場させられた試合で跳馬*2を跳べたことで克服。
その後も倒立、バク転など基礎的な技を習得しつつ、田所のおばあちゃんやアンドレアノフとの出会いによって才能を開花させていく。
特に肩の強さと空中感覚に優れており、離れ技*3の高さは作中屈指で、伸身トカチェフなどの高さが必要な技も楽々繰り出している。
高さを出すため滞空時間も長く、その様は見る者から「背中に翼を持っている」と形容されるほど。
アンドレアノフから受け継いだ「楽しい体操」を実践し、苦しい練習も楽しむことで本気で体操に挑み続けている。



・相楽まり子
CV:松本梨香
メインヒロイン。駿のクラスに転校してきた少女。
転勤族である親の都合で頻繁に転校を繰り返しており、「さすらいの転校少女」と自称する。
運動音痴のドジっ子で、駿が体操部と知った際に逆上がりを教えてほしいと願ったことで知り合った。
その後、男子体操部のマネージャーとして入部。明るく一生懸命な姿で一同のアイドル的存在となり、駿とも仲を深めていった。
大会中に再び転校していくが、高校進学時に平成学園高等部に入学し、田所のおばあちゃんの家で下宿を始める。



・上野良夫
CV:伊倉一恵
駿のクラスメイトで親友。クラスメイトとの倒立対決の後、入部してきた。坊主頭が特徴。
選手としては目立たず実力もないが、選手の練習を手伝ったり器具のコンディションチェックを行う補助としての才能を持つ。
その才能を認めた大沼に弟子入りし、体操部になくてはならない名補助師として才能を開花させる。
万由美に片想いをしていたが、駿を巡る三角関係事件の末に交際を始める。
アフターストーリーを描く外伝では主人公の一人を務めており、万由美と結婚して一児の父となっていた。



・高原万由美
駿と上野のクラスメイトで再婚した親に反発する不良少女。
当初は親への反発からつっけんどんな態度をとっていたが、弟たちに跳び箱を教えた駿によってわだかまりを解消し、駿に惚れた。
以来、彼のおっかけをしながら応援に駆け付け続ける。
長らく片想いを続けていたが、高校でまり子が再登場した際、自分とまり子の差に愕然として身を引く。
その際、説教をした上野と後に交際を始め、まり子とも友人関係となった。
アニメは登場する前に終了したため未登場。



・内田 稔
CV:佐々木望
駿の一年先輩で体操部三馬鹿トリオの一人。メガネをかけている。得意種目は「跳馬」。
陰険だがお調子者で面倒見の良いところもあり、駿に最初に体操の基礎を教えた良き先輩。
「哲学的な体操」をテーマに、宙返り中に素早く抱え込むことで回転力を増す「ヨーヨー宙返り」を考案。
中学生にしてローチェ*4に挑戦したこともある。終盤は持ち技としてさらに発展した新技を編み出した。
一方、緊張に弱い面があり、たびたびレントゲン*5してしまうことも。



・真田俊彦
CV:三木眞一郎
駿の一年先輩で体操部三馬鹿トリオの一人。まずまずのイケメン。得意種目は「ゆか」だが、実質オールラウンダー。
目立ちたがりのカッコつけたがりで、初期の頃は県最下位を恥じて仮病で試合に出なかったこともある。
しかし、その本性は誰よりもストイックで普段は見せないが影で努力を重ねており、ここぞというところで頼りになる。
「おしゃれな体操」をテーマにブレイクダンスを技に組み入れたりしていた。
終盤はかなりの実力を身に着け、五輪代表予選では代表入りできる順位に食い込んだほど。



・東 伝次
CV:宇垣秀成
駿の一年先輩で体操部三馬鹿トリオの一人。中学生の時点でムキムキマッチョの筋肉ゴリラ。得意種目は「つり輪」。
鳶の親方の息子で、親そっくりの豪快な性格。最初の頃はおならが出ると調子がいいという設定もあった。
力技のスペシャリストで、演技も力技のオンパレード。その分、平衡感覚が弱く、振動技*6の際に目を回して大失敗してしまうこともあった。
成長に伴って身長もどんどん伸びていき、体操選手としては規格外の体格になり回転力を出せなくなったため高校で引退。
卒業後はプロレス団体に入門し、マッスル東のリングネームでデビューした。


