登録日:2021/10/12 Tue 05:36:17
更新日:2024/06/06 Thu 13:45:21NEW!
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ミルコ・デムーロ 騎手 ジェントルマン イタリア人 てんとう虫 jra エイシンフラッシュ ネオユニヴァース ドゥラメンテ 納豆 ジョッキー 競馬 最敬礼 デムーロジャンプ オメガパフューム ⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン イタリア系関西人 ※ギルド・テゾーロではない ※ミルモではない
ミルコ・デムーロ(Mirco Demuro)は、日本中央競馬会(JRA)所属の騎手。
南ヨーロッパの大国・イタリア共和国出身で、1999年から短期免許制度を利用して毎年来日して騎乗していたが、2015年3月1日よりJRA所属騎手となった。
妻子はいるものの一度離婚しており、前妻との間に娘が2人、後妻との間に息子がいる。
イタリアで「幸運を運んでくる虫」とされているてんとう虫を好み、てんとう虫のステッカーを色んな所に貼っているという。
来歴
1979年生まれ、イタリア・ローマ出身。父ジョヴァンニも元騎手、姉パメラも元騎手で現在調教師、弟クリスチャンもイタリアの騎手(2020年にソットサスで、2023年にエースインパクトで凱旋門賞を制覇)と、騎手の家系に生まれた。
幼い時から馬が好きで中学の卒業試験に失敗し高校への道を閉ざすと騎手になることを決意した。
1994年に騎手免許を取得、翌年にはイタリアの見習騎手*1リーディングの栄誉に輝き、1997-2000年にはイタリアのリーディングジョッキーになっていた。
その騎乗センスの良さを日本の関係者から見込まれ1999年に初来日、2003年には後述のネオユニヴァースで二冠も達成している。
その後も度々来日しGⅡ・GⅢのみならずジャパンカップや有馬記念など数々のGⅠタイトルを獲得。
2013年にはJRA通年免許取得を試みるも不合格、2015年に再度受けフランス出身のクリストフ・ルメール共々外国人騎手初のJRA通年免許を取得し、この年はドゥラメンテなどとともにGⅠ戦線で無双。さっそくリーディングジョッキーとなった。なお下記のように二冠馬には恵まれるも三冠馬には恵まれていない
以後活躍拠点を日本に移しており、2019年までは栗東、一時は美浦に所属したこともあったが2024年現在は再び栗東に拠点を戻している。
2008年からGⅠ連勝年数を継続していたが2022年は1度も勝利できなかったことで連勝数は13で止まってしまった*2。
2020年に父ジョヴァンニが癌で亡くなった際には日本に住んでいたため、新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限で死に目どころか葬儀への参列も叶わなかった。
ただジョヴァンニは生前度々来日しており、息子2人がGⅠで勝利するのを見届けている。またミルコが日本に行くことをジョヴァンニは止めるどころか、後述するイタリア競馬の現状を肌で感じていたこともあってか「イタリアから出た方がいい」と後押ししてくれたことを回想している。
相棒ネオユニヴァース
デムーロを語るうえで外せないのはネオユニヴァースとのコンビである。
デムーロはネオユニヴァースについて、身体的な素質の高さ以外にも「騎手なんて必要ないくらい頭がいい」と高く評価し、欠点は「人間の言葉を喋れないこと」と言ったほどだった。
2003年のスプリングステークスから鞍上を務め見事勝利、更には皐月賞・日本ダービーで2冠も獲得する。
特に日本ダービー勝利時は外国人騎手として史上初のダービー制覇なこともあり会場では「ミルコ」コールが響き渡った。
レース後のインタビューでは今では考えられないカタコトな日本語で「アリガトウゴザイマス」「イタリアダービーを5回勝つより、1回、日本ダービーを勝つ方がうれしい」「まるで中田英寿になったような錯覚に陥った」とコメントしている。
