登録日:2021/03/31 (水) 22:02:17
更新日:2024/05/27 Mon 09:35:52NEW!
所要時間:約 127 分で読めます
▽タグ一覧
ミニチュア trpg sf まずは駒を作ろうか ボードゲーム プラモデル ファンタジー スペースオペラ ハイファンタジー ダークファンタジー 宇宙 戦争 ウォーハンマー ウォーハンマー40k 所要時間30分以上の項目 所要時間60分以上の項目 怪獣 宇宙怪獣 エイリアン クリーチャー モンスター 数の暴力 怪物 一覧項目 所要時間90分以上の項目 所要時間120分以上の項目
外銀河の脅威が虚空の彼方から接近している。その大群はあまりにも多く、星々すらも覆い隠す。
この恐るべき脅威は、権力や領土のために戦うのではない・・。ただ、不滅なる飢えがそれを突き動かしているのだ。
そしてその飢えは、やがてこの銀河全てを喰らい尽くすだろう。
異端審問官(インクィジター)クリプトマン
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P43,P42 イラストより
▽目次
ティラニッドの戦力一覧とは、ウォーハンマー40Kに登場する異種族の一つである「ティラニッド」の戦力をまとめたものである。ティラニッドの各個体種は異様な進化をとげ、全ての有機体を捕食するという一つの目的のために、様々な役割を持つ個体種が存在する。
ティラニッドの軍勢を構成する戦力は全て生物で出来ており、宇宙船、弾丸、兵器全てが殺戮生物であり、機械をはじめとしたテクノロジーは一切持っていない。しかし、生物であるがゆえに、ティラニッドは敵の特徴に合わせて進化、適応が可能となっている。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P20 イラストより
個体種
脳幹個体(シナプス・クリーチャー)
- 「ハイヴタイラント」
【概要】
ハイヴタイラントは巨大で強力な個体種であり、その身長は人間の三倍以上にも達する巨体だ。彼らはティラニッドの群集団を統率する指揮官的役割を持ち、集合意識体の意思を実行に移す個体種であると考えられている。
個々のハイヴタイラントの身体的特徴は大きく異なるが、そのどれもが、極めて危険かつ強大であることに変わりない。なにしろ彼らは、まるでガラス窓を叩き割るかのように軽々と、強化コンクリートや「繊維合金」(プラスティール)の装甲板を破壊してしまうのだから。
ハイヴタイラントの全身は、その全てが殺戮と破壊のためだけに特化し、進化してきたといっても過言ではなかろう。ハイヴタイラントの巨大な身体で支える、その外骨格装甲や甲殻装甲に生えた無数の棘一本一本ですら、敵の肉をたやすく引き裂くだけの鋭さと殺傷力を備えている。
その恐ろしさは、至近距離での戦闘時だけに留まらない。ハイヴタイラントは「ヘヴィ・ヴェノムキャノン」や「ストラングルソーン・キャノン」といった巨大な射撃用「兵器共生体」(ウェポン・シンバイオート)を備え、遠距離でもきわめて恐るべき敵となる。
むろん、至近距離ではボーンソードや「サイジング・タロン」といった武器の数々を使いこなし、向かい合った敵を瞬時に切り刻むことが可能だ。また、彼の者どもは強いサイキック能力も有し、他のいかなるティラニッド個体種との間に有している。
ある意味において、ハイヴタイラントたちは集合意識体が実体化したかの如き存在なのだ。ティラニッドの群集団に対して、集合意識体が何らかの命令を下す場合、その最初の命令受信役となるのがハイヴタイラントたちである。
このため、ハイヴタイラントたちは、強力なサイキックパワーを戦所で解き放つこともできる。集合意識体の恐るべき精神波を増幅することで群集団の統率力を強化したり、敵軍を得体の知れぬ恐慌状態へと追いやったり、あるいは敵の精神そのものを破壊したりなど、彼らが用いるサイキックパワーはあまりにも異質かつ破壊的なものばかりだ。
【独立した知性】
他の大多数のティラニッド個体種とは異なり、ハイヴタイラントは極めて知性が高く、また完璧な自意識を有している。確かに、ハイヴタイラントもまた、集合意識体の意志に隷属するティラニッドの一つに過ぎないのだが、集合意識体の目的を達成するため、他個体種とは比べ物にならないほど幅広い選択肢と能力を与えられている、といえよう。
何しろ、ハイヴタイラントは「失敗から何かを学び取る」という学習能力さえも備えているのだから。ハイヴタイラントが高い知性と学習能力を持つためか、ティラニッドの群集団が二度同じ過ちを繰り返して敗北するという光景は滅多に観察されることはない。
【代役はいくらでもいる】
しかも、ハイヴタイラントの一体が生命活動を停止したとしても、ティラニッドにとっては、何ら深刻な痛手とならない。集合意識体はすぐに次の“代役”を産生し、そこに“先代”のハイヴタイラントの記憶、経験、知識などを複製注入できるからだ。
弱き個体は淘汰され、強気個体によって置換されるのが、彼らの世界の法なのである。だが、銀河に生きる他種族たちにとって幸運なことに、ハイヴタイラントは無敵の存在などではなく、彼らにも不確実性が付きまとう。
ハイヴタイラントは、戦場の隅々まで完全に統率できるわけではないため、他種族の司令官たちの優れた知略によって裏をかかれ、敗北を喫することも往々にしてあるのだ。しかし、ハイヴタイラントが不滅の存在であることは否定できない。
彼らはたとえ何度殺されようと、じきに全く同じ能力と知識を備えて、復活を遂げるからである。
【ハイヴタイラントのサイキックパワー】
- 恐怖(テラ―)
集合意識体の威圧的な精神波が、ハイヴタイラントを通して周囲に解き放たれる。強力な精神波の影響を受けた敵の精神は、集合意識体のあまりにも異質すぎる意志を感じ取って混乱し、わけがわからないまま恐慌状態に陥るであろう。
- 生命力吸収(リーチ・エッセンス)
ハイヴタイラントは敵の生命力を吸収し、肉体再生あるいは栄養補給のためのエネルギーとして活用する。
- 激痛発作(パロキシズム)
この精神攻撃によって、ハイヴタイラントは敵をたやすく無力化する。中枢神経と痛覚神経を乱され、敵は偽りの激痛に悶え苦しむからだ。
- 絶叫精神波(サイキック・スクリーム)
耳をつんざく金切り声のごとき精神波エネルギーが、ハイヴタイラントから放射される。この“絶叫”は心弱き敵の精神をズタズタに切り裂き、どれほど屈強な敵の精神すらも狂気へと追いやるだろう。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P62 イラストより
- 「ティラニッド・ウォリアー」
【概要】
ティラニッド・ウォリアーは、あらゆるティラニッドの中で、最も適応能力に優れた個体種である。彼らは悪夢の如き怪物であり、強酸性の血液を持つ殺戮機械であり、針のように鋭い歯と狡猾な知性を秘めた黒い瞳を輝かせている。
一般的なティラニッド・ウォリアーの身長は、人間の約二倍ほどで、外殻装甲に覆われたその胴体は、分厚いキチン質外皮に包まれた頑丈な二足歩行の脚部によって支えられている。その外見から、ティラニッド・ウォリアーは緩慢な動作しか取れないようにも見えるが、実のところ、彼らの反射神経と反応速度は凄まじく、鞭のようにしなやかで鋭い身のこなしが可能である。
集合意識体に隷属する大多数の下位個体群とは異なり、ティラニッド・ウォリアーたちは精神面や知性面で高い柔軟性を持ち、幅広い兵器共生体を使いこなす。ティラニッドの群集団には、いたるところに、まんべんなく、このティラニッド・ウォリアーたちが配置されていると考えていいだろう。
白兵戦時には、「ボーンソード」や「ラッシュウィップ」を使用し、遠距離では「デススピッター」やより大型の兵器共生体を用いて戦う・・。どの距離でも、またどんな装備でも、生粋の戦闘個体種であるティラニッド・ウォリアーは恐るべき戦力を発揮できる。
彼の者らは、敵軍の弱点を瞬時に見抜き、最適の戦闘方法を選択できるのだ。しかも、彼らの意識は不滅なる集合意識体との間に深い結びつきを持ち、現在与えられている目的を達成するために必要と思われる各種知識や学習経験を、集合意識体から必要に応じて引き出すこともできる。
ただし、前線での戦闘だけが、ティラニッド・ウォリアーに与えられた役割ではない。彼らは群集団を繋ぎ止める結節点の役割も担っているのだ。
ティラニッド・ウォリアーは、いわばサイキック的な共鳴回路の役割を果たしており、集合意識体から絶えず送信されてくる命令精神波を受信し、それを増幅して、周囲の下位個体群へと伝播するのである。
【優秀な副官】
ハイヴタイラントを“群集団を指揮する総司令官”と位置付けるならば、ティラニッド・ウォリアーたちは、ハイヴタイラントの命令を下位個体群に伝えるためのパイプ役といえる。
だからといって、「ティラニッド・ウォリアーは、ハイヴタイラントの命令を伝達するだけで、思考力を持たない」と判断するのは早計だ。ティラニッド・ウォリアーには本能的な指揮能力が備わっており、戦場の状況に応じて、自らの判断で群集団の取るべき戦法を変更できるからである。
このため、標的惑星を〈侵食〉すべく抵抗勢力を駆逐しようと考えるティラニッドの巣窟艦隊は、戦場で司令官となる各ハイヴタイラントの肉体の一部をもとにして、その副官となるべきティラニッド・ウォリアーの個体群をいくつか培養し、ハイヴタイラントとティラニッド・ウォリアー間のサイキック的な結びつきを、より強化している。
【ティラニッド・シュライク】
鵙(シュライク)の名で呼称されるこのティラニッド・ウォリアー個体種は、コウモリじみた皮膜を持つ翼を備える。彼らは標的惑星の上空を自由自在に飛び回り、標的に対して強烈な滑空攻撃を繰り出すのだ。
機動力に優れるティラニッド・シュライクも個体群をいくつか群集団に迎えることで、集合意識体の命令をすみずみまで届けられるという利点はもちろんだが、加えて彼らは、ハーピーやガーゴイルといった下位の飛行個体群を率いる役割も負っている。通常のティラニッド・ウォリアーと比べて、ティラニッド・シュライクの外殻装甲は薄く軽いが、その代わりに得られる機動力は、防御力の不備を補って余りあるほどだ。
この機動力を駆使し、ティラニッド・シュライクは敵前線の弱点部へと痛烈な滑空攻撃を加えたり、あるいはシナプス・クリーチャーによる統制の綱が手薄になっている場所へと、速やかに移動したりできる。これほど大型の飛行個体から強襲を仕掛けられれば、ほとんどの敵は、なす術もなく壊滅するだろう。
【ティラニッド・プライム】
ティラニッド・プライムは、ティラニッド・ウォリアーの個体種の中でも、際立って高い能力を持つ種類だ。プライムによって率いられるとき、個体群は一つの個体であるかのように、一糸乱れぬ戦いぶりを見せる。
ティラニッド・プライムの指揮能力と戦闘能力は、他種族の古参司令官と同等、あるいはそれ以上と考えてよかろう。ハイヴタイラントのようなより強力なティラニッド個体種が存在する場合、ティラニッド・プライムはシナプスの制御をウォリアーをハイヴタイラントに委ねるが、プライム単独時にはティラニッド個体群の群れを効果的な戦闘部隊として指揮することが可能だ。
ティラニッド。プライムが確認されたのはごく最近のことではあるが、これはおそらくプライムが他の個体群と混ざりあっているためである。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P50 イラストより
- 「ゾアンスロープ」
【概要】
ゾアンスロープは、巣窟艦隊を構成するティラニッド個体種の中で、おそらくもっとも異様な外見的特徴を持つ怪物といえるだろう。彼らは強力な異能者(サイカ―)であり、その細い体ではとても支えきれないのではないかと思われるほど肥大化した、巨大な頭部を持っている。
事実、物理的に考えれば、ゾアンスロープの頸部は、自らの頭の重みでへし折れてしまうほど細く脆弱だ。しかし、ゾアンスロープは強力なサイキックパワーを使って物理的限界を突破し、この脆弱な体を維持しているのだ。
彼らはサイキックエネルギーの光を放ちながら、ゆらゆらとその場で浮遊しつつ、軽やかな動きで戦場を移動する。人類の異能者にとって、持続的な空中浮遊は大きな負担となり、浮遊を続けながら他のサイキックパワーを発動させることはきわめて困難だ。
ところが、ゾアンスロープのサイキックエネルギーは膨大で、空中を浮遊しながらでも、恐るべき力の数々を発動できるのだ。
【驚異的なサイキック能力】
ゾアンスロープの存在意義はきわめて単純であり、彼らの肉体も単一の目的だけに特化している。その目的とは、集合意識体が送りこんでくるサイキックエネルギーを受信し、それを制御すること、ただそれだけである。
謎に満ちた集合意識体の精神に、ごく微細なゆらぎが生じただけでも、ゾアンスロープはそれを瞬時に感じ取って強力なサイキックパワーに変え、敵に向けて解き放つのである。その巨大な脳にある種の精神的信号が送られると、ゾアンスロープはただちに強力な「ワープフィールド」を展開して敵の攻撃を弾き返し、また別の種類の精神的信号を受信すると、アダマンチウム鋼の装甲板をやすやすと貫通し肉を瞬時に溶解させるほどの、猛烈な破壊光線を発射する。
個体群をなしたゾアンスロープは、「巨人機」(タイタン)すらも撃破する力を持つという。
ただし、本能的にサイキックパワーを使いこなす、恐るべき外銀河生命体といえども、〈歪み〉の力を操ることには、少なからず危険がつきまとう。それはゾアンスロープにとっても例外ではなく、彼らはしばしば、サイキックエネルギーの制御に失敗して、多大な脳的損傷を受けてしまうことがあるのだ。
これは、ゾアンスロープに制御可能なエネルギーのリミットを超えて、一時的に〈歪み〉からの力の流入が増大することで起こる現象と考えられる。荒々しき〈歪み〉の力が流入しすぎると、電気回路でいうところのオーバーロード状態が起こり、ゾアンスロープ脳内の全神経単位(ニューロン)が焼き焦がされてしまうのだ。
この状態におちいったゾアンスロープは、悲痛な精神波の絶叫を発した直後、糸を切られた操り人形のように、力なく地面に倒れこむ。
【脳幹個体としての本能】
ゾアンスロープたちは、自分たちに与えられた目的以外に対して、ほとんど関心を示さない。各ゾアンスロープの第一優先目標は、自らの生存を続けることであり、そのために周囲に存在する脅威すべてを、〈歪み〉の破壊光線で焼き払う。
また必要とあらば、集合意識体はゾアンスロープを支配下に置き、下位個体群に対する統制力を強めるための精神波増幅器のように用いることもある。このような場合、ゾアンスロープは集合意識体からのメッセージを群集団スウォームに伝達するためのきわめて高度な通信機の役割を果たすが、決してそれ以上の、指揮個体的な存在にはならないのだ。
ただし、これは「ゾアンスロープの知性は低く、戦術や戦略といった高度な思考が不可能である」という意味ではない。むしろ、彼らの知性は低いどころかきわめて高いといえよう。
そして、彼らの高度な知性は、ただサイキックエネルギーの制御だけに傾けられているのだ。ゾアンスロープたちが個体群をなし、そのおぞましき知性とサイキックエネルギーを結集させながら迫ってくるとき、戦場には恐るべき破滅の光景がくり広げられるであろう。
その詳細は、おそらくここで語るべきではない・・。ただ、人類の想像を絶するほどの最凶の悪夢が、そこに待っているとだけ警告しておこう。
【ゾアンスロープのサイキックパワー】
- 歪みの猛爆(ワープブラスト)
ゾアンスロープは集合意識体の力を引き出すと、異様なほど肥大化した脳髄から、純粋なる爆発的ワープエネルギーとしてこれを解き放つ。
- 歪みの破壊光線(ワープランス)
ゾアンスロープは、引き出したワープエネルギーをより濃密に集束させた、粒子砲のごとき形で発射する。この恐るべき破壊光線は、重戦車を溶解させ、要塞施設の防壁にすら風穴を空けるだろう。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P52 イラストより
- 「ターヴィゴン」
【概要】
大型個体種ターヴィゴンには、異様に肥大したその腹部を保護する、棘だらけの分厚い甲殻装甲が備わっている。この巨体を支えるために、ターヴィゴンは三対六本の強靭な脚を用いて歩行するが、必要にかられれば、彼らは二本の後ろ足に全体重を預けて身を起こし、大鎌のような形状を持つ四本の前脚で強烈な攻撃をくり出す。
一見、遠距離から射撃を加えれば容易に倒せるのではないかとも思えるが、その全身を包む甲殻装甲内には兵器共生体である「クラスター・スパイン」が寄生しており、ここから射出される無数の棘針弾は、あなどりがたい有効射程距離を持つ。
【生み出されし恐怖】
ただし、クラスター・スパインやサイジング・タロンも確かに強力ではあるが、ターヴィゴンの真の脅威は、その腹の内部にこそ存在する。ターヴィゴンは、いわば“歩く個体群培養器”であり、腹部を覆い隠す武骨な甲殻装甲の裏側には、孵化の時を待ち休眠状態にある無数のターマゴーントが、びっしりと詰まっているのだ。
ターヴィゴンは、いつでも望んだときにこの個体群を休眠から覚まし、戦場に産み落とすことができる。産み落とされた瞬間から、ターマゴーントたちはただちに覚醒状態に入り、その精神を鋭い殺意で満たすのだ。
ターヴィゴンを包囲した敵は、いつの間にか、自分たちがターマゴーント群集団に囲まれていることに気付くだろう。放置すれば、戦場はたちまち無数のターマゴーントであふれかえってしまう。
賢明なる司令官は、とにかく火力を集中させ、母固体を一刻も早く抹殺しようとするはずだ。母個体であるターヴィゴンが死ぬと、サイキック的な断末魔が周囲のターマゴーントたちに波及し、連鎖的に死滅させるからである。
【休むことなき産生】
巣窟艦隊が銀河の虚空を押し進んで航行するとき、ティラニッドのほとんどは、その内部で休眠状態に入っているが、ターヴィゴンは違う。ターヴィゴンは生体艦内の洞窟じみた内臓部を徘徊しており、侵入者を発見すると、ただちに狂乱状態のターマゴーントたちを産生して、敵を排除しようと試みる。
仮に、ターマゴーントでは役不足だったとしても、ターヴィゴンから発せられたサイキック的なシグナルは、他の戦闘個体たちを次々と休眠状態から覚まし、侵入者を攻撃させるのだ。
【ターヴィゴンのサイキックパワー】
- 活性化(カタリスト)
集合意識体の意志がティラニッド個体群に影響を与え、各個体の全身を恐るべき活力で満たす。活性化を受けたティラニッドは、たとえ致命傷を負ったとしても活動を止めず、想像を絶するほどのしぶとさで敵を攻撃し続けるという。
- 個体群統率(ドミニオン)
強力無比な精神波を放つターヴィゴンは、集合意識体の命令をさらに広範囲へと伝播させる、いわば増幅器のごとき役割を果たす。
- 猛攻命令(オンスロート)
ターヴィゴンは下位個体群の精神に影響を与え、彼らが持つ兵器共生体のコントロール権を奪う。さらに、この下位個体群を敵に向かって一直線に突き進ませると同時に、その兵器共生体から猛烈な射撃をくり出させるのだ。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P51 イラストより
- 「ニューロタイラント」
【概要】
ニューロタイラントは異能に特化した個体種である。外殻に包まれた脳髄から不気味な触手を伸ばし、歪みを侵食する影を放ちながら戦場を浮遊している。異能による絶叫により歩兵を切り裂き、投射される歪みを侵食する影は戦場全体を狂気に包み込む。シナプスの結節点としても優秀であり、驚くほど遠くの群集団をも意のままに操る。彼らはハイヴタイラントに比べれば戦闘力こそ劣るもの、群集団を統率する指揮官としては恐るべき存在であると言えよう。
一般個体
- 「ホーマゴーント」
【概要】
ホーマゴーントは、白兵戦闘に特化した「ターマゴーント」の一種であり、各巣窟艦隊が数兆単位で保有する一般的な個体種である。この個体種には、カミソリのように鋭い四本の大爪が備わり、装甲服も肉体も区別なく、あらゆる敵をズタズタに切り裂いてしまうのだ。
また、彼らの脚力は極めて強く、昆虫じみた素早い跳躍移動であったという間に接近してきたかと思うと、次の瞬間に飛びかかっている。ホーマゴーントは、驚くほど単純な怪物たちで、負傷も疲労も感じることなく獲物を追跡し続け、追いつき、襲いかかり、大鎌の様な爪で狂ったように切り刻むことしか頭にない。
敵を殺すと、ホーマゴーントは激しい飢えをこらえきれないように、それを貪り喰らう。彼らは切れ味鋭い歯を使って、湯気が上がる血まみれの死骸から肉塊を切り出し、次々と腹の中に詰め込んでゆくのだ。
