リング2(映画)

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登録日:2022/05/04(水) 01:19:44
更新日:2024/06/18 Tue 13:45:09NEW!
所要時間:約 27 分で読めます



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貞子は生きていた!?






「リング2」は1999年1月23日に公開された日本のホラー映画。
1998年に公開されたホラー映画「リング」から始まる映画シリーズの続編で、同作の続編。同じくホラー映画の「死国」と同時上映で公開された。



概要

「リング」には既に「らせん」という続編が存在していたが、本作は「リング」ラストから仕切り直したストーリーとして製作されており、異なるタイムラインの作品となっている。*1
(そのため、この記事では「前作」はシリーズ前作の「らせん」ではなく時系列前作である「リング」のことを指すこととする)


監督・脚本・音楽は前作に引き続きそれぞれ中田秀夫、高橋洋、川井憲次が続投。
そして、前作がホラー映画としてヒットしたこともあり、ホラー要素が薄く科学的なストーリー展開であった「らせん」とは違い「リング」のテイストをそのまま引き継いだ正統派のホラー映画となっている。
前作の登場人物も「らせん」より多く登場し物語に深く関わる他、浅川の自宅や山村荘といった前作の舞台の一つが登場するため舞と吉野ぐらいしかメインで関わる人物がいなかった「らせん」よりも正統続編としての色が強い。


物語は浅川親子を追う舞、香苗と呪いのビデオの取引を行う岡崎、貞子の遺骨とそれを引き取る山村敬の三つの物語が交錯するものとなっており、前作や「らせん」で掘り下げられなかった要素を扱っているのも見どころ。


原作は「リング」となっているが便宜上でありストーリーは映画オリジナルである。


主題歌は今井美樹の「氷のように微笑んで」。




あらすじ

前作から一週間後。山村貞子の親類・山村敬は警察が預かっていた貞子の遺体を引き取りに来ていた。その際彼は刑事の大牟田から検死解剖の結果、貞子の死亡推定年が1~2年前であったことを聞き驚愕する。
一方、恩師・高山竜司の死に疑問を抱いていた彼の教え子・高野舞は真相を知るため高山の元妻・浅川が働いていたNNB報道部を訪問、浅川の部下の岡崎と共に行方不明となっている浅川とその息子・陽一を探し始める。
まず手がかりとして彼らは精神病院に入院している浅川の姪・智子の友人である倉橋雅美の元を訪れるが彼女は写真やテレビに念写をするなど貞子のような力を持ってしまっていた。
そして舞は浅川親子を見つけるが、陽一も雅美同様貞子の呪いに侵されていた。雅美の担当医である川尻は貞子の呪いを除去すべくある実験を行おうとするが、それは最悪対象や自分たちを破滅しかねない危険なものであった。
一方岡崎は浅川から引き継いだ呪いのビデオの取材で出会った女子高生・香苗から「ビデオを見てしまったのでダビングしたビデオを見てほしい」と言われるのだが...。




登場人物


■高野舞
演:中谷美紀
主人公。前作で高山の死を目撃した彼の教え子。(本人は助手だと言っている。教え子だったり恋人だったりはっきりしない...
高山の死に疑問を抱き岡崎と共に事件の真相を追い始める。その先で雅美や浅川親子と出会い、貞子の呪いの人々への浸食を目の当たりにする。浅川がいなくなったあとは陽一の姉・母親代わりとして彼を救うために貞子の手がかりを求め山村荘に向かう。
「らせん」では暗い振る舞いが目立ちこれといった行動をとることはなかったが、本作では比較的明るめで行動派なキャラとなっている。
「らせん」同様超能力を持っている設定がつき、玲子や陽一のビジョンが見えたり彼にテレパシーを送った。
なお前作や「らせん」では前髪を眉の上あたりでパッツン切りしたストレートボブであったが、本作では演者の中谷氏の髪型が変わっていた都合で内巻きボブになって前髪が伸びてパッツンでもなくなった。最初に見たとき一瞬舞だとわからなかった人もいたのではないだろうか。