この時デムーロは客席に対し鞍上で帽子を脱ぎ会釈、自分よりもネオユニヴァースを褒めてくれとジェスチャーしており実況・解説者からは「ジェントルマンですね」と高評価だった。
後に本人はダービーを取れたことを喜ぶと同時に、余所者がダービーを獲ったことでブーイングが来ると身構えていたようで、それがまさか万雷の喝采と自分の名前を歓喜の声で迎えられるとは予想外だったようである。
陣営はダービー後も体調が良かったことからダービー馬が休養に秋に向けて休養に入ることが通例となっていたのを覆し宝塚記念に出走を決めた。
しかしスタートの出遅れやその後のレース運びがうまくいかなかったことが響き結果は4着。
心機一転菊花賞で三冠を期待されたネオユニヴァースとデムーロのコンビだったが、デムーロはこの時短期免許制度の制約である3カ月を春に消化してしまっていた。
だがJRAが特例措置として「同一馬で1年間にGⅠを2勝以上すれば、その馬が同年にGⅠに参戦する際にGⅠ当日のみ騎乗を認める」と規定を改定したことで菊花賞への騎乗も認められた*3。
レース運び自体は順調だったが運悪く歯替わりの最中で操縦性に影響が出てしまい惜しくも3着となり三冠の夢は潰えた。
その後ジャパンカップに出走するも4着、休養を挟み翌年の産経大阪杯で久々に勝利するも天皇賞(春)は10着の大敗。
陣営は宝塚を目指し調整していたが骨折が判明、宝塚を回避し秋の復帰に向け調整したものの叶わず引退・種牡馬となった。
そして時は流れ2011年、デムーロはドバイワールドカップに初挑戦。
この時デムーロは前年の有馬記念を制し、引き続き鞍上を務めたヴィクトワールピサ(ネオユニヴァース産駒)で勝利、日本馬にとっての同レース初勝利ももたらした。
更に同じくヴィクトワールピサ産駒のジュエラーで桜花賞を取るなどネオユニヴァースは掛け替えのない相棒だったが、2021年3月に不慮の事故によりこの世を去ってしまった。
生前から「これまでの騎手人生の中でナンバーワンの存在」「夢の馬」とまで語り、日本を主戦場にしたいという夢を叶えてくれた相棒の突然の訃報にデムーロはショックを隠し切れなかったが、
同時に「あなたは間違いなく私の人生を変えてくれました。」「絶対に忘れられない馬、とってもとっても感謝しています。」と感謝の言葉も口にしている。
イタリアの競馬事情
競馬の本場とも言えるヨーロッパの競馬一家で育ち、イタリアのリーディングジョッキーにまで上り詰めたデムーロ騎手。そんな彼がなぜ、若手時代から来日を繰り返し、挙句の果てにはJRAの通年免許を取得して日本に住処を構え、中央競馬の騎手になることを決めたのか?
そこにはイタリア、ひいてはヨーロッパの競馬事情が大きくかかわっている。
彼の母国イタリアは古代ローマで戦車競走が栄えたこともあって速歩競走*4が主流、国内競馬場の半数が速歩競走専用で平地競争はどちらかと言えばマイナーな部類。
そのため唯一のGⅠだったリディアテシオ賞*5も2019年にはG2に降格、イタリアのGⅠレースはなくなってしまった。
そもそも日本競馬は公営ギャンブルとして国がバックにいるため競馬協会の力が強いが、海外では賭け胴元のブックメーカーの力が強く競馬協会の力が弱いなど、競馬と言っても日本とは違う点が非常に多い。
中でもイタリアは平地競走はマイナーなため、
- 1レースの賞金が安い
- 賞金が課税対象な上、支払いは下手すると半年後
- 賞金が安いので騎手は出走数を増やさざるを得なくなり、落馬など危険性が高まる
という三重苦に陥ってしまっており、ミルコによれば賞金未払いなのに税金の請求が先に来るという事態まで起きていたという。
ただ、この1レースの賞金が安いというのは別にイタリアに限った話ではなく、むしろ日本がGⅠどころかGⅡ・GⅢですら世界的に見ても高額である。
GⅠでは日本で最高額のジャパンカップよりも賞金総額の多いレースはサウジアラビアのサウジカップ、ドバイ首長国で行われるドバイワールドカップを始めとするドバイミーティング、オーストラリアのジ・エベレストなどがあるが、サウジは2月、ドバイは3月に集中していることから1年で見るとそこまでの規模がない。
