デュカーリの戦力一覧(ウォーハンマー40K)

ページ名:デュカーリの戦力一覧_ウォーハンマー40K_

登録日:2021/08/31 (火曜日) 21:50:18
更新日:2024/06/03 Mon 13:47:42NEW!
所要時間:約 91 分で読めます


タグ一覧
sf trpg まずは駒を作ろうか ウォーハンマー ウォーハンマー40k エルフ スペースオペラ ダークファンタジー ハイファンタジー ファンタジー プラモデル ボードゲーム ミニチュア 宇宙 宇宙人 戦争 所要時間30分以上の項目 所要時間60分以上の項目 ダークエルフ ギャング 宇宙海賊 所要時間90分以上の項目 極悪 ドs 非道 ヒャッハー 悪党 悪の組織 兵器 航空機 架空の兵器 銃火器 架空の武器 武器 一覧項目 兵士 生体兵器



「狩人たちを解き放て!」



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第9版 表紙イラストより




概要

デュカーリの戦力一覧とは、ウォーハンマー40Kに登場する異種族(宇宙人)の一つである、デュカーリの戦力をまとめたものである。デュカーリは主に陰謀団、魔女団、盟約団で構成された現実宇宙襲撃部隊を結成して様々な惑星へと略奪を行う。
それらは〈仄暗き都〉コモラフから襲来してくるおぞましき数々の戦士や屠殺者、肉塊でできた生体兵器をはじめとした者たちが苦痛と嗜虐を求めて殺戮を愉しむ。これらの戦士が扱う各種武器や兵器は、劣等種族では理解できぬ高度な技術力で作られており、さらなる苦痛を破滅を敵へと与えるのだ。


兵種

  • 「カバライト・ウォリアー」


【概要】
カバル(陰謀団)の構成員で、あらゆるデュカーリ襲撃部隊にとって”脈打つ心臓”と呼ぶにふさわしい中心的役割を果たす戦士達だ。カバライト・ウォリアーは彼らのカーストの中でも最も残忍で、最も権力を渇望し、最も他者の渇望に飢えている。
各ウォリアーは、戦闘の傷跡にまみれた上コモラフの無数の広間で恐るべき名声を上げることを望み、傭兵戦士としての自らの力を証明しようとするだろう。また彼らの中でも特に無慈悲で残虐非道であると認められた者は、所属カバル内においてより高い地位を得やすくなる。
いずれにせよ彼らは皆、生まれついての殺人者であり、争いの絶えぬ仄暗き都の中で生き残りをかけた戦いに身を投じ、そこから選抜されたごくわずかのウォリアーのみが、現実宇宙における重武装された惑星の襲撃計画に参加する栄誉に浴せるのだ。
彼らが奪い去ってくる、恐怖と苦痛の悲鳴を上げる”生きた戦利品”こそが、各カバルの存続のために絶対欠かせないものなのである。
各セクターにおいて、最も戦闘能力に秀でるデュカーリのみが、カバライト・ウォリアーとして選抜される。そこには男女の区別は無い。ウォリアーたちは皆、デュカーリの都市を出られない同族たちよりもはるかに背が高く、戦士に適した体つきをしており、また極めて暴虐的な気質を持つのだ。
戦場へと出撃するとき、各ウォリアーは自らの体を高度に洗練されたボディースーツによって包む。複数の装甲部位に分かれたこの精巧なスーツの着装時には、不必要に長く苦痛に満ちた戦闘前夜の儀式が行われるが、これは着装時の精神を研ぎ澄まし、ただ殺戮のためだけに全神経を集中させるという意味を持つ。
ボディースーツ内の各部位には長い金属製のとげやフックが備わっており、着装者の神経系深くにまでこれらが突き刺さり持続的に苦痛を与えることによって、着装者らの感覚をより鋭敏化するのである。カバライト・ウォリアーたちを突き動かす原動力とは苦痛であり、彼らは獲物に苦痛を与える機会を見逃そうとはしない。そして敵の苦痛は、激痛と苦悶に満ちたものであればあるほど、彼らにとっては好都合なのだ。
敵により大きな苦痛をもたらすために、カバライト・ウォリアーらは極めて奇怪かつ背徳的な武器の数々を使いこなす。その中でも筆頭として挙げられるのが、「スプリンターライフル」だ。芸術的なまでに美しい曲線を描くこの長銃身のライフル銃からは、結晶化した微細で鋭いとげが無数に射出される。
しかもこれらのニードル一本一本には、広範囲の敵に対応できる無数のウイルス性毒物が仕込まれているのだ。スプリンターライフルによる射撃を受けた相手は、耐えがたい激痛にのたうち苦しみながら、わずか数秒のうちに劇的な死をとげる。
この苦悶に満ちた死を感じ取ることこそが、カバライト・ウォリアーにとっては美味なる刺激であり、彼らはあたかも美食家が上質のブドウ酒を味わうかのように、これらの苦痛を味わっているのだ。
各種スプリンターウェポンが持つ生成された猛毒は、敵が生物学的脅威であれば、ティラニッドの集合艦隊などがもたらす大型個体ですらもしとめることができるが、その反面、敵ビークルに対してはほとんど効果を発揮しない。このため、カバライト・ウォリアーたちは対ビークル用に、より破壊的な兵器も携行していることが多いのである。
中でも「ブラスター」は彼らが最も好む高火力武器のひとつで、たとえ相手がランドレイダーであっても、わずか一回トリガーを引くだけで破壊可能な威力を持つ。
カバライト・ウォリアーは皆、優れた白兵戦能力を持っているが、「ハモンキュラス」の手で再生手術を受けられるほどの影響力や権力を持つウォリアーは少ない。結果として彼らは、敵を遠距離から皆殺しに出来るほどの高火力武器を持って戦場に赴くことが多いのである。
ウォリアーが携行する「スプリンターキャノン」や「ダークランス」などの重火器には、「サイトリンク」と呼ばれる照準装置が内蔵されているが、これは敵に対する射撃精度を向上させるだけでなく、各弾丸が敵に命中したときに、相手の顔がどのような苦悶に歪むのかをじっくり観察するのにも役立つ。
重火器担当の中でも特に先進的な者は、「ニーモック・スコープ」と呼ばれる記憶媒体を用い、サイトリンクで捉えた敵が絶命する瞬間の映像を記録し、襲撃から生還した後にこれらの記録を使って大殺戮のリプレイして、同族たちの嫉妬の視線を浴びながら税に浸るという。
各カバライト・ウォリアーの部隊を率いるのは、基本的には彼らの中で最も経験が豊富な「サイバライト」と呼ばれた者たちだ。サイバライトは、現実宇宙の襲撃に熟練した古参の戦士でのみであるのみならず、ウォリアーたちに各セクトの暴虐に満ちた秘密の入団儀式を施す役目を持つカバライトでもある。
長い経験を持つからといって、ウォリアーたちがサイバライトに対して絶対の忠誠心を抱くことは決してないが、少なくともサイバライトによって戦場で下された命令を、ウォリアーたちが一語一句違わずに実行することは事実だ。これは、サイバライトたちが示す戦術や戦略が、非常に卓越したものだからである。
【カバライト・トゥルーボーン】
カバライトの中でもアーコンの側近役として戦場に立てるのは、トゥルーボーンと呼ばれる者たちだけだ。彼らは人口羊膜チューブから産まれるハーフボーンたちとは生まれも育ちも違う、文字通りのエリート部隊なのである。
「ドラッコン」に率いられたトゥルーボーンたちは、いかなる戦場へ赴くときにも、最も高価かつ最も強力な武器で武装しているが、これは彼らのアーコンよりも効果的に護衛するというよりも、敵に与える苦痛の総量を増すためといった意味合いが強い。
トゥルーボーン部隊が一斉射撃を繰り出す光景はまさに壮観であり、猛烈な射撃を浴びた敵重装歩兵部隊は一瞬にして消滅し、先ほどまでたっていた場所に悪臭を放つ黒い煙の柱だけを残すだろう。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P54 イラストより


  • 「ウィッチ」


【概要】
コモラフの「魔女団」(ウィッチ・カルト)に所属する女戦闘員。デュカーリたちは皆、流血と殺人を愛してやまないが、中でもウィッチたちは特にそれらの技術に秀でている。彼女らは白兵戦武器を用いた決闘競技において圧倒的な能力を示す戦士であり、物理的な肉弾戦闘においては他者の追随を許さない。
ウィッチはデュカーリの言葉で「ヘカタリー」と呼ばれ、彼女たち自身もそう自称している。ウィッチの大半は女で、彼女たちの使う特殊な白兵戦武器を使いこなすには高いバランス感覚と柔軟性が必要なので、女のデュカーリのほうが容易にこれらの条件を満たすことが出来るからである。
むろん、中には男のウイッチも存在するし、カルト内では重要な存在だ。ウィッチ・カルトに強靭な子孫をもたらすためには、男の存在が必要不可欠だからである。ただし、男のウィッチがカルト内で高い地位を占めることは極めて稀である。
至近距離で獲物を殺すことは、デュカーリに悦びと活力をもたらす。この嗜好はウィッチらの間ではさらに色濃く、彼女たちはあたかも蛇が舌をちろちろと動かすように、曲がりくねったナイフをひらめかせながら敵の肉体を切り刻んでゆくのだ。
ナイフはウィッチ・カルトによって象徴的な武具であり、その一本一本が熟練の職工によって造られた名品である。彼女たちがナイフを収めておく鞘の内部には「シャープニング・フィールド発生装置」が内蔵されており、刀身がその鋭い切れ味を失うことが無い。
ウィッチが用いる戦闘スタイルは様々だが、そのいずれもが使用者の狡猾さと巧妙さを基礎としている。彼女らは数々の風変わりなウォーギアを使いこなしており、多くのウィッチがその中からいづれかの扱いに熟練している。
中でも有名なのが「レイセライ」と呼ばれる者たちだ。彼女らは多節武器「レーザーフレイル」の達人であり、この武器をまるで鞭のように自由自在に使いこなすという。また、「クリスタル・ガントレット」を使った戦闘スタイルを極めた者たちは、「ヒドラェ」と呼ばれる。
クリスタル・ガントレットは異種族由来の防具であり、子の篭手からはおびたたしい量の結晶刃が生えてきて、たとえ折られても瞬時に再生してしまうのだ。そして最後に、伸び縮みする双刃の武具「インペイラー」と「電磁シャードネット」を使いこなすウィッチたちは「イラグナェ」と呼ばれている。
ウィッチたちは皆、自らの容姿に大きなプライドを持ち、どのカルトに属しているかに関わらず、ウィッチたちは肌にきつく密着したエレガント極まりないボディースーツ型装甲服で自らの体を覆う。その上から凶悪な刃物が備わった闘技場用のアーマーを装着しているのだ。
しかし、全身のうち約半分の部分にはアーマーが装着されておらず、それどころかボディースーツに切れ目が入り、艶めかしい素肌がむき出しになっている。彼女らの姿はまるで、死神すらも誘惑しようとしているかのように刺激的だ。
ただでさえ舞踏劇(バレット)じみた俊敏さと柔軟さを持つウィッチたちは、それらの身体能力を更なる高みへと引き上げるべく、様々な戦闘薬物を駆使する。たとえ人数差で圧倒されたとしても、戦闘薬物を使った彼女たちは敵の攻撃を前転や側転、バックフリップなどで巧みにかわし、致命的な一撃すらも優雅な爪先旋舞(ピルエット)で切り抜けるのだ。
さらに、敵のバイザー部分や装甲服の首ジョイント部分などを正確無比に突き刺したかと思えば、返す刃で別の敵の喉を切り開き心臓を貫いてくる。ウィッチたちは、攻撃を繰り出してくる敵部隊の間をまるで流れる水のごとく動く。その顔に下等生物たちを見下す尊大で酷薄な笑みを浮かべながら、彼女たちは敵が上げる新鮮な苦痛の絶叫を味わうのだ。
【ヘカトリックス・ブラッドブライド】
各ウィッチ部隊を率いるのは、ウィッチ・カルトのサキュバスの下に控える「ヘカトリックス」たちだ。また、ほとんどのサキュバスは、特に有能なヘカトリックスたちだけを選抜して殺戮部隊を編成し、これを「セイレーン」に率いらせている。
これらの殺戮部隊はヘカトリックス・ブラッドライド、すなわち流血の花嫁と呼ばれ、これらの部隊内では熾烈なライバル意識の激突が日常化しているという。しかしひとたび戦場に立てば、彼女らは強力な精鋭部隊としてひとつに団結し、あたかも自分たちの力を証明するかのように、その全身を敵の返り血で濡れそぼらせるのである。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P64 イラストより


