登録日:2020/10/10 (土) 15:39:25
更新日:2024/05/23 Thu 10:37:10NEW!
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“あの時代、星々の生死すらも私たちの思うがままだった。そんな私たちの意思に、君ごときが刃向かうとはね”
-先見司 (ファーシーア) メレン・ビエラァーン
画像出典:ゲーム 「Warhammer 40,000: Dawn of War3」 Eldar Key Artより
▽目次
クラフトワールドとは、ウォーハンマー40Kに登場する異種族(宇宙人)勢力の一つで、アエルダリで構成された勢力である。正式名称はアエルダリの言葉で「アシュルヤーニ」と名乗っている。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P4,P5 イラストより
概要
巨大な都市母船、〈方舟〉(クラフトワールド)に住むアエルダリ族の勢力。〈道〉と呼ばれる精神修行で鍛えられた白兵戦やサイキック能力、先見の能力、高い科学力を誇る兵器などを駆使して戦う。
アエルダリ古王国が滅ぶ前に、俗世から離れた種族の少数派が生き残り、その子孫が宇宙を放浪しながら種族再興のために闘争へと身を投じる。種族自体は数が少ないため、軍は少数精鋭の部隊にせざるを得ない。
そのため、一般市民も戦闘に参加できるよう、訓練を積み重ねている。
画像出典:「GATHERING STORM BOOK II FRACTURE OF BIEL-TAN」P70,P71イラストより
ゲーム上の特徴
高コストで高性能なスペースマリーンよりも優れたバランスの良さを持つが、脆く、少数精鋭でかつヒーキー。
鍛錬を積んだ優秀なスペシャリストが多く、サイキック能力や高い科学力を誇る兵器、光学迷彩などを駆使して戦う。
上級者向けのテクニカルなアーミー。
汚いなさすがアエルダリきたない。
同じアエルダリの派閥である「デュカーリ」、「ハーレクィン」、「インナーリ」、「コルセア」ともアーミーを混成することが可能。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P3写真より
種族の現状
今ではアエルダリの人口は当時の10分の1に減っており、「アシュルヤーニ」の勢力は更に人口が減り続けている中でも〈方舟〉に住み続けている。〈方舟〉は巨大な母艦で彼らの唯一の住みかとなっており、光学迷彩で身を隠しながら宇宙を旅する。
〈方舟〉の中には巨大な都市が存在しており、彼らはそこで惑星と同じような環境で禁欲的な生活を営んでいる。宇宙を漂う〈方舟〉は数種類存在し、同じ種族でも〈方舟〉が違えば目的や戦術、文化が大きく異なる。
彼らは再び種族の再興を目指し、宇宙を放浪しながら戦い続けるのだ。普段は人類を敵とみなして戦い、下等生物と見下しているクラフトワールドの勢力も、〈渾沌〉(ケイオス)の悪魔を人類以上に強大な敵と認識している。
そのため、渾沌を共通の敵とする人類に対して多少の便宜を図っており、時に共闘することも珍しくない。
画像出典:ルールブック「Warhammer 40,000: Compilation」 P37 イラストより
アシュルヤーニの〈道〉
【概要】
スラーネッシュ神によって文明を滅ぼされ、宇宙の放浪種族となってしまったアシュルヤーニは、再び自らの欲望に飲まれまいと内面を厳しく律する術を見出した。それが〈道〉あるいは「アイ=エレスラ」と呼ばれる制度である。
全ての成人に達したアシュルヤーニは、自らがすべてを捧げて打ち込む〈道〉と呼ばれる物事や技能の分野を見つけてそれを極めることだけに集中する。一つの〈道〉を究めてもそれは終わりではない。
ある一つの〈道〉を歩んだ者は別の〈道〉を選ぶ事ができ、さらなる物事や技能の進化、特化への道が続いているのだ。〈道〉を長く積んだアエルダリは新たな〈道〉をその都度選んで、自分の進むべき先を決めてゆく。
自らの内面を一つの物事に集中させ、それを完璧に極めてから次の物事に取り組む。こうすることで移り気な自らの精神を完全に律し、自らが極めた技能の「レパートリー」を一つづつ増やしていくのだ。
このような〈道〉の制度はアシュルヤーニの感情と知力の強度を調整する事ができるようになり、選択した〈道〉によって感情の暴走を防ぎつつ、それを解き放つ匙加減を経験的に身に着けてゆくのだ。
【探求に潜む罠】
しかし、すべての〈道〉には大きな危険が潜んでいる・・。人類やオルクのようなつまらぬ生き物とは違うアエルダリの精神は、物事のはるか深奥を追及でき、しかもそれを理解することができる。
半面、それを制御しなければ〈道〉を究めることは大きな罠となってしまう。この罠にはまったら最期、アエルダリは自らの〈道〉に囚われたまま、永遠に抜け出せなくなるのだ。
アエルダリの精神は特定の物事に集中しすぎると、大きな危険を招く。こうなってしまった一つの〈道〉に集中しすぎたアエルダリは、別の側面を省みる事ができなくなる可能性が高くなり、そこから〈道〉を進むことも戻ることもできなくなってしまう。
それは全てのアエルダリにとって恐怖そのものだ。〈道〉を深く、多く究めれば究めるほど憑りつかれる可能性は十分に高くなるからだ。
【崇高なる訓え】
〈道〉の種類も多種多様で、白兵戦の武芸に秀でた〈戦士の道〉や予言などのサイキックに特化した〈先見の道〉、危険がほとんどない技術、建築分野の〈匠の道〉など様々だ。中には音楽や舞踊、詩歌や文学、あるいは農耕や科学といった分野も存在する。
こうした〈道〉は代々極めたものがその人生観や技能を他のアエルダリに教えていく。どの〈道〉であれ、アエルダリの魂をよく養い、将来において別の〈道〉を辿る際にも良き授けとなる。
〈道〉はアシュルヤーニにとって崇高なものとされ、他の分野の道を軽んじることは許されない。〈匠の道〉を究めたアシュルヤーニがいたからこそ超巨大な母船「クラフトワールド」(方舟)は今でも保守、運用できるのである。
そして前線で戦う〈戦士の道〉や〈先見の道〉を究めたアシュルヤーニのおかげで、種族は今でも外敵からの脅威から身を守れているのだ。彼らは〈道〉ごとにそれぞれ必要とされる役割を全うし続けており、他分野の〈道〉を歩むアエルダリにはできないことで種族を支えている。
〈道〉を究め、それを基にして種族に貢献している者はそれ相応の敬意を払われるのは当然ということである。
【〈道〉の種類】
- 〈出奔者の道〉
〈道〉は〈方舟〉で生きるアシュルヤーニに課される、一種の制約だ。だが、その制約に耐えがたい思いを抱く一部のアシュルヤーニは、〈道〉から完全に脱落することもある。
とはいえ、単独行動するアエルダリはディーモンに狙われやすく、また捕食されやすいため、これは非常に危険な選択となる。〈方舟〉から離れたアエルダリの多くは、かつての故郷とどれほどの隔たりを保つかを見定めつつ〈出奔者の道〉を辿る事となる。
これらの「出奔者」(アウトキャスト)たちのうち大半は、流浪の旅のどこかの時点で、他種族の宝物やはるか彼方の世界での経験談を手土産に〈方舟〉へと帰還する。中には、「レンジャー」や「シュラウド・ランナー」となって〈方舟〉のために戦う事を選ぶ者もいる。
そうした役割の中で、彼ら彼女らは他種族の惑星を調査し、失われた〈網辻〉の門を探索し、新たに見出された〈乙女の惑星〉を探検して、〈方舟〉に対する潜在的な脅威を排除するのだ。時にはこの〈道〉を辿る者たちに、薄縄れた遺物や倒れた同胞から魂魄石を回収するための派遣任務を課されることもある。
- 〈戦士の道〉
アシュルヤーニのほとんどが、人生のある時点で“戦いの呼び声”を耳にし、自発的にそれに従う。この〈道〉には〈戦士の相〉として知られる無数の分派が存在し、それぞれの流派がカイン神のいくつかの側面を体現している。
これらの〈相〉には、独自の戦闘技術、武器、戦装束、意匠や戦術単位が存在し、戦士たちは〈方舟〉の内部にある社(やしろ)と呼ばれる施設で修行と鍛錬に励む。ある固有の〈相〉を奉っている社は特定の〈方舟〉にのみ建立されているが、一般的に知られている〈相〉を奉っている社に関してはどの〈方舟〉にも少なくとも一つは建立されており、同一の〈方舟〉内に複数の社が設けられていることも珍しくない。
〈相の戦士〉は自らが選んだ社において心技体を完璧なレベルまで磨き上げ、あらゆる技量を達人の名に相応しい域で振るい、戦う。戦場では各々の〈戦士の相〉の部隊は自らの超絶的な戦技が織りなす破壊の交響楽を奏で、一個の社が持つ総合力をはるかに上回る力を発揮して無数の敵を易々と屠るのだ。
- 〈先見の道〉
あらゆる異能者(サイカー)は密接に〈歪み〉と結び付いているため、〈先見の道〉は別名〈魔の道〉とも呼ばれ、何よりも危険で謎めいた旅路を約束する。この旅路をはるか遠くまで至った先見者は、「先見司」(ファーシーア)となり、アシュルヤーニが〈道〉に囚われたものに示す多大なる恐怖と畏怖の念にも関わらず、〈方舟〉の指揮を担う。
ファーシーアの絶大なる力、叡智、そして予見を拒む事の出来る者など皆無だ。〈方舟〉とその民と破滅から守り、運命を導く事ができるのは、ファーシーアに授けられたこれらの資質があるが故なのだ。そうした重責を担えるのもはごく僅かであり、いかなるアシュルヤーニの民も、機会さえあれば傍に投げ出したくなるであろう。
霊や魂といったものに対するファーシーアの執着の副産物の一つは、彼ら彼女らの肉体が、最終的に繊細この上ない「精神結晶」(サイコクリスタル)へと変貌してしまう事だ。この変容がほぼ完成する頃になると、年老いたファーシーアは〈方舟〉内部に存在する〈先見水晶の庵〉と呼ばれる施設を目指して旅発つ。
そこでファーシーアは、おびただしい歴代のファーシーアたちが変わり立てた、無限回路に永久に繋がれた動かぬ水晶彫像の群に加わるのだ。
戦闘教条
【概要】
「先見司」(ファーシーア)と「戦将」(アウターク)に率いられた〈方舟〉の「戦兵団」(ウォーホスト)を構成するアシュルヤーニは、ただ一つの目的を果たすために心を傾ける。そのために彼ら彼女らは個々の力を結集し、戦兵団を強く、輝ける一振りの大剣へと変えてゆくのだ。
アシュルヤーニが、畏怖を催すほどの俊敏さと優雅さ、比類なき技量、無慈悲なまでの効率性で敵を易々と斬り刻んでゆく光景には、恐怖を覚えずにはいられない。戦兵団を率いるアウタークは、アシュルヤーニの戦略を司る指揮官であり、〈将の道〉を歩んでいる。
彼ら彼女らは〈戦士の道〉における複数の〈相〉(アスペクト)を学び、〈方舟〉の義勇兵となった「ガーディアン」と同様に危険な使命を長年にわたって果たし続けた将なのである。アウタークは己が学んだ戦士の相の儀式的な装備を頻繁に携えて戦場に赴く。
これは「ラーン・ロナ」、または“軍資の盟約”と呼ばれる儀式を通じてこの将に手渡されるものだ。例えば、アウタークは「ハウリング・バンシー」の「バンシーマスク」を被り、「ストライキング・スコーピオン」の「チェインソード」を手にし、「ワープスパイダー」の「ワープジャンプ・ジェネレイター」を装備することもできる。
これらの装備は、いくつもの相の社を通ってきたアウタークの長い旅路を反映しており、アウタークはその過程で重ねたおびただしい戦闘経験から、戦兵団の長所と短所を深く理解しているのだ。アウタークは一人一人が軍略の奥義に通じており、偉大なる芸術家が壮大な交響曲を指揮するがごとく、軍勢を率いる事ができるのだ。
【先見司の導き】
〈方舟〉の戦兵団を一振りの太刀として振るうアシュルヤーニがアウタークだとすれば、「先見司」(ファーシーア)はかの剣士たちの心を導く役割を担っていると言えるだろう。ファーシーアが持つ神秘的なルーンの知識と宿命の糸を読み解き未来を占う業は、〈方舟〉の兵団が戦場において、いつ、どこに赴くべきかを告げるのに役立つ。
またファーシーアの驚異的なサイキック能力は、〈方舟〉の戦士たちに貴重な戦力の支援を提供し、戦士たちの固有の技量と力を最大化する。
【調和のとれた戦術】
アシュルヤーニ軍は無数の独特な戦術単位を有している。それは、完璧なる太刀を鋳造するための、そして一騎打ちを制覇するための多くの段階を構成し、いずれもそれ自体が計り知れぬ価値を線閉団の指揮官に提供する。
敵がいかなる特質を誇ろうとも、アシュルヤーニには敵を全滅させるために最適化された技能を持つ軍勢がいるのだ。だが、これらの戦術単位が最適化された効果を発揮するのは、戦兵団が完璧な一致と調和を保って攻撃行う時だ。
構成要素は、自らの一つ一つの総和よりも遥かに強大な、磨き上げられた一個の機関として完成する。「ダーク・リーパー」のもたらす重火力支援は、「ストライキング・スコーピオン」の潜入活動を援護し、隠蔽する。対戦車部隊である「ファイア・ドラゴン」が「ウェイヴ・サーペント」兵員輸送機によって打撃部隊の中心に運ばれる際、味方への警告歩発するために「レンジャー」は敵指揮官を狙い撃つ。
「スゥーピング・ホーク」は戦場の空高くに舞い上がり、アシュルヤーニ軍の側面を突こうとする敵を見つけては釘付けにし、「ワープ・スパイダー」が実体化してそれらの敵を一掃するまでの時間を稼ぐ。アシュルヤーニが戦いにおいて究極の目標とするのは、いかなる損害を設けぬことである。
何故ならばアシュルヤーニは人員が少なく、世代ごとの成長も遅く、敵の数は圧倒的に多いからだ。彼ら彼女らが無為に命を浪費することは許されない。
もしもアシュルヤーニが死の業苦に遭うのであれば、それは勝利の獲得に対する不可避の代償であり、敵に大いなる犠牲をもたらしてその報いを受けさせる必要があるのだ。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第4版 表紙より
クラフトワールドのテクノロジー
- 「魂魄石(スピリットストーン)」
【概要】
アエルダリ族は肉体が死に絶えてもそこで完全に滅びるわけではない。人間の魂が〈歪み〉の潮流に流されて意識が無くなるのと違い、アエルダリ族の魂は意識を保ったまま存続している。
彼らはの魂は人間に比べてサイキックエネルギーが強く、死後も意識を保ち続けられるほどに強靭だが、時にその魂が自らの魂が意識を保ったまま〈渾沌の領域〉に引き込まれてしまう。それらを防ぐために、〈方舟〉に住むアエルダリ族は「境界石」(ウェイストーン)と呼ばれる石を持っている。
この光輝く「精神反応性結晶」(サイコ・リセプティヴクリスタル)は、自らの死後、魂は境界石に入り、石は「魂魄石」(スピリットストーン)として変化する。〈女神イスハの涙〉とも呼ばれる魂魄石は、同胞の手によって回収された後、〈方舟〉に存在する「無限回路」(インフィニティーサーキット)という場所に移植される。
- 「無限回路(インフィニティー・サーキット)」
【概要】
無限回路とは、〈方舟〉の民の魂がスラーネッシュ神に貪らぬよう溜められてる人工的な死後の世界であり、移植された魂魄石の魂は、ここで、穏やかなる安息の日々を過ごすことができるのである。アシュルヤーニたちが望む「死」の形とは、無限回路で終わりなき薄明を過ごすことに他ならない。
無限回路の一部となったアエルダリの魂は〈渾沌の領域〉に引き込まれることなく、個人としての意識を残したまま、無限回路の奥深くで永遠に在り続けることが出来る。他にも、無限回路は〈方舟〉にエネルギーを供給する発電機のような役割を持っており、ただの死後の世界だけでない重要な役割を持っている。
そして、アシュルヤーニたちの魂は必要とあらば「霊機」(レイスマシーン)と呼ばれる兵器に利用され、死後も戦いの運命に身をゆだねることとなる。それは、眠りし祖先を今一度よみがえらせる死霊術のような行為であり、〈方舟〉の住人にとっては受け入れられない忌避される行為に他ならない。
しかし、兵数が減っている「イアンデン」を始めとした〈方舟〉では霊機は必須な戦力として扱われており、現状では霊機の使用はやむを得ない状態になっているのだ。
【魂魄石の重要性】
もし、魂魄石に魂が入らなければ、その魂は〈渾沌の領域〉へと引き込まれてしまい、「スラーネッシュ神」に喰われてしまう。アエルダリ族にとっては意識を保ったまま自らの魂を喰われてしまうのは究極の恐怖以外の何者でもないのだ。
スラーネッシュ神やその眷属達はアエルダリの魂魄石や無限回路を狙っており、その魂を全て食らいつくさんとしている。それ故に、〈方舟〉に住まうアエルダリたちは命と同等かそれ以上に、魂魄石や無限回路を尊ぶのである。
彼らは魂魄石の維持や再生、回収及び無限回路のためならば、いかなる苦労さえもいとわない。
〈方舟〉(クラフトワールド)
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P7イラストより
【概要】
アシュルヤーニたちが住まう大陸ほどの大きさを持つ超巨大都市船。船は常に亜光速で航行を続けており、銀河を旅し続けている。
そのため、各〈方舟〉の正確な位置は、他種族によって決して知られることはない。しかし、同族のアエルダリたちにすら、他の〈方舟〉がある物理的空間座標は特定できていない。
永遠の旅を続けるアシュルヤーニたちにとっては、ほんの一時の正確な位置座標など何ら意味を持たないのだ。
【起源】
その起源は〈失墜〉以前にさかのぼる。元々〈方舟〉はアエルダリ古王国で運用されていた巨大な交易船であり、何百ものアエルダリの家族が乗り込んで銀河を旅していたという。
〈方舟〉に住まうアエルダリたちは、世俗の社会とは異なる独自のコミュニティーを形成しており、世俗の社会が堕落してゆく様をいち早く察知していた。〈失墜〉の数週間前、〈方舟〉に住まうアシュルヤーニたちは、良識的なアエルダリたちを〈方舟〉へと集めて、出来るだけ遠くの星々や宙域へと脱出する。
やがてスラーネッシュ神が誕生し、その衝撃波から逃れた〈方舟〉も存在すれば、哀れにもその魔の手から逃れられずに沈没した〈方舟〉もあった。〈失墜〉から約1万年たった今でも〈方舟〉は彼らの拠点として運用されおり、残存している数十隻が、あてもなく銀河系を旅しているのである。
【内部構造】
〈方舟〉は「無限回路」(インフィニティーサーキット)と呼ばれる場所からサイキックエネルギーを得て駆動している巨大な都市船だ。その内部には巨大な都市があり、アシュルヤーニの住民は船内で自給自足が可能な一個の独立した領域ともいえる。
内部には彼らの住居の他に、森林地帯や船舶の整備ドック、アスペクト・ウォリアーたちの修行場である社(やしろ)や〈網辻門〉などを備え、まさに小さな惑星とも呼ぶべき空間が作られていると言ってもよい。各〈方舟〉は、固有の歴史、文化、伝統を持ち、かつて栄えたアエルダリ古王国の文明が保存された断片とも言えよう。
また〈方舟〉は単なる機械ではなく、それそのものが巨大な生命体であり、「幽骨」(レイスボーン)と呼ばれる特殊な素材でできた生けし宇宙船なのである。幽骨によって〈方舟〉にエネルギーが行き渡り、それそのものが血管のような役割を果たす。
心臓部となる無限回路から発せられたエネルギーは、光や熱といった形で消費することができ、それらを利用して〈方舟〉の住民は生活を行っている。無限回路はどの〈方舟〉にも備わっており、これが無ければ〈方舟〉にあるほとんどの施設は使用することができない。
【〈網辻〉に繋がりし門】
どの〈方舟〉の船尾にも、まるで太陽を盗んできたかのような輝きを伴う「〈網辻〉の門」(ウェブウェイ・ゲート)が設置されている。明確な危険性を回避するために、〈方舟〉はあらゆる犠牲を払っても宇宙空間における〈歪み〉経由の超光速移動を行わないが、この門のおかげでアシュルヤーニたちは星々の間に広がる長大な距離を短時間で移動して軍勢を派遣する事ができるのだ。
それゆえ、どれほど虚空の深淵と呼ぶにふさわしい場所に身を置こうとも、〈方舟〉自体は常に銀河系のあらゆる場所に接続された状態に等しいため、〈方舟〉の位置によってアシュルヤーニ軍の機動性が阻害される可能性は皆無なのだ。ただし、〈網辻〉の門から目的地に行くまでは、〈網辻〉の迷宮の如き通路で正しいルートを把握しなければならず、何も知らずに〈網辻〉へと侵入した者は、永久に迷宮次元の中を彷徨う事となろう。
また目的地には〈網辻〉の門が設置されていない場合があり、場合によって迂回路を経由して通行することも珍しくない。
【神秘的な施設】
〈方舟〉に見られる驚異は〈網辻〉の門だけではない。〈鍛造の広間〉と呼ばれる領域では〈幽骨の歌い手〉(ボーンシンガー)とヴァール神に仕える工匠たちが目覚ましき技能と知識によって、優美にして致命的な武器の数々を造り上げている。
一方、各〈方舟〉にある〈先見水晶の庵〉(クリスタルシーア・ドーム)は、煌めく彫像が林立するなかに佇む。この彫像はいずれも、かつては生きていたアエルダリの異能者であったが、死後に水晶の像と変化したものなのだ。
【軍備】
〈方舟〉にはアスペクト・ウォリアーたちが所属する社が存在する。ここには並みいるアシュルヤーニの戦士たちの中でも、とりわけ熟練の域に達した強大な戦士たちの訓練場として知られている。
