登録日:2021/12/31 (金) 18:46:01
更新日:2024/06/17 Mon 13:16:31NEW!
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もとより、すべては我がものよ
『ヴォルラーン・アングサリ(Vholran Igniseri)』とはゲーム『テイルズ オブ アライズ』に登場する敵キャラクターである。
CV:速水奨
【概要】
ダナの世界を支配するレナ人の統治者「領将」の1人で、水沫の国ガナスハロスにて水の星霊力を集めている。
黒の衣装を身に纏った、凍てつくように鋭い目つきをした長髪の男。
何故か主人公アルフェンに執着し、執拗につけ狙っている。
【領将として】
彼もまた他の領将(テュオハリムは除く)同様住民であるダナ人達を虐げているが、その方法は異質。
洗脳やら何やらの小手先の手段は一切使わず、純粋に己の力を見せつけた恐怖による支配を行っている。
その結果ガナスハロスは最早国の体裁を保っておらず、恐怖により自我を失った住民たちは、
「ヴォルラーンに誉れあれ」と呪詛のように呟きながら船に運ばれて最終的に虚水化するという惨状に陥っていた。
その後アルフェン達はガナスハロスを解放できたものの、住民たちはその後遺症で自意識がなかなか戻らず、事後処理に一月以上かかってしまった。
彼個人の性格としても、作中トップクラスの傲慢さの持ち主であり、とにかく自分の力を誇示する傾向にある。
難しい言い回しを多用しながら一方でどこか言葉足らずようにも見受けられるなど、不安定さを覗かせている。ぶっちゃけ会話のドッジボール。
またガナスハロスは街全体が一つの美術品のような豪華絢爛な国であるが、テュオハリムの見立てでは「住み心地最悪で見た目だけに拘っている」とのこと。
ついでに彼の玉座も美しさと威圧感たっぷりの、水晶を削ったようなものであるが座り心地最悪であることは明らか。
それだけヴォルラーンは「自分が支配者である」ということに拘っている男なのだ。
彼の前ではダナ人は勿論、同胞であるレナ人ですら等しく自身の奴隷である。
このため、自分が支配者で当然という振る舞いからテュオハリムは真逆の方向で領将王争に興味を示さない人物と言える。
因みにこのガナスハロスの街を、ヴォルラーンはたった数年で完成させたらしい。
尚、本編の数年前までは別の領将がガナスハロスを治めていたが彼が急死したことでヴォルラーンが後釜として就任。
以来、ガナスハロスは他領どこか領将同士ですら交流を行わない、極めて閉鎖的な国となった。
このため本編開始時ではテュオハリムですらガナスハロスやヴォルラーン個人の情報が殆ど入ってこない始末であった。
またレナ人たちの居住区でもあるレネギスにおいてもヴォルラーンを知るものはほとんどいない状況。
彼の性である「アングサリ」ですら知られていない無名の家系らしく、それ故に彼が領将に選ばれたことに反発を抱いている者までいる有様。
【戦闘能力】
〈王〉はひとりっ!!他はすべて消えろ!!
はははははっ!!!
武器は刀のような長剣で、単純な剣戟だけでも相当強い。
加えて彼を実力者たらしめているのは驚異的な身体能力。
瞬間移動と見紛うような速度での移動、あらゆる攻撃にも対応できる回避力、剣に頼らない純粋な体術なども凄まじく、ヴォルラーンを捉えるだけでも一苦労する、
その実力はアルフェン達6人を、(彼と同格であるテュオハリムがいるにもかかわらず)余裕で圧倒するほど。
だがアルフェンを付け狙っているという設定故か、ゲームでの戦闘中は「アルフェンを追いかけるように走る」というAIが組まれており、
そのためアルフェンにムーブリングを装備して逃げ回ればひたすら彼を追いかけ回しまくるというシュールな絵面が見られる。
真面目に戦うならテュオハリムのブーストアタックで機動力を奪っておくこと。
本気を出すとアルフェンの炎の剣とは対になるような氷の剣を取り出し、水属性の星霊術を使用してくる。
勿論全員にガーネットを装備させておけば軽減できるし、術の方もリンウェルのブーストアタックでかき消せるが。
ただしこの状態になると電流を広範囲に広げる、竜巻を起こす、闇の波紋を広げると他属性の技や星霊術も使用してくるので注意。
秘奥義は地面から複数の水柱を発生させる「レクスタリオニス」。
これだけなら単純な回避で躱せるが、加えてヴォルラーン本体の波状攻撃も襲い掛かってくる。
本気を出した際の秘奥義は空中から巨大な氷の剣を落とす「フィニステルナム」。
地面に剣を減り込ませ、辺りに強烈な冷気を広げる。このため凍結状態になる恐れもあるので対策はしておくように。
【本編での行動】
初登場はシスロディアの吹雪の中、多数のはぐれズーグルを切り伏せている所をアルフェン達に目撃される。
この時は彼の圧倒的な強さを見せつけるだけにとどまり、姿を消す。*1
次の登場はメナンシアを出たあたりでアルフェンにの奇襲をかけ、彼に「…探したぞ」と呟く。
そのまま6人に全員を相手にして圧倒するも、ヒロインのシオンに額を撃たれ彼女に反撃、興を削がれたのか立ち去る。
そしてミハグサールの領将アウメドラを撃破した直後、船上であるにもかかわらず海上から出現して乱入。
満身創痍のアウメドラから助力を請われるも意に介さず彼女を殺害。
シオンを攫って姿を消す。
これはアルフェンを誘い出すための手段の1つであったようで、攫った彼女を何故か黒い服に着替えさせた上で小部屋に放置していた。
その後、シオンと合流したアルフェン達を玉座にて待ち構え、戦いに突入。
一度は膝を突くも、アルフェンに剣先を突き付けられた彼は……。
負けだと?馬鹿めが!!