  • 「ヘリオン」


【概要】
澱んだコモラフの空は、地上部の居住区や尖塔と同じぐらい危険な戦場である。酸性の霧が満ちる中を、尊大なる小貴族(ロードリング)たちや翼を持った殺し屋たちが、狩りの獲物を求めて飛び回っているからだ。コモラフ上空から迫り来る脅威の中で最も獰猛で恐るべき存在が、ヘリオンである。
この従党(ギャング)化した凶暴な一団は、地上に向かって急降下してフック上の刃で吊り上げると、哀れな獲物を”安全とは程遠い場所”に拉致してゆくのだ。ヘリオンたちは皆例外なく無頼漢であり、札付き悪党である。
彼らの中には、カバライト・ウォリアーとして選ばれるほど年をとっていない青二才の若者や、アーコンによって放逐や流刑を言い渡された者、およびカバルの従属を拒み独立と自由を選んだ者等が含まれている。ヘリオンの集団は、〈仄暗き都〉の中でも人気の無い荒廃した貧困地域をたまり場にして単独で暮らしており、彼らはその過酷な生活の中で負った傷跡の数々を誇りとしているという。
ヘリオンたちは生き残るために何度も集団同士の合併を繰り返してきており、中には小規模の陰謀団(カバル)に匹敵する規模まで膨れ上がったヘリオン集団も存在する。ヘリオンは自分達よりも身分が高い「リーヴァー」や「スカージ」たちと激しく対立しており、彼らがその高い地位や特権を見せびらかす様を極めて不快に思っている。
外見上、ヘリオンたちは危険な貧困地域における恐怖と無秩序に満ちた生活を甘んじているようにも見えるかもしれない。だが実のところ、あらゆるヘリオンの胸中には、絶大なる権力を手にしたいという野望が密かに燃え上がっているのだ。
ヘリオンたちは、一人乗りの反重力(アンチグラヴ)ボードである「スカイボード」に乗って戦場へと赴く。スカイボードは彼らにとって自由と独立の象徴であり、それぞれのボードは戦利品やグリフなどによって個性化されている。これらのボードの大半は、何人ものヘリオンな間で受け継がれており、ナイフを用いた儀式的決闘で勝ち取るか、あるいは何らかの報酬として獲得するのが一般的だ。
スカイボードは、わずかな圧力の変化にも鋭敏に反応する。この特性を最大限に引き出すために、および最高のスリルを味わうために、ヘリオンたちは反射神経を高める戦闘薬物(コンバット・ドラッグ)を常用しており、スカイボードを自由自在に操って高速で空を飛び、ヤスリで研ぎ澄まされた彼らの歯のようにシャープな宙返りや急旋回を決めるのだ。
自由奔放で何をしでかすか予想がつかない彼らは、現実宇宙襲撃(リアルスペース・レイド)と同じくらいに頻繁に、デュカーリの陰謀団に対しても攻撃を仕掛けてくる。ただ、これに対してアーコンたちが報復に乗り出すことはめったにない。
なぜなら、そもそもアーコンたちはこの貧民街のクズどもに対して何も関心も抱いていないし、また特定のヘリオンを捕縛してアーコンの拷問室まで連れてこられるほど熟練した賞金稼ぎ(バウンティハンター)がほとんどいないのも実情だからである。こうした背景はともかくとして、強襲部隊としてのヘリオンの価値は高い。
このため、ヘリオンを率いる「ヘリアーク」たちの中には、適切な値段で自分たちの戦力を買い求めるよう、陰謀団や魔女団と交渉を行う者もいる。多くの場合、現実宇宙襲撃の際には、戦闘薬物で狂乱状態におちいったヘリオンたちが、先陣を切って波状攻撃を繰り出すのだ。
戦場に姿を現したヘリオンの一団は、呪詛の言葉や挑発の罵声などを浴びせながら、敵軍のど真ん中へと急降下してゆく。彼らは「ヘルグレイヴ」という一対の刃が左右に生えた特徴的な長柄の武器を使う。この武器には反り返ったフックが備わっており、熟練したヘリオンはこのフックを手近な物に引っ掛けることで、一瞬のうちにスカイボードを方向転換させる。
ヘリオンたちはよくこの武器を「体の一部であり、切っても切れない関係」と語っており、それを裏付けるようにあらゆるヘルグレイヴの刃は、いつも殺人的な切れ味を維持している。熟練したスカイボード操縦技術をもって、ヘリオンの大群は敵部隊の真上から襲撃を行い、敵兵の頭や手足を次々と切り飛ばしていったかと思うと、再び上空へと飛び去ってゆく。
このとき、ヘリオンたちに目を付けられた運の悪い敵兵は、気晴らしのためにそのまま空へと拉致されるだろう。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P66 イラストより


  • 「リーヴァー」


【概要】
コモラフのリーヴァーたちは、戦争という名の芸術、中でも特にスピードという側面に魅了された者たちだ。彼らがまたがる反重力(アンチグラヴ)ジェットバイクは、他のどんな戦闘機よりも空気抵抗軽減に優れた美しい流線型の機体を持つ。
リーヴァー・ジェットバイクの機体は、暴力的なまでの高出力と鋭い危険性が完璧なる融合を果たしているのだ。アエルダリは多種族とは比較にならないほど鋭敏な感覚を有しており、それゆえ彼らの精神は容易に、完璧主義的な脅迫概念にとりつかれてしまう。
現実宇宙襲撃(リアルスペース・レイド)の中でスピードという名の暴力の味を覚えてしまったデュカーリたちは、速度の力をいかにして最大限の殺人に結びつけるかという要素に魅了され、リーヴァーとなるのだ。彼らの心はもはや、凄まじい速度で空中を飛び回ったり、敵に死をもたらすだけでは満たされない。
このどす黒い心臓を持つ闘士(グラジエーター)たちが本当の意味で満足を覚えるには、この両方を同時にこなす必要があるのだ。ゆえに彼らは、恐るべき速度で敵に迫り、狙い澄ました致命的な一撃を加えることで、究極のスリルと殺人快楽の喜びを同時に味わっている。
巨大な塔の尖頂を囲う環状(トロイド)アリーナの中で、リーヴァーたちは覇権をかけた決闘(デュエル)に明け暮れている。これらのアリーナには毎夜、競争心旺盛なジェットバイク乗りたちが集まって、デスレースを開催しているのだ。
彼らのジェットバイクの激しいエンジン音とともにアリーナを周回し、その血みどろの争いには血に飢えた観衆らを常に熱狂させている。デスレースには慈悲など存在せず、むろん、敗者に慈悲が与えられることもない。
最下位になったリーヴァーに待つのは、死刑宣告。ゆえにリーヴァーたちは、ありとあらゆる手段を用いて、たとえ数ミリ秒でも敵より優位に立とうとするのだ。
特にアリーナ・チャンピオンたちは、自らのジェットバイクに備わる切断翼やブラストエンジンに対して改造を加え続け、内蔵火器用のホログラム照準装置を搭載し、甲高い爆走音を立てるために機体装甲部に肉抜き加工を施し、さらには柔軟性の高い第二の皮膚(セカンドスキン)を着装することで空気抵抗を極限まで抑えている。
リーヴァーなら誰しも、デスレースの中で自らの能力を最大限発揮するために、興奮剤を常用している。リーヴァーは皆そろいもそろって、不正なチート行為を平然と行う嘘吐きどもであり、彼らが唯一敬意を払うのは"優雅なる殺し"に対してのみだ。
他のジェットバイク乗りを痛めつけて不具にすることは無作法な行為とみなされているが、華麗に相手の首を切り落とすような処刑技を決めた者は、他のリーヴァーたちから深い尊敬を受けるのである。また、そのような光景は、アーコンの凍てついた心に熱狂を呼び覚ますという。
リーヴァーたちはルール無用のレースを好むため、一流の環状アリーナになればなるほど幅広い武器が使用される。中でも特に高い地位にあるリーヴァーたちは、その機体に「グラヴ・タロン」を装備して、芸術的に刃が並べられたアリーナの外郭へとライバルたちを押しやったり、相手の近くで猛烈な連鎖爆発を引き起こす近接信管内蔵の「反重力カルトロップ」(マキビシ)を撒き散らすといった残虐非道な戦法をとるのだ。
リーヴァーたちは愛用のジェットバイクと深く同調しており、まるで自分の手足の延長であるかのようにこれを操縦する。多くの場合、リーヴァー・ジェットバイクにはスプリンターライフルが内蔵されているが、こうした銃器を使わずとも、ジェットバイクの機体自体が恐るべき殺戮武器であり、乗り手たちはこれによる殺人を愛してやまない。
リーヴァーたちはジェットバイクを人並み外れた正確さで操作できるため、敵の横を一度すれ違うだけで、機体に備わった鋭利な刃物で頭や喉などを切り裂くことができる。リーヴァー部隊が最も愛する戦法は、戦場の雲の上から黒い金属の稲妻のごとく急降下し、地上付近で螺旋機動を描くことによって、切断翼の刃で不幸な者たちをバラバラに解体してしまうという恐るべき戦法だ。
むろん、単純に水平方向に直進してきて、そのまま敵部隊を斬りつけながら一直線に飛び去ってゆくこともある。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P65 イラストより


  • 「ビーストマスター」


【概要】
コモラフの建造から数えきれないほどの年月が経過し、砂で満たされたアリーナはおびただしい量の鮮血をすすり続けてきた。〈仄暗き都〉にある数々のアリーナでは、現在でもなお野蛮なる死のショウが無数に繰り広げられているが、ここで行われる数々の闘技の中でも、デュカーリたちの興味を特に強くとらえてはなさないものがある。
それは、ビーストマスターたちによる猛獣狩り(ワイルドハント)だ。
ビーストマスターたちは厳密には魔女団(ウイッチカルト)の一員であるが、そのほとんどは男性であり、女性メンバーであるウイッチたちとは距離を置いている。彼らは様々なトーテムを身につけ、多種族の惑星に生息する猛獣を思わせるマスクを被っていることから、ビーストマスターたちはカルト内でシャーマン的な役割を担ってきたのではないかとも考えられている。
しかし、彼らのマスクには複雑な超音波発生装置とフェロモン発生装置が内蔵されており、これによって獰猛な獣たちをコントロールしているという事実が、この説を不完全なものとしているようだ。一方で、ビーストマスターはマスク無しでも獣を服従させる先天的な能力を持ち合わせており、中でも優れた者は、不吉なひとにらみだけで凶暴なメガザウルスを服従させることができるともいわれる。
現実宇宙襲撃(リアルスペース・レイド)に参加したビーストマスターたちは、戦場で嬉々として血みどろの殺戮を繰り広げる。彼らは改造したスカイボードに乗って血に染まった地面の上を滑空し、手に持った鞭を振り回しながら猛獣たちを激戦地へと誘導するのだ。
あとは、猛獣たちに突撃させるだけでよい。敵兵はズタズタに切り裂かれ、その死体を無惨に食い散らかされるだろう。
〈仄暗き都〉の中で、ビーストマスターたちが持つアリーナでは、極めて幅広い多種多様な危険生物たちが登場する。その中には、刃の如き節足を持つ「ヘルスパイダー」、極めて獰猛な「バルゲーシ」、そして捕虜になった帝国の「スペースマリーン」さえもが含まれているという。
これらの中でも、ある三種の異星生物は特に頻繁に彼らのアリーナに姿を現す。その中でも最も大柄なのが、惑星「ドノーリア」の「クロウド・フィーンド」(爪持つ悪鬼)である。遠い昔、「ドノーリア」星系へと繋がる道だった網辻の門の数々は〈歪みの嵐〉(ワープストーム)の圧力にさらされて破壊され、そこから派生したトンネルはクロウド・フィーンドの巣窟と化していった。
クロウド・フィーンドは、巨大な筋肉と毛皮の塊のような猛獣である。この生物は非常に敏感な知覚能力と感覚器官を持っており、一度に複数のスペクトルで周囲を見ることができる。またクロウド・フィーンドは、傷を負った途端に狂暴化することで悪名高い。
怒り狂ったクロウド・フィーンドが繰り出す悪臭にまみれた爪の一撃を避けられる戦士など、ほとんど存在しないだろう。
カイメラと呼ばれる恐るべき歪みの獣(ワープビースト)の姿を見れば、ビーストマスターたちが持つ精霊の狩人(スヒリット・ハンター)としての技術の高さは一目瞭然であろう。カイメラたちは異界(エンピリアン)の名で知られる渾沌とした次元に生息しており、〈悪魔惑星〉(ディーモン・ワールド)に存在する物質によって形作られた怪物だ。
この奇怪な半実体的な怪物は、たとえるならば砂に紛れた真珠のように、鮮やかな悪夢と物質とが融合を果たしたものであり、実体化する場合には長い牙と複数の眼を持つ引き締まった筋肉質の獣の姿をとる。ビーストマスターは、危険な探索行かあるいは夢による探索(ドリームクエスト)の中で自分のカイメラを捕獲しなくてはならない。
これに成功すると、カイメラの一群をそのまま物質次元へと連れ出し、使役することができるのだ。現実宇宙(リアルスペース)の戦場に解き放たれたカイメラは、敵軍に大いなる災厄をもたらした後、霧のように薄れて非実体化してゆく。
レイザーウイングの群(フロック)は、ビーストマスターが使役する恐るべき異星生物の中でも、とりわけ人気が高い。この猛禽類は、ジェットボードで飛行するヘリオンにすらも追いつくほどの素早さを誇り、また満たされることのない肉への飢えに苛まれている。
レイザーウイングの群は獲物に向かって降下するやいなやらナイフのように鋭い羽とくちばしで、敵の肉を骨から引き剥がし、ズタズタに切り裂いてゆく。よく調教されたレイザーウイングは、血まみれの骸骨となった獲物をビーストマスターの周囲を飛び回って誇らしげに見せびらかした後、狂乱状態で餌に群がり、バラバラに引き裂くのである。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P67 イラストより


  • 「インキュバス」


【概要】
インキュバスは、修道士めいたデュカーリの一団である。彼らは自ら常に戦いの中に身を置き、戦いに次ぐ戦いによってのみ自らを磨き上げようとする。彼らは最上級の戦士であるのみならず、自らの人生をただ殺人剣術の完成のためだけに捧げているのだ。
だが、こうした苦行を重ねているのにもかかわらず、彼らの血に塗れた魂には一切の徳や高潔さといったものが存在しない。何故ならインキュバスたちの苦行の目的は、ただ自らの技を完成させたいという利己的な欲望から来るものであり、彼らの本当の目的は、"可能な限りの殺戮"にこそあるからだ。
全身を重装甲で覆ったインキュバスは、まさに脅威そのものである。彼らのアーマーは頭から爪先まで精巧にセグメント化され、全体に鋭利なトゲを備えており、大角が生えたヘルメットの左右には一対の長い刃物が並ぶ。
畏怖の象徴のごとき重装甲のアーマーを装着しているのにもかかわらず、インキュバスの身のこなしは獲物に忍び寄るサーベルキャットのように注意深く、自らが望まない限りの物音を立てることはない。「インキュバス・ウォースーツ」は、着装者自身が持つ機敏な身体動作をほとんど阻害しない、極めて高度な技術によって設計されているのだ。
インキュバスたちは、極めて厳格で統制のとれた生活を送っている。一部のデュカーリが噂するところによると、なんとインキュバスらは約束を違えようとすらしないのだという。
このため、インキュバスはボディーガード部隊や強襲部隊として高い価値を持つ。インキュバスたちも、戦場で自らの殺人剣術をいかんなく披露できるため、ぞっとするほど冷たい悦びとともにこれらの申し出を受け入れるのだ。
インキュバスたちは、いつ何時でも、また誰のためにでも、傭兵として戦う準備を整えている。また、彼らが価値を見出した相手に対しては、殺人術の手ほどきを与えることさえもあるという。
インキュバスらが修練を続ける不吉な黒曜石の社(やしろ)の数々はそれぞれが大教主(ハイエロアーク)によって運営され、社の内部には殺人術を習おうとする熱望者(アスピラント)あるいは後援者(パトロン)たちでいつもごった返している。長く過酷な修行を通じて、強者らは技術を次々と習得してゆくが、弱者は容赦なく斬り捨てられ、その肉体を社の中心に据えられたカイン神の鋼鉄像に供物として捧げられ、焼かれるという哀れな末路を辿るだろう。
修練を生き残った熱望者がインキュバス候補として認められるまで技術を成長させると、インキュバス・ウォースーツが授けられ、ついに最後の試練が始まる。この新参者は〈方舟〉で暮らすアエルダリ族の「アスペクト・ウォリアー」を一騎打ちで殺した後、その力の源泉である「魂魄石」(スピリット・ストーン)を叩き割り、これを「トーメンター」と呼ばれるサイキック的拷問装置の一つに組み込まねばならない。
この試練を突破することで、彼はようやく正式なインキュバスの一員となれるのだ。
インキュバスは、最も効率的な殺人方法を探求することにのみ専心している。彼らはあらゆる種類の刀剣や刃物の扱い方に熟練しているが、彼らが特に好むのは、「クレイヴ」と呼ばれる強大なパワーソードだ。
クレイヴは刀剣としての均整と様式美が高度に融合した、まさに至高の刀剣である。インキュバスらはこの剣こそが真に武器と呼ぶのにふさわしいものであると考えており、彼らの戦士長である「クレイヴェクス」たちは皆生枠の殺人者だ。
彼らはあまりにも危険な力を持つため、超自然的の存在が憑依しているのではないかと疑う者すらいるという。
決闘者(デュエリスト)として優れた能力を持つにもかかわらず、インキュバスは正々堂々とした戦い方を軽蔑している。彼らは敵に接近すると、まずアーマー胸部に内蔵されたトーメンターから精神エネルギー波を放出し、敵に苦痛と苦悶を与えてから、ようやく本格的な殺戮を開始するのだ。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 表紙より


