登録日:2020/12/28 (金曜日) 20:55:13
更新日:2024/05/24 Fri 12:54:41NEW!
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戦闘機 兵器 大量破壊兵器 怪物 宇宙戦闘機 上遠野浩平 超光速戦闘機……それは戦闘機なのか?
人類守護の最後の砦たる戦闘機械――
人はそれを“夜を視るもの”と呼ぶ。
ナイトウォッチとはSF小説
「ぼくらは虚空に夜を視る」「わたしは虚夢を月に聴く」「あなたは虚人と星に舞う」
総じて『ナイトウォッチ三部作』に登場する架空の戦闘機の名称。
姿はそれぞれ多少は異なるものの、大方の個体は腕が四方八方から生えた「骨格標本のつぎはぎ」とも呼ばれるグロテスクで取りとめのない外見。
ハッキリ言って具体的なビジュアル化が困難な怪物的形状で、挿絵なども存在していない。
宇宙で戦うために造られたそれは、人類が新天地をめざし旅だった「カプセル船」の守護を任務としながら恒星間空域を超光速で「敵」と戦い続けている。
【概要】
全ての機体が相克稼働励振原理に基づいた「時空切断航法」と呼ばれる無理やり光速度を超える技術の使用を前提に作成されている。
ナイトウォッチは本来光速の70%ほどの速度なのだが、時間切断によって7000倍以上に加速し「光速の約5000倍」の速度での航行及び戦闘を常時可能としているのである。
時空切断により感覚もイジっているため、
戦闘において搭乗者は1ナノセカンド(10億分の1秒)未満の時間認識能力・反応速度を有し、その単位での隙やタイミングをうかがいあうのが常。
またこの『時間切断による超光速領域』は因果律的にも通常空間を超越した状態で、超自然的な特殊能力などの認識や概念的な干渉を無視できることが別作品で示唆されている。
機体は「反撥装甲」と呼ばれる自分たちと同規模の攻撃(後述の武装腕から放つ兵器など)にある程度は耐えるバリアや力場を常時有しており、状況に応じてそれを活用する。
空間を直接知覚可能な基本感覚装置「VL型シンパライザー」の空間認識範囲は半径7777億7777万7777km(これは約1光月に相当する。光の速さで大体1ヶ月かかる距離)
内部にはコアと呼ばれる搭乗パイロットに該当する立場の人間が存在し、識別名称としてはそのまま機体名で呼ばれている。
搭乗者の肉体は生体回路やナノマシン等により機械的に接続されているため、心臓などが破壊されても完全に即死しない限りはある程度修復する。
理論上は完全な機械による自動制御もできるはずなのだが、コアに必ず生身の人間を必要とする理由はなんと「機械だけに全てを任せたくないから」というもの。
世界を滅ぼすような兵器を容易に発動でき、人類がそれを使われたと認識できないままに一瞬で滅ぼすことが可能なナイトウォッチ。
そんな物を使い万が一世界を滅ぼしてしまうのならば、せめて人間の意志くらいは介在させたい。
機械に運命の全てを任せることだけは承服できない。
この人類の歪んだ変形フランケンシュタイン・コンプレックスがナイトウォッチのコアに人間を使う理由である。
それを非人道的と言うべきか、むしろ人間的と言うべきかは解釈の分かれる余地だろう。
【武装】
全身にある武装腕はある種の砲塔兼マニピュレータで、ただの打撃でも小惑星程度なら一撃で破壊可能。
そこから放たれる内蔵された37種の兵器はその全てが「地球文明で使われていた原水爆の数千億、数千兆倍」の破壊力を有している。
以下は作中で判明したその一部。
- 光子魚雷
無数に連射できる魚雷。同レベルの相手ではバリアに阻まれ、あまり決め手にならない。
ナイトウォッチ同士でも効果的な描写に乏しい牽制じみた兵器。
- ヌル爆雷
発動した箇所の宇宙を消し飛ばし空間に穴を開ける爆雷。空間の穴は閉じる際に渦を巻いて修復される。
惑星や恒星のある場所で使用した場合、渦に巻き込まれ太陽系規模でその場の惑星や恒星が全て爆裂してしまう。
ナイトウォッチ規模の戦闘の場合だと直撃しない限りダメージにはならないが、渦がある程度は足止めや攪乱として機能する。
- セグエ粒子弾
空間が乱れた状態でもその乱れに沿ってだが使える兵器。
- 亜空間ブラスター
セグエ粒子弾でも倒せない敵を一撃で粉砕する砲撃。数発なら連射が可能。
- 強重力子メギド
太陽系の全てをひとつに固めてしまうほどの強重力の一撃。
作中ではヌル爆雷との応用により「質量爆撃」という恐ろしいコンボ攻撃が発動していた。
- 界面バスター
幻影世界と現実世界の境界を撃ち抜いて侵入可能とする攻撃。機械が造った仮想世界に無理やり物理的に入り込むことができる。
と、ここまでの超兵器を有するナイトウォッチだが、しかしその実、「敵」以外の星や巨大な物を破壊したケースは殆どない。
これは破壊すべき構造体がないからである。
前提として宇宙空間の航行とは星も何もない空間を進むのが殆どで、ナイトウォッチの戦い自体「破壊すべき物が敵しかロクに存在しない」絶対真空を前提としている。
そしてそれがナイトウォッチの使用に立ちはだかる最も過酷な側面でもある。
絶望的な戦い、孤独感、ストレス。それらは機械制御が分解する。
ただ「何も無い」という空間認識の現実だけはごまかせない。人間の歴史や命と比較してもあまりに大きな真空との認識がもたらすギャップ。
それがもたらす精神的悪影響こそがナイトウォッチの一番の弊害であり乗り越えるべきハードルとなっている。
【各機体】
- マバロハーレイ
人類史上最強の戦闘の天才と呼ばれる男が操縦するナイトウォッチ。全長260m。
戦力や武装としてはナイトウォッチとして標準の代物なのだが、とにかく搭乗者の戦闘センスにより異常なまでの戦果を誇る。
- リーパキクレス
- ムーグニージィ
- フォッケゼメルト
マバロハーレイの僚機。詳しいスペックは不明だが、マバロハーレイと大差ないと思われる。
- ヴルトムゼスト
通称<虚人>。宇宙で「敵」との戦時下になる前に造られた伝説の試作機。
実験的な試みか兵器としては非合理とも言える巨人のようなデザインで、どこかある物に似た印象を抱かせるナイトウォッチとして型破りな外見の機体。
真空の宇宙に対するストレス軽減のため、
宇宙での戦闘状況を「地球上の街で戦っている」ように感じるようコアの認識を書き換える安全装置の機能を持っている。
これにより数億キロメートル単位での規模での近接攻防や回避が「街が火の海になる、道路を崩壊させる光線を避ける」程度の知覚へと翻訳され、
さながら「街中で戦う光の巨人」のような安定した感覚での戦闘を可能としている。
重装機のため遠距離武装には乏しく速度も通常だが、とにかく火力と防御力が高く、普通のナイトウォッチの攻撃を容易く防ぎ、なおかつ接近して徒手空拳での破壊を可能とする。
- スコルピオ・スコードロン
軽量機の4機のイトウォッチ部隊。
作中では「ザングディルバ」「トリニグトーダ」「ダッタルドルス」「ラギッヒ・エアー」
の名称が確認されている。隊長機はラギッヒ・エアー。
回避や速度性能などは優れているが攻撃性能は並。
- バンスティルヴ
龍神とも称される、太陽系へと残り文明を守護するナイトウォッチ。
その上には相棒でありその身を鎧で包んだ最強の超人星に触れる者を乗せている。
(コアのように乗り込むのではなく馬の上にのる騎士のようにスタースクレイパーは外部に乗っている)
- ジャッグヘッド・タイプQ
現実には存在しないナイトウォッチ。仮想空間世界における演習用の機体で、厳密にはナイトウォッチとも言い難い。
武装もほとんどなく、指定した物体や範囲を時間軸・空間ごと吸いこんでしまう重力虚空を頭部に持つのみで、攻撃半径はなんと200mと言う小規模さ。
ただし200m圏内ならば自在に重力虚空の効果範囲を指定できるため、使い勝手は良い。
額から筒が生えたような頭部以外は普通の大柄な男性の彫像のような姿をしている。
- プルートゥ
敵に負けて地上に墜落した個体。
しかし地上(未来の地球)は既に別種の力である「奇蹟使い」と呼称される超能力者と非超能力者との戦乱にシフトした異文明となっており、
そのままプルートゥは「前の文明の兵器」として物資を生み出す生産プラントに再利用されてしまう。そのため自己改造と構築を繰り返しており、蜘蛛のようなマニピュレータを持つ工場の姿に。
元々持っていた本来のナイトウォッチとしての姿は謎となっており、戦闘能力は格段に低下している。
とはいえ、自爆で周囲を惑星を超えた範囲規模で滅ぼす程度は可能となっている。
そしてナイトウォッチが戦う時系列の遥か過去の地球の話でも、空間切断能力と時間切断能力の激突の余波により空間が捻じ曲がり、光子の波動が乱舞する事象を
『ナイトウォッチ・エフェクト』と呼称。
惑星上では受け止められないエネルギー量まで跳ね上がる一種の災害とされ、ナイトウォッチと何かしら関係がある現象であることが暗に示されてはいたが詳細は不明。
追記・修正は人類史上最強の戦闘の天才がお願いします。
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▷ コメント欄
- 同作者の別作品においてだが、戦いに敗れて他惑星に墜落した物も存在する -- 名無しさん (2020-12-28 21:21:17)
- 超絶戦闘機械なだけではなく、物を生み出す工場としても使える、なんと一体のみで大国を潤す事を数千年規模で可能 -- 名無しさん (2020-12-28 22:01:29)
- まあ太陽系吹き飛ばす力ならそりゃあ半永久的に使えるよね、となったのがプルートゥだからね。 -- 名無しさん (2020-12-28 22:05:21)
- キングクリムゾンの楽曲がタイトル名になっているビートシリーズ以前に書かれた作品だが、こっちは別にキンクリ一切関係ないらしい -- 名無しさん (2020-12-28 22:29:12)
- どうでも良い所ではあるがナノセカンドでは無くナノセコンドなのでは…? -- 名無しさん (2020-12-29 11:01:51)
- ナノセカンドとナノセコンドのどちらでも間違いではないので、作中表記を優先し「ナノセカンド」を採用しました。 -- 名無しさん (2020-12-29 11:10:49)
- 懐かしいなぁナイトウォッチシリーズ。また新作出ないかな、短編でもいいから -- 名無しさん (2021-01-01 22:07:23)
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