キッズコンピュータ・ピコ

ページ名:キッズコンピュータ_ピコ

登録日:2021/11/05 Fri 20:48:00
更新日:2024/06/06 Thu 13:55:17NEW!
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遊びが学びの最初の一歩


PΙСО



『キッズコンピュータ・ピコ』は1993年6月26日にセガエンタープライゼス(現:セガ)より発売された未就学児~小学校低学年向けの知育玩具。
略称としてピコ或いはPICOが用いられる。



知育玩具、というがその正体はTVに繋いで専用のロムカセットを差し込めばゲームが遊べるれっきとした第4世代型ゲームハード
メインターゲットは未就学児という極めて特異な狙いによる有力競合ハードの不在、そしてピコそのものが持つユニークさにより安定して評価された本機は、
PCエンジンスーパーファミコンら第4世代機が引退し、
NINTENDO64初代PlayStationあと引退しそびれたメガドライブセガサターンが鎬を削る第5世代においても生き残り、
第6世代機ドリームキャストPlayStation2に屈しセガがゲームハード業界を撤退してもなおセガトイズに移管されて売られ続け、12年に渡ってソフト供給が続けられた”最長寿”のセガ製ゲームハードとして確かな実績を残した。
国外での販売実績こそ振るわなかったものの、その売上台数は340万台とメガドライブの国内実績に見劣りしないものとなっている。それはメガドライブが国内で売れてないだけとか言っちゃダメ
SEGAハードやゲームはあまりにもコンテンツが最先端過ぎて、その当初の時代に追いつかなかったり、理解されないなどの不遇な扱いを受ける事が多かったが、ピコはまさにSEGAのチャレンジ精神がうまく時代とマッチした成功例と言っていいだろう。




【概説】

そもそもピコのコンセプトである「幼児の知育を電子ソフトで行う」という発想、実はセガにとって初めてではなかった。
1986年にくもん式こと公文教育研究会の監修を受けながら、「セガAIコンピュータ」という幼児向け知育コンピュータを開発したことがあったのである。
結果的にセガAIコンピュータは販売価格17万円*1という設定が祟ったか盛大にコケるが、
知育の分野に一日の長があることは間違いなく、セガは遊びと教育を複合させたゲーム機によって新規顧客層の開拓を狙っていく。


そんなピコ自体のマシンスペックとしては……平たく言えばメガドラサウンドを意図的に捨てたメガドライブ
FM音源とその制御用サブCPUであったZ80を取っ払ったメガドライブのアーキテクチャにADPCM音源を積み、入力機器を簡略化することによって出来上がったのが初代ピコであり、
初期のピコに存在するメガドラ用コントローラー接続端子や、メガドラからそのまま流用された起動時セガロゴにその名残を見ることが出来る。
お値段は希望小売価格16000円からスタート。元々メガドライブが第四世代機では安めの値段設定な影響もあってか、そのスペックを考えると割と破格の値段である。


ピコ自体の構造は二つ折りされた本体をノートパソコン状に開き、上面側に専用ロムカセットを差し込むようになっている。
下側には赤い大きな丸ボタンと4色の上下左右に対応したボタンがあるほか、
ボタン式タッチペン(有線)とタブレットシートがあり、これで存分にTVを通じてお絵描きを楽しむことが出来る。


但しただのお絵描きマシンで終わるはずがないのがセガである。
ピコを画像で見てみれば、そのソフトの二つとない独自性は一目瞭然だろう。
ピコ専用ソフトの見た目は、「下部にカセットが付いた絵本」なのである。



絵本ソフト

ピコ専用ソフトの正式名であり、ピコの最大の特徴。海外版ではStoryware(ストーリーウェア)と洒落た固有名称が付いている。
見開き5ページ前後の絵本状の部分がくっついたロムカセットを差し込むと、
各ページごとの形がずらしてある冊子に本体上部に空いた穴の中のセンサーが覆われることで、「今何ページが開かれているか」が把握される。
すると把握されたページに対応する映像がTVに流れ、絵本部分をペンでタッチするたびに内容に応じたイベントが出力できるようになるのだ。


