ヴィクトリカ(魔女の旅々)

ページ名:ヴィクトリカ_魔女の旅々_

登録日:2021/01/09 (土) 20:58:53
更新日:2024/05/24 Fri 13:25:13NEW!
所要時間:約 12 分で読めます



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ヴィクトリカとは、ライトノベル『魔女の旅々』の登場人物である。
主人公イレイナの母親で、普通の主婦をしている。
旅に出る直前のイレイナに、


  • 危ない目に合いそうなときは逃げろ
  • 自分が特別な人間だと思うな。普通の人だと思え
  • 必ず帰ってこい

の三つの訓示を伝え、旅に出るイレイナを見送った。



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※ここからは原作15巻4章のネタバレを含みます。


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   *   *  *   + うそではないです   n ∧_∧ n  + (ヨ(*´∀`)E)   Y   Y  *

だが、上の解説には重大な情報がすっぽ抜けている。
それは、





私は灰の魔女として、それから長い長い旅をした。


ヴィクトリカは、魔女の旅々の重要人物である。(CV:伊藤静
このヴィクトリカという名前は、原作でも長らく明らかにされず、アニメ10話で唐突に先行公開され、原作でも遅れて15巻最終章でようやく明かされた。
15巻あとがきによれば、原作者は彼女の名前をいつ公開してもよかったようなのだが、機会に恵まれずアニメにも登場するので、15巻のタイミングで公開に踏み切ったらしい。




【概要】

上述の通り、イレイナの母親であるのは本当。三つの訓示を伝えて、旅に出るイレイナを見送ったのも本当。
しかし、ヴィクトリカには娘に伝えていない重大な過去があった。



「あなた、もう気付いているでしょう」
「私に魔法を教えたのが誰なのか。あなたが憧れた魔女が誰なのか。もうとっくに--ずっと前から、本当は察していたんじゃないですか?」


「…………」一体何のことやら分かりかねますね。「誰なんですか?」


彼女こそ、イレイナが憧れた魔女「ニケ」その人であり、イレイナの師匠であるフランの師匠でもある。



【容姿】

灰色の髪、瑠璃色の瞳。黒ローブと三角帽子。
顔立ちも服装も当然ながらイレイナそっくり(というかイレイナのローブと帽子は彼女のお下がり)だが、残念ながら胸の方は娘には遺伝しなかったようである
魔女時代のヴィクトリカは髪を三つ編みにして、髪留めで先を束ねていた。
母親になってからは普通の村人風の服装になり、長髪を小さな髪留めで束ねている。


【その生い立ち】

ヴィクトリカの幼少期は決して恵まれたものではない。
彼女の最初の記憶は、災害(おそらく洪水)でズタボロになった廃墟の中で倒れている自分自身。
その後は孤児院で生活していたが、その暮らしはヴィクトリカには退屈なものでしかなかった。


あるとき、ヴィクトリカは自分に魔法の才能があることを知り、孤児院の先生は彼女に最低限の魔法の使い方を教えた。
それでもヴィクトリカは満たされなかった。孤児院の閉ざされた世界しか知らないヴィクトリカは、次第に外の世界への憧れと、無知な自分への鬱屈を強めていき、十歳のときに、とうとう覚えたての魔法で門番の制止を振り切って、故郷を出国してしまう


幸いなことに、旅の出だしは(少なくともヴィクトリカにとって)いい人たちと出会い、外の世界の優しさに触れたことで幸先のいいスタートを切ることはできた。
だが、所詮はちょっと魔法が使えるだけの十歳の小娘。世間の厳しさを何も知らないヴィクトリカは、たどり着いた国で犯罪紛いの商売に手を貸してしまった挙句に裏切られ、ならず者や兵士に追われる身となり、追い詰められてしまう。
そんな時に、彼女に転機が訪れる。



「どうすれば私は普通を手に入れることができますか」
「さあ? それは私にもよく分かりません」
「だから私と一緒に勉強してみましょう」



たまたまその場に現れた白の魔女と呼ばれる魔女が、窮地のヴィクトリカを救いだし、彼女を弟子にし、魔女となる道を示した。
白の魔女に弟子入りしてからは、一般常識や旅の心得、魔法を教わり、十五の誕生日にヴィクトリカは魔女見習いになり、十八歳で魔女となった。