しかし、この食事も長くは続かない。驚異的な代謝速度が彼らを突き動かし、新たな獲物の追跡へと向かわせるのだ。
【戦闘教条】
ホーマゴーント群集団による猛攻は、しばしばティラニッドによる総攻撃の前触れとなる。ホーマゴーントの大群は、間断ない波状攻撃を得意とし、大爪と歯だけを武器に敵戦線へとひたすら突き進んで、これを圧殺するのだ。
単純である反面、ホーマゴーントが持つ狩猟本能は恐ろしいほど高度に完成されており、集合意識体による統制をほとんど受けない状態でも、こうした大規模な波状攻撃を実行できる。
ひとたび大規模な波状攻撃が始まってしまえば、ホーマゴーントは指揮個体による命令を受けなくとも、ほぼ独力でこれを続行できるのだ。しばしば、集合意識体はホーマゴーントたちの散漫な知性に対して命令を下し、直近の獲物ではなく、より遠くにいる戦略的に重要な標的を攻撃させることがあるが、これは極めて珍しいケースと言えよう。
なぜなら、ホーマゴーントは大量生産され、大量消費される捨て駒であり、集合意識体は戦場でもかの者らをそのように用いることの方が多いからである。
【空から降り立つ驚異】
ホーマゴーントたちは、「マイセティック・スポア」と呼ばれる巨大な嚢状胞子の中に詰め込まれ、衛星軌道上の生体艦から標的惑星めがけて投下されることが多い。たとえ、地上からの対空対宙砲火や衛星軌道防衛システムの攻撃によってマイセティック・スポアの大部分が撃墜されたとしても、中に詰まっているホーマゴーントは捨て駒であり、巣窟艦隊にとっては大きな痛手ではないのだ。
一方で、標的惑星を防衛する側から見れば、マイセティック・スポアを一個でも降下に成功させてしまうと、極めて深刻な被害を受けてしまう・・。マイセティック・スポアの着陸と同時に、ホーマゴーントの個体群が一斉に溢れ出し、休むことなく標的惑星の生態系に攻撃を加え続けるのだ。
【独自の繁殖能力】
更に恐るべきことに、他のティラニッド個体種とは異なり、ホーマゴーントは独自に繁殖能力を持つ。ホーマゴーントは、その異常なほど早いライフサイクルが終わりを迎える前に、標的惑星の地中に数百個単位のおぞましい卵を出産するのだ。
ホーマゴーントによる波状攻撃の第一波を全滅させた敵が、ようやく体勢を立て直せると思った頃には、卵から孵ったばかりの新たなホーマゴーントたちが、成体へと急成長をとげ、第二波となって押しよせてきている。こうして、敵はホーマゴーントの絶え間ない波状攻撃を凌ぎ続けるだけで精一杯になり、巣窟艦隊の主戦力が衛星軌道上に姿を現す頃には、もはや防戦一方の状態に追い込まれているのだ。
標的惑星の地表部が不気味にうごめくホーマゴーントの大波に覆い尽くされれば、敵はもはや要塞施設の防壁の内側に立てこもり、破滅の時を待つのみである。
画像出典:設定解説本「Liber Xenologis」P147 イラストより
- 「ターマゴーント」
【概要】
ターマゴーントは素早く、身軽で、狡猾なティラニッド個体種だ。彼らは巣窟艦隊が放つ戦闘個体の中で、もっとも小型の部類に属する。
その体長は、頭頂部から尾の先まで約二メートル弱。本来は、巣窟艦隊内の動脈のように走る通路内を徘徊し、侵入者を排除するために生み出された個体種であると推測される。
標的惑星への攻撃時は、ティラニッド・ウォリアーを援護するようにその周囲に群がりつつ、前脚に備わる対歩兵用兵器共生体(フレッシュボウラーが一般的)で猛烈な一斉射撃を繰り出すのだ。ティラニッド・ウォリアーとターマゴーントの間には、集合意識体による統制すらも上回るほどの、奇妙かつ親密な親和性が存在する。
ティラニッド・ウォリアーが敵の攻撃にさらされた場合、周囲にいるターマゴーントたちは即座に反撃行動を起こして敵に群がり、これを速やかに排除しようとするのだ。これがターマゴーントたちの本能行動なのか、それともサイキック的な会話に基づいた行動なのかは、現在のところ全く謎である。
唯一確かなことといえば、ティラニッド・ウォリアーは集合意識体の統制力を群集団の隅々まで行き渡らせる役目を帯びた重大な個体群であることと、彼らを守るうえで、ターマゴーントの存在が極めて大きな意義を持つことだ。
【狡猾な知能】
ターマゴーントは、ホーマゴーントほどの凶暴性や野蛮な好戦性を持たず、その本能行動もいささか臆病じみて見えるかもしれない。だからといって「ターマゴーントなど脅威ではない」と考えるのは、きわめて愚かな判断と言えよう。
ホーマゴーントの持つ狩猟本能はあまりにも好戦的すぎ、危険を顧みず突き進み、罠にはまってしまうことも少なくはない。一方で、ターマゴーントの持つ自己防衛本能はより狡猾で、敵の奇襲を受けない安全な進軍ルートを選択したり、それどころか、敵の予想だにしていなかった方向から襲撃を仕掛けたりすることすらできる。
互いの短所を補い合えるため、ホーマゴーントとターマゴーントによる、他方向からの同時攻勢はきわめて強力だ。敵にとっては、どちらの個体群も無視するわけにはゆかず、かといって両方を同時に殲滅することも難しいからである。
敵の抵抗が最も激しい場所へと、ホーマゴーントの大群が盲目的になだれ込んでいる間に、潜伏場所から出現したターマゴーントたちは、敵の守りがより手薄な場所へと同時攻撃を仕掛けるだろう。もちろん、ティラニッドが本格的な侵攻に乗り出すときは、ホーマゴーントだけでなく、ターマゴーントの大群もまた最前線へと突き進み、捨て駒の役割を果たす。
ターマゴーント単体で見た場合には違うかもしれないが、こうした捨て駒的な物量作戦は、ティラニッド全体で見た場合に極めて有効な戦法であり、それがターマゴーントに与えられた存在意義の一つでもあるのだ。
このような役割を期待する場合、集合意識体はターマゴーントの大群は、敵の弾を浴びて死ぬためだけに前進を続け、じわじわと敵の備蓄弾薬を削り、最終的にはこれを圧殺するだろう。
【ターマゴーントの弱点】
ターマゴーントの知性は極めて凶悪かつ狡猾だが、集合意識体の導きを失ってしまうと、とたんに混乱を起こしてしまう。この場合、ターマゴーントは自己防衛本能によって完全に支配されてしまい、戦意喪失してしまって安全な潜伏場所へと逃げ込んでしまうのだ。
故に、ティラニッドの侵攻第一波を撃退した敵は、ターマゴーントの潜伏に注意を払わねばならない。ありとあらゆる暗所、洞窟、崩落した廃墟の奥深く、暗い茂みなどの中には、潜伏したターマゴーントの巣が隠されているからだ。
潜伏場所を発見されてしまった場合、ターマゴーントたちは想像を絶するほどの激しさで、発見者を攻撃するだろう。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P49 イラストより
- 「ジーンスティーラー」
【概要】
ティラニッドの巣窟艦隊内には、数々の恐るべき怪物がうごめいているが、その中でもとりわけ凶悪で、無数の惑星を舞台に恐怖伝説を築き上げてきた個体種が存在する。それが、ジーンスティーラーだ。
彼らは銀河の暗闇に潜む死の先触れにして、この銀河を蝕む悪疫に他ならない。ジーンスティーラーに襲われた者には、残酷にして速やかなる死だけが待っている。
ジーンスティーラーは、あらゆるティラニッド個体種の中でも、最高クラスの凶暴性を持つ。これは、彼らが究極の突撃個体として生み出された個体種だからだ。
ジーンスティーラーは俊敏かつ強力な捕食獣であり、圧倒的な反射神経と、どんなに強固な装甲服すらも切り裂く強靭なる爪を備えている。特徴的なシルエットを持つ球根状の頭には、その体に比べて異常なほど大きな脳が備わり、ジーンスティーラーたちに驚異的な環境適応能力をもたらす。
事実、彼らは高い知性だけでなく、個体群内の個体間を繋ぐテレパシー能力すらも備えているのだ。このテレパシー能力のおかげで、ジーンスティーラー個体群は、集合意識体による統制を受けずとも、自律的な独立行動が可能である。
【巣窟艦隊の尖兵】
独立行動能力と強烈な生存本能が、ジーンスティーラーを銀河最凶のティラニッド個体種たらしめているといっても、過言ではあるまい。彼らは他の下位個体群のように、数を頼りにした人海戦術ではなく、狡猾な戦術によって標的を撃破することができるからだ。
これまでにも数多くの防御施設が、夜の闇に紛れて防壁を上り侵入してくる、僅か数個体のジーンスティーラーによって攻略されている。さらに驚くべきことに、ジーンスティーラーは接近しつつある巣窟艦隊のさきがけのみならず、その置き土産ともなりうるのだ。
ティラニッドによる本格的な侵攻が標的惑星を襲い、防御側がこれを撃退することに成功したとしても、一部のジーンスティーラーたちは全滅を免れて、標的惑星のどこかに潜伏しているだろう。そして、貨物船や艦艇、あるいは星間シャトルの中などに忍び込み、銀河の方々へと散ってゆくのだ。
隠密行動に優れるジーンスティーラーにとって、乗組員の監視を逃れて貨物の中に紛れ込んだり、どうにか人間が這い入れるほどの狭いスペースに隠れ処を作ることなど、極めて容易い。こうして、彼らは狭い暗がりの中に隠れたまま、新たな惑星に到着する時を待ち続けているのである。
【恐るべき寄生】
人類の入植する惑星に対して、たとえ一個体でもジーンスティーラーが潜入した場合、その社会システムに多大な損害を与えうる。彼らは巣窟艦隊の助けなしに独立した繁殖行動が可能であり、しかもそれは標的惑星の原住生物に対して自らの遺伝子情報を産みつけるという、実におぞましいものだ。
遺伝子情報を植え付けられた犠牲者は、ジーンスティーラーのテレパシーによって意のままに操られてしまう。さらに、犠牲者が子孫を残した場合、そこにジーンスティーラーの遺伝子情報が混入し、おぞましき「混合種」(ハイブリッド)が誕生する。
混合種たちは、その祖であるジーンスティーラーに盲目的に従う完璧な信者だ。やがて、混合種からさらなる世代が誕生するにつれ、元となっている種族の特性をいくらか残したまま、その身体的特徴は確実に原住生物に近づいてゆく。
〈人類の帝国〉において、このようなジーンスティーラーによる汚染現象が起こった場合、最終的に誕生する混合種は、その四本腕や鋭い指の爪の外見などの怪物のような見た目のものもあり、第4世代の「ネオファイト・ハイブリッド」は全く人間と変わらない見た目となっている。
【ジーンスティーラーの教団】
銀河の深奥でも、しばしばジーンスティーラーによる汚染は確認されるが、祖となる巣窟艦隊から遠く離れれば離れるほど、その肉体的特徴や行動パターンは乖離してくるし、また個体群間でも大きく差異が見られる。辺境の惑星に侵入したジーンスティーラーの多くは、都市の下水道や地下洞窟に潜み、しばしば住人たちを襲うという。
まるで旧時代の地方伝承に語られる想像上の怪物のような存在となっている。しかも、こうした惑星の中には、巣窟艦隊が惑星に近づいてきたと同時に、ジーンスティーラーによる遺伝子汚染を受けた教団が社会を転覆させ、ティラニッドが〈侵食〉を円滑に行うための手引を行うことすらもある。
そのようなジーンスティーラーとその寄生者である信者の教団は「ジーンスティーラーカルト」の名で呼ばれ、銀河に数多くの秘密裏に設立されたティラニッド信奉教団が存在する。荒唐無稽な作り話に聞こえるかもしれないが、異端審問官による調査によってその実態が明らかとなり、現在〈帝国〉はジーンスティーラーカルトの調査と撲滅を行っているのだ。
【銀河中に潜伏する脅威】
現在、この銀河にティラニッド汚染がどれほど広まっているのか、その実態を知るすべはない。たが、1個体群が発見され駆除されたとしたら、周囲には未確認の12個体群が潜伏中であると考えても、あながち間違いではないだろう。
もしかしたら、その惑星にはジーンスティーラーカルトによる教団が秘密裏に設立されているのかもしれない。ティラニッドによって汚染された惑星に巣窟艦隊が接近すると、当該惑星に潜伏しているジーンスティーラーとその個体群やジーンスティーラーカルトの信者に対して、集合意識体からの命令が下る。
彼らは暗がりの中から一斉に攻撃を開始し、惑星の社会を転覆させて惑星防衛軍による反撃行動が取れなくなるようにする。敵はジーンスティーラーカルトとの戦闘だけでも精一杯となり、巣窟艦隊に対抗する戦闘準備を整えられず、そのまま無慈悲に貪り食われてしまうのだ。
【ブロッドロード】
ブロッドロードは、ティラニッドが最初に惑星に侵入してきた際に、常に惑星を最初に陥落させたジーンスティーラーである。それは標準のジーンスティーラーよりも更に強力な能力を持っており、敵に密かに近づいて襲撃する能力に長けている。
かの者らは非常に適応能力と知能が高く、サイキックパワーも使用でき、シナプスクリーチャーとしての役割も果たすことができる。ブロッドロードは強力な威力を持つ爪を持っており、ほとんどの物を簡単に切り裂くことが可能だ。
【ブロッドロードのサイキックパワー】
- 絶望の気配(オーラ・オヴ・ディスペアー)
ブロッドロードの体から、あまりにも異質な脅威と敵愾心(てきがいしん)のオーラが放射される。この精神波は敵を混乱させ、その戦意を削ぎ、さらに潜在意識化にある恐怖心を最大限まで増幅させるのだ。
- 惑乱の凝視(ヒプノティック・ゲイズ)
ブロッドロードは敵の意志力を完膚なきまでに叩きのめし、その自我を一時的に崩壊させてしまう。この凝視を受けた敵は、もはやブロッドロードのなすがままである。
画像出典:ゲーム「Battlefleet Gothic: Armada II」より
- 「リッパー」
【概要】
リッパーとは、ウジ虫のごとき性質を持つ小型個体種の群れであり、蠢く絨毯のごとき大群をなして押し寄せてくる。彼らを突き動かすものはただひとつ、満たされることのない猛烈な飢えだ。
スウォームを成す一個体一個体は、強固な外皮と甲殻で守られた蛇のような生命体であり、その頭部に針のように鋭い無数の歯が並んでいる以外には、特筆すべき武器は備えていない。また、リッパーに知性や自意識はなく、集合意識体による統制を失うと、たちまち死滅してしまうという弱点も持つ。
ただし、集合意識体によって操られている間、リッパー・スウォームは無慈悲なる大波となって攻め寄せ、あなどりがたい脅威となるのだ。
【生態】
ティラニッド巣窟艦隊から個体群の降下が始まった瞬間から、数十億個体単位のティラニッドたちが標的惑星全土に放たれる。その中でも、最大規模の個体数をほこるのが、このリッパーたちだ。
リッパーは惑星全土の地表を埋めつくし、行く手に存在するすべてを貪り喰らう。そして生物資源を摂食するにつれ、リッパーの個体数も増大の一途をたどるのだ。
ティラニッド群集団が侵攻を続ける足下では、無数のリッパーたちが這い回り、敵味方の区別なく、あらゆる死体や負傷者を喰らいつくしてゆく。リッパーはきわめて交戦的かつしつこい性質を持つ個体種で、自分より何倍も大きな獲物に対しても群をなして食いつき、これを引きずり倒してしまうほどだ。
ひとたび獲物に噛みつくと、その口を閉じて肉片を喰いちぎるか、あるいは自分自身が殺されて生命活動を停止するまで、リッパーは絶対に獲物から離れない。
【全てを喰らうもの】
生物資源を摂食して肥え太ったリッパーたちは、最終的には巣窟艦隊に再吸収される。〈侵食〉の過程で標的惑星の地表に形成される有機物溶解プールの中へと自発的に飛びこみ、ドロドロの粘液へと変わるのだ。
この有機物スープは巣窟艦隊の中に取りこまれ、より高度で複雑な身体構造を持つティラニッド個体種を産生するための資源として利用される。〈侵食〉が最終段階に達したときが、リッパーの真の活躍の場といえるだろう。
惑星全土を覆いつくしたリッパー・スウォームは、地表に残された生物資源の残骸を食らいつくし、一滴も残さず水分を吸いつくす。あとに残されるのは、いっさいの生物資源が存在しない、干涸びた死の荒野だけだ。
【スカイスラッシャー】
リッパーは、もっとも単純な構造を持つティラニッド個体種のひとつだが、各群集団内にはしばしば、その亜種の存在も確認される。「スカイスラッシャー」の名で呼称される、翼を持つリッパーの亜種もおり、次第に一般的な個体種となりつつあるようだ。
事実、惑星「カーラル」の空中採鉱所は、スカイスラッシャーの大群によって壊滅させられている。この空中採鉱所に備わる自動化迎撃システムは、翼を持つ大型のティラニッド個体種に対してはきわめて有効な砲撃をくり出せたものの、小型個体種であるスカイスラッシャーの大群に対しては、まったく戦果をあげることができなかったのだ。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P69 イラストより
エリート
- 「タイラントガード」
【概要】
タイラントガードを端的に表現するならば、“生ける盾”である。彼らのたくましい肉体は鉄のように固い外骨格装甲によって覆われ、その内側にも、何層もの分厚いキチン質甲殻装甲が備わっているのだ。
小型銃器の射撃など、彼らはいともたやすく弾き返してしまう。自動小銃による一斉射撃を浴びながらでも、タイラントガードは悠々と前進を続けられるのだ。
タイラントガードを止めるには対戦車兵器を投入する他にないが、、たとえそれらの重火器を用いたとしても、1体のタイラントガードの生命活動を停止させるには相当数の射撃が必要となる。なぜなら、タイラントガードは負傷や苦痛に対して驚くべきほど高い耐久力を持つからだ。
彼らは苦痛をほとんど感じず、他個体種ならば致命傷となるほどの傷を負ったとしても、意に介することなく猛然と突き進んで来る。彼らを止めるには、跡形もなく消し飛ばすしかない。
【無私なる忠誠心】
タイラントガードは、ハイヴタイラントを守る究極のボディーガードであり、そのためだけに存在する個体種であるといっても過言ではない。彼らは獣じみた知性しか持たず、その知性も、忠実にハイヴタイラントを守り戦うという単一の目的だけに傾けられている。
他種族の軍でも司令官を守るボディーガードの存在は一般的だが、彼らは厳しい訓練や義務感などによって、自己防衛本能を押し殺さなくてはならず、どんなに些細なものであれ、自分の身を犠牲にする時には少なからず躊躇を抱くものだ。
ところが、タイラントガードには自己防衛本能というものがそもそも存在しない。タイラントガードに余計な知性などろいうものは備わっておらず、彼らはただ上位個体を守るためにだけ特化した、まさに理想的なボディーガードなのである。
確かに、タイラントガードは防衛本能を持つが、それは自己防衛本能ではなく、ハイヴタイラントに対する防衛本能なのだ。ハイヴタイラントが攻撃を受けようものなら、タイラントガードは一瞬たりともためらうことなく、敵とハイヴタイラントの間に立ちはだかって盾となる。
そしてハイヴタイラントに対する脅威が停止するか、あるいはタイラントガード自身が生命活動を停止するまで、その全身で銃弾や攻撃をはじき返し続けるのだ。
【盲目の守り手】
加えて、タイラントガードは視覚を持たない。視覚によって敵を認識する必要がないからだ。
その代わりに、タイラントガードたちは、護衛対象であるハイヴタイラント自身と感覚を共有しており、さながらハイヴタイラントの外皮の一部であるかのように行動できる。また、眼がないということは、敵の攻撃にさらされる弱点部位が一つ少ないということも意味する。
タイラントガードの体表は分厚い生体装甲によって覆われ、弱点らしい弱点といえばその継ぎ目ぐらいのものだ。“生ける盾”にとって、眼や視覚などは全くもって不要なのである。
【恐るべき狂乱】
万が一、護衛対象であるハイヴタイラントが殺されると、残されたタイラントガードたちは狂乱状態に陥る。荒々しい闘争本能をむき出しにして、ハイヴタイラントを殺した敵に挑みかかり、休みなく攻撃を繰り出し続ける。
他種族のボディーガードにも、こうした行動はしばしばみられるが、他種族の場合は「主人の仇を討つ」といった感情的で衝動的な行動であることがほとんどだ。ティラニッドには、そうした脆弱な感情や思考、あるいは任務に失敗した不名誉などという概念そのものが存在しない。
タイラントガードの狂乱行動は、集合意識体によってあらかじめ計算された、冷徹で冷静な反応行動なのである。ティラニッドにとってハイヴタイラントは極めて重要な指揮個体種であり、仮にこれを打ち倒すような敵が出現した場合、その知識や技能は即座に抹消されるべきである。
集合意識体によって、ハイヴタイラントを殺すほどの敵がこの戦闘を生き延びることは、極めて好ましからぬ事態なのだ。それゆえ、ハイヴタイラントが倒れた時に起こるタイラントガードの狂乱は、これを倒した敵を逃さず抹殺して、対ハイヴタイラントの知識を敵が蓄積できないようにするための、極めて効率的で合理的な条件反射行動なのである。