なおページをめくってしまえばすぐに場面が転換される構造上、良くも悪くもピコは「順番通りにゲームを進めていく」というソフト構成を考慮しない傾向があり、
遊びたいところから遊びたいようにソフトを楽しめる一方で、セーブ機能は完全に放棄されている。
わずかな例外としてお絵描きがセーブできる『ミーミとタータのワイワイおえかきどうぶつえん!!』、ペットの育成状況をパスワードで記録する『3つのしっぽ』があるが、大多数はその構成上セーブもパスワードも必要としない。


そしてピコはメガドラサウンドこそ失ったものの16-BITの継承者。ADPCM音源によりBGMを流しつつキャラを流暢に喋らせるぐらいならさして苦労もなくこなせるスペックはあり、それを活かして徹底的にキャラゲー・コラボゲーを出しまくった。
セガは兄貴分メガドラが散々苦労したので積極的にサードパーティを誘致し、特にアニメや特撮などの人気キャラクターが登場する作品を重点的にプッシュ。
絵本の中、TVの向こうの大好きなキャラクターたちと楽しく遊んで豊かに育つ知育ゲームというピコの基本が完成することになる。
これらキャラゲー・コラボゲーの題材は先述の通り各種アニメキャラや特撮ヒーローたちに始まり、セガハードの立役者ソニックはもちろんのこと、各種ディズニー作品やサンリオキャラクター、トミカやレゴにリカちゃんシルバニアファミリーといった玩具など実に多岐にわたる。


そして、驚く勿れ。


''アニメも含めた相手のブランド力が化け物だった点も大きいとはいえ、ライバル会社である任天堂の人気コンテンツポケットモンスターのゲームが遊べるセガハードなどピコ以外まず存在しないだろう。''


ピコ発売当時は現在と違って''セガ任天堂はライバル会社関係であり''、自社のコンテンツを異なるハード、ましてやライバル会社のプラットフォームで出すなどまずありえないことだ。


時は流れ、初めてポケモンのソフトが発売されたのはセガがゲームハード事業から撤退した後の2002年。
任天堂としてはセガとの関係がかつてのライバルからサードパーティに変化したせいか、それともピコをゲームハードとして見なしていなかったのか、はたまた需要は見込めたが当時の任天堂のハードでは進出の厳しい未就学児向けゲームを出すために一時的にセガに協力を要請したのかは定かではないが、


セガハードで唯一、任天堂のコンテンツを供給させた


という快挙を達成したのだ。


ちなみにこのピコのポケモンソフト、販売もセガトイズが担当している。形式的にはトミー*2発売のソフトをセガトイズが販売、ということになっているが。


アタッチメント

ピコのメイン入力機器はタブレットシートを通じたタッチペン入力であり、必然的にピコのソフトはお絵かきソフトとしての性格を持つものが多数ではあったが、
それだけに留まらないゲーム性を実現するのが各ソフトが用意した専用アタッチメントであった。


一例として『クッキングピコ』のアタッチメントを挙げてみよう。
ミニゲームを通じて料理を体験する本ソフトに付属するアタッチメント、その姿はピコの下面を完全に覆うキッチンである。
本体のボタンの上にはアタッチメントがボタンを被さり、アタッチメントの上に並ぶコンロ・蛇口・まな板などはボタンの役割を果たし覆い隠されたタブレットの特定部位をタッチする構造となっている。
このアタッチメントの上で付属の鍋や食材、包丁などを操作すればプログラムの側が操作状態をタブレットを通じて受信することが出来るし、本体付属のボタン操作もアタッチメントを通じて行うことが出来るのだ。


