ゲイシャ・ガール・ウィズ・カタナ(抄訳版)

ページ名:ゲイシャ_ガール_ウィズ_カタナ_抄訳版_

登録日:2021/08/15 (SUN) 11:55:38
更新日:2024/06/03 Mon 13:36:35NEW!
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Japan Japonesque Orientalism Oriental_Phantastic! Pencil_and_Paper R_Tanakaichiro_Games Role_Plaing_Game



Oriental Phantastic!


"Geisha Girl with Katana"略してGGwKとは、神秘の国ニッポンを舞台とするRole Plaing Gameである。
デザイナーはA.Mountnorth、製作はR Tanakaichiro Games社のデザインチーム。


徹底的なリサーチに基づくリアルな日本の描写と、ダイナミックなプレイが君を待つ!
どうだいそこの日本通のきみ、このゲームで一味違う体験を友達にプレゼントしないか?



Characters

プレイヤーキャラクターは日本の文化・社会を表現するためにアーキタイプと特異な能力値で表現されるんだ。
それに、伝統を重んじる(悪く言えば差別が根強い)日本では職業が性別ごとに分けられる点も再現されている。すごいね!
技・禅・ハイテクの三位一体で戦い、ヤマトダマシイを燃やせ!


Archetypes

  • ニンジャボーイ

投げナイフのシリケンやチェインメイルのカタビラで武装し、非常にカラフルなニンジャクロースに身を包むオリエンタルスパイだ。
有名なのはやはりショー・コスギだけれど、日本通のプレイヤーたちが誰の名前を挙げるのかもこのゲームの楽しみだろう。


  • サムライマン

企業のショーグンに仕えダイミョーの命により滅私奉公する戦士で、戦闘は当然として経理・営業といった業務もこなす。
敵前逃亡を始めとする不名誉な振る舞いは即ハリカリ。そうならないためにも24時間戦う永遠の戦士だ。


  • ローニンファイター

サムライマンの中でも屈指の剣豪で、その技を称えられショーグンからローニンの号を得た男だ。
普段はサムライマンの労働とは無縁だけれど、ショーグンに何かあれば馳せ参じて、仇討ちもしてくれるんだ。


  • スモーレスラー

日本の国技であるスモーの選手だね。にフンドシ一丁で巨体をぶつけあう様は圧巻だよ。化粧も格好良いしね!
彼らの張り手は強力な武器だし、フンドシ姿もただの裸じゃないぞ。


  • ゲイシャガール

日本のエンターテイナーの基本、振り袖姿でシャミセンを持っているのが基本だ。村々を渡り歩いて芸を見せてくれるといわれている。
シャミセンを武器にして戦いもこなす辺りは、さすが日本。


  • オイランレディ

略してOL。企業で働く女性はことごとくオイランレディであり、それゆえか男性相手の交渉で右に出るものはいない。
きらびやかなカンザシはただのアクセサリじゃない。オフィスラブを強要した上司を始末する事を隠語で「クギを刺す」というが、そのクギのことだ。


  • クノイチギャル

女性のニンジャ。"Female"をKanjiで書くと"Kunoichi"になるという話だ。
衣装は白かピンクに限られるあたりにも日本社会が表れているね。



Rules

判定システムは六面体ダイスを三つ(日本製のものだと雰囲気が出る)とボウル(日本のDonburiだとなお良い)を使用する。
日本のTraditionalなダイスゲームで、ダイスポーカーのように『役』を作りその高低で結果を求める。
ロールごとに1の目が二つまたは三つ出ると、日の丸を模した出目によって『ヤマトダマシイ』を感じ、YP(Yamatodamasi Points)を得る。
このYPを消費することでロール回数を増やすことが出来るんだ。ヤマトダマシイを燃やせ!