ハイヴタイラントを倒した敵は、勝利を喜ぶ暇もなく、狂乱したタイラントガードたちに包囲されていることだろう。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P64 イラストより
- 「レイヴェナー」
【概要】
レイヴェナーは野蛮な個体種であり、純粋なる捕食獣と呼ぶにふさわしいティラニッドだ。鋭い鎌状の爪を備えた彼らの蛇じみた体は、計算高い知性ではなく、ただ底なしの飢えによって突き動かされている。
その異常発達した筋肉によって、レイヴェナーはいかなる地形もものともせず、猛スピードで這い進む。彼らは小さな障害物を軽々と乗り越えると、次の障害物へ滑らかな動きで這い寄り、敵に強襲を加えるのだ。
湿地帯のぬかるみの中を移動する時も、レイヴェナーの移動速度は全く衰えない。悪路をものともせず、地上を猛スピードで這い進んで来るレイヴェナーは確かに恐ろしいが、「その接近を目視できるだけ、まだ救いがある」とも言えよう。
レイヴェナーによる最も恐るべき攻撃方法は、地上ではなく、地下からの奇襲攻撃なのだ。レイヴェナーの体形は、地中を掘り進むのに最適であり、強靭な爪と筋力もそれを助ける。
彼らは戦場の地下にトンネルを掘って、敵の足下へと突き進み、豪快に土をまき散らしながらその姿を現して、混乱を起こした敵に一方的な攻撃を加えるのだ。出現するやいなや、切れ味鋭い「サイジング・タロン」と、その胸部に備わった寄生蟲状生物の噴射によって、レイヴェナーはたちまち大殺戮を巻き起こすだろう。
【驚異的な鋭敏感覚】
外見的にはティラニッド・ウォリアーといくらかの類似点を持つが、レイヴェナーは知性を持たぬ野蛮な怪物である。ティラニッド・ウォリアーたちが、集合意識体の命令を中継する精神波増幅装置の役割を果たすのに対して、レイヴェナーにそのような能力は全く備わっていない。
彼らは指揮能力ではなく、奇襲や追跡のみに特化した戦闘個体なのだ。ただし、ティラニッド・ウォリアーのような知性こそ持たないが、レイヴェナーの鋭敏な知覚と聴覚は、ティラニッド・ウォリアーのそれを遥かに凌駕する。彼らは、視覚情報や聴覚情報を、極めて広範囲の波長を認識できるからだ。
レイヴェナーはどんなに小さな地上での振動音も聞き逃さず、「ヴォックス・キャスター」などの無線通信機が発する波形すらも認識する。対センサー装置などのステルス技術を持つ敵でも、レイヴェナーの鋭敏感覚を欺くことはできない。
何しろ、レイヴェナーたちは、テレポート誘導装置の放つ微細な波長すらも認識するのだから。レイヴェナーたちはこの鋭敏感覚を用い、しばしば小規模な個体群を組んで、敵の電波発生源を特定して強襲を仕掛ける。
彼らは本能的に、通信機などが発する電波の痕跡を追跡する能力を持っているのだ。敵は自分自身の身を守るための科学技術によって、逆に墓穴を掘ることになってしまうのである。
このため、帝国防衛軍においても、レイヴェナー個体群は真っ先に排除すべき優先攻撃う目標と定義されている。どんなに入念に隠蔽された司令部や基地であろうとも、敵にレイヴェナーがいる限り、絶対に安全とは言えないからだ。
【レイヴェナーの本能】
ティラニッド個体種の大部分がそうであるように、レイヴェナーたちもまた、完全に集合意識体の統制下に入った時にこそ、最大限の力を発揮できる。逆に、集合意識体による導きを失うと、レイヴェナーたちは混乱をきたし、攻撃目標の優先順位が着けられなくなってしまう・・。
たとえ、少し離れた場所に絶好の獲物が存在したとしても、それらを無視し、最も近くにいる敵に攻撃を仕掛けてしまうことがあるのだ。ここから、〈帝国〉が誇る一線級の「異種族生物学者」(ゼノバイオロジスト)たちの中には「集合意識体からの定期的な指令がなければ、レイヴェナーは鋭敏感覚によって収集された波長情報を分析できなくなってしまうのではないか」と推測する者が少なくない。
中には、この仮説をさらに発展させ「集合意識体の導きを失ったレイヴェナーは、微動だにしない敵を認識できないのではないか」と主張する者さえいる。しかし、かの高名なる異種族生物学者「ンタラン」は、自分がレイヴェナーによって攻撃された時、この仮説を証明すべく、側近たちに「微動だにするな、さすれば奴らは我らを認識できぬはず」と命令したが、実験は失敗に終わり、無残な最期をとげたようだ。
このように、本能行動中のレイヴェナーでも、微動だにしない敵を認識することは可能である。ただ、集合意識体によって統制されていない間、彼らは捕食獣の本能に支配されてしまい、パニックを起こして逃げ惑う敵を優先して追跡してしまうことがあるだけなのだ。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P58 イラストより
- 「リクター」
【概要】
リクターは、きわめて特殊な進化をとげたティラニッド・ウォリアーの一種である。隠密能力に優れるリクターたちは、群集団の侵攻に先立って標的惑星に潜伏し、いわば斥侯役を果たすのだ。
彼らは誰にも知られることなく、密かに敵の防衛拠点を探索し、現住生物の生物資源レベルなどを調査している。リクターはどんなに入り組んだ地形の中でも音を立てず俊敏に移動でき、しかもカメレオンの皮膚のように周囲の環境と同化する特殊な迷彩外皮を持つため、生身の生物の目でリクターの接近はほとんど認識できない。
この脅威的な隠密能力を活かしてリクターは潜伏を続け、絶好の攻撃タイミングを待つのだ。彼らは周囲の風景と同化したまま、何日間も死んだように動きを止められるため、襲われた敵からすると、何もない場所から突然リクターが出現したかのように感じられる。
【狩猟の本能】
リクターの本能は、さほど凶暴ではない。彼らは獲物の選別と調査を主目的として進化した個体種だからだ。リクターは用心深く辛抱強い狩猟者であり、獲物を見つけたとしてもすぐには飛びかからず影の中に潜み続け、チャンスをうかがい続ける。
敵の数が多すぎ、相応の反撃が予想される場合、リクターは絶対に姿を現そうとはしないだろう。敵部隊がある程度広い範囲で散開行動を取っている場合、しばしばリクターはこれらの敵兵を一度に1人あるいは2人ずつ、順番に始末してゆくこともある。
ただし、ひとたび攻撃をしかけると、それから数日間は再潜伏し、次なる攻撃機会を待つという入念ぶりだ。襲撃のチャンスが到来したとみるや、リクターは恐るべき残忍さで獲物を殺戮する。
カマキリじみた巨大な「サイジング・タロン」や「フレッシュ・フック」、さらには口元の触手など、ありとあらゆる肉体武器を総動員して、一瞬にして敵を死体へと変えるのだ。この触手の先端部には鏃のように鋭い骨が備わり、獲物の頭蓋骨を貫通して、そのまま眼球を串刺しにできるほど強力である。
さらに恐ろしいことに、リクターはこの触手を巧みに操ることで、獲物の脳の一部を一瞬にして貪喰い、その記憶を吸収することさえも可能だ。獲物はリクターに殺されるだけでなく、生前の記憶すらも吸い取られてしまい、絶対に漏らしてはならない仲間同士の秘密や、防御施設の弱点といった機密情報までもが、リクターに知られてしまうのである。
【恐るべきフェロモン】
このように、リクターは単体でもきわめて危険な敵だが、彼らは他のティラニッド個体群を引き寄せる“フェロモンの道しるべ”を残すことも忘れてはならないだろう。強力な敵を発見した場合、および大規模な敵を発見した場合、分泌されるフェロモンの濃度は濃くなり、誘引される個体群も強大になってゆく。
ゆえに、仮に一体のリクターを殺すことができたとしても、安心するのはまだ早い。リクターが放ったフェロモンによって、ティラニッドの群集団はすでに敵の正確な位置と戦力を把握し、そこへ迫っているのだ。
敵がティラニッドの大群によって呑みこまれるのは、もはや時間の問題である・・。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P45 イラストより
- 「ヴェノムスロープ」
【概要】
ヴェノムスロープは、きわめて凶暴で好戦的な個体種だ。その痩せ細った胴体と、触手状の特徴的な手足からは、未知の毒液が滴り落ちている。
その重い甲殻の内側には、ガスで満たされた巨大な空気袋がいくつも隠されており、この空気袋が生み出す浮力によって、ヴェノムスロープはゆらゆらと漂うように戦場を移動するのだ。ヴェノムスロープは触手を使って自らの身体をたぐりよせながら、するすると獲物へと近付き、その足を絡め取って貪り喰らう。
【おぞましき空気袋】
空気袋は、単にヴェノムスロープの身体を浮遊させるだけでなく、重要な武器のひとつでもある。ここから放出される無数の胞子は、甘く病的な黄色い霧となってヴェノムスロープの周囲を覆い隠す・・。
この霧には、ティラニッド以外の生命体に有害なバクテリオファージが混在しており、これを吸入してしまった敵は、一時的な筋肉痙攣や嘔吐と感に襲われるのだ。うかつにヴェノムスロープに接近した敵は、この霧によって無力化された挙げ句、ヴェノムスロープや周囲の下位個体群によって、やすやすと狩り殺されてしまう。
さらに不運にも、敵がヴェノムスロープから放出される霧に一分間以上曝された場合、敵の体内でバクテリオファージが増殖を始める。バクテリオファージは恐るべき速度で倍加し、犠牲者の全組織へとゆき渡り、これを内側から溶解する。
犠牲者は、どろどろに溶けゆく自らの肉によって溺死しするだろう。バクテリオファージの感染によって敵の肉体が崩壊したのを確認すると、ヴェノムスロープは触手を伸ばしてこれを絡めとり、その養分をしぼりつくすために口元へと運ぶのだ。
【しなやかなる触手】
ヴェノムスロープが持つしなやかな鞭状の触手は、無数の外銀河の毒性物質によって覆われている。これらの毒はきわめて強力で、触手が軽く接触しただけでも、敵を死に至らしめるとの報告がなされている。
たとえ即死しなかったとしても、毒によって力を奪われた敵は、脈打つ強力な触手によって締め上げられながら、バクテリオファージの感染によって自らの肉体が溶け始めるのを待つことになるだろう。
【個体群の尖兵】
ヴェノムスロープは、集合意識体との間に直接的なサイキック・リンクを持たないが、すこぶる旺盛な捕食本能と攻撃精神を持つ彼らは、ティラニッドの尖兵役として最適である。ヴェノムスロープに遭遇した敵は、究極の選択を強いられるだろう・・。
目の前のヴェノムスロープと交戦して自軍の戦力を半減させるか、それとも、これを放置するかだ。どちらにせよ、ヴェノムスロープは尖兵にすぎず、その後には無数の個体群が迫ってくる。
難しい選択だが、ヴェノムスロープの放置はきわめて危険であり、ゆえに愚かな選択としかいいようがない。なぜなら、ヴェノムスロープの放つ毒は、標的惑星の生態系を破壊するだけでなく、その土壌や大気までも汚染してしまうからである。
ヴェノムスロープの毒とウィルスをまき散らされた惑星は、巣窟艦隊にとって絶好の餌と化す。
画像出典:コデックス「ティラニッド6版」(codex:Tyranids)より
- 「ハイヴガード」
【概要】
ティラニッドによる〈侵食〉が最終段階に達すると、グロテスクきわまりない異様な巨大構造物群が、標的惑星全土を埋めつくす。焼け焦げた大地からは、無数の胞子を吐き出す煙突状の塔がそそり立ち、惑星大気を毒の胞子で汚染してゆく。消化され、ドロドロの有機体スープへと変わった標的惑星の全生物資源を吸い上げるため、おぞましき吸収塔の数々がそびえ立ち、生体艦が触手を伸ばす。
これらの巨大構造物群は、惑星〈侵食〉のために必要不可欠だが、〈侵食〉のためだけに特化した構造ゆえ、敵の攻撃に対しては無力である。これを守るために集合意識体が産み出した個体種が、ハイヴガードだ。
様々な役割に特化した、異様な個体群がひしめくティラニッド群集団の中でも、ハイヴガードはひときわ特殊な個体種といえよう。ハイヴガードは、まさに“狙撃砲獣”と呼ぶにふさわしいティラニッドであり、ケンタウロスを思わせる四本のたくましい脚を備え、太い前腕部には巨大な兵器共生体である「インペイラーキャノン」が同化している。
この特徴的な体形ゆえ、ハイヴガードは生ける固定砲台のごとき安定感を持ち、インペイラーキャノンの強烈な反動もたやすく吸収しながら、精度の高い射撃を立て続けにくり出せるのだ。
【驚異の射撃精度】
シナプス・クリーチャーではないのだが、ハイヴガードたちは微弱ながら有効範囲の広いテレパシー能力を有し、周囲にいる他ティラニッド個体の“眼”を通して、戦場を見わたすことができる。つまり、彼らは意識することなく、本能的に、最新鋭のロックオンシステムすらも凌駕するほどの高精度で、射撃のための各種情報を収集できるのだ。
さらにハイヴガードは、兵器共生体「インペイラーキャノン」の“弾”である「シャードビースト」たちと、精神を共有している。この精神共有はきわめて高度かつ精密なもので、射出されたシャードビーストに対して遠隔命令を下すことによって、飛行中に“弾”を方向転換させ、予想外の角度から標的に命中させることすらも可能だ。
これら二つの驚異的能力を持ち、またそれを本能的に使いこなすハイヴガードたちは、自分自身のいる場所からまったく見えていない敵に対してすら、正確無比な狙撃をおこなえるのだ。
【ハイヴガードの防衛本能】
ただし、このあまりに高度なテレパシー能力は、しばしばハイヴガードの弱点にもなりうる。彼らは本能的に、臆病で縄張り意識の強い個体種だからだ。
集合意識体による統制を受けなければ、ハイヴガードは安全な場所に留まって、可能な限り動こうとはせず、射程距離内まで敵が入ってくるのをじっと待ち続けているだろう。ティラニッド群集団が重装甲の機械化された敵と遭遇した場合のみ、集合意識体はハイヴガードらに直接命令を下し、この狙撃砲獣たちを最前線へと追い立てるのだ。
ひとたび危険な最前線まで進ませてしまえば、ハイヴガードの臆病な本能は、逆に集合意識体にとって都合のよい方向に働くだろう。突撃してくる敵を前にすれば、ハイヴガードたちは自らの身を守るために、苛烈な砲撃をくり出さざるをえないからだ。
しかも、ハイヴガードの白兵戦能力と耐久力は、その見た目どおりかなり高いのである。
【素早き産生速度】
一個体のハイヴガードを産生し、成体まで成長させるのに必要な培養サイクルは、驚くほど短い。しかも、成体の一歩手前である幼虫状態で、培養サイクルをいつまでも一時停止しておくことが可能だ。
このため集合意識体は、生物資源を浪費することなく、いつでも必要なときにハイヴガードを最前線へと投入できる。〈侵食〉用巨大構造物群を守るときだけでなく、それ以前の段階で個体群の侵攻が敵の強力な抵抗によって押し返されそうになったときにも、集合意識体は容赦なくこの狙撃砲獣たちを前線に送りこんでくる。
一時的に個体群の波を押し返し、反撃に出ようとした敵軍は、ハイヴガード個体群による猛烈なインペイラー・キャノンの斉射を浴びることになるだろう。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P65 イラストより
- 「パイロヴォア」
【概要】
パイロヴォアは、きわめて風変わりなティラニッド個体種だ。一見すると、甲殻で覆われた巨大な胃袋に、武骨な手足が生えただけのようにも見える。パイロヴォアの口元から絶え間なく垂れ続ける強酸性の唾液は、装甲板にすら穴を空け、骨も肉体もドロドロの粘液へと変えてしまうほど強力だ。
パイロヴォアに襲われた敵は、たちまち煙をあげる有機物の粘液だまりへと変えられ、他のティラニッドたちに貪り喰われて養分として吸収されてしまう。この強酸性の唾液も確かに危険な武器ではあるが、パイロヴォアの真の脅威は、背中に生えた巨大な兵器共生体にあるといってよい。
強力な敵と向かい合った場合、パイロヴォアはこの兵器共生体から、燃え盛る火球を発射する。火球の射出とともに発せられる轟音はきわめて特徴的で、敵はこの轟音を聞きながら、猛烈な火炎に全身を包まれて消し炭へと変えられるのだ。
【貪り喰らうもの】
群集団内におけるパイロヴォアの役目は、生物資源の一次消化である。このため、パイロヴォアは敵の死体や負傷者で満たされた戦場に現れ、これらを消化して回る姿が目撃されることが多い。
パイロヴォアには複雑な構造の空気袋と胃袋がいくつも備わり、摂食した死体の肉をすりつぶし、消化して、体内で強燃性のガスに変えることができるのだ。またパイロヴォアの胃袋が分泌する消化液はきわめて強力で、金属や岩、その他のミネラル資源すらも消化し、巣窟艦隊が吸収可能な状態へと加工できる。
妨害されなければ、パイロヴォアは何時間でも、あるいは何日間でも、休むことなく摂食行動を続けるだろう。彼らが動きを止めるのは、愚かな敵が接近してきた時だけだ。
【激しき飢えがもたらす本能】
パイロヴォアの脳は小さく、その精神反応速度は鈍い。その背中に寄生した兵器共生体、フレイムスパートのほうが、むしろパイロヴォア本体よりも高度な知性を持ち合わせているほどだ。
他のティラニッド個体種の多くは、宿主であるティラニッド本体がその寄生体である兵器共生体を精神的に支配下におくことが多いが、パイロヴォアとフレイムスパートの場合は例外で、肉体こそ共有しているものの、それぞれが独立した個体であるかのように行動する。つまり、パイロヴォア本体は激しい飢えに突き動かされて盲目的に摂食行動を続けるだけであり、非ティラニッド生命体の接近を感知して火球を吐き出すのは、フレイムスパートの本能行動なのである。
集合意識体による統制を受けた場合のみ、パイロヴォアとフレイムスパートは、単一の個体として協調行動を取るのだ。しかし、実際のところ、パイロヴォアは集合意識体による直接統制をほとんど必要としない。接近してきた敵に火球を浴びせ、敵がこれを生きのびた場合には、本体の爪と牙で攻撃をくり出してとどめを刺すという、それぞれの本能行動の単純な組み合わせだけでも、パイロヴォアは十分な戦力を発揮するからだ。
どちらにせよ、パイロヴォアに挑んだ敵がたどる末路は同じ・・。生きたまま貪り喰われるか、火球を浴びて粘液状の燃えカスとなってから吸収されるか、それだけの違いなのである。
【火器厳禁】
ほとんどの敵は、手痛い犠牲を払った後に学習するだろう・・。パイロヴォアと交戦する時は、遠距離から射撃を加えるに限ると。傷を負ったパイロヴォアの身体からは、胆汁じみた汽水性の体液が流れ出す。
もし、白兵戦を挑んでいた敵が近くにいれば、彼らは不運にもパイロヴォアの胃液をスプレーのように浴びることになるだろう。敵にとって最悪の事態といえるのは、あまりにも強烈な火力でパイロヴォアを殺した結果、その体液や強燃性ガスに引火して、大爆発が起こったときだ。
内部から爆発し破裂したパイロヴォアは、甲殻の破片や強酸性の体液にまみれた自らの肉片を四散させ、不運な敵を巻き添えにしてしまうのである。戦場に残されるのは、巻き添えをくって戦死した敵の死体と、パイロヴォアの残骸、そして不気味な悪臭だけだ。
画像出典:コデックス「ティラニッド5版」(codex:Tyranids)P49 イラストより
- 「マレセプター」
【概要】
マレセプターは、集合意識体のサイキックパワーを最も純粋に具現化させる役割を果たす個体種だ。戦闘に突入すると、その頭蓋からサイキックエネルギーが放出され、周囲全ての敵を蒸発させてしまう恐るべき力を持つ。
敵がマレセプターに向かって弾丸やエネルギー弾を発射してもそれは全くの無駄な行為である。マレセプターには飛び道具から身を守るための強大な「サイキック・バリア」が備えられており、あらゆる射撃からその身を守ることができる。
仮に弾丸がバリアを貫通したとしても、マレセプターを覆うその分厚い甲殻装甲によって無効化されるだろう。マレセプターには輝く「ブレイン・アレイ」からはエーテル状の偽足が伸びており、それらはサイキック的なエネルギーを流れている。
敵がこれらに触れると、集合意識体から想像を絶するほどのサイキック・エネルギーが流れ出し、敵の頭は激しく爆発してしまうのだ。
【生態】
マレセプターは、銀河系に生息するサイキックに優れた種族に対抗するために、集合意識体が造り出した個体種だ。その胴体は、脳組織の輝く球体が埋め込まれており、そこから影のようなエネルギーの生体コイルが突き出ている。
これらのコイルはティラニッドの「〈歪み〉を侵食する影」現象を発生させるものであり、これに触れることによってその精神的現象の恐るべき巨大さと接触してしまう。これはほとんどすべての生物にとって、暴力的な終わりを迎えることを意味する。