なお、上記三人組は菊田氏の読み切り作品からデザインを流用されており、読み切りではサバゲーマニアの危険なヤツらだった。
この読み切りは外伝に収録されている。



・新堂雄一
CV:松本大
男子体操部唯一の三年生でキャプテン。得意種目は「平行棒」。
キャプテンらしくみんなのまとめ役で、三馬鹿をまとめておける唯一の人物。
選手としては平凡寄りで、部員たちの成長に嫉妬と焦りを募らせたこともあったが、麗子のおかげで持ち直した。
他のメンバーに比べて活躍が目立たないため影が薄いが、部員たちから慕われる良き先輩である。



・折笠麗子
CV:桜井智
初期のヒロイン。女子新体操部のエース。得意種目は「平均台」。
国内トップクラスの実力者で、中学時代から国際大会に出場するなど目覚ましい活躍を続ける。
美人かつ優しい年上のお姉さんで、駿の才能を早くから見抜いていた唯一の人物。
当初はまり子にライバル視されていたが、新堂がケガをした際の出来事がきっかけで付き合い始める。



・セルゲイ・アンドレアノフ
CV:村山明
ロシア人の元五輪代表選手で、モントリオール五輪の個人総合金メダリスト。駿の恩師。
世界各地を周って体操を教えており、かつて世話になった田所誠治の実家にふらっと現れた際に駿と知り合う。
当時、イップスで鉄棒の離れ技が出来なくなっていた駿をたった一言で復活させ、駿の願いで男子体操部のコーチとなる。
選手の実力を引き出すことに長けており、的確な指導で駿たちの実力をトップレベルまで上昇させた。
誠治から教わった「楽しい体操」を伝えており、駿たちにも受け継がれた。



・岬 絵莉
CV:本多知恵子
平成学園女子体操部のコーチ。後に体育教員となる。麗子の恩師。
厳しくきつい性格で、当初は県最下位だった男子部を目の敵にしていたが、彼らが才能を開花させてからは見直して態度も軟化する。
アンドレアノフ登場後はツンデレ化し、気は強いが優しさを秘めた女性となっていった。
幼い頃に父を亡くし、母親が別の男と再婚したものの祖母である田所のおばあちゃんのところに通って体操を練習していたらしい。
最終的に父親と同年代のアンドレアノフと結婚し、外伝では二人の息子が主人公の一人となっている。



・田所のおばあちゃん
CV:堀絢子
かつて五輪代表として活躍した田所誠治の母で岬コーチの祖母。本名不明。
息子が体操をすることに良い顔をしていなかったが、誠治が他界した後、彼が庭に遺した鉄棒からオリンピック選手を出すという夢を叶えるため勉強し、指導者となった。
その辺の指導者顔負けの指導力を持っており、偶然出会った駿たちに特訓を施して実力を開花させる。
まり子やアンドレアノフを家に下宿させ、体操部のたまり場となっていった。



【ライバル達】

・堀田辰也
風雲高校の体操部員。オールラウンダーで得意種目は「あん馬」。
リーゼント頭が特徴で少々不良っぽいが体操に情熱を燃やす男。
演技をしている選手の視界を頭の中で想像することが可能で、一度見た技も楽々こなす天才的な才能の持ち主。
しかし、その才能を妬んだ先輩たちに器具を使わせてもらえず、隠れて練習しているところを暴行されるなど辛い目に遭っていた。
その際、鉄棒で使用するプロテクターを水に沈められたことを激怒して反撃。暴力事件として問題児扱いされるようになってしまう。
この一件以来、やさぐれてしまったが、駿との出会いで体操の楽しさ、五輪で金メダルを獲るという夢を取り戻し、復活した。
駿とは同じ才能を持つ者同士、ライバルであり友人として仲良くなる。
シドニー五輪では出場できなくなった杉原選手の代わりに日本のエースとして活躍した。



・嵯峨康則
CV:菅原淳一
西堀製薬ジュニア体操クラブの体操部員。オールラウンダーで得意種目は「つり輪」。
中国からやってきた李東生コーチに指導を受けた「李軍団」の一人。
李東生に教えられた「完璧な体操」を体現し、ミスのない演技をする。しかし、ミスを恐れて縮こまった演技をしてしまう部分があった。
初登場時は嫌味なヤツで、平成学園にケンカを売るが、東のパワー溢れるつり輪に度肝を抜かれ、一方的にライバル視するようになる*7
平成学園メンバーとの競い合い、国際大会でチーム一丸となった経験などを経て成長し、丸くなっていった。
東の引退は「勝ち逃げされた」と思っており、シドニー五輪では東に負けない演技をしたいとインタビューに答え、それに違わぬ演技を見せた。