  • 「スカージ」


【概要】
もし、コモラフへの潜入を果たした者がいて、刺々しい突起だらけの上層部へと登り、最も高い位置から周囲を見渡せば、市街から放出される高温の上昇気流に乗って翼を持った何かが飛び回り、〈仄暗き都〉の上空を滑空している様子が見れるだろう。さらに注意深く観察すると、それが人体改造を施されたデュカーリの一種であり、本来の姿よりも遥かに危険な存在へと生まれ変わった、スカージ(災厄をもたらす者)と呼ばれる者たちと判明するはずだ。
しかし、その潜入者があまりにも長い間スカージたちを凝視していると、炎に彩られた雲の中を突き抜けて、それと同じシルエットが近づいてくるのに気付くだろう。侵入者はたちまちスカージの一団に捕獲され、彼らの巣がある尖塔の頂に串差しにされてしまうのだ。
スカージはコモラフにおける血流のような役割を果たしている。〈仄暗き都〉における計略や陰謀は情報戦の上に成り立っており、情報無しでは最大級のカバルでさえ無力になってしまうのだ。最も安全で確実と思われる通信手段でさえも、コモラフでは常に盗聴の危険がつきまとい、しかもサイキックによる交信は禁じられている。
このため、デュカーリの貴族階級はスカージらに気前よく報酬を支払い、目的地まで手渡しで密書を運ばせているのだ。それぞれの密書は専用にあつらえた毒薬によって封がなされており、その解毒薬は(通常のケースでは)受取人だけが持っている。
スカージは〈仄暗き都〉に渦巻く諜略において不可欠な存在となっており、そんな彼らを殺すことは、自らの手で苦痛に満ちた終焉を招くにも等しい愚行といえよう。
彼らの肉体は改造の限りを尽くされているが、ただの戦士がスカージへと変身してゆく課程には、長い期間と苦痛にまみれたプロセスが待っている。裕福で恐れを知らぬデュカーリであれば、自らの肉体を「ハモンキュラス」に委ね、改造してもらうことができるだろう。
「タロス」の冷たい金属製ドリルで骨格に穴を開けてもらい、胴体に新しい筋肉組織の束を移植して、肩に力強い翼とアドレナリン投与装置を追加することで、鳥類のごとき飛行能力が獲得できるのだ。しかし、これらのプロセスが完了しても、まだ正式なスカージの一員とみなされるわけではなく、自力で新しい同胞たちの住む高所まで飛んでいく必要がある。
改造手術から間もなく、未成熟でまだ血が染み出ている翼を使い、自らの体をハモンキュラスの地下牢からスカージたちが暮らしているコモラフ最上層まで運ぶ必要があるのだ。この過程では、疲労による死、好戦的なヘリオンのギャング団や悪意に満ちたリーヴァーによる攻撃、およびその他の尋常ならざる空の脅威、などに立ち向かう必要がある。
そしてこの長く過酷な旅を無事に生き延びた者は、ようやく自らをスカージとして名乗る権利を得ることになるのだ。彼らは排他的な飛行傭兵団の一員となり、地べたに留まる哀れな同胞らに軽蔑の眼差しを向けるようになる。
多くのスカージ、中でも特に「ソラライト」と呼ばれる古参たちは、過去の容姿の面影はほとんど残っておらず、毛髪や伸縮手術が施された頭蓋骨などを羽で飾っている者さえいる。また、どのような容姿をしているかにかかわらず、彼らは全面戦争という名の残虐な宴を好んでおり、この好戦的な性格とカバルから支払われる多額の報酬が組み合わされた結果、スカージたちは極めて高度で先進的なウォーギアを装備している。
彼らは柔軟で透過性のあるゴーストプレートと呼ばれるボディーアーマーを着て敵の頭上から降下し、恐怖に逃げ惑う敵を甲高い金切り声とともに狩ってゆく。
スカージたちは自らの高度に改造された肉体を守るため、十分な距離をおいて戦うことを好んでいる。彼らは一斉射撃で火力をばら撒き、鋭敏な聴覚で敵の断末魔の叫びを味わった後、次の強襲に備えてすぐさま上空へと飛去ってゆくのだ。
この独特な戦法ゆえ、スカージの用いる銃器には高速で飛び回りながらでも安定して射撃できるような工夫が凝らさらている。そんな彼らの間で最も人気が高い武器は、極めて先進的で発射速度に優れたスプリンターライフル改造銃である「シャードカービン」であろう。
他にも、コモラフに囚われた恒星が放つ電磁エネルギーを充填し、これを強力な爆発と共に発射する「ヘイワイア・ブラスター」や、目の前で立ちはだかる敵を一瞬にして原子の霧へと変えてしまう「ヒートランス」なども、スカージたちから大いに好まれている。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P58 イラストより


  • 「マンドレイク」


【概要】
迷宮次元こと〈網辻〉(ウェブウェイ)の片隅に潜む怪物、マンドレイク。この残忍なる化け物どもは、同族であるデュカーリからも影で恐れられている。マンドレイクは他者の影を通じて現実世界へと忍び込み、シューっという不気味な音と共に実体化を果たすと同時にその冷たい爪と歯と獲物の温かい肌に突き刺す、極めて危険な存在だからだ。
マンドレイクの漆黒の肌には禁断のルーン文字がのたうち回るようにうごめき、彼らの顔は絶えず変化を続けている。あるときは仮面のように無表情だが、その一瞬後には、針のような歯をむき出しにして不気味に笑っている。その光景はまるで、閉じていた傷口が再び裂けていくのを見ているかのようだ。現実世界と呪われた異世界の狭間に存在するマンドレイク・・。彼らに立ち向かうことは、生きた影と戦うにも等しいことである。
マンドレイクの起源は謎に包まれている。ある者が言う「マンドレイクは、かつてアエルダリ帝国が頽廃を極めていた時代に、何らかの邪悪な存在との間で盟約を結んだことによって、アエルダリから堕落した存在である」と。
またある者が言う「あの謎めいた追跡者たちは、禁断の邪教団が〈失墜〉から逃れるべく影の中に入り込んだ結果、まったく別の生き物のようになって現れたものだ」と。
他にも、若いデュカーリたちはマンドレイクのことを”這い寄るもの”(クリーパー)と呼び、彼らはある者の影から別な者の影へと忍び歩いていることや、鏡などに映った光景からでも現実世界に這い出すことなどをささやいている。いずれにせよ、デュカーリたちは皆、マンドレイクとは闇が生命を与えられたような存在であると確信しており、それはあらゆる点において真実なのだ。
これらの説は、何も根拠のないとっぴな考えに聞こえるかもしれない。が、マンドレイクの外観を考えれば、あながち間違いとも思えない。マンドレイクが持つ漆黒の肌は、光をほとんど反射しないというよりもむしろ、あらゆる光を吸い込む底なしの闇のようにすら見えるのだから。
彼らの顔立ちは重油のように変わる。彼らの長くしなやかな髪は骨の破片のように白い。彼らの周囲には、近くにいる者から力を吸い取るような暗く冷たいオーラが漂っている。マンドレイクが襲撃を行う時は、しばしばその前触れとして、薄く冷たい霧が大気に立ち込めるという。
彼らの肌を覆う歪んだ模様は破壊の印(ジギル)であり、マンドレイクが獲物の苦痛を糧にしているときは、これらの印が脈打つように明滅するのだ。マンドレイクは犠牲者から盗んだエネルギーを、敵に対してぶつけることができる。それは冷たい炎をともなう爆風であり、カギ爪をはやしたマンドレイクの手のひらから放たれ、相手をその場で凍り付かせるのだ。
加えて、マンドレイクたちは恐怖に震える獲物に襲いかかる時、そのカギ爪や牙を武器として用いるが、このほかにハモンキュラスの手術道具を思わせる血のこびりついた刀剣類も用いる。
〈仄暗き都〉コモラフの住人が皆そうであるように、マンドレイクもまた、他社に苦痛を与えることを自らの糧としている。また、彼らが持つ極めて優れた隠密能力ゆえに、多くの長アーコンが現実宇宙襲撃(リアルスペース・レイド)を行うときにマンドレイクを戦力として迎え入れている。
通常、マンドレイクは報酬として奴隷を求めるが、時として、わけのわからないものを要求することもあるという。ある者は心臓の鼓動を、またある者は真の名(トゥルー・ネーム)を、そしてある者は声を求めるというように。こうした奇怪な要求が拒否されることは滅多にないし、あえて断ろうとする者もいない。
というのも、マンドレイクは戦いに挑む際、自分達を裏切った者たちから剥いだ皮を次ぎ合わせたものを身につけているからだ。
マンドレイクは影のあるところであれば何処にでも現れ、その能力で獲物を追いつめ、狩り殺すことで悪名高い。冷たい爪が闇の中から現れ、獲物の足首あるいは手首へと迫る。直後、犠牲者はマンドレイクの冷たい牙によって餌食とされるであろう。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P59 イラストより


  • 「アーコン」


【概要】
デュカーリの陰謀団(カバル)を率いる支配者、すなわちアーコンたちは、〈仄暗き都〉コモラフの真の支配者たちといえよう。彼らはデュカーリ社会において最高位の地位を占め黄昏の領域ことコモラフを支配しているのだ。一人一人のアーコンが持つ影響力は極めて大きく、望むならば現実宇宙の一部を崩壊させることができるし、人類の帝国が行う征戦を妨害することや、複数の惑星から移住者全員を奴隷として連れ去ってしまうことさえできる。
カバルの暴君であるアーコンと敵対することは、極めて危険で恐ろしいことだ。アーコンがその高い地位を維持できているのは、彼らが単純な戦闘能力や指揮能力に秀でているだけでなく、また弱者を屈服させる技術に長けているだけでもなく、〈仄暗き都〉の心臓部で行われる過酷な陰謀のゲームで生き残り続けているだけの政治的手腕をも有しているからである。
アーコンの言動にはヘビのような毒があり、その精神は〈網辻〉の暗い片隅のように複雑に入り組んでいる。権力の頂点に座すということは、下のものから標的にされやすいということでもあるからだ。アーコンは自らの力に絶大な自身を抱く・・。他者から見たら誇大妄想(メガロマニア)ではないかと思うほどに。
クーデターを阻止し、副官である「ドラッコン」や政敵による暗殺計画をかわし続けている限り、アーコンは支配者の地位に留まり続けるだろう。逆に言えば、この陰謀渦巻〈仄暗き都〉において高い地位にある者は、ごく小さなミスでも致命的な失脚につながりかねないのだ。
このため、アーコンたちは他者の企みを見透かす鋭い洞察力を持つ。また彼らは、自分に対して仕掛けられた罠を利用して逆に政敵を陥れることに対して、ぞっとするほど冷たい喜びを感じるという。
調略が網の目のごとく張り巡らされた〈仄暗き都〉において、各陰謀団のアーコンたちは危険な政略的ゲームを進め、自分を陥れようとする政敵たちを出し抜かねばならない。底なしの野心を持つ手下たちに取り巻かれているアーコンには、裏切りを見抜く偏執狂(パラノイア)にも似た鋭い観察能力が必要なのだ。
このため、アーコンが持つ裏切りや奸計についての手腕は、まことに優れている。彼らの策略は時に数千年規模にわたって続くものであり、数百年前に仕込んでおいた謀略の糸を、ある日突然たぐり寄せることすらも珍しくはない。〈仄暗き都〉コモラフの最も高い尖塔群を支配する〈黄昏の君主〉(ロード・オヴ・トワイライト)たちの中には、その地位を〈失墜〉以前の時代に奪い取った者さえいる。
これらの旧きアーコンたちの目から見れば、他のデュカーリたちが繰り広げる陰謀など児戯にも等しいだろう。だが、彼らがそうした小競り合いを黙認することは決してなく、愚か者にはそれ相応しい末路が与えられる。場違いな一言が、時にアーコンの致命的な怒りを招くのだ。
それが陰謀団の上下関係に関することであれば、アーコンは腹いせに、あらゆる当事者が不利益を被るような悪意に満ちた解決策を取るであろう。
特に歳経たアーコンの中には、黒いしわが刻まれた見にくい顔をマスクで覆い隠している者もいる。これらのマスクには、均等が整った極めて美しい顔を象っているものもあるが、中には政敵の顔の皮を剥ぎ取って作られた奇怪なマスクもあるという。
戦場へ赴こうとするアーコンは、自分専用の武器博物館(ウェポン・ミュージアム)へと向かい、仄暗きコモラフの技術で作られた数々の武器の中から選択を楽しむ。例えば、魔術めいた動作機構を持つ「ソウルトラップ」、鞭のような形状をした「アコナイザー」、使用者の肉体を暗黒の力でつるのようなに覆う「フォースフィールド」などだ。
アーコンの寵愛を受けている家臣やペットたちは、いずれも熟練した殺人術を身につけており、主人と共に戦場へと出撃する。どんなに下位のアーコンでさえも、その身のこなしは吹き抜ける風のように俊敏だ。敵の視界からアーコンの姿が消え、再び現れたと思えば、その刃は血に濡れそぼっているだろう。
アーコンと目を合わせてなお視線をそらさずにいられる定命の戦士など、この銀河にはほとんど存在しないだろう。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P50 イラストより


  • 「アーコンの近衛団」

【概要】
カバルの支配者であるアーコンたちは、信頼できる側近やボディーガードの一団で身辺を固めている。その種類はアーコンの専用拷問室に置かれた拷問道具のように多種多様だが、非常に大まかに分けるならば以下の四種類に分けることができる。