幸運なことに、マレセプターは非常に複雑な構造を持つ貴重な個体種であり、集合意識体が数体以上のマレセプターを配備することはほとんどない。単一のマレセプターは敵のサイカ―数人分の精神を破壊することができ、マレセプターが十分な数が集まれば、都市全体を破壊するだけのサイキックパワーを放出することが可能だ。
ただでさえこの強力なサイキック能力をさらに強化するため、マレセプターはしばしば、漂うゾアンスロープやニューロスロープといったサイキック能力に特化した個体種と共に行動している。その結果、神経ノードが彼らの間に形成され、それらを取り巻く群集団の凶暴性や再生能力を高めるだけでなく、「〈歪み〉を侵食する影」現象によって生み出されたサイキックパワーの波動を解き放つのだ。
【盲目の猛獣】
マレセプターは視覚を備えておらず、完全に盲目であるが、その代わりにサイキックパワーを感知する知覚を備えている。それに加えて、集合意識体との強力なシナプスリンクを有しており、近辺に存在するティラニッドのサイキック・インパルスを感知することで、まるで視覚を持ってるかのように周りの状況を察知することが可能だ。
そのため、ハイヴタイラントのような能力や豊富な戦闘経験は無いが、ティラニッドに対する新たな脅威に対して、驚くべき速度で対応することが可能だ。かの者らにとって戦場の混沌とした状況は、驚くほど複雑なニューラルネットワークとして認識されており、それらの膨大な情報の網を即座に解析し、小規模な群集団を効率よくかつ効果的に配置することができるのだ。
巣窟艦隊の軍勢は、敵の激しい抵抗に直面した際に、マレセプターが投入されることで数多くの勝利を収めてきた。敵がどれだけ分厚い装甲を持った防壁や戦闘車両を用意しても、マレセプターによるサイキック攻撃の前ではもはや無駄な足掻きに過ぎないのである。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P53 イラストより
ヘヴィー
- 「カーニフィックス」
【概要】
カーニフィックスは、巣窟艦隊を構成するティラニッド個体種の中で、もっとも危険な大型個体種のひとつだ。強固なキチン質の外皮と、節くれ立った筋組織、そして重厚な外骨格装甲によって作られたその体は、まさに“生ける破城槌”と呼ぶにふさわしい。
空前絶後の巨体と破壊力を持つカーニフィックスは、兵器共生体の中でも最重量級の射撃武器を使いこなす。カーニフィックスは歩く破壊兵器であり、防衛戦の強行突破や、敵宇宙船舶への強行乗船攻撃、および大規模戦闘のためだけに進化してきた大型個体種だ。
彼らの巨大かつ頑丈な体は、それ自体が強力な武器であり、ほぼあらゆる障害物を破壊し、あらゆる敵を粉砕できる。
【ファーストコンタクト】
〈人類の帝国〉がカーニフィックスと史上初めて遭遇したのは、巣窟艦隊ベヒモスが惑星マクラーグを侵攻した、いわゆる“マクラーグの攻防”においてである。人類の宇宙艦隊は、外銀河から襲来したおぞましき生体艦を前に一歩も退かぬ戦いぶりを見せたが、この艦隊戦の中で強行乗船攻撃をしかけてきたティラニッド群集団の先頭には、つねにこの大型個体種の姿が確認されたのだ。
艦艇内に乗りこんできたカーニフィックス個体群は、大鎌のようなサイジング・タロンで人類側の守りを次々と切り裂き、バイオプラズマを吐き出して生存者を次々と焼き殺した。バイオプラズマを射出するこのカーニフィックスの亜種は、
体内で増幅したバイオプラズマ弾を吐き出す直前に金切り声のような異音を発するため、「絶叫する殺戮者」(スクリーマー・キラー)と呼ばれ恐れられるようになった。その後、〈帝国〉は様々なカーニフィックスの亜種と遭遇してきたし、中にはバイオプラズマよりも遥かに恐ろしい攻撃手段を持つものも存在するが、初交戦時に絶叫する殺戮者が人類側に与えたインパクトと殺戮の規模は絶大であり、絶叫する殺戮者の名は今なお恐怖の代名詞として語り継がれている。
【戦闘教条】
その巨体ゆえ、他のティラニッド個体種と比べてカーニフィックスは敏捷性に欠けるものの、それを補って余りあるほどの突進力と破壊力を秘めている。突進を始めたばかりのカーニフィックスの歩みは、きわめて遅く重苦しい。
間もなく、全身の筋肉がこれを猛烈な力で動き始めると、カーニフィックスの突進はじわじわと速度を増し、雷のような地響きとともに迫ってくる。カーニフィックスの重い足取りは大地を揺らし、ズシンズシンという単調な音は、破滅を招く呪われた太鼓の音のようだ。
突進が最高速度に達すると、もはやカーニフィックスを止められる敵はなにひとつ存在しない。カーニフィックスの前に立ちはだかった敵は、例外なく踏みしだかれ、追い散らされる。
この超重量級の突進攻撃に対抗できる相手は、大型要塞施設の防壁か、あるいは帝国防衛軍の巨重戦車くらいのものだろう。その威力は、廃墟と化した惑星マクラーグの極点要塞に残された、ごくわずかの記録情報を見れば一目瞭然である。
カーニフィックスの突進攻撃に対抗する最良の手段とは、この巨体が接近してくる前に、安全な場所へと退避すること・・それだけだ。
【カーニフィックスの弱点】
人類にとっては幸運なことに、カーニフィックスにも弱点は存在する。本格的な突進を開始するまでにかなりの準備時間を要するように、カーニフィックスの頭脳もまた、刺激に対して反応するまでに、相当の時間を要するのだ。
カーニフィックスは自己防衛本能に乏しい野蛮な怪物であり、その知性もすこぶる低い。ゆえに、群集団を率いるシナプス・クリーチャーから定期的に統制を受けなければ、カーニフィックスは手近の敵に対して見境のない突進をくり返すことしかできず、やすやすと敵の罠にはまってしまうのである。
ただし、統制を受けていないカーニフィックスが容易い相手だなどとは、間違っても考えないことだ。脳幹個体(シナプス・クリーチャー)による統制を離れ、暴走するカーニフィックスも、その生命活動を停止するまでの間に、敵軍に対して途方もない規模の破壊と殺戮を与えるのだから……。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P60 イラストより
- 「バイオヴォア」
【概要】
ずんぐりと膨れ上がった、鈍重そうな体を持つ個体種バイオヴォア。だが、外見とはうらはらに、このティラニッドはきわめて危険な攻撃能力を持っている。
その野蛮な肉体の内側では、無数の「スポア・マイン」が産生されているのだ。スポア・マインは小型の生体爆弾で、敵に接触するとともに破裂し、強酸、毒液、あるいは鋭利なキチン質の骨片などをまき散らす。
しかもバイオヴォアは、スポア・マインを産生するのみならず、強力な筋肉痙攣の力を使って、背中に備わった砲状の器官から、スポアマインを砲弾として射出する能力も持つのだ。上空へと射出されたスポアマインは、甲殻内部の空気袋をガスで膨張させてから、空気中を漂うようにして地上へ落下してくる。
たとえ狙いが外れたとしても、ある意味ではここからが、スポアマインの真の恐ろしさといえよう・・。地上近くまで落下してきたスポアマインは、もはや意志なき砲弾ではなく、狡猾な悪意を秘めた生ける浮遊機雷となり、周囲に非ティラニッド生命体が接近してきた場合、接触するまでもなくこれを感知して、自動的に爆発するのである。
【増加する目撃例】
現在のところ、バイオヴォアがティラニッド群集団内で活動を目撃されることは、比較的稀だ。ただ、この観察結果をもって「集合意識体は遠距離からの射撃よりも白兵戦を好む」と推測するのは早計だろう。
集合意識体に美意識やこだわりといった概念はなく、ただ効率と実用性だけを追求しているからだ。その戦闘が、白兵戦用の戦闘個体群だけで十分勝利を収められるならば、わざわざバイオヴォアのような長距離支援個体を産生するまでもなく、ただそれだけのことである。
巣窟艦隊が銀河の辺境から中心部へと侵攻するにつれて、敵種族の抵抗は激化の一途をたどっている。敵はティラニッド群集団が接近してくる前に、長距離射撃でこれを撃滅する戦法を取ることが多くなってきたのだ。
このため、集合意識体は敵の長距離支援武器を破壊する必要があると学習し、バイオヴォアが産み出されたと考えられている。バイオヴォアは、巣窟艦隊が持つ強力な生体兵器のひとつであるのみならず、集合意識体が持つ恐るべき適応進化能力を証明する事例のひとつでもあるのだ。
画像出典:コデックス「ティラニッド5版」(codex:Tyranids)P48 イラストより
- 「トライゴン」
【概要】
トライゴンは、巨大な蛇を思わせる身体構造を持つティラニッド大型個体種だ。蛇が鎌首をもたげるように、トライゴンがその上背を起こせば、カーニフィックスすらも小さく見えるだろう。
トライゴンは重装甲の個体種で、頭の先から尻尾の先まで、ウロコじみた可動性の甲殻装甲によって覆われている。トライゴンが移動すると、これらの甲殻装甲がこすり合わされて生体静電気が発生するため、その胴体部や前腕部に沿って、かなりの強度の電流が流れている。
この生体電気を利用するため、トライゴンはエラ状の器官からスプレー状の荷電粒子を放出し、敵に致命的な高圧電流攻撃を加えるのだ。
【地中に潜む驚異】
トライゴンに備わった大きな爪は、白兵戦で危険な攻撃手段となるのみならず、どんな地盤も掘り抜く脅威の掘削機としても機能する。地下を掘り進むトライゴンは、地上に敵の存在を感知すると凄まじい勢いで上昇して姿を現し、敵兵も敵戦車も区別なく、巨大な「サイジング・タロン」でこれを瞬時に切り裂いてしまう。
トライゴンによるトンネル攻撃を察知するのは至難の業であり、ゆえに、この奇襲攻撃に対する有効な対抗手段も存在しない。巧妙にも、トライゴンは戦場の
震動や地殻変動に紛れて地中移動をおこなうため、これまでにも数々の惑星で、まったく防御態勢を整えられないまま、無数の兵士たちがトライゴンによる奇襲攻撃の餌食となってきた。ひとたびトライゴンが地上に姿を現した場合、ただちに重火器や対戦車武器による一斉射撃を加えなければ、この怪物を仕留めることはできない。
トライゴンの全身を覆う甲殻装甲は、対歩兵武器の弾丸など、いともたやすく弾き返してしまうからである。トライゴンによって掘削されたトンネル群は、広大な地下道網を形成している。
つまり、トライゴンの出現した穴を通って、いつしか他のティラニッド個体群も戦場へとあふれ出してくる危険性が高いのだ。このため、トライゴンによる奇襲は、しばしば地底からの大規模なティラニッド侵攻の前触れとなる。
画像出典:コデックス「ティラニッド6版」(codex:Tyranids)より
- 「マウロック」
【概要】
マウロックは、巨大なぜん虫じみた身体構造を持つ大型個体種だ。彼らはティラニッド群集団の尖兵であり、地下深くを潜行して敵防衛線をやり過ごし、無防備な補給部隊や支援部隊を食い物にする。
戦わずして敵防衛線を突破したマウロックは、粉砕された岩の破片や土などを間欠泉のように吹き上げながら勢い良く地上に姿を現して、敵の補給線を分断したり、野戦司令部や砲撃陣地を襲うのだ。こうして、ひととおりの混乱と破壊を引き起こすと、敵が前線から戦力を呼びもどそうとしているうちに、マウロックはふたたび地底へと姿を消してしまうのである。
マウロックによる奇襲の前兆となるのは、微細な地面震動のみであり、もとより活発な地殻変動が起こる惑星や、ティラニッド巣窟艦隊の接近によって地震活動が活発化してしまった惑星の守備隊にとって、この怪物の出現を予測するのはきわめて困難だ。
【マウロックの生態】
物理的に見れば、マウロックの身体構造は実に単純である。その身体は、ただ地底を掘り進むことに特化しているからだ。トライゴンに比べると、その爪はかなり小型で、攻撃範囲も狭いため、明らかに白兵戦を意識した構造ではないことがわかる。
マウロックの爪は戦闘用ではなく、地底の硬い岩盤を掘削し、その体を前方に這い進ませるためのものなのだ。だからといって、マウロックの戦闘能力が低いわけではない・・。
むしろ、トライゴンとはまた違った恐ろしさを持つといったほうがよいだろう。その巨大な口にはカミソリのように鋭い歯が無数に生えそろい、洞穴のような底なしの食道器官へとつながっている。
マウロックから奇襲を受けた敵の大部分は、この口によって生きたまま丸呑みにされてから、耐えがたい激痛を味わいつつ数日間かけてじわじわと消化されてゆくのだ。なお、呑みこめないほど大型の敵と遭遇した場合、マウロックはその筋肉質の尻尾を何度も何度も叩きつけて獲物を真っ平らに潰してから、改めてこれを摂食する。
その巨大な身体構造にもかかわらず、マウロックはきわめて俊敏な個体種だ。蛇のようにしなやかな動きで敵の射撃を左右にかわしながら、想像以上の速さで接近してくる。
さらに驚くべきことに、マウロックに視覚器官は備わっておらず、彼らはその体側面に走る鋭敏な重力感知器官の情報だけを使って、このような驚異的行動を取っているのだ。
【正確無比なる感覚器官】
マウロックの重力感知器官は精巧きわまりなく、地中か水中かに関わらず、あらゆる微細な重力情報を感知解析し、その脳内にリアルタイムで更新される三次元の周辺地形走査映像を描画していると考えられる。この能力によって、マウロックは地底深くを潜行中でも、地上の敵の動きを敏感に察知することが可能なのだ。
地上で発生したごくわずかな震動でも、マウロックにとっては実に有用な情報となり、狙いを定めた獲物に対して、正確無比な奇襲攻撃をくり出せる。目標がより定期的でリズミカルな震動情報を発しているほど、マウロックの重力感知器官による探知精度が高まるようだ。
つまり、恐怖に怯えた敵の心音こそが、マウロックにとって絶好の攻撃目標なのである。どんな敵も、その恐怖を隠すことなどできない。
そしてその恐怖がマウロックを引き寄せ、恐るべき破滅へとつながるのである。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P59 イラストより
- 「ティラノフィックス」
【概要】
大型個体種ティラノフィックス。この巨獣は、まさに破壊のためだけに存在するといっても過言ではあるまい。ティラノフィックスは、もっとも過酷な戦場に投入されるべく産み出された、恐るべき怪物だ。
硬いキチン質の装甲によって幾重にも覆われ、巨大な三対の脚に支えられたティラノフィックスの体は、鋼鉄などによって製造された一般的な戦闘兵器にも劣らぬほど、きわめて頑丈である。ティラノフィックスとは、いわば天然の装甲によって鎧われた難攻不落の生ける移動要塞であり、いかに強力な敵戦闘車両も、その大きさと攻撃力の両面で、この怪物にたやすく凌駕がされる。
キチン質の分厚い外骨格装甲の内部には、兵器共生体である「クラスター・スパイン」が寄生しており、無数の棘を撃ち出す対歩兵武器として作用する。さらに、ティラノフィックスの肉体内には、小型個体を繁殖させるための小室がいくつも存在する。
小室内には凶悪な兵器共生体ウェポン・シンバイオートの“弾”たちが無数に群がり、愚かにも接近しすぎた敵に飛びかかる時を、今や遅しと待ち構えている。ただし、これらの小型個体は、ティラノフィックスの主武装ではない。ティラノフィックスの主武装は、バイオタイタンより小型のティラニッドが備える兵器共生体の中では最大かつ最強の大砲であり、ティラノフィックスの腹部に深々と埋めこまれている。
その正確な種類は個体間で異なるが、そのどれもが、グロテスクな外観と恐るべき破壊力を備えた、ティラニッド兵器共生体の最高峰と呼ぶべき兵器であることに変わりはない。
【闘争本能を掻き立てるフェロモン】
並はずれた質量を誇る巨獣ティラノフィックスには、弱点もある。大勢の敵に取り囲まれて白兵戦に持ちこまれた場合、その主砲の力を最大限に発揮できず、それどころか強力な白兵戦武器を駆使する敵に圧倒されることもあるのだ。
だが、集合意識体がそのような明白な弱点を放置するはずはなく、ティラノフィックスには、自分が脅威にさらされたと認識した際に放出するための、「ストレスフェロモン分泌腺」が備わっている。このフェロモンには、他のティラニッド個体を誘引する働きがあるため、ティラノフィックスと白兵戦に入っている敵に対して、大量の戦闘個体をぶつけることができるのだ。
ティラノフィックスに戦闘を挑んだ愚かな敵は、ストレスフェロモンによって誘引された個体群に囲まれて集中力をそがれ、最終的にはティラノフィックスの巨体によって踏みしだかれることになるだろう。後は、ホーマゴーント個体群がくり出す、疾風のごときカギ爪の攻撃によって賽の目切りにされるか、ターマゴーント個体群のフレッシュボウラー一斉射撃によってズダズダに切り刻まれるのみ。
こうして脅威が排除されると、ティラノフィックスはその恐るべき主砲によって敵軍を壊滅させるという、本来の役目にもどるのだ。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P67 イラストより
- 「ハルスペックス」
【概要】
この巨大な個体種は、集合意識体によって摂食するだけに特化した目的を持っており、〈侵食〉プロセスの後期に投入される。この個体種によって巣窟艦隊の〈侵食〉プロセスをより効率的に進行させることができ、尽きることのない飢えを満たそうとあらゆるものを貪りつくす。
ハルスペックスの最も注目されるべき特徴は、見たものを身悶えさせるようなおぞましき触手や牙が並んだ大きな口であり、長い舌を使って敵を巻き付けて、その大きな口に放り込んで捕食を行う。ハルスペックスに最後、捕らわれた哀れな犠牲者が口の中に放り込まれ、三つのあごを用いて犠牲者をばらばらの肉塊へと変えた後に、それを素早く食すのである。
更にハルスペックスは4つのクラッシュ・クロウを持っており、頑丈な装甲や防壁を簡単に切り裂くことができる。背中には捕食した犠牲者を貪り食う際に発生する激しい熱を放熱するための煙突のような器官が設けられている。
【生態】
ハルスペックスの役割はティラニッドの〈侵食〉プロセスを効率的に進行させることであり、彼らはこの役割を病的にも思える熱意を持って遂行する。貪欲なる目的を達成するために解き放たれたハルスペックスの個体群は、数時間のうちに戦場のあらゆる肉片を喰らい尽くすことができるのである。
ハルスペックスがこれ以上食べられないほど満腹になるまで肉片を喰らい尽くすと、近くの有機体溶解プールを見つけて胃にたまった肉片を吐き出すだろう。その後、再び満腹になるまで肉片を喰らい続けるのだ。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P68 イラストより
- 「トキシクライン」
【概要】
威圧的な容姿を持つトキシクラインは、ティラニッドの群集団に同行して戦い、その触手を使って近づいてくる者を容赦なく攻撃する。しかし、トキシクラインが持つ最も恐れられている武器は、背側の煙突状の器官から噴出する胞子スモッグである。
放出された胞子スモッグには、数百万個の小さな胞子生物が浮遊しており、その胞子生物には捕食本能を持っている。ティラニッド以外の生物が胞子スモッグを吸引したら最後、犠牲者の呼吸器系に入り込んでそこに巣を作り、宿主の水分を吸って驚異的な成長を遂げた胞子生物は、宿主の臓器を破裂させて気道を詰まらせるて肺を鮮血で満たしてしまうのだ。
トキシクラインが放つ胞子スモッグは非常に有害であり、防護服や機動装甲服(パワーアーマー)を着こんでいても安全ではない。何百万もの胞子が呼吸器のチューブに染み込み、ガスマスクのフィルターを詰まらせて、宿主の水分を餌にして急速に胞子が成長する。
トキシクラインは通常、各種ターマゴーントなどのゴーント系の個体群(ブロッド)や他の戦士個体種が、惑星に配備された敵軍のリソースを浪費させた後に、巣窟艦隊によって投入される。ヴェノムスロープの個体群を伴って、トキシクラインは惑星の大気に胞子スモッグを放出を開始し、〈侵食〉プロセスを効率的に進めるために惑星の環境と生態系を変化させる。
特に巣窟艦隊ゴルゴンは、〈侵食〉の初期段階でトキシクラインを多用することで知られており、個体種が放出する高密度のスモッグを利用して、前進する群集団を隠蔽して敵の防御を消耗させる戦法を取る。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Toxicrene」 商品画像より(2021/03/30閲覧)
- 「エグゾクライン」
【概要】
エクゾクラインは生体大砲を持つ生ける火砲プラットフォームであり、巨大な「バイオプラズミック・キャノン」を有している。この生ける大型生体砲は、巨大なプラズマ弾を発射することができ、また複数の砲身から死の一斉射撃を放つことも可能だ。
