登録日:2021/07/18 (日) 23:17:27
更新日:2024/05/30 Thu 13:51:13NEW!
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吉崎観音 プロトタイプ 読み切り ケロロ軍曹 前日談 バトラコス 漫画 ケロロぐんそー
「ケロロぐんそー」とは、別冊ニュータイプ夏号にて1998年に掲載された吉崎観音の読み切り漫画。
すなわち「ケロロ軍曹」のプロトタイプである。こちらの単行本26巻に掲載。
更にその26巻掲載の第226話「日向家エピソード0…の巻」、第232話「ありがとう。…の巻」にて
連載版側にも逆輸入され、あちらの前日譚ということが明らかになった。
この項目では26巻掲載の2エピソード、および11.5巻や31巻に掲載された初期設定についても記載する。
「ケロロぐんそー」あらすじ
夏休み。課題研究の「カエルの生態観察」のため田舎のおばあちゃんからおたまじゃくしを送って貰った夏美。
しかしオタマにしえは異様なそいつはある日突然二足歩行のカエルへと急成長した。
カエルの正体はなんと行き倒れの宇宙人だったのである。
「命の恩人には服従し恩義を返すのが我が種族の掟」として自ら生態観察への協力を申し出るのだった……
「ケロロぐんそー」概要
子供向けの作品を書きたいと思っていた吉崎が生み出した、記念すべき「ケロロ軍曹」のプロトタイプ。
オカルト好きということで宇宙人を題材に、さらにカエルと混ぜて誕生したのが現在でもおなじみのケロロである。
また少年エース1998年9月号にも「2021」というあちらの読者層を意識した読み切りが掲載され、
双方好評を博しどちらが連載となってもおかしくない評判となった。
結果的に「ケロロぐんそー」の方が吉崎と共に仕事をした人物からも好評だったことから連載はこちらに決定。
連載開始にあたって、「ウケないかもしれないけど」と前置きつつも吉崎の希望で主人公であるケロロのパートナーが男の子の冬樹に変更された。
ちなみにこの「2021」、ヒロインが「超劇場版ケロロ軍曹3 ケロロ対ケロロ天空大決戦であります!」
に登場するヒロイン「ナスカ」のデザインの原型となっている。こちらのナスカは設定を変えて原作にも登場した。
関連人物
日向夏美
- 読み切り版
おなじみ地球側の、発育盛りで勝ち気な少女。連載版と比べると反応などが大人しく、ケロロへの対応もやや甘い。
成り行きで駐屯(居候)されたケロロの扱いに困惑しながら、ズレた行動を連発するケロロに翻弄されていく。
なんだかんだで観察記録はつけ始めたが…… 「これって提出できないよね…絶対」
「亮一君」なる人物に入れ込みがあったらしい。また読み切り版では苗字の設定はなかった。
- 連載版
226話では田舎に行っていた弟の冬樹が帰ってくるため、引っ越しに伴い姉として張り切っていた。
読み切り版と比べてガサツさが増したのもこの「姉としてしっかりしないと」という意識が所以であることがうかがえる。
冬樹が迷子になった事が判明すると「またバラバラになりたくないっ…」と意味深なことを呟いていたが、
不思議な「声」の導きで彼の居場所をつきとめることに成功した。
マリ(マリコ)
- 読み切り版
夏美の友人で、眼鏡をかけたゲームマニアの少女。彼女を「なっちゃん」と呼ぶ。
宇宙人の登場に驚くものの「面白くなりそう」と案外興味津々だった。
- 連載版
226話の冒頭に少し登場。引っ越す夏美と離れることを寂しがっていた。また27巻の巻末イラストに現在の姿が登場。
イベント会場で島風のコスプレを披露していたり、腰に陰気な四男の缶バッジをつけてたりとオタク趣味にますますのめりこんでいる模様。
ケロロぐんそー
- 読み切り版
現ケロロの「名実共に」プロトタイプ。現ケロロとの違いは一人称が「私」、体型がずんぐりむっくりしている、目が離れている、口が端まで裂けている(手に嵌めるパペットのイメージに近い)、お腹の星(ケロンスター)の下に文字がある*1など。
おたまじゃくしの状態からいきなり成長、パソコンを使って言語・文化を即座に学習するなどケロロとは思えないほど宇宙人らしいスペックを見せた。
また連載版と比べると恩義の自意識もあってか地球人への敵愾心は無く、むしろ好意的。
夏美のいる風呂に潜り込んだり秘密の日記を読んでお仕置きされる場面もあったが、
悪意があるわけでなく地球側の常識を理解しきれてないが故の行動と思われる。
実は地球の人類を見極めるべく観察任務のために訪れていた。(11.5巻によれば「夏休みの宿題で地球人の観察」)