  • 【メドゥサエ】

バイザーを装着されたこの奴隷たちは、〈網辻〉内に群生する奇怪な精神寄生生物「メドゥサエ」が憑依している。アーコンはこの奴隷たちを使って、戦場で巻き起こる爆発的な感情の渦を"記録"しようとしているのだ。
メドゥサエの本体は極めて共感能力が高く、いくつもの脳と脊髄が繋がったような形状をしており、クラゲのようにエーテル空間の中を漂いながら、白昼夢や悪夢などを餌としている。メドゥサエは自分たちの領域に侵入してきた犠牲者の精神を乗っ取り、その感情を吸収して、現実宇宙でも使用可能な力に変換することができる。
メドゥサエに寄生された者の目をのぞき込んでしまった者は精神的な出血多量状態となってしまうが、コモラフにおいてこのような形の憑依体は極めて高い価値を持つ。何故ならこの怪物たちは、膨大な量の興奮や衝動を吸収し、蓄えておくことが出来るからだ。
メドゥサエが持つ果実めいた脳をひとつ食せば、まるでその時その場所にいたかのように、かつて襲撃の場で"記録"された感情が無秩序二して鮮明な奔流となって蘇るのだという。

  • 【ウル=グール】

アーコンは自らの身辺警護のために、凶暴な異星の猛獣たちを迎えていることが多い。ウジ虫じみた体を持つ「ハモヴォーア」や、そのしわがれた鳴き声を聞いた者を狂気へ追いやる「シェイドレイヴン」など、実に様々である。コモラフには、このような血に飢えた怪物たちが無数に存在するが、その中でも凶悪な種族といえば、ウル=グールをおいて他にないだろう。
この俊敏なる盲目の洞窟生物(トログロダイト)たちは、「シャー=ドゥム」の「ジグラットの迷宮」からコモラフへと連れて来られる。しなやかな鞭のように引き締まった体を持つこの恐るべき怪物たちは、顔面にずらりと並んだ複数の鼻腔をぴくつかせて敵の臭いを探る。
ひとたび臭いを嗅ぎつけられてしまった犠牲者弐は、暴虐的な死をとげる運命だけが待っているのだ。

  • 【ラーミアン】

アーコンの抱える愛人たちは、奇妙な容姿をしていることが多い。だが、その中でも「リリトゥの姉妹団」は際立って特異でミステリアスであるため、アーコンたちは彼女らを熱望してやまないという。
彼女らは想像しうる限り最高の遊女であり、比類なき毒の使い手でもあるからだ。没落したラーミアの魔女団の構成員である彼女らは、毒の父祖たる「シャイメッシュ」から智慧を授かっているという。
彼女たちは現実宇宙襲撃へと乗り出すときに、自らのアーコンとこれらの毒物を共有するため、ラーミアンたちを手駒として揃えておけば、そのアーコンは強力無比な上質の毒物を確実に入手できることになるのだ。この毒が塗られた武器によって攻撃された敵は、口づけ野ように軽いかすり傷を付けられただけでも、たちまち絶命する。

  • 【ススリス】

デュカーリは皆狡猾で不誠実な性格を持つため、同族をボディーガードとして使うのは危険なことである。そこでアーコンたちは、コモラフに住む異種族の傭兵の中から特に信頼の置ける者たちを雇って、配下の反逆や裏切りといった事態に備えているのだ。
こうしたボディーガードの出身惑星は銀河全域であるが、その中でも特に好まれているのが、ススリスと呼ばれる異種族である。蛇のごとき巨体を持つこの戦士種族は、今から数千年以上前に、自制不可能な過剰快楽によって堕落させられた。
四本の腕で刺々しい得物や銃器を巧みに操るススリスの傭兵たちは、アーコンの命を狙う暗殺者や、謀反を画策していると思しき裏切り者たちを、いとも簡単に始末してくれるだろう。


  • 「サキュバス」


【概要】
サキュバスは、魔女団の支配階級をなすエリートである。ありえないほどの優雅さと美貌を持つサキュバスは、まるで殺戮のためだけに生まれてきたかのように、混沌とした戦場を密やかに歩む。
サキュバスを取り巻くのは、彼女のカルトに属する死の侍女(ハンドメイデン)たちだ。彼女らは、自らの女主人(ミストレス)が直々に手を下して殺すに値するような、多種族の強敵を探し求めているのである。
サキュバスはいずれも、細く長い四肢と、運動神経に優れた壮健な肉体を持つのみならず、その美的感覚に溢れた優美なる殺しの腕前によってコモラフ全域で高い名声を誇っている。彼女らは危険な闘技が繰り広げられる「グラディエーター・アリーナ」の象徴的存在ともいえるだろう。
その才能を開花させ全盛期にあるサキュバスは、あらゆるデュカーリから畏敬にも似た嫉妬の念を寄せられるほどのカリスマ性を放つのだ。
しばしば「アーカイト」の名でも知られる彼女らは、正式なデュカーリの言葉で「インニタク」(死の花嫁)と呼ばれる。伝統的に、あらゆる魔女団は、三人のサキュバスが作る評議会によって支配されており、通常はその中の一人が最も強大な権力を持つ。これに対して、他の二人のサキュバスはいつも、自らの権力や名声を高めるために闘技を磨き、より壮大で華麗な殺しを見せることによって、他のサキュバスを出し抜こうとしているという。
この三人の悪女(ヘルキャット)たちがカルト内で繰り広げる熾烈な権力闘争は実に激しくものだが、アーコンたちが行う永遠の遊戯と比較すると、その解決方法は根本的に異なっている。カルト内部で不和や確執が起こった場合、魔女団の女王たちは歪んだ政治のナイフを武器として用いるのではなく、完全無欠の美麗さを誇る首切り攻撃によってこれを解決するのだ。
サキュバスは極度にうぬぼれが強いが、それには納得のいく理由がある。彼女たちはエリートの中のエリートなのだ。
アリーナへとやってくる観客たちは、血濡れの殺人劇を味わうだけでなく、その体にあまりにも多くの醜い傷痕を負っているウィッチは、"完璧な美を体現していない"という罪によって、しばしばどう考えても勝算のない戦いに放り込まれる。煽情的な美貌と危険な殺人術を合わせ持つごくわずかのウィッチだけが、この壮絶な戦いを勝ち抜き、インニタクの位につけるのだ。
魔女団を支配するサキュバスたちは、ただでさえ魅惑的な肉体をさらに美しく飾り立てる。石化花崗岩(アラバスター)のように白く滑らかなその肌を、刺々しいコルセットと、ハイネックの流動絹繊維(リキッド・シルク)製スキンスーツによって覆うのだ。
彼女らの一挙手一投足は、見る者を虜にするほど華麗である。戦場の喧騒の中を、獲物めがけて優雅に蛇のようにしなやかに進む様は、まるで催眠術にかかりそうになるほど美しい。
サキュバスたちは、自らが持つ絶世の美貌を維持したり引き立たせるためならば、どんな手段も辞さないだろう。例えば、アリーナで下級の戦士たちを何十人も過酷な死に追いやってから、満を持してサキュバスが入場し、彼らの断末魔の苦悶をすすり取ってから自らの若々しい輝きをさらに引き立たせる・・といったことを、彼女らは平然とやってのけるのだ。
空中に浮かぶ優雅な貴人寝室(ブドワール)から出でて戦場へと降りるとき、彼女らは残忍なる女王に相応しい威厳と尊大さを身にまとう。サキュバスの外見は極めて美しく、冷たく高慢で挑発的な魅力に満ちているが、霊的な目を持つものからすると、彼女らは無慈悲なまでの壮健な美貌に溢れた若い美女ではなく、しなびた老いさらばえた醜い鬼女(ハグ)のごとき姿に見えるかもしれない。
名高きサキュバスの大半は、地べたを駆けずり回る無様なアリーナでの闘技生活を抜け出し、死の化身のごとき存在として神聖視されるようになる。あらゆる戦士の鑑とでも呼ぶべきこれらの偉大なサキュバスたちは、自らも〈暗き美の神々〉(ダーク・ミューゼス)に加わるべく、それぞれが代名詞的な特定の殺人術を極めている。
現在、サキュバスたちの中で最も高位にあるのは、殺人的なまでの妖艶さを誇る「ヘリカ・ヴェノムキス」、伝説的なまでに激昂しやすい性格で知られる"生皮剥ぎの女王"「ユクトリア」、そして三人前は言うまでもなくあの「リリス・ヘスペラクス」である。
リリスはかつて、ライバル関係にあった十二人ものウィッチたちを、自らの代名詞である「刃の爪先扇舞」(ブレイデッド・ピルエット)によって鮮やかに殺戮したことで名高い。
いかなるサキュバスも、自らの殺人術を定期的に証明し続けなければ、その地位を維持することはできない。彼女らは頻繁に現実宇宙(リアルスペース)に対する戦争を指揮するが、これは単純に略奪を行うためではなく、下等種族の英雄たちを自らの手で狩ることによって、その殺人術の切れ味を誇示するためでもある。
基本的にデュカーリたちは、人類の守護者らに対して侮蔑の眼差しを向けているが、サキュバスはしばしば嬉々としてスペースマリーンの戦団長(チャプターマスター)らに一対一の決闘を挑むのだ。戦団長を殺すことは、コモラフにおいても大きな栄誉とみなされている。
サキュバスの戦利品のコレクションの中には、オルク族の大族長の首や、ティラニッドを率いる「シナプスクリーチャー」の首などが飾られていることも珍しくないが、それらの中でも特に価値があるとされるのは、クラフトワールドに住まうアエルダリの戦将(アウタルーク)たちの首だ。こうした一騎討ちは、それ自体がアドレナリンが過剰分泌されて最高のスリルをサキュバスにもたらしてくれるものだが、それと同時に、こうした相手を殺すことは自らの力量を知らしめるための絶好の機会でもある。
その瞬間を周囲の者たちに見せつけることができれば、なお喜ばしい。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P62 イラストより


  • 「ハモンキュラス」


【概要】
旧き恐怖、ハモンキュラス。彼らはコモラフの闇深くに住む、狂気の肉体改造師である。ハモンキュラスは拷問の達人であり、様々な苦痛に対して犠牲者が発する反応のニュアンスの差異に喜びを覚える、真の美食家ともいえよう。ハモンキュラスは、地下牢や迷宮に閉じ込めた不運な捕虜たちに、何百年にも渡って苦痛のシンフォニーを奏でさせている。
デュカーリたちは誰しも、ハモンキュラスが肉体のみならず魂すら余も変容させる錬金術師(アルケミスト)であることを知っており、それゆえ密かに恐れているという。
ハモンキュラスの専門分野は肉体の改造と形態変化であり、被験者の新鮮な体組織に爪を突き立てることこそが、彼らの無常の喜びである。ハモンキュラスの改造手術は、どんな奇怪なリクエストにも応えられるのだ。
ハモンキュラスたちはいつも歯をむき出しにして笑みを絶やさないが、それは自らの解剖刀(スカルペル)とハイパーステロイドを駆使した改造作品を、ひたすら披露したくてたまらないからである。
デュカーリがどのようにしてハモンキュラスとなるのかについては、実のところ謎に包まれている。ハモンキュラスは皆、信じがたいほど齢を重なており、そのやせ衰えた悪夢のような容貌を見れば、もはや彼らにとって肉体を若返らせるための措置など、何の役にも立たなくなって久しいことがわかるだろう。
極めて年を経たハモンキュラスの中には、〈快楽と苦痛の教団〉が設立された最初期の頃から生き続けている者も存在するとささやかれいるが、それも定かではない。というのも、現在のハモンキュラスの容姿は、かつての面影とは比較にならないほど変わり果てているからだ。
徹底的な肉体改造にも関わらず、ハモンキュラスはたいていの場合やせ衰えた姿をしている。彼らの青白く華奢(きゃしゃ)な体には、自然界の被造物とは異なり、脂肪がほとんどついていない。より自らの外見をファッショナブルに見せるため、彼らは内臓除去手術すらも行い、極度にくびれた腰を得る。
ハモンキュラスの中には、内臓、肺、心臓などの器官を、肩から生やした肥大肉塊の内部に移植している者もおり、これは自分の第二の腕に刺激剤や秘薬を供給するための貯蔵機関としても使われている。中には自らの血液を毒液や酸性の液体に置換し、改造された血管内に循環させている者もいるという。
彼らの脊柱は腰部から骨格めいた尾へと伸び、ハモンキュラスはこの長く伸びた尾を鞭のようにしならせて、獲物の喉に巻き付けることもできる。また彼らの背中から生えている骨の枝角のような突起物は、彼らの頭部や脊椎に直結した不気味な注入装置や薬物投与器具を固定するのに役に立つ。
肉体的には不死となった彼らは、若いデュカーリたちのように無様に戦場を駆けずり回るようなことはしない。彼らは強力な「サスペンサー・クリスタル」の力で軽やかに浮遊し、時には脊椎から伸びた尾で優雅に滑るように移動する。
彼らが物事を急がずに忍耐深いのは「真の意味で趣(おもむき)深い死を味わうには、それなりに時間がかかる」ことを知っているからだ。数千年以上の時を生きるうちに、ハモンキュラスたちの味覚や好みは以前にも増して異色なものになったといわれており、彼らはもはや犠牲者を慰みものにする片手にしか食事を摂らず、涙で満たされた彫刻入りのグラスでしかそのしなびた唇を潤さない。
ハモンキュラスたちの価値観は人類の理解を超えており、秘薬製造のための特異な素材こそが彼らにとって最も価値ある品だ。人類の帝国に仕えし「高等裁定局判事」(アルビテス・ジャッジ)の心臓から蒸留した数滴の液体は、純粋な意志がもたらす濃厚な味わいを生む一方、誇り高き「惑星総督」(プラネタリー・ガバナー)の心臓から抽出された虚栄心の精髄(エキス)は、彼らの黒く尖った舌を振るえるような興奮で包むのだという。
悪意に満ちたハモンキュラスたちは、戦場において殺戮のオーケストラを指揮する。彼らの情熱は芸術家のそれに近い。
ハモンキュラスたちは一瞬で敵をミイラ化したり、わずかな接触で敵の肉体に致命的な変質を及ぼす危険極まりないウォーギアを、戦場で存分に駆使するのだ。そしてあたかも戦場を舞うかのごとく優雅に移動し、逃げ遅れた者に対して想像を絶する苦痛と死を与えてゆく。
ハモンキュラスたちは、自らが死をも変える瞬間においても、変わらず嬉々としているであろう。なぜなら彼らは、独創的で芸術的な復讐を果たすべく、間を置かずして死の淵から甦ってくるからである。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P68 イラストより