「魔女名はどのような名前にしますか?」
「どのような名前がいいのですか?」
「この国では髪の色にちなんだ名前が普通とされています」
「なるほど」
「では私も同じく髪の色でお願いします」


そして白の魔女から授けられた二つ名は……



「灰の魔女」



それから彼女は白の魔女の許しを得て旅に出、その過程でフランやシーラを弟子にし、その旅路をモチーフに綴った「ニケの冒険譚」を執筆する。



【性格】

好奇心が強く、自信家。大胆かつおおざっぱ。そして金に汚い
と、悉くがイレイナの母親であることを窺わせる性格をしている。
しかし強すぎる好奇心が爆発して孤児院を勝手に出奔するなど、常識に乏しすぎた幼少期には、軽率な行動で自分の首を絞めかけていた。
普通、という概念が幼少期から不明瞭なせいか、「普通」に並みならぬ関心を抱いており、白の魔女にも度々「普通とは何か」を問うている。
本編でも金にうるさい面を見せるのは、おそらく白の魔女から教わった金の価値観を模倣している節がある。まあ素の面もあるかもしれないけど。


フラン視点から語られるヴィクトリカの性格は、唐突な思い付きで弟子を振り回す奔放かつ適当な側面を見せている。
また、自業自得とはいえ、割とストレートにボロカス言われて凹む場面も見られている。
もちろん金の亡者な面もフランは見ており、そういう所は見習いたくないとは思っていたが、結局きっちり本人と娘に受け継がれてしまった。


母親としてのヴィクトリカは、魔女時代の破天荒な一面はなりを潜め、娘の成長を見守るよき母親となっている。
めったなことでは動じない自負はあるが、旅人時代に捨て置いた恥ずかしい過去が思わぬ方面からほじくり出されると動転するかわいい一面も。
ただ、最年少で魔女見習いとなったイレイナが増長していくのを、過去の過ちから危ういと感じるなど、旅の経験はしっかり教育に生かされている。
旅立つ前にイレイナに伝えた三つの訓示も、すべて突き詰めれば自分が経験したこと
この訓示が生かされているのか、(今のところは)イレイナの旅路は順調そのもので大事なく進んでいる。



【関連人物】

イレイナ
もう散々告げているが、娘。
イレイナが旅に出るのを了承し、その旅を静かに見守っている。
そしてイレイナも旅の過程で「ニケの冒険譚」の著者が誰なのかに薄々勘付いていたが、「見つけたら自由な旅が終わってしまう気がする」という理由で、あえて気づいてないフリをしている。
さすがに娘にほじくり返された黒歴史には動揺しているが。
ところで「ニケの冒険譚」はヴィクトリカ自身が書いたもの。
ということは娘に自分の武勇伝を読み聞かせていたことになるのだが。そう考えると心臓に毛が生えてるのかと思えるくらい図太い神経してるよな。
なお、弟子のフランの弟子でもあるためヴィクトリカにとっては娘であると同時に孫弟子でもある。



フラン
弟子一号。
深い森のビエラで国の歴史を調べているときに図書館で出会い、元々閉鎖的な国民性の中で、同じく歴史を調べていたフランに感心していた。
生贄にされたフランが無事に祠から出てきたときには「よかった」と呟くなど、ヴィクトリカなりに彼女の安否を気にかけていたようだ。
弟子にしてからはそれなりに軽口を叩きあえる、気軽な仲だったようで、魔女となって独立した現在でも手紙のやり取りをするほどに関係は継続している。



シーラ
弟子二号。
魔法を使い、スリや恐喝で生計を立てていたが、運悪くか運よくかヴィクトリカをターゲットにしてしまったことで返り討ちに合い、その流れで弟子になった。
ヴィクトリカ曰く、弟子にした理由は「料理が上手かったから」。まあ、弟子一号はぶっちゃけメシマズだしね。
初期は犬猿の仲だった二人を上手くいなしつつ、クノーツの街を荒らし回っていた盗賊団骨董堂の事件を解決させ、結果的に二人の仲を取り持った。
髪の色にちなんで二つ名を考えたが、あえて真逆の二つ名にしたのは、互いが離れていても一緒だ、というメッセージを込めたもの、らしい。



サヤ
孫弟子にして未来の義娘候補
シーラの弟子でもあり、イレイナのストーカー親友でもある炭の魔女。
今のところ直接の接点は無いが、塀で分断された街で旅をしていた頃のヴィクトリカが塀に刻んだ落書きを