エクゾクライン自体は、その肉体に組み込まれたバイオプラズミック・キャノンを輸送するための純粋な移動手段としての役割を持っている。戦場に大型の敵がまだ残存している場合、エクゾクラインはその精神的リソースの全てを敵の破壊を行うことに集中させることができるのだ。
ティラニッドの群集団の中でもエクゾクラインは強力な長距離射撃が行えるため、最も恐れられている個体の一つとして知られているのである。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P66 イラストより
フライヤー
- 「ガーゴイル」
【概要】
ガーゴイルは、ティラニッド群集団の総攻撃第一波によく見られる飛行個体種である。彼らの役割は、敵に恐怖と混乱を与えることに特化しており、群集団の主力が戦場に到着するまでの間、様々な方法で標的からの注意や攻撃を集め続けようとするのだ。
一般的なティラニッドの侵攻は、コウモリじみた翼を広げて空を舞う、数千個体単位のガーゴイルによって開始されることが多い。彼らはその圧倒的個体数で太陽を覆い隠しながら飛来すると、眼下の獲物に「フレッシュボウラー」の一斉射撃を加えて、死と混乱をまき散らすのである。
軽装甲のキチン質外皮や、細くしなやかな体など、身体的特徴としてガーゴイルはターマゴーントとの間に様々な類似点を持ち、ゆえにターマゴーントから分化した個体種と考えられている。彼らはターマゴーントと同様に本能的な狡猾さを備え、できるかぎり有利な場所から敵を攻撃しようとする習性を持つ。
この習性と翼による機動力の組み合わせは凶悪きわまりなく、ほとんどすべての敵部隊に対して、ガーゴイルは有利な距離を保ったまま戦闘を続けられる・・。なにしろ、敵種族のほとんどは、機械の力に頼らなければ戦場を飛行できないからだ。
ガーゴイル個体群は飛行能力をいかんなく発揮して、敵と距離を保ちながら、じわじわと戦力を削いでゆく・・。その悪辣な戦いぶりは、きわめて悪名高く、一度でもガーゴイルと戦ったことがある守備隊は空を見るだけで怯えるようになり、太陽を雲が覆隠しただけでも、ガーゴイル個体群の襲撃ではないかと浮き足立つのだ。
【ガーゴイルの本能】
ガーゴイルとの戦闘経験を持つ兵士たちは「この個体種はきわめて臆病な本能を持ち、それゆえ白兵戦を好まず、絶対に距離を取って安全な場所から戦おうとする」と考えている。確かに、ガーゴイルの持つ皮膜状の翼は、白兵戦で損傷を負いやすいため、彼らは遠距離からの射撃を好むようだ。
ただし、集合意識体の統制によって本能行動が抑制されると、ガーゴイルたちは追いつめられた野獣のごとき荒々しさで戦い、身の危険もかえりみず飛びかかってゆく。白兵戦に突入したガーゴイルたちは、獲物の皮膚を焼き焦がすほど強力な酸の唾を吐き出す能力を持つ。
しかも、ガーゴイルたちは敵の目玉を優先的に狙うという習性を持つため、この毒の唾によって敵の視覚を完全に破壊してから、鋭いツメや尾でその肉体をズタズタに切り裂き、なぶり殺しにする。白兵戦に入ったガーゴイルは、敵が死ぬか、自分が死ぬか、あるいは集合意識体による統制を失うまで、ひたすら攻撃をくり出し続けるだろう。
【逃げ場所は皆無】
高度に発達した機能的な身体構造ゆえ、ガーゴイルはその翼と体を驚くほど小さく折りたたんで、他種族の兵では通行不能と思われる隙間の中を移動できる。ガーゴイルの脅威にさらされている敵部隊は、見張り窓、通気口、焼却炉へ続くダストシュートなど、ありとあらゆる隙間を見張らねばならない。
十分な時間さえ与えられれば、ガーゴイルはどんな場所にも忍び込んでくるからだ。ひとたび防御施設内部に侵入し、敵と遭遇したガーゴイルは、持てる武器すべてを駆使してこれを全滅させてから、ふたたび翼を広げられるような安全な場所へと逃げ去ってゆく。
ガーゴイル個体群には、ティラニッド大型個体種ほどの物理的脅威はないものの、閉所に追いつめられたときの彼らは、信じがたいほどの凶暴さをあらわにするのだ。
画像出典:キャンペーンブック「Shield of Baal: Leviathan」より
- 「ハリダン」
【概要】
ハリダンは、伝説上の怪物であるドレイクやワイバーンといった飛竜や翼竜の一種を彷彿とさせる、特徴的なシルエットを持つティラニッド個体種だ。
ハリダンは、飛行能力を持つティラニッド個体種の中でももっとも大型で、皮膜状の巨大な翼を広げて、標的惑星の空を悠然と飛び回る。その巨体ゆえ、ハリダンの飛行速度は遅いが、だからといって、これを容易い攻撃目標と考えるのは早計であり、きわめて愚かな判断である。
ハリダンの巨大なカギ爪の一撃で、戦闘機は軽々と切断されてしまうだろう。しかも、ハリダンの耐久力は想像を絶するほど高い……彼らは着陸の必要がなく、いつまでも延々と飛行を続けられるのだ。
ハリダンはガーゴイル個体群の母個体でもあり、その腹部には、あふれんばかりのガーゴイルの幼体が蠢く。攻撃目標地点の上空に達すると、ハリダンの腹部からガーゴイルたちが一斉に飛び立ち、その小さな翼を広げ、鋭い爪をぎらつかせながら母親のもとを離れてゆく。
ガーゴイルの大群は黒雲となって押し寄せ、眼下の獲物を皆殺しにするだろう。
画像出典:ForgeWorld公式通販サイト「Tyranid Harridan」 商品画像より(2021/03/30閲覧)
- 「ハーピー」
【概要】
ハーピーは、ティラニッドによる侵攻の初期段階に現れる大型の飛行個体種である。ハーピーはガーゴイル個体群と協調して敵に混乱を与え、最終的な狩りに備えて獲物を囲いこむ役目を持つ。
このように、ハーピーとガーゴイルの役目はきわめて似通っているが、その身体構造はまったく異なる。ガーゴイルを「翼を持つターマゴーント」とするならば、ハーピーの外見的特徴は「翼を持つトライゴン」と呼ぶにふさわしい。
その体はヘビのように長くしなやかで、巨大な皮膜状の翼を左右に一枚ずつ持ち、甲殻装甲によって守られた大きな頭が備わっている。また、高度飛行による気候の急激な変化にも耐えられるよう、ハーピーの体は中空状の構造になっており、それゆえ同等サイズのティラニッド大型個体種に比べると、いささか耐久力に欠けているようだ。
しかし、ハーピーが見せる滑らかな飛行能力は、打たれ弱さを補ってあまりある強みである。上空から獲物を発見したハーピーは、信じがたいほど俊敏な身のこなしで急降下をしかける。
ハーピーの本能的な飛行能力は、どんなに訓練を積んだ他種族の戦闘機乗りでも敵わないほどの、速さと正確さを誇るのだ
【様々な兵器共生体】
他のティラニッド大型個体種と同様に、ハーピーもまた様々な兵器共生体を使いこなす。何組もの切れ味鋭いサイジング・タロンに加えて、ハーピーの下腹部には不気味に膨れ上がった嚢胞がいくつもぶら下がり、ここから大量のスポアマインを投下して地上の敵を爆撃する。
さらに、その前腕部には「ストラングルソーン・キャノン」や「ヘヴィ・ヴェノムキャノン」といった、強力な大型兵器共生体が備わっているのだ。なお、巣窟艦隊「ヨルムンガンド」の群集団には、その尖兵としてハーピーの亜種のごとき個体種の姿が確認されたと報告されているが、戦場から命からがら生還した兵の証言は、たいていの場合きわめて不確かなものであり、この亜種の詳細については未だ明らかになっていない。
【ハーピーの本能】
基本的に臆病な本能を持つハーピーが、地上の敵に向かって突撃をしかけることはめったにない。すさまじい勢いで滑空してきたかと思うと、スポアマインの猛爆撃だけを残して、ふたたび空へと逃げ去ってゆく。
ただし、ハーピーが白兵戦能力を持たないというわけではなく、敵が疲弊し勝利の確率が高まってから、満を持して襲いかかることが多いというだけだ。ハーピーがとりわけ好む獲物は、自分が反撃を受ける恐れの少ない軽装甲の敵、すなわち「スキマー」である。
スキマーの飛行能力でハーピーの追跡を逃れることはできず、そのうえ、たいていの軽装甲スキマーには、至近距離でハーピーに致命傷を与えられるほどの武器が搭載されていないからである。白兵戦に突入すべく急降下をくり出すとき、ハーピーは耳をつんざくような超音波の絶叫を放つ。この超音波は、それ自体が強力な武器となるだろう・・。
生身のオルクや人間の聴覚には、耐えがたいほどの騒音をもたらし、アエルダリやスペースマリーンといった超鋭敏な聴覚を持つ戦士たちには、その鋭敏さが逆に仇となり、しばしば致命的な苦痛をもたらすのだ。この超音波の絶叫と、それに続くハーピーの強襲をどうにか生き延びた敵も、激しいめまいや混乱のせいで、まともな反撃をくり出せなくなってしまう。
あとは、ハーピーの猛烈な射撃や、続けざまに襲いかかってくるガーゴイル個体群によってなぶり殺されるのを待つだけだ。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P47 イラストより
- 「ティラノサイト」
【概要】
ティラニッドの巣窟艦隊が惑星へ攻撃を開始すると、ティラノサイトは生体艦から地上への輸送手段として機能する。ティラノサイトは単なる胞子のように見えるが、実際にはそれ自体が生物であり、衛星軌道上の生体艦から投下されて惑星の表面へと降下する。
着陸時の衝撃で腹部が裂け、中に潜むティラニッドを排出する。中に乗せたティラニッドを送り出した後、ティラノサイトはガスを充填して空中に飛び立ち、側面に突き出ている「デススピッター」で敵に死をもたらす。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P54 イラストより
- 「ハイヴクロン」
【概要】
ハイヴクロンは、ティラニッドが標的として定めた惑星で制空権を確保するために投入される大型飛行個体だ。この個体種は空中戦に完璧に特化しており、いかなる敵航空兵器とも互角以上の空中戦が可能な、いわば生ける高速迎撃戦闘機である。
ここまでの高速戦闘を可能にしたのは、翼に装備されている「テンタクリッド」として知られる生体ミサイルによって実現できた。空中から敵対勢力が排除されると、ハイヴクロンは口から突き出した「ドロールキャノン」を使用して、地上の敵に酸性消化液を飛ばして軟化させる。
しかし、このような強力な武器が使用不可になっても、ハイヴクロンは恐るべき戦闘力を持っており、獲物の近くまで飛んでいくと、胴体下部に付いた刃状の突起でその体を引き裂くことができるのだ。ハイヴクロンは標的惑星に到達するまでは、敵艦隊から宇宙を航行する生体艦を護衛するために飛び立つ。
宇宙空間では敵艦に向かって飛行し、ハイヴクロンはその船体を引き裂いて乗員を冷たい真空へと晒す。
【外見の特徴】
ハイヴクロンはハーピーとは体を構成する基本要素は共通しているが、背中には有毒ガスの雲を放出するための円筒状の突起が飛び出ているという異なった特徴を持つ。更に、ハイヴクロンはその下腹に膨らんだ嚢を持っており、ドロールキャノンを発射するための酸性消化液をため込んでいる。
【狡猾な戦法】
ハイヴクロンはしばしばガーゴイルの群集団を率いて敵の航空機に対する攻撃対象を遮断し、最後の瞬間に降下して敵に決定打の一撃を与える。「セントメアサリアスの戦い」では、集合意識体がそのような戦術を用いて数多くの「ヴァルキリー輸送攻撃機」が撃破された。
「ブラッドウィング」として知られるようになったハイヴクロンは、交戦中に13人以上の殺害を確認している。そして、そのいずれもが翼端を戦闘機のコクピットに対して正確に突き刺し、パイロットを操縦席へと串刺しにしているという。
この独自の戦術によって、帝国航空隊のいくつかの訓練施設ではハイヴクロンの生物学的驚異に対抗するため、ティラニッドとの戦闘を経験したベテランパイロットに指導を求めている。しかし残念ながら、ハイヴクロンとの戦闘で生き残った者はほとんどいない。
画像出典:コデックス「ティラニッド6版」(codex:Tyranids)より
スポア
- 「マイセティック・スポア」
【概要】
しばしば、ティラニッドによる惑星強襲の第一段階は、数千個単位のマイセティック・スポア群投下による、壮絶な波状攻撃によって幕を開ける。マイセティック・スポアとは、甲殻に包まれたティラニッド生体構造物の一種であり、標的惑星の衛星軌道上に接近してきた生体艦から次々と射出される。
いわば“肉の降下ポッド”であるマイセティック・スポアは、衛星軌道上からの強襲降下によって生じる様々な重力ストレスおよび着陸時の衝撃などから、内部の凶暴な“積み荷”たちを守るために必要な、数々の驚異的構造を有しているのだ。
【降り立ちし恐怖】
民間人の目から、マイセティック・スポアの落下は流星群のように見えるかもしれない。だが、歴戦の古参兵の目からすれば、マイセティック・スポア群が大気圏突入時に描く炎の軌跡は、すぐにそれと判別できるほど特徴的でおぞましいものだ。
ひとたび大気圏を突破すると、マイセティック・スポアはその外部構造を変化させて空気抵抗を増し、着陸時の衝撃を緩める。マイセティック・スポアは他個体群のためだけに産生される、完全な使い捨ての生体構造物だ。
ゆえに、惑星地表に着陸後まもなく、マイセティック・スポア本体は生命活動を停止する。各マイセティック・スポア内部には、強襲攻撃に適した一個体群が詰めこまれており、その大半はホーマゴーントやジーンスティーラーだ。
着陸と同時に、これらの個体群は貪むさぼり食うべき生物資源を探し求めて、マイセティック・スポアの内側から勢いよくあふれ出すのだ。
【奇妙なる生態】
ティラニッド巣窟艦隊を銀河中心部へ向けて接近させる中で、集合意識体はより効果的なマイセティック・スポアの運用方法を学習していった。ごく最近報告された、ある新種のマイセティック・スポアは、特殊感覚器官を備えた肉質の外側が、切り離し可能なキチン質の甲殻装甲によって覆われていたという。
大気圏突入後にこの甲殻装甲は剥離し、特殊感覚器官があらわになる・・。そして、この特殊感覚器官はリクターが分泌する誘引フェロモンを感知して着陸位置を調整し、より的確な位置へとティラニッド個体群を送り届けることが可能となっているようだ。
また、別の新種マイセティック・スポアの場合は、着陸と同時に外側の甲殻が壊死し、側面の肉壁も剥け落ちて、内側から奇怪な兵器共生体が姿を現す。この兵器共生体は、宿主であるマイセティック・スポアの死骸から養分をすすりとって、生体弾を撃ち出すための燃料とするのだ。
【生けし降下ポッド】
このように、多彩な用途に応用できるマイセティック・スポアは、惑星強襲時に重要な役割を果たす。急速にマイセティック・スポアを進化させてきた結果、集合意識体は戦場の重要地点へと、きわめて迅速に増援戦力を送り込めるようになった。
また、貴重な個体群を最終局面まで温存するためにも、マイセティック・スポアによる強襲降下はきわめて有用である。ほとんどの防御施設は、マイセティック・スポア群による波状攻撃を受ければ、ひとたまりもなく壊滅するだろう。
その大部分は、マイセティック・スポア落下の衝撃だけで深刻な被害を受ける。さらに、マイセティック・スポアの肉壁の内側から大型個体カーニフィックスが出現して、猛烈な突進をくり出せば、どんなに重武装の要塞施設もただではすまない。
画像出典:コデックス「ティラニッド5版」(codex:Tyranids)P54 イラストより
- 「スポア・マイン」
【概要】
「フローター」とも呼ばれているティラニッドの胞子地雷。スポア・マインはまさに文字通りの“生きた地雷”であり、ティラニッド以外の生物が接近するとその体が爆発し、周辺の敵に甚大なるダメージを与える。
スポア・マインはバイオヴォアから産生され、発射される。スポア・マインはバイオヴォアの体内で成長し、強力な筋肉の痙攣によって背部の開口部から発射される。
戦場に向かって発射されると、体内に内蔵されているガス袋が膨張し、地表から浮遊して漂う。敵に接触するとともに破裂し、強酸、毒液、あるいは鋭利なキチン質の骨片などをまき散らして敵に多大な損害を与えるのだ。
スポア・マインは産生された後、数日から数週間、物によっては数年も敵に接触するまでその場を漂っている。また、場合によっては衛星軌道上からスポア・マインが散布されることも珍しくはない。
【生態】
スポア・マインは初歩的な知能を持ち、体内には、強酸、毒液、あるいは鋭利なキチン質の骨片などで満たされており、熱や振動を感知する感化器官で覆われている。また、近くの火気を感知することもでき、敵の発砲で爆発することもあるという。
画像出典:キャンペーンブック「Shield of Baal: Leviathan」より
バイオタイタン
- 「ドミナトリックス」
【概要】
ドミナトリックスとは、ティラニッド群集団でしばしば目撃される、山のように巨大な怪物でありシナプス・クリーチャーの一種でもある。その第一の恐ろしさは、帝国防衛軍の巨重級戦車(スーパーヘヴィ・タンク)すらも圧倒する空前絶後の巨体と、おぞましき兵器共生体の数々にある。
しかも、ドミナトリックスの知性は決して低くない。その知性レベルはハイヴタイラントと同等であり、集合意識体との強力な結びつきを有している。
ドミナトリックスが放つ強力なサイキック的オーラの領域内に入ると、あらゆる下位個体群はドミナトリックスの手足であるかのように制御されてしまうのだ。このため、ドミナトリックスに率いられた群集団は、想像を絶するほど正確無比で連携の取れた戦術的行動が可能である。
だが、人類にとっては幸運なことに、ドミナトリックスは極めてまれな個体種であり、全ての群集団に存在するわけではない。ドミナトリックスが現れた戦場には、破壊と破滅だけがもたらされるであろう・・。
- 「ハイエロファント」
【概要】
ハイエロファントはティラニッドの中でも巨大で醜悪な怪物であり、体にはトゲやツタ、兵器共生体に覆われているバイオタイタンだ。ティラニッドの巣窟艦隊の群集団の中でも最大級の生物であり、その大きさと戦闘能力は〈帝国〉の「巨神機」(タイタン)に匹敵する。
ハイエロファントの群集団は、ティラニッドの大規模な軍勢の最前線で展開されることが多い。巨大な「バイオキャノン」や複数の爪とキチン質の刃で武装しており、厚い甲殻装甲に囲まれている。
【武装】
分厚いキチン質の甲殻装甲の裂け目からは、毒の胞子が射出される。さらに、この巨大なバイオタイタンは腹部が脆弱であり、その弱点を覆うようにしてトゲの付いたツタで保護されている。
ハイエロファントに近づいた愚かな敵は腹部のツタに絡めとられ、信じられないほどの力で突き刺されたり、首を絞めつけられて無惨な最期を遂げるだろう。そして、ハイエロファントは最終手段として、毒袋からティラニッド以外の生物に致命的なダメージを与えるガスが放出されるのだ。
【生態】
ハイエロファントも他のティラニッド個体種と同様にその生態を急速に変異させ、新たな兵器共生体を生み出したり、より強力な甲殻装甲を生成することができるようだ。確認されている亜種は、巨大な破砕爪や長い鎌状の刃を持ち、中には「クラスター・スパイン」などの兵器共生体を装備している個体などが確認されている。
画像出典:ルールブック「ウォーハンマー40000 アポカリプス2013年版」(Warhammer 40,000: Apocalypse(2013))P280 イラストより
その他個体種
- 「スウォームロード」
【概要】
集合意識体によって生み出された無数の創造物の中に、ティラニッドという種族そのものと同じくらい古い、恐るべき個体が存在する。この個体は、ハイヴタイラント種の頂点に君臨し、集合意識体にとっての究極のサイキック的導管の役割を果たしているのだ。
この個体を通して、集合意識体はその超然たる意志を実行し続けている。この個体こそは、まさにハイヴタイラントの中のハイヴタイラントといえよう。
それは、これまでに無数の文明を餌食にし、根絶やしにしてきた、最悪の悪夢のごとき怪物である。それは“ 星々を滅ぼすもの”(デストロイヤー・オヴ・ワールド)、“集合意識体の大首領”、“〈大いなる貪るもの〉(グレイトデヴァウアー)の先駆け”、“カーラ帝国を滅ぼせしもの”など、数え切れないほどの伝説的異名を持つ。
〈帝国〉からは“スウォームロード”(群集団の首領)と呼称されるこの最古の捕食者は、人類が直面した最新にして最凶の敵であり、全銀河系最大の脅威に他ならない。
【意識の転生】
第一次ティラン戦役以来、スウォームロードは人類の銀河に、数々の虐殺の記録を刻み続けている。それは、“メギア星系の全生命根絶”、