  • 「ラック」


【概要】
残骸(ラック)の名を持つ、おぞましき作品たち。彼らはハモンキュラスの改造手術によって肉体をバラバラに切断され継ぎ合わされた挙げ句に、”歩く拷問器具”として整形された者たちである。
向かい合った敵に対してより効果的な恐怖を与えるために、ラックたちはその体にさらなる改造手術を施され、マスクで頭部を覆われている。彼らは主であるハモンキュラスの手足として働き、戦場では自らの命に代えても創造主を守ろうとするだろう。
あらゆる支配者は従順な下僕を必要とする。ラックたちも、まさにそのためだけに存在しているといえよう。正式名称としては「ハマコライト」(ハモンキュラスの従者という意味)として知られている通り、ラックたちの唯一の務めは主人に忠実に従えることであり、その役目は死体処理場であろうと戦場であろうと変わらない。
ゆえにラックたちの肉体には、血なまぐさい仕事に従事するための様々な改造が施されているのだ。外科手術によって強化された彼らの体には、肉体の限界を超越するような驚くべき筋力を発揮する。彼らの体にはもはや、まっとうな生物が持つべき物理的限界など存在しない。
戦場に姿を現したラックたちは、様々な鎌(シックル)状の刃物、強烈な腐食作用をおよぼす鞭、敵を麻痺させる「スタンロッド」、そして銀色に輝くカギ爪などを駆使して戦う。
ハモンキュラスは誇大妄想(メガロマニア)に陥りやすい傾向が強く、時には自分が神であるかのような幻想に支配されており、自らの命令を忠実に実行させるための従者たちを常に身辺に侍らせている。多くのハモンキュラスは、あらゆる肉体労働を下等で不名誉なものとみなしており、どんな形にせよ自分たち自身で手を下すことを忌み嫌うため、そうした汚れ仕事は全てラックたちが果たさねばならない。
ほとんどのラックたちは、過去の哀れな地位を脱して高位のデュカーリになることを熱望しており、いつの日か自分もコヴンの支配者たちの一人に名を連ねるのだという希望を抱いているため、以下に過酷な損傷や不名誉にも耐え続けることが出来る。
ハモンキュラスの地下牢や研究室では、背を曲げたラックがバラバラに解体された犠牲者の肉塊をかき回し、主の命令を忠実に実行している光景がよく見られる。主に従って現実宇宙襲撃(リアルスペース・レイド)に赴くラックたちはしばしば重厚な金属製のガントレットを腕に接合しているが、このガントレットには腱と結ばれたワイヤーの伸縮によって被験体の液体を採取ないしは注入可能な機能が備わっていたり、あるいは肉を焼き焦がすほど強烈な猛毒で全体が覆われていたりすることが多い。
また、この奇怪な改造体たちの肉体には、大仰で奇怪な外観の手術台を接合した脊椎などが備わっていることも珍しくない。これは、ハモンキュラスが必要とする時に、いつでも適切な拷問設備や実験設備などを提供できるようにするためだ。
さらにラックたちは、戦闘時に主人の身の安全をより確実なものとするため、あるいは獲物の群れから"新鮮な被験体"を捕獲して主人を喜ばせるために、その肉体にさらなる改造が施されている場合もいる。例えば、恐ろしく鋭利なカギ爪に置換されたラックの指やつま先が、ハモンキュラスの地下室でトゲだらけの冷たい石畳の床を引っかいていることは珍しくもない。
彼らの顔は無表情な金属製の仮面に隠されているため、ラックたちの外見には個性のかけらも見られない。彼らは来る日も来る日も屠殺者(ブッチャー)に特有の汚れた前掛けや使い込まれたぼろぼろの外套に身を包み、ベルトに吊した様々な拷問器具を黄昏がもたらす薄明かりの中で閃かせつつ、主人から与えられた命令を黙々と果たし続けるのだ。
ラックたちが持つ最も病的な側面は何かと問われれば、その醜い外観や絶え間ない血の渇望などではなく、彼らが自らの意志でハモンキュラスの従者となる道へと踏み込むことを決断したことにあるといえよう。種族全体として持つその心理的傾向ゆえに、わずか数百年を生きただけでデュカーリは自分の肉体に飽き飽きし、全く異なる姿へと変わるために自ら進んで改造手術を乞うのである。
こうした自発的な改造手術によって、彼らの精神を蝕む倦怠(アンニュイ)を振り払い、それと同時に全く新たな経験と享楽にその身を委ねようとするのだ。こうした理由から、もし自分の身体以外に何一つ失うものが無くなったデュカーリがいたとしたら、彼らはその身をハモンキュラスに捧げるに違いない。
彼らの胸には、おぞましい変身をとげて、以前の自分よりも遥かに恐ろしい何者かに変わりたいという願望が沸き上がるからである。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P70 イラストより


  • 「グロテスク」


【概要】
塔のごとく巨大な異形の怪物、グロテスク。主人であるハモンキュラスが究極の暴力を必要とする時、この狂気の創造物が戦場に投入されるのだ。
自発的な改造手術によってグロテスクと化すデュカーリなと、まず存在しないだろう。ほとんどのグロテスクは、かつてデュカーリとして生きていたが、ハモンキュラスを(程度の大小関わらず)侮辱したかどうかで捕まえられて恐るべき懲罰を下された結果、このような絶望的でおぞましい怪物へと造り変えられてしまったのである。
グロテスクの素体として捕獲された者は、苦痛に満ちた屈辱的な肉体改造の課程を経て、グロテスクと化す。デュカーリたちは究極のナルシストであり、それはハモンキュラスの逆鱗に触れた者とて同様だ。
それを知っているからこそ、ハモンキュラスは自らの怒りを買った者の肉体に対して残酷で屈辱的な変形を加えることに、とりわけ邪な喜びを覚えるのであろう。大抵の場合、改造過程が終了するまでには数年ほどかかる。
その間、この不運な素体には、成長促進の秘薬(エリクシル)、マクロステロイド、筋刺激剤などが大量に注入され続け、肉体が異様なほど肥大化するまで継続されるのだ。骨は成長促進ウイルスの注射により過度に活性化され、結果として分厚い筋肉に覆われた背中を突き破るようにして、脊柱が体外へと露出する。
太い筋肉質の前腕部には、鋭利な刃や毒を撒き散らす機能を備えたガントレットが接合され、手のひらは化け物じみた握力を持つカギ爪形の義手か、あるいは自らの猛毒を含んだ体液(イコル)を撒き散らすためのチューブに交換されている。
大抵の場合、グロテスクには脳外科手術が施されているが、中には自分の周囲にどのような恐怖が満ちているかを認識できるように、ある程度の自我や感覚を残されている場合もあるという。いずれにせよ彼らは、ハモンキュラスに仕える愚鈍な従僕となり、極めて単純な命令のみを実行するのだ。
生気を失い、恐怖を刻まれた彼らの顔は、黒い鋼の仮面で永遠に封印されている。肉質の培養器からその姿を現したグロテスクは、その瞬間から暗黒の主人に従属することだけを望むようになるのだ。
滑らかに移動するハモンキュラスの後に続いてこの巨大な肉塊たちが重々しく行軍する光景は何とも不様なものだが、ひとたび主人から殺戮命令が下されると、グロテスクはたちまち恐るべき破壊兵器へと変貌をとげる。複数の注射器から脊椎を通る血流へとじかに興奮剤が注入され、主呼吸器官に接続された複数のポンプがまるで気管支痙攣でも起こしているかのように通常の三倍近くの速さで収縮運動を行い、チューブが挿入された心臓群に対して強制負荷をかけ、全身の血管を破裂寸前まで脈打たせるのだ。
かくして狂戦士化したグロテスクは、くぐもったうなり声とともに乱戦の中に飛び込んでゆき、巨大なフックや鋭い爪、巨大な刃などで、手の届く範囲にいるあらゆる者を殺戮するのである。
いうまでもなく、グロテスクは主人から戦闘中断命令を受けるまで絶対に戦闘を止めようとはしない。彼らの主が一時的に戦死している場合や、戦闘の喧騒や混乱があまりにも大きすぎるなどの理由で命令が聞けなかった場合、グロテスクは他のデュカーリを含めて、文字通り手の届く範囲にいる者をすべてを殺し続けるだろう。
グロテスクに残されたわずかな正気が、こうした無差別殺戮によってどれほど満足を覚えているかどうかを知る術はない。ただひとつ確かなのは、この怪物は傷だらけの巨体の内側に、計り知れぬほどの攻撃性を秘めていることだ。
グロテスクがその内なる攻撃性を開放している間は、決して周囲には近づかぬほうが賢明であろう。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P71 イラストより


  • 「タロス・ペインエンジン」


【概要】
ペインエンジン、すなわち苦痛を原動力とする兵器群の中でも、タロスは最も広く知れ渡っており、ハモンキュラスの芸術の頂点にある作品とみなされている。狂気的天才であるハモンキュラスらが創造したこの兵器は、一部が有機体、一部が機械によって構成され、手術器具や禍々しい外見の戦闘用武装などを搭載しているのだ。
タロスの仕様は各個体ごとに大きく異なるが、どの個体も、主人の怒りを買った愚か者どもに恐るべき報復を下すのに十分な機能を備えている。一例を挙げると、コヴン〈肉の予言者〉(プロフェット・オヴ・フレッシュ)が好むのは、けたたましい音をたてる「鎖の食屍鬼」(チェーングール)型タロスであり、コヴン〈無限螺旋〉(エヴァースパイラル)を守護するのはドリル状の脚を持つ「告解請負人」(シュリヴナー)型タロスだ。
ただ、どちらのタロスも、創造主の何倍もの体躯と力を備えた不浄なる恐怖の象徴であることに変わりない。限定された自我を持つこの兵器は、反重力(アンチグラヴ)モーターの甲高い機械音に、カチカチと音を立てる銀色の刃で不気味な伴奏を加えながら、ゆっくりと獲物に接近してゆく。
タロスはハモンキュラスの地下牢でもいくつかの役割を与えられている。番犬として、および移動式拷問室としての役割だ。
タロスの鋭いハサミによって捕らえられた者には、想像を絶するほどの多種多様な苦痛が与えられる。また、鋼のように固い甲殻を持つタロスは、ハモンキュラスを敵の射撃から守るための盾となるのみならず、敬意に欠ける愚か者どもを罰するための道具としても役に立つ・・タロスがいれば、主人であるハモンキュラスは、その歪んだ指を動かす必要もないのだ。
タロスの前脚に備えられた鋭利なハサミは、オグリンでさえ一瞬にして血まみれの肉塊へと切り刻む。また、タロスの胸部か抽出された体液は、イコル・プロジェクターと呼ばれる体液噴射装置から放たれ、軽装甲の犠牲者をヘドロのスープに変えてしまう。
だが、これらの武装よりもさらに恐るべきは、体節ごとに分かれた装甲甲殻(アーマード・カラパス)の下に搭載された精密多脚(マニピュレータ)と、解剖用の鋭利な刃物である。タロスは敵を捕獲すると、一対の前脚でがっしりと固定しながら、残りの脚を使って素早く効率的に解体作業を開始する。
モーターが甲高い音を立て、ドリルを鳴らし、搭載した外科手術器具の数々を用いて犠牲者の皮を剥ぎ取り、引き裂きながら、部品単位で切り出すのだ。最後に残されるのは、わずか数滴の血液だけである。
戦場で繰り広げられるこの凄惨な解体作業は、その趣深い光景によってハモンキュラスを楽しませるだけでなく、タロス自身も獲物の肉体からより多くの原動力を得られるという点において、極めて重要である。タロスは爪を鳴らしながら殺戮に勤しみ、獲物を解体して苦痛を吸収するたびに活力をみなぎらせて前進し、自らの体に搭載されたハイテク兵器の数々で敵に大量殺戮をもたらすのだ。
新しい獲物を捕獲するたびに、このプロセスは何度でも繰り返される。
タロスに捕獲された犠牲者に待つ運命は、解体されて死を迎えたところでは終わらない。コヴンの地下牢に帰還した後で、犠牲者の体組織はタロスの金属質の甲殻の外へと抽出された後、薬物や秘薬(エリクシル)を合成するための原料として使われるのだ。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P72 イラストより


  • 「クロノス・パラサイトエンジン」


【概要】
クロノスの異様な外見は、巨大な生体機械蟲(バイオメカニカル・インセクト)か、トゲだらけの寄生虫(パラサイト)を思わせる。その磨き上げられた艶々とした甲殻装甲(カラパス)からは、針のようなアンテナ類やピクピクと痙攣する推進器類がいくつも生えているからだ。
クロノスの主な用途は、タロスなどのペインエンジンと同様に敵を拷問し破壊することにあるが、中でもクロノスの異様さはことさら際立っている。盟約団(ハモンキュラス・コヴン)が進めてきた錬金術と科学の奇怪な複合技術によって、クロノスは犠牲者の有機組織を吸収するだけでなく、生命力の精髄(エッセンス)さえすすり取られるからだ。
この不浄なる怪物によって襲われた犠牲者は、ハモンキュラスの極悪非道な科学技術の偉大さを証明するかのように、体液を一滴残らず奪い取られて捨てられるだろう。クロノスが通り過ぎた後には、灰色の抜け殻のごとき死体の山だけが残されるのである。
クロノスは極めて恐ろしい代名詞的な武器を搭載している。知覚神経束(センサリー)から生えたフルート状の結晶構造体、あるいは異星の昆虫のごとくその頭部から垂れ下がった吻(ふん 蚊や蝶が持つ長い口)状の形を取るこの機器は、人類の言語に大まかに翻訳するならば「スピリット・サイフォン」、すなわち魂魄吸引器と呼ばれる。
その名が示す通り、この装置はネガティブ・エネルギーの自己増幅回転(フィードバック・ループ)を発生させ、戦場で捕えた犠牲者の生命力を吸引してしまうのだ。観察者の目から見ると、スピリット・サイフォンの犠牲者は、クロノスがその獲物に注意を払っている様子もないまま、信じ難いほど急速な老化現象を引き起こす。
犠牲者の肉体はたちまち萎び、腐り、古の骸のごとき死体へと変わり果てるのだ。
吐き気を催すほど奇怪な能力に見えるかもしれないが、残念ながらクロノスの滋養収集行動はこれだけではない。この兵器に吸収された生命力は、その光沢を放つ装甲甲殻の内部で増幅され、リブ状の蓄電バルブ群へと供給された後、共振翼から再投射される。
この結果、クロノスの体からは魂魄の精髄がパルス的な波となって何度も放出され、周囲にいるデュカーリたち(通常は主であるハモンキュラスと、まるでカーニバルの怪物たちのように奇怪な従者ら)へと流れ込むのだ。
この精神波がもたらす影響は、盟約団の怪物たちだけに限らず、あらゆるデュカーリが享受できる。クロノスによって盗まれた敵の生命力が、デュカーリたちを強化するのだ。
このようにして、艶やかな金属質の怪物が敵を餌食とするたびに、周囲の味方は活力と若々しさを取り戻し、さらなる破壊衝動へと駆り立てられるのである。一部のクロノスは、ネガティブ・エネルギー自己増幅回転の能力をより遠く離れた敵に対しても使用できるよう改造が施されており、また一部のクロノスは、自らのスピリット・サイフォンを敵の肉体に物理的に突き刺し、最後のひとかけらまで魂魄をすすり取るための機能を有している。
迷信深い人類の帝国に住む臣民らの間で、クロノスは時間泥棒(タイムシーフ)と呼ばれ恐れられているが、それは恐らくこの奇怪な兵器が犠牲者から若さと活力を盗み取り、それを自らのサディスティックな主たちに捧げるからであろう。
長期的な襲撃作戦を企むアーコンは、少なからぬ代価と引き換えに、自らの作戦にクロノスを引き連れてゆくだろう。たとえ、長引く戦闘でカバライト・ウォリアーたちが疲弊し、騒乱の戦場に倒れ始めたとしても、戦闘の趨勢(すうぜい)はデュカーリの側に傾くからである。
犠牲者からすすり取った生命力の精髄を自らの肉体に浴びる時の快楽は、何物にも代え難いものだという。このため、大きな財力を持つアーコンの中には、常に自らの周辺にクロノスを一体侍らせておく者も少なくない。
彼らは下僕たちが少しでも自分の機嫌を損ねるようなことがあれば、すぐにでもクロノスにその力を使わせるのだ・・。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P73 イラストより