このようにそれぞれのソフトがそのソフト独自のアタッチメントをピコに覆いかぶせることで、
「トミカをジオラマで走らせる」「美容師となって人形のヘアスタイルを整える」「ウルトラマンと怪獣を戦わせる」といった風な
ごっこ遊びが直接電子ゲームの操作になるという独自性を以て、ピコは子供たちの心を大いに揺さぶったのである。


……ただし、要するにソフトごとに筐体用意してそのまま載せてるようなものであり、対象年齢の低さからパーツを小さくできないことも相まってアタッチメントは非常にデカい、というのは難点と言えるか。
畳まれた本体と大差ないサイズのアタッチメントを載せた姿は、本機がメガドライブの系譜にあることをしみじみと思い起こさせてくれる。




【本体バージョン及び互換機】

2005年に本体生産が終了するまで実に12年に渡って子供たちのもとに届けられたピコ。
流石にメガドライブを流用した初期型で最後まで賄えるわけもなく(というか冒頭で述べた通りメガドラ含む各種セガハードよりピコはしぶとい)
本機は何度かモデルチェンジが行われている他、他社との提携による互換機も存在する。



  • キッズコンピュータ・ピコ(初期型)

黄色と赤で彩られた初期型ピコ。ただ赤は底面の色なので実際の使用者にはタブレットシートの紺色のイメージの方が強いかもしれない。
上述した通りのコントローラー接続端子が本当の初期生産型には存在するほか、
持ち運び用のハンドル、タッチペンを差し込むペンスタンドなど後の普及型ではなくなった機能も多い。


  • ミクストブックプレーヤー コペラ

1993年12月1日にヤマハと共同開発された、音楽教育機能をプラスした上位互換機。
専用の音楽ソフト「ミクストブック」の存在により、ピコシリーズの中では最多の対応ソフト数を持つ。
タブレットシートを同梱の鍵盤シートに交換できる点も特徴的か。
FM音源の内蔵、音声のステレオ化、マイク接続可能で音声認識対応、MIDIにも対応と一通りの音声機能は強化されたが、
流石に値段が跳ね上がってしまったようでミクストブック発行数全10本とあまり普及はしなかった。
……ヤマハ音楽教室で教材として使われてたんで出番がないわけではなかったようだが。


本体カラーは柔らかい青紫、タブレットシートはライトグレー、4色ボタンはパステルカラーとオシャレにイメチェン。
ビビットカラーのピコに慣れていると違和感を抱くこと請け合い。


  • 育脳塾

イマジニア社を通じ販売された、より学習に特化したピコ互換機……を名乗る色違いのピコ。
学習に特化したのは育脳塾ソフトして発売されたソフトの性質に依拠するところが大きく、カラーリングとロゴ以外に本体に差異はない。
結局ソフト購入者がピコユーザーばっかりで育脳塾本体は在庫がたまり、セガから「型番とカラーリングが新しくなりました」という体でピコとして売りさばかれた。
なおそれより前には北米版ピコの在庫を育脳塾として売ってたらしいのでもう何がなんやら。


平成教育委員会 Jr.』は育脳塾版とピコ版双方のソフトが発売されており、それぞれ内容が異なっている。
またセガ発売の海外ピコソフト『Ecor Jr.』『Tails and the Music Maker』は、日本ではイマジニアより育脳塾ソフトとして発売された。
どっちもセガのゲームキャラのソフトなのに他社から別ハード用に発売って、どうなってるの?