“ブライナー種族の滅亡”、“ゴルグラックの〈いくさだァァァア!〉(グァァァグ!)の〈侵食〉”など、様々な事件に関与したと推測される。そして驚くべきことに、これらの事件はどれも数百年隔てて発生しているのみならず、そのどれもが、異なる巣窟艦隊によって引き起こされているのだ。
これは、スウォームロードと集合意識体との間に極めて強いサイキック的結びつきが存在し、それは巣窟艦隊という物理的な隔へだたりをも超越することを証明している。もし、スウォームロードが戦場で倒れたとしても、集合意識体はスウォームロードの意識を再吸収し、その戦闘で得られた膨大な情報、知識、経験などをもとに、より優れた能力を持つ、新たな1体のスウォームロードを産生するのだ。
たとえ、前のスウォームロードの死から何百年が経過していたとしても、その情報は集合意識体に蓄えられているため、どれだけの時を隔てているかは問題にならない。ゆえに、スウォームロードには実質的な“死”というものが存在せず、再生されるたびに、より強大な個体となって敵の前に現れるのである。
生物学的に述べるならば、スウォームロードの“転生”現象は、狙った獲物を現状の戦闘能力で倒すことができなかった場合に、それを要因として巣窟艦隊が引き起こす、一種のストレス反応といえよう。事実、敵を上回る思考力や新戦術が求められた場合など、つねに何らかの明確な目的が存在する時にのみ、スウォームロードは生み出されてきたからだ。
【ティラニッドの猛将】
こうした目的を達成するために、スウォームロードには、他のティラニッド個体種とはまったく異なる能力が与えられいる。スウォームロードは自律的な判断能力と知性を有し、幾世紀もの流血の中で蓄積された戦術的知識と戦略的柔軟性を駆使して戦えるのだ。
かの〈マクラーグの攻防〉においても、伝説的戦士であり優れた戦術家としても知られる「ウルトラマリーン戦団」に対して、スウォームロードは恐るべき外銀河の狡知で挑み、戦術的にも戦略的にも何度となくウルトラマリーンたちを出し抜いて見せたのである。
画像出典:コデックス「ティラニッド8版」(codex:Tyranids)P63 イラストより
- 「オールド・ワン・アイ」
【概要】
オールド・ワン・アイ、すなわち“隻眼の古獣”の名で呼称されるこのカーニフィックス個体は、まさに“生ける破壊兵器”とたとえるにふさわしい怪物である。かつて、巣窟艦隊ベヒモスが洞窟惑星(カヴァーンワールド)「カルス」へと侵攻した時、隻眼の古獣ことオールド・ワン・アイは先陣をきって猛烈な突撃をくり出した。
カルス惑星防衛軍の築いた防衛線めがけて突進し、防衛軍隊員やレマン・ラス重戦車を、まるで虫ケラか何かのように軽々と叩きつぶしたのだ。カルス惑星防衛軍が有する最強クラスの兵器でさえ、この巨獣の進撃を一時的に食い止めるのがやっとだった。オールド・ワン・アイの全身には、この巨獣に立ち向かった兵士たちによってつけられた、無数の傷痕が残されている。
こうした傷痕の中でもとりわけ目立つのは、分厚い頭蓋骨に走る、大きなプラズマの火傷痕であろう。もはやその名を忘れ去られて久しいが、惑星カルスで戦った〈帝国〉の英雄の一人が、「プラズマピストル」でこの巨獣の眼から脳を撃ち抜いたのだ。
これは、オールド・ワン・アイの突進を止めた、史上初の劇的な武勲であった。
【甦る古獣】
本来ならば、オールド・ワン・アイの伝説は、この時点で終わるべきだったのだろう。だが、それから数十年後、凍結した隻眼の古獣オールド・ワン・アイの死体を回収すべく密輸団がやってきたことで、事態は大きく変わってしまった。
報奨を期待した密輸団が、凍土に放置されたオールド・ワン・アイの死体を発見し、切断し始めたのだ。ここで、驚くべき事態が起こった。
オールド・ワン・アイの致命傷となっていた傷が、急激に再生を開始したのだ。集合意識体の導きを失っていたオールド・ワン・アイは、殺戮の本能だけに支配されて、再び目覚めた。
激しい飢えが、オールド・ワン・アイを突き動かす。残った片方の目が、獲物を求めて動く。
まさか死体に睨まれると思っていなかった密輸団は、驚きの声を漏らした・・。「こいつ、まだ生きているぞ」と。
むろん、その直後、密輸団は復活をとげた巨獣によって虐殺されている。氷の牢獄から解放されたオールド・ワン・アイは、さらなる獲物を求め、ブリザードが吹き荒れるカルスの大地に吠えた。
巣窟艦隊ベヒモスはすでに壊滅していたが、ウルトラマール星系に残ったベヒモス残党の大部分と同様に、惑星カルスでも各地の洞窟深くにターマゴーントらが多数潜伏し、またジーンスティーラーによる汚染も密かに進行していた。そして、このような個体群は、強大な統率力を持つ「アルファ個体」である、オールド・ワン・アイのもとに続々と引き寄せられていったのだ。
やがて、惑星カルス全域で護送車両部隊が攻撃され、居住ドームが粉砕され、臣民らは次々と虐殺されていった。
【古獣を討て】
ここで、助けを求める惑星カルスの叫びに、一人の男が応えた。第一次ティラン戦役を生き抜いた古参兵である、ウルトラマリーン戦団の斥候軍曹(スカウトサージェント)「テリオン」その人である。
斥候軍曹である彼にとって、獲物の追跡はさほど難しくなかったが、ボルトガンの弾もナイフの刃もオールド・ワン・アイの分厚い装甲を貫くことはできず、テリオンらは苦戦を強いられた。テリオンに率いられたスカウトたちが、オールド・ワン・アイの巨大な爪の下で、果肉のごとく踏みつぶされてゆく。
だが、斥候軍曹は冷静さを失うことなく、千載一遇のチャンスをつかみ、オールド・ワン・アイの古傷である空ろな眼窩に、必殺の一弾を命中させたのだ。強大なるカーニフィックスは苦痛の叫びを上げ、大暴れしたあげく、深い峡谷へと真っ逆さまに落下していったという。
テリオンらはこの巨獣の死骸を捜索したが、発見されずじまいに終わっている。これ以降、オールド・ワン・アイが再び復活して猛威を振るっているという報告や、勇敢な英雄の行動によって再び倒されたという錯綜した情報が、しばしば〈帝国〉内で流れるようになった。
もし、こうした報告のすべてが事実であるならば、オールド・ワン・アイはこれまでに何十回も殺され、そのたびに多大な犠牲を〈帝国〉に強いてきたことになる。
【再復活の噂】
オールド・ワン・アイの運命を知る者は誰一人としていない。もし、この怪物が本当に死んでいると信ずるならば、再復活の噂は子供だましの作り話に過ぎない。
しかしながら、オールド・ワン・アイの特徴に合致した怪物出現の噂はウルトラマール星系のみならず、さらに遠方の星々にまで広がっている。もし、これらの報告にある個体が同一のものだと仮定するならば・・。
惑星カルスをいかにして脱出したかは謎だが、オールド・ワン・アイがなお生きているという事実はゆるがない。そして、オールド・ワン・アイが出現した場所には、必ずや猛烈な虐殺と殺戮が巻き起こるであろう。
画像出典:コデックス「ティラニッド5版」(codex:Tyranids)P57 イラストより
- 「マラン=タイの滅び」
【概要】
アエルダリたちが語り継つぐ〈マラン=タイの滅び〉の伝説は、〈方舟〉(クラフトワールド)「マラン=タイ滅亡」の事件のみならず、それを引き起こした、忌まわしきティラニッド個体をも指している。〈方舟〉のアエルダリにとって、この二つは分かちがたい関係を持つからだ。
そのきわめて特異なティラニッド個体を、アエルダリたちは哀歌の中でこう語っている・・。「かの獣は、血や肉を喰らうのではなく、犠牲者からまさしく生命力そのものを貪り喰らう」と。
また、先見司(ファーシーア)らはこう語る・・。「それぞまさに〈魂を貪るもの〉(ソウル・デヴァウアー)。かの獣が啜り取るは、サイキックエネルギーの一閃一閃。生命の火花ひとつひとつを啜り取る。〈魂を貪るもの〉の後には、死のみならず、魂魄なき忘却がもたらされん」と。
いわずもがな、アエルダリらにとって、魂魄を貪り喰われることは、死よりもなお悪しき運命である。
【方舟「マラン=タイ」の崩壊】
巣窟艦隊「ナーガ」が撃破された直後、生き残った一隻のティラニッド生体艦が、損傷によりその生命活動を停止する直前に、数個のマイセティック・スポアを〈方舟〉マラン=タイへと放っていた。
アエルダリは、これらの個体群を殺しておかねば、自分たちの〈方舟〉が大きな脅威にさらされることを理解していたが、その個体群が持つ真の脅威を知った時、すべてはもはや手遅れだったのだ。それは「幽骨」(レイスボーン)の広間に猛毒をまき散らすヴェノムスロープではなく、「クリスタルの天蓋」を破壊するカーニフィックスでもなかった。
それは、密かに〈方舟〉の中心部に吸いつき、養分を吸い取ろうとする貪欲な“蛭”(ヒル)であった。〈マラン=タイの滅び〉は、きわめて特異な進化をとげたゾアンスロープの亜種である。
巨大な頭蓋骨と貧弱な胴体は、背中から伸びた大型の背骨のような構造体によってつながれ、支えられている。この構造体は頭蓋骨の上まで広がっており、さながら、頭を覆う頭巾のようだ。
また、何本かの肋骨じみた爪が体側から突き出ており、その先端部には強力なサイキックエネルギーがみなぎっている。これらの奇妙な構造体を使って、〈マラン=タイの滅び〉は大量のサイキックエネルギーを収束させ、周囲の生物から生命力を吸収することができるのだ。
特に、種族として生まれながらにして高いサイキック能力を持つアエルダリなどは、〈マラン=タイの滅び〉が取るこの“捕食行動”によってきわめて影響を受けやすい。この攻撃を受けたアエルダリは、自分の魂魂が肉体から引き剥がされる感覚を味わうという。
〈マラン=タイの滅び〉は、こうして生命力を“捕食”するたびに強大になってゆく。吸収した生命力は、サイキックパワーのエネルギー源となり、〈マラン=タイの滅び〉が発動する異能の力を増幅してゆくのだ。
〈方舟〉マラン=タイの「無限回廊」(インフィニティ・サーキット)内に納められた魂魄を喰らいつくし、ほぼ不死身の存在となった〈マラン=タイの滅び〉は、アエルダリの戦士たちをすりつぶし、幽骨によって作られた「霊機」(レイス・コンストラクト)を次々と叩きふせ、そびえ立つ優美なる尖塔の数々を打ち砕いた。
だが、これらの破壊は、〈マラン=タイの滅び〉が持つサイキックパワーのほんの一部に過ぎないのだ。
〈方舟〉マラン=タイから散り散りになって脱出したわずかなアエルダリの生存者は、〈方舟〉が冷たい宇宙空間の虚空を漂う、命なき抜け殻となるのを見た。この破壊をもたらした忌まわしき怪物は、その後いずこかへと姿を消している・・。
画像出典:コデックス「ティラニッド5版」(codex:Tyranids)P58 イラストより
- 「デスリーパー」
【概要】
およそ人間が持つ“恐れ”の中で、未知のもの、見えざるものに対する恐れこそが、もっとも強いものであろう。信仰篤き伝道惑星(ミッショナリーワールド)「聖キャスパレン」の臣民らも、あるティラニッド個体の出現によって、そのような恐怖を味わうことになったのだ。
それは、たった1個体のリクター種であった。それはあまりに無慈悲で能率的な暗殺者だったため、聖キャスパレンの臣民らを罰するために特別に遣わされた悪魔(ディーモン)ではないか、とすら信じられていたほどだ。
その存在を察知されぬよう、この恐るべき捕食者が最初に取った行動は、自分の存在に気づく可能性が高い敵の背後へと忍び寄り、爪で刺し殺してゆくことだった。伝道惑星全域で、警備兵や衛兵の不自然な行方不明事件が相次いだ。
その何日か後に、うつ伏せで地面に倒れた死体が発見されるのだが、それらの頭部には穴が空けられ、脳が引きずり出されていた。間もなく、聖キャスパレン惑星防衛軍の兵士たちは疑心暗鬼に陥ってしまう。
彼らは影が差すたびに飛び上がって驚き、どんな小さな音にも恐れをなし、巡回中も不安に駆られながら落ち着かない様子で前進するようになった。
【その名は“死神”(デスリーパー)】
彼らの不安感は、彼らを狩る“見えざる獣”の存在と、次は自分が血まみれの死体に変わるのではないかという恐怖によって、日に日に増していった。やがて、恐怖に駆られた聖キャスパレンの兵士たちは、自分たちの恐怖を少しでも和らげるため、無意味と知りつつもこの獣に名前を与え、押し殺した声でささやくようになった・・。
「死神」(デスリーパー)と。
各地で謎の殺戮報告があがるたびに、デスリーパーの噂も、迷信深い臣民たちの間で野火のように広がった。死神は巣窟艦隊「リヴァイアサン」が生み出した究極の暗殺者であることは明らかだったが、暗殺の標的が誰なのかは、依然として不明のままだった。
これが臣民たちの不安を増加させ、自分たちの語る噂で自分たちを追い詰めていったのである。
【真の目的】
実のところ、デスリーパーは自我なき暗殺者などではなく、通常のリクター種に課せられる作戦行動以上の使命を帯びていた。デスリーパーの武器は“恐怖”そのものであり、敵の士気をくじき、群集団に対抗する闘志を奪うために生み出された個体だったのだ。
デスリーパーは、この惑星の精神的指導者である枢機卿(カーディナル)「サーレム」を暗殺すれば、聖キャスパレンの人々は怒りによって戦意を高揚させ、逆に巣窟艦隊への対抗心を助長する結果になると、本能的に判断していた。
そこで、デスリーパーは枢機卿の「掩蔽大聖堂」(カテドラル・バンカー)に侵入し、彼の側近や護衛だけを、原形を留めぬほど跡形もなく惨殺したのだ。枢機卿本人は何ら危害を受けず、ただ彼直属の補佐官の血と内臓にまみれたまま、掩蔽大聖堂内に放置されていた。
【キャスパレン陥落】
あたかも、巨大な肉食獣がネズミをもてあそぶように、デスリーパーはこのような惨劇を十日間も続けた。警備は厳重さを増したが、デスリーパーはそれをあざ笑うように何度となく進入に成功し、かつ枢機卿本人は不思議と生き残るように殺戮を続けた。
これは、いつでも好きなように殺せることを枢機卿本人に認識させ、彼の精神を崩壊させるためだった。間もなく、枢機卿は発狂し、その狂気は惑星防衛軍の士気を奪った。
聖キャスパレンはいまや、恐怖と混乱によって完全に支配されていた。満を持して、巣窟艦隊リヴァイアサンは侵略を開始し、群集団は指導者を失った獲物をやすやすと制圧したのである。
伝道惑星聖キャスパレンは、デスリーパーたった1個体によって滅ぼされたも同然であった。
画像出典:コデックス「ティラニッド5版」(codex:Tyranids)P59 イラストより
- 「モルトレックス寄生体」
【概要】
ティラニッドの中でも異様な進化を遂げ、生きた人間に小型のリッパ―を寄生させるおぞましき個体種である。〈帝国〉の数ある要塞惑星(フォートレスワールド)の中でも、〈極限の宙域〉(ウルティマ・セグメントゥム)に浮かぶ「モルトレックス」は、もっとも重武装化された惑星のひとつだ。
その山岳地帯には、途切れることなく要塞施設が建造され、しばしば「プロテウス級掩蔽壕」が風景にわずかな変化と彩りをもたらしている。まる五昼夜の間、この強大なる防衛線は、巣窟艦隊「クラーケン」の群集団を撃退し続けた。
しかし、ティラニッドによる侵略が十日目となる頃、モルトレックス防衛の任にあたっていた帝国防衛軍(インペリアルガード)は、これまでに見たこともない新種のティラニッドと遭遇を果たしたのだ。その個体は、ティラニッド・ウォリアーと同等の体長を持ち、かつ、コウモリじみた翼を生やしていたという。
【おぞましき寄生体】
帝国防衛軍のもとへ飛来すると、電光石火の早業で、尾部に備えた鋭い棘針を「兵卒」(ガード)たちに突き刺した。この棘針は中空構造になっており、蛇の牙に似ている。
だが、この新個体は毒液などではなく、人間の指程度の「リッパー寄生虫」を、何十匹単位で体内注入してくるのだった。このリッパー寄生虫は、犠牲者の体内で長ければ数時間にわたって休眠する。
そして時が来ると、心臓がわずか2回鼓動するほどの時間で一気に成長し、宿主の内部を勢いよく食い荒らすのだ。惨たらしい死の絶叫が響き渡る中で、リッパーたちは宿主の骨を砕き、皮膚を裂きながら、血飛沫とともに体外へ飛び出すのだった。
生き残った兵卒たちは、散り散りになって逃げた。そして、要塞施設まで逃げこめたわずかな兵卒たちは「生きた人間の体内にティラニッド寄生虫を注入する」という、この恐るべき新個体の脅威を報告したのだ。
この個体はモルトレックス寄生体と名付けられ、モルトレックス寄生体と遭遇した者は、人類が想像し得るもっとも恐ろしい死に直面することが知れ渡った。
【増え続ける恐怖】
その後も、モルトレックスの帝国防衛軍はこの新個体による攻撃を何度となく受け、犠牲者が出るたびにリッパーの数も増加していった。ほどなくして、危険な要塞外壁の外へと撃って出られるのは機甲部隊のみとなっていったが、増加する一方のリッパー・スウォームと、その親であるモルトレックス寄生体の連携攻撃に対しては、機甲部隊の鋼鉄の装甲さえもまったく役に立たなかった。
まず、モルトレックス寄生体がダイヤモンド並の硬い牙で装甲車両に穴をあけ、無数のリッパーがその穴からなだれこんでくるのだ。兵卒たちは鋼鉄の棺桶の中で、なすすべもなく虐殺されていった・・。
彼らは無数のリッパーに押しつぶされてから、数万本の小さな歯によって、肉体をシュレッダーにかけられたかのように引き裂かれたのである。それから二週間後、モルトレックスの地表部は完全に、巨大な群れをなすリッパー・スウォームの波に呑まれていた。
残されたのは、モルトレックス寄生体についての警告を伝えた、たったひとつの通信記録のみ。そのメッセージが受信され残されたことは、まさに奇跡である。
【恐怖は依然として残る】
以降、モルトレックス寄生体との新たな遭遇報告は、現在に至るまで一件も存在しない。だが、その恐怖は今なお〈帝国〉内に残っている。
モルトレックス寄生体の存在を知る帝国防衛軍たちは、ティラニッドと戦う時には必ず、片方の目を空に向けているだろう。あの恐るべき個体が再び舞いもどってくるのでは、という恐怖に怯おびえながら・・。
画像出典:コデックス「ティラニッド5版」(codex:Tyranids)P60 イラストより
- 「イムガール・ジーンスティーラー」
【概要】
イムガール・ジーンスティーラーは、人類の〈帝国〉が史上初めて遭遇したティラニッド個体種だ。以来、〈帝国〉は何度となく彼らを撲滅しようと試みてきたが、これらの試みはことごとく、血まみれの虐殺と散々な失敗に終わっている。
ジーンスティーラーは、世代によってその形態を大きく変化させることで悪名高い。変化や適応の種類は、個体群間でまったく異なる。
一方で、イムガール・ジーンスティーラーは、一瞬のうちにその異形の肉体を変形させるという特徴を持つ。鋭い爪を備えた指がみるみる伸び始め、ひとつに融合して、湾曲した刃や棘だらけの鉤爪に変わったかと思えば、次の瞬間には、ロープ状の筋肉組織に分離して触手をなし、逃げようとする獲物を打ち、からめ捕るのだ。
また、個体群が敵から激しい攻撃を受ければ、キチン質の甲殻が一瞬にして厚みを増して伸長し、外皮も衝撃を吸収すべく変化する。さらに、一部の報告によれば、夜の闇にまぎれて視認されることなく行動するために、甲殻や外皮の色合いを微妙に変化させることすらあるという。
【能力の代償】
イムガール・ジーンスティーラーが持つ、この過剰なまでの適応能力には、それなりの代償がともなう。彼らは、より頻繁に捕食行動を取らなくてはいけないのだ。
イムガール・ジーンスティーラーの口元には、牙の代わりに、おぞましく震える何本もの触手が備わり、彼らはこれを獲物の体に突き刺し、血をすする。血液こそが、彼らにとっての唯一の栄養源なのだ。血の渇望を満たせなかった場合、彼らは飢餓状態に入り、休眠を開始してしまう。
そして、哀れな犠牲者の接近によって休眠が妨げられる時まで、彼らはまどろみ続けるのである。
【イムガール・ジーンスティーラーの起源】
イムガール・ジーンスティーラーの起源は、謎に包まれている。いかなる既知の巣窟艦隊も、彼らを生み出したとは考えられないからだ。イムガール・ジーンスティーラーは、どの記録にも残っていないほど遠い過去に襲来し、忘れさられた巣窟艦隊の、最後の生き残りなのだろうか?さらに奇妙なことに、通常のジーンスティーラー個体群の生存本能は、親である巣窟艦隊から遠ざかるように行動するという性質を持つが、イムガール・ジーンスティーラーは、まるで集合意識体の意志によって再び導かれようとするかのように、すすんで巣窟艦隊に接近しようとするという事実もある。
彼らは銀河全域に活動範囲を広げ、新たな巣窟艦隊の侵攻ルート上にある惑星を探しているようにも見えるのだ。彼らの目的は、再び集合意識体の統制下に入り、群集団とともに狩りに赴くことなのだろうか?