目次に戻る


ウォーギア(武器)と防具


【概要】
彼らの持つテクノロジーや武器は多くがクラフトワールド製のものと似ており、反重力(アンチグラヴ)やナノテクノロジー、〈歪み〉を利用した兵器などをの高度な技術を有している。
デュカーリは〈歪み〉を利用したデバイスを使用するが、サイキックそのものを使用することはない。
サイキックを使用することによって、仇敵であるスラーネッシュ神の感心を惹くことになり、ひいてはデュカーリ種族全体に被害が被る可能性が高くなるためだ。



画像出典: コデックス「ダークエルダー」(codex:DarkEldar 5th Edition)第5版 P57,59 イラストより


【遠距離武器】
【ダークライトウェポン】
コモラフで開発された「暗き光」(ダークライト)を用いた特殊レーザー兵器。通常のレーザー光線収束技術を応用した兵器とは異なり、「暗き光」を収束して敵に打ち出す。
ダークライト兵器はどのように発明されたかは不明だが、これらのエネルギー源がブラックホールや〈歪みの嵐〉、あるいは神性が介在するその他の超常現象であると主張する声も多い。
射出された「暗き光」は攻撃目標に対して致命的な破壊をもたらし、重装甲のビークルに大穴をあける威力を持つ。また、歩兵に当たればその身を一瞬で消え去ってしまうのだ。
ダークライトウェポンは使用時には適切な防護装置が必要となる。それらが無い状態で「暗き光」を直視してしまった者は、網膜に治療不可能な切り傷のごとき跡が残される。

  • 「ダークランス」

代表的なダークライトウェポンの一つで、強力な「暗き光」によるレーザーを発射する。構造はクラフトワールドの軍勢が持つ「ブライト・ランス」に似ているが、弾薬は「暗き光」の弾薬を使用する点で異なる。内部には「封磁フィールド」と「安定化フィールド」を発生させる装置が組み込まれており、「暗き光」が使用者を負傷させないようにしている。

  • 「ブラスター」

小型版のダークランスで、携帯性に優れている。銃の構造がよりコンパクトになった反面、元のダークランスに比べて射程が短くなっている。

  • 「ブラストピストル」

ブラスターをさらに小型化したピストル。射程はさらに短くなっている。


【スプリンターウェポン】
スプリンターウェポンは、強力な電磁パルスのエネルギーを用いて、砕かれたクリスタルの破片を無数に射出する武器である。射出する破片の表面は極めて高い即効性の薬物によっておおわれており、命中した標的はもだえ苦しみながら死んでいく。
デュカーリたちの中には、スプリンターウェポンの犠牲者が作る歪んだ苦悶の表情を見ることに魅了され、中毒となり、より大型で強力な銃に手を伸ばすものもいるという。

  • 「スプリンターピストル」

片手で扱えるスプリンターウェポン。エレガントなサイドアームであり、銀河全域の暗殺者や路上闘士たちに愛好されているという。

  • 「スプリンターライフル」

数あるスプリンターウェポンの中でも特にカバル・ウォリアーたちが好んで使用するライフル。レイダーやヴェノムのような兵員輸送車両にも搭載されることが多い。

  • 「シャードカービン」

翼をもつ「スカージ」部隊が使用することで名が知られるカービン銃。スプリンターライフルより射程は少し短いが、強力な有毒弾を打ち出すことが可能。

  • 「スプリンターキャノン」

大型の発射機構を持つスプリンターウェポン。スプリンターウェポンの中でも高い火力を持ち、敵部隊を丸ごと一つ全滅させるほどの威力を持つ。高い性能を誇る反面、製造コストは高くつく。


【その他】

  • 「ディスインテグレイター・キャノン」

「盗まれし太陽」(ストルーン・サン)から抽出された反物質粒子を射出する物質崩壊砲。高い連射性能を維持しながら、その内部に途方もないエネルギーを内蔵しているにもかかわらず、表面温度は常に冷たい。

  • 「シュレッダー」

カバライト・ウォリアーの主力兵器の一つ。銃口から、極小の棘が備わった、射出後に伸張する単分子繊維の網が発射される。見えない網によってからめとられた敵は、もだえ苦しみながら自身の肉が切り裂かれてしまうだろう。

  • 「ヒートランス」

熱線粒子長銃とは、熱線兵器の技術と高濃度粒子砲の技術が組み合わさった、長銃身をもつ銃器である。「リーヴァー」と「スカージ」に愛用されている兵器で、射程は短いがその破壊力はすさまじい。

  • 「ファンタズム・グレネードランチャー」

デュカーリの裕福な戦士が装備しているグレネードランチャー。二本のチューブから小型のディスク状の形をしたグレネード弾を発射する特殊なバックパックを背負って使用する。着弾時に周りの空気と混ざって精神感応性のガスを作り出す。ガスを吸ったら最後、犠牲者の精神は恐ろしい悪夢や幻影によってさいなまれてしまう。

  • 「ヘイワイア・ブラスター」

電磁エネルギーを射出する電磁攪乱銃。コモラフの高層部周辺に漂う電磁エネルギーを吸収して内部に蓄え、これを恐ろしいほど強力な一撃として発射することが可能。その一撃で敵戦闘車両の制御システムを損傷させて行動不能に陥れることができる。


【近接武器】

  • 「アゴナイザー」

アゴナイザー、すなわち"苦痛をもたらすもの"は、極めて高度に洗練された白兵戦武器である。この武器は犠牲者の感覚中枢を混乱させ、苦悶のあまり神経が焼き切れるほどの致命的な激痛をもたらすのだ。アゴナイザーの形状は様々だが、鞭あるいはトゲ付きフレイルなどの形状が最も一般的である。

  • 「ヴェノムブレイド」

ヴェノムブレイドを持つデュカーリは、貴族階級であると考えて間違いないだろう。この刃の表面にはマイクロ単位の穴が無数に開いており、そこから「ハイパートキシン」の「蒸留エリクシル」を定期的に分泌している。この液体は我々の銀河で最も毒性の高い物質である。

  • 「エレクトロ・コロッシヴ・ウイップ」

電磁腐食鞭(エレクトロ・コロッシヴ・ウイップ)とは、猛毒物質を吸着させた高分子重合体の鞭であり、さらにその柄部分には高電圧の小型発電装置が内蔵されている。その一撃は標的に対して凄まじい激痛と衰弱をもたらし、敵の肉体から戦闘意欲と筋力をことごとく奪い去ってしまう。

  • 「ジンブレイド」

一般的なジンブレイドの刀身は磨き上げられたクリスタルの形状をしており、その柄部分には苦悶に歪む顔が張り付いている。ジンブレイドには、血に飢え憤怒に満ちた意志が宿っている・・・。かつてこの剣の所有者のライバルであった者の魂が、永遠なる従属という責め苦を与えられているのだ。

  • 「クラヴ・タロン」

反重力ジェットバイクに装備された武器。通過する敵を押しやったり、切り刻むことが出来る。

  • 「クレイヴ」

インキュバスが愛用するパワーソードの一種。刀剣としての均整と様式美が高度に融合した、まさに至高の刀剣である。

  • 「デミクレイヴ」

インキュバスの戦士長であるクレイヴェクスが扱う特殊なクレイヴ。2つの剣を1つの剣として合体させることが出来る。

  • 「ヘルグレイヴ」

ヘリオンが愛用する両手持ちの長柄刃。長柄の両側に刃が付いており、敵を切り裂く。

  • 「スタン・クロウ」

ヘリオンが扱う近接武器。敵のリーダーをひっかけて捕まえるためにも用いられている。

  • 「シャードネット&インペイラー」

ウィッチが扱う近接武器。シャードネットは敵の動きを封じる電磁ネットであり、インペイラーは伸び縮みする双刃の武器だ。

  • 「ヒドラ・ガントレット」

ウィッチが扱う両手に装備する篭手型の武器。結晶で出来た刃を展開させることが出来る。

  • 「レイザーフレイル」

ウィッチが愛用する多節武器。いわゆる蛇腹剣。ワイヤーで接続された複数の刃は剣として使うことが出来るほか、鞭として扱うことも出来る。

  • 「ハスクブレイド」

アーコンが愛用するパワーウェポンの一つ。その剣が振るわれると、剣の軌跡にそってぷすぷすと煙が立ち上り、接触した物体からは瞬時に水分が奪われる。犠牲者の肉体はたちまち委縮し、抜け殻(ハスク)のような無残な肢体が風に転がるだろう。

  • 「マインドフェイズ・ガントレット」

精神感応ガントレットと呼ばれるこの武器は非常に高度な脳神経操作装置であり、敵から筋力と闘争意欲を奪ってしまう。


【その他】

  • 「アーマード・カラパス」

タロスやクロノスといった苦痛を原動力とする大型兵器の数々は、その体表を強固な甲皮(カラパス)で守り、内側に収められた有機的な器官を敵の攻撃から守っている。

  • 「インキュバス・ウォースーツ」

インキュバスたちは皆、儀式的な戦闘装甲服に身を包んでいる。この装甲服は極めて強固であり、ほとんどの攻撃をはじき返してしまう。

  • 「ウィッチスーツ」

ウィッチたちが身に着けている柔軟で弾力性の高いボディースーツは、彼女らの体の半分を防護することを目的としており、全く身体動作の妨げにならない。彼女らは通常、防護されている側の部位を敵に向けて戦う。

  • 「カバライト・アーマー」

デュカーリのカバライトたちは、複数の部位に分かれた鎧を身にまとって戦場へと赴く。鎧の内側には、これらを着用者の肉体に固定するためのトゲ付きかぎ爪などが備わっている。

  • 「ゴーストプレート・アーマー」

適度な防御能力と身体運動性を両立させたアーマーを所有するデュカーリたちは、教科レジンと空気より軽いガスを満たした複数のポケット状構造から形作られた、ゴーストプレート・アーマーを装着する。
また、ゴーストプレート・アーマーには「フォースフィールド」技術も応用されており、微弱ではあるが着用者を保護できる。

  • 「ナールスキン」

ハモンキュラス自身の肌、および彼らが率いる醜い肉体改造物たちの肌は、無数の火傷跡と擦り傷によって覆われ、敵の攻撃を防げるほど革のごとき強固さを獲得している。

  • 「ためらいの仮面」(ヴェクゼクター・マスク)

ためらいの仮面の形状は様々だが、骨と皮を繋ぎ合わせ、惑乱のルーンを刻んで作られた精巧な装置の形を取ることが多い。このマスクは、それを見た敵の心の中に存在する最も信頼する友や、敬愛する君主や、愛する者たちの顔などを映し出し、着用者が付け入るのに最適な一瞬の隙を作り出す。

  • 「網辻の門」(ウェブウェイ・ポータル)

現在の位置と網辻(ウェブウェイ)をリンクさせる門を発生させるための、携行可能な小型デバイス。

  • 「クローンフィールド」

クローン・フィールドからは、所有者と全く同じ外見を示すホロライト・イメージが複数投射される。

  • 「シャドウフィールド」

シャドウフィールドは、貫通することなどほぼ不可能な暗黒の瘴気をエネルギー的に生成し、着用者の体を包み込む。しかし万が一、このフィールドが貫通されてしまうと、シャドウフィールドは消失してしまい、着用者を無防備な状態にしてしまうのだ。

  • 「ソウルトラップ」

展開式のピラミッド状のプリズムであったり、不吉なルーンが刻まれ宝石が埋め込まれた髑髏であったり、その形状やサイズは様々だが、ソウルトラップの機能はどれも同じだ。
強力な敵の魂を捕縛し、そのエネルギーを用いて所有者を強化するのである。

  • 「反重力(アンチグラヴ)カルトロップ」

マキビシのような爆発兵器。敵の近くで猛烈な連鎖爆発を起こす。

  • 「ブラッドストーン」

インキュバスが持つ特殊な武器。クラフトワールドの先達(エクターチ)から奪った壊れている「魂の石(魂魄石)」を鋳造して作られた。この石から投射されるエネルギーの拍動によって敵の血液を瞬時に沸騰させることが出来る。

  • 「プラズマ・グレネード」

プラズマ兵器の不安定な電磁核が爆発する原理を利用したグレネード。太陽の光に匹敵する熱量と光を放つ爆発を起こす。

  • 「ヘイワイア・グレネード」

限定された空間に強力な電磁波を発生させ、電子回路をショートさせることで、敵ビークルの動力システムを沈黙させる特殊なグレネード。


【アーケイン・ウォーギア】
アーケイン・ウォーギアは希少な武具であり、波紋きゅらすろその歪み切った下僕立ちのみが限定的に使用できる。これらの武具の動作機構は極めて奇怪であり、ゆえに下等なる人類の目からは魔法か妖術の産物に見えることだろう。

  • 「激痛の大天使」(アークエンジェル・オヴ・ペイン)

この荘厳な容器の中には、捕獲された悪魔(ディーモン)のエッセンスが収められている。またこの悪魔は、容器の内側に刻まれた束縛のルーンによって狂気に駆られているという。
解放された悪魔は翼持つ輝かしき姿となって一瞬だけ物質化を果たしてから、〈歪み〉へと帰ってゆく。この時悪魔が上げる勝利の雄たけびは、どんな勇敢な敵の心も恐怖に震わせるだろう。