  • キッズコンピュータ・ピコ(普及型)

1997年以降発売されたバージョン。『おためしおえかきソフト』を同梱した「ピコプラス」という商品名で売られてたのはこっち。
開いたときにソフト端子側が紺色、タブレットシート側が黄色の2色になるのが初期型との一番目につく相違点。


余談ながら、『おためしおえかきソフト』は1996年頃からのイメージキャラクターであるパケットの登場作ソフトを抜粋したもの。
……なのだが、パケットは1997年に好感度・知名度調査をソフト付属アンケートで行って以来ぱったりとソフトに顔を見せなくなり、
1999年にはむちゅうじんピッピちゃんにイメージキャラの座を譲った。


  • キッズコミュニケーション・ピコ

2001年6月1日に発売された、本体ソフト端子側の形状を変更し軽量化・薄型化したピコ。
お値段も税抜12800円とさらに低下したが、画質に関しては若干の改善が行われている。
とはいえ基本スペックは従来機と同じであり、従来ソフトとの互換性もアタッチメントが特殊過ぎた1作を除き保っている。
本体は白基調・タブレットシートは水色にカラーリング変更された他、各種色違いモデルが登場。
本体やタブレットシート*3にキャラクターをあしらったコラボピコも登場した。
結果セガ生まれゲーム機なのにソフトどころかハード本体までピカチュウに浸食されることになる。


なお、ピコの4つの方向対応ボタンは白(↑)・緑(→)・橙(↓)・青(←)が基本だったのだが、
本体色が白になったことを機に白ボタンが黄色ボタンに変更された。
……のだが、既存ソフトの多くがボタン入力指示をボタンの見た目で行っていたことなどが影響したか、
変更は受け入れられずにすぐ白ボタンに戻された。そして同時期販売ソフトによる「黄色ボタン指示」が取り残された。


前述の非対応ソフト『みんなできょうそうアンパンマン!』は同梱のマルチタップを使って遊ぶ。
こちらの新型ピコには取り付けられないため非対応とされているのだが、その仕組みは
「管で繋がれた4つの空気ポンプを経由して、各プレイヤーが4色ボタンを個別に押せる」
というアナログなもの。
絵本ソフトの起動に制限はなく、ボタンを直接指で押せば普通に遊べる。


  • アドバンスピコ・ビーナ

ピコの後継機。CPUがゲームボーイアドバンスなんかにも採用されたARM7TDMIに変わり、32ビット機に進化している。
左利きでも利用しやすいよう両側にタッチペン接続端子があり、利用者に合わせたペン配置が可能。
さらにタッチペンを追加し2本つけたままにすることもできる。ただし排他利用となるので、二人同時に絵本をタッチしたりお絵描きすることはできない。
操作ボタンも両側に一組ずつ設置されたことで、ユニバーサルデザイン化と同時に二人同時プレイの余地も向上した。
TVに接続しない状態で絵本ソフトを音の出る絵本として楽しむことが出来る機能も搭載。
各種機能も向上し、ターゲット層を従来の未就学児中心からそのファミリー、小学校高学年や高齢者層などへと広げることを目指したが……


  • ピコランド

アーケード版ピコ。トレーディングカードが払い出され、それらを読み込んで遊ぶ形式。
後継機種ビーナランドも提供されたが、総じてトレーディングカードの題材チョイスがカオス。



このほか、セガトイズは”ピコ”をハード名というよりは知育玩具のブランド名と位置付けていたため、
音の出る絵本「さわってピコ」や子供向けパソコンソフト「ぱそピコ」などのピコの名が冠された商品がいくつか存在する。



周辺機器

  • プリファン

熱転写式のビデオプリンター。正式名称は「ハイテクホビープリンター プリファン」。
対応ソフトを通じてペーパークラフトなどが作れる。
実はセガサターンやビデオカメラなんかにも幅広く対応するしその使い方も箱に書いてあるのだが、
「ピコ用プリンター」を強調するシールが貼られるようになるなど立ち位置がよくわからない奴。
定価は値下げされたセガサターンよりほんの少し安い19800円+税。


専用カートリッジ「キャラクターパック」を装着すればフレームやグリーティングカード用のデザインをプリントできるようになる。
ラインナップはサンリオほかファンシーグッズ系キャラ、ちびまる子ちゃん・レイアース・雑誌ちゃおといったアニメや漫画に加え、
まさかの実写キャラ「ジャニーズJr.」(プリファンCMに出演)と、完全に女児向けのチョイスだった。
一応男児寄りにバーチャファイターとドラえもんも発売されたが……。