・斉藤 栄
CV:柴本浩行
北海道・北端中唯一の体操部員。得意種目は「鉄棒」。
アンドレアノフの教え子の一人で、まともに大会出場したこともないにも関わらず中学生にしてコバチ*8を成功させるなど、確かな実力を持つ。
しかし、公式試合の出場経験がないためルールを理解していないといった抜けた面も持ち合わせる。
成長後はロシア留学し、さらなる成長を遂げる一方、ジンクスに頼るという気弱な面があったが、駿たちの言葉で自信を取り戻した。



・王 景陽(ワン ジンヤン)
中国代表の選手。オールラウンダー。
黒竜江省の出身で、その過酷な気象と貧乏な家庭で育ったため作中屈指のハングリー精神を持ち、その気迫は「氷の男」と呼ばれる。
初登場時は仲間すら敵とみなす狂犬ぶりを発揮するが、仲間の失敗をフォローするためより過酷な演技に挑む姿も見せる。
当初は「甘ちゃん」と評した駿が、足を負傷しながらも気合で演技を成功させた姿を見てライバルと認める。
シドニー五輪の代表予選では鉄棒で10点満点*9を出した。



【その他】

・貝塚 善行
CV:西凛太朗
「月刊体操通信」の編集長で、よく解説として呼ばれるおっさん。
李軍団を贔屓しており、平成学園の姿勢を「無駄」と批判して敵視するかのような解説をする。
正直、解説内容についてはアレすぎて大沼の正体を知らなかったりと本当に体操関係者かと思うようなところもある。
しかし、シドニー五輪の代表予選で真田が失敗した演技をやり直す姿を見て「ガッツのある演技だよ」と評し、態度を改めた。



・大沼 重昭
CV:辻親八
かつて体操王国と呼ばれていた頃の日本を支えた「伝説の補助師」と呼ばれる老人。
種目別選手権に出場した平成学園のユニークな演技に目を付け、彼らを密かに支援する。
田所誠治が日本代表だった縁で田所のおばあちゃんとも知り合い。
後に駿が伸身トカチェフを跳べることを見抜いた上野の才能に目を付けて弟子に取った。



・坂下&持田
CV:千葉一伸(坂下)、山崎たくみ(持田)
「月刊ジムロード」の記者とカメラマンのデコボココンビ。
平成学園の演技を見て以来、彼らのおっかけ取材を始める。日本代表の秘密特訓に潜入するなど、無茶をする事も。




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  • 原作は見てなかったけどアニメは見てたなぁ。タイトル変更はなんか理由はあったのだろうか。 -- 名無しさん (2022-07-26 21:16:27)
  • 終盤になると少しでも難易度上げるためにひねり多用するのが気になった -- 名無しさん (2022-07-26 21:41:53)
  • 長編をしっかり完結させて、いまだにこれを越える体操漫画ないと思う。アップデートした再来的な作品が出て来て欲しい -- 名無しさん (2022-07-27 09:04:04)
  • 森末さんの予言と言うか「ウチダ」はできても「フジマキⅡ」は15年じゃ実現しないとされていて、実際その通りだったけど、20年で練習映像でなら伸身ゲイロード1回ひねりがとうとう出始めてるのよな -- 名無しさん (2022-07-27 18:55:01)
  • 体操人気の低迷を憂えた金メダリストが畑違いの漫画原作を手掛けてヒットさせて新世代の金メダリストを誕生させるとか、製作エピソード自体が熱すぎる。 こっちの背景が映画化されても全然おかしくない。 -- 名無しさん (2022-07-27 22:32:52)

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*1 当時はE難度とスーパーE難度までしかなかった
*2 馬と呼ばれる奥行のある器具を跳び箱の要領で跳びつつ技を繰り出す競技
*3 鉄棒を離して繰り出す宙返りなどの技
*4 跳馬の前転とび抱え込み2回宙返り(3回宙)
*5 跳馬に激突してしまう失敗。その姿がレントゲン撮影に似ているため。
*6 車輪などの回転を伴う技
*7 成績上では勝利したが、声援や豪快さでは負けていた
*8 鉄棒のバーを越えながら、後方かかえ込み2回宙返り懸垂という高難易度技
*9 当時の評価基準

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