〈方舟〉はまた、重装甲の反重力艇(グラヴクラフト)や霊魂によって駆動する機甲戦力「霊機」(レイス・コンストラクト)、流麗な船体を誇る戦闘艇の艦隊を擁しており、それらすべてが〈方舟〉の出陣を待ち受けているのだ。〈方舟〉の住人たちは、その規模に比して極めて少数であるため、ほとんどの市民が戦闘要員としての準備を行う必要がある。
アシュルヤーニは、たとえ専従の戦闘要員ではなくとも「ガーディアン」として戦闘に参加するために戦闘技能を身に着け、それを磨き上げるのだ。彼ら彼女らは歩兵としてのみならず、反重力戦車や戦闘歩行機、あるいはジェットバイクの操縦士としても活躍する。
画像出典:「GATHERING STORM BOOK II FRACTURE OF BIEL-TAN」P66,P67イラストより
主な〈方舟〉
【概要】
〈闇の中の光〉という意味の名を持つ方舟。かつて最大規模を誇る〈方舟〉の一つであったが、ティラニッドの襲来によって人口が激減し、今や滅びの瀬戸際にある。
そのため生身の兵士は少なく、死せるアエルダリの魂を利用する兵器「霊機」(レイス・コンストラクト)を多用する「魂兵団」(スピリット・ホスト)を擁する。
【栄光ありし〈方舟〉】
かつてイアンデンの〈方舟〉が誇る幽骨製の巨大な尖塔とドーム内には、何十億ものアシュルヤーニが生活を営んでいた時代があった。何千年もの間、彼ら彼女らは〈方舟〉ビエル=タンと共闘し、この従兄弟たちが銀河系の西部で戦っている間、東部の脅威を排除していた。
二つの〈方舟〉は、渾沌を打ち負かすのみならず、新たなアエルダリ文明を築くという目標をも共有していた。この同盟関係は最終的には失われたが、イアンデンはなお強大な力を備えていた。
そこに襲来したのが、異種族「ティラニッド」であった。
【イアンデンの危機】
当初、イアンデンはティラニッドの巣窟艦隊を圧倒した。あらゆる面で巣窟艦隊「ナーガ」を凌駕していたのだ。しかし、当初の勝利はイアンデンに慢心を生み、やがて巣窟艦隊「クラーケン」がもたらすであろう危険を過小評価せしめたのであった。
クラーケンによる襲撃と消耗戦によって、かつてのイアンデンの栄光は粉々に砕かれてしまい、何百万もの〈方舟〉に住まうアシュルヤーニが犠牲となったのだ。ティラニッドの軍勢をやり過ごせるだけの機動性を持たなかったイアンデンの軍は、初戦で数千人の死傷者を出し、ほぼ壊滅状態に陥ってしまったのである。
イアンデンが滅亡から救われたのは、かつて失態を犯して去ってしまった戦将「ユリエルの君」と、彼の率いる宇宙海賊「おぞましの略奪団」(エルドリッチ・レイダーズ)の活躍によるものだった。かの悪名高き宇宙海賊たちは、ティラニッドの生体艦隊を肉薄するや、そのおぞましき母艦を見事撃沈させ、イアンデンの〈方舟〉内部に侵入してきた敵の大部隊と熾烈な戦いを繰り広げたのである。
彼らの活躍によってイアンデンは滅亡から免れたが、決して癒えることのない規模の被害を負ってしまったのである。
【魂、休まらず】
イアンデンの先見(シーア)たちも、この〈方舟〉の滅亡は遠くないと悲観しており、彼らは兵員数確保のために「霊機」(レイス・コンストラクト)を導入することを決意する。無言の霊兵「レイス・ガード」や巨大な霊兵「レイス・ロード」は、イアンデンの数少ない生身の兵士であるガーディアンとアスペクト・ウォリアーに援護されながら数々の戦果を挙げていった。
こうしてイアンデン軍は戦力が回復できたが、霊機を動かす代償が必要となった。霊機を操ってるのは他でもない、今は亡くなったイアンデンのアエルダリ族の魂なのである。
霊機は無限回路で安らかなる日々を送っていたアシュルヤーニの魂を、幽骨製の機体に搭載されている魂魄石に移すことによって動く兵器だ。強力なる大型兵器を易々と扱い、生身の身体よりも耐久力の高い幽骨の機体は彼ら彼女らの強力な戦力となる。
しかし戦闘中に魂魄石が破壊されてしまった場合、その魂はスラーネッシュ神に貪り喰われてしまう危険性を持つ。また、機体に搭載された魂魄石のみが紛失してしまった場合、あるいは回収不可能な場合は、辺境の惑星に巣食う精霊や住人たちの餌食となる可能性もある。
彼ら彼女らの魂を扱うシーアたちも、本心は先人たちの魂を安らかに休ませたいと願っている。それ故、アシュルヤーニたちにとって死者の魂を利用するのを忌避しているのである。
だが、人員が少ないイアンデンの〈方舟〉を存続するには、霊機に頼らざるを得ない。それ故に、彼らの魂は死してもなお戦い続けなければいけないのである。
かくして今や霊機の数は生身の兵士の数を上回り、イアンデンの軍勢は死者に依存しなければ成り立たない状況となったのだ。
【死霊の導き手】
アシュルヤーニの霊魂を呼び戻すことに精通した者は「魂見司」(スピリットシーア)と呼ばれ、霊機を戦場へと導くことが出来る。最も高名なスピリットシーアは「イアンナ・アリエナル」であり、彼女は〈イアンデンの天使〉とも呼ばれている。
彼女は特にインナーリに対しては特に深い共感を示している。戦闘に加わる際は、強大な英雄の魂を封じた霊機をボディーガードとして付けて戦場へ赴くという。
またイアンデンのアシュルヤーニたちは、深層意識の部分で死せる同胞たちの魂との間に結んでいる絆は、他の〈方舟〉のそれよりも遥かに強い。インナーリの「死者だけが生者を救う事ができる」という主張を進んで受け入れる者たちがいるとすれば、それは紛れもなくイアンデンである。
そして、イアンデンに住まう全てのアシュルヤーニはただ一つの信念を持ち続けている。「イアンデンの灯明未だ絶えず。今一度大きく輝かん」と。
画像出典(アイコン、イラスト):コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P18より
【概要】
強大なサイカーが多く住まう〈方舟〉。ウルスェの軍勢は、先見の能力と、厳しい訓練を積んだ「黒の守」(ブラックガーディアン)によって知られている。
白兵戦に長けたアスペクト・ウォリアーが少なく、主戦力が「ガーディアン」と呼ばれる市民兵で構成されているのが特徴。彼らは自らを、おぞましき〈恐怖の眼〉に対する不眠不休の防人であると自負している。
多数の「ファーシーア」と「ウォーロック」を擁するウルスェの軍勢は、渾沌のもたらしうるあらゆる脅威に、いつでも目を光らせてきた。最も他の〈方舟〉に住まうアエルダリは、「そんなウルスェのアエルダリ自身が既に呪われている」と噂されており、一部のアシュルヤーニはウルスェ人を“呪われし者”と呼んでいる。
それ故にウルスェのアエルダリが持つサイキック能力の高さこそが、彼らが〈恐怖の眼〉の近くに身を置きすぎたがゆえに魂を汚された証拠だと主張する者も少なくない。
【強大なる先見者たち】
ウルスェの強大なるサイカー(異能者)たちは、他の〈方舟〉の同業者たちよりもはるかに正確な未来予知ができる。この恵まれた能力のおかげで、ウルスェは自身の身を守りつつ、仇敵たる渾沌の軍勢を出し抜くことが出来るのだ。あらゆる〈方舟〉の中で、ウルスェは他種族との関係を最も深めている〈方舟〉だが、それもまた、彼らの目的達成のために必要な要素ということになる。
かつての至高先見司(ハイ・ファーシーア)「エルドラド・ウルスラーン」を頂点としたウルスェの〈先見者の評議会〉(シーア・カウンシル)は、過去から現在に至るまで、何度も銀河の歴史を変えてきた組織と言えよう。先見会議の命に従い、ウルスェは軍を動かし、戦士たちは一見ウルスェの未来とは無関係な戦いへとおもむいてきた。
そしてもちろん、これらの戦いが、どれも究極的な部分でウルスェの未来と深くかかわっていたことは間違いない。しかし、他種族にこの深い関係性が理解できるはずもなく、こうした「不透明な理由による紛争への介入」が、他種族をして「エルダーは勝手で、行動に一貫性が無い」と言わしめるようになった。
だが、ウルスェの先見司たちは、”斜面を転がる小石を止めれば、崖崩れを未然に防げる。”逆に言えば、”すべてのがけ崩れは、斜面を転がりだした一つの小石から始まる”ことを知っている。実際、ウルスェの先見司たちは、歴史を変える為ならば帝国を操り、彼らを駒として動かすことをいとわない。''
結局のところ、アエルダリ族1人の魂を救えるならば、10万人の人類が死んだところで先見司の知ったことではないのだ。ウルスェの軍勢において、サイカーの存在は極めて重要にして強大な戦力である。
【少数精鋭の戦士たち】
長きに渡ってウルスェはサイカーの力に多くを頼ってきた。だが、それゆえにウルスェは、〈相の戦士〉の数がとぼしいという大きな弱点を持つことになっている。
「先見の道」は長く、そして険しい。それ故に、かの道に足を踏み入れた者は、〈戦士の道〉をたどる時間がほとんど残されてないのだ。
アスペクト・ウォリアーの絶対的な不足を補うべく、ウルスェでは民兵である「ガーディアン」の大規模な軍を擁する。これは、他の〈方舟〉では見られない特徴として、今日もウルスェの軍勢を支えているのだ。
また、ウルスェのサイカーたちは〈歪み〉の力を利用し、ルーンを宙に投じて未来の出来事を予見するが、その正確性は他の〈方舟〉の同胞たちよりも優れている。予見者たちが拾い集めた洞察の数々は、ウルスェの戦士たちがいつ、どこで敵を攻撃するのかを的確に指示する。
ウルスェは常に、何百という兵で構成された打撃部隊を配置できる。しかもそれらは〈網辻〉の曲がりくねった秘密の通路を経由して、獲物を狙う蛇の如く、目にも止まらぬスピードで敵を掃討するのだ。
彼らの戦いには、何ら関連性が見られぬような例が多い。無知なる観察者には、いくつかの戦いは〈方舟〉が利することなきように、あるいは他の戦いで獲得した勝利を無駄にするかのように見えるだろう。
にも関わらず予見者たちは、大多数には理解不能なほど長期的な視点に立って行動している。結局のところ、〈方舟〉ウルスェのアシュルヤーニたちは、自らの種族を優先して戦っているに過ぎない。
画像出典(アイコン、イラスト):コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P16より
【概要】
かつて古代に繁栄したアエルダリ帝国の再建を志す方舟。彼らは〈戦士の道〉に重要性を置き、「再興は、戦乱のるつぼにおいて、血と闘争によってのみ成しとげられるものだ」と信じて戦い続けている。
それゆえ、ビエル=タンが擁するエクサーチの数は他の方舟に比べてはるかに多く、選抜されたエクサーチからなる「若き王の近衛」と呼ばれる特殊部隊までも存在する。かの精鋭部隊の任務には、戦いの前夜に「現身」(アヴァター)の降臨儀式を執り行う。
復活を遂げた現身に率いられるビエル=タンの軍勢は、何かにとりつかれたかの如く血を求め、押さえられぬ激怒がアスペクト・ウォリアーたちを殺戮へといざなうという。
【〈若き王〉】
この〈方舟〉の支配層の中でも特筆すべきものに〈若き王の宮廷〉がある。これは格別の偉業に奉仕するエクサーチたちで構成された一団だ。
〈若き王〉は、必要に応じて「アヴァター・オヴ・カイン」を召喚するための犠牲となる〈相の戦士〉が、一年の間身を置く位階である。寛容や慈悲といった概念を、種族の復権をかけた征戦において党に捨て去ったビエル=タンの戦士たちの憤怒は、アヴァターという存在によってさらに激しく高まり、常日頃もたらしてきた流血と破壊以上の大虐殺へと彼らを駆り立ててゆく。
【激しき剣の嵐】
戦闘に召集されたビエル=タンの戦兵団は「バーザカイン」と呼ばれ、アエルダリの言葉で、「剣の嵐」、「刃の嵐」もしくは、「鋭き切れ味の凍てつく落ち葉」と言う意味を持つ。ビエルタンの軍勢は、疾風迅雷の勢いで進み、猛攻によって敵を滅ぼすことを最上の策とみなしている。
つまり、奇襲と集中攻撃というパターンを好み、短時間での撃破を得意としているのだ。それ故に彼らは、様々なアスペクト・ウォリアーたちを全面におしたてて、速攻と集中攻撃で敵の瞬殺をはかる。敵は反撃すら許されずに、そのまま勢いに圧倒されてしまうのてある。
また、ビエル=タンの軍勢は射撃戦が得意で、敵に対して放たれる圧倒的な「シュリケンウエポン」(シュリケンピストル、アヴェンジャー・シュリケンカタパルト、クルノスの弓等)を駆使して戦況を有利に進める。
【〈乙女の星〉を守れ】
ビエル=タンのアシュルヤーニたちは、〈乙女の星〉やエクソダイトの住まう惑星を、輝かしき種族的遺産と見なし、また銀河系の支配権を取り戻す際に重要なる今後の前哨基地と見なしている。かつて荒れ果てていたはずの惑星も、遡れば〈失墜〉以前に無数の実りを約束する種が撒かれていた。
そのため、そうした惑星は現在、いずれも緑豊かな楽園となっている。ビエル=タンの戦兵団は、こうした惑星の他種族の侵入に対して猛烈な反撃を行う。
侵入者の中でも彼らが特に嫌悪するのはオルクだ。極めて侵略的、破滅的、攻撃的、そして悍ましきまでの繁殖力を持つこの種族は〈乙女の星〉を大いに危険に晒すからである。
こうした美しい惑星を発見した多くの種族の無防備な探索隊は、到着から数日、あるいは数時間のうちに虐殺された例は枚挙に暇がない。
【ビエル=タンの崩壊】
第41千年紀の終わり、ビエル=タンは〈乙女の星〉の一つである「ウルスリア」に襲いかかってきた「マスク」率いるスラーネッシュ神の軍勢「悦楽神の仮面」と戦っていた。悦楽神の仮面らは長きに渡って封印されてきた〈網辻〉の門の防衛を破壊し、〈方舟〉ビエル=タンそのへと侵攻していった。
〈方舟〉内へと侵入した悦楽神の仮面らは船内の無限回路へと侵入し、もはやビエル=タンの軍勢が崩壊するのは時間の問題であった。しかし、アエルダリの新興勢力「インナーリ」たちが参戦し、ビエル=タンの軍勢は間一髪で持ちこたえる事ができたのだ。
しかし、ビエル=タンの戦況は悪化していき、状況を覆すためにインナーリらは死の神の化身「インカーネ」を召喚する苦渋の決断を下す。この強大な化身を召喚するために、多くのビエル=タンに住まうアシュルヤーニたちの魂が犠牲となった。
圧倒的な力を持つインカーネは悦楽神の仮面らを撃退することに成功し、最終的には勝利を収めた。しかし、化身を召喚した際の衝撃波によって〈方舟〉ビエル=タンの構造が破壊されてしまい、住人らは多くの犠牲を被ってしまう。
【復興への道】
ビエル=タンの住人の多くはディーモンの犠牲となり、生き残った他の者たちはインナーリへと加わったため、ビエル=タンの住人数は以前の半数となった。〈方舟〉の本体は原型部分の幽骨のフレームがもげてしまい、腐敗や老朽によって蝕まれ、太陽光を受けて進む巨大なる帆はボロボロに砕けてしまった。
〈方舟〉の保守を行う〈幽骨の歌い手〉たちはこの巨大なる都市船が崩壊してしまわぬよう、たゆまぬ努力を続けている。ビエル=タンの住人の大部分はこの崩壊しかけている〈方舟〉の宇宙船団に居住し、再び種族復興のための戦いに身を投じている。
ビエル=タンの〈方舟〉にある無数の「幽冥の間」(ゴーストホール)には、新たに動き出した無数の霊機が数を増やしている。その機体には、もはや無限回路では保護できないビエル=タンの住民らの魂が無数に憑依しているのである。
ビエル=タンの〈方舟〉に住まうアシュルヤーニの人口は半分となったが、生き残った者たちはアエルダリの種族復興を必ずやり遂げてみせるという決意を固めたのだ。
画像出典(アイコン、イラスト):コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P14より
【概要】
アシュルヤーニの中でも勇猛果敢な者が多い〈方舟〉で高機動な部隊を率いた奇襲や強襲を得意とする。荒々しい戦士だが、名誉を重んずる。
そして他の〈方舟〉には見られない独特な血族の文化によって社会が形成されている。
【荒々しき者】
セイム=ハンはアエルダリ古王国に〈失墜〉が迫る中、最も早い時期に故郷を捨てた〈方舟〉である。奇妙なことに、彼らは銀河の最辺境に住まうエクソダイトたちと近い文化を育むに至った。
セイム=ハンの民の多くは、一定期間エクソダイトと共に過ごし、また危険を伴う儀式の多くを未だに厳守している。これは比較的早期に古王国を脱出したことの結果であろう。
それらの一つが「コルタイ」だ。これはジェットバイクにまたがる権利を賭けて、血族の長に対して猛スピードの競争を挑む儀式である。
こうして〈方舟〉セイム=ハンの民は、無数の儀式的戦闘を繰り広げているが、これは他の方舟が紛争解決の解決手段として長い議論を繰り広げる方法とは完全に対照的である。たとえどれほど強い反対をしていた者であっても、セイム=ハンのアシュルヤーニ全員が同意する決定が下されることになる。
こうしたセイム=ハンの文化や慣習は、他の〈方舟〉に住まうアシュルヤーニからは、野蛮とみなされていることが多い。セイム=ハンのアエルダリはいずれも恐れを知らぬ戦士ぞろいで、名誉を求める心が他の”洗練”されたアエルダリたちよりも露骨であることも、こうした悪評と無関係ではないだろう。
セイム=ハンのアエルダリが持つ勇猛ぶりは伝説的ですらあるが、彼らの持つ強い自尊心は、時として不必要な戦争を招き、他の〈方舟〉との軍事衝突すら記録されている。
【誇り高き血族】
セイム=ハンを代表する部隊と言えば〈野の乗り手〉、すなわち「ワイルドライダー」であろう。彼らは高機動のジェットバイクにまたがり、まるで風のように戦場を駆け巡っては、敵を強襲することに長けている。
ワイルドライダーからなる”血族”は、かの〈方舟〉において大きな政治的影響力も持っているようだ。何故ならば、セイム=ハンの〈方舟〉においては、先見を含めてほとんどすべての戦士が、何かしらの血族に属すからだ。
それぞれの血族は、代表者である「長」によって率いられ、長と血を分けた一族が、その血族の構成員となる。長はアウタークの役割を果たし、自らに最も近い血縁者と最も優秀なる戦士たちを束ねて「同胞団」を形成する。
戦場の外では、この集団は長の相談役や助言者としての役割を果たす。血族は正に地という絆によって結ばれており、戦の前夜、彼らは湯気を上げる新鮮な血でその体に化粧を施してから共に戦場へ赴くという。
これと同じく、ジェットバイカーやヴァイパーのパイロットたちにも、血の絆があてはめられている。具体的に言うと、部隊は全員が血のつながる者たちからなり、自らの血族を現すルーン文字を機体に書き込んでいるのだ。
一族の係累や血縁関係はセイム=ハンにとっては非常に重要であり、〈相の戦士〉となること以外でそうした絆を捨て去る事は無い。また、セイム=ハンの戦士たちは多くは口頭で血族に誓いを述べ、互いの手首を切って流した血をすすり合ってその誓いを封印する。
この誓いの一つを違えることがいれば、それは「ブレイ=デオラディ」、名誉無きはぐれ者と見なされるのだ。
【社(やしろ)に対する忠誠】
こうした考え方は、セイム=ハン全体に浸透しているが、唯一の例外がある。〈相の戦士〉(アスペクト・ウォリアー)たちには、この血の絆による制約が無い。
なぜなら、自分が身を寄せた社(やしろ)に対する奉仕と忠誠こそがアスペクト・ウォリアーに対する最重要の事柄であり、家族的な結びつきは二の次とされる。セイム=ハンに生まれたアエルダリ族は、その成長過程において様々な通過儀礼を必要とする。
【宇宙蛇の紋章】
彼らの通過儀礼は、多くが緑にあふれたエクソダイトの惑星をその舞台とするらしい。中でも有名なのは、「ダガースネーク」と呼ばれる生物を素手で捕まえるというものだ。
蛇はセイム=ハンの象徴であり、彼らは自信と蛇の間に特別な感情を抱いているようだ。例えば、セイム=ハンのジェットバイク部隊は、まるで獲物を追いかける蛇のような動きで戦場を駆け巡る死、セイム=ハンのアエルダリは、誰もが蛇をかだどった刺青を体のどこかに入れている。
また、セイム=ハンは、「シャイニング・スピア」に連なるアスペクト・ウォリアーが特に多い〈方舟〉であり、戦場においては味方の先陣を切って敵陣へと切り込んでゆく。まさにセイム=ハンの代名詞的な存在だ。
セイム=ハンのアエルダリで特筆すべきは「恩義」を尊ぶ価値観である。彼らは受けた恩義を尊び、それに名誉をもって応えるのだ。
【自立した指揮系統】
こうした「血は水よりも濃し」という思想や自らの文化や個々人の技量に大きな誇りはセイム=ハンの強みではあるが、大きな弱みでもある。他の〈方舟〉がまるで一つの意志の下で行動するのに対して、セイム=ハンでは血族ごとに考え、行動する事が許されている。
それに加え、〈野の乗り手〉の血族は、戦いが生じた際に、応戦のために出撃するか否かを自由に選択できる。これは通常、予見者や戦将によって大規模な動員が判断される他の〈方舟〉とは大いに異なっている。
血族は他の血族の支援なしで、あるいは承認なしで参戦することがあるが、このアシュルヤーニたちは生来の衝動的な気質故に、ある血族が戦うことを表明したことをきっかけに次々と他の血族が参戦することもしばしばある。