【見捨てられしもの】
だが、集合意識体の側に、イムガール・ジーンスティーラーの生物学的特徴を再吸収する気はないようだ。おそらくは、彼らを吸収すると、巣窟艦隊の間にその過剰なまでの適応能力と不安定性が広まってしまう危険性があるからだろう。
このため、標的惑星の生物資源が〈侵食〉された後、そこに存在するイムガール・ジーンスティーラーたちは拒絶され、見捨てられ、強制的に休眠状態に入らされるのだ。
【目覚めし脅威】
銀河にとっては不運なことに、人類の欲望が、「死滅惑星」(デッドワールド)で眠るイムガール・ジーンスティーラーたちを目覚めさせている。死滅惑星を訪れる宇宙船の、なんと多いことか。
ある者はティラニッドの攻撃を受けた惑星を調査して恐るべき異種族の情報を収集したいと考え、またある者は生存者を探そうとし、そしてまたある者は失われた兵器や置き去りにされた財宝を回収しようとする。このような愚か者たちが、それと知らぬまま危険な積み荷を乗せて死滅惑星を飛び立ち、銀河全域にイムガール・ジーンスティーラーたちを送り届けているのだ。
画像出典:コデックス「ティラニッド5版」(codex:Tyranids)P61 イラストより
- 「ノルン・クイーン」
【概要】
ティラニッド巣窟艦隊をなす生体艦の中には、天井の高さが数百メートルにも達する、巨大な房室(チャンバー)を備える艦も存在する。そして、各房室の内部には、この房室と同等の大きさを誇る、脈打つ肉塊のごとき巨大怪物が潜んでいるのだ。
これが、〈大いなる貪るもの〉ことティラニッドの祖と推測される、「ノルン・クイーン」である。ノルン・クイーンは一種の生体兵器工場であり、ティラニッドの各個体種を産生する役目を負っているのだ。
彼女らは膨大な量の生物資源を吸収し、それを原料として、巣窟艦隊が現在の環境や戦況に適応するために必要な個体種を産み出す能力を持つ。ティラニッドの群集団をなす無数の個体群は、その一個体一個体すべてがいかなる個体種であっても、また新たに誕生したばかりの新個体種であってもその祖先をたどれば、必ずいずれかのノルン・クイーンへと行き当たるのだ。
兵器共生体(ウェポン・シンバイオート)と形質変異(バイオモーフ)
【概要】
ティラニッドには他種族で「ウォーギア」に当たる「兵器共生体」(ウェポン・シンバイオート)を備えている。ティラニッドには数多くの兵器共生体を備えており、弾丸から武器まで全てが生きた武器である。
また、形質変異(バイオモーフ)と呼ばれる性質が付与されれば、その個体種に新たな能力が追加される。
画像出典:ウォーハンマー40K「ルールブック6版」 P216,P217イラストより
射撃武器
- 「アシッドスプレー」
「強酸噴射器官」。この兵器共生体に備わった巨大な嚢胞は、有機物を恐るべきスピードで消化する腐食性の消化液で満たされている。この強烈な消化液を噴射された犠牲者は、装甲ごと肉体が溶け、たちまちのうちにネバネバした液状の肉塊に変わり果ててしまうだろう。
- 「インペイラーキャノン」
「串刺砲」。大型の兵器共生体で、人間ほどの長さを誇る、巨大な杭状の骨を射出する。
インペイラーキャノンの杭弾は超高速で撃ち出されるため、あたかも生身の肉や骨を貫くかのように、繊維合金(プラスティール)製の防壁や重戦車の装甲を貫通できるのだ。杭弾の根元には、シャードビーストと呼ばれる小型のティラニッドが寄生しており、杭弾の内部に走る毛細血管を通して、宿主の血液を吸っている。
ひとたび射出されると、シャードビーストは体に備わった薄いヒレ状の組織を動かして空中を泳ぎ、ハイヴガードのテレパシーに従って杭弾を方向転換させるのだ。杭弾を方向転換させ、敵に命中させる頃には、シャードビーストはもう身をよじらせて死んでいる。
杭弾が射出される瞬間に、シャードビーストの内臓は引き裂かれているからだ。
- 「ヴェノムキャノン」
「毒性金属射出砲」。強い腐食作用を持つ金属皮膜でコーティングされた結晶体を砲弾として射出する、巨大な兵器共生体。生体電気の作用によって猛烈な速度で射出された砲弾は、着弾とともに粉々に砕けて、強腐食性の毒性金属片を広範囲にまき散らす。
仮に、標的が砲弾の命中を受けて即死しなかった場合でも、結晶体の破裂によって生じる無数の毒性金属片と高電圧ショックによって著しいダメージを受ける。なお、毒性金属片はビークルの装甲すら貫くほど強力だが、あまりにも微細かつ物理的衝撃にとぼしいため、即座にビークル破壊につながるほどのダメージを与える可能性は低い。
- 「クラスター・スパイン」
「棘針弾射出背骨砲」。ティラニッド大型個体種の中には、その甲殻装甲内に、肉ヒダを備えた管状組織をいくつも備え、筋肉組織の収縮や痙攣などによって、ここからキチン質の弾を射出する個体種が存在する。
この射出機構はきわめて原始的だが、その射出速度は速く、またキチン質の弾は着弾と同時に破裂して無数の棘々しい破片へと変わるため、あなどりがたい殺傷力を持つ。針のような鋭い破片が広範囲にまき散らされ、周囲にいる無防備な敵をずたずたに切り裂くのだ。
- 「グラスピング・タング」
ハルスペックスによく見かける鉤状の舌で、獲物を掴んで口の中に引きずり込むことができる。
- 「ショックキャノン」
ハイヴガードの腕部に装備されている兵器共生体。その長いシルエットを持つ恐るべき武器は、骨のトゲを敵に撃ち込み、トゲに付いている巻きひげから生体電流が放電される。
生物に対してダメージを与えるのはもちろん、敵の機械を無効する効果も持つ。
- 「スティンガー・サルボ」
「棘槍射出砲」。ティラニッド大型個体種の甲殻装甲内部にしばしば寄生する、管状の兵器共生体。
カミソリのように鋭い先端部を備えた、長さ1メートルほどもある大型の棘針(棘槍と呼ぶほうがふさわしいだろう)を射出する。その射出機構はきわめて単純だが、殺傷力はあなどりがたい。
また、これらの棘槍の表面は毒性の粘液で覆われていることが多く、棘槍射出時の筋組織痙攣により、この毒液も死のシャワーとなって敵に浴びせかけられるのだ。
- 「ストラングルウェブ」
網状の粘液を射出する小型の寄生生命体。この網が付着した敵は、周囲の地形や地面に固定され、身動きができなくなってしまう。
しかもこの網は瞬時に硬化を開始し、犠牲者が逃れようと力を加えれば加えるほど、その反動で猛烈な圧縮を見せる。この網から逃れるには、相当な時間と力が必要だ。
もがきすぎて圧死する敵もいれば、単純に行動の自由を奪われるだけの敵もいるだろうが、どちらもティラニッドの大群によって補食される末路に大差はない・・。
- 「ストラングルソーン・キャノン」
「触手弾射出砲」。バーブド・ストラングラーの大型版と呼ぶべき兵器共生体である。
バーブド・ストラングラーよりもはるかに大きく、はるかに凶暴な種子弾丸を発射する。先端に大きなカギ爪を備えた無数の触手は、ビークルの装甲すら引き裂いてしまうほど巨大かつ強力だ。
さらに、この触手はビークルの覗き窓や継ぎ目をこじ開けるようにして内部へと侵入し、標的を内側から破壊することすら可能である。
- 「スパイク・ライフル」
内部に筋組織が詰まった筒状の骨で、筋組織の収縮によってモリのような弾が射出される。単純な射出機構に比してその射程距離は長く、また標的の肉を貫くのに十分な威力を有している。
スパイク・ライフルから撃ち出されたモリを喰らって即死しなかったとしても、敵はじきに失血死するだろう。このモリには鋭い返しトゲが備わり、力任せに引き抜こうとすれば、このトゲが犠牲者の肉体や内臓を痛烈に引き裂くからだ。
- 「スパインフィスト」
「棘針弾射出空気銃」。拳と一体化し、左右一対で用いられる短射程の兵器共生体。
強力な空気圧によって、無数の棘針弾を射手する。スパインフィストからは柔軟なチューブ状の組織が伸び、寄生先個体の手足を経由してその気管部に直結しており、寄生先個体の排気圧がそのままこの銃の射出力となっているのだ。
ゆえに、大型の個体であればあるほど、スパインフィストに送りこまれる空気圧が高まり、一回の射撃でより大量の棘針弾を射出できる。
- 「スポア・キャスト」
大型のティラニッド個体種に見られる兵器共生体であり、スポア・マインが放出される。個体種と胞子嚢胞との間には共生関係があり、いったんスポア・キャストが形成されると離れることはない。
- 「ソラックス・スウォーム」
「胸部寄生蟲群」。ティラニッドの中には、異様に膨張した胸部を持つものがいる。
これらの個体は、その胸部でソラックス・スウォームと呼ばれる胸部寄生蟲群を培養している可能性が高い。不用意に接近してきた敵に対し、胸部から勢い良くこれら寄生蟲の大群を浴びせかけるのだ。
寄生蟲の大群は敵の目や喉を喰い破り、体内へと進入する。
「ソラックス・スウォーム3種」
- 「エレクトロショック・グラブ」
「高圧帯電地虫」。胸部筋肉の痙攣によって、「エレクトロショック・グラブ」と呼ばれる地虫状寄生蟲の大群がまき散らされる。
これらの寄生蟲は高電圧の電気ショックを放つため、敵はたちまち黒焦げの死体に変わるだろう。
- 「シュレッダーシャード・ビートル」
「棘針甲虫」。針のように鋭い棘針を無数に備えた、甲虫状のティラニッド小型個体、シュレッダーシャード・ビートルの大群を胸部から射出。
この寄生蟲は、穴の中に這い進んでゆく本能を持つため、敵装甲服のつぎ目などから進入してゆく。しかも、シュレッダー・シャードビートルは死ぬと同時に内側から破裂して棘針をまき散らすという性質を持つうえに、寄生先のティラニッド個体から離れると、きわめて短時間しか生存できないのだ・・。
- 「デシケイター・ラーヴァ」
「水分吸収虫」。甲虫の幼虫じみた寄生生物の大群を射出。
この寄生蟲群は強力な牙で標的の体内へと進入し、ありとあらゆる水分を一瞬にして吸いつくす。デシケイター・ラーヴァに襲われた敵は、たちまちひからびたミイラ状の死体へと変わるだろう。
- 「デヴァウアー」
「貪るもの」。大きな円錐形の先端部が特徴的な兵器共生体。
その内部には、黒光りする頭をもつ回虫状の個体がひしめいている。発射時には、生体電流の働きによってこの虫たちがターゲットめがけて波のごとく吹き出す。
獲物にとりついた回虫状生物の群れは、皮膚を食い破って肉を掘り進み、ついには神経や脳をも貪り喰らう。犠牲者は、あまりの苦痛に発狂し、間もなく死に至るだろう。
更にデヴァウアーには「ブレインリーチ・ワーム弾」と呼ばれる弾丸を発射することもできる。ティラニッド大型個体種が持つデヴァウアーの内部には、通常の回虫状生物よりもはるかに大型で攻撃的な、「ブレインリーチ・ワーム」(脳髄吸引ヒル)と呼称される寄生生物群の巣が存在する。
- 「デススピッター」
「死の唾を吐きかけるもの」。複数の生命体が、内部で複雑な共生関係を形成している兵器共生体。
デススピッターからは、強腐食性の体液に満ちた大型のウジ虫めいた生物が射出される。デススピッターの内部にはこのウジ虫状生物の繁殖房があり、通常の銃器における“弾倉”の役割を果たす。
“弾倉”の横には、クモの牙に似た粘液まみれの突起物がずらりと並んでおり、ウジ虫の巣から次の“弾”をつかんで引きずり出し、その固い殻を剥いてゆく。続いて、ウジ虫状生物の悲痛なうめき声と殻の剥かれる騒音がトリガーとなって、デススピッターの筋肉組織が激しく痙攣し、この“弾”を高速射出するのだ。
飛んでいる間も、ウジ虫状生物は断末魔の絶叫をあげ続け、着弾の衝撃とともに壮絶に破裂して周囲に毒の体液をまき散らす。この毒液の腐食力は、頑丈な装甲服ごと標的の肉を溶かしてしまうほど強力だ。
- 「テンタクリッド」
ハイヴクロンをはじめとした飛行個体で見られる兵器共生体。これらの兵器共生体はまさに生けるミサイルであり、張り付いている個体種から発射されると、生体電流のパルス爆発によって敵の航空機を探し出して命中とともに爆発する。
- 「ドロールキャノン」
ハイヴクロンの口内に内蔵されている生体砲。ハイヴクロンの下腹部にある嚢には酸性の消化液がため込まれており、ドロールキャノンから消化液が発射され、命中した敵を軟化させる。
- 「バーブド・ストラングラー」
「触手弾射出銃」。大きな給弾アームの先に備わった胞嚢から、銃身(実は筒状の筋組織である)を通して種子弾丸を発射する兵器共生体。
発射された種子弾丸は一瞬にして成長をとげるため、空中で周囲に棘のついた触手を伸ばしながら獲物に襲いかかり、敵の動きを奪いつつ八つ裂きにする。まれに、種子弾丸が成長しきる前に標的の肉体内部に達する場合もあるが、この場合は敵の肉体内で種子が急速に発芽するため、体内から外へ向けて無数の触手があふれ出し、標的の肉体を破裂させて一瞬のうちに血まみれの肉塊へと変えるのだ。
- 「バイオエレクトリック・パルス」
「トライゴン」が放つ電撃で、自らの移動によって発生する生体静電気を痛烈な電気ショック攻撃として放てる。
- 「バイオキャノン」
ハイエロファントやハリダンなどの大型個体種に装備されている巨大生体砲。バイオキャノンに大規模な電気ショックを与えると、猛毒と腐食性を持つウジ虫状の生物が射出される。これらの生物が標的に命中すると、わずか数秒でほぼ全ての物質を溶かしてしまう生物酸と毒の雨をまき散らし、不運な犠牲者を泡立つベトベトの溶解液に変えてしまうのだ。
- 「バイオプラズマ」
一部のカーニフィックスは、その体内で球状のバイオプラズマを作り、目も眩むような破滅の光球として敵に吐きかけることで恐れられている。体内でバイオプラズマの光球が作られるとき、そのカーニフィックスの体からは高い絶叫のような音が発せられるため、この異音が犠牲者の聞く最後の音となることが多い。
- 「バイオプラズミック・キャノン」
エクゾクラインが背中に背負っている大型の生体砲。その内部にはエクゾクラインを制御するための脳が詰め込まれており、6つの目で狙いをつけることができる。
〈人類の帝国〉のオブザーバーは、この兵器共生体は実際にエクゾクライン本体よりも知的であると推測されている。
- 「フラグ・スパイン」
カーニフィックスの大部分は、突進時に、その背部甲殻内に詰まった無数のトゲ状組織や、同様の至近距離用兵器共生体を射出する能力を持つ。そのまま突っ立っていれば、無数のキチン質のトゲによって全身を貫かれるため、敵は反射的に身をかがめるか、遮蔽物の陰に隠れようとするだろう。
- 「フレイムスパート」
「パイロヴォア」が持つ兵器共生体。フレイムスパートからは、激しく燃え盛る炎が噴射される。
その火炎は、遮蔽物の陰や防御施設に隠れた敵兵すらも、やすやすと焼き殺す。
- 「フレッシュボウラー」
「肉を掘り進むもの」。一見すると小銃のようだが、じつは鋭い牙を持つ甲虫状生物、「ボウラービートル」(肉掘り甲虫)の“巣”である。
射出され着弾したボウラービートルは狂乱状態に入り、ノミのそれに似た形状の足を猛烈な速度で動かし、ひたすら前進を続けようとする。ボウラービートルは、着弾後わずか数秒で死んでしまうが、残された全生命力をその数秒間で爆発させるかのように、ひたすら目の前の障害物を掘り進むのだ。
その貫通能力は、装甲服に穴を穿ち、肉を貫き、ついには標的の骨にまで達するほどすさまじい。
- 「フレッシュ・フック」
先端に鋭いトゲを備えた触手付きのフック。肋間筋の収縮によって射出される。
フックと肋骨部を結ぶ触手はきわめて頑丈であり、リクターはこれを投げ鈎とロープのように使うことで、垂直な壁面を登ったり、獲物をたぐりよせたりするのだ。
- 「フレッシュボウラー・ハイヴ」
肉食甲虫の巣。フレッシュボウラー・ハイヴは、ターマゴーントのフレッシュボウラーと同種の肉食甲虫であふれかえる繁殖房である。
この牙を生やした生き物どもは、膨れ上がった袋の中に幾千もの卵として蓄えられており、洞窟めいた房室内で孵化すると、驚異的なスピードで成長する。房室内で一斉に孵化した肉食甲虫が、ティラノフィックスの肉体を内側から破裂させるのを防ぐため、フレッシュボウラー・ハイヴは規則的な間隔で肉食甲虫を放出しなくてはならないほどだ。
- 「ヘヴィ・ヴェノムキャノン」
「毒性金属射出大砲」。ヴェノムキャノンの大型強化版とでも呼ぶべき兵器共生体。
ヴェノムキャノンよりもはるかに巨大な砲弾を、超高速で射出する。射出時のエネルギーとして用いられる生体電力の電圧はきわめて高く、それゆえ砲弾に残留する電流も致命的なほどに強力だ。
金属片ゆえにビークルの破壊は困難であるが、砲弾の大型化によって生じる猛烈な物理的衝撃は、重戦車の装甲すら突き破るほどである。
- 「ラプチャー・キャノン」
破裂砲。一回の射撃ごとに二種類の砲弾サイズの投射物を連射する。
最初の投射物は、膨れ上がったダニ状生物で、標的に着弾するとともに破裂し、ねっとりしたオイル状の粘液を浴びせかける。直後に発射されるもう片方の投射物は、きわめて硬質の甲殻装甲に包まれた、種子弾丸の一種である。
この種子弾丸が命中する直前に、標的は一発目に投射された有害な粘液によって包まれているため、種子弾丸はこの粘液と接触し化学反応を起こしながら、標的の内部へと突き刺さるのだ。粘液との接触により化学反応を起こした種子弾丸の固い殻は瞬時に溶かされ、標的の内部で急速に“発芽”する。
この急速成長によって生じる恐るべき内爆は、戦闘車両を内側から引き裂き破壊させるのに十分な威力を持つ。
- 「リッパー・テンタクル」
「マイセティック・スポア」から生える巨大な触手群。異常発達した腱組織と筋組織が束になったもので、周辺の獲物を捕獲する。
その威力は強烈で、マイティック・スポアを調査すべく群がってきた敵を一気になぎ払ったり、あるいは哀れな犠牲者を締め上げて血まみれの肉塊に変えることが可能だ。さらに不運な敵は、リッパー・テンタクルにつかまれたまま、マイセティック・スポアが持つ牙だらけの口へと運ばれてゆく…。
近接武器
- 「クラッシュ・クロウ」
「粉砕の大爪」。巨大な蟹の爪を思わせるクラッシュ・クロウは、ティラニッドの大型個体にのみ備わっている。
その重量はかなりのもので、大型個体でなければとても使いこなせないからだ。クラッシュ・クロウの破壊力たるや凄まじく、要塞施設の防壁すらもやすやすと突き崩し、十人前後の敵兵を一撃で血まみれのミンチ肉へと変えてしまう。
- 「クロウ&ティース」
「爪と歯」。たとえまったく武器を持たない状態でも、ティラニッドの戦闘力は侮りがたい。
どんなに下位の個体であろうと、切れ味鋭い爪と歯を持ち、敵のノドをかききることができるからだ。
- 「サイジング・タロン」