ボウルを使用している理由は『チョムバ』というルールにあり、ボウルの外にダイスが飛び出してしまうとFumbleとなる。
さらにはキャラクターごとに設定してある呪いや事故に見舞われるという、なんとも恐ろしいことになる。
このため、ボウルの大きさもさることながらクライマックスに近づく興奮がチョムバを招く。
判定システムからして禅の心をプレイヤーに求めて来るんだ。オリエンタル・ファンタスティック!


戦闘は1対1が基本。複数人で戦う際、人数に偏りがある場合は「多い方が余る人数を待機させる」ことで調節する。
これはどんな悪党であろうと貫かれる、日本の美学である。
また、戦う前には作法としてドゲザをするのだ。ニンジャも余程の悪党相手でなければアンブッシュは許可されない。
マフィアであるヤクザの場合は『ニンキをきる』という別の作法があるが、ヤクザ社会の内部でのみドゲザを代替する。


美学と名誉、というとハリカリを避けては通れない。自殺大国でもある日本のポピュラーな手段であり、短刀を用いて腹を切るというものだ。
普通は、不名誉な振る舞いや耐えがたい恥辱に対して、それを雪ぐために行う。
その決然たる振る舞いを見た他のキャラクターはヤマトダマシイにが付き、仇討ちに燃えるだろう。
DON'T Try This at Home. OK?



World

日本の実態はファンタジックな理想郷ではないが、ここまでの記述以上に苛烈な世界だ
巨大企業のケイレツが血で血を洗う暗闘を繰り広げ、その手先としてサムライやニンジャの戦う恐るべき魔境、それがニッポン。
交渉手段も『ネマワシ』『わびさび』と呼ばれる秘儀など、外からの干渉を跳ねのける仕組みが根付いている。


また市井においても不名誉な人物との付き合いを8%まで減らす『ムラハチブ』のような厳しい慣習的刑罰があるほか、
住宅の壁が紙製であったりと生活環境は意外と厳しい。そうでなければサムライやニンジャは育たないのだろうか。


さらに善悪問わない秘密結社までもが各地で戦いを繰り広げており、毎週のように大事件が起きると言われている。一般市民に厳しい国だ。


他にも、プレイヤーが知っている事実があるならそれを提示することで理解とセッションの雰囲気を深めていくことができるだろう。



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ゲイシャ・ガール・ウィズ・カタナ(抄訳版)


登録日:2021/08/15 (日) 11:55:38
更新日:2024/06/03 Mon 13:36:35NEW!
所要時間:約 11 分で読めます



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trpg 国辱 メタフィクション バカゲー f.e.a.r. ゲーム rpg福袋 勘違いジャパン ゲイシャ・ガール・ウィズ・カタナ



ゲイシャ・ガール・ウィズ・カタナ(抄訳版)』とは、山北篤(当時F.E.A.R.所属)によるテーブルトークRPG
テーブルトークRPG、およびその用語がわからないという方は当該項目へ。


デザイナー名は単に英訳しただけだが、開発会社はR. Talsorian Games社が元ネタ+究極超人あ~る
R. Talsorian Gamesは日本だと汎用ロボットTRPG『多次元機甲戦士道メクトン・Z』が有名。ルールを流用したガンダムものもある。


概要

抄訳版とある通り、海外のジャポネスク・テーブルトップロールプレイングゲームを翻訳したというていのジョークゲーム。
アニヲタwiki(仮)にある項目ではコレに近いノリ。


『RPG福袋'96 RPGアンソロジー』に掲載されたため、ミニゲーム集ゆえの紙幅の不足か"一部ルールが未訳"となっているのが"抄訳版"のゆえん。
その辺りが欠けていても面白みに問題は全くないので別に良いのだが。ガチに作り込んでも割に合わんし
掲載書籍はとうに絶版だが、作者のサイトに内容がリプレイ込みでまるごと公開されているので興味があれば検索してほしい。


プレイヤーは『日本通を気取る知ったかぶりの外国人』のプレイヤーを演じ、その上で『オリエンタル・ファンタスティックな日本での冒険』を遊ぶというメタ構造。
速い話が外国人が勘違いしたニッポンを舞台にしたTRPG……を遊ぶ、ニッポンを勘違いしている外国人を更にロールプレイするTRPG
エセニッポンの捏造豆知識をひけらかして適度に脱線するのが肝である。『国辱もの』とはいうが、どの国が侮辱されてんのやら。確実にアメリカ