ある戦いで複数の血族が共闘する際、セイム=ハンのアシュルヤーニたちは自らの〈野の乗り手〉の長に従うが、〈方舟〉の象徴となっている宇宙蛇の旗の下で緩やかな同盟を形成することも珍しくない。また血族同士の緊張が、〈方舟〉内での不和に発展することもある。
こうした血族間での不一致では、互いの血族を代表する戦士の決闘で決着がなされるらしい。むろんこれは儀式的なもので、最初に血を流した方が敗者となり、勝者の意志を受け入れる、というしきたりがあるそうだ。
だが、そこに事故が無いわけではなく、そうした事例からセイム=ハンのアシュルヤーニたちは、他のアエルダリたち「むやみに野蛮で後進的」と呼ばれるのである。
【戦闘教条】
セイム=ハンの戦士たちが示す野蛮さは、銀河系全域でこの〈方舟〉に対する悪名を高めた。徹底的な高速強襲を執拗に実施する〈野の兵団〉は、あまりの速度で真紅の靄と化した攻撃機で、戦いの雄叫びと共に敵を襲う。
彼らの獰猛な戦いぶりは、敵を追い立て、退かせ、セイム=ハンの軍勢が再び攻撃をかけるための時間を十分に稼ぎ出す。この〈方舟〉の戦士たちは蛇の攻撃を模した戦術に秀でており、静止状態から息をのむ程の猛スピードまで瞬く間に加速し、必殺の一撃を放つのだ。
画像出典(アイコン、イラスト):コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P15より
【概要】
アエルダリ族の中でも厳格な体制で知られている方舟。隠密や偽装工作を多用する。
厳格な体制や厳しい修行を行うが故に、その抑制に耐えられずに飛び出して「出奔者」(アウトキャスト)となる者が多い。元来、アレイトックのアシュルヤーニたちは、先人の編み出した〈道〉という名の哲学を最も厳格にとらえ、外部との接触を途絶して、自らを厳しく律してきた。
そこの厳格さは他の〈方舟〉からは原理主義者とも呼ばれるぐらいのものであったという。しかし皮肉なことに、この〈方舟〉が持つ〈道〉への熱狂と追従こそが、多くのアシュルヤーニたちをアレイトックから離れさせることとなる。
自らの小さな失敗を理由に追放処分を受けたにせよ、厳格すぎる体制が窮屈で逃げ出したにせよ、抑圧された探求心を抑えきれなかったにせよ、実に多くの者がアウトキャストと呼ばれる放浪者に身をやつすことが珍しくないのだ。〈方舟〉を離れたアウトキャストたちは気の向くままに銀河のあちこちを旅し、時には危険な冒険に身を投じたりもする。
【故郷を想う出奔者たち】
かくして、アレイトックの名は「アウトキャスト」の別名となり、この二つの言葉はほとんど同じ意味の言葉として銀河中に広まったのである。アウトキャストは自発的にせよ、そうでないにしろ、アレイトックの窮屈な社会を飛び出したアシュルヤーニたちである。
しかし、彼らの多くは宇宙海賊になったり銀河中を放浪したりする者がほとんどだが、故郷のアレイトックに格別の愛着と忠誠心を寄せたまま旅を続けている。彼らは、たとえ自らがアレイトックの社会から要求された基準に満たなかったにせよ、そう試みなかったにせよ、何故に厳格な〈道〉という従うべき概念があるかを理解しているのだ。
何処に赴こうとも、これらのアシュルヤーニたちはアレイトックのために危険な任務も進んで引き受ける。そして有事の際は、出て行った者たちが一斉に集まり、故郷の危機を救うために正規軍として戦いに参加するのだ。
この〈方舟〉には至る所に「協力者」(エージェント)を配置している。デュカーリの住まう〈仄暗き都〉コモラフであれ、銀河を股にかける「海賊」(コルセア)の内部にさえ協力者は存在するのだ。
コルセア艦隊の中には協力者が船団長へと登り詰めることもあり、必要に応じてアレイトックに協力する例も珍しくない。銀河へと散っていったアレイトックの末裔たちは「遠駆け」(レンジャー)となり、中には〈出奔の道〉へと進む者たちもいる。
それはさながら、〈戦士の道〉を征く者がエクサーチとなる姿と似ているだろう。これらの「草分け」(パスファインダー)たちは隠身術と潜入の超絶的な技巧の持ち主であり、彼ら彼女らは不可視の暗殺者として確実無慈悲なる射撃を放って敵を屠る。
【銀河に渡る遠駆け】
また、多くの出奔者や協力者のネットワーク、予見者の未来予知によってアレイトック銀河系の政治的、軍事的な事象を驚くべきほど詳細にまとめ上げている。彼らは〈方舟〉の目となり耳となって故郷を助けているのだ。
例を挙げれば、「オクタリウス星域」における異種族ティラニッドの脅威が急迫していること、「シャラドン星域」における渾沌の軍勢の一団「デスガード」によるおぞましき感染拡大、そして「リーヴァニア群星団」が直面する潜在的な危機について詳細な知識を得ている。アレイトックのレンジャーたちはまた、オルクの大族長「ガズグッカル・ザラガ」の暴威に引き寄せられて大移動する無数のグリーンスキンの軍勢を阻んでもいる。
こうした予測に基づく認識により、アレイトックの軍勢は常に敵の数歩先をゆくことが可能だ。重要な偵察情報とファーシーアの洞察とを織り交ぜることによって、アレイトックは参戦する以前に戦場に関する信じがたいほど精密な理解を得る事ができるのである。
更に万全の布陣を敷くべく、彼らはレンジャー、パスファインダー、シュラウド・ランナー他、同様の部隊を配置し、不可視の軍勢で敵を撹乱する。これらの戦士たちは多方面から陽動を行い、敵指揮官から有効な反撃手段を奪うのだ。
【仮面劇団との共闘】
銀河中を放浪するアレイトックのレンジャーたちは、アエルダリの旅芸人勢力「ハーレクィン」とのゆるやかな協力関係にもあるらしい。彼らは頻繁に情報交換を行い、〈網辻〉(ウェブウェイ)の奥深くにまつわる秘密も共有しているそうだ。
戦場においてもレンジャーとハーレクィンが持つ互いの技術は完全な調和を成す。アレイトックが軍を動かすとき、その先鋒には多数のレンジャーが配置される。本体よりも先行して展開したレンジャーたちは、敵に混乱を引き起こすだけでなく、敵に発見されずに遠距離からの攻撃及び足止めなどで指揮系統を混乱させるのだ。
レンジャーが任務をこなし、アレイトックの主力が到着する頃には、消耗しきった統率無き敵部隊が点在する。そこに、主力部隊のアスペクト・ウォリアーやハーレクィンが一気に展開され、敵を思うがままに止めを刺すことが出来るのである。
【犠牲になった放浪者たち】
〈帝国〉は、アエルダリにまつわる多くの知識をアレイトックの〈出奔者〉たちから学び取った。他の〈方舟〉のアシュルヤーニと比べて、アレイトックのアシュルヤーニは銀河中を遍歴する者が数多い。
それ故に、〈人類の帝国〉の捕虜になる確率が非常に高いのである。囚われの身となったアレイトックのアシュルヤーニたちは望んで情報を与えたのではなく、ほとんどは異端審問官によるおぞましい質疑応答の結果から知識を得るのだ。
だが、アレイトックはそういった〈帝国〉の横暴を看過せずに彼ら彼女らは〈帝国〉に幾度となく報復戦争を仕掛けている。「ベールゼ紛争」に従軍している〈帝国〉の将官は、この戦いを「まるで亡霊と戦争しているようだ」と表現したそうだ。
【ネクロンとの戦い】
アレイトックの最大の宿敵は異種族「ネクロン」である。この〈方舟〉が古来恐れていた予言は、何千年もの歳月を経た今、もはや現実のものとなった。
その結果、アレイトックはかつて壮大な規模で作成されたものであろう。ネクロンの墳墓惑星全ての位置を克明に記憶してあるクリスタル製の銀河系地図の断片に、各地の同盟者から得られた情報を照合し、ネクロンという驚異との戦いを優位を展開すべく活用している。
アレイトックの戦士たちは、この古来の宿敵に対し先制攻撃を行う事が多いが、その際、ハーレクィンの仮面劇団「夢見る影」がしばしば〈方舟〉の戦士たちと共闘する。 この二大勢力がこれまでに打ち立てた輝かしい勝利の一つに、「ハイレク王朝」全体を、この王朝が全力を活性化させ、地底から出現しようとするまさにその日に全滅させたことが挙げられる。
アレイトックの民が大いに恐れ、憂慮しているのは、「パーリア星間結合」が及ぼす危険性だ。このネクロンが造り出した「ブラックストーン」製の構造物の集合体は〈歪み〉を抑制し、その影響範囲内にいる生命体を魂なき抜け殻へと変えてしまう作用を持っているためである。
アエルダリの中には、それを“死せる星々の海”と呼ぶ者たちや、あるいは大まかに翻訳すると“魂亡き者たちの牢獄”を意味する「カイラーグ=ム=ラック=フューエアリル」と呼ぶ者たちがいる。この事象について〈方舟〉の民が最初に警告したのは、〈方舟〉の擁する筆頭予見者、“沸き起こる破滅の預言者”こと「イローク・シェイエ」であった。
【新たなる勢力への疑念】
〈方舟〉アレイトックの民は、アエルダリの新勢力「インナーリ」の台頭に続いて生じた、種族存亡の危機をめぐる内紛状態には至っていない。新たな台頭を始めたこの教団を支持する者たちと、この教団に不審の念を抱き、危険視する者たちとに分裂した〈方舟〉は多いが、“星々を駆けるもの”たちの忠誠心は強く、逆に彼ら彼女らを一層緊密に団結させたのであった。
〈道〉は、その峻厳さゆえに端を踏み外す誘惑は強い。だが、それに抗うアレイトックの民もまた、同様に剛直なる意志の持ち主なのだ。
画像出典(アイコン):コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P22より
画像出典(イラスト):小説「Harlequin」表紙より
その他の〈方舟〉
【概要】
アエルダリ方舟の中でもの小規模な〈方舟〉。〈恐怖の眼〉に渦巻いている〈歪み〉による影響で、一万年間ほぼ無傷で生き残っている。
アエルダリの〈失墜〉によって古王国が滅んだ際、スラーネッシュ神誕生による爆縮の衝撃波によって多くの〈方舟〉が破壊された。〈失墜〉から逃れた方舟アルタンザールは、不運にも〈恐怖の目〉から放たれし重力井戸に捕らわれてしまう。
〈恐怖の目〉から脱出できない中、渾沌の悪魔たちはアルタンザールに攻撃を仕掛けていく。これに対し、アルタンザールのアエルダリたちは渾沌の悪魔へと500年間抵抗を続けたが、彼らは〈恐怖の目〉からの重力井戸から逃れられない運命にあることを悟ったのだ。
【〈歪み〉からの脱出】
〈失墜〉から500年後、方舟アルタンザールは、〈歪み〉の中へゆっくりと消えてしまった。〈方舟〉と〈恐怖の目〉から脱出したのは、アルタンザールに所属する〈不死鳥の将〉「モゥガン・ラー」ただ一人であった。
〈失墜〉から約1万年後、第十三次〈黒き征戦〉が敢行され、〈恐怖の目〉から多くの渾沌の軍勢が〈帝国〉領土へと進軍していった。この時モウガン・ラーは、〈恐怖の目〉へと侵入する入り口を発見する。
彼は〈恐怖の眼〉の中に居る生存者の救出を行うために、危険な探索を行ったのだ。〈恐怖の目〉へと侵入したモゥガン・ラーはなんと、〈方舟〉アルタンザールを発見する。
そして驚くべきことに、アルタンザールに乗船していたアエルダリたちはまだ生きながらえていたのだ。彼らは〈恐怖の眼〉にある裂け目を見つけだし、そこから脱出することに成功する。
【向けられし疑念】
しかし、脱出したアルタンザールは、他の〈方舟〉に住まうアシュルヤーニたちから何故一万年間も渾沌の勢力から無傷で生還しているのか不明なため、疑惑と敵意が向けられていた。彼らはこの試練の中に穢れを負ってしまったと囁く者もいれば、インニアードと何らかの恐るべき盟約を結んだとつぶやく者もおり、恐らくそれらの噂はいくらかの事実に由来するものではあるのだろう。
囁き声でのみ応答し、死そのものを連想させるほど白い肌ろなったアルタンザールの民は、彼らの生命が半ば陰に捕われている事を暗示しているからだ。〈方舟〉アルタンザールのルーンは「断ち切られた鎖」を意味する。
かつてクルノス神と女神イスハがカイン神の地下牢から脱出したことを示していたこのルーンは、アルタンザールが〈恐怖の眼〉を脱出して以来、より不快意味合いを帯びている。生還を果たした彼らの疑惑が払拭される日は果たして来るのだろうか。
画像出典(アイコン):コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P24より
- 「イブラェシル」
【概要】
母権制社会を基盤として築かれた〈方舟〉イブラェシルは、他のどの〈方舟〉よりも女性の戦士たちが大勢いる。何千年もの長きに渡り、〈絶叫せる女禍〉(ハウリング・バンシー)はイブラェシルの戦兵団の前衛部隊を務め、不協和音の雄叫びで麻痺した敵を屠り続けて来た。
イブラェシルの伝説によれば、この〈方舟〉の始祖たちは女神「モライ=ヘグ」と結んだ盟約について「七の七倍のイブラェシルの女戦士たちが〈老婆〉の死の侍女となったため、彼女らの姉妹たちは長く実りに満ちた生を謳歌し、彼女の呪いに触れる事は無くなった」と語っている。そのためか否かは謎だが、今日に至るまで〈方舟〉の成員たちは女性の割合が著しく多い。
この暗き時代、イブラェシルの民は〈老婆の星〉の探索に尽力している。その目的は、そこに眠る女神イスハの涙、すなわち魂魄石のみならず、古王国のテクノロジーや破滅の運命を覆し得る古代の最終兵器をも発見し、確保することだ。
〈方舟〉イブラェシルを表すルーンは「痛みより授かる知識」を意味する。これは、老婆モライ=ヘグが自らの体に流れる血に宿る知識を得るため、カイン神に頼んで自らの手首を斬り落とさせ、そこから溢れる血をすすって叡智を得たという故事に由来する。
これこそ、啓蒙のために必要となる犠牲の象徴なのだ。
【概要】
〈方舟〉ルーガナスのアシュルヤーニは、他の方舟から海賊よりも多少はまし、といった認識をされている。ハーレクィンと緊密な結びつきを持つ彼らは、物質宇宙に留まる大義をほぼ捨て去って、〈網辻〉へと離脱した。
ルーガナスの戦士たちは、自らが必要とするものを奪い取るためだけに物質宇宙へと侵入し、アエルダリの基準でも非常に手際のよい、迅速な強襲を行う。お前らデュカーリか 〈方舟〉ルーガナスから海賊艦隊がしばしば出向することが何度も報告されており、とりわけ海賊「燃え盛る太陽の兄弟」はこの〈方舟〉と共に戦い事が多い。
このような海賊との不可解かつ不穏な同盟関係を維持しているのにもかかわらず、ルーガナスの民は自らの凶悪な同族である「デュカーリ」に対する親愛は一切持ち合わせておらず、両勢力は〈網辻〉の外で幾度となく衝突している。ただの同族嫌悪 ルーガナスという名称はアエルダリ語で「落日の光」を意味する。
この〈方舟〉のルーンは黒き太陽を象っており、原初のアエルダリ星系の失われた栄光を偲ぶ意匠でもある。虚空の彼方を見張る風は、今でも死に瀕したかの星々の最後の輝きを目にする事ができるという。
それはルーガナスのアエルダリにはおなじみの、希望の暗喩でもあるという。
画像出典(アイコン):コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P24より
【概要】
暗黒神との終わりなき戦いにおいて、〈方舟〉イル=カイスのアシュルヤーニは鋭き報復の刃となる。渾沌とその尖兵を撃滅するためならば、彼らはコモラフに住まう同族デュカーリや、あるいは人類の軍勢とさえも同盟し、自らの目的を果たすだろう。
この実現不可能な挑戦は、彼らを何世代にもわたる絶え間なき戦争へと運命づけた。〈方舟〉の名称でもある「血の知識」すらも、今やその意味を変えたと言えよう。
かつて方舟の名称は、世代から世代へと受け継がれる恩寵と始祖たちの祝福を意味していた。だが、ここ数千年の間にそれは永遠の戦争を約束するものへと変わってしまったのだ。
かつてこの〈方舟〉は〈幽骨の歌い手〉の優れた技量によって名を馳せていた。今や同じ匠たちはその技量を、武器や兵器の開発と製造にのみ振り向けており、霊機とヴァール神の機関を癒すために戦兵団に同行している。
イル=カイス出身のアシュルヤーニは、英雄エルダネッシュの兜を自らの紋章としている。神話によれば、アシュリアン神はエルダネッシュに万物を見通す兜を与えたという。
彼はこの兜のおかげで無数の敵を倒したが、やがて兜を通じて己が未来を見通し、戦友であったカイン神の手によって死を迎える自身の姿を目にしたという。イル=カイスにとってこの紋章は、知識には時として恐るべき代償が伴うことを思い起こさせるものとなったのだ。
画像出典(アイコン):コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P24より
【概要】
イメ=ロックの戦匠(ウォースミス)は巨大な破壊兵器の製造に尽力している。彼らの奮闘により、〈方舟〉には高機能狩る大量の兵器が配備されている。
イメ=ロックの誇る〈ヴァール神の機関〉こと反重力戦車によって戦場に運ばれる。イメ=ロックには霊機の数こそ少ないものの、アエルダリの間には、この〈方舟〉の戦匠たちが死者の魂を動力源とする強大無比な新兵器を開発したという噂が流れている。
それは当のイメ=ロックがあえて投入を見送るほど、あまりにも破壊的な力を持っていると言われており、噂によれば、霊的な大暴風によってあらゆる生者の肉体から生きたまま魂を引き剥がしてゆき、わずか数分で一つの大陸全体からあらゆる生命を洗い流す事ができるほどの威力なのだという。〈方舟〉イメ=ロックを示す「魂の坩禍」は、ヴァール神が九十九と一振りの「ヴァールの剣」を鍛え上げた神の工房を意味している。
イメ=ロックのアシュルヤーニにとって、このルーンは「自らの種族の運命はまだ自らの手にあるのだ」という信念を示している。
画像出典(アイコン):コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P25より
【概要】
〈失墜〉によってアエルダリ古王国が滅んだ後、銀河の荒野に投げ出された〈方舟〉マイミーラ。この〈方舟〉の民は何千年もの間、自分たちだけが銀河系で唯一生き残ったアエルダリだったと思い込み、単独で宇宙の虚空を彷徨っていた。
種族の歴史と記憶を受けづぎ、それらの最後の守り手となった事を信じたまま過去の栄光を想うあまり、彼らは徐々に内向的になっていった。長い隔絶の間、マイミーラは自らの生存を賭け、荒れ狂うオルクと版図の拡張を続ける人類の〈帝国〉との戦いに明け暮れた。
この熾烈な戦いの中、無数の敵を討ち果たしつつも多くの民の命が失われていった。この時マイミーラの唯一無二の希望は、シャドウ・スペクターの〈不死鳥の将〉「イリリス」であった。
彼の提案によってマイミーラの戦士たちは素早い隠密と高火力による新たな戦法を編み出し、〈方舟〉が銀河系を安全に航行するための進路を切り開いたのであった。マイミーラの〈方舟〉の安全が確保された確認した後、イリリスはすぐさまマイミーラを去り、破竹の勢いで銀河の覇権を狙う〈帝国〉との戦いへと旅立ったという。
後にマイミーラは孤立し、常に寡兵をもって戦う必要に迫られると、偽装と隠蔽の手段を磨き、〈方舟〉そのものを外部の目から隠す方法を編み出すが、やがて運命はマイミーラと他の〈方舟〉とをめぐり合わせた。再開した同胞たちが、独力で生き延びてきたマイミーラが機知に富む狡猾な戦士たちであることに気づくまで時間はかからなかった。
この〈方舟〉のルーンは、アシュリアン神の致命的な睥睨をあらわす「呪いの目」である。この紋章を掲げたマイミーラの戦士は、高貴なるアシュルヤーニを脅かす敵の台頭を阻み、根絶することを常に思い起こすのだ。
画像出典(アイコン):コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P25より
- 「〈黒の書庫〉(ブラック・ライブラリ)」
渾沌に関する書籍が多く蔵書されている方舟。〈黒の書庫〉と呼ばれており、「ガーディアン」と呼ばれるアエルダリ族によって運営されている。
彼らは種族の〈失墜〉以来、渾沌に関する知識を収集している。〈笑う神〉「セゴラック」によってこの〈方舟〉は建造されたが、建造に至った理由は今でもわかっていない。
通常の方舟と異なって銀河中を移動せず、ブラックライブラリは〈網辻〉の奥深くに停泊している。その場所を知る者はアエルダリ族の中でもごくわずかであり、長らくの間、秘密を守り続けている。
ブラックライブラリへと足を踏み入れるには、弱き精神を持つものを拒む障壁を通り抜けなければならない。障壁を通るには自らの心の弱さを克服する必要があり、内なる渾沌を律する者だけが中へと立ち入ることができるのである。
内部には渾沌の知識が記載された書籍が多く眠っており、「マグヌスの書」の写本や渾沌教団に関する本などの貴重な資料も多い。これらの資料を閲覧するには、ガーディアンによる厳重な監視が必要になる。
ここで得られる知識は、渾沌と戦うための有用な内容もあれば、悪用される危険な内容まで揃っている。それ故に、ブラックライブラリのセキュリティーは堅く、簡単に悪用されないよう厳重な警戒態勢が敷かれているのだ。
主要キャラクター
- 「エルドラド・ウルスラーン」
“人間ごときに我らの痛みが分かるものか。君たちの先祖が、醜くはり出た腹をひきずって海から這はい出た時にはもう、私たちは悲しき恋の歌を吟じていたのだからな。”
【概要】