画質は銀塩写真ライクにプリントできた本式のビデオプリンターには及ばず、はっきり言って子供騙しレベル。低解像度でぼやけ気味かつ網目がかっており、印刷サイズも小さい。
アニメやイラストなら妥協できたとしても、実写物ではかなり残念な仕上がりになる。


  • たのシート/おえかきれんしゅうシート

タブレット部に載せて使う、両面に様々な絵や図形が印刷されたシート。なぞることで図形やキャラ、文字や迷路などが綺麗に描ける。
おえかきれんしゅうシートは96年にバンダイから販売されたものだが、95年から登場していたセガ製のたのシートの同等品。
しかし1パックあたりのシート枚数はたのシートよりも少ない。ケチだなバンダイ。
……双方で商品名を統一しないあたり、この直後に合併を試みる2社の距離感が窺える商品な気がしないでもない。


  • ピコタウンへでかけよう!

キッズコミュニケーション・ピコと同時に登場した、ピコ専用オンラインサービス「ピコタウン」接続機器
通信制御ソフトを入れたPCと専用絵本ソフトをUSBで繋ぎ、PC上に表示されるピコタウンにアクセスする仕組み。
ピコはPC用入力デバイスとして使うことになる。ソフトもネット環境設定もすべてPCに委ねるので、ピコ自体を弄り回す必要がないお手軽構造。
……なのだが、「通信技術進歩にピコ側の性能が追い付かない」として僅か1年半でサービスが終了した。



【ピコシリーズの終了】

2005年4月の『甲虫王者ムシキング あつめてあそぼう甲虫図鑑』を最後にピコのソフト供給を終了したセガは、同年8月に後継機アドバンスピコ・ビーナを発表し急速に移行を促していく。
2005年度中に25万台販売を計画されたビーナは、しかし期待されたほどの台数を売り上げることが出来なかった。


ピコを大幅にリデザインし、性能も強化したビーナであったが、リデザインとカセット規格の変更によりピコとの互換性は絵本ソフト・下部ボタン配置の双方から放棄されており、
12年に渡り積み上げたソフト資産は一切使うことが出来ない
元々ターゲット層が狭く、キャラゲー重視という性質も考えれば既に時代遅れのソフトが多々混じっているのは確かだが、
曲がりなりにもゲーム機の次世代移行である以上その選択は極めてハイリスクであったのは間違いない。*4


では新しくソフトを作ろう、となると供給媒体が専用ロムカセットという弱みが気になってくる。
ピコの登場した第4世代機の時点で既に、コスト面などのカセット式記録媒体の弱みが囁かれディスクメディアへの移行が目指されていた。
そこから時が流れて12年、後1年待てばWiiも含めた第7世代機が揃い踏みする2005年は既にディスクメディアでのプログラムにサードパーティの方が慣れ切っている。
ピコシリーズの場合絵本部分という独自性の塊がくっついてたり、小さな破壊神とも言える未就学児が扱いの繊細なディスクメディアを問題なく取り扱うことが難しいという事情もあり、なおのこと作る側も二の足を踏まざるを得ない。
結果的にビーナのソフトは1年に10本出すのが精一杯、だんだん5本出すのが辛くなるペースという極めて心許ない本数しか出なくなる。