なお、先のアホアホな記述はルール面は嘘をついていない。駄法螺だらけではあるが。



キャラクター

やはり紙幅のせいか、キャラクター作成は簡素。性別とアーキタイプを選択→スキルを二つ追加、で基本的に完成。
命名に関してはきくたけか冒険企画局かという感じのランダム表が存在するのでいくらでもトンチキなものが自動生成される。
あとはチョムバの怪現象だけだが、残念ながらそこだけチャートがない。


+ アーキタイプに関する小ネタ-

サムライマンはサムライ+「さらりまん」(たぶん)。こいつも年代的には近いけど、エイリアンレンジャーにいたっけ?


看板に偽りありで、ゲイシャガールがカタナを持っていない。そしてアイテムの購入ルールがない。


オイランレディはOL=オフィスレディが和製英語であることを揶揄した表現であると共に、この語が普及する前に造語された『BG』=Business Girlが『商売女』というアレな意味であった事も踏まえて……るかも。


ニンジャボーイ・クノイチガールの"衣装の色"は特撮ネタだが、後に時代に追い越されたり偶然の一致が発生したりと面白いことになっている。



能力値

判定のためのダイスロール回数に直結する。その都合上、スキルとも紐づけされている。


身体能力全般。戦闘能力とおおよそイコール。
剣術、スモー、忍術、演芸、床上手、カンフー、匠。匠以外は全て戦闘技能


精神および霊能力。交渉にまつわるものが多い。
恋、ネマワシ、わびさび、目利き、殺気、陰陽道、シントー


  • ハイテク

機械などを操作する能力。技よりこちらのほうが"器用度"に近い。
コンピュータ、警備装置、料理、操縦、製作。


技能の詳細解説には、料理に失敗するとハリカリなどの突っ込みどころが満載だが省略。
また、陰陽道やシントーは"未訳"となっている。完訳版を求めるファンレターが足りなかったようだ



ルール

判定システムはまんまチンチロリン
3D6を丼に投げ込み、二つが同じ目を出していれば残りの一つが成功度。バラバラなら成功度0。
ションベンならファンブル="チョムバ"として行動が完全失敗し、いちいち設定どおりの行動をせねばならなくなる。
その他の役は123が自動失敗、456が自動成功、三つゾロ目であればn倍成功という感じ。
ダイスロール自体のチャレンジ回数は能力値もしくはスキル値の回数が最大で、納得する目が出た時点で止めるか、役が出ると終了となる。


ヤマトダマシイポイントを消費することで回数を増やすことができるが、上限は能力値の最大とイコール(通常は3となる)。初期値は3。
取得条件はダイスロールで1がふたつ出たら1点、三つで10点。ハリカリすると他PCに各5点。
ハリカリ自体は(名誉点的なものが存在しないので)いつでも可能であり、さらに言えば「後継者」と称して別のキャラを持ち出せる。



世界

ごらんのとおりのエセニッポン。さらにプレイヤーの駄法螺を添えて悪化させていくのが本作の肝。
卓ごとにカオスを形成して楽しもう。ただし、GMの進行には従おう。


+ ついでに用語集-
  • オリエンタル・ファンタスティック

ゴールデンルール。何かおかしかろうが、GMがこの言葉を発することでプレイヤーは許容するお約束になっている。


  • ハリカリ

切腹。短刀で割腹する事による自決。Murasama Bladeかと思いきや、入れ替わっているのは母音である
女性は喉を突くものだと突っ込むのもまぁ野暮ってことで。


  • チョムバ

『チョンボ』が語源。ダイスロール的には『ションベン』と同義、ルール上は『ファンブル』。
(まれに)サイコロをこぼす・落とす状況で発言される程度にはミーム汚染が起きている。