  • 「悪意持つ人造生命体」(アニムス・ヴィタエ)

この悪意持つ人造生命体は、知覚を持つトゲ付きワイヤーの球体内固く詰め込められている。ワイヤーを外側に向けて爆発的に射出することによって敵を捕獲してから、急速にこれを内側に引き戻し、犠牲者の肉をズタズタに切り裂くのだ。
この過程の中で、「悪意持つ人造生命体」はサイキック的な副生産物を排出し、それを摂取した強靭なる精神を持つ者に対して、劇的な興奮と活力をもたらすという。

  • 「解剖の函」(カスケット・オヴ・フレンジング)

この函(はこ)が開かれ、作動の言葉がかけられると、不可視の霊魂たちが解き放たれて敵に向かって飛翔する。直後、犠牲者の肉体や装甲服は無数の噛み跡で覆われ始めるのだ。
幽体の使い魔(インプ)たちは噛み跡を十分につけ終えると、犠牲者の頭部から肉をすべて削ぎ落とし、それから頭蓋骨を脊髄から引き抜き、戦利品として主であるハモンキュラスのもとに持ち帰るであろう。無論、この頭蓋骨の中には、恐怖の苦悶にうめく犠牲者の脳が残されている。

  • 「悪意のるつぼ」(クルシブル・オヴ・マレディクション)

ハモンキュラスはこの風変わりな武器を”同族への贈り物”として呼称している。なぜならこの武器は、彼らのいとこにあたる"方舟(クラフトワールド)のアエルダリ族"に対して、特に危険な効果を発揮するからだ。
それぞれの壷には、捕獲され死ぬまで拷問されたサイカ―(異能者)たちの霊魂の精髄が収められており、怨霊と化した彼らは解放されるやいなや戦場を飛び回り、不協和音の絶叫を放って周囲にいるサイカ―たちを狂気へと追いやる。

  • 「シザーハンド」

高価な毒液で満たされた、外科手術用ハサミのごとき武具。所持者は敵の手足をやすやすと切り落とし、戦闘能力を奪ってしまう。

  • 「粉砕の鏡」(シャッターシャード)

伝説に名高き「粉砕の鏡」はかつて、〈多次元の鏡〉と呼ばれる重合次元の門(ポータル)の一部であった。この門が崩壊して以降、狂える天才「ヴォージュ」はその破片の一つ一つを苦心して集め、武器として改造してきた。
敵の姿を「粉砕の鏡」の中にとらえ、これを粉々に叩き割ると、中に映り込んでいた敵兵の体も粉砕されるのだ。

  • 「スティンガーピストル」

小型軽量の携行武器で、注射器のシリンジのような長い銃身が特徴。スティンガーピストルの薬室である「ノム・リザーヴァー」には、極めて強力な灼熱の毒液で満たされている。
この銃からは中空ガラス状繊維の針が射出され、標的の肌に突き刺さるやいなや、その血液中に毒液を流し込むのだ。標的が辿る恐るべき運命については、あえて語るまでもあるまい。

  • 「暗黒の大門」(ダークゲート)

「暗黒の大門」(ダークゲート)はルーンの刻まれた四面体の形を取る装置であり、〈網辻〉(ウェブウェイ)内の禁断の領域へとつながる門(ポータル)を開く。この封印された領域にはありうべからざる怪物たちが生息しており、ひとたび門が開くと、エサに引き寄せられるようにして物質宇宙側に姿を現すのだ。
乱戦の中に「暗黒の大門」が投げ込まれると、この一瞬後に門が発生し、内側から無数の触手や脈打つ偽足などが飛び出して、周囲にいる者全てを締め上げ粉砕してしまうのだ。

  • 「フレッシュ・ガントレット」

注射器のシリンジのような突起物や小瓶がいくつも装填された、爪付きのグローブ。犠牲者の体内に強力な「エレクトロ・ステロイド」を注入する。
この薬物を注入された敵は急激かつ超自然的な肉体成長を開始し、内部から皮膚を切り裂き、劇的な破裂を起こすのだ。後に残るのは、湯気の上がる血だまりだけである。

  • 「ヘックスライフル」

超銃身のライフル銃。M36に〈仄暗き都〉を襲った悪疫、「ガラス化病」の種がごく少量収められたクリスタル状シリンダーを射出する。ヘックスライフルから撃ち出された奇怪な弾薬が敵の肌に付着すると、敵の体内へと病原菌が急速に拡散し、その肉体を透明なガラス質に変えてしまう。
犠牲者はその衝撃と戦慄を顔に張り付かせたまま、ガラス製の像として永遠にその場に立ち尽くすのだ。

  • 「リキファイアーガン」

液化銃リキファイアーガンからは、接触した物体全てを溶かす強力な酸性物質が噴射される。ラックやグロテスクといったハモンキュラスの下僕たちは、しばしばその肉体にリキファイアーガンを内蔵しているため、自らの体内に流れる強酸性の血液を敵に吹きかけることもできるのだ。
リキファイアーガンが敵にどれだけ恐ろしい液化効果をもたらすかは、噴射された酸性物質が攻撃目標にどれだけ接触したかによって大きく異なる。


【ビークル用装備】

  • 「インプロージョン・ミサイル」

この重厚で禍々しい外見の破壊兵器からは、分子不協和(モレキュラー・デソナンス)フィールドが展開される。この波動を受けた犠牲者の肉体はたちまち内爆(インプロージョン)を起こし、自分の内側に吸い込まれるようにして分子崩壊を起こすのだ。直前まで犠牲者が立っていた場所には、焼け焦げた足跡だけが残されるだろう。

  • 「ヴォイドランス」

ヴォイドランスからは、崩壊した網辻(ウェブウェイ)の柱から採取された極めて破壊的で奇怪なエネルギーが、パルス状に発射される。

  • 「ヴォイドマイン」

ヴォイドマインは、デュカーリが持つ軍事テクノロジーの結晶とでも呼ぶべき兵器だ。

  • 「シャッターフィールド・ミサイル」

シャッターフィールド・ミサイルには、二つの起爆核(デトネーション・コア)が内蔵されている。着弾すると、最初の起爆核は周囲の気温を急激に奪い、爆発範囲内にいた敵を瞬時にして氷の像へと変えてしまう。直後、二つ目の起爆核が作動し、強烈な衝撃波によって氷漬けの犠牲者たちを粉々に打ち砕くのだ。

  • 「エーテルの帆改造型」

エーテルの帆は、開かれた網辻の門(ウェブウェイ・ポータル)から物質宇宙に流入してくるとされるエーテルの風をとらえるために用いられる。また操縦師たちの多くは、エーテルの帆の構造と使用方法を熟知しており、無摩耗合金やヴィブロポッド、帆を調節する傾斜ブームなどと組み合わせることで改造を施し、ビークルの飛行速度を劇的に向上させている。

  • 「残虐なる戦利品」

このスキマーの船体は敵の生首で飾られ、血で染め上げられている。かつて威容を誇った敵兵たちの無惨な成れの果てをみたデュカーリたちは、その心を傲慢な自尊心によって満たすだろう。

  • 「ショック・プラウ」

衝撃衝角(ショック・プラウ)は船体の正面に取り付けられる突起物であり、電磁エネルギーによって形成された方向波スペクトルを放つ。

  • 「スプリンター銃器格納ラック」

各種デュカーリのビークルに乗る兵士たちは、豊富に格納された対歩兵銃器を用いて、超高速で移動する船体の上から敵に一斉射撃を繰り出すための訓練を受けている。

  • 「チェーンスネア」

デュカーリが有するビークルの一部は、船体の下部に逆棘付きのフックが備わったチェーンを吊るしており、敵部隊の上を通過してゆく時に敵兵の肉片をいくらかえぐり取ってゆく。引っかけ所が良ければ、1人か2人ほどの犠牲者の体に深くフックを突き刺し、そのまま死ぬまで引きずり回すことができるのだ。

  • 「トーメント・グレネードランチャー」

デュカーリが有するスキマー群の中には、敵兵の密集部に対して、棘だらけの苦悶(トーメント)グレネード弾を発射するためのランチャーが搭載されているものがある。これらのグレネード弾からは、黄土色の幻影誘発性ガスが放出されて雲のように立ち込め、周囲にいる者たちの精神を恐怖によって満たす。

  • 「ナイトシールド」

デュカーリが有するビークルのデッキ部は、多重スペクトル置換フィールドによって覆われており、あたかもビークル全体が冷たい漆黒の闇に包まれているかのように見せる。

  • 「ネクロトキシン・ミサイル」

このミサイルの中には、きわめて毒性の高い神経毒が大量に充填されている。このミサイルが着弾し爆発すると、ナイフのように鋭い金属片が周囲にまき散らされるが、これらの金属片の表面には危険なネクロトキシンが付着しているのだ。

  • 「フリッカーフィールド」

高度に洗練された光学フォースフィールドを装備したビークルは、現実空間上で瞬くようにして実体化と消失を小刻みに繰り返す。

  • 「猛毒の刃物」

各ビークルの船体から生えた突起物や刃物は、ウィルス性の毒物によって覆われている。

  • 「モノサイズ・ミサイル」

モノサイズ・ミサイルは、レイザーウィング高速戦闘機(ジェットファイター)の代名詞的な武器であり、着弾地点に爆発の力を封じたパワーシールドを発生させる。生成された薄いパワーシールドが敵の体や首を切断してしまうのだ。

  • 「レトロファイア・ジェット」

各ビークルには、船体の降下速度を瞬時に低下させるための逆噴射(レトロ)ジェットエンジンが搭載されている。これにより、戦場にいる敵部隊へと上空から一直線に降下を仕掛けることが可能だ。


目次に戻る


ビークル

  • 「ヴェノム」


【概要】
デュカーリの戦術は、荒々しいスピードと奇襲によって支えられている。このため、コモラフのビークル群はいずれも速度と機動性に優れているが、その中で最も機動性に優れる小型輸送船が、このヴェノムである。
精鋭部隊を乗せ、矢のように速く、滑るように戦場へと走るこのスキマーの機影は、あたかも心臓目がけて投げられた猛毒(ヴェノム)まみれのダーツのようだ。
デュカーリによる襲撃は、明確な攻撃目標を定めた一点突破型ではなく、波状攻撃を基本とする。空が割れ、数え切れないほどの飛行船が一斉に降下してきて、迎撃を試みる敵の火線をかき乱すのだ。
確かに、多くの船は敵の対空放火によって迎撃されるかもしれない。しかし、どんなに統制のとれた砲兵部隊であっても、悪意に満ちた飛行船の大群を全て撃墜することは不可能だろう。
さらに、深い経験を積んだデュカーリの指揮官は、敵がよく訓練されていればいるほど、兵員を多く乗せた大型船から優先的に攻撃してくるという事実を知っている。このため、デュカーリの中でも特に狡猾な者たちら、〈方舟〉(クラフトワールド)のアエルダリが乗る反重力戦車「ヴァイパー」以上の大きさを持つビークルには乗ろうとしない。
デュカーリの戦いにおいて、スピードは最も重要な要素だ。十分なスピードさえあれば、たった一隻のヴェノムさえ、敵の防衛戦を突破し、危険極まりない積荷を降ろしつつ支援射撃をくり出すことで、敵陣に破滅の種をまき散らすことができるだろう。
ヴェノムの「ブースターエンジン」と「反重力(アンチグラヴ)フレーム」は、他のデュカーリの船に使用されているものと同じである。ただしヴェノムは、迫り来る対空放火の嵐をかわすことができるほどの高い飛行性能と機動性を持ち合わせている。
あまりの高速移動ゆえに「フリッカーフィールド」が形成され、ヴェノムの船体は出現と消失を繰り返して敵の銃手を困惑させるだろう。優れたヴェノムの操縦者は、〈網辻〉(ウェブウェイ)の一部を自分たちの専用路であるかのように行き来する。
仄暗きコモラフの狩人たちの間でヴェノムの人気が高いのは、こうした理由によるものだ。また、スポーツ感覚で獲物を追いつめるデュカーリの貴族階級の間でも、ヴェノムの評判はすこぶる良い。
その船体サイズにも関わらずヴェノムは、統制の取れた小部隊として戦う事になれた精鋭戦士らを、最大五人まで運ぶことができる。デュカーリの支配者たちは大抵、改造が施された専用のレイダーの上からカバライト・ウォリアーを指揮するが、下級の歩兵どもと共に戦うたことを好まない物にとって、レイダーはあまり心地よい選択肢ではないだろう。
この場合、ヴェノムはたった一人の戦士を戦場へ運ぶために用いられることもある。この選択肢を好むデュカーリの貴族は、あまりにも自尊心が強く、護衛の必要性さえも認めないのだ。
そして実際、多くの襲撃作戦においては、たった一人の戦士でも十分な戦果を収められる。この光景を見た者は、ヴェノムが持つ毒とは船体に搭載された重火器ではなく、ヴェノムが運ぶ戦士たち自身なのだと悟るであろう・・。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P55 イラストより


