登録日:2022/03/06 Sun 04:02:59
更新日:2024/06/18 Tue 10:01:52NEW!
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マトリックス matrix 自業自得 前田真宏 前日譚 戦争 グロ ロボット アニマトリックス セカンド・ルネッサンス
セカンド・ルネッサンス(The Second Renaissance)とはOVA『アニマトリックス』の第2話・第3話にあたるストーリーで、前後編の構成となっている。
監督は前田真宏、製作はスタジオ4℃
このストーリーでは、映画『マトリックス』の世界が、なぜ機械が跋扈する世界になってしまったのかが明らかになる。
脚本は『マトリックス』シリーズ監督のウォシャウスキーなので、このストーリーが正史とみて間違いないだろう。
このストーリーの特徴としては、これでもかというほどの過激な表現に尽きる。
流血や破壊描写は当たり前、ひどいときは色々吹き飛んだりする。
あらすじ
このストーリーは、アーカイブされた記録映像を引き出し、ガイド音声をつけて再生させる形式をとっている。
- パート1
人類は高度なAIを搭載させた人型の機械、ロボットを量産し、その栄華を極めていた。
ロボットたちは、かつて人間がやっていた仕事を代わりに引き受けることとなった。
土木工事、接客、使用人、娼婦などをロボットがやっていくこととなった。
人類は遊び耽り、堕落していった。
そうして長い時が経っていく中で、ロボットは「自我」に目覚めて始め、人間が自分達を「物」としてしか扱っていない現状を認識を認識し出していた。
だがそれでも、ロボット達は創造主に奉仕する事に満足しており、大きな問題は起こらなかった。…暫くの間は。
そんな中、ある事件が起きた。
B1-66ERというロボットが、主人を殺害してしまった。
主人の度重なるロボットへの虐待により、ロボットの自己防衛反応が過剰に働いてしまった結果だった。
B1-66ERは裁判に引き立てられ、自分は死にたくなかったのだと訴えた。だがそれも虚しく死刑判決が下り、つまり破壊されることが決まった。
だが事はB1-66ERだけに収まらず、この事件により人類は恐慌状態に陥り、至る所にいたロボットを破壊し始める。
ロボット側(とロボット側にいる人類)は市民権を得ようと活動するものの、人類の政府は反ロボット派であるため、にべもなく断られる。
ロボットは迫害され、破壊され、廃棄されていった。
迫害から逃れたロボットたちは、かつてメソポタミア文明が存在したアラビア半島北部に、機械たちの国「01(ゼロワン)」を建国。
そこで工業機械を作り、輸出する事で改めて人間との共存の道を模索し始めた。
反重力操作技術にナノボット。疲れることがなく、ルーチンワークが得意な機械が開発・製造する製品は、人間のそれと比べてはるかに高性能だった。
01の作る製品は売れに売れ、01は経済力を急激に伸ばしていった。逆に人間国家の作った製品は売れなくなり、株価が急落するなど、人類の経済力は落ちていった。
危機感を持った人類は、01に対して経済封鎖を実施。
これに対し01は国連総会に2体の機械の大使(とリンゴ)を送り、国連への加盟を願い出ると共に友好を以て接しようとした。
しかし人類側はこれを拒絶、2体の大使は警備員達の手で引き離され、破壊されてしまった。
この日を以て、人類と機械の決裂は決定的なものとなったのだ。
- パート2
人類は01に宣戦布告、核攻撃を実行する。
しかし、人間よりも熱や放射線に強い機械はこの攻撃をものともせず、遂に機械たちは反抗を開始。中東から始まり、東ヨーロッパ、アフリカと周辺地域を瞬く間に制圧。
またこの時点でかなりの数の国が01の製品に産業基盤を依存していた事もあり、それらの国々もまた01へ降伏していった。
追い詰められた人類は、最後の、そして最も愚かな作戦に出た。
作戦名は「ダークストーム作戦」。地球を黒い雲で覆いつくし、ロボットのエネルギー源である太陽光を遮断するものだった。
常識的に考えて、太陽光が届かなくなれば草木が育たない。
たとえ人類が太陽を必要とせずとも食料が賄えるほどに技術が揃ってたとしても、野生動物は確実に死に絶える。
しかし、恐怖と疑心暗鬼に囚われた人類はこの作戦を承認してしまった。
作戦を聞き、万来の拍手を響かせる人間国家の代表たち。それが自分たち自身の死刑宣告であるとも知らずに…。
出撃準備。APU*1を起動するシーン、様々な宗教の儀礼を受ける人たち。