そして最大の泣き所は携帯機との衝突。
ビーナの登場した2005年は、5月にニンテンドーDSソフトとして『脳を鍛える大人のDSトレーニング』が登場しブームを巻き起こしたまさにその年。
ビーナが新戦略として狙っていた筈の高齢者層やファミリー層は、
より高性能でより手軽なゲーム機に、まさに狙っていた「学習ゲーム」の分野で持って行かれてしまったのである。
ソフト同梱とはいえ税込13440円とDSの値段とさして変わらなかったのもこうなると痛かった。
ビーナは顧客ターゲットを拡大するという目標を果たせずじまいのまま、徐々に存在感を失っていくことになる。
2008年には同梱ソフトとACアダプタを省いた廉価版ビーナLiteを提供。こちらは税込9975円に収めたが、この頃からソフト供給減が深刻化したこともあり流れは戻せず。


追い打ちを掛けるようにメインチップの開発製造を担当していた提携企業が2009年に倒産。*5
これを機に挽回を諦めたのか、2011年をもってソフトの提供はついに途絶。ビーナとしての販売ソフト数は全63本で終わった。


なお、ビーナ及びピコシリーズに事実上トドメを刺したニンテンドーDSもまたタッチペンを主要入力機器とするゲーム機だったこともあり、
セガトイズ企画原案、コンパイルハート開発で2008年以降DS-PICOシリーズとして2作ほどDSソフトを提供している。
見方を変えればセガが可能性を見出していた「タッチペン&タブレット」「学習ゲーム」は、十数年の月日によって一般に膾炙したとも言えるのかもしれない。