オーストラリアは欧米に比べると賞金も高めであるが、同時に速歩競走も盛んなため日本ほど平地競走に傾倒していない。
また州によって賭け方式が異なっており、日本や一部の国で主流のパリミュチュエル方式*6・欧米で主流のブックメーカー方式*7が混在している。
香港やシンガポール(後者は2024年10月をもって閉鎖予定)といった地域・国にも世界的に見れば高額なレースはあるが、国土・地域の狭さから1つの競馬場での開催なため必然的に開催できる数が限られている*8。
一方日本は平地競走が主流で東西でGⅠを開催できる競馬場が複数あり更に全国各地に競馬場が存在、そのためGⅡ・GⅢレースも頻繁に開催される。
例として長年日本競馬界では壁として立ちはだかる凱旋門賞は1着なら日本円で約4億円と高額だが、その前哨戦とされているフォワ賞はGⅡにも関わらず約950万円。
各天皇賞は2億2000万円*9だが前哨戦とされている阪神・京都大賞典や毎日王冠などは6700万円、更に1着馬には天皇賞の優先出走権が与えられる。
他にもG2は5000万円以上、G3でも3000万円を超える賞金のレースが週に最低1レースは開催されており、海外騎手から見れば母国の重賞よりも日本の重賞の方が賞金が高いのは当たり前。
それどころか地方レースの条件戦、下手すると新馬戦・未勝利戦の方が賞金が高いということも珍しくない。
一応賞金の配当は馬主80%、調教師10%、騎手・厩務員が各5%となっているものの、騎手は別途様々な手当てがつくので年収数千万円が普通で2000万以下が少数なくらいである。
実質レースの賞金は臨時ボーナスのようなもので天皇賞ならば1100万円が騎手のもの、出身国によっては重賞の賞金を騎手で独り占めできるようなものである。
更に公営ギャンブルということで支払いも滞ることがないため海外騎手からすれば
賞金が高く支払いも早いから生活には困らない・それでいてレース数が多いから選択肢も豊富で無理して騎乗回数を増やす必要がないといいことづくめ。
実際欧米ではG1の数こそ日本を凌ぐ国が少なくないものの、基本的に11月~翌年4月まではオフシーズンなのに対し、1年通してレースをしているのは日本くらいである*10。
そのため世界中の騎手獲得賞金ランキングでは、2021年現在日本騎手がトップ3を独占している*11。
上位にランクインしている海外騎手の勝利数と比較すると日本騎手とほぼ同額であっても、日本騎手の勝利数が海外騎手の1/2、1/3でほぼ同じ賞金を稼ぐなど騎手に対する支払いは非常にいい。
それゆえ地方競馬でもそこそこ稼げることから地方競馬で短期免許を取得する騎手も少なくなく、デムーロもJRAで通年免許を取得する以前はNARで短期免許を取得している。
日本に遠征しGⅠなどタイトルを獲得すればミルコの弟デム二郎クリスチャンのように欧米の有力厩舎と契約を結べるなど若手にとっては自分を売り込むチャンスにもなっている。
デムーロやルメールのように日本で通年活躍できれば母国よりも賞金を稼げる…騎手からすれば日本競馬はアメリカン・ドリームならぬジャパン・ドリームの一面も持っている。
また海外の騎手は日本の騎手ほど自由に競走馬や陣営を選べるわけではなく、一部では「調教師のラジコン」とまで言われるほど騎手の役割が異なっている。
そもそも海外の競馬は出走数が多くないうえ、同一厩舎や同一国陣営が複数頭を出走させて連係プレー*12をするのが当たり前など団体戦的要素が強く、騎手の介入する余地があまりない*13。
だが日本では腕を見込まれれば地方の段階から良質な競走馬が与えられ、勝てば更に良質な競走馬に騎乗できる機会が回ってくる。
レース自体も混戦することで同じ厩舎や陣営所属の出走馬がいても騎手に判断が委ねられることにやりがいを感じる。
おまけに日本では平場*14の条件戦ですらG1開催日では万単位の観衆が付くことが珍しくなく、重賞ともなれば数万~十数万人もの観衆の歓声を浴び、勝利すればその視線を独り占めしてヒーローとして称えられ、中継テレビ局のインタビューまでついてくるのだ。
平場戦ではコロナならずとも観客は疎らなのが当たり前、重賞ですらヘタをすると関係者の方が人数が多いこともあるという海外の騎手にとっては、夢のような環境である。