「筆跡がイレイナさんのものに似ているけど少し古い」


というとんでもない理由で、イレイナの母親が刻んだ物と特定。
その落書きに向かって「お義母さん初めまして」などとイレイナへの歪んだ愛を刻みまくっていた。
この事をヴィクトリカが知ればどんな顔をするか…
普通に笑いそうな気もするけど



白の魔女
師匠でかつ恩人。
安易な行動で窮地に陥っていたヴィクトリカを救い、彼女の「普通」という問いかけに真摯に答え、自分の弟子とした。
ヴィクトリカからは、厳しくも優しい人と評されている。
白の魔女もヴィクトリカを弟子にしたのは、自分と同じ価値観を持った人種であることを見抜いたからではないか、とヴィクトリカから推察されている。
ヴィクトリカを弟子にして「幾分か救われた」というのは、そういうことなのかもしれない。




【活躍】

1巻第9章「魔女見習いイレイナ」
初登場。
この時は単純に母親としての一面のみを見せている。
が、フランに「とびきりきつい試練を与えてくれ」と大金と共に依頼していたことが後に発覚する。



1巻第13章「旅の始まり」
イレイナの旅立ちを後押ししつつ、上記の三つの訓示を授ける。
餞別として、お下がりのローブと帽子をあげ、旅立つイレイナを見送った。



3巻第7章「物々語:賢しい弟子と生ける物」
フランとヴィクトリカの手紙のやり取りから始まるこの章で、フランがヴィクトリカの弟子であったことが明確にされる。
この時、イレイナは既に「物の姿を人間に変える薬」を開発中で調子に乗りかけたイレイナをどう指導するのか相談していた。
手紙のやり取りはコミカルで、ヴィクトリカから「破門にすんぞ」と手紙を返してからは、拗ねてしばらく手紙を返さなかったりと、やってることが案外子供っぽい。
しかし、その経緯でイレイナが危うくエライ目に合わされかけたことを知ったときは「元凶ぶっ壊す」とキレていた。
その前にフラン先生が実行していたけどね。



3巻第12章「旅人が刻む壁」
灰の魔女として活動していた頃の回顧録を「ニケの冒険譚」の抜き出し、そしてフランの回想という形で描写される。
フランの回想の頃は(外見上)20代半ばとのことで、かつフランとの二人旅だったとき。
料理が美味いということで唐突にフランを連れて、かつて訪れた壁で分断された国を訪問する。
フランの前で壁の風習を発案したことを自慢げに話していたが、華麗にスルーされ、さらに飯をおごらされた。
この時フランは「どうしてこの国は互いに競い合って発展しているのに気づかないのか」という問いに、


「決まっているでしょう? この壁の先に目を向けようとしないからよ--お互いにね」


と、ヴィクトリカはどこか皮肉げに答えた。



5巻第4章「二人の師匠」
シーラを弟子にしたころの話。
険悪な二人の間を取る(という体を取って自分の意見を押し通す)ことで上手くいなしつつ、指導する。
そして、クノーツの街で骨董堂の事件を二人に託し、その経過を見守る。
なお、この時報酬は骨董堂が使用していたアイテムを、出所の国に(半ば強引に)返却してちゃっかり依頼料とは別の報酬を得ていた。
この後、同じことを娘もやるんだけどね!



7巻第4章「石膏像と魔女たちの話」
フランと二人でやらかしたお話。
とある石膏像を運ぶ仕事を受けた二人は石膏像の首と腕が取れていることに気づき、大慌てで石膏像を修復する。
が、石膏像は元から首と腕がない仕様であることを知らずに余計なものを足してしまったが、とっさの出まかせでその場しのぎをする。しかし、国外の客には悟られ、後世にて某灰の魔女にも犯人こそ不明だが真実は伝わっていた。
なお、その首のモデルはヴィクトリカ自身で、割と本人はノリノリだが、弟子の反応は辛らつ。
そして後に、劣化した首から某灰の魔女の面影を見た某炭の魔女の手で、石膏像は灰の魔女像へと改造される事になる。