なんと額に宿した水の紋章が砕け、アルフェンと同じ<王>の紋章を発現させる。
彼もまたアルフェンと同じ<王>であったことがここで発覚し、彼自身のみならずこれまでの領将王争そのものに疑問を抱かせることとなった。
激闘の2連戦の末に敗北、炎の剣で体を貫かれた倒れ伏し、水の主霊石を奪われる。
しかし直後に別のトラブルが発生、それに気をとられている隙に彼は姿を消し…
以下、ネタバレ注意。
その後、ダナの世界を苦しめる根源を叩くため遥か上空にあるレナの都市レネギスを訪れたアルフェン達。
そこで様々な真相が明らかになる中、彼の正体についても明らかとなる。
実は彼はレナ人ではなく、アルフェン同様ダナから「招霊の儀」のために拉致されて改造を受けた〈王〉の候補者の1人。
そのため「アングサリ」は苗字ではなく、「特殊調整系」を意味している。
能力自体は申し分なかったものの、精神面に問題があり王としては不適格であったため廃棄も考えられたが、
当時のレナ人により領将に偽装されたダナに送り込まれた。
(アルフェン以来、300年もの間<王>の実験は失敗続きだったため貴重な成功例であるヴォルラーンを廃棄に踏み切れなかったものもあると思われる)
その後レネギスの奥で壁に張り付けになっている姿でアルフェン達と対峙し、自分がダナ人であることが判明し、それなのに同族を虐げていたことを驚かれるも、
部屋の爆発に巻き込まれ、アルフェン達に、「常に俺が後ろにいると知れ」と遺恨を残して消えた。
これで死亡したと思われたが…
以下、さらなるネタバレ注意!
来たぞ。予告通り
ラストダンジョンにて、世界崩壊の元凶をどうにか撃破したアルフェン達。
そこへ一隻の星船が現れ、一つの影―――ヴォルラーンが飛び降りてきた。
ヴォルラーンは決戦に乱入するばかりか元凶を封じ込めるための要である「レナス=アルマ」を奪ってしまう。
自らこそ絶対的支配者だと信じてやまない彼にとって、元凶に操られていたというのは耐え難い屈辱だったのである。
そのためだけにあの部屋の爆発から生き延び、血まみれになりながらも元凶をその手で葬るために姿を現した。
ヴォルラーンのやり方なら、確実に元凶を葬り去れる。しかし、それはシオンを見殺しにすることと同義であった。
シオンを救いたいアルフェンにとって当然それは認められるものではなく、「レナス=アルマ」を取り戻すため、そして世界とシオンを救うためにヴォルラーンに戦いを挑む。
すべてを支配する<王>とすべてを分け与える<王>の最終決戦が幕を開けた。
そう、ヴォルラーンこそ本作の真のラスボスである。
そのまま因縁のアルフェンと一騎打ちとなる。回復がアイテムのみなので少々辛いが、
ルーチンは相変わらずな上にHPを半分減らせばイベントが発生し負ける事はなくなる。
この一騎打ちは互いの<王>としての在り方を表したものであり、BGMの壮大さやシチュエーションの熱さも相まって特に人気の高い一場面である。
支配されないために、支配する
それは終わりのない憎しみの道だ!
分からないのか。行きつく先は破滅しかない。
赦し合いだけがそれを避けられるんだ!
弱者の思想よ。虫唾が走る
違う!赦し合うことこそが強さだ!
赦しなどない。ただ強者の蹂躙あるのみ
そう思うのはお前が孤独だからだ!
誰かと出会っていたらお前だって……!
愛する者の温もりに触れたことは? 友は?