「鎌状の大爪」。サイジング・タロンとは、キチン質と棘々しい骨状の物質によって造られた、カミソリのように切れ味鋭い大爪である。
ティラニッドはサイジング・タロンを用い、獲物を切り裂いたり串刺しにしたりするのだ。サイジング・タロンには鞭のようにしなやかで強靭な筋組織が備わっているため、恐るべき速度でこれを動かし、獲物を殺傷できる。
ティラニッドの中には、サイジング・タロンを何組も備え、恐るべき猛攻をくり出して敵をずたずたに切断するものもいるようだ。
- 「テールサイス」
大型のティラニッド個体種によく見られ、しっぽの先端にある鎌状の刃だ。多数の軽装甲を装備している兵を一掃するのに使用される。
- 「テールメイス」
しっぽの先端にある巨大な肉塊で、レッキングボールのように振り回してダメージを与える。その威力は、大型車両を破壊し、一度に多くの敵を一掃する。
- 「バレソーンキャノン」
巣窟艦隊クロノスが生み出した特殊な「ストラングルソーン・キャノン」で、この超巨大な生体砲は超適応性のマイクロフィラメントを発射することが可能だ。標的にフィラメントが命中すると、知覚物質が接触を開始し、その反共感的な表面はあらゆる防衛手段に適応することができる。
すると、フィラメント一本一本の、単分子エッジが鋭さを増し、分厚い装甲や肉体を切り裂くことができるのだ。また単分子エッジが赤熱して対物質シールドを焼き切ることができるため、〈歪み〉に住まうディーモンなどの生命体に効果を発揮する。
- 「ボーンソード」
「骨の刀剣」。キチン質から造られる巨大な刀剣状の武器であり、鋭い単分子鋼の刃を備える。
生体武器ゆえ、本体とともに限りなく成長し、破壊されたとしてもすぐに再生されるのが特徴だ。ボーンソードはいわば“生きた刀剣”であり、それ自体が意識を有するが、これを所持するティラニッド本体によって完全に支配下に置かれており、ボーンソード自体が独立して何らかの思考を持つことはない。
ボーンソードの刀身には強力なサイキックエネルギーがバチバチと爆ぜ、さらに犠牲者の生命力を吸収することすらできる。なお、ティラニッド個体がボーンソードを複数装備した場合、これらのサイキックエネルギーが相互作用によって増幅され、さらに恐るべき威力を発揮するようだ。
- 「ラッシュ・ウィップ」
「触手鞭」。ラッシュ・ウィップを形作るのは筋組織と腱組織の束であり、それ自体が意志を有している。
ラッシュ・ウィップの触手は、所持者が振らずとも不気味にうごめき、敵を察知して襲いかかるのだ。その動きはあまりにも速く、敵は身をそらすことも受け流すこともできない。
またその特性ゆえ、蛇のように密かに足元へと這い寄り、敵の動きを封じたり、あるいは先端に備わった鋭い骨状のカギで敵の肉体を引き裂くこともできる。
- 「レンディング・クロウ」
「引き裂きの爪」。多くのティラニッドが持つ爪やカギ爪は、その長さこそ短いものの、ダイヤモンド並の硬度を持つキチン質の先端を備えた、きわめて危険な武器である。
ティラニッドの強靭な筋肉と組み合わされることにより、レンディング・クロウは強化セラマイト鋼にすらも穴を開け、どれほど強固な装甲服をもやすやすと引き裂くのである。
アーマー
- 「キチン質外皮」
たとえどんなに下位の個体でも、すべてのティラニッドは、なめし革のように硬い外皮を持ち、また甲虫じみた甲殻で急所を守っている。キチン質から造られるこの外皮と甲殻は驚くほど強固で、刃物による攻撃に対しても有効な防衛手段となるのみならず、小型の銃弾ならば弾き返すことも可能だ。
しかも、ティラニッドの体表はワックス状の粘液によってすっぽりと覆われており、短時間であれば、真空状態でも生存可能である。
- 「強化キチン質外皮」
このティラニッドの甲殻からは、粘り気のある松ヤニ状の液体がつねに分泌されている。この分泌物は外気に触れると即座に硬化を始めるため、キチン質外皮の上に何層もの頑丈な防護膜を形成できるのだ。
こうして形成される強化キチン質外皮は、高熱や放射能に対してもいくらかの防御効果を持つ。
- 「甲殻装甲」
このティラニッドの甲殻は、きわめて高密度で硬いキチン質によって造られており、キチン質外皮を貫通するほどの物理的衝撃にも耐えられる。
- 「外骨格装甲」
このティラニッドの体を支える外骨格は、骨状の板とキチン質の接合部が異様に伸張し、全身を包む鎧のようになっており、しかも想像を絶するほどの強度を有している。
- 「重外骨格装甲」
ティラニッド大型個体の中には、まさに生ける重戦車と呼ぶにふさわしい、セラマイト鋼よりもさらに強固な外骨格を持つものが存在する。このような怪物を仕留める手段は、対戦車兵器を投入する他にないだろう。
形質変異(バイオモーフ)
- 「アドレナリン分泌腺」
最前線に送りこまれるティラニッド下位個体群によく見られる形質変異。ティラニッドの血液内に大量のアドレナリン様興奮物質を分泌し、新陳代謝速度を爆発的に上昇させ、猛烈な興奮状態へと追いやる。
- 「ウィング」
一部のティラニッドは、その前肢部にコウモリじみた皮を持つ大型の翼を備えている。彼らはこの翼を用いて飛行し、上空から獲物に対し強烈な滑空攻撃を加えるのだ。
- 「強酸性の血液」
このティラニッドが持つ粘性の血液は、セラマイト鋼の装甲すらも溶かすほどの強酸性だ。肉体に付着した場合、瞬時にそれを溶解してしまうだろう。
このようなティラニッドに対して攻撃を加えた場合は、周囲に飛散するその返り血を浴びぬように、素早く身を引くことだ。
- 「強酸まみれの顎」
パイロヴォアの口元からは、強酸性の粘液が絶え間なく滴り落ちている。その強度は、鋼鉄をやすやすと溶かし、セラマイト鋼にすらも穴を穿つほどだ。
- 「再生能力」
一部のティラニッドは、戦闘で負った傷を・・たとえどんなに酷い致命傷であろうとも・・瞬時に治癒してしまう能力を持つ。筋肉や内臓が損傷を受けた場合はすぐに新たな組織が造られ、破壊されたキチン質の外皮や骨も想像を絶するスピードで繋ぎ合わされてゆくのだ。
再生が完了すると、そこにはもうわずかな傷痕しか残されてはいない。
- 「注入攻撃」
このティラニッドは、注射器のように内部が空洞状になった牙、トゲだらけの針、ノコギリ状の大爪などを持ち、敵の体内に致命的な損傷を与えられる。
- 「蓄電脊椎」
「トライゴン・プライム」の背骨は蓄電装置の役割をはたし、通常のトライゴンよりもはるかに膨大な電気量を蓄え、周囲の敵に解き放てる。
- 「毒袋」
本体に寄生する腺状の組織。本体から養分を吸い上げることで猛毒の粘液を分泌し、この粘液で本体の爪や牙を包みこむ。
この恐るべき未知の毒液にさらされた敵は、体組織が崩壊する激痛に襲われた後、血管内の血液が沸騰して死に至る。
- 「フラグ・スパイン」
カーニフィックスの大部分は、突進時に、その背部甲殻内に詰まった無数のトゲ状組織や、同様の至近距離用兵器共生体を射出する能力を持つ。そのまま突っ立っていれば、無数のキチン質のトゲによって全身を貫かれるため、敵は反射的に身をかがめるか、遮蔽物の陰に隠れようとするだろう。
- 「迷彩皮膚」
リクターの表皮は、究極のカモフラージュ・スーツといえるだろう。カメレオンのようにつねに模様や色彩を変え、周囲の風景と完全に同化してしまうからだ。
このため、リクターによる奇襲を受けた敵は、何もない場所から突然リクターが出現したかのような錯覚をおぼえるだろう。
- 「猛毒の瘴気」
ティラニッドの中には、背中部分に大きな煙突状の孔を持ち、そこから毒性のガスを噴霧して標的惑星の大気を汚染する個体が存在する。たとえ一瞬であろうとも、至近距離でこれらの毒ガスを吸引してしまった場合、窒息死する危険性が高い。
生体艦(バイオシップ)
【概要】
生体艦とは、ティラニッドの個体種が宇宙を渡る際に使用する生きた宇宙船だ。生体艦は一見多様な形態を取っているが、巣窟艦隊での一般的な役割に応じていくつかの主要なクラスに分類することができる。
各生体艦はまた、惑星侵攻で投入される様々な種類のティラニッド個体種を産生する工場としての役割を持っている。生体艦自体もティラニッドの一種であり、それらは集合意識体によって統率されている。
画像出典:ゲーム「Battlefleet Gothic: Armada II」より
【生体艦の一覧】
- 「ハイヴシップ」
【概要】
ティラニッドの巣窟艦隊の中核を成す巨大な生体艦であり、集合意識体が各周辺にいる生体艦の「群集団」(スウォーム)を指揮するためのノードとして機能する。また、ティラニッドの大群を産生する工場としても機能する。
〈帝国〉ではティラニッドのハイヴシップに関する様々な情報や噂が飛び交っている。その一つとして、ほとんどの群集団には複数のハイヴシップが存在しており、群集団全体を統率するハイヴシップ自体は1隻だけであるという説があるが、この説には確証がない。
またある噂では、惑星が〈侵食〉される最終段階で、通常よりも巨大なハイヴシップが到着したという。この噂は、巣窟艦隊が惑星の生命体や空気、水分などの膨大な資源をどのように消費しているかを説明できる根拠となっている。
真実が何であれ、観測されたハイヴシップは、物理的に大きな違いがあるにもかかわらず、いくつかの類似点を共有する傾向がある。岩石のような装甲と密集した兵器共生体は各種ハイヴシップに共通しており、遅くて武骨だが、戦場で与える脅威の大きさにおいては、ハイヴシップはほとんどの場合、戦艦の特徴と類似している。
- 「クラーケン・シップ」
【概要】
各巣窟艦隊を成すティラニッド生体艦の一種、クラーケン・シップ。これらの生体艦は、外銀河の虚空を押し進むために環境適応した、超巨大な捕食生物だ。クラーケン・シップは巣窟艦隊の斥候役をにない、はるか前方に突出して、貪り食らうべき獲物を探し回っている。
幸いにも彼らは完全な宙性生物であり、宇宙空間でしか生存できないため、標的惑星に対して直接的な攻撃をしかけることはない。ただ、宇宙ステーションや宇宙船、宇宙艦艇などは、クラーケン・シップによって格好の餌食とされてしまう。
クラーケン・シップの中でもっとも一般的なのが、「ラムスマイター・クラーケン」(杭打ち艦)と呼ばれる生体艦だ。ラムスマイターには、甲虫のアゴめいた鋭いフック状の突起物が複数備わり、敵主力艦の装甲隔壁を貫通するほど強力である。
装甲に穴を開けると、ラムスマイターは敵艦内部から消化可能なあらゆる物体を吸い上げ、消化管の中へと送りこむ。消化管に生物資源が流れこむやいなや、ラムスマイターからは無数のジーンススティーラーとホーマゴーントが吐き出され、敵艦内に雪崩れこんでゆくのだ。
心臓部へと戦闘個体群を送りこまれた敵艦の乗組員たちは、どこに隠れていようとも見つけ出されて、虐殺されるだろう。至近距離での危険度がラムスマイターよりもさらに高いと考えられるのが、「ドゥームリッパー・クラーケン」(破滅の切り裂き艦)だ。
この生体艦の口元には何十本もの強力な触手が生え、一本一本が独立した生物のように不気味に身もだえしている。ドゥームリッパーはこの触手を使って敵艦に吸いつき動きを拘束してから、その外部装甲を食い破り、中身を貪り喰らうのだ。
ひとたび獲物に吸いつくと、死んでもその触手を離そうとはしない。ドゥームリッパーの吸いつき攻撃を受けてしまった艦艇は、時間との戦いを強いられる・・。
強力な触手の締め付けで艦体を破壊されるか、それよりも早くドゥームリッパーを殺すか、二つに一つだ。もっとも稀なのが、ヘルブラスター・クラーケン(地獄の電撃艦)である。
この生体艦に与えられた役目はただ一つ、敵艦の艦体またはシールド部に吸着し、猛烈な電気エネルギーを放電することだ。一瞬にして強烈な電流が敵艦内を走りぬけ、艦体の各部を引き裂くだけでなく、その動力部をオーバーロード状態におとしいれる。
たとえ敵艦の反撃がヘルブラスターを殺したとしても、電気ショックを受けてしまってからではもう遅い・・。その敵艦はもはや、修復不能な損害を負っているはずだ。
- 「デヴォーラー・クルーザー」
【概要】
デヴォーラー・クルーザーは、バトル・クルーザーやヘヴィー・クルーザーに匹敵する生体艦の一種である。「レイザーフィーンド・クルーザー」よりも大型のサイズを誇る。
- 「ヴォイド・プラウラー」
【概要】
ヴォイド・プラウラーは、ティラニッドの巣窟艦隊で軽巡洋艦に相当する生体艦である。主に偵察や護衛といった役割を与えられ、目的に応じた様々な種類が存在する。
- 「レイザーフィーンド・クルーザー」
【概要】
レイザーフィーンドは巣窟艦隊の中でも大型巡洋艦の役割を持っており、攻撃性は高く、ハイヴシップが危険な状況に陥った際に巣窟艦隊から急襲を行う。船には爪や触手が備わっており、それらを使用して直接敵の艦船に攻撃を仕掛けて粉砕する。
しかし、巡洋艦サイズのティラニッド生体艦は、ハイヴシップから遠くから離れた場所ではめったに見かけず、何らかの方法でハイヴシップから栄養を補給しているのではないかと推測されている。
- 「エスコートドローン」
【概要】
エスコートドローンは、重装備で鈍重な駆逐艦の役割を持つ生体艦だ。通常は、巨大な生体艦の周りに群がっている。
- 「ヴァンガードドローン」
【概要】
エスコートドローンと同様の駆逐艦の役割を持つ生体艦で、巣窟艦隊における長距離偵察艦としても活躍する。この生体艦は主要な艦隊よりも先行しており、〈侵食〉に適した惑星を探索し、ジーンスティーラーやリクターなどの浸透を行う個体種を播いている。
ヴァンガードドローンは巣窟艦隊の母艦と接触することはほとんどなく、偵察した情報の伝達と貨物の補充を行うときだけに、巣窟艦隊へと戻ってくる。
- 「ナーヴァル」
【概要】
巣窟艦隊を星間移動させるための重要な役割を持つ生体艦。ナーヴァル自体は自衛能力を有さず、分厚い甲殻装甲に覆われている。
また、ナーヴァルの艦体表面に飛び出ている数々のトゲは、極めて鋭敏な感覚器官であり、宇宙に飛び交っている様々なシグナルを受信して解析を行うことができる。この感覚器官を用いてきわめて微弱な「重力場シグナル」を感知する。
この重力場シグナルを基にしてナーヴァルは、亜光速航法を行うための「重力場トンネル」を形成することができる。この重力場トンネルを使用することによって、巣窟艦隊は光を超える速度で星間移動が可能となっているのだ。
しかし、この特殊航法は、強力な重力場が発生している領域では使用できず、〈歪み〉(ワープ)を用いた星間移動よりも移動速度は遅い。
追記・修正は巣窟艦隊が迎え撃てる戦力を確保してからお願いします。
(C) Copyright Games Workshop Limited 2021. GW, Games Workshop, Citadel, White Dwarf, Tyranids, Genestealer Cult, 40K, Warhammer, Warhammer 40,000, the ‘Aquila’ Double-headed Eagle logo, Warhammer Age of Sigmar, Battletome, Stormcast Eternals, and all associated logos, illustrations, images, names, creatures, races, vehicles, locations, weapons, characters, and the distinctive likenesses thereof, are either (R) or TM, and/or (c) Games Workshop Limited, variably registered around the world. All Rights Reserved.
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,1)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
- そういやティラニッドってケイオスとは戦ってないの? -- 名無しさん (2021-04-01 01:26:49)
- ↑ 普通に戦ってる 具現化に必要な感情の発生源である人類を虐殺されて、上位悪魔がキレてたりする -- 名無しさん (2021-04-01 06:44:01)
- 有機生物を食い尽くすならネクロンには興味ないのかな -- 名無しさん (2021-04-02 10:25:05)
- ↑ カロリー赤字になるから避けてるらしい -- 名無しさん (2021-04-02 15:40:08)
- オルクの中にはティラニッドの武器をもいでダッカとして使う者もいるそうな。曰く、「メシをたらふく食わせてる間はよく働く」。 -- 名無しさん (2021-06-13 08:10:18)
- ↑ もうオルク何でもアリだな。銀河最強じゃないのか。 -- 名無しさん (2021-06-13 08:18:40)
- そりゃ緑がサイキョーよ -- 名無しさん (2021-06-13 13:05:02)
- 「オルグをティラニッドにぶつけたら一石二鳥じゃね?」て考えた帝国の偉い人がおってな。無限湧きするオルグを餌にティラニッドが無限湧きする地獄の星が生まれたんじゃ・・・ -- 名無しさん (2021-10-05 23:26:00)
- ↑ とりあえず、それでリヴァイアサンは停滞してるから・・・ -- 名無しさん (2021-10-05 23:50:43)
- 結局オクタリウス戦役はティラニッドの勝利で終わったぞ。それもオルクの援軍すら来れなくなるレベルの大群で惑星を包囲し、バイオタイタンが数百匹も降下してくる最悪の終わり方で。 -- 名無しさん (2022-03-12 20:23:36)
- そうか、個人的にオルクを応援していたので残念だ。だが、オルクは決して滅びない。いつの日か、ティラニッドに逆襲してくれることを信じているぜ。 -- 名無しさん (2022-04-03 20:33:55)
- 逆に言えばそんだけの大群を投入しないと殲滅しきれないオルクよ -- 名無しさん (2022-12-06 20:25:25)
- オクタリウスの件がなかったらリヴァイアサンがこれほどの規模に膨れ上がる事もなかったんだろうか……? -- 名無しさん (2023-07-28 21:15:37)
#comment
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