かつて方舟「ウルスェ」を導いてきたアエルダリの至高先見司(ハイ・ファーシーア)にして、指導者であった。予知の力と強力なサイキックの力で1万年以上もの間、ウルスェを導いてきた。
彼は予知を基に、繊細な計略の数々を練り上げ、時代の流れを操り続けてきた。偶然にも思える出来事も、彼の掌の上で操られていた計略であったことも珍しくない。
あらゆる先見司と同様、彼も「ゴーストヘルム」を装備して戦場へと赴く。この神秘的な装備は、装備者が〈歪み〉の中に身を置いた時にその姿を覆い隠し、不浄なる捕食者たちから保護する機能を持つのだ。
また彼は「終止のルーンの鎧」(アーマー・オヴ・ラスト・ルーン)を装備している。その胸当ての部分には「光が死せる最期の時まで滅ぶことなし」を意味する強大な守護のルーンが刻まれている。
彼は一方の手には永い刃渡りの「ウィッチブレイド」を手にしている。この武器には、持ち手である彼の計り知れぬ精神力を吹き込む事ができる。
もう一方の手には、いにしえのフォースウェポンである「ウルサマールの杖」を握っている。この武器は〈方舟〉ウルスェの無限回路と〈方舟〉そのものが維持している膨大な力と無尽蔵の叡智を利用し、既に比類なき自らのサイキックパワーをさらに強化する事ができるのだ。
【華麗なる計略】
あるときウルスェ軍が突如、オルクの大族長「ガズグッカル・ザラガ」の母星に対して攻撃をしかけたことがあったが、これもまた、エルドラドがある種の予知を得た結果だった。予知の結果を元にして、エルドラドはガズグッカルのライバル部族を強襲し、オルク族におけるライバル部族間の力関係がくずしていった。
エルドラドの支援によってガズグッカルの部族は勢力を拡大し続けていく。その結果、ガズグッカルの大軍勢は〈帝国〉の惑星「アルマゲドン」へと〈いくさだァァァア!〉を仕掛けていったのだ。
しかし、これらの流れは、オルク族が〈方舟〉ウルスェへの攻撃を回避するための巧妙な策であり、エルドラドが練り上げた用意周到な計画の一部であったとは、誰も気づくことはなかったという。このようにエルドラドは、綿密に考えられた計略の数々を通して、時代の流れを操り続けていたのだ。
他種族が夢にも思わぬほどの、あまりにも華麗すぎるその手際で・・。これまでアエルダリたちは、種族に降り注ぐはずだった災いの数々を回避し続け、その多くがエルドラドによる英雄的な活躍によるもので成り立っている。
ある時、誇り高き〈方舟〉である「セイム=ハン」が異種族である「フラド」によって汚染されかけた際も、エルドラドによる支援によってその危機から免れた。またある時は、眠りから目覚めた宿敵種族「ネクロン」による悪意に満ちた計画をことごとく阻止したのも、エルドラドの活躍があってのことである。
【エルドラドの大予言】
かの偉大なるエルドラド・ウルスラーンによってなしとげられた最大級の予見、それが“銀河に巨大な〈歪み〉の亀裂である〈大亀裂〉(グレートリフト)が誕生する。それを序曲として、〈安息惑星〉(エクソダイト・ワールド)「ハラン」で熾烈な闘争が巻き起こるであろう”という内容であった。
〈渾沌の神々〉がいかにして銀河に大きな裂け目を作り、渾沌の軍勢を現実世界へと進軍させようとしているかを事前に予言していたのだ。そして、予言通りに宇宙〈歪み〉の裂けめが生じると、準備を整えたクラフトワールドの軍勢は、惑星「ハラン」に出現した渾沌の軍勢に攻撃を仕掛けた。
壮絶な一進一退をくり返した後、惑星ハランをめぐる過酷な戦争は、アエルダリ側の輝かしい勝利に終わった。多大な犠牲をもって、ハランは渾沌を退けることに成功したのである。
ハラン戦争が終結後、いくつかの年月が流れると、エルドラドは更なる活力とサイキックパワーを身に着けていた。彼はその時、ウルスェの船内にある〈水晶の先見司の天蓋〉(クリスタルシーア・ドーム)で長い時間を過ごすようになっていく。
【強奪者との対決】
そんな安らかな時間を過ごしていたさなか、惑星「アンダンテIV」にて、渾沌の大元帥である「強奪者アバドン」と渾沌の魔術師「ザラフィストン」は方舟ウルスェへとつながる〈網辻門〉へと攻撃が加えられる。
アバドンの最終目的はウルスェの方舟を攻撃するのではなく、エルドラド含む「先見者の評議会」(シーアカウンシル)を一掃することであった。計画はエルドラドたちをアンダンテIVへとおびき寄せ、〈網辻門〉を経由してやって来たところをすかさず門を破壊することにより、退路を断って敵を一掃するという流れであった。
エルドラドは計画通りに、ウルスェの軍勢を率いてアンダンテIVへと現れ、アバドン率いる「ブラックレギオン」兵団と戦闘を開始した。エルドラド率いるウルスェの軍勢は多くの犠牲を出してしまうが、ブラックレギオン兵団を撃退する。
しかし、敵大将であるアバドンを取り逃がしてしまい、エルドラドは自ら予見した〈大亀裂〉の発生がまじかに迫っていたのだ。
【インニードの復活】
そして時が流れ、第41千年紀末、エルドラドはアエルダリ族の死を司る神である「インナード」神の降臨を計画していた。その為にはには、惑星「コヘリア」にある衛星〈水晶の月〉(クリスタルムーン)にて儀式を成功させる必要があった。しかし悲運なことに、その衛星は帝国の領土であり、作戦の遂行は困難を極めていたのである。
エルドラドは危険を承知で、方舟「セイム=ハン」の軍勢や仮面劇団勢力「ハーレクィン」と共に、〈水晶の月〉で儀式を開始した。だが、スペースマリーンの特殊部隊である「デスウォッチ」がエルドラドたちの儀式をすぐさま察知する。
エルドラドの軍勢は監視中隊長「アルテミス」率いるデスウォッチ隊と戦闘を開始する。激戦の末、エルドラドの軍勢は撤退し、インニード降臨の儀式は不完全な形で失敗してしまう。しかし、彼らの儀式は無駄ではなかった。
途中で覚醒しかけたインニード神の意識片は宇宙をさまよい、そのままデュカーリの本拠地である仄暗き都市〈コモラフ〉へと到達する。その意識片は〈魔女団〉のサキュバスであった女戦士「イヴライネ」へと乗り移り、彼女はインニード神の御使いとして覚醒したのだ。
その後、イヴライネはインニード神を信奉する勢力である「インナーリ」を結成し、アエルダリ族の各勢力からの協力者と共に、スラーネッシュ神の打倒を掲げた。
一方、〈水晶の月〉から逃れたエルドラドはすぐに、インナーリ勢力に支援を行うこととした。彼は惑星「ウルスリエ」における「ビエル=タンの戦い」でインナーリと方舟「ビエル=タン」の軍勢と共に、渾沌の軍勢との戦闘に臨んだ。そして、イヴライネは死の神の力を使って渾沌の軍勢を一掃し、ビエル=タンの同胞を救出したが、ビエル=タンの方舟は再起不能となってしまう。
時を同じくして、ウルスェのファーシーアたちは自分の方舟とビエル=タンを繋ぐポータルを開通させた。インナーリとビエル=タンの同胞が、再起不能となったビエル=タンの方舟からウルスェへと脱出するための出口を作るための緊急手段を発令したのだ。
しかし、ポータルを開く儀式を行った三人の貴重なファーシーアは代償として、その身体が結晶と化してしまったのだ。エルドラドはすぐに〈先見者の評議会〉から呼び出され、今まで自らが行ってきた気まぐれで傲慢な行為の責任として、〈方舟〉ウルスェから追放されてしまう。
しかし、彼とそれに付き従う者たちは〈流離せる者〉(エグザイル)として銀河を放浪し、インナーリへの支援を続けていった。彼はかの有名な第十三次〈黒き征戦〉にも参戦し、惑星「ケイディア」にて渾沌の軍勢との戦闘を行った。
彼はインナーリの軍勢を導いて戦うだけでなく、撤退時には共闘していた〈帝国〉軍の脱出を支援した。エルドラドは味方の軍勢を〈網辻門〉へと案内し、滅びゆく惑星から脱出することに成功する。
脱出後、惑星ケイディアは陥落し、エルドラドの予言通りに銀河を横断する〈歪み〉の〈大亀裂〉が生じた。この未曽有の危機に対抗すべく、エルドラドはその後、方舟ウルスェへと帰還して、インナーリと共に〈方舟〉の防衛にあたったのだ。
彼は自らの故郷であるウルスェを導くだけでなく、今では新たなる希望であるインナーリよも導こうとしているのである。
画像出典:小説「Throneworld」 表紙より
- 「ユリエルの君」
「我らはこの戦に勝利できよう。だがその代償として、我らの祖先はその魂魄すら失うのだ。」
ユリエルの君
【概要】
銀河で勇名と悪名を等しく誇る、方舟「イアンデン」の戦将(アウターク)にしてアエルダリ族随一の実力を持つ将の一人。 ウルナサッシュの家系に連なるユリエルの君は、魔槍〈薄明の槍〉を手にして戦う。
戦場で軍を率いるときも、宇宙で艦隊を率いるときにも、彼は一度たりとも自らが率いる軍勢の指揮を誤ることはなかったという。彼は〈方舟〉「イアンデン」の出身で、かつては同方舟の艦隊を率いる指揮官であるアウタークとして戦っていた。
かの有名な「燃ゆる月の戦い」においては、ケイオスの艦隊を完膚なきまでに粉砕したのが、ユリエル率いるアエルダリ艦隊であることは非常に名高い。しかし、迫り来るティラニッドの巣窟艦隊(ハイヴフリート)である「クラーケン」に対する勝利と引き換えに、彼は”逃れられない緩やかなる死”の宿命を背負ってしまったのである。
【ユリエルの失態】
時は集合艦隊クラーケンが襲来する50年前、当時ユリエルは、方舟「イアンデン」の大艦隊を指揮していた。彼はイアンデンの純潔なる血統に連なる者ではなかったが、自らの〈方舟〉に対して強い誇りを持っていた。また、他の同族たちの間で、その天才的な舵取りに並ぶものはいないとうたわれていた。
しかし、〈戦将〉になりたての頃はプライドが高くかつ、自信過剰なところがあり、それが大きな過ちを起こすこともあった。
方舟イアンデンがケイオス艦隊の脅威にさらされた際、イアンデンの精神的指導者である「ケルモン」は、ティラニッドの脅威を憂慮して、当時、渾沌の魔将「アーガン・カロラックス」と戦っていたユリエルを支援した。
ユリエルは、イアンデンが無防備な状態になることにもかかわらず、護衛艦を含んだ全艦隊を率いて出撃を行ってしまう。艦隊はすかさず先制攻撃を仕掛けて、カロラックス率いる敵艦隊を一方的に全滅させた。
華々しい勝利を飾ったユリエルだが、愚かにも彼は守るべきのイアンデンの守りを疎かにしていたため、敵が放った魚雷が着弾して何万人ものアエルダリの市民が犠牲となった。その中には魂魄石も含まれており、その魂はスラーネッシュ神に喰われてしまった。
この失態を犯したユリエルは、イアンデン艦隊の指揮権をはく奪されて「イアンデンには二度と戻らぬ」と誓う。そして、複数人の配下と共にユリエルは、「アウトキャスト」としてイアンデンから出ていった。
【ユリエルの帰還】
イアンデンから出ていった彼は、敬愛する部下と共に、宇宙海賊「おぞましの略奪団」(エルドリッチ・レイダーズ)を結成する。彼が率いるおぞましの略奪団は、わずか数十年ほどの間に、銀河で最も恐れられる海賊として名を上げていた。
この間帝国は、おぞましの略奪団と他の海賊団との対立を助長し、派閥抗争へと発展させる。ユリエルたちの海賊団は、他の海賊団グループを征服し、自らの勢力へと吸収することによって自らの勢力を拡大させたのだ。
一方、故郷の〈方舟〉であるイアンデンでは、集合艦隊「クラーケン」による襲撃を受けていた。ティラニッドの何万隻にもおよぶ巨大な生体艦隊は、イアンデンの艦隊を次々と攻撃し、数の暴力によって〈方舟〉を喰らわんとしていた。
かつてイアンデンの艦隊を支えていた有能な人材たちは、ユリエルと共にこぞって離脱していた。そのため、イアンデンの艦隊はことごとくクラーケンの生体艦隊によって撃破され、大量のティラニッドたちがイアンデンの船内へと侵入してきた。
もはや〈方舟〉イアンデンはティラニッドの襲撃による滅亡は不可避と思われた。
その時、イアンデンの危機の知らせを聞いたユリエルは、自らの故郷に戻らないかつての誓いを捨て去り、故郷の危機を救うために駆け付けてきたのだ。ユリエル率いる海賊団の艦隊によって戦力差は一気に覆され、ティラニッドの生体艦隊に突入して反撃を開始した。
彼の比類なき提督としての優れた指揮能力は高く、海賊艦隊はイアンデンの残存艦隊と協力してティラニッド艦隊の中核を撃破した。その後ユリエルはすぐに、イアンデン船内へと降り立って、内部に侵入したティラニッドたちに戦いを挑んだのだ。ユリエルの狙いは、ティラニッドの軍勢を統率している「シナプス・クリーチャー」を倒すことによる統率の崩壊であった。
この巨大な怪物を倒すには力不足と感じたユリエルは、方舟内部にある寺院に納められた呪われし魔槍〈薄明の槍〉を取り出した。この槍は、あまりにも強大な力を秘めており、使用者の魂までも焼き焦がしてしまうと恐れられている武器である。彼は呪われし魔槍を手にし、その命を削りながらティラニッドの軍勢を切り払っていた。
ユリエルは遂に、巨大なシナプス・クリーチャーの前へとたどり着く。そして、強固な外骨格で守られたシナプス・クリーチャーの頭部に、あかあかとした輝きを持つ魔槍で貫いた。大きな断末魔を上げながらシナプス・クリーチャーは死に絶え、統率を失ったティラニッドの軍勢は、次々と撃破された。
この戦いの後、ユリエルは〈方舟〉イアンデンを救った英雄として称えられ、彼は再びイアンデン艦隊の指揮権を与えられた。
しかし、多くの民を救う代償として、彼は自身の魂が少しづつ削り取られていく”破滅の運命”を選択していたのである。ユリエルは巨大な力を秘めし〈薄明の槍〉を捨てることが出来なくなってしまい、彼は魔槍と運命を共にする覚悟を決めていたのだ。
【伝説の〈老婆の剣〉(クロンソード)】
第41千年紀末(西暦40999年)、再びイアンデンに苛酷なる試練が訪れる。新勢力インナーリの台頭、死者の神のアヴァター「インカーネ」の覚醒に危機感を持った渾沌の勢力は、彼女らが探し求めている〈老婆の剣〉(クロンソード)の一本が〈方舟〉イアンデンの船内に眠っていることを突き止める。
そして、インナーリたちに〈老婆の剣〉が渡らぬよう、渾沌の軍勢は〈方舟〉イアンデンに侵略部隊を送り込んだ。〈老婆の剣〉を手に入れようとイアンデンに到着したインナーリたちは、ナーグル神に仕えるディーモンプリンス「ガラ・ググルゴール」率いる疫病艦隊から激しき攻撃を受ける。
危機に駆け付けたユリエルとおぞましの略奪団は、〈方舟〉イアンデンに侵入しようとするナーグルの軍勢たちを激しい抵抗によって防ぐことに成功する。敵の総司令官であるガラ・ググルゴールは巨大なる「特異航宙体」(スペースハルク)に乗り込んでおり、イアンデンやインナーリの宇宙艦隊は破壊を試みようとしたが、堅い防御によって阻止された。
そこでユリエル率いるおぞましの略奪団とイヴライネ率いるインナーリたちは決死の覚悟で危険なスペースハルクへと侵入する。スペースハルク内部はナーグル神の加護を得た危険な有毒領域であり、彼ら彼女らは腐敗の病魔たちとの激戦を繰り広げた。
無数のディーモンたちをかき分けたユリエルとイヴライネたちは、総司令官であるガラ・ググルゴールを対峙する。強大なるディーモンプリンスとの戦いの最中、ユリエルは〈薄明の槍〉でスペースハルクの心臓部であるエンジンを突きさし、スペースハルクの機能を停止させた。
戦況がアエルダリらに傾いたと思われたその時、ユリエルはガラ・ググルゴールによって殺されてしまう。ガラ・ググルゴールはユリエルの仲間たちを虐殺した後、生き残った疫病艦隊を率いて逃走した。
悲しみに暮れたユリエルの部下が回収した彼の遺体はナーグル神の強力な病に侵されてしまい、もはや助かる余地は無かった。しかし、共に戦ったイヴライネは諦めずにユリエルを救おうと努力を尽くし、ある重要な事実が判明する。
それはユリエルの持つ〈薄明の槍〉が〈老婆の剣〉の一本だったのだ。彼女は自らの持つ死の力を利用して〈薄明の槍〉を手に取り、それをユリエルの心臓に突き立てると、彼を復活させる事に成功する。
しかし〈薄明の槍〉によって復活しても、ユリエルに迫る”破滅の運命”が先送りにされたにすぎず、それでも彼はアエルダリ種族のための戦いへと再び身を投じるのであった。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P35イラストより
- 「イリック・ナイトスピア」
【概要】
“隠されし道を歩む者”、“星々の見張り手”、“道を開く者”、“アレイトックの盾”など多くの異名で知られる。彼は長きに渡って〈出奔の道〉を進んできた。
彼が今後、その〈道〉を離れる事があるのか否か、それは定かではない。彼が銀河を彷徨う目的は誰一人として知らぬのだ。
ある者は、イリックの目的は失われた“予言の石”を探索することだと言い、またある者は「ネメソール・ザンドゥレク」が彼をかつて囚えて以来、ネクロンに対する終わりなき闘争を挑んでいるのだと言う。なかには、彼が定命なる者の世界を超越しようと目論んでいる事を主張する者もいる。
真実が何であれ、彼は自らの〈網辻〉に関する卓越した知識を用いて、アレイトックや他のアエルダリ勢力を幾度となく支援してきたのだ。
【〈歪み〉の射手】
“道を拓く者”イリックは熟練の狙撃手であり、ネクロンの暴君や渾沌の筆頭戦士、あるいはティラニッドのシナプス・クリーチャーやオルクのいくさ親分の数々を、愛用のライフル「虚無の運び手」(ヴォイド・ブリンガー)で仕留めてきた。これは、大いなる崇敬の対象である古の〈幽骨の歌い手〉の一人、「ウルダノレス」によって造られた武器である。
伝説によれば、この武器こそはウルダノレスの最後の傑作であり、自らの心血を注いで作り上げたこの武器の中には彼の魂の残滓が宿っているのだという。この伝説が示す通り、このライフルはある種の異能力(サイキックパワー)を発揮し、一発一発の射撃が標的に着弾すると、そこに微小な〈歪み〉の穴を穿つ。
不運なる犠牲者はこの穴によって物理的に引き裂かれるか、あるいは虚空の彼方へと吹き飛ばされてしまうのだ。
【孤独なる狙撃手】
イリックは単独で戦う事を好む。だが、あらゆる〈方舟〉のとりわけアレイトック出身からなる出奔者達の間でイリックの名声はあまりにも高い。
熟達の車種にして追跡者ぞろいの出奔者たちは、あたかも〈相の戦士〉が〈不死鳥の将〉から教えを乞うように、イリックから心技体の奥義を学ぼうと忠実に彼の後を追い続けるのだ。
そして第41千年紀末に銀河を南北に引き裂いた〈大亀裂〉が生じた後、彼は〈網辻〉内で繰り広げられる数々の戦いにおいて重要な役割を担っている。イリックは〈網辻〉の複雑怪奇な迷宮次元について熟達しているため、各〈方舟〉の戦兵団や苦境に立たされたハーレクィンの仮面劇団、そして新たに結成されたインナーリに属するいくつかの戦闘集団など、アエルダリの組織への支援を続けている。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P65イラストより
不死鳥の将(フェニックス・ロード)
【概要】
最古のエクサーチ(〈道〉の太守)であるアエルダリの英雄。彼らは闘争を司る半神とでも呼ぶべき存在であり、彼らの伝説は星々の海にあまねく知れ渡っている。〈戦士の道〉を極めた彼らは、その理想を体現した存在であり、アスペクト・ウォリアーからは畏怖の念を払っている。
彼らは各方舟に住まうエクサーチとは異なり、一つのところに留まらずに常に広大な銀河を放浪するのだ。銀河を南北に二分した〈大亀裂〉が発生以降、〈不死鳥の将〉の全員が再び姿を現している。
その中には、複数回にわたって一堂に会して同じ戦いに参戦した記録もある。この希有な出来事をアエルダリ語で「リオガイル=ブラー」、すなわち「焔の集合」、「焔の合流」と呼ばれている。
アシュルヤーニはこの事象が顕現した意味をぼんやりとしか推測することしかできないが、多くの者は大いなる苦難と喪失の前兆であろうと信じている。
【〈不死鳥の将〉の誕生】
〈不死鳥の将〉の中で、最も古き者として知られているのが、「アシュルメン」の名を持つ戦士である。〈失墜〉の時代、アシュルメンは自らの母星が〈歪み〉に飲み込まれゆく中、その民とともに移住した荒野の星で、アエルダリ史上初である〈戦士の相〉の社(やしろ)である「アシュールの社」を建立した。
アシュールの社から初代のアスペクト・ウォリアーたちが輩出され、「戦士の道」はさらに洗練されていった。アシュルメンの教えを受けた弟子たちは、自らエクサーチとなって銀河に散らばった後、更に後継者へと教えを施していったのである。
こうして、「アシューリャ」と呼ばれる最初のエクサーチたちが誕生し、彼らは様々な「戦士の相」の社を建てたという。これらの社において、最初のアスペクト・ウォリアーたちが育ち、社の創設者たちが身につけていった技や特殊な能力を受け継ぐことで、技能が体系化されていった。
やがて、深宇宙を放浪する各〈方舟〉にも大いなる社が建立されるようになり、アシューリャの編み出した技の数々は、放浪を続ける新たな子らへと永遠に受け継がれることとなったのである。
【受け継がれし意志】
各アスペクト・ウォリアーのエクサーチと同じように、〈不死鳥の将〉たちもまた、ある意味において不滅である。たとえ、〈不死鳥の将〉が死んでも、別のアエルダリが先代のアーマーを装着することによって、先代の地位と個性がそのまま受け継がれるからだ。