なお仕事以外でも2022・23年に来日したトム・マーカンド、ホリー・ドイル夫妻のように、短期滞在期間で日本の観光地を満喫するようにオフを日本で楽しむ騎手もいる。
観客サイドの話になるとそもそも海外では競馬場の入場料が日本ほど安くない*15、レースによってはドレスコード必須、と敷居が大きく異なっており、庶民から少し浮いた存在になっていることが多い。
だが日本では地方競馬に人気を押されていた中でのトキノミノル人気によって中央競馬が人気を盛り返し、更にシンザン、タケシバオー、ハイセイコーと続き、しまいにはオグリキャップというスターホースによって競馬が日本では紆余曲折を経て一般大衆とは身近な存在になった。
またレースの賞金自体も海外では観客を入れた上での興行収入によって設定されていることも多いため、コロナによって無観客になりかなり厳しいことになっているのに対し、
日本の場合は開催地のみならず場外馬券場が全国に存在すること、近年はネット投票が普及したことでコロナによって無観客になってすら売り上げが増えている。
コロナより少し前のマカヒキが凱旋門に挑戦した年から日本馬が出走する海外レースの馬券販売も行われるようになった。
フランスではそれまでフランス国内だけ販売の馬券を日本でも買えるようにしたところ国内だけで約20億円だったのが
日本だけで約41億円、通算で総額約61億で売り上げが3倍にも伸びたことは海外競馬関係者にとっても衝撃的で「日本馬が来てくれるとネット投票で馬券も売れる!」
ということが分かるようになると様々な優遇措置*16を設けて日本馬を歓迎するという事態が起きている*17。
事実2019年の掛け金総額の上位5か国は
イギリス 2兆2495億1121万9625円
オーストラリア 2兆2817億9009万5500円
アメリカ 1兆2281億4217万5000円
フランス 1兆1031億8421万3625円。
そして日本はというと3兆6756億2767円2250円とぶっちぎりの1位。
多くの国がブックメーカーであることを考えるとJRAが年間に得る収益が海外の競馬協会とは大きく異なり、それだけ日本競馬が海外と比べてあまりにも特殊な環境というのが分かる。
また競馬事業の所管は農林水産省で地方も含め多数のレースの主催になっているうえ、毎年JRAが納めている税金はある年で約3000億円にも及び、税金の重要財源の一つにもなっている。
これらのこともありGⅠレースではジャパンカップ・有馬記念がそれぞれ2021年まで1着馬の賞金が3億だったのが22年に4億、23年には5億で日本での最高額を更新し凱旋門賞越え。
三冠レースも皐月・菊花賞がそれぞれ1億5000万から2億、ダービーが2億から3億に変更され、三冠ボーナスも1億から3億に変更。
他にも数多くのレースで賞金が増額されるという大幅な改定が行われる。
これは芝だけでなくダートでも賞金の増額の他大幅なテコ入れが発表され、更に羽田杯・東京ダービー・ジャパンダートダービー*18を3歳ダート三冠競走に指定。
それに伴い各種トライアル競争の新設や既存レースの昇格と設定・開催月変更、他にもさきたま杯GⅠ昇格など昇格や距離変更、GⅠ川崎記念の開催月変更など大幅な変更が実施される。
余談
クリスチャン・デムーロ
先に述べたように彼には13歳年下の弟クリスチャンデムーロがいる。
幼少期からミルコが面倒を見ておりクリスチャンと名付けたのもミルコだったりする。ただしミルコは人の名前を覚えるのが苦手で嫁の名前も怪しいので弟のことも名前では呼ばない
幼い時から兄はスパルタで競馬を教える厳しい面もみせつつ、誕生日プレゼントにアイルランドまで乗馬用の馬を買い付けに行くほど溺愛している。
その期待に応えて彼は欧州でも指折りの名手に成長、ソットサスで凱旋門賞を制した時兄は公共の場にも関わらず大声で歓喜してしまった。
年が離れているにも関わらず兄弟仲は良く、現在はフランスを中心に活動しているがいずれは兄のように日本に来たいと思っているようである。