  • ケイレツ

系列。企業の『系列』が由来だが、本作では国を支配するレベルの巨大カルテルであり様々な事の元凶とされる。


  • ショーグン、ダイミョー、トノサマ

恐らくは『社長』『重役』『上司』を指す。


  • フリソデ/振袖

女性用の和服全般を指す。紬と訪問着の差とか言われてもわからんしなぁ


  • カワナガ

アメリカ製TRPGでの『鉤縄』の慣習的な表記。母音が多すぎて発音しづらいせいなのか、ミスに誰も気付かないだけなのかは不明。


  • シリケン

手裏剣。しゅりけん、も発音しづらいのかネタにされがち 表記ゆれがよく起きる。コレとか。


  • ヌンチャカ

ヌンチャク。カンフー技能で扱われるフレイル。ルール注釈の方が間違っていたりするが(時代的に?)致し方なし。


  • ドゲザ

本当に土下座かもしれないが、ただのおじぎかもしれない。きっとブルース・リー式


  • ニンキ(をきる)

任侠もので初対面時の名乗り(手前生国と発します~)を『仁義を切る』と表現するのと、『人気』『任侠』が混ざったもの。



余談

田中としひさ『おこんないでね』によれば、テストプレイはF.E.A.R.の事務所内で行われたため社員が笑ってしまい仕事にならなかったとか。
「ガチョーン」「ハラホロヒレハレ」をエセ外人口調でやられたら、そりゃねぇ。*1


タイトルの元ネタは『マッチョ・ウィメン・ウィズ・ガンズ』(未訳)。その内容は"鉄砲持った筋肉女"というタイトルから察していただきたい。
あるいは、友野詳『バカバカRPGをかたる』(新紀元社、ロール&ロールブックス)を参照のこと。


メタ構造の元ネタは『イット・ケイム・フロム・ザ・レイト・レイト・レイトショウ』。
ついでに言うとレレレの翻訳者である桂令夫氏はGGwKリプレイのキタオ・トヨタ/スティーブのプレイヤー。
スティーブが"大学で魯迅を専攻していた(から日本通)"というのは、桂氏本人の経歴だったりする。


実卓プレイの際、傍目にはチンチロリン以外の何物にも見えないので、公共施設やオープンスペースでのプレイはお勧めできない。
そのプレイグループが出入り禁止にされるくらいならまだしも、TRPG目的の利用が禁止されたとしてもおかしくない。
自宅プレイの場合は騒音対策として、丼を陶器でなくプラかスチロールにしておいた方が良いと思われる。


オンラインセッションの場合はダイスロールのカメラ撮影くらいしか方法がないかと思われる。
あるいは、チンチロリンゲームの画面共有も利用できるかもしれない。
なお、NKODICEはダイスの数が違うため利用には難がある




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  • 面白いゲームなんだが意外とプレイできる場所がないのよな。公共施設は上記のとおりだし、チャットはチンチロリン判定が出来るダイスシステムがないし、自宅は招けるような友達がいな……ごほん、自宅は奇声や爆笑がおきやすいシステムなので近所迷惑になるし。 -- 名無しさん (2021-08-15 14:25:08)
  • 画面共有してNKODICEを使えばいいんじゃないかな>ダイスシステム -- 名無しさん (2021-08-15 14:32:53)
  • まさか令和に入ってからこれの項目が立つとは…… -- 名無しさん (2021-08-15 21:12:56)
  • 意外にも忍殺ネタに触れられてなかったという -- 名無しさん (2021-08-15 21:13:47)
  • なぜたてた -- 名無しさん (2021-08-15 22:36:34)
  • ニンジャスレイヤーのエピソード項目かな?って思った俺 -- 名無しさん (2021-08-16 00:51:39)
  • ↑ 君は俺か、どこの話だったかなぁと若干悩んだ -- 名無しさん (2021-08-16 19:00:51)

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*1 幕間部分のセリフは『おこんないでね』の当該回からの引用である

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