8巻第7章「星屑の降る夜」
国の歴史を紐解こうとする少女期のフランと初邂逅。
ヴィクトリカも国の歴史が恣意的に消されている痕跡に気づき、密かに隠された歴史の在処を探っていた。
その歴史の負の一面に触れたヴィクトリカは、よほど腹に据えかねたのか、隠された国の闇を徹底的に暴露し、国を亡ぼす原因を作り上げた
この時に無事祠から生還したフランを引き連れて、以降は彼女と共に旅をするようになる。



10巻第3章「思い出留める文字の国」
フランと深い森のビエラを離れてから間もなくの話。
ヴィクトリカは直前に舞台となる国で詐欺を働いていたため、入国審査でいきなりしょっ引かれる
この時入国審査用紙の名前の記入を断固拒否するという無駄な抵抗をしたのがきっかけで、以降、この国では入国審査用紙に名前の記入欄が消えることになった。
後に釈放され、フランと合流したときに詐欺商法に使ったノート(曰く、錬金術)を一冊フランに渡し、それは二十二年の歳月を経て、再びフランの手に収まり、書き記されたメッセージを受け取った。この時、フランは兵士とのトラブルをどうやって解決したのか尋ねられたときは「金で解決した」と誤魔化していたが、罰金のことなのか、賄賂のことなのかは定かではない。前者だと思いたい
そしてこの後同じことを娘もやって、やっぱり同じ目に合うことになる。



14巻第4章「演者たちの物語」
フランと二人旅の最中、ヴィクトリカは小説を書いていることを打ち明けつつ、演者の国レキオンへ入国する。
ところがこの国、国ぐるみで詐欺行為を働く国で二人は資金をごっそり搾り取られてしまう。
報復にヴィクトリカは一計を案じる。
彼女は演者の国レキオンに関する全く異なる内容の冊子を各地にばら撒きつつ、しかしその場所は決して掲載しなかった。
そうすることで、「演者の国なんて存在しない架空の国で、そんな噂を怪しい魔女が高い金で売りつけている」という噂にすり替えてしまった。
その結果、演者の国は干上がってしまい、ヴィクトリカに泣きついてきたが、この時にはもはや取返しがつかないレベルで噂が広がっていた。
だがヴィクトリカは「お金払えば黙ってあげますよ。これからは」と悪い顔で言うのだった。
そしておそらく後継の詐欺グループが今度はその娘に同じように金を搾り取られていたりするのだが、まあどうでもいいことか
ちなみに、後に娘が「物語の国」に関する冊子を旅の土産として贈って来た際には慌てふためいていた。



番外 リリエールと祈りの国第2章「灰の魔女」
本人は登場していないのだが、イレイナは「ニケの冒険譚」四巻序盤でニケが領域都市クラウスレインで1年過ごしていたことを話している。
つまりヴィクトリカ本人もこの国で1年過ごしていたことになる。
その入国方法は魔法による不法入国ホント親子そっくりだな!
そしてどうも骨董堂の使っているアイテムの出所が、どうやらこの作品の舞台、クラウスレインであることが匂わせられている。











【そして……】

フランとシーラを魔女として育成し、二人が独立した後、最後の国へとヴィクトリカは飛び立つ。
そこは片田舎の平和で小さな平凡な国。
彼女はその国に「不法出国の罰金を払いに来た」ことを門番に告げ、帰郷を果たす。
その国の名は、



平和国ロベッタ




数多の国を旅し、あらゆる「普通」を学んできた一人の魔女は、最後の国で自分だけの「普通」を手にし、その旅路を終えたのだった。








【余談】

  • 描写や挿絵の変化から、ヴィクトリカの活躍の時系列を並べ替えると、8→10→14→(7 or 3)→5ではないかと推察される。

  • 出会ったときのフランの年齢、8巻の描写から、おそらく現在のヴィクトリカの年齢は四十前は……あれなんだかまぶしいぞ






追記・修正は不法出国の罰金を払ってからお願いします。


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  • いろいろと語られた今となっては旦那のほうが分かっていないことが多いという。親バカな魔導士であることしか分かってない。あとがき見る限り馴れ初めはヴィクトリカの帰郷後っぽいけど同時に書く気がないっぽいことも言ってるんだよな… -- 名無しさん (2021-01-10 01:53:48)
  • ↑少なくとも分かっている事は、娘と甘い物が大好きな優しくて食いしん坊な中年男性ということくらいか… -- 名無しさん (2021-01-10 12:39:33)

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