事実兄から日本語の指導を受け、勝利インタビューも簡単な日本語なら受け答えできるようになっている。
また兄同様その腕を見込まれて海外遠征した日本馬の騎乗依頼をされる事も多く、彼自身も懇意にしてる日本馬もいる。
なかでもディープインパクト産駒の2021年ダービー馬"シャフリヤール"は短期免許が交付されず、来日出来なかった2023年の国内戦以外はドバイSCで勝利以降はドバイのみならず
イギリス・アメリカ・出走叶わなかった香港でも彼が騎乗予定されていたほど世界中どこのレースであっても騎乗している。
ジャパンカップで2着に敗れた際には「シャフリヤールの実力はこんなものじゃない」(要約)と発言するほどお熱だったりする。
ちなみに日本食は兄同様彼の舌にも合っているようで特にラーメンが好み、そのため来日時食に困ることはないという。
天覧競馬での最敬礼
デムーロを語るうえで外せないのが2012年の天皇賞(秋)である。
まず天皇陛下観覧による天覧競馬自体が100年以上歴史のある日本競馬界においても3回目という歴史的なことであった。
そんなレースでデムーロはエイシンフラッシュの鞍上を務め日本ダービー以来となる2年5ヶ月ぶりのGⅠ制覇を成し遂げた。
ウィニングラン後メインスタンドへ向かい下馬、ヘルメットを脱ぎ、天皇・皇后両陛下に対してひざまずいての最敬礼を行った。
これには両陛下も手を振って答えられ、会場では大きな歓声と拍手が沸き起こった。
なお、規定上レース後検量前の下馬は規定違反*19であり、審議対象となったが制裁は科されなかった。
制裁を科さなかった理由は公表されていない。
「『陛下の目の前で不正などしようもない』とJRAが判断したため」「デムーロの両陛下に対する敬意をJRAが汲んだため」というのは都市伝説に過ぎず、「JRAに問い合わせたら『事前に勝ったら然るべき挨拶をするようこちらが依頼したので制裁対象外』と返事が来た」というのも伝聞の域を出ない。
なお、デムーロは後にインタビューで
- 勝った騎手は両陛下に挨拶するよう事前に依頼されていた
- 松永幹夫(2005年秋の天皇賞)と四位洋文(2007年の日本ダービー、こちらは台覧)の最敬礼を確認した
- フラッシュは良い馬だと思ったが、直近の成績が良くなかったため勝つのは難しいと思っていた
- 勝って嬉しいのと段取りが分からないのとでパニックになった
- 2人とは違う事をしたいと思い、下馬しての最敬礼にした
- 後検量前の下馬は規定違反だと知っていたが、今回は特別だと思った
- JRAの職員(最敬礼中近くに居た赤い服の人)には怪我があったのかと酷く心配させてしまった
- 裁決委員にはすごく怒られた
と語っている。
障害レース
日本の平地通年免許を取得したミルコだが、平地と同時に障害免許を取ろうとしたほど障害レース好きでもある。
平地に集中してほしい周囲の説得もあってお流れとなったが、現在でも検量室では食い入りように障害レースを見ており自宅にはオジュウチョウサンのぬいぐるみも置いてある。
実際取材に対し熱心にオジュウチョウサンや障害レースについて熱く語っている。
和食と日本文化が大好き
実はかなりの日本好きで、京都に住んでいた時は家に和室が3部屋あった。神社にも頻繁に参拝している。
JRAの騎手2次試験は日本語での口頭試問で、一時期は騎乗を自粛してまで勉強。その結果日本語が非常に堪能になり、それを生かして競馬新聞を読んで作戦を立てている。
2021年にユーバーレーベンと共にオークスを制し、久々にGⅠで勝利した時には「厄年終わってほしい」とコメントを残すなどかなり日本文化にはどっぷりである。
さらに納豆も好きで、競馬開催前日に入室する調整ルームは多くの外国人騎手が洋室を選択する中、一人だけ和室を選びそこに納豆を持ち込むほど。
ただし前妻との間に生まれた娘は納豆は苦手だそうで、「箱を食べるか、中身を食べるか聞かれたら箱を食べる」とキレのあるコメントを残している。
豆腐に関しては行きつけの豆腐屋があるほどで偶然豆腐屋の取材に訪れた際に映ってしまう珍事も起きている。
今ではかなり流暢に日本語を話せるが日本語学校に通っている、これは日本の調教師になる勉強の一環でそれほど日本に愛着を持っている。