支え導いてくれる者は?
お前にだって仲間くらいいただろう!
俺が覚えているのは背中に振り下ろされる鞭の火のごとき痛みだ
そして気紛れに奴隷を殺す強者。
より弱い者を生贄にして生き延びる弱者
愛だと?友だと?どこにもありはせぬわ
二人の王の信念は真逆であり何処まで行っても平行線のまま、互いに剣を交えながらヴォルラーンは語りだす。
アルフェンもシオンも元凶も殺し、双世界に屍の国を築こうと。ただ支配し蹂躙するためだけの存在として。
この考えはアルフェンに「お前は何もない、哀れな奴だ」と告げられるも、ヴォルラーンは聞く耳を持たない。
敵であるレナ人は勿論、ダナ人ですら自らのために同胞を裏切り、そして自身は鞭に打たれ続けるという悲惨な現状。
これらがヴォルラーンを狂わせ、同時に支配者としての執着を強めてしまうこととなった。
だから彼はとにかく支配者であることに拘り、他者を自分の下に置きたがるのである。
しかしそれは誰かから奪い取り、憎しみが憎しみを呼ぶだけ。行きつく先は破滅でしかないのだ。
死闘はなおも加速し、アルフェンの持つ焔の剣とヴォルラーンの持つ氷の剣がぶつかり合う。
貴様が失せればすべて収まる!
死ねぇ!!
お前こそ!孤独の限界を知れぇ!!
うおぉぉぉおおお!!!
赦し合いこそが強さであり、破滅を避けられるのだとアルフェンは自らの信念を以てヴォルラーンと切り結び、遂に宿敵ヴォルラーンは敗れ去った。
一方は何もかもを斬り捨て、己以外の骸を踏み砕いて進む屍山血河の孤独な道を歩む者。
一方は何一つ零さぬように、己と共に支え合うことで茨の先にある共存の道を目指す者。
勝敗を分けたのはその背中を押してくれることで湧き上がる力だったのだろう。
敗北後、アルフェンは「お前はなまじ強かったせいで仲間がおらず道を違えてしまった」と憐れまれる。
同時に何かを間違えていたらヴォルラーンと同じようになっていたかもしれない、自分がなり得た可能性の一つと悟る。
だからこそ、アルフェンは彼を許そうと手を差し伸べた。だが……
……哀れんで赦す。まさしく強者の所業よ!
支配者であることに執着し続けたヴォルラーンはそれを受け入れず、「レナス=アルマ」を手に取って力を暴走させる。
たとえ世界を救い、虫の良い夢を描こうと、
これより貴様が歩むのは、裏切りと失望に満ちた汚辱の道!
……その果ての暗闇で待っているぞ!!
最期まで彼はアルフェンと分かり合うこともなく、「レナス=アルマ」の力によって自爆して果てるのだった。
なお、フルネームは「ヴォルラーン・ライ・アングサリ・ライモ」
「アングサリ」は名字や家名などを表すものではなく、王を生み出す実験における『特殊調整系』を指す分類上の区分けに過ぎず
その他の言葉も「ライ」=『世代なし』、「ライモ」=『母集団無し』という意味。
ざっくり訳せば「特殊実験体グループA班のヴォルラーン」というもので
どこまでもモルモット扱いされている悲哀を感じざるを得ない。
奴隷として虐げられ、その上連れ去られて人体実験までされるという彼の人生は正に悲惨だったが、
そのせいで歪んでしまい、支配することに酔いしれてしまった哀しきラスボスであった。
実際にアルフェンも作中では本当に自分の信じた道や考えは正しいのか?という岐路に立たされており、その度に誰かの言葉や生き様で正しい道を選び取ってきたが
信頼出来る者はおろか相談出来る者すら誰もおらず、孤独だったヴォルラーンはその全ての選択肢で間違いに進むしかなかったのだろう。
だが劇中では結局何がしたいのかはハッキリとは名言されておらず、ただただアルフェンを倒す事のみに執着していた。
不必要なものは全て捨ててここまで来たヴォルラーンには、ただ一つ自分が手にした『王』という地位を奪おうとする者。
すなわちアルフェンの存在を簒奪者として見做して否定することしか残っていなかったのかも知れない。
過去作にはバルバトスやザギのように「主人公を倒す事のみを生き甲斐としたボスキャラ」が何度か登場したが、彼もまたその系譜であったと言えるだろう。
【余談】
担当声優の速水氏は、「デスティニー」にてパーティーメンバーのウッドロウを演じていた。
彼もまた王であったが、ヴォルラーンとは真逆の民の事を第一に考える良き王様であった。
追記・修正、よろしくお願いします。
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*1 消える際に水の星霊力を纏っており、彼が水の領将であることの伏線になっている
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