+ ネタバレ-

自分の超能力で陽一から貞子の呪いを追い出そうと川尻の実験に参加するが、貞子の力が暴走し陽一と共に貞子の世界に引き込まれ井戸の中に放り込まれてしまう。しかし高山の霊に助けられ、6歳児の陽一を担いでロープで井戸を這い上がるという前作の浅川並の根性技を見せて脱出し現実に戻ることに成功、安堵の表情を見せた。



■浅川陽一
演:大高力也
前作に引き続き登場。浅川と高山の息子。前作で呪いのビデオを見てしまっていたがビデオをダビングして祖父に見せたことで助かった。
しかし超能力を持っていたことが災いしてか貞子の呪いが完全には消えておらず、感情の高ぶりで貞子の力を使えるように。元々超能力者であったために力は強力で念写程度であった雅美とは異なり相手を吹っ飛ばしたり首を絞める、貞子と志津子の幻影を出したりすることができる*2。貞子の姿も時折見える模様。
また、言葉を発せなくなっており、これらのために学校にも行けず母と共にアパートで隠遁生活を送る日々を送っていた。彼の呪いを解くため舞たちが動くのが本作の物語の肝となっている。
「らせん」ではビデオのダビングは助かる方法ではなく、その故ビデオをダビングして浅川父に見せたものの死亡してしまう展開になっていたが本作では生存している設定になった。*3

+ ネタバレ-

あるときを境に言葉を発することができるようになる。玲子がいなくなってからは舞と行動を共にし、川尻による貞子の呪いを自身から追い出す実験に参加する。
川尻と舞に「両親が死んだのは舞のせい」であると嘘を吹き込まれたことで怒りから貞子の力を引っ張ってくるが暴走してしまい、貞子の世界の井戸の中に消えてしまう。
高山によって助け出され、彼に貞子の力を自分から送る形で吸収してもらったことで貞子の呪縛から解かれることになり舞と共に脱出した。
「らせん」では悲劇的な死を遂げてしまった彼であるが本作では最後まで生存し貞子からも解放される希望のある最後となった。




■浅川玲子
演:松嶋菜々子*4
前作の主人公で高山竜司の元妻で陽一の母親。
貞子の呪いの拡散に手を貸してしまっていたことで助かり、浩一に同じ方法をとらせることで父の死と引き換えに陽一を救った。
しかし陽一が自宅のテレビを超能力で破壊したことから貞子の呪いが残っていることに気づき、そのことが明るみにならないよう行方をくらましてアパートで二人生活していた。
なおオリジナルの呪いのビデオを自らバスルームで燃やして処分し、父にもダビングしたビデオを処分させて呪いのビデオを完全消滅させている。そのはずだったのだが……
舞が関わってくることに最初は否定的だったが、彼女と陽一の距離が縮まっているのを見て信頼を寄せるようになり川尻に協力するように頼む。しかし話を聞いた川尻が大牟田に話したことで居場所を突き止められてしまい、警察署に親子共に連れ込まれてしまう。
「らせん」では手帳に貞子の記録を書いておりこれが新たな災いの種となっていたが本作では設定がなくなったのか否か触れられることはなかった。

+ ネタバレ-

陽一が逃げ出したことがきっかけで彼の後を追う形で警察署を脱出、道路を横断して陽一に追いつこうとするがその際にトラックに跳ねられてしまい死亡してしまった。流れる血液はまるで陽一を求めるかのように彼に向って流れていた。
なお死亡の直前か直後かあの世のような場所に迷い込んでしまい、霊体となった父から陽一が陽一でなくなっていることを聞かされた。
「らせん」でも自動車事故によって死亡した彼女であったが本作でも交通事故によって命を失うという悲劇的な最後を遂げてしまった。



■沢口香苗
演:深田恭子
岡崎が呪いのビデオで取材している女子高生。17歳。
岡崎から友人が所有している呪いのビデオを要求されて渡すが、この前日にビデオを見てしまっており*5彼にビデオを見るよう頼むが...。

+ ネタバレ-

岡崎から電話でビデオ見たと聞いて安堵するが真っ赤な嘘であり、結果貞子の呪いで死亡してしまった。(表情は案の定大口を開けた恐ろしい死に顔であり、前作の智子同様必見である)信頼していた人物に裏切られるという悲劇的な死を遂げたのであった。が...?