ファンからはあまりにも日本になじみ過ぎていることから『イタリア系関西人』などと呼ばれているが本人もこれは知っており自覚している。
というのもミルコ自身はインスタで自身のエゴサしてファンが撮影した写真にイイネするのが趣味、ゆえに自然とネット界隈のことも熟知している。
飛行機ポーズ・サッカー好き・ジャンプ
最敬礼とともにデムーロを語る際に欠かせないのが、しばしば両手を水平にして行う「飛行機ポーズ」のパフォーマンス。
2007年の中日新聞杯をサンライズマックスの鞍上として制覇した際に披露したが、この時はゴール板直前でやってしまったため罰金5万円が課された。
その後も2008年ジャパンカップをスクリーンヒーローで制覇した際のウイニングランや、先述した2012年天皇賞(秋)における最敬礼後に披露している。
コパノリチャードに騎乗して制覇した2014年の高松宮記念時も披露したが、中日新聞杯同様またもやゴール板直前でやってしまい、今度は罰金10万円が課された。
2017年のフェブラリーステークスでも、ゴールドドリームの鞍上として制覇した際にゴール直後に披露。
この時は制裁を科されることはなかったが、採決委員から怒られたらしい。ファンからはお金払えば好きなポーズを取れると思ってる、罰金支払うためにレース勝ってるなどと言われる
それだけ飛行機ポーズ決めることから飛行機好きかと思えば、国内移動は極力新幹線を使うほどの大の飛行機嫌いだったりする。
なおこのポーズは、デムーロの故郷ローマのサッカーチーム「ASローマ」で活躍しイタリア代表にもなったFW、ヴィンチェンツォ・モンテッラのゴール後パフォーマンスに因んだもの。
デムーロは自らを生粋のロマニスタ(ASローマのファンの愛称)と公言するほどのサッカー好きで、中でもモンテッラのゴール後パフォーマンスを気に入っている。
ちなみに2010年末には、当時サッカー日本代表監督を務めていたアルベルト・ザッケローニと友人になったことを明かしている。
しかしデムーロ自身はサッカーはあまり上手くないらしく、短期免許時代に栗東トレセンサッカー部に助っ人として参加した際には池添謙一に「使えなかった」とバッサリ言われていた*20。
また飛行機ポーズに並ぶ有名なものに通称デムーロジャンプがある。
これはヒーローインタビューのお立ち台から降りる際両手足を高く上げてジャンプして降り、その躍動感のある姿をカメラマンに激写され、以後GⅠで勝利した時などで度々披露している。
よく混同されるがこちらは特に罰則規定などはないことから飛行機ポーズに比べると披露する機会は多い。
ドッキリ企画
2017年に行われた「第23回ファンと騎手との集い」では恒例のドッキリ企画でターゲットにされてしまう。
当イベントの企画会議という名目で開かれたミーティングにデムーロはクリストフ・ルメールと共に召集されたのだが、ルメールは会議の前から「この後地方競馬の騎乗予定がある」と言って時間をとても気にしていた。
松山弘平が司会となって会議が始まるも、ルメールはいつになくイライラしていた。するとそこに川須栄彦が遅刻して到着。ルメールの態度は険しさを増していく。
それぞれ企画のアイデアを出し始め、デムーロはそれに笑いを交えて乗っかるが、ルメールは「去年と同じ。面白くない」などと一蹴。会議には不穏な空気が立ち込めていた。
そしてついに、ふとしたことから日本人騎手たちが揉めて取っ組み合いになってしまうと、ルメールは「何も決まってない!」と怒鳴り、部屋を出て行こうとする。隣のデムーロは唖然として固まる。
川須がルメールを引き止めようとするが、ブチキレモードのルメールはテーブルに置いてあった瓶で川須の頭を殴打した上、部屋の隅に積まれていたダンボール箱に突き飛ばし、放送できないフランス語で罵詈雑言を浴びせて退出していった。
親友の警察沙汰、もしくは国際問題にもなりかねない暴行を目の当たりにしたデムーロは、嵐が去った沈黙の中で愕然としたまま呟く。
「日本人でしょ? ヤバいよそれは」
半ば放心状態のデムーロ。
するとそこへ、
どっきり!
大成功!!