突如本部のものと思われるUFOが飛来、「軍議会では人類抹消は急務」「1999・6年の侵略を待つまでもなくこの星は人類に汚染され死滅するだろう」と主張。
しかしこれにケロロは「帰って軍部に報告せよ 調査は順調「希望的観測有り」とな…」と突き返した。
意図せずにして夏美のおかげで(?)地球は密かに救われていたのである。
なおこの時に「ケロロ軍軍曹殿」と呼ばれている。実は作中一度も名乗っておらず、ここでの彼の名前は不明となっている。
- 連載版
「…我輩はこの星に来てこの家族の事を深く知った…」「よかったでありますな夏美殿…」
「さようならであります」
一年後、任務を終えて帰艦準備へと入る。その際に調査中接触のあった地球人の記憶を消去。このため夏美もマリも彼のことを覚えていなかった。
ちなみにこの規定(地球を離れる際に関連人物の記憶を抹消する)は連載版でも初期に扱われていたことがある。
しかし冬樹が迷子になったことで悲しむ夏美を見て、「最後の恩返し」に残存バッテリーが僅かなことも厭わず全センサーを範囲最大に稼働。
冬樹を見つけ出し、テレパシーのような通信で彼女たちに居場所を伝える。その後、反応は完全にロストした……
日向秋
連載版のみに登場。読み切りでは声のみ登場している。
一軒家を購入したことでそちらへの引っ越しに向かおうとするが、冬樹が迷子になってしまい……
日向秋奈
夏美におたまじゃくしを送ってくれたおばあちゃん。冬樹を幼い頃預かっていた。
読み切り版にも1コマのみ登場するがデザインは現在とは異なる。勿論名前の設定もなかった。
日向冬樹
ご存知連載版の主人公。幼い頃はおばあちゃんの家に何故か彼だけいたようだがその理由は不明。
前述の夏美の「バラバラになりたくない」という発言や、今もなお父親について一切の言及がないことと*2関係していると思われるが……。
東京の家族に合流する時に迷子になってしまう。しかし……
「DNAをコピーし地球生物『カエル』に擬装した偵察機」「それがこの『バトラコス』であります!」
「しかも!優秀な我輩の人格OSも搭載されているのだ!」
「バトラコスの集めた地球情報をもとに」「いよいよ侵略作戦開始であります!!」
バトラコス
その正体はケロン軍の偵察機。ケロロ軍曹のOSを搭載された機械であり、情報収集のために複数が地球に展開されていたのである。
しかしうち3機が未帰還となり応答なし。彼らの回収した情報は危険とみなされ軍規定により破棄となった。
機械ではあるがケロロたちも戦士として感謝の意を表明している。
なお読み切り版の「地球人類抹消を提唱する本隊」等との設定が食い違っている。
流石に後付の逆輸入だったためそこは一部だけが連載版にも採用されたと考えるべきだろう。*3
4号
前述の「ケロロぐんそー」の正体。冬樹を助けるため残存バッテリーを全消費したことで帰還不能となった。
帰還不能と判断した際に自らプロテクトをかけて身を隠していたが、ブラックスターに発見され人格OSのメモリーキーを抜かれて解除された。
その際に自力で日向家の前へとたどり着き夏美と数年越しの再会を果たす。音声機能は停止していたながら、彼女の姿を見て僅かに微笑むと完全に機能を停止した。
後にケロロ小隊によって回収、リサイクルするべく本星へ送られていった。
打ち上がっていくバトラコス4号を載せたロケットを見上げる夏美の口からはなぜか、なんとなく「ありがとう」の言葉が溢れるのであった。
126号
作中ではある小さな社の前で割れたカプセルが映っている。
実はこの社、14巻112話「暑中物語混戦模様…の巻」に登場する少年・ヤマトが「カプ~」なる生物と出会い友達になった場所なのだ。
ヤマトはこの地が荒らされないようニセのカッパ池を作って社を隠していたほか、社のことは冬樹にしか紹介していないためケロロは126号のカプセルに気づいていない。
しかしヤマトの語る人物像によれば「正義の味方を自称」「語尾が~ありんス」など相違点も多く、14巻の巻末イラストでは帽子の形や手足の色も異なっているなど不思議な点も多い(ついでに体型も現ケロロ寄り)。
カプ~はヤマトと友人によれば突如としていなくなったと語られているが、恐らく4号と同じくバッテリー切れに伴いプロテクトをかけて姿を消したのだと思われる。
ちなみにこのエピソードはアニメ化もされている。
11号
とある一軒家に住む少年・マコトの友達として仲良く暮らしていた。
マコトには「バトラコス」の名で呼ばれている。また帽子がベタ塗りされていて黒いといった違いがある。
初期設定