追記・修正はセンサー穴を指で塞ぎながらお願いします。


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  • 従兄弟が新しいピコ買ってもらったときには軽く嫉妬するレベルで楽しんでたなぁ -- 名無しさん (2021-11-05 20:51:15)
  • コペラでピコ版ウルトラマンを散々遊んだな。メガドラの再設計みたいなもんって知った時は(メガドラも持ってたのもあって)笑っちゃったけど -- 名無しさん (2021-11-05 21:10:00)
  • 懐かしい、まさにDSの前身だね。楽しい幼稚園かな、ブルースワット、カクレンジャー、パワードとかいろいろは言ってるやつと、ゴジラが好きだった -- 名無しさん (2021-11-05 21:16:16)
  • 昔ピコでプラレールのゲームをしたのは懐かしい…… -- 名無しさん (2021-11-05 22:14:12)
  • 仮面ライダーアギト&クウガの格ゲーもどきをめっちゃやってたわ -- 名無しさん (2021-11-05 22:19:02)
  • 実はコンパチヒーローも出てた -- 名無しさん (2021-11-05 23:13:40)
  • できる子になる生活習慣 ドラゴン桜 幼児編というソフトがあるのだがプレミア付いてる、そして何よりドラゴン桜の濃いデザインなのに頭身が園児という超アンバランス… -- 名無しさん (2021-11-05 23:24:58)
  • トーマスでめっちゃ遊んでたわ。懐かしい… -- 名無しさん (2021-11-06 01:08:54)
  • 懐かしい。お絵描きソフトやバグズ・ライフ、ウルトラマンガイアでよく遊んだわわ -- 名無しさん (2021-11-06 02:17:25)
  • シャンゼリオンのソフトあったよね -- 名無しさん (2021-11-06 02:42:54)
  • 相当昔だが、カクレンジャーのもので遊んでいたな…たまに負けて敵怪人に爆殺されていたが。 -- 名無しさん (2021-11-06 02:56:42)
  • 中身がほぼメガドライブってのは知らなかった…理に適ってるけどすごい設計だったんだな… -- 名無しさん (2021-11-06 04:42:31)
  • ウチにあったの初期型だったのか、ウルトラマンとかミッキーのやってた覚えあるわ -- 名無しさん (2021-11-06 06:58:52)
  • 下部分がトミカのめっちゃ豪華な奴あったよな -- 名無しさん (2021-11-06 15:18:37)
  • ピコの歴史みてて関心してたら最後の部分でセガハードはやっぱりこうなるのかって感じでちょっと笑っちゃった。 -- 名無しさん (2021-11-06 17:56:41)
  • あら、ビーナってそんなに売れなかったんだ。おもちゃ屋とかでデモンストレーションが置いてあってそこで時々遊んでたけどな。 -- 名無しさん (2021-11-06 21:28:13)
  • とても懐かしいな。実家のピコはもう動かなくなってしまったが家族皆でそれほど遊んだ証なんだよな。釣り学校とかマクドナルドのはかなり楽しかった -- 名無しさん (2021-11-06 21:46:16)
  • 初期型でやってたな パケットのゲームは良作だと思う -- 名無しさん (2021-11-07 02:23:08)
  • ゴジラのソフトは滅茶苦茶ハマった。自分で描いたりパーツを組み合わせたりして作った怪獣でバトルできるのが面白くてなぁ -- 名無しさん (2021-11-07 22:17:52)
  • 金持ちの子の家にあるおもちゃってイメージ。昔は地方スーパーにもおもちゃコーナーがあってそこに置いてある展示品でしか遊べなかった思い出。 -- 名無しさん (2021-11-09 01:18:51)
  • 後継機だけどビーナには確かドラゴン桜のソフトもあった気がするけど、どうだっけ?おもちゃ王国のビーナが沢山置いてある場所にそれがあったような… -- 名無しさん (2021-11-09 19:18:46)
  • かつて任天堂の携帯ゲーム機に敗れた(ゲームギアは単に自滅しただけとか言っちゃダメ)セガが再び任天堂の携帯ゲーム機に敗れたというね… -- 名無しさん (2021-11-09 19:58:14)
  • トミカピコ買ってもらったなー。タイトル画面が何気にいい曲なんだよね -- 名無しさん (2021-11-09 20:20:46)
  • ソフト提供期間最長を誇るNEOGEOが14年、ということを意識すると実はかなりの偉業を達成しているハード。でもほとんどの人がゲーム機だと思ってないし「セガガガ」にも出られない不憫な奴(セガガガは多分ドリキャス一点賭けというテーマにあわないからだろうが) -- 名無しさん (2021-11-10 08:53:49)
  • お前メガドライブだったのか…これも枯れた技術の水平思考? -- 名無しさん (2021-12-04 22:31:04)
  • ドラッキーシリーズの最終作は何と育脳塾でのお絵描きソフトだった。 -- 名無しさん (2022-03-21 01:34:58)
  • アンパンマンがホラーマンを轢くゲームもこれか -- 名無しさん (2022-07-08 21:14:23)
  • トミカの奴欲しかったんだよな。ゲームの拡張機器なのに普通のトミカタウン製品並みに内容が豪華だった。 -- 名無しさん (2023-03-19 12:40:25)
  • 当時のおもちゃ屋には大体これの試遊台があってどこも行列ができるくらいには人気だったが、実際に持ってる子は少なかったな。 -- 名無しさん (2023-03-19 12:44:02)

#comment

*1 本体価格9万円弱に、同梱された全18巻の教材ソフト8万円強でこの価格。一応当時のパソコンとしてはローエンドな価格帯ではあったらしいのだが……
*2 トミーはメディアミックス開始当初からポケモン玩具の製造・販売を手掛けていて、その縁からか現在もアーケードゲーム「ポケモンメザスタ」等のアーケードゲームをタカラトミーアーツが手掛けている
*3 本機からタブレットシートが透明な保護シートを加えた二層構造となっている
*4 擁護するならば、前世代機のソフトがそのまま遊べるいわゆる後方完全互換がゲームハードの命運を左右することになったのはPSとの完全互換を成し遂げたPS2以降であり、PS2登場を以てハード業界から去ったセガは互換性を維持してハードを作る経験自体が絶無であった。ましてやビーナ発売時点でセガには実に4年以上の据え置きゲーム機開発に対するブランクがある訳で、互換性は断念するという判断もやむを得ないところはある
*5 アプローズテクノロジーズ。ビーナに搭載のシステムLSI「AP2010」を開発・製造。

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