プラカードを抱えてニッコニコ顔のルメールが戻ってきた。周りの騎手たちも空気を一変させて笑い出す。
見事に騙されたことを知ったデムーロは、服の裾で顔を覆い、テーブルに突っ伏した。
とはいえ、この騒動の中でも瓶が割れるほどの強さで殴られたはずの川須が血を流してないことに疑問を持つ余裕はあったらしい*21。
サムズアップして喜ぶルメールに、デムーロは「アクターできるね」と演技力を称賛し、一件落着のハグを交わして、無事企画は大成功で締めくくられた。
同郷の世界最強騎手
2019年にJRA短期免許を取得し来日したフランキーことランフランコ・デットーリ。その際彼は同じイタリア出身で昔から付き合いの深いデムーロの自宅に居候することになった。
久しぶりの再会ということもあって当初は喜んでいたデムーロだが、フランキーの尋常ならざるアグレッシブさに苦労することになってしまう。
まずフランキーは寝ない。全然寝ない。
ある日には0時近くまで飲んでいたかと思えば3時にはバッチリ目も酔いも覚まし、デムーロを叩き起こして栗東トレセンに行こうとしたそうな。
またある日は同じく3時に練習用の木馬でトレーニングをしていたり、とにかく睡眠時間が短かった。
デムーロも初めのうちは時差ボケかと思っていたが、結局滞在していた2週間はずっと時差ボケのままでとても大変だったという。
騎手の中でも元気で明るいキャラで通っているデムーロですらタジタジにするフランキーの豪胆さ。世界最強騎手の凄まじさを身をもって知った2週間だった。
このあまりの破天荒さに、かの武豊も「俺もアレくらいにならなアカンのかな」と呆れながらコメントしている。
そんなフランキーも2023年で引退を表明、日本でも福永祐一騎手が調教師免許取得によって引退するなどトップジョッキーが徐々に姿を消し始めている。武豊と大井の帝王こと的場文男騎手?あの2人辞めるつもりあるんですかね?
ていうかフランキーも結局引退を撤回してアメリカ移籍の上で2024年も現役続行だし…なんなんだこの3人は。
追記・修正は、ターフに降り立っての最敬礼の後に裁決委員に怒られてからお願いします。
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▷ コメント欄
- 代表騎乗馬とネオユニ皐月賞、フラッシュ秋天くらいは触れて欲しいな… -- 名無しさん (2021-10-12 05:59:13)
- 勝春ポンポンに1着ブーンポーズとかもあるね -- 名無しさん (2021-10-12 06:37:20)
- エイシンフラッシュ(ウマ娘)のページのデムーロの項と大部分一緒じゃないか? -- 名無しさん (2021-10-12 09:40:07)
- ↑元々フラッシュの記事のコメで「分割してもいいんじゃね?」って定案があったから -- 名無しさん (2021-10-12 09:56:01)
- 後半の日本と世界の競馬事情の方が興味深かったです -- 名無しさん (2021-10-12 19:58:37)
- 12年の天皇賞秋の天皇陛下への跪いての最敬礼は最高にかっこよかった -- 名無しさん (2021-10-13 00:07:23)
- フラッシュの記事でこの大半書いたけど正直色々書きすぎて分割せんとダメと思ってたからありがたい -- 名無しさん (2021-10-13 08:16:05)
- 最敬礼の件はJRA側の連絡不足が原因で「両陛下の前で(鞍上で)最敬礼」がミルコの解釈で「最敬礼なら降りるやろ」って感じやったみたい。「陛下の御前〜」はデマで実際は日刊競馬が「JRAが空気読んで制裁無しにしてくれた」というツイートが大元 -- 名無しさん (2021-10-14 15:34:57)
- やっぱ王様の前で競馬やる機会なんてそうそうないんだろうな -- 名無しさん (2021-10-14 16:45:55)
- ↑ 唯一の天皇(emperor)・皇后(empress)両陛下の前だしね。 -- 名無しさん (2021-12-21 22:18:37)
- 賭け金総額は額だけ見ると日本の圧勝だけど、人口を考えたら実はオーストラリアが一番ヤバいんじゃないだろうか。どれだけギャンブル狂いがいるんだあの国は・・・? -- 名無しさん (2022-09-08 20:04:42)
- 例の天皇賞後に作られた府中の記念碑にはガッツリ最敬礼の写真を使ってるあたりJRAもタダでは転ばない模様(なおデム郎へのささやかな制裁として半永久的に晒しあげる目的で採用された説も浮上) -- 名無しさん (2023-07-17 15:13:22)