このように〈不死鳥の将〉の死は新たな蘇りを意味し、次代の肉体へと精神が継承されることで、常に新鮮なサイクルが維持されるのだ。たとえ何人のアエルダリがアーマーを受け継いだとしても、〈不死鳥の将〉は永遠に変わらない。地位を受け継いだアエルダリは、アーマーに宿りし英雄の人格をも受け継ぐからだ。
彼らは決して伝説上の存在ではなく、今でも実在している恐るべき英雄なのである。
- 「アシュルメン」
【概要】
アシュルメンは最高位の「ダイア・アヴェンジャー」として尊ばれる者で、彼は他の〈不死鳥の将〉よりも多くの社を、〈方舟〉に建立したという。〈失墜〉の余波の中、彼は最初の〈相の戦士〉の社を建立した。
後に最初の社が建立されたこの惑星は、彼の信奉者たちによって「アシュール」と呼ばれた。最初の社の建立が始まってまもなく、アシュルメン自身は姿を消したと言われているが、その後もなお彼の偉業は失われることなく語り継がれた。
アシュルメンは〈恐怖の目〉から銀河の淵までを舞台として、〈渾沌の勢力〉と戦い続けているとされる。そして、彼の勇猛さもまた、銀河のいたるところで語り継がれているのだ。
アシュルメンのまとうアーマースーツは、左右の腕に特殊なリストマウント型「シュリケン・カタパルト」が装備されている。この兵器は、どちらの腕からもシュリケンを発射できるのだ。
更に、自由になった両腕で、自ら振るう愛剣をしっかりと持つことができる。彼の愛剣「アシュールの剣」は、単なるパワーソードとは異なり、最初のダイア・ソードとして伝わっている。
その剣には、アシュルメンの兄弟である「テスシス」の魂が宿った魂魄石が埋め込まれており、アシュルメンはテスシスと共に過酷な戦いへと身を投じるのだ。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P45イラストより
- 「ジェイン・ザール」
【概要】
最高位の「ハウリング・バンシー」である〈不死鳥の将〉。彼女はアスペクト・ウォリアーで最高位の存在にまで上り詰めた後、アシュルメンはジェイン・ザールの優れた俊敏さと攻撃性を見込んで、彼女を最初のアシューリャとして選んだ。
その後、アシューリャの一人となったジェイン・ザールは〈網辻〉を旅しながら、アエルダリたちに戦士の技を手ほどきし、彼らを戦士の道へと導いたという。間もなくして、大型の〈方舟〉には、必ずハウリング・バンシーの社が建立されるようになった。
社ではエクサーチたちが、次代のアスペクト・ウォリアーたちにジェイン・ザールの技を伝え、現在まで受け継いでいる。あらゆる〈不死鳥の将〉の中でも、ジェイン・ザールは特に、より多くの方舟に社を築くべく、心血を注いだという。
彼女は〈網辻〉を渡りながら数々の社を訪ね歩き、自らの精神を受け継ぐ子らを、いつくしみの心と共に育ててきた。時に彼女は数世紀にもわたって姿をくらますことがあったが、その度に、時を置いて彼女は再び姿を現してきた。
彼女が居なくなった際、社ではその姿を再び現すまでの数百年間、「不寝の祈り」が続けられたという。
彼女の持つべき恐るべき素早さと、慈愛に満ち溢れた性質は、「ジェイン・ザールの娘たち」ことハウリング・バンシーたちの間に、今も色濃く受け継がれている。ハウリング・バンシーの戦技であるウォーシャウトを編み出したのも、ジェイン・ザールその人とされる。
ジェイン・ザールが戦場に赴くとき、彼女の手には、恐るべき破滅の刃だけでなく、「静かなる死」(サイレント・デス)の名を冠せられた古の三つ刃扇「ジャイナス・モール」も握られている。三つの刃を持つこの手投げ武器は、優雅なる死のカーブを描きながら、ブーメランのように彼女の手元へと舞い戻ってくるという。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P57イラストより
- 「バハロス」
【概要】
バハロスは、「スゥーピング・ホーク」の中で、最も古き者とされる。現在の方舟に伝わる形でスゥーピングホークの社を建立し、その戦士の道を次代に残したのも、またバハロスその人である。
彼は〈不死鳥の将〉の中で最も若く、また感情の起伏が激しい人物として知られ、自らの背負う飛行翼に快活な太陽の光を浴びることを何よりも楽しんだという。〈不死鳥の将〉の一人である「モゥガン・ラー」とバハロスは、いわば月と太陽の如き「兄弟」であり、アエルダリに仇なす敵の多くが、彼ら二人の刃にかかって滅びを迎えている。
戦の芸術をアシュルメンその人より学んでいたころから、バハロスは何度も”転生”を繰り返している。彼が姿を現し、その怒りを深く刻みつけた戦場は実に多く、とても正確には数えきれないほどだ。そしてもちろん、更に数え切れぬほどの敵が、彼の武勇の前に打ち倒されてきたのである。
バハロスという名は、「風の慟哭」を意味する。天空に舞う技術を修めた彼が、繊細なそよ風のように舞い上がったと思うと、一転して大暴風のごとき攻撃を敵陣に仕掛けることから、この名がつけられたという。
渾沌と物質世界の間でくり広げられ、両社ともに破滅を迎えるであろうと伝説に語られる、「最終戦争伝説」(ラーナ・ダンドラ)。バハロスもまた、他の〈不死鳥の将〉たちと共に戦い、ラーナ・ダンドラの中で真の最期をむかえるという。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P60イラストより
- 「カランドラス」
【概要】
「ストライキング・スコーピオン」の中でもその技を極めたという〈不死鳥の将〉。すべての〈不死鳥の将〉の中で、最も謎に包まれており、彼の社が最初に建立された場所を知る者はだれ一人として存在しない。
〈失墜〉を耐え抜いたものの、その後に破壊された小さな〈方舟〉の一つだったのであろうと予想するのが精一杯だ。しかもカランドラスは、ストライキング・スコーピオンのエクサーチの中で、最も古き者ではない。何故なら、ストライキング・スコーピオンの初代エクサーチは、〈不死鳥の将〉の中で最も凶悪なものとされる、かの「アーフラ」だったからだ。
しかし、アーフラは、渾沌の暗き炎に身をこがす〈堕ちし不死鳥〉(フォールン・フェニックス)となった。かくして、アーフラの地位を次いだカランドラスだったが、彼もまた前任者と同じく、狩人としての忍耐力と、殺戮者の気質を持ち合わせている・・。
カランドラスの「ひと刺し」は、いかなるストライキング・スコーピオンよりも強烈だ。そこに彼が潜んでいると気づく前に、「スコーピオン・クロウ」と「チェインソード」によって、敵がズタズタに切り裂かれるだろう。
カランドラスの「マンディブラスター」は「スコーピオン・バイト」とも呼ばれ、通常のストライキング・スコーピオンたちが使うものに比べて、何倍もの威力を誇る。
カランドラスの姿を見てなお生きながらえ、その恐るべき逸話を語れる者たちは、ごくわずかしか存在しない。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P58イラストより
- 「フューガン」
【概要】
「ファイア・ドラゴン」の技を極めし〈不死鳥の将〉。初代のアスペクト・ウォリアーたちが生まれた、遠くかすんだ過去、アシュールの社にて戦技を学んだフューガンは、自らの戦術を芸術の域にまで高めていたという。
そして、彼はファイア・ドラゴンたちの社を建立し、火と炎をもって戦う闘争の芸術を門弟たちに手ほどきした。
かの〈堕ちし不死鳥〉によってアシュールの社が破壊された時、フューガンはそこから逃げ出すことを拒み、いずこかへと姿を消したという。そしてフューガンは、血と涙の惑星「ハラシェナッシュ」をめぐる戦いにおいて、再びその姿を現した。
そして、ハラシェナッシュ攻防戦が終わると、彼は〈網辻〉へ入り、秘密の抜け道を駆けながら先人の敵を追い続けていたという。
伝説によれば、フューガンはアエルダリたちの最終決戦たる「ラーナ・タンドラ」で他の〈不死鳥の将〉たちを呼び集める者にして、最後に死を迎える者であるという。
フューガンの装備するのは強大な「ファイア・パイク」と、古の武具「炎羅の斧」である。炎羅の斧は、鍛えられた時の熱をいまだ宿し、不気味に赤熱している。鍛えられたその日から、この斧は熱を失ったことはなく、その刃の表面では焚きあがる熱を受け、いくつものルーンがのたうちまわっているのだ。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P59イラストより
- 「モゥガン・ラー」
【概要】
「ダーク・リーパー」の技を極めし〈不死鳥の将〉。アエルダリの〈失墜〉を逃れた方舟「アルタンザール」のエクサーチである。
アエルダリの文明崩壊の際、〈失墜〉から逃れた方舟アルタンザールは、不運にも〈恐怖の目〉から放たれし重力井戸に捕らわれてしまった。〈恐怖の目〉から脱出できない中、渾沌の悪魔たちはアルタンザールに攻撃を仕掛けていく。
これに対し、アルタンザールのアエルダリたちは渾沌の悪魔へと抵抗を続けたが、彼らは〈恐怖の目〉からの重力井戸から逃れられない運命にあることを悟ったのだ。
〈失墜〉から500年後、方舟アルタンザールは、〈歪み〉の中へゆっくりと消えてしまった。方舟と〈恐怖の目〉から脱出したのは、モゥガン・ラーただ一人であった。
〈恐怖の目〉から脱出した後、モゥガン・ラーは〈不死鳥の将〉アシュルメンの元で「戦士の道」を学んでいた。アシュルメンが自らの門弟たちに戦技を教えていた中でも、抜きん出た残忍さを見せた弟子が、モゥガン・ラーその人だったという。
モゥガン・ラーは、オカルティックにすら思える奇怪な武具を用いていた。それは他の門弟たちが持つ武具とは全く異なり、はるか彼方からでも敵を思うがままに殺害できる恐ろしき暗闇の武器であったという。
その後、自らの武芸と武具にさらなる磨きをかけ続けた彼は、その強大な武器を白兵戦でもまるで手術刀のごとく繊細に振るう技を身につけた。
こうして、「刈り取り手」の異名を持つ恐るべき武具「マウジェタール」が完成し、その後にモゥガン・ラーはダーク・リーパーたちを導く存在となったのである。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P61イラストより
司令官
クラフトワールドの軍勢にはそれぞれ以下の司令官が存在する。基本的には彼らに率いられてクラフトワールドの軍勢が統率されている。
- 「ファーシーア」
【概要】
「先見の道」を進み、深入りしたサイカーであり、アエルダリの軍勢を導く予言者でもある。すべての道の中でも「先見の道」は最も危険に満ちているものとされ、予見の技を習得できる道である。
常に〈歪み〉との密接な関わりを持たなくてはならず、魔の道とも呼ばれているこの道を性急にたどろうとする者は、最も嫌悪すべき業を背負うことも少なくない。〈歪み〉に潜む〈渾沌の神々〉の眷族どもは自らの力を過信する者の魂魄を奪い取ろうと手ぐすねを引いて待ちかまえているのだ。
それでいて「先見の道」はそこをたどる者をとらえて離さぬ、いわば妖しの魅力を放つ。
予見の技を極めたファーシーアたちは〈方舟〉の指導層の中で、最も年齢を重ね、経験を積んだ者たちだ。戦闘の中でもその予見能力はいかんなく発揮される。
彼らが予見を行う際はアエルダリのルーンをかたどった精巧な幽骨(レイスボーン)の彫り物が宙に投げられ、それが光を放ちながらファーシーアの周囲を飛び、その軌道を読み取って様々な秘密を語るという。
彼らがいざ戦場で戦うときにはアエルダリの軍勢を導きつつ、相手の作戦を見抜き、敵の拙い攻撃の効果を計算し尽くした上で相手を破滅へと導くのだ。
必要とあらば彼自身も戦うこともあり、その優雅な身のこなしで敵の攻撃をよけつつ、敵の戦車をも撃破することが可能となっている。
【ファーシーアのサイキックパワー】
- ドゥーム
ファーシーアは運命の糸を引き、敵を破滅の運命へと追いやる。
- エルドリッチ・ストーム
ファーシーアの周囲にエネルギーの嵐が吹き荒れ、バチバチと不気味な音を立てながら雷光のエネルギーを放つ。
- フォーチュン
ファーシーアは"未来を構成する要素"を占うことによって、敵の攻撃を予知し、自軍に警告を発せる。
- ガイド
ファーシーアは予知能力によって、敵軍の作戦を見抜き、自軍が射撃すべき地点を的確に指示する。
- マインド・ウォー
敵の精神そのものに対し、容赦のない攻撃を仕掛ける。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P136イラストより
- 「ウォーロック」
【概要】
戦士の道を歩んだ後で「先見の道」を歩むもので好戦的で激情家として知られているサイカーであり戦士である。戦士としての経験をもとに、ウォーロックは破滅的な衝動を戦場に解き放つ。
その華美なヘルメットは、平常時にはウォーロックがかつて所属していた社(やしろ)に安置されている。おのおのの社に立ち戻り、「戦士の相」(ウォリアー・アスペクト)特有の血の儀式においてエクサーチからこのヘルメットを授かることによって、ウォーロックは戦支度が整うのである。
ウォーロックは戦のルーンを駆使するだけでなく、アエルダリ特有の強大な武器「ウィッチブレイド」を振るうことにも長けている。命を持つルーンを刻まれたウィッチブレイドは、獲物を求めて震えわななき、ウォーロックの精神波をその刃に集め、内部に仕込まれた螺旋状の精神波集束基盤(サイキック・マトリックス)を満たす。
かくして、ウォーロックの手に握られたウィッチブレイドは、敵を一瞬にして焼き殺す恐るべき武器へと変わるのだ。
アエルダリが戦場に立つときにも彼らの姿もそこにあり、彼らの操るサイキックパワーによって、味方には守護が、敵には破滅がもたらされる。
ファーシーアに比べたらウォーロックの持つサイキックパワーは劣るが、敵にとって強大な脅威となるだろう。
【ウォーロックのサイキックパワー】
- コンシール
ウォーロックの周囲をサイキックパワーの霧で隠し、敵の「心の目」をくらませる。
- デストラクター
自らの怒りと憎悪を収束させ、生のサイキックパワーの大波を敵に浴びせかける。
- エンボールデン
勇敢な武人の姿や大いなる勝利のイメージを仲間たちの精神に投げかけ、ゆるぎない勇気を与える。
- エンハンス
仲間の肉体に、驚くべき機敏さと技量を与える。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 表紙より
- 「スピリットシーア」
【概要】
「霊機」(レイス・コンストラクト)を率いることに長けたサイカーであり「魂見司」とも言われている。死者の御霊を呼び戻す〈道〉である〈魔の道〉に精通する。
スピリットシーアになるには〈魔の道〉を究めなければならず、数あるアエルダリの〈道〉の中で最も困難な道とされている。特にスピリットシーアに関するサイキックパワーの扱いには比類なきレベルの精神的規律と、不屈の精神力を持っていなければいけない。
何故ならば、死者の霊魂とかかわることは実に苦痛に満ちているからだ。死者が歩んできた生者の記憶は様々で、共感できるものや関心が持てないもの、更には悪意に満ちたものまで存在する。
〈魔の道〉は、対話を行う生者が、そうした死者の魂と精神を共有できるように適応しなくてはならないのである。それに加え、こうした死霊術めいた行為は多くのアエルダリ族の同胞から冷たい目で見られる。
生者が死者に対して何かを要求し、奉仕させることは、アエルダリ族にとっては”甘え”の行為にほかならない。そのため、スピリットシーアはこうした死者と生者との板挟みのプレッシャーを受けることとなり、多くの者が〈魔の道〉を歩むことを断念するのである。
【生死の境の往来】
通常、アエルダリ族の魂は死後、身に着けている魂魄石へと入れられる。この魂魄石はアエルダリ族の同胞に回収された後、「無限回路」(インフィニティー・サーキット)と呼ばれる”人工的な死後の世界”で安らかに過ごす。
スピリットシーアたちは、その無限回路に眠る魂を管理する立場であると同時に、同胞の魂を扱う役割を担う。彼らは平時の際、無限回路で安らかに過ごしているアエルダリ族の魂と対話し、彼らから様々な経験や智恵を授かることができるのだ。
有事の際はその役割が大きく変わり、スピリットシーアは同胞の霊魂で動く兵器である「霊機」を率いて戦う。人型兵器である霊機は、いわば魂が宿ったロボットであり、痛みも感じない強靭な体を持つ。今現在、人口が減少しているアエルダリ族にとっては必要不可欠な戦力として重宝されている。
彼らの魂を必要とする際には、無限回路で休息している魂を一度「魂魄石」へと移し、霊機として戦わせる。ほとんどの霊機は自立して動作することが出来ないので、死者の魂が宿りし霊機たちは、スピリットシーアによって統率されて戦闘が行われているのだ。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P60イラストより
- 「アウターク」
【概要】
戦将(アウターク)はクラフトワールドの軍勢の最高司令官であり、戦略、戦術の両面において芸術的なまでの手腕を誇る。〈先見の道〉と〈戦士の道〉を歩む者の両者から高い尊敬を集めるアウタークは、何世紀もかけて多くの〈道〉(複数の「戦士の道」を含めて)を巡ってきたものであり、ゆえに実戦経験もきわめて豊富である。
長きに人生のある一転にて、軍を指揮統率することへの情熱を感じたとき、アウタークへの道を歩みだすのだ。
アウタルークたちは、「真の武力とは白兵戦のただ中にあらず。戦場全体にわたる広い視野と、もっとも効果的な用兵によって可能な限り多くの敵を死に至らしめ、しかし味方の数を減じることなくして勝利を収むることにあり」と信じている。
これが「将の道」であり、この「道」を歩む者は一つ一つの用兵が、混然とした戦場でどのような意味を持つのかを追求し、また一つ一つの戦闘が戦場の大局どのような意味を持つかを理解することへの狂おしいほどの情熱を傾けている。
「将の道」において、明確な先達は存在せず、アウタークたちは歴史ある命家の開祖たち、すなわちエルダネッシュ、ウルサナッシュ、ビィーエレリアンなどの英雄たちから学び、手本としている。
アウタークは指揮統率にだけ秀でているわけではない。戦線の狂熱が彼を呼ぶとき、アウタークはすさまじい速さで最前線へと身を投じるだろう。ある時は敵の指揮官と一対一で剣を交え、またある時は敵の軌道兵器をいともたやすく撃破するのだ。
優美なる飛行翼を装備したアウタークは、天高く飛翔し、急降下攻撃を仕掛けることを好む。この効果的な急襲によって、戦局がくつがえることすらも珍しくない。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P34イラストより
兵種
クラフトワールドの軍勢にはそれぞれ以下の〈相の戦士〉(アスペクト・ウォリアー)を中心として軍が構成されている。それぞれのアスペクト・ウォリアーたちは、〈戦士の道〉において”カイン神の側面”の一つを体現する戦技を身に着けた者たちだ。
彼らには何千年よもの時間をかけて洗練された専門の戦技を習得し、その肉体は鍛錬によって極限まで高められている。
画像出典:ゲーム「Warhammer 40,000: Eternal Crusade」より
【〈相の戦士〉(アスペクト・ウォリアー)】
【概要】
〈相の戦士〉は〈道〉の中でも〈戦士の道〉を歩んだ者たちだ。この〈道〉には〈戦士の相〉(ウォリア・アスペクト)と呼ばれる無数の分派が存在し、〈相〉を極めたエクサーチから様々な戦技を習得していく。
それぞれの〈相〉は戦神カインの一面を体現しており、その数は多種多様。彼らは自らの肉体を極限にまで鍛え上げ、何千年もの間において修行と闘争に身を置いた修道的な戦士たちだ。
最も一般的に知られている〈相〉はほとんどの〈方舟〉に社が存在するが、中には特定の〈方舟〉にしか存在しない〈相〉も存在する。
【エクサーチ】
〈戦士の道〉を探求する最中に己を見失った〈相の戦士〉は、もはや内なる殺戮者と自我が不可分となった存在、「〈道〉の太守」(エクサーチ)となる。戦神カインの大司教であるエクサーチは、血に塗れし手を持つ神の社を守り、この神の教義を伝授する役割を担う。
どれほど鍛え上げられた〈相の戦士〉たちでも太刀打ちできぬほどの高みに達している。エクサーチの生涯は、自らの〈相〉の定める戦闘方式と、それを受け継ぎ行使してゆくための教育、訓練、儀式に完全に捧げられている。
儀式に臨むエクサーチは、自らの所属する社に安置された、歴代のエクサーチたちの魂が宿る道標石がちりばめられた精巧な装飾の〈相の戦士〉の鎧を着装する。着装者はこの鎧にまつわる神聖なる名を受け継ぎ、自らの意識を歴代のエクサーチのそれに溶け込ませる。
それによって力を得たエクサーチは、歴代の鎧の主たちの技量、叡智、感情のうねりを我が物とする一方、明確な自我は死者たちの囁きの中に埋没してゆき、やがて失われるのだ。この過程は不可逆的なものであり、あえてこの運命を受け入れるエクサーチに対して、アシュルヤーニの同胞たちは恐怖と畏怖の念を同時に抱くのである。