+ さらなるネタバレ-

その後、岡崎が香苗の取材映像を編集していた際、香苗が頭を振る映像が何度も再生される不具合が発生、やがて貞子のように髪を前に垂らした恐ろしい姿に変貌し睨みつけながら画面の向こうの岡崎に向かっていった。
やがて精神病院に入院した岡崎。何かに怯える彼を鵜飼がカルテ用に写真を撮るが彼女はその写真に異常を見る。岡崎の後ろには香苗が彼を嘲笑いながら佇んでいたのだった。こらそこ美少女JKに取り憑かれて羨ましいとか言うな
彼女が岡崎の憑物に過ぎないのか、貞子と並ぶ新たな恐怖の存在となったのか。誰にもわからない...。



■岡崎
演:柳ユーレイ(現:柳憂怜)
前作でも少しだけ登場していた浅川の部下。舞と共に浅川親子の行方を追う。一方で浅川がやっていた呪いのビデオの取材を引き継いでおり、女子高生の香苗から「見てしまったから」とダビングされた呪いのビデオを渡され見るよう頼まれる。川尻の雅美を対象にした実験にも参加した。

+ -

実験で貞子の力を目の当たりにしたためか怖気づいてビデオを見ることができず、雅美が念写したビデオの映像の一部を見たことを利用して香苗に鏡の女のことを話した上で見たと嘘をついてしまう。やがて香苗の取材映像を編集していた岡崎はそこで怨霊と化した香苗を目の当たりにしてしまう。
精神病院に入院してしまった彼であるが彼の後ろには不気味な笑みを浮かべる香苗の姿が...。
危険な目に遭いたくないために良識のある大人を振舞って嘘をつき相手を見捨てるという、最低な行動をとった彼は一生「彼女」に付き纏われるのであろう。



■山村敬
演:沼田曜一
前作に引き続き登場。貞子の母・志津子の従兄弟。警察から粘土で再現された貞子の遺体を引き取るが、漁船で大島に向かう途中で貞子の遺体を棺桶ごと海に投げ入れ彼なりのやり方で供養し、帰郷後貞子の手がかりを探しに来た舞と“賽の河原”で会い、志津子が貞子をもうけたときの話をした。
貞子や志津子を見世物にしたことに未だに負い目を感じており、貞子の呪いが未だ人々を翻弄していることに責任を一部を感じているのもあって終止符を打ってもらおうと実験のために山村荘のプールを川尻に貸した。

+ -

実験中であの世とつながったプールの中に貞子の棺桶を目撃、自分を喰って終わりにするよう訴えながら近づき、舞と陽一が貞子から逃れたときにはプールに浮かんで死亡していた。*6
貞子と志津子にずっと負い目を感じ罰を受けるのを求めていた彼としては満足な最後だったかもしれない。



■川尻
演:小日向文世
精神病院の医師。34歳。
雅美の主治医であると同時に超常現象の研究者でもあり彼女から貞子の呪いを除去しようと実験を行うが、間違えば本人や周囲を危険に晒す危険なものであり舞から危険視される。しかし唯一の手段ということもあり危険を覚悟で実験は行われることになるのだが...。
高山とは大学時代の同期であり川尻にとってはよき理解者だったようだ。ただ葬式には出席しなかったようで舞からはそのことでボソりと小言を言われていた。
演じた小日向は本作公開直前から放送されていたTVドラマ「リング 最終章」で金田裕二を演じておりシリーズで初めて複数のキャラを演じた人物となった。(なおこの金田も高山に縁があり超能力に関わる学者であるが、こちらは否定派で川尻とは正反対の人物である)

+ ネタバレ-

真水に貞子のエネルギーが移動することからフィルムでも同じことができると考察、雅美にビデオに念写してもらうことで貞子の力を除去しようとするが、雅美が体力尽きて気絶し失敗してしまう。その後山村荘に向かい、陽一から貞子の力を除去するためエネルギーの受け皿を大きくするためプールを使った実験を行う。しかし陽一の力が暴走したことで貞子に操られたのか電子機器を持ってプールに落ちてしまう。舞と陽一が貞子から逃れた時には死亡していた。



■倉橋雅美
演:佐藤仁美
前作に引き続き登場。浅川の姪・智子の友人。
智子を襲う貞子を目撃してしまったことで精神的ショックを受けただけでなく陽一のように貞子の力を持ってしまっており、写真やモニターに念写ができるようになっている。言葉を発することもできない。ただ陽一と違って超能力者ではないため力はそこまで強くない模様。
前作でも語られていた通りテレビを恐れており、テレビの前を通る際は衝立で見えないようにながら通っている。
舞が精神病院を訪れた際、レクリエーションルームのテレビモニターに井戸から出てくる貞子を念写、部屋中の患者をパニックに陥れた。この際「助けて」と初めて言葉を発し、それを聞いた舞が雅美の手をとった際には彼女が貞子を目撃するビジョンを感じ取った。
その後貞子の力を除去してもらうため川尻の実験に参加するが体力が持たず気絶してしまった。その後どうなったのかは不明。



■大牟田
演:石丸謙二郎
呪いのビデオの事件を追う刑事。38歳。
浅川親子の行方を追っており舞の元を訪れ貞子の話を混ぜながら所在を聞こうとする。
川尻から舞が浅川の所在を知っているのを聞き彼女にビデオの犠牲者の死体を見せて脅迫まがいな形で聞き出した。
浅川親子を警察署に連行するが陽一に超能力で吹っ飛ばされ逃げられてしまい、その際には「化け物」と恐怖と嫌悪の感情を向けた。浅川が事故死した際には陽一に元凶扱いされ超能力で首を絞められ殺されそうになるが舞が止めたことで命拾いすることになった。それ以降どうなったのかは不明。



■浅川浩一
演:村松克己
前作でも登場した浅川の父。
浅川の頼みで陽一がダビングしたビデオを見たことで彼を救い、ダビングされたビデオを処分、呪いに終止符を打つため呪いを解こうとはせず貞子に呪い殺された。その死に顔を見た大牟田は驚愕の表情を見せた。
「らせん」の時と同様「ビデオは処分した。何も心配することはない」という遺書を残していた。
やがて浅川とどこともしれない場所で再会。亡者となっているのか黒い目と黒い涙を流した状態で浅川に陽一が陽一でなくなっていることを告げた。
「らせん」では自殺で勝ち逃げ死亡していおり、死亡理由を変えた理由はわからないが「らせん」で陽一が死亡した理由が浅川父の自殺によって陽一の呪いの解除が無効となってしまったと解釈できる部分があり、それを避けるためではないかと思われる。単に大牟田をより貞子に関わらせるためや香苗のシーンへの伏線のためである可能性もあるが。



■高山竜司
演:真田広之*7
前作で貞子の呪いを追い最後は呪い殺されてしまった舞の恩師にして浅川の元夫で陽一の父。
舞の回想や幻で登場し、駅前のベンチ(貞子が足だけ登場した所)で舞と気さくに会話する様子や彼女に超能力のことを「役立たない」、「周囲に話さないほうがいい」と諭していた。
ちなみに演者の真田氏は前作では地毛で口髭を生やしていたが本作では剃っていたためつけ髭をつけて撮影している。

+ ネタバレ-

終盤、貞子によってあの世の井戸に放り込まれた舞と陽一の前に現れ陽一を助けるため貞子の力を自分に送らせた。ロープを出現させ二人を見送ると「振り向くな」の一言と共に浩一と同様黒い目になり黒い涙を流しながら消えていった。上記のセリフは亡者となった(黒い目をした)自分の姿を見られたなくない故なのだろう。*8
言うまでもなく「らせん」のような挙動はしていない。



■林
演:由良宜子
川尻の助手の看護師。雅美や陽一の実験に参加した。

+ ネタバレ-

陽一の実験が行われた際、電子機器をプールに落とそうとした川尻を止めようとするがそのまま彼を押し倒す形で倒れてしまいそのまま死亡。



■鵜飼
演:長曽我部蓉子
精神病院の看護師。雅美の世話をする。ラストでは新たに入院したある人物の写真をカルテ用に撮るがその写真には....。



■山村和江
演:梶美和子
前作に引き続き登場、山村荘を訪れた舞と陽一、川尻を宿泊させる。



■山村志津子
演:雅子
貞子の母親の超能力者。
陽一の中にある貞子の力の影響か山村荘の鏡の部屋に幻影として幼少期の貞子と共に現れ、ビデオのシーンと同じ行動を繰り返し再生するかの如く何度もとる。しかし貞子を振り向く顔は次第に彼女から舞に向けられ鏡が割れると共に消えた。
山村敬の話で貞子をもうけたときの出来事が明かされ“賽の河原”で“何か”と関わっており、ある日貞子にあたる赤ん坊を連れて帰ってきたことや貞子を一度は賽の河原に流すが再び抱いて戻ってきたことが語られた。
流されなかったからとはいえ一度は捨てた貞子を結局育てることにした志津子にあったのは母としての母性か、それとも貞子や海の向こうに秘められた“恐ろしい力”への恐怖だったのか...。数十年後に起きるある事件ではこの一件が深く関わってくることになる。


■山村貞子
演:伊野尾理枝、土田芽吹(少女期)
ご存じ呪いのビデオを生み出した怨霊。今回はいつもの姿はほとんど登場しない。
遺体が引き上げられ検死解剖をされるが死亡推定時期が1~2年前で、30年近く井戸の中で生き続けていた事が明かされた。遺骨は山村敬が引き取り棺桶ごと海に沈められる。
本作では正体の一端が語られ、独身である志津子が賽の河原から連れてきた話から父親は海から来たこの世のものではない“何か”であることが示唆されていた。
呪いに触れた人間が自分の力を行使できるような事態が起きており、これが本作における事件の中心となっている。

+ ネタバレ-

陽一から貞子の力を除去する実験によって(棺に入った状態で)出現、舞たちをあの世へと引きずり込む。そしてロープを伝って井戸から脱出しようとする舞と陽一の後と追うように粘土細工の顔で出現。爬虫類の如き動きで井戸をよじ登っていき舞のいるところまで到達、ロープを掴むが「なんであなただけ助かるの?」と発して落ちていった。自分から落ちていったようにも見えるが、死者故に上ることをこの世の仕組みに拒絶され強制的に落とされたようにも見える。
脚本の高橋氏によると霊が生前の行動を繰り返すように貞子も無意味であることがわからず井戸を上る行動を繰り返し続けているらしい。*9上記のセリフからも自分が死んでいることがわかっていないことがうかがえる。周囲に呪いを振りまく一方で自分はずっと手に入らないものを手に入れようともがいているという恐ろしくも哀しい姿が描かれたといえる。
30年も井戸の中で生き続けていた事実は詐欺ギリギリのキャッチコピーになるほどピックアップされていた割にはさして本編に絡まなかったわけだが、この生命力の強さは次回作で活かされることになった。





登場用語


■呪いのビデオ
ご存じ見た者は一週間後に死ぬビデオテープ。
前作の後にオリジナルのビデオは浅川が自宅のバスルームで燃やして破壊、ダビングされたテープも浩一が自分が見たテープ共々処分して完全消滅した。
……と思われていたが、浅川が入手する前にコピーされていたのかビデオの存在が再浮上した。このことからビデオはこれだけに限らず他にも存在する可能性も想定される。
香苗の友人の家にいつの間にか置かれていたようで、作中では香苗の友人が持っていたテープと岡崎に渡されたダビングしたテープの二種類が存在する。映像は登場しなかったが香苗のセリフから前作のビデオと内容は同じである模様。
また、雅美が陽一がテレビモニターに念写した映像として呪いのビデオの映像や貞子が井戸から上がってくる映像が登場した。
浅川によってビデオの呪いから助かるにはビデオをダビングして誰かに見せることであると推測されている。「らせん」では意味を為さない行動と(事実上)扱われ、貞子への協力が本当の方法とされていたが本作では陽一が生きていることや貞子への協力云々に触れられることが幾度ないことから「らせん」とは設定が異なり浅川が推測した方法をとれば助かることになっているようだ。*10


■貞子の遺骨
前作で浅川と高山に引き上げられた貞子の白骨死体。警察の検死で死後1~2年程度しか経っていないことがわかった。


■川尻の実験
川尻が発案した人間から貞子の力を追い出す治療。雅美と陽一に行われた。
貞子のエネルギーが真水に移動したことから同じことビデオテープにもできると考え、雅美の治療ではモニターへの念写とそれのテープへの録画によって雅美の中の貞子の力を全てテープに移すことを実験も兼ねて行うが雅美が気絶したことで失敗になった。
陽一の治療ではテープでは受け皿として容量不足であったとしてプールを満たした真水を使って実行。
しかし陽一の力が想定以上に強力であったことからプールがあの世へのゲートと化してしまいさらにそれによって貞子が干渉可能となってしまったことで舞たちは恐怖に陥れられることになる。


■山村荘
前作で浅川と高山も訪れたかつて貞子と志津子が住んでいた場所。今回は舞と陽一、川尻が泊まることに。鏡の部屋のシーンは本作の強烈な恐怖シーンの1つであろう。


■賽の河原
山村荘の近くにある海岸。山村敬曰く都合の悪い物を置いていき潮が満ちると海が流す場所であり、貞子が産まれた場所であるとのこと。志津子はここで海の向こうにいる何かと関わっていたようだ。


■貞子の井戸
今回は「らせん」同様貞子による幻影として登場、あの世へのゲートとなったプールに引き込まれた舞と陽一が井戸の中に放り込まれてしまう。井戸の入口はこの世へとつながっている。今回は貞子の牢獄としての印象が強い。
セットは前作では入り口から一体まで作られていたが本作では口、壁、底の3つに分けて撮影、口は1/2のミニチュアになり、一部は合成技術を使う形となった。




余談


■賽の河原のシーンでは撮影中男の声がしたという怪現象が二度起きたらしく、一度目のときは「りかこ」という名前を二度呼ぶ声が録音されていたらしい。その場にいた誰かの仕業ではないようで、さらに翌日には撮影準備中、モニターを始めとした機材が動かなくなるという現象が起きた。スタッフ陣は河原のシーンの撮影準備の際意味ありげな岩を邪魔だとどかしたことが原因なのではないかと考えたようだが、真相は不明である。


■本作の企画の一方で原作上「らせん」に続くストーリーである「ループ」の映像化の案も上がっていた。しかし「リング」がホラーとしてヒットしたため「らせん」以上にホラー性がなくむしろSFである「ループ」は受けないこと、そして予算や主人公に関わる「ある秘密」が映像上描けないことから見送られることとなった。


■本作の脚本は当初は高橋氏ではなく一般公募をして選ばれたものを採用する形となっており、様々なストーリーが寄せられたのだが結局決まらず、高橋氏が続投する形となった経緯がある。一般公募で寄せられたストーリーの内特に優秀だった作品は後に「the Ring もっと怖い4つの話」として書籍化された。
浅川が残した記録を元にした番組のスタッフが怪死していく「ON AIR」、貞子の井戸を埋め立てる作業者が次々と貞子の餌食になる「井戸」、貞子の井戸を中心にある男女の約束を巡るストーリー「誰かが見ている」、呪いのビデオを使ったクローン人間研究が事件を起こす「ループ」を彷彿とさせる超展開「ループ・オブ・ザ・リング」の4本が収録されている。
なお、「井戸」の藤岡美暢氏は後に「貞子3D」の脚本を担当、同作のノベライズ版も藤ダリオ名義で執筆しリングシリーズに本格的に関わることになった。


■映像はソフトはいくつか存在。


VHS:本編前後に映画・ゲームCMを収録。ドリームキャストのゲーム「リング」のCMも収録。


DVD:キャスト/スタッフ プロフィールや予告編・TVスポット集を収録。ワンダースワンのゲーム「リング∞」やなぜかPS2の「魔術士オーフェン」のCMを収録しているDVD-BOX収録のものやレンタル版もこれと同仕様。


BD:「貞子3D」公開に伴い発売、特典は予告編のみ。(レンタル版には未収録)












その謎は「リング」で始まる。
PREVIOUS [[リング>リング(映画)]]




撮ったら死ぬ
TO BE CONTINUED [[貞子>貞子(映画)]]




貞子の力に取り憑かれた人は追記・修正をお願いします。


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  • もう数年早く呪いのビデオ事件が起こり真相に至れるほど賢明な人物が解決に奔走し呪いのビデオの起源に辿り着いていたら、まだギリギリ生存していた段階の貞子が発見されるある意味原作よりよっぽどホラーな展開になってたかもしれないのか……? -- 名無しさん (2022-05-04 03:31:22)
  • 個人的にこの作品終盤の貞子は初代リングのアレを上回る最強のトラウマ。蝋で固められた白面の怪物が這い上がってきて気づいたら目の前にいるとか恐怖そのものでしかない… -- 名無しさん (2022-05-04 07:59:07)
  • ↑角川ホラー文庫から発売された脚本集によれば動きは爬虫類。さらにMEIMU氏による漫画版もあり、脚本と漫画版では顔の復元を何度も行うも別の顔になってしまうという不気味な現象が起こっていたが映画ではカットされた。粘土の貞子の顔も瞳でもあるのではないかと錯覚するほど恐ろしく、造形物としては最高レベル。 -- 名無しさん (2022-05-04 15:22:27)
  • 漫画版は「ホラーであり愛の物語」とあって、読んで納得した -- 名無しさん (2022-05-04 21:56:26)
  • 漫画版では香苗は画面から出て岡崎に襲いかからんとする夜叉の形相(MEIMU氏による顔芸とか言わない)で描かれ、岡崎はビデオの停止ボタンを爪が剥がれるまで押し続けるというグロ要員となっている。ラストも映画版とは違い、井戸から這い上がろうとする哀れな亡者(貞子)、駅で電車に乗ろうとする舞に見ていた眼鏡の男に舞が気付き、男が顔を赤くするなど生者としての新たな愛の予感があるなどハッピーなラストで描かれている。 -- 名無しさん (2022-05-04 22:27:49)
  • uso japanや「これマジ!?」でも紹介されてたけど...「りかこ」という怪奇声は...一体??? -- 名無しさん (2022-05-05 11:13:11)
  • 大牟田刑事のカットされた最後の場面は脚本集と漫画版では舞のマンションから携帯で貞子の顔の復元の調子を技師に確認、何度復元しても元の顔にならない事を技師が話すと恐怖から大牟田が復元中止を命令するも山村敬が遺体の引き取りを申し出たところで出番終了というもの。ちなみに漫画版での復元された貞子はワカメのような髪まである他、焦点の定まらない目を持つ不気味な粘土細工となっている。 -- 名無しさん (2022-05-05 16:10:42)
  • リング2は舞と陽一の極上のおねショタものだと思ってます。 -- 名無しさん (2022-05-05 20:28:24)
  • SF的ならせんとは異なり、正統なガチホラーの本作の貞子は1と同じ人。前作で智子や高山を襲った貞子は幻覚ではなく、他人にも見えるモンスターとして描かれ、目撃者である正美は20年後の続編にも登場する。 -- 名無しさん (2022-05-07 18:44:39)