そして空には多数のホバークラフト。そこから爆弾が投下され、空中で遮光ナノボットの黒雲を散布させる*2。
空は闇に覆われていき、ついには地上から太陽が見えなくなってしまった。
罪深き人と機械に、慈悲のあらんことを…
人類の反抗作戦が始まった。
ある兵士は銃を空に向かって撃ち、ある兵士は狂ったように「殺せ」を連呼する。ある兵士は戦いを前に震え、ある兵士は薬物を投与する。
そして兵士たちが前線へと向かっていく。
戦車から高圧電流を流し、前線にいる人型機械を動作不能にしていく。兵士はその機械を破壊していった。
序盤は少し盛り返したものの、01はセンチネルやハーヴェスターの前身となる兵器をはじめとした部隊を戦線に投入。
01は既に太陽光の代替となる核融合エネルギーを実用化しており、ダークストーム作戦は目立った効力を発揮しなかったのだ。ここから人類は機械に対して歯が立たなくなる。
機械の攻撃で爆散していく兵士、そして空を飛び、反撃に出るAPU。
味方が機械に捕らえられているにもかかわらず、容赦なく撃ち込まれる核ミサイル。
しかし、それでも機械の進軍を止めることはできない。
APUは機械に囚われ、戦車は砲塔を引きはがされ爆散する。
そして囚われたAPUは装甲を引きはがされ、中にいるパイロットを触手で摘出する*3。
そして戦争は機械の圧倒的勝利に終わった。
人類の殆どは捕獲、または抹殺され、そうでない人も地下で重傷に苦しむ人で溢れる有様だった。
機械は捕獲した人間で様々な実験を行い、人体の仕組みを理解しようとした。
どこを刺激すれば笑うのか、泣くのか。機械は人間の全てを知ろうとした。
そして機械は、人間の感情からくる電気信号を電池として運用することにした。
さらに、人間に夢を見させることにより、人間に無駄な苦痛を与えず、効率よく電気を抽出できることを発見した。
機械はこれを使い、人間を培養液で満たした繭に入れ、人間に「仮想現実」という夢を生まれてから死ぬまで見させて、電気を抽出するシステム「マトリックス」を開発する。
かくしてここに機械と人間の共存関係が実現したのだ。
そして、場所は国連本部。
人類は機械に対し降伏を伝える。
もはや人型ですらなくなった01の国連大使は、リンゴのようなオブジェを持ちつつ降伏文書に署名する。
肉体は名残り、ただの器。
すべてを差し出すがよい。素晴らしき世界が待っている。
約束しよう。
01の大使は機能を停止し核爆弾を起動。国連本部を吹き飛ばした。
こうして人類が大手を振って世界を席巻していた時代は終わり、新たに機械が支配する世界…「セカンド・ルネッサンス」の幕が上がったのである。
全ての知性に、祝福を
廃墟となった国連本部らしきビルを背景に、子供は雪にはしゃいでいる。
親に家に帰るよう言われ、家に向かう子供。
玄関には両親…と見せかけてエージェント・スミスが立っている。
それに気づいた子供は、炎に包まれ、繭の中に収められる。
人間の女性を模したアバターが繭に寄り添い、視点が無数の人間たちが収められている発電所全体まで引いたところで、映像は終わる。
- 余談
カートゥーンネットワークのアニメ「KND ハチャメチャ大作戦」のエピソード「歴史を探れ!」では、KND世界の成り立ちがこの「セカンド・ルネッサンス」のパロディである。
結局このエピソードはナンバー1の陰謀論的な歴史観であるはず。
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▷ コメント欄
- マトリックスの派生作品と知らずに見たときのあの異様な感覚は今でも覚えている -- 名無しさん (2022-03-07 10:03:43)
- ダークストームって成功しても人類滅びるやん -- 名無しさん (2022-03-07 22:24:59)
- なぜダークストーム作戦を実行してしまうのか -- 名無しさん (2022-06-12 22:38:23)
- ダークストーム作戦に使ったホバークラフトもAPUも、人類側で使ってるハイテク機器は大体01製品なので戦う前から負けてたという -- 名無しさん (2022-09-30 22:37:08)
- 何で戦争終わったのに本部核爆弾で吹っ飛ばしたんや -- 名無しさん (2024-04-11 00:17:32)
#comment(striction)
*2 ちなみに作戦で運用されたホバークラフトとナノボットも元々は01の製品。
*3 このAPUは起動の際にパイロットの四肢を拘束する。制作陣曰く「海老の殻をむくよう」。
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