  • 「レイダー」


【概要】
仄かな光を放つ闇が空に現れたら、それはデュカーリたちが現実宇宙襲撃(リアル・スペースレイド)を開始する前兆だ。この闇は次第に広がり、外へ向かって螺旋を描き始め、やがて輝かしい緑色の炎によって縁取られた門(ポータル)を形成する。
この超自然的なエーテルの路を抜けて、トゲトゲしい刃を備えた何十もの飛行物体が襲来するのだ。これらの船は、あたかも血の臭いを嗅ぎつけたサメのごとく恐慌(パニック)に陥った獲物に向かって矢のように滑空してくるであろう。
これらの反重力(アンチグラヴ)スキマーの中で最も一般的なのが、兵員輸送船レイダーである。銀河全域において、デュカーリはこのスキマーを大いに愛用しているのだ。
軽量で高い機動力を持つレイダーは、デュカーリが持つ「速さは耐久力に勝る」という信念を体現したかのようなビークルといえるだろう。レイダーの機体は、乗員を武骨な金属の殻に閉じ込める人類の帝国が扱う鈍重で無様な装甲兵員輸送車両とは似ても似つかない。
むしろ、古代のアエルダリ帝国で用いられたとされる、大空を滑るように走る遊覧船(プレジャーボート)により近いデザインであるといえよう。レイダーの船体は極限まで速度を追及しているにもかかわらず、敵をバラバラに切り刻む剣のように鋭いフィンと、トゲだらけの竜骨(キール)を備えている。
レイダーは反重力テクノロジーによって浮かび上がり、小型化されたターボエンジンを動力源として、不整地でさえも高速で滑空する事ができる。レイダーはそれを所有するカバルごとに独自の武装が搭載されており、仕留めた犠牲者の肉体の一部などで装飾されているが、全てのレイダーに共通する特徴もいくつか知られている。 
竜骨部分に取り付けられた襲撃用の刃、卓越した操縦者技術を誇る操舵手、デュカーリたちが出現したポータルから流入するエネルギーを捕らえるためのエーテルの帆、そして敵軍に恐怖を撒き散らすべく船首部分に固定された重火器である。レイダーの船体は、優美な流線型の装甲によって保護されており、金属製の甲板は軽量化のためにモザイク状の肉抜きが施されている。
この他にも、一部のレイダーには鎌(シックル)のような弧を描いた刃や、衝突時に強力な電撃を放つ衝角(ラム)、そして銃器ラックといった数々の武装が施されているという。
一見、レイダーの軽量化された流線形の船体は、兵員輸送船というよりも競争用の高速艇に見える。そして実際、最高出力時には、クラフトワールドのアエルダリが持つスキマーにも匹敵する速度を出せるのだ。
にもかかわらず、兵員輸送こそが何よりもまずレイダーに求められる能力である。デュカーリの乗員たちはレイダーの手すりや戦利品フックに掴まり、周囲で爆発した榴散弾の破片をくぐり抜けるスリルを味わいながら、狩りの興奮を満喫するのである。
彼らは敵軍のまっただ中へと一瞬にして降車を果たし、流血の予感に歯をむき出して笑うだろう。
ひとたび敵軍が崩壊すると、生き残った敵兵たちは鞭打たれるか鎖でつながれるかしてレイダーに乗せられ、コモラフへと連れ去られる。あるいは単に、戦利品フックに串刺しにされるだけの運命をたどる捕虜もいるだろう。
襲撃のさなかに死んだデュカーリたちも、血みどろの手足の山の上に積み上げられるか、ぼろ人形のようにレイダーの船体スパイクに突き刺され、価値無き者として〈仄暗き都〉に運ばれていくのだ。



画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Raider」 商品画像より(2020/10/10閲覧)


  • 「ラヴェイジャー」


【概要】
ラヴェイジャー・ガンシップは、兄弟機であるレイダーと同様に、圧倒的なまでの飛行能力を持つ。加えてラヴェイジャーは、その船体から兵員輸送スペースを排し、凄まじい破壊力を持つ重火器を三門も搭載しているのだ。
ラヴェイジャーは高火力と装甲を持つ火力支援ビークルであり、戦場においては最も重装甲の敵車両部隊と速やかに交戦状態に入って、これを撃破するという役目が期待されている。とはいえ、優雅なるラヴェイジャーと人類の帝国の武骨戦闘車両を比較することは、軽やかに空を舞うタカと、重い足取りで地べたを歩く無様な荷役動物とを比較するようなものだ。
機体は高速飛行能力と高機動性を合わせ持ち、敵戦車に奇襲を加えて、一撃で破壊するやいなや、敵軍が攻撃を受けたことを認識するよりも前に素早く姿を消すのである。現実宇宙(リアルスペース)との戦争時にはラヴェイジャーは暗殺者(アサシン)の役割を果たす。もっとも、彼らの標的は個人ではなく、装甲車両ではあるが。
ラヴェイジャーの各乗務員(クルー)は、それぞれ別の優先攻撃目標が割り当てられている。仮にもし、攻撃目標の破壊に失敗した乗組員がいたとしたら、所属している陰謀団(カバル)のもとへ帰った時に、仄暗きコモラフの奥底に連れてゆかれ、そこで恐ろしい罰を受けることになるだろう。
機体が持つ照準装置(ターゲッティング・アレイ)には、攻撃目標について事前に陰謀団が調べ上げたデータが可能な限り集積されている。加えて、ラヴェイジャーの各乗務員は、優先攻撃目標となっている敵装甲車両を撃破するための最良の方法について、事前に作戦指示を受けるだろう。
これは、気紛れで知られるラヴェイジャーの銃手(ガンナー)たちに、敵が誇る決戦兵器を行動不能に陥れたり、その重火器で敵の装甲部隊を足止めしたり(あるいは退路を断ったり)といった特殊任務に集中させるためだ。任務を達成したラヴェイジャーの乗組員には、攻撃目標選択に関しての自由裁量権が与えられるため、彼らは戦場全域を思うがままに飛び回って殺戮を繰り広げ、照準がロックオンされたあらゆる犠牲者を次々と撃ち殺してゆくだろう。
デュカーリの持つ主力ガンシップであるラヴェイジャーは、彼らが有する兵器群の中での間で最も汎用的なデザインを用いており、それゆえ人類の兵器輸送車に比べてやや装甲が薄い。この事実からも、デュカーリが兵器に対して抱く、ある特徴的な嗜好を読み取れるだろう。
それは「速度は全てに勝る」という理念だ。ラヴェイジャーの乗組員たちも、たとえ軽装甲であれば高速で飛び回っているほうが、重装甲な戦闘車両に乗って敵から撃たれるのを待っているよりも、遥かに生存率が高いと考えている。
こうしたデュカーリの戦法は、速度よりも火力を重視している人類の帝国の将校たちを大いに苛立たせている。帝国の兵器運用思想は、「鉄槌(スレッジハンマー)の一撃は細剣の一撃に勝る」であり、デュカーリのそれとは真っ向から相反するものだ。
だが、デュカーリたちが取る奇襲戦法の有用性は、帝国の将校らが苛立ちを覚えていることからも確かであろう。ラヴェイジャー部隊はどこからともなく現れて、「帝国技術局」(アデプトゥス・メカニクス)の神機(ゴッド・マシーン)と称された「タイタン」に対して一斉射撃で致命的なダメージを与える。
そしてこの巨獣が地に倒れ伏す前に、ラヴェイジャー部隊は忽然こつぜんと姿を消しているのだ・・。



画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Ravager」 商品画像より(2020/10/10閲覧)


  • 「レイザーウィング高速戦闘機」


【概要】
渦巻く霧を突き抜けて姿を現す、レイザーウィング戦闘機(ジェットファイター)の二本のジェット雲。それはデュカーリの襲撃を告げる前触れだ。
このジェット戦闘機は人類が未だ持たぬ先進的テクノロジーによって作られており、極めて飛行速度が速い。この機体からミサイルの一斉射撃が繰り出され攻撃目標に着弾した直後、上空の大気はレイザーウィングの高速飛行が引き起こすソニックブームによって瞬時に切り裂かれるのだ。
どんなにうぬぼれが強いアーコンでも、下等種族どもの使う装甲車両群が、大きな脅威になりうることを認めるであろう(確かに、下等種族のビークルは見た目が醜悪で、その動作機構も洗練されていない不確かなものではあるが・・)。もし、空中からの襲撃計画が敵に察知され、対空砲火などによって正確な迎撃を受けた場合、デュカーリ側は甚大な被害を受ける可能性があるのだ。
敵からこのような迎撃作戦の選択肢そ奪うために、デュカーリはレイザーウィングを投入し、敵軍の真っ只中に破壊と混乱をもたらすのである。どんなに機動力の高い敵でも、極めて好戦的でかつ操縦技術も高いレイザーウィングの攻撃を振り切って逃げることは不可能だろう。
何故ならレイザーウィングのパイロットたちは皆、リーヴァーのエリートたちからの中から選抜された者たちであり、ほとんど無意識のうちに超高速での空中戦闘をやってのけるからである。
レイザーウィングの機影は、トゲだらけの諸刃の剣を思わせる。弦月型の両翼と刀剣のように鋭い湾曲部の数々は、レイザーウィングが持つ危険な戦闘能力を暗示しているともいえよう。人類の帝国の指揮官たちはしばしばその機影をクラフトワールドのアエルダリが用いる迎撃機(インターセプター)と誤認するが、これは無理からぬことである。
何故ならレイザーウィングの操縦者が航空機同士の空中戦闘ではなく、地上攻撃目標の大量殺戮に特化していることである。彼らは、〈仄暗き都〉で繰り広げられるデスレースのベテランたちであり、もはやアリーナでも生活から脱出できるほどの十分な財力を勝ち取った彼らは、「自らの肌を危険にさらすことなく、思うがまま破壊と暴力を追求する」ようになったのだ。
レイザーウィングの操縦者たちは、自らの手で作り出した地上の地獄の上を飛行しながら、パニックを起こして逃げ惑っている死に損こないどもを、嬉々として狩り殺してゆく。レイザーウィング高速戦闘機は、悪魔的なまでに殺傷力が高いミサイル兵器を複数搭載している。
レイザーウィングの編隊からミサイルの一斉射撃が加えられれば、地上の敵軍は目にも見えぬ巨大なカギ爪によって引き裂かれるだろう。これらの中で最も殺傷力に優れているのが、操縦者の遠隔操作によって敵の密集地点へと送り込まれる、かの恐るべき「モノサイズ・ミサイル」だ。
モノサイズ・ミサイルが悪名高い理由は、その特殊な弾頭にある。この弾頭は単なる爆発を巻き起こすのではなく、着弾と同時に、内蔵された複雑な「パワーシールド発生装置」が作動して爆発の力を薄い水平空間内に封じ込めるのだ。
すなわち、敵兵の首を切断したり、あるいは胴体を真っ二つにしたりするのに最適な高さで水平面に衝撃波が走り、着弾地点の周囲にいるあらゆる者を殺戮するのである。この驚くほど冷酷な大量殺戮の光景は、ジェットファイターの操縦者たちを大いに満足させるだろう。
あらゆるデュカーリは、”精密に管理された死”を愛好しているからだ。



画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Razorwing Jetfighter」 商品画像より(2020/10/10閲覧)


  • 「ヴォイドレイヴン爆撃機」


【概要】
デュカーリたちにとってヴォイドレイヴン爆撃機は、戦場に投入できる究極の重火器である。ただし、爆撃機と言っても、ヴォイドレイヴンは、人類の帝国の戦闘機をはるかにしのぐ機動力を誇るのだ。
ヴォイドレイヴンはレイザーウィング高速戦闘機との間に多くの類似点を持つ。鎌(シックル)を思わせる特徴的な両翼や、高度な空力工学に基づいた機体デザインなどである。ただ、この二機の間には大きな相違点も存在する。
それは、ヴォイドレイヴンの方がより危険でより大型の武器を搭載できることであり、中でも特に恐るべきは「ヴォイドマイン」だ。
レイザーウィング高速戦闘機と同様に、ヴォイドレイヴン爆撃機の操縦者たちも、上コモラフに聳える尖塔群の高みで超高速のデスレースを勝ち抜き続けてきたベテランたちである。彼らの体内にはスピードという名の血が流れており、並の操縦者であれば死を招きかねないほどのアクロバット飛行を、猛烈なスピードを維持したまま軽々と繰り出すのだ。
ただし、ヴォイドレイヴン爆撃機の真の主役は、彼ら操縦者ではなく、機体の前方に座る銃手(ガンナー)である。銃手こそは、虐殺のシンフォニーを奏でる偉大なる作曲家(マエストロ)なのだ。
ヴォイドレイヴンの機体正面部には、「リーヴァー・ジェットバイク」のサドル部に似た構造を持つ「クリスタル・ポッド」が存在し、哀れな犠牲者たちの体の上で瞬き踊る「目標補足用ホログラフ」や「照準線ルーン」の投射装置などに囲まれている。この豪勢な”繭”の中で、ヴォイドレイヴンの銃手は標的に狙いを定め、機体に備わる「ヴォイドランス」から灼熱の一斉射撃を繰り出すのだ。
レイザーウィング高速戦闘機とは異なり、ヴォイドレイヴンの操縦者は後方から聞こえてくる耳をつんざくような着弾音を味わうことが出来る。ヴォイドレイヴン爆撃機には複雑な「超音波弱音機」(ソニックダンパー)が備わっているため、自分のエンジン音を完全に隠蔽することができるからだ。
ほとんどの場合ヴォイドレイヴンの出現を敵が初めて察知するのは、ルビーのように紅い二本のビームが対空砲撃用のアーティラリー(大砲)部隊を焼きこがした後になるだろう。だがしかし、ヴォイドランスは、この爆撃機に搭載された最凶最悪の武器などではない。
敵から邪魔を受けることがないと解った段階で、銃手はいよいよヴォイドレイヴンの「ナセル構造部」から、「ヴォイドマイン」を投下する。ヴォイドマインは目標地点へとピンポイントで着弾し、二つの弾頭が一秒差で順番に起爆する。
最初に起爆装置が発動する弾頭は、敵に対して直接的な効果をおよぼさない。この第一弾頭はただ、敵を包み込むようにして球状の「フォースフィールド」を展開するだけである。この球体は、内側に閉じ込められた者たちに確実な破滅をもたらすのみならず、その破滅が外部に漏れだすことを防ぐためのものでもあるのだ。
一秒後に起爆する第二弾頭の内部には、純粋な暗き光(ダークライト)の粒子が含まれており、第一弾頭の爆発によって周囲に撒き散らされる。ごく微量であっても、現実空間に放出された暗き光の粒子は破滅的被害を引き起こす。
仮にもし、第一弾頭の効果によって着弾地点周辺がフォースフィールドの球体によって密閉されていなかったとしたら、これを投下したヴォイドレイヴンすらも破滅に巻き込まれてしまうだろう。こうして、バチバチと鳴る球体の内側に閉じ込められた敵は一瞬にして全滅し、何かにえぐり取られたような半球状のクレーターだけが地面に残されることとなる。
上空を見上げると、すでにヴォイドレイヴンは遥か高みへと上昇し、二本のジェット雲を残しながら飛び去ってゆく頃だろう・・。



画像出典: コデックス「デュカーリ」(codex:DRUKHARI)第8版 P61 イラストより


目次に戻る


追記・修正を行う際は、現実宇宙襲撃を行ってからお願いします。


(C) Copyright Games Workshop Limited 2021. GW, Games Workshop, Citadel, White Dwarf, Dark Eldar, Drukhari, 40K, Warhammer, Warhammer 40,000, the ‘Aquila’ Double-headed Eagle logo, Warhammer Age of Sigmar, Battletome, Stormcast Eternals, and all associated logos, illustrations, images, names, creatures, races, vehicles, locations, weapons, characters, and the distinctive likenesses thereof, are either (R) or TM, and/or (c) Games Workshop Limited, variably registered around the world. All Rights Reserved.


[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,1)

[#include(name=テンプレ3)]


  • ディスインテグレイターキャノン、ダークサイズ、パルスディスインテグレイターってダークライトウェポンなの? -- 名無しさん (2021-09-29 21:20:25)

#comment

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