  • 前作及び本作でまったく説明されてないが、女子高生の噂話はどういうことか事実で浅川家が処分したオリジナルとコピー以外にもビデオが存在していることは明らか。いつ、どの段階で呪いのビデオがこの世に出現したかは不明だが、前作の高山の言葉を借りれば「最初に噂を流した奴なんていない。みんなが不安に思ったことが噂になる。あるいはそうなってほしいって期待かな」が発端か。結局、怪物や呪いを求めたのは人間達だったということか。 -- 名無しさん (2022-05-07 18:54:13)
  • 個人的に初めて見たのは米のザ・リング2公開当時の2005年でコンビニでは漫画版も読んだ。1年後には後輩と貞子の話になって、貞子は両生類説が出てきた話も微笑ましかった。 -- 名無しさん (2022-05-09 21:50:53)
  • 昔テレビで見た時は子どもだったからリング2とらせんのパラレルな関係が分かんなくて首傾げたなぁ -- 名無しさん (2022-05-11 17:39:57)
  • らせんでは吉野(松重)が登場しているのに対し、こちらでは岡崎(柳ユーレイ)が登場している他、真のクライマックスシーンとしてあの世に通じる井戸も登場。この井戸は1では貞子が遺棄された場所、らせんでは貞子が安藤に見せたイメージ?で今作では貞子が作り上げた異空間として機能するが、高山によるロープやこの世の仕組みらしきもの妨害されるなど都合の良い万能空間ではない模様。 -- 名無しさん (2022-05-22 20:50:33)
  • 川尻役の小日向文世は同時期に放送されたリング最終章にて超能力否定派の大学教授・金田裕二を演じていて、川尻とはまったくの正反対。さらに金田教授のゼミには矢田亜希子演じる高野舞も所属しているという設定だったりする。 -- 名無しさん (2022-06-01 12:59:55)
  • 貞子(2019)では雅美は20年も生き続けたが、ノベライズによれば貞子の気まぐれで生かされていただけの模様。また事件後に川尻や舞、大牟田刑事から説明を受けたのか浅川達が調べた呪いの経緯や貞子の名前まで知っていた。さらに精神面も回復しているように見えて主人公のストーカーになるなど実際は悪化していて最後は本作同様、病院のTVに映った呪いの映像の影響によって今度こそ貞子に殺されてしまう。 -- 名無しさん (2022-06-02 11:33:15)
  • ガメラ3のVHSでは初っ端から本作と死国の予告があり、それだけで怖かった。時期的にモスラ3の方も学校の怪談4の予告があるなどどちらも怖かったが、その怖さもどこか楽しみだった。 -- 名無しさん (2024-05-02 18:09:28)

#comment

*1 一方で舞の自宅のマンションのロケ地や浩一の遺書の内容など「らせん」と共有している要素もある
*2 幻影は陽一の意思というよりはその場にあった貞子の思念が呼応したと思われる
*3 ただこれは呪いの解き方の方法の設定が変わったわけではなく後述の浅川父の結末が変わっていることが起因している可能性もある
*4 クレジットでは特別出演として記載
*5 取材の際、見たのか聞かれた途端深刻な表情になって頭を振っており、本当はこの時点でビデオを見たことがうかがえる
*6 恐らく舞と同様貞子の世界に引き込まれそのまま呪い殺された可能性が高い。川尻と林も同様と思われる。
*7 クレジットでは特別出演として記載
*8 貞子のことを言ったともとれるが貞子は舞が振り向かずとも出現していたため関係ないと思われる
*9 30年も井戸の中で生き続けていたことを考えると生前にも繰り返していた可能性もある。
*10 ただ浅川父の死亡理由が自殺から呪いに変わっていることやビデオのダビングも解釈によっては「らせん」における貞子への協力ととれることを考えると設定が変わったというわけではない可能性もある

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