11.5巻、および31巻の連載開始秘話で紹介された読み切り版の更なるプロトタイプ。この時既に小隊5人全員の設定が用意されていたことも分かっている。
しかしパートナーは全員女の子になっておりデザインも設定もケロロと夏美以外はおおむね別物。
特に小隊メンバーの名前は全員「ケ」と「ロ」を入れ替えただけとかなり雑。正直紛らわしいうえ言いづらいので変わって良かった
准以外の四人には春夏秋冬の文字が入っており、このアイデアが現在の日向家に継承されている。
31巻では、連載版のサブキャラクターに東西南北や曜日といった『地球モチーフの身近な言葉』を当て嵌めるのも、ここから発展したものだと明かされている。
また読み切り版の設定にはケロロぐんそーの名前が「バトラコス」であることが記されている。
実際に読み切りを見ていると「ケロロ軍曹」は単なる肩書であったことが分かる。
大和准
夏美の原型。デザインは変わっていないが設定によると「ふつーの女の子」「けっこう疑い深い」とのこと。
連載版とは差異があるが、読み切り版とはおおむね変わってはいないと取れる。
パートナーはもちろん「ケロロ軍曹」。デザインも口調も読み切り版と変わっていない。
矢矧千夏
ふわふわな髪に縦ロールの典型的お嬢様。設定によれば准のライバル。桃華のプロトタイプだろうか?
パートナーはギロロの原型「ケケロ伍長」。帽子が迷彩柄、口を閉じている、腹にも傷がある、銃器を背負っている、口調が「…だぜよ。」などの違いがある。
ものすごく悪人顔になっているラフがある他、特攻兵とも記されている。実際の赤ダルマも同じようなもんだが。
浜風春菜
眼鏡をかけた気だるそうなオタク少女。恐らく読み切り版のマリのプロトタイプ。
パートナーはクルルの原型「ロロロ曹長」。目はうずまきだがメガネではない、歯を閉じてない、口調も無線風に「…。どうぞ」となっているなどの違いがある。
当時から通信兵、参謀の想定ではあったらしい。
雪風冬美
ライダースーツの走り屋のボスのお姉さん。31巻によれば「クール」とのこと。ライダー設定は母・日向秋に引き継がれている。
パートナーはタママの原型「ロロケ二等」。口調もデザインも現在のタママと殆ど変わっていない。
朝霜秋江
巫女衣装を身にまとった少女。デザインが連載版に登場する幽霊の「お御世ちゃん」と酷似している。
パートナーはドロロの原型「ロケケ兵長」。ゼロロ時代のガスマスクを装備しており身体もタイツ風。
しかしラフには手裏剣を投げているものもあり、この時点で忍者の設定はあったようだ。また救護長という想定もあったらしい。
余談
- 31巻の秘話でケロン人が左手で敬礼するのは「宇宙人だから」ということが明かされた。
- 初代担当のワタナベによれば当時既に萌え文化流行の兆しがあったらしく、初期設定が女の子だらけなのは「ハーレム」が流行だったからとのこと。
初期ラフには嵐を呼ぶ5歳児やその母親やまだ丸っこかったころの電気鼠っぽいのが紛れている
追記・修正は宇宙人の観察記録をつけながらお願いします。
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▷ コメント欄
- ライダーマンみたいなエピソード入ってるな -- 名無しさん (2021-07-19 00:17:04)
- これ以外に読み切りってもう一つなかったっけ? ケロロと小学生の冬樹とその友人がでてくるやつ -- 名無しさん (2021-07-19 07:21:20)
- こうしてみると、最初期のドロロって本当に『確実に存在してるけど何故か出てこない幻の5人目』だったんだな -- 名無しさん (2021-07-19 09:28:34)
- マリちゃんは陰気な四男のバッジをつけてたって書いてあるけど、その某六つ子のアニメに2代目冬樹くんが出ていたと言う。 -- 名無しさん (2021-09-06 22:18:41)
- バトラコス、OSがケロロ軍曹にしては本人よりもまともな気がする。バッテリー切れで126号が姿を隠し、同じく11号もいずれマコトから去ってゆくと思うと、何だか切ない存在。 -- 名無しさん (2022-08-28 23:40:20)
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*2 アニメでは「日向春」という名前の父親が最終話で登場したが、漫画とも設定が同一なのかは不明
*3 ただしアニメ版357話では、地球人の抹殺を図る過激派の勢力も存在していることが分かっている。
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