- 「ダイア・アヴェンジャー」
【概要】
ダイア・アヴェンジャーは、あらゆる「戦士の相」(ウォリアー・アスペクト)の筆頭格とされる。彼らは戦神カインがもつ側面の一つ”高貴なる戦士”を体現する者たちだ。敵に対しては一片の慈悲も見せず、同胞のためならばいかなる犠牲もいとわない。
アスペクト・ウォリアーの中で最多人数を誇るのがダイア・アヴェンジャーであり、その歴史は「ファースト・オヴ・フェニックス・ロード」たるアシュルメンまでさかのぼるという。ダイア・アヴェンジャーは恐るべき攻撃力と鉄壁の防御力でその名をはせており、恐るべきクラフトワールドの軍勢において最も柔軟な戦術を取れる兵でもある。
悪夢のように押し寄せるディーモンの大群をたった一部隊で食い止め、本体が退却するまでの時間を稼いだダイア・アヴェンジャーの伝説は、アエルダリたちの間で長きに渡って語り継がれている。そして、その武勇は現在のダイア・アヴェンジャーの中にも、脈々と息づいているのだ。
【武装】
ダイア・アヴェンジャーによって操られるシュリケンカタパルトは、恐ろしいまでの威力を発揮する。彼らはシュリケンを扱うことに一種の美学を見出しており、社の外でさえ「死の円盤」(リーサルディスク)をロープの下に隠しているらしい。たとえダイア・アヴェンジャーが武器もない丸腰に見えても、彼らは常に相手を殺す用意が出来ているのだ。
戦場において、ダイア・アヴェンジャーたちはシュリケンカタパルトを並べ、単分子刃の嵐(モノモレキュラー・ブレイドストーム)を敵部隊へと浴びせかける。この猛攻につぎ、彼らは不気味なほど絶妙のタイミングで電光石火の突撃をしかけるか、あるいは注意深く敵を誘い出し、手にした刃で確実に仕留めるのだ。
大抵のクラフトワールドの軍勢が、この優雅なる戦士達を戦力の中心として迎えている。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P52イラストより
- 「ハウリング・バンシー」
【概要】
バンシーとは、死と災いをもたらすとされる、アエルダリ神話上の存在だ。悲しき運命の訪れを告げる女禍の嘆きは、魂魄石(スピリット・ストーン)から魂すらも引きはがすという。アスペクト・ウォリアーの中で最も恐れられる戦士たちの呼び名として、この神話上の存在の名がとられたのも偶然ではあるまい。
アエルダリ神話は語る・・。老婆の姿を持つ女神「モライ=ヘグ」は、自らの体に流れる「神の血」に蓄えられた叡智を、どうにかして我が物にしたいと考えていた。しかし、神である自分の体を傷つけうるものは、ただ一つの手段しか存在しなかったのだ。
これを知ったモライ=ヘグは、金切り声をあげる彼女の娘たちを送り出し、父なるカイン神のひざ元に付きまとわせた。カイン神は、この呪いを止めさせることを引き換えに、モライ=ヘグが自らの聖なる血を飲めるよう、彼女の腕を切り落としてやることを約束した。
この取引によって、モライ=ヘグは神の血の秘密を我が物とし、その返礼として、"女禍の側面"はカインの元へ捧げられたのだ。
【武装】
ハウリング・バンシーは、異常なまでに発達した運動神経を持ち合わせた戦士であり、彼女らの真価は白兵戦でいかんなく発揮される。また、ハウリング・バンシーたちのかぶるマスクには精神音波増幅機(サイコソニック・アンプリファイア)が内蔵されており、戦場で彼女らの発する金切り声は、精神を打ち砕く衝撃波(ショックウェイヴ)と化すのだ。
ハウリング・バンシーの絶叫は、敵の中枢神経に深刻なダメージをもたらし、死の恐怖を植え付けるばかりか、一時的な身体麻痺すらも引き起こす。マスクの効果を同調(ユニゾン)させて突撃するハウリング・バンシーの一団は、その剣を振り下ろすまでもなく、すでに敵部隊を無力化しているだろう。
この恐るべき女戦士たちは筋力においては男性におくれを取るが、この不利を補って余りあるほどの正確かつ効率化された美しい身のこなしがある。そして、彼女らの手に握られた輝かしいパワーソードは、鎧と肉、そして骨の区別なく敵を切り裂くのだ。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P54イラストより
- 「ファイア・ドラゴン」
【概要】
ファイア・ドラゴンの名はアエルダリ神話に登場する火を吐く獣、すなわち「龍」から取られた。しなやかな体に圧倒的な破壊力を持つ龍のごとく、ファイア・ドラゴンもまた攻撃的にして好戦的な戦士たちで、敵の殲滅以外をなにひとつ認めない。
熱戦兵器の名手である彼らは、自らのもたらした破壊と荒廃に、どこか野蛮な悦びすらも見いだす。ファイア・ドラゴンたちが戦場の熱狂に身をゆだねるとき、かれらのエクサーチからは純なる炎が吹き上がり、コロナとなって彼らを包むという。
ファイア・ドラゴンに課せられる役目は、重装甲の敵兵や砲台すらも焼き払う恐るべき威力の熱線兵器を持って、敵の拠点や巨大兵器を撃破殲滅する事にある。
【武装】
彼らの用いる「フュージョンガン」(溶解銃)はきわめて殺傷力が高く、敵を瞬時に超高熱のガスへと気化させてしまう。有効射程こそ短いものの、この銃は最重量級の戦車さえもたちどころに溶かす威力をほこる。
また、敵を確実にとどめをさしたい時は、ファイア・ドラゴン自ら白兵戦を仕掛けることもある。彼らの携行する円盤状の「メルタ・ボム」は、どのような表面にもたやすく吸着し、瞬時に爆発する。
彼らの放つ白熱の猛攻は、どれほど堅牢な要塞であろうが、その熱線によって焼かれるであろう。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P53イラストより
- 「ストライキング・スコーピオン」
【概要】
奇襲と白兵戦を得意とするストライキング・スコーピオンは、その名のもととなった生物の恐るべき性質を忠実に再現している。とりわけ白兵戦において、彼らは比類無き潜在力を発揮するだろう。
彼らは敵を追いつめ、その息の根を止めることを無上の悦びとする、慈悲無き殺戮者である。
現在のストライキング・スコーピオンが会得する殺人術の数々を編み出し、後世へと残したのは、彼らのかつての指導者「アーフラ」であるという。ストライキング・スコーピオンは闇を歩み、至近距離まで忍び寄ってから、大いなるカイン神の憤怒とともに斬りかかり、獲物を狩り殺すのだ。
【武装】
ストライキング・スコーピオンのまとうスーツは、アエルダリの基準からすればきわめて重装備である。これは、彼らがバンシーの女戦士たちよりも、素早さの点で劣ることを意味する。
だが、彼らは入り組んだ地形を進むことに長けており、あらゆる物陰を利用しながら、ゆっくりと、だが確実に獲物へと迫るのだ。闇から突如姿を現し、敵へと襲いかかる彼らの手には、必殺の「シュリケン・ピストル」と「スコーピオン・チェインソード」が握られている。
チェインソードが持つダイヤモンドの刃は、敵の肉をいともたやすく引き裂き、切り刻むだろう。
ストライキング・スコーピオンによる第一撃は、ヘルメットの両側に装備された至近距離用の固定レーザー兵器「マンディブラスター」によって繰り出される。装着者の精神波長(サイキック・ピックアップ)によってトリガーを引かれたマンディブラスターは、針状の誘導器を無数に撃ち出し、それを追うようにして高エネルギーの集束レーザーを照射するのだ。
マンディブラスターの一斉射撃と、それに続くストライキング・スコーピオン本隊の嵐のような猛攻は、敵の心臓部に強烈な“ひと刺し”を加えるであろう。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P55イラストより
- 「ダーク・リーパー」
【概要】
後方支援を行うダーク・リーパーたちは、あらゆる"ウォリアー・アスペクト"の中でも、敵軍にとって最大級の脅威とある存在であろう。彼らは、戦神カインの持つ"破壊者"の側面を体現しているからだ。
創始者たる〈魂を狩る者〉から続く、髑髏をかたどった伝統的なヘルメットにより、その威容はことさら際立つ。また、彼らのまとうスーツは闇夜の色をたたえ、複雑な結装甲が組み込まれている。
装甲の厚さと引きかえに、彼らの動作は鈍くなるが、それは大した問題ではない。戦場における彼らの役割は、長距離からの砲撃にこそあるからだ。
ダーク・リーパーの父祖たる「モゥガン・ラー」は死神の接吻は遙か彼方からでももたらしうることを、後継者たちに伝えた。これこそ、「暗き死神の道」の中核をなす教えである。
【武装】
彼らの誇る「リーパー・ランチャー」は、長距離のミサイル兵器であり、たった一撃で灼熱の大爆発を生み出す。きわめて高い貫通能力を持つこのミサイルには、いかに重装甲の標的すらも沈めるだろう。正確無比な射撃技術こそが、ダーク・リーパーのもっとも誇る技だ。
リーパー・ランチャーの反動を抑える衝撃吸収装置(ショックアブソーバー)内蔵スーツ、高速で動くターゲットを補足すべくヘルメットの左右に装備された高感度センサー翼、照準と視覚を直結する精神同調装置(マインドリンク)などによって、彼らの射撃精度はさらに高められている。
寸分の狂いもないダーク・リーパーの猛砲火は、敵部隊を釘付けにし、あらゆる標的を意のままに破壊するだろう。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P51イラストより
- 「スゥーピング・ホーク」
【概要】
空中からの襲撃を得意とする戦士。スゥーピング・ホークの名は、アエルダリ神話に登場する復讐と報復の象徴たる野性的な鳥に由来する。かつてアエルダリたちは、殺された者の魂魄がこの神鳥に宿り、殺人者を告発すべく、その頭上を舞うと信じたのだ。
飛行翼を装着したアスペクト・ウォリアーたちは、この神鳥の名を冠し、伝説よりもはるかに直接的な手段で敵に攻撃を仕掛ける。彼らの翼は、小型の重力浮揚機(グラヴィティック・リフター)を内蔵した多数の小羽根からなり、これら1枚1枚を小刻みに振動させるだけで宙を自在に舞えるのだ。
これにより、スゥーピング・ホークの一団は瞬く間に天の高みへと飛翔できる。飛行時、その翼はうち震え、彼らの姿はあまりの速度によって色の残像と化す。
スゥーピング・ホークが使う伝統的な武器は、帝国の使う不格好なラスガンよりはるかに洗練されたレーザー兵器「ラスブラスター」と、「グレネードパック」だ。グレネードパックには、上空からの急襲攻撃時に用いる対人攻撃用グレネードのみならず、敵戦車を無効化するという、恐るべき「ヘイワイア・グレネード」までもが含まれている。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P35イラストより
- 「ワープ・スパイダー」
【概要】
ワープスパイダーの名は〈水晶の先見司の天蓋〉(ドーム・オヴ・クリスタルシーア)にて〈幽霊樹〉(レイスボーン・ツリー)の細枝に巣をかける、小さいながらも攻撃的な生物にちなむものだ。この活発な節足動物の姿は、〈方舟〉のいたる所で見うけられる。
彼らは自らの存在を分解して〈無限回廊〉(インフィニティ・サーキット)へと流れ込み、好きな場所で再び体を結晶化して、物理存在に戻ることができるのだ。〈無限回廊〉に異質な精神存在が侵入すると、この生物はそれに惹き寄せられて無数に群がり、あたかも抗原に対する抗体のように、それを狩りたてて破壊する。
攻撃的な防御こそが、ワープ・スパイダーたちが用いる戦術の本質である。
【武装】
背面装甲に内蔵された次元湾曲転送装置(ワープジャンプ・ジェネレーター)によって、彼らは短距離でのワープジャンプ(〈歪み〉を介したテレポート)を可能とする。つまり彼らは、一瞬にして消滅した後、別の場所に姿を現すのだ。
ワープジャンプさえ使いこなせば、かれらはいついかなる時でも完全な奇襲を仕掛けることとができるが、そのためには短時間〈歪み〉の中で過ごさねばならないというリスクもともなう。ワープ・スパイダーたちが全ての“戦士の相“(ウォリアー・アスペクト)の中で最も勇敢な者として尊敬されるのは、まさしくこの理由ゆえだ。
彼らは、勝利のために命を賭けるだけでなく、その魂まても賭けているのだから。
ワープ・スパイダーの伝統的な武器は、カミソリのような単繊維(モノフィラメント)ワイヤーを無数に撃ち出すデス・スピナー(死の糸車)だ。この兵器に装備された封磁フィールドは、射出されたワイヤーを磁力によってよりあわせ、敵に向かって投げつける。
ワイヤーはそれ自体の張力によって跳ね上がるや、憐れな犠牲者の肉や皮膚を切り裂き、苦痛に満ちた死をもたらすのだ。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第6版 P58イラストより
- 「シャイニング・スピア」
【概要】
シャイニング・スピアは、最も人数が少なく、また最も機動戦に特化したアスペクト・ウォリアーである。彼らは「カエラ=メンシャ=カイン」神のふるう神槍を体現せし者で、雷光のごとく敵に襲い掛かり、一撃にて殲滅する戦士である。
きらびやかな「ジェットバイク」にまたがり、シャイニング・スピアたちは戦場へと赴く。搭載された反重力(アンチグラヴ)モーターの力により、ジェットバイクは荒れ地の上すら超高速で疾走できる。しかもシャイニング・スピアたちは、それぞれの愛機と一心同体であり、とてつもない速度で複雑な空中飛行をこなすことさえできるのだ。
シャイニング・スピアの位置部隊が、戦局のこう着状態に終止符を打つことも珍しくはない。疾風迅雷のごとき彼らの突撃は、もはやもはや伝説の域に達しつつある。その伝統にならい、シャイニング・スピアは「レーザー・ランス」を装備している。この優美なる兵器は、彼らが突撃するときには、まさしく馬上槍そのものとして働くのだ。
シャイニング・スピアがなにより得意とするのが、機動力を活かした一撃離脱戦法である。すれ違いざまに攻撃を繰り出しながら、超高速で敵の横を飛び過ぎると、見事なジェットバイクさばきで機種を返し、再び襲い掛かってくる。そのあでやかな有志はまるで、エクダイトの星々でくり広げられる、竜騎士(ドラゴン・ナイト)たちの果し合いを見ているかのようだ。
シャイニング・スピアの突撃を受けてなお立っていられる者など、この銀河には数えるほどしか存在しない。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P56イラストより
- 「シャドウ・スペクター」
【概要】
シャドウスペクターは近年復活したアスペクト・ウォリアーであり、対装甲車両に対する射撃に長けた狙撃手でもある。
〈影の亡霊〉の名を持つ彼らは、レーザー狙撃銃と空中からの射撃も得意とする。薄く青いロープを身に着け、亡霊の如く現れるという。
彼らは今ではアエルダリ族のために戦うアスペクト・ウォリアーとして活躍しているが、しばらくの間はその技を伝承することが出来ず、失われたアスペクト・ウォリアーとして知られていた。
かつて、シャドウ・スペクター達がまだ各方舟に配備されていたころ、彼らの〈不死鳥の将〉(フェニックス・ロード)である「イリリス」がしばらく〈方舟〉に帰ってこなかったため、シャドウ・スペクターのアスペクト・ウォリアー達は一時期衰退してしまう。
そのため、シャドウス・ペクターの戦技を教えるアスペクト・ウォリアーたちは数千年の間において数が少なくなっていき、最終的にはシャドウ・スペクターの側面(アスペスト)は消失してしまい、戦技は闇の中へと失われてしまった。
しかし、第41千年紀においてイリリスの精神が宿った「アスペクト・アーマー」が惑星「ベタリスIII」で回収される。精神の宿ったアーマーを身に着けた新しい〈不死鳥の将〉はその戦技を受け継ぎ、シャドウ・スペクターの側面(アスペクト)を復活させることに成功したのだ。
【武装】
主力武器はレーザー狙撃銃である「プリズム・ライフル」であり、非常に長い距離から強力なレーザーを射出することが可能。「ファイア・プリズム」反重力戦車が装備している「プリズム・キャノン」を小型化したもので、装甲車両に対して威力を発揮する。
彼らが身に着けている流線型の見事なアスペクト・アーマーには、「アスペクティブフード」が搭載されており、一種のセンサーとして動作する。軽く意識をするだけでアーマーを動作させ、背中のジャンプパックでの飛行も可能。更にアスペクティブフードには、「ホロ・フィールド」による視覚的な歪みを発生させ、敵の狙いを狂わせる効果を持つ。
背中には「ジャンプパック」を装備しており、音を立てずに空中からの射撃も行えるようになっている。彼らが突如として空中から強襲し、レーザーの雨が降り注げば、敵部隊の戦車や装甲車はひとたまりもなくスクラップと化すだろう。
画像出典:サプリメント「Imperial Armour Volume 11 - The Doom of Mymeara」 P140イラストより
- 「クリムゾン・ハンター」
【概要】
高速戦闘機を操ることに長けたアスペクト・ウォリアー。クリムゾン・ハンターはアスペクト・ウォリアーたちの中でも非常に珍しい部類に属する。
彼らはアスペクト・ウォリアーの中でも数が少なく、「ナイトシェイド高速迎撃機(インターセプター)」として知られている大気圏内用戦闘機を操るパイロットとして活躍する。
【閉じられた空】
クリムゾン・ハンターの〈相の社〉は他の社とは似ても似つかないものである。それは特定の建物や場所ではなく、〈方舟〉の外周を取り巻く透明なトンネル構造の集合体である。
クリムゾン・ハンターが実戦訓練を行う場所は、このトンネル内部の限定された空であり、彼らはナイトシェイド高速迎撃機の流線型で構成される機体に搭載されたレーザー、およびプラズマウェポンを用いて攻撃を行う。この機体で訓練を行う際、クリムゾン・ハンターは搭載武器で装甲を貫くのを防ぐため、標的を照らす程度に兵器の出力を下げる。
この技法を通じて彼らは敵のいかなる射撃をも回避し、最も実戦に近い状況で味方の射撃によって傷つくことなく戦う方法を正確に学ぶのである。この絶え間ない訓練においても、実践においても、クリムゾン・ハンターたちを率いるのは彼らの中で最も高い技量を誇る先覚者「エクサーチ」だ。
この完璧なる技を体得した比類なき射手は、最高速度で移動している最中であっても標的を撃ち漏らすことは皆無に等しい。また、クリムゾン・ハンターたちは例外的なパイロットになるための訓練を受けており、あらゆる種類の操縦方法と射撃技を際限なく訓練を積み重ねている。
一流のパイロットである彼らは狩猟神である「クルノス神」を信仰しており、しばしば自らを〈クルノスの鷹〉と呼ぶことがあるという。
【クルノスの鷹】
銀河系で最も才能豊かな戦闘機の操縦者の一部を構成する同胞たちを相手に訓練を重ねるクリムゾン・ハンターは、劣等種族の航空兵器を易々と撃破することが可能となり、諸惑星の空を穢す者たちに対する優位を証明するのだ。クリムゾン・ハンターは、より強大な敵を突き崩してから屠るという戦神カインの力を体現している。
敵航空編隊の隙間を縫うように飛行し、巨大な標的を翻弄し、驚くべき火力で優先攻撃を目標をただちに撃破して自らが傷を負う余地をなくすのだ。そうした戦術の選択は必然である。
アシュルヤーニにとっては、多大な損失を伴う勝利など、勝利として数えるわけにはゆかない。空中であれ地上であれ、この種族には消耗戦を戦い抜く余地など許されていないからだ。
生存を賭けた戦いにおいて、〈方舟〉は常に圧倒的多数の敵を撃破せねばならないのである。
【その他】
- 「レンジャー」
【概要】
アエルダリのレンジャーは、銀河の中でも上位の斥候にして狙撃手である。彼らは過酷な「道」の探求をあきらめ、放浪の生活を選んだ民であり、「出奔者」(アウトキャスト)とも呼ばれる。だが、彼らは自らの〈方舟〉と、その伝統に対する忠誠まで投げ捨てたわけではない。
レンジャーのマントを身にまとうアウトキャストの多くは、ファーシーアから語られた何らかの使命を背負っているのだ。このように、方舟を離れた今もなお、彼らは彼らなりのやり方で同胞に貢献しているのである。
レンジャーの多くは、誰にも知られることなく、ただ独りで死にゆく。中には、心の中に巣食う陰にとらわれて、堕落する者たちもいるという。そしてまた一部のレンジャーたちは、放浪欲を克服し、自らの方舟へと帰還するのだ。
レンジャーは、今や一つの「道」として受け入れられつつある。レンジャーの中には「パスファインダー」と呼ばれる者たちが出てきたからだ。パスファインダーとは、「戦士の道」における「先達」(エクサーチ)と同じように、アウトキャストとして、またレンジャーとしての自己から抜け出せなくなってしまったアエルダリのことである。
パスファインダーは、身を隠しつつ、遠距離から敵を倒す術を極めた者だ。こうしたパスファインダーの一部は、”見えざる殺人者”(ホエック)とも呼ばれる。この名は、星々が若かりし時代から〈網辻〉を歩み、惑星から惑星へと旅をした存在にあやかって名付けられたものだという。