- 人口とかを考えるオーストラリア・香港の2国地域が日本よりはまぁぶっ飛んでたりはする。 -- 名無しさん (2023-10-04 15:55:46)
- デットーリ無事に引退を撤回 -- 名無しさん (2023-10-14 07:39:00)
- アニメウマ娘3期でデムーロらしき人物が登場。実はドゥラメンテのトレーナーだったりするのかな? -- 名無しさん (2023-10-24 20:54:19)
- この記事すげえな…。立て主は競馬界の関係者か何かか? -- 名無しさん (2024-04-17 15:37:06)
#comment(striction)
*2 なお2009年に勝利したローマ賞は当時G1だったが2016年にG2に降格、2011年のドバイワールドカップのみだったためJRAでのGⅠ連勝年数は2012年からの9で止まっている。
*3 後に2019年、リスグラシューに騎乗して宝塚記念とコックスプレート(オーストラリアのGⅠ)を制したオーストラリアのダミアン・レーン騎手が、この規定を利用してリスグラシューと共に有馬記念に挑み、見事制覇している。
*4 チャリオットのように二輪車に乗った騎手を牽く
*5 現役時代は出走レースで全勝し種牡馬としても成功を収めたネアルコ、ネアルコと同じく現役時代は出走レース全勝・凱旋門賞連覇などの実績を収め、種牡馬としても成功したリボーなど世界的名馬を生みだしたイタリアの馬産家、「ドルメロの魔術師」こと『フェデリコ・テシオ』の奥さんの名前に因んだもの。
*6 投票券(馬券)の総売上を一旦プールし、興行主が一定割合の額をそこから差し引いた後、残った額を勝ち投票券に配分する方式。
*7 賭ける時点であらかじめ各々のブックメーカー(賭け屋)が設定した配当率が発表され、客側が自分に有利と思った配当率を発表するブックメーカーから購入する方式。配当率は後に変動する場合があるが、その場合は客側が買った時点の配当率で配当が行われる。
*8 ちなみにこれらの地域では引退後種牡馬として活動できるような生産環境がないことで牡馬は去勢され騙馬になる傾向が強い。一応騙馬で気性が抑えられたり、故障率が下がるため現役を長くできるなどのメリットがあるが当然活躍して名馬になってもその代で終わってしまうため一長一短。
*9 2023年時点
*10 ただしこれは芝に限った話でアメリカで人気のダートは芝よりも人気で劣り、GⅠを複数獲って活躍しても種牡馬にならない競走馬も珍しくない。障害競走に至っては日本でのGⅠは中山でのみの開催に留まり人気も低迷しており、数少ないGⅠを制覇してもダート以上に種牡馬となる例は少なく基本乗馬や先導馬になる。逆に障害競走が人気のイギリスでは10月~翌年4月が障害競走のオンシーズンとなっている。
*11 1位武豊(約8億ドル)、2位横山典弘(約5億6000万ドル)、3位蛯名正義(約4億8000万ドル)。
*12 「ラビット」と呼ばれる自分のペースを無視したペースメーカー役の配置や、数頭掛かりで有力馬の進出コースを塞ぐ、あるいはそれに対抗して自陣営の有力馬のコースを確保する壁役などが一般的。日本では勝馬投票の公正確保の観点から、中央・地方を問わず、こうした「自分の勝利を目的としない」騎乗や、そのような騎乗を騎手に指示する行為は厳禁されている。
*13 これは同時に、個人戦である日本の競走馬が単体で欧米に海外遠征しても勝ちにくいことにも繋がっている。
*14 「○○S」や「○○特別」といった固有の名前を持たない一般のレース
*15 というか日本が異常に安いうえに日によっては重賞レースがある日でも無料なこともあるという大盤振る舞い
*16 参加馬の渡航・滞在費を主催者が負担する「招待競走」への変更、あるいは参加馬の地元国からの直行チャーター機の運航など
*17 なお同年の有馬記念の売上は449億円、これでもギネス認定されている1996年の875億円に遠く及ばないが、この頃とはG1などの重賞数も異なっているのでその他に分散しただけと言える。
*18 現在は7月開催だが三冠競走化によって10月開催に変更、名称も「ジャパンダートクラシック」へ改名され、またこの変更で騙馬の出走が不可能になる。
*19 不正防止のため、騎手は騎乗馬が怪我などを負って歩様が乱れるなどの場合を除き、レース確定前の下馬は禁止されている。
*20 一応、「足は早かった」とフォローもされている
*21 もちろんこの瓶は飴製のニセモノ。また川須が突き飛ばされたダンボール箱も全て中身は空。
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