【役割】
レンジャーたちの使命は様々だ。彼らは銀河のいたるところを旅しては、失われた〈網辻門〉(ウェブウェイゲート)を探り、何物も降り立ったことのない惑星を探検し、そして彼らの〈方舟〉に害をなそうとする者を狩りたてる。
また、失われた遺物の探索や、戦場で倒れた戦士たちの亡骸から魂魄石(スピリット・ストーン)を回収する任務に送り出されることもある。しかしながら、彼らの最も重要な任務は、未来を見すえることだ。つまり、いかなる時も常に警戒を怠らず、アエルダリの敵となりうる存在に対して目を光らせ続け、いかに小さなものであれ危機の予兆があれば、それを〈方舟〉に報告することにこそある。
レンジャーを見分けることはたやすい。彼らが身に着けているものは、エクソダイトの惑星で生産されるきわめて機能的な衣服だ。更にその衣服は、風雨にさらされながら長い年月を旅の中で過ごしてきたことを、無言のうちに証明する。中でも特徴的なのは、彼らがまとう迷彩柄のロングマントだろう。
美麗ながらも耐久性に優れたこの素材は、レンジャーたちの姿を周囲に溶け込ませる。ひとたび戦争となれば、おなじ方舟のレンジャーたちは小さな団を組み、戦場の重要拠点を次々と確保してゆく。完全に周囲の風景と溶け込んだレンジャーの一団が突如として放つロングライフルの狙撃は、敵にとってきわめて大きな脅威となるだろう。
どれだけ重装備の兵であろうと、エネルギー弾によって首の関節や目を正確に撃ち抜かれてしまえば、ひとたまりもないのだから。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P42イラストより
- 「ガーディアン」
【概要】
アシュルヤーニの総人口は、段階的な減少を続ける一方であり、本来は戦士でない市民たちも武器を取らねばならない場面も増してきた。それゆえ、すべてのアシュルヤーニはガーディアンとして戦うための訓練を受け、有事に備えている。
事実、いくつかの〈方舟〉では、すでにガーディアンが戦力の大多数を占めるまでになった。その名が示すとおり、基本的にガーディアンは守備兵力であり、〈方舟〉そのものが危機に陥った時に召集される。
【〈方舟〉の民兵】
ガーディアンは練度の高い、装備の行き届いた部隊であり、ほぼすべての〈方舟〉の防衛戦力となっている。高い知力と身体能力、そして圧倒的な力を持つアエルダリの兵器群と組み合わされたガーディアンは、劣等種族の古参兵に匹敵する能力の持ち主だ。
主として戦時において動員されるガーディアンではあるが、より偏執的な〈方舟〉、あるいはより危険な宙域を航行する〈方舟〉は、ガーディアンたちの一部を交代制で軍務に就かせ、定期的に動員している。いくつかの〈方舟〉では、ガーディアンは最もありふれた兵士であり、より稀少な存在である〈相の戦士〉の数を優に上回っている。
彼ら彼女らの大半が歩兵として、守備兵たる「ストーム・ガーディアン」、もしくは突撃兵たる「ガーディアン・ディフェンダー」の分隊を編成して行動する。射撃戦を得意とするガーディアン・ディフェンダーはもっぱら「シュリケン・カタパルト」を携えて戦場へと赴く。
これはどれほどの重装甲であれ、やすやすと切り刻む単分子の円形刃を一斉に射撃し、鎧ごと敵を切り裂く死の雨を降り注ぐ武器だ。剃刀のごとき鋭い切れ味を誇る弾丸の一斉射撃は、アエルダリの間では“刃の嵐”と呼ばれている。
ガーディアン・ディフェンダーが遠距離から敵を攻撃する戦術を選択したのに対し、ストーム・ガーディアンの分隊は、至近距離から接近戦用の武器や近接戦闘時に高い効果を発揮する「フレイマー」や「フュージョンガン」を駆使して敵に白兵戦を挑む。ガーディアンはまた、〈方舟〉の擁する〈ヴァール神の憤怒〉を冠した支援火器を操作する。
長距離から凄まじい破壊力を及ぼし、反重力プラットフォームに搭載されたこれらの神秘的な原理で起動する野戦砲は、同胞たちにまたとない火力支援を提供する。射手たちの中でも熟練の域に達した者は、直接的な照準装置を用いる代わりに砲座を敵から見えぬ位置に隠し、サイキック的な探査装置を経由して標的を捉え、砲撃を行う。
【兵器の担い手】
機甲火力支援、偵察、輸送などの役割を担うアシュルヤーニの戦闘兵器の大多数には、ガーディアンたちが操縦手として配備される。それらの機体の多くは、信じがたい高速度と機動性を発揮して移動するため、操縦に際してはアエルダリならではの反応速度が不可欠だ。
「ウォー・ウォーカー」はアシュルヤーニの軍勢の前方、または側面でその機能を発揮する。ガーディアンの操縦手たちは、この機体が持つ長い脚のおかげで荒れ果てた大地も苦も無く踏破してのけるのだ、
一組の重火器を搭載したウォー・ウォーカーは、他の無数の戦車と同様に強力な打撃力を誇る。また先進的な支援システムにより、優先目標を選択してその場に釘付けにしたり、破壊したりすることも意のままだ。
前衛として託された任務を果たしたウォー・ウォーカーは主力戦に加わり、本体の繰り出す猛砲撃に更なる破壊力を追加する。アシュルヤーニはこれらの打撃戦術をアエルダリ語で「ミュアーケス=ベイン=ヘクティア」、または「悲嘆の穿撃」と呼ぶ。
アシュルヤーニが〈ヴァール神の機関〉と呼ぶ、ガーディアンの操縦する「反重力戦車」(グラヴタンク)には「ファルコン」、「ナイトスピナー」、「ファイアプリズム」、そして「ウェイヴサーペント」が含まれている。これらのビークルには全て、優雅にして致命的な、幽骨とサイキック的な工学技術の組み合わせによる一大到達点といっても過言ではない。
銀河系のあらゆる他種族が用いるよりも遥かに洗練された反重力技術を搭載し、高速移動中も信じがたい曲芸飛行や驚くべき旋回能力を発揮し、短時間であれば航空機の如く飛行することも可能だ。
【武装】
精鋭たる「アスペクト・ウォリアー」の人数は、迫り来る敵の大軍勢を打ち倒すにはあまりにも少なく、それを支援するための兵数がどうしても必要なのだ。ガーディアンが着用するアーマースーツは、極小の熱可塑性セルを編んで作られたものだ。
アスペクト・ウォリアーのスーツと同じように、ガーディアンのスーツも、弾丸やレーザーを受けるとその場所にあるセルが溶けて再硬化し、その攻撃をピンポイントで防ぐ。柔軟さと高い防御力を両立したこのスーツにより、ガーディアンたちは、敵の機先を制する身軽で優美な動作を制限されることなく発揮できる。
ガーディアンたちが使う武器は、戦況によって様々だ。通常、彼らは支援戦力として働き、弾幕と銃火器によるアスペクト・ウォリアーの支援を担当している。重火器は反重力(アンチ・グラヴ)プラットフォームに乗せられ、荒れ地の上でも軽々と移動できる。
万が一敵が至近距離まで接近してきた場合、ガーディアンたちは「シュリケンカタパルト」を一斉に浴びせかけるのだ。数こそ少ないが、嵐守(ストーム・ガーディアン)も重要な戦力だ。
彼らは白兵戦に特化したガーディアンであり、アスペクト・ウォリアーたちを援護する。一般市民で構成された兵士たちでさえ、敵に白兵戦を挑み、かつ勝利を収められるという事実は、アエルダリという種族の優秀さと、彼らの持つ高い技術の証に他ならない。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P36イラストより
- 「シュラウドランナー」
【概要】
ほぼ不可視の残像となって戦闘に突入するシュラウドランナーは、容易に敵を欺き、精確なる射撃でその群列を悩ませる。一台のジェットバイクにはアエルダリ・レンジャーが二人一組で搭乗している。
後部座席の乗り手は、高速移動と照準を同時に行うため、しばしば忘我の境に達しつつ射撃を行うという。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Shroud Runners」 商品画像より(2022/11/09閲覧)
ウォーギア(武器)と防具
【概要】
圧倒的なアエルダリのテクノロジーの差ゆえに、劣等なる多種族の目からすると、アエルダリの兵器は忌々しい道具同然に見えるという。彼らの使いこなす兵器は、自然法則よもくつがえし、確かな現実そのものに風穴を空ける。
アエルダリにとってすべての兵器は、恐るべき"美"を体現するものてあり、彼らはそれを用いて「死の芸術」を描き出すのだ。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第5版 P23イラストより
【シュリケン・ウェポン】
クラフトワールドの軍勢で重宝されているディスク発射装置の総称。「シュリケン」と呼ばれる単分子構造(モノモレキュラー)の鋭い円盤を、超高速で立て続けに射出する。
携行可能な小型銃器から、ビークルなどに搭載される巨大なキャノンにいたるまで、シュリケン・ウェポンの動作原理はどれも同じだ。成形水晶(プラスティ・クリスタル)製の弾倉に収められたいくつもの円盤が、銃器後部で生み出される強烈な推進力により、銃身中で恐るべきスピードにまで加速される。
これを解き放つことで、円形の刃が連続して銃身から射出されるのだ。その連写速度たるや、100発撃ちつくすのに数秒とかからぬほどだという。
- 「シュリケン・カタパルト」
シュリケン・ウェポンの中でも一般的な武器。着脱式の照準器を取り付け可能。ガーディアンといった市民兵にも支給されている。
- 「アヴェンジャー・シュリケンカタパルト」
ダイヤ・アヴェンジャーが使用するシュリケン射出ライフル。銃身を伸ばし、パワータンクと距離測定器を備えたカスタムタイプ。
- 「シュリケン・ピストル」
片手で扱えるシュリケンカタパルトの小型版。銃身が短く、エネルギー容量も小さいため、射程や発射速度などの性能は低い。
- 「シュリケン・キャノン」
大型のシュリケン・カタパルトであり、クラフトワールドの軍勢の車両に装備されている。大型化に伴って、細長い弾薬コイルや、トリプルアクセラレータフィールド、安定化ジャイロスコープなど、多くの追加機器を搭載する。
【単繊維】
クラフトワールドの軍勢は単繊維(モノフィラメント)と呼ばれる繊維も兵器として使用する。これらの兵器はいずれも、複雑な有機ポリマー化合物から生成される単繊維ワイヤーを、無数の微細な射出口から撃ち出し、回転する重力吸着子の作用で「網」を形成するというものだ。
この網にからめ取られた者は、そこから逃れようともがけばもがくほど死が近づく。カミソリのように鋭い網は、あらゆるものを切り裂き、敵を瞬く間に細切れの肉塊へと変えるだろう。
- 「デス・スピナー」
単繊維ワイヤーを無数に打ち出す兵器。「死の糸車」とも呼ばれており、この兵器に装備された「封磁フィールド」は射出されたワイヤーを磁力によってよりあわせ、敵に向かって投げかける。覆いかぶさったワイヤーが敵を切り裂き、苦痛に満ちた死をもたらす。
- 「スピナレット・ライフル」
「蜘蛛糸の長銃」とも呼ばれるワイヤー射出銃。銃口からは、一本によりあわせられた硬質の単分子ワイヤーが射出される。このワイヤーは敵の装甲をたやすく貫通した後、その体内でらせん状のバネとなって弾けて広がり、標的に死をもたらすのだ。
- 「シャドウ・ウィーバー」
「影つむぎ」とも呼ばれるワイヤー射出砲。敵の上に覆いかぶせるように上空に打ち出されたワイヤーは敵に絡みつき、もがけばもがくほど繊維が肉に食い込んでいく。
- 「ドゥームウィーヴァー」
単分子繊維ワイヤーの網を打ち出すキャノン。1発の射撃につき、ドゥームウィーヴァーからは、何百、何千マイルもの単分子繊維ワイヤーの糸が紡ぎ出される。敵はワイヤーの網に引っかかると、網の繊維よってズタズタに切り裂かれてしまう。
【ロケット兵器】
クラフトワールドの軍勢のミサイルランチャーは、何種類もの弾薬が同時装填された複雑な弾倉を備え、弾を詰め替えるなどという無駄な行動の必要性を完全に排してる。
この洗練された技術に比べれば、帝国のロケット兵器など、もはやただの筒でしかない。
- 「エルダーミサイルランチャー」
クラフトワールドの軍勢の地上部隊が好んで使用する標準的なミサイル兵器。クラック弾頭やプラズマ弾頭などの弾薬が同時装填された複雑な弾倉を備え、装填の時間を大幅に減らす。内部マガジンに収められている弾薬は非常にコンパクトで、弾倉に複数の弾薬が装填できる。
- 「リーパー・ランチャー」
アスペクト・ウォリアーの「ダークリーパー」が使用する高性能ロケットランチャー。装甲貫通ミサイルを発射でき、使用者は武器の銃口から狙いをつけることが出来る。
- 「テンペスト・ランチャー」
「ダークリーパー」の先達(エクサーチ)専用武器。はるか古より伝わりし武器で、テンペスト(大嵐)の名にふさわしく、多数の小型リーパーミサイルを広範囲にまき散らすことが出来る。
【プラズマ兵器】
帝国の「技管」(アデプト)たちもプラズマ兵器の開発を試みてはいるが、プラズマ技術の真価を引き出せるのはアエルダリたちをおいて他にない。アエルダリから見れば、使用者を傷つけたり、時には死に追いやったりする帝国のプラズマ兵器など、人類の低能ぶりを証明する事例の一つでしかないのだ。
事実、アエルダリのプラズマ兵器の一つである「スターキャノン」に、このような欠点はまったく見当たらない。アエルダリの用いる電磁核は、太陽のような熱と光を放つが、高性能遮断フィールドの働きによって、装置の外側は熱くなるどころか、むしろ低温状態が保たれている。
- 「スターキャノン」
強力なプラズマ弾を発射するキャノン砲。精巧な電磁パルスを使用してプラズマ弾を標的に向かって発射する。発射されたプラズマ弾は命中すると、高熱を伴う爆発を起こす。
- 「サン・キャノン」
スターキャノンよりも高威力を誇るプラズマキャノン砲。ビークル用兵器として装備する。命中したプラズマ弾は大きな爆発を起こし、歩兵小隊を全滅させるほどの威力を持つ。
【レーザー兵器】
クラフトワールドの軍勢のレーザー兵器は、サイキックパワーによって結晶化されたクリスタルによって光線のろ過と純化が行われ、その威力を最大限にまで高められている。
アエルダリの多くは「光そのものを武器となすレーザー兵器こそが、最も優美なる兵器の姿」と考えているようだ。
- 「マンディブラスター」
アスペクト・ウォリアーの「ストライキング・スコーピオン」が使用するレーザー兵器。ヘルメットに組み込まれている。
- 「ラスブラスター」
アスペクト・ウォリアーの「スゥーピング・ホーク」が使用するレーザーライフル。帝国製の「ラスガン」に比べて優れたエネルギー効率と性能を持つ。
- 「ホーク・タロン」
「スゥーピング・ホーク」の先達(エクサーチ)専用ラスブラスター。元の物よりも性能が強化されている。
- 「サン・ライフル」
「スゥーピング・ホーク」の先達(エクサーチ)専用レーザー兵器。一度の射撃で敵の小隊を全滅させるほどの威力を持つ。
- 「レーザー・ランス」
アスペクト・ウォリアーの「シャイニング・スピア」が使用する馬上槍(ランス)型のレーザー銃。収束された高威力のレーザーを発射することが出来るが、射程は短く、白兵戦でしか役に立たない。また名前の通り、馬上槍としても使用することが出来る。
- 「スター・ランス」
「シャイニング・スピア」の先達(エクサーチ)専用レーザー・ランス。威力が強化されている。アエルダリの至高神たる「アシュリアン神」が、空飛ぶ獣にまたがって振るったとされる槍から、この名が付けられたという。
- 「プリズム・ライフル」
アスペクト・ウォリアーの「シャドウ・スペクター」が使用するレーザーライフル。「プリズム・キャノン」を小型化したもので、今となっては時代遅れの武器として扱われている。アーマー内に搭載された「ゴーストライト」と呼ばれるターゲティングマトリックスと接続し、レーザーの威力増加を図っている。
- 「プリズム・ブラスター」
「シャドウ・スペクター」の先達(エクサーチ)専用プリズム・ライフル。性能が強化されている。
- 「ブライト・ランス」
クラフトワールドの軍勢で使用される重火器のレーザー砲。重量があり、取り回しが良くないが、携行武器としては高い威力を持つ。兵器内部にはサイキックパワーによって結晶化されたクリスタルを使用しており、帝国のレーザー砲である「ラスキャノン」よりもはるかに効率的にレーザーを発射することが出来る。
- 「パルス・レーザー」
ビークルに装備するレーザー砲。同じレーザー砲であるブライト・ランスに比べると威力は低いが、発射速度が速く、射程が長い。
- 「スキャッター・レーザー」
特殊なレーザーが発射できる重レーザー砲で、「サポート・ウェポン」やビークルに装備する兵器として使用される。6つのレーザーチャンバーを持ち、エネルギーを蓄積するための結晶パワーセルを使用してレーザーを発射する。レーザーは拡散発射が行えるだけでなく、1つの標的に対して集中照射も可能。
- 「プリズム・キャノン」
ファイア・プリズムに搭載されているレーザー砲。他のレーザー兵器と異なる動作原理を持ち、中濃度のレーザーが巨大な「三稜鏡結晶体」(クリスタル・プリズム)の内部でエネルギー増幅される。増幅された高濃度レーザーは、高威力の収束レーザー及び拡散レーザーを発射することが可能だ。
また、プリズム・キャノンの射程はスキャッター・レーザーやパルス・レーザーに比べて2倍の距離を持っている。
- 「レンジャー・ロングライフル」
アスペクト・ウォリアーの「レンジャー」に愛用されているスナイパーライフル。高度に洗練された精密照準装置を持つ長い銃身を持つ。サイキックによって成長させたクリスタルが内蔵されており、発射されたビームは距離減衰が起きにくい。
【ボルテックス兵器】
アエルダリが保有する兵器の中で、最も恐れられるこれらのボルテックス銃器には、現実世界と地獄のような〈歪み〉(ワープ)を繋ぐ力が秘められている。ディストートキャノンやレイスキャノンは、〈歪み〉を応用したテクノロジーによって物質界の構成因子を崩壊させ、次元そのものに穴を空ける兵器なのだ。
たとえターゲットがまるごと〈歪み〉に飲み込まれなくとも、時空が引き裂かれるときの強烈な衝撃波によって、敵の体は跡形もなく粉砕されるであろう。
ボルテックス兵器は危険な〈歪み〉を取り扱う兵器なので、ほとんどの兵器は生身で扱うことが出来ない。
- 「レイスキャノン」
死霊砲とも呼ばれている大型ボルテックス兵器。〈歪み〉空間と物質世界との間に小さな裂け目を作り、二つの次元の狭間で敵を引き裂く。生身の兵士では扱えないため、霊機である「レイス・ガード」用の武器として使用する。
- 「ヘヴィーレイスキャノン」
レイスキャノンの強化版。重量も増加しており、霊機である「レイス・ナイト」用の武器として使用する。
- 「D=キャノン」
ディストート・キャノン(次元歪曲砲)とも呼ばれているこの兵器は、戦場に小球状の〈歪み〉のエネルギーを放ち、敵をズタズタに引き裂く。極度に進歩したエルダーの〈歪み〉技術が応用された兵器で、サポート・ウェポンなどのビークル用の武器として使用される。
- 「D=サイズ」
「レイス・ガード」が使用するの兵器の一種で、敵の魂を身体から引き離し、〈歪み〉の潮流に追放することが出来る。D=サイズを発射しても目に見える爆風や負傷は一切無く、敵の魂そのものにダメージを与えるのだ。
アエルダリの間では魂を身体から引き離すことは女神「モライ=ヘグ」のみに許された権利とされているため、この兵器はタブーとして忌避されている。
- 「ヘヴィーD=サイズ」
D=サイズの強化版で、「ヘムロック・レイスファイター」に搭載されている。
【火炎兵器】
クラフトワールドの軍勢の火炎兵器は、高温を発する熱線兵器が多い。帝国のメルタ兵器と異なり、火炎そのものを発射する兵器は少ない。また、クラフトワールドの軍勢の熱線兵器は帝国の粗末なメルタ兵器よりも安全に使用することが出来る。
- 「ファイア・パイク」
「ファイア・ドラゴン」の先達(エクサーチ)専用武器。長槍型の銃身を持ち、長い射程で熱線を発射することが出来る。
- 「フュージョン・ガン」
ライフルサイズの熱線銃。射程は短いが、敵を1秒以内に溶かしてしまう威力を誇る。武器は「ファイア・ドラゴン」と「ガーディアン」に支給されている。
- 「ドラゴンブレス・フレイマー」
“龍の吐息”の名のとおり、至近距離の敵を灼熱地獄へと叩き込む恐るべき火炎放射器。
【近接武器】
白兵戦でアエルダリが振るう武器の数々は、いずれも銃器と並んで強力かつ美麗なものばかりだ。
冷たい作動音とともに、単分子構造の刃を輝かせるチェインソード。剣や薙刀、ナイフにいたるまで、その鋭い刀身には幽(かす)かなエネルギー・フィールドがゆらぐ。
そして、敵に死をもたらすべく斬りこむアエルダリたちの手には、白熱した死の花を咲かす、恐るべきプラズマ・グレネードが握られているのだ。
【チェーンウェポン】
高速可動するノコギリの刃を備える近接武器。その恐るべき切断力で敵を切り殺す。
- 「スコーピオン・チェインソード」
片手持ちの白兵戦用武器。軽量ながらも歩兵や軽装甲の敵に対して致命的なダメージを与えることが出来る。
- 「チェインサーベル」
「ストライキング・スコーピオン」の先達(エクサーチ)専用武器。エクサーチの中には、片手にチェインサーベル、片手にシュリケンピストルを内蔵した古のガントレットを装備し、息をもつかせぬ二刀流の猛攻をくり出す者がいるという。
- 「バイティング・ブレイド」
「ストライキング・スコーピオン」の先達(エクサーチ)専用武器。「噛みしだく刃」とも呼ばれ、刀身に埋めこまれた無数の刃は、敵の肉を骨もろとも、まるでシュレッダーにかけられた紙のように切り裂く。
【パワーウェポン】
エネルギーを用いて破壊力を上げる近接武器。武器をエネルギーの力場で包み込んで、破壊力を増加させる。
- 「エルダーパワーソード」
アエルダリ兵士に支給されている標準的なパワーソード。細身ながらもその威力は高く、力場に包まれた刃が輝き、敵の装甲を切り裂く。
- 「スターグレイブ」
アウタークが使用する薙刀型のパワーウェポン。
- 「ダイアソード」
「ダイア・アヴェンジャー」の先達(エクサーチ)専用武器。「苛烈なる剣」とも呼ばれ、柄に仕込まれた魂魄石の力によって、敵の精神に対しても攻撃を仕掛けることが可能だ。
- 「エクスキューショナー」
「ハウリング・バンシー」の先達(エクサーチ)専用武器。「断罪刃」とも呼ばれ、一振りで敵を両断できる巨大な薙刀だ。
- 「スコーピオン・クロウ」
「ストライキング・スコーピオン」の先達(エクサーチ)専用武器。「蠍の爪」とも呼ばれており、シュリケンカタパルトを内蔵した、巨大なハサミ状のガントレットである。
- 「パワーブレイド」
「ワープ・スパイダー」の先達(エクサーチ)専用武器。指先が自由に使えるよう前腕部に装着される左右一対のパワーソードであり、別の武器を手に持つことも出来る。
【フォースウェポン】
近接武器の一種で、サイカーが持つサイキックパワーによって敵に〈歪み〉のエネルギーを送ってダメージを与える。
- 「ウィッチブレイド」
「ウォーロック」が持つ剣型の武器。ウォーロックの精神波が内部に搭載された精神波収束基盤を見たし、敵を焼き殺す恐るべき武器へと変える。
- 「ウィッチスタッフ」
杖の形をしたフォースウェポン。使用者の精神波が満たされたその杖に攻撃されると、体は無事でも魂そのものに燃え上がるような苦痛が与えられるだろう。
- 「シンギング・スピア」
「歌う槍」とも呼ばれている精神エネルギーを利用した槍。投げて攻撃できるようにデザインされ、なんと、投てき後には持ち主の元へと自動的に舞い戻ってくるのだ。
- 「グラヴィティブレイド」
ファーシーアが持つ特殊な武器。敵を空中に浮揚させることが出来る。
【グレネード】
敵に向かって投げつけられた弾が爆発する手榴弾兵器。
- 「ヘイワイア・グレネード」
限定された空間に強力な電磁波を発生させ、電子回路をショートさせることで、敵ビークルの動力システムを沈黙させる特殊なグレネード。
- 「プラズマ・グレネード」
プラズマ兵器の不安定な電磁核が爆発する原理を利用したグレネード。太陽の光に匹敵する熱量と光を放つ爆発を起こす。
- 「メルタ・ボム」
素粒子反応(サブアトミック)エネルギーを応用した、危険きわまりない特殊爆弾。いかに重装甲の攻撃目標でさえ、その装甲を一瞬で溶解させる。その威力ゆえ、クラック・グレネードよりもはるかに大型で、起爆方法も複雑だ。
- 「アンチグラヴ・グレネード」
「ワープ・スパイダー」の先達(エクサーチ)専用武器。グレネードが爆発すると、その爆発範囲が一時的に無重力になり、敵を浮かせて動きを封じこめる。
- 「シマー・オーブ」
「ワープ・スパイダー」の先達(エクサーチ)専用武器。投げた先に障壁を生成し、数秒間敵の攻撃を完全に防いでくれる。
【その他】
- 「ミラーソード」
「ハウリング・バンシー」の先達(エクサーチ)専用武器。「鏡写剣」とも呼ばれている双剣で、鏡写しのような左右反転のデザインになっている。
- 「トリスケル」
「ハウリング・バンシー」の先達(エクサーチ)専用武器。「三刃扇」とも呼ばれているブーメランのように投てきする武器で、優美なカーブを描きながら飛び、その軌道上にあるものすべてを切断しながら持ち主の元へと戻って来るという恐るべき威力を持つ。
アシュルヤーニの聖遺物
- 「クルノスの弓」
このピストルは、獲物に合わせて矢を作り上げていた狩猟神「クルノス」に敬意を表して作られたものだ。このピストルの弾丸は精神感応機能を備えているため、敵の弱点に反応し、ほんのかすり傷でも致命的な一撃となってしまう。
- 「不死鳥石」(フェニックス・ジェム)
〈天界の戦争〉の最中、「アシュリアン神」を助けるために、女神「イスハ」は百の星の熱を光り輝く宝石へと注いだ。不死鳥石は、この古の石の唯一現存する断片であり、死者に命を与える力を持つと伝えられている。
- 「アナリスの断片」
カイン神がスラーネッシュとの戦いで砕かれた時、カイン神が手にしていた大剣アナリスも粉々になった。こうして、武器と使い手の双方の断片が〈方舟〉の中に安置されたのである。
- 「ファオルクの翼」
大いなる鷹「ファオルク」は英雄「エルダネッシュ」の死に際して、一枚の金色の羽を彼の後継者に贈った。伝説によれば、この遺産はアエルダリが代々受け継いできた嘆きの証であり、〈失墜〉の激動にも耐え抜いた遺産なのだ。
- 「焔の刃」
憤怒に満ちた力によってイスハの神殿の柱を打ち倒した大竜「ドラオク=ヴァル」は、数多の伝説の中で語られている。通説によればこの剣は、ウルサナッシュの勝利を祝して、ドラオクの鋭い牙から作られたと伝えられている。
刃は決して消えること無き怒りの炎で燃え盛っており、その火は生物のように広がっていく。
- 「恒星の嵐」(サンストーム)
〈天界の戦争〉が始まった時、アシュリアンは同輩たる神々に警句を発するため、七夜にかけて宇宙を渡ったと伝えられている。アシュリアンの乗騎にちなんで名付けられたこのジェットバイクは、比類なき速さを誇り、乗り手は流星のように戦場を駆け抜けていく。
- 「エルダネッシュの神鎧」
この壮麗な幽骨の鎧は、アエルダリ種族の草創期に作られたもので、エルダネッシュ自身の鎧の欠片から作られたものだと伝えられている。エルダネッシュは〈血に塗れし手の神〉と呼ばれしカイン神との戦いで斃れたが、その子らは戦火の中を不屈の闘志でもって前進し続ける。
- 「嘆きの石」
精神感応式の紅玉から切り出された、これらのルーン文字が刻まれた石はカイン神の手から滴り落ちた血のようにも見える。戦いの中で、これらの石は再構築され、未来を指し示す。
- 「復讐の刃」
このダイアソードには、闇の眷族の裏切りに遭い、殺害されたいにしえの太守の魂魄石が収められている。この剣で一撃を繰り出すたびに、太守の激怒が異能のエネルギーの爆発となって解き放たれる。
- 「龍の激怒」
装飾が施された龍手に仕込まれた、この広角型投射装置は、装甲を溶かすほどの超高温の炎の壁を作り出し、迫りくる敵の足を止める事ができる。
- 「影の針」(シャドウスティング)
個の鋭い刃は〈不死鳥の将〉ガランドラスが手にする強力な武器「イシルマシル」の姉妹作であると伝えられており、剣に備わる死の歯は、うめき声を上げるかのように敵を切り裂いていく。
- 「老婆の絶叫」
思念による指示で、この仮面は着用者の喊声から蓄えた精神感応エネルギーを爆発的に放出する。
- 「不死鳥の羽織り」
エクサーチの兜に取りつかれたこの一枚の羽は、サイコクリスタルの羽毛を持つ鳥から採取されたものだ。この羽が発する慟哭は、邪悪なる力の存在を〈方舟〉の防衛部隊に対して知らせるものだと言われている。
- 「蜘蛛のひと噛み」
この刃には、〈方舟〉の無限回路に生息する蜘蛛の毒が詰められた、極小型の孔が備わっている。そのひと噛みを受けた者は、次第に体が動かぬ幽骨へと変えられてしまう。
- 「カインの槍」
この装備が施されたジェットバイクの先からは舳先からは強力な力場が投射され、敵の防衛の間際を突く。
- 「社の髑髏」
これらの頭蓋骨が持ち出される時、その持ち主は破壊者としての役割を担うカインの意思を体現する者と化す。
ビークル
クラフトワールドの軍勢は以下のような兵器を使用する。これらの兵器は、アエルダリ族特有の素材である「幽骨」(レイスボーン)や「精神感応素材」(サイコプラスチック)などによって作られている。
【ライトビークル】
- 「ジェットバイク」
【概要】
アエルダリ族のジェットバイクは、繊細な一人乗り用のビークルであり、反重力(アンチグラヴ)モーターによって高速で疾走する。その流麗なデザインは、アエルダリ族が誇るテクノロジーの極みといってもよいだろう。
また、ジェットバイクの圧倒的高機動性は、敵にとってはもちろん、乗り手にとってさえ危険極まりないものだ。驚異的な反射神経を持つアエルダリ族でなければ、とても乗りこなすことはできないだろう。
ジェットバイクを乗りこなすには、アエルダリにとって実に刺激的な挑戦だ。左右に備えられた反転翼(ヴェイン)は、信じがたい急旋回を可能にし、更に半重力モーターの微妙な操作だけで、急上昇や急降下も意のままである。
ジェットバイクの性能を完全に引き出せるようになるには、アエルダリでさえ長い訓練の年月が必要だ。
ジェットバイク乗りは前線を探る斥候としての役割だけでなく、急襲部隊としても活躍する。鮮やかな残像を残して戦場を駆け抜け、機体に装備されたシュリケンカタパルトを一斉射出する。
乗り手の部隊が好む戦術は、敵戦線の背後に回り込んでからの強襲である。彼らが再びエンジンを加速させてそこを離脱するまでの一瞬にで、敵部隊は切り裂かれてしまうだろう。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P41イラストより
- 「ヴァイパー」
【概要】
”毒蛇”の名を持つ高機動攻撃機。火力とスピードが両立されている。方舟「セイム=ハン」の技術者たちによって開発されたこの機体は、高速で移動するジェットバイクの支援機としてデザインされた。
搭載された火力は二倍の大きさの戦車に匹敵し、異常なまでの移動速度で敵の射撃を避ける。ヴァイパーには2人のクルーが乗り込み、1人は前部座席で機体の操縦を担当し、もう1人は後部座席で銃手となって射撃を行う。
効果的にヴァイパーを乗りこなすには、2人のクルーの間に密接なつながりを保つことが必須であり、それ故に血縁者同士がクルーとなることも珍しくない。
熟練の「ヴァイパー・スカッドロン」ともならば、一糸乱れぬ編隊を組んで行動し、敵戦車の側面や背面へと一瞬で撃破することが出来る。
もっとも、ヴァイパーに搭載された下記の殆どは遠距離でも最大限の性能を発揮するため、敵戦線に近づくことは徹底して避けるようにしている。敵の先遣部隊が近づいてくれば、ヴァイパーは速やかに後方へと移動し、より有利な地点から射撃を行う。
それ故、ヴァイパー・スカッドロンは他種族の間できわめて悪名高く、また恐れられる存在である。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P43イラストより
- 「ホーネット」
【概要】
”スズメバチ”の異名を持つ偵察任務と一撃離脱戦法を得意とする反重力攻撃機。主力部隊よりも先に最前線へと偵察を行う際には、「エルダー・ジェットバイク」や「ヴァイパー」と共に出撃する。
ホーネットは通常、1~3機の部隊で編成され、クラフトワールドの軍勢に共通する速攻戦術と集中砲火の典型例として知られている。ホーネットに搭載された「スターエンジン」と空力学に基づいた機体構造をもってすれば、直線の最高時速600Kmをたたき出すことも可能にする。
ホーネットは他の車両に比べて機動性が高い機体である。そのためパイロットは通常、ジェットバイクやヴァイパーの操縦を事前に乗りこなした後にホーネットを操縦するようにしている。
反重力攻撃機であるホーネットは、あらゆるタイプの敵と交戦できるように設計されており、汎用性の高い性能を実現している。歩兵部隊に対しては、2門の「シュリケンキャノン」か「スキャッターレーザー」の装備で対応する。装甲車に対しては2門の「スターキャノン」か「エルダー・ミサイルランチャー」の装備で火力支援を行う。
画像出典:サプリメント「Imperial Armour Volume 11 - The Doom of Mymeara」 P189イラストより
【反重力戦車】
- 「ファルコン」
【概要】
クラフトワールドの軍勢の中核をなす反重力戦車(グラウ・タンク)。隼の名を持つ流線型の機体は、彼らと戦う敵にとって恐怖の象徴として知れ渡っている。かのアエルダリ神話における「天界の戦い」(ヴォー・イン・ヘヴン)において、ヴァール神に鍛えられたという強大なる剣「アナリス」を取り戻し、カイン神との決戦に挑む英雄「エルダネッシュ」にこれを与えた女神こそが、〈かの大いなる鷹〉の妃たる女神「ファオルク」であった。
女神ファオルクの果たした「運ぶ者」「解放者」の役割になぞらえて、ファルコン反重力戦車もデザインされている。
ファルコンは、戦場において2つの役割を果たす。1つは、その輸送能力によって兵士を輸送することである。後方の部隊を最前線へ輸送したり、あるいは敵勢力に包囲された友軍の救出を行うなど利用できる範囲は多彩である。
もう1つは、多彩な搭載機器と高精度の照準装置を用いて移動しながらの高火力砲火を加えることにある。
アエルダリが所有する車両と同様に、ファルコンも大出力反重力エンジンによって浮揚しながら移動を行う。この特性を最大限に活用するため、ファルコンのパイロットの多くは、雲に隠れながらの移動や、パルスレーザーとシュリケンキャノンを掃射しながらの急降下攻撃などを熟達しているという。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P40イラストより
- 「ファイア・プリズム」
【概要】
ファルコンの砲塔を高出力レーザー砲に付け替えた派生機種。原始的で美的感覚の欠片もない他種族の戦車と違い、ファイア・プリズム(火晶)は優雅で洗練された戦車だ。そして、その芸術的な流線型の外見とは裏腹に、恐るべき火力と装甲を備えている。
中でも主砲である「プリズム・キャノン」は、他種族の下品な重戦車に対しては天敵中の天敵である。
「プリズム・キャノン」は、他のアエルダリ兵器とは全く異なる動作原理を持ち、二段階の過程をへて発射される。一段階目は中濃度のレーザー光線が巨大な「三稜鏡結晶体」(クリスタル・プリズム)に照射され、レーザーは結晶内部で繰り返し増幅される。
二段階目は圧縮された膨大な高濃度エネルギーを発射する。敵の強固な装甲を貫通する”照射レーザー”だけでなく、敵歩兵部隊を薙ぎ払える”拡散レーザー”としても発射できる。
さらに極度に洗練されたプリズム・キャノンの整流回路(トラッキング・アレイ)には驚くべき機能があり、レーザーを別機体の三稜鏡結晶体に照射すると、波長を同調させて増幅された強力なレーザー光線を放つことが出来るのだ。
ただし火力を重視した設計のため、ファルコンのように人員の輸送が出来なくなっている。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P41イラストより
- 「ウェイヴ・サーペント」
【概要】
ファルコンをベースにした派生機種で、主力の兵員輸送機。ウェイヴ・サーペント(波動蛇)の名を持つこの機体は、優美な装甲に包まれ、アスペクト・ウォリアーたちやガーディアンを戦場のいかなる場所へも安全に輸送ができるのである。
主力と呼ばれるだけであって、この機体には様々な超技術が搭載されている。「エネルギー・フィールド発生装置」は、機体正面からの砲撃を軽やかに逸らし、高出力の「反重力エンジン」は、物の数秒で戦場を駆け抜けるスピードを持っている。
更に、強力な銃火器までも備えているウェイヴ・サーペントは、まさにクラフトワールドの軍勢の至宝といっても差し支えない。
画像出典:サプリメント「Imperial Armour Volume 11 - The Doom of Mymeara」 P177イラストより
- 「スコーピオン」
【概要】
クラフトワールドの軍勢が誇る反重力超重戦車。アエルダリの超科学による恐るべき火力に加え、超重戦車とは思えない反重力による機動性も兼ね備えた強力な兵器である。機体の名はアエルダリ神話に登場する獣の一つである”さそり”を模したものとなっている。
スコーピオンは機甲部隊による攻撃の最前線を担当する他、長距離での火力支援を行うときにも使用される。あまりにも強力な対戦車火力は、帝国の「インペリアルガード」からは「墓標作り」、「死を呼ぶサソリ」という異名で恐れられている。
この反重力超重戦車の主な武装は、旋回する砲塔に搭載された2門の巨大な「パルサー」である。この強力なレーザー砲は、巨大な「タイタン」(巨人機)に対してもダメージを与えられ、たった一撃で「レマン=ラス」戦車を真っ二つにしてしまう威力を誇る。
機体の速度は常に反重力で浮いているため、その巨体にもかかわらず素早く動作することが可能となっている。高速で空中を飛行したと思いきや、敵の砲火の周辺を動き回り、たった数秒間で敵の射程範囲外から砲撃を行うことなど造作もないのだ。
機体を保護する装甲には、敵の攻撃から身を守る「ホロ・フィールド」が装備されており、この神秘的な機器のおかげで敵の「ラスキャノン」を始めとした爆風やレーザーをそらすことができるのである。
その他、「ブライト・ランス」や「エルダー・ミサイルランチャー」も装備することが出来、スコーピオンは戦場における陸戦の王者として敵を圧倒するだろう。
画像出典:サプリメント「Imperial Armour Volume 11 - The Doom of Mymeara」 P194イラストより
- 「ナイト・スピナー」
【概要】
特殊な砲撃機能が備わった反重力戦車。ナイト・スピナーに装備されている「ドゥームウィーヴァー」と呼ばれる特殊兵器が搭載され、単分子繊維ワイヤーの網が発射される。単分子繊維ワイヤーは極めて細かく、強靭でかつ強力な切断力を持っている。
ひとたび放たれた繊維の網が敵の上に覆いかぶされると、細かい繊維によってズタズタに切り裂かれてしまうのだ。単分子繊維の網は、カミソリのように切れ味が鋭く、鋼鉄すらも切断してしまう。敵戦闘車両がこの網を被せられると、仮に破壊を免れたとしても、深刻な損傷を受ける可能性が極めて高いのである。
更にこの繊維は、射出後しばらく時間が経つと、網は固い毛布のように変化し、その上を安全に通行することが出来るようになる。
この繊維の糸は、絶対に引きちぎることが出来ないとされるアエルダリ神話に登場する鎖にちなみ、”ヴァール神の鎖”とも呼ばれている。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Night Spinner」 商品画像より(2020/9/27閲覧)
【ウォーカー】
- 「ウォー・ウォーカー」
【概要】
装甲を犠牲にすることで、重火力と機動性を両立させた優美な二足歩行ビークル。ウォー・ウォーカーは、その機体特性から主に戦場での偵察任務を担当する。装甲はほとんど無いに等しい外見だが、その代わりに「フォース・フィールド」が機体を保護する。
それだけでなく、機体はかすんで見えるため、敵からの視認が極めて困難となっている。このことから、ウォー・ウォーカーは結果的に通常の軽装甲ビークル同等の防御力が備わっている。
クラフトワールドの軍勢による攻撃の前兆としてよく知られているのが、風景の一部が歪んで見える現象である。木の枝を揺らしながら林の中を進んでいる何かに気づいたときには時すでに遅く、嵐のような砲撃が加えられてしまい、敵を発見した報告すらさせずに目撃者を消し去ってしまうのだ。
ウォー・ウォーカー部隊は、射撃によって敵を無力化する長距離砲撃を理想とし、アエルダリの超科学をもってすればたやすく有利な火力支援が可能となる。こうした技術の一例に、内蔵された魂魄石を利用した二重安全装置がある。
これにより、ウォー・ウォーカーのパイロットが一種の瞑想状態に入って機体と一体化し、いかなる地形も走破しながら左右の重火器で敵を薙ぎ払う。ウォー・ウォーカーによる一斉射撃は、敵歩兵部隊を一瞬で壊滅させることすら可能となっている。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P38イラストより
- 「ファントム・タイタン」
【概要】
クラフトワールドの軍勢が配備しているタイタン兵器の中でも最大級のサイズを誇る機体。ファントム・タイタンは他種族のロボット兵器と比較して、優れた俊敏性と速度を兼ね備えた兵器である。一人のパイロットとアエルダリ族の魂によって機体が動かされている。
ファントム・タイタンは通常の作戦では配備されず、大規模な会戦のときに配備される決戦兵器として運用されている。
機体には強力なエネルギーを放つ「幽骨核」(レイスボーン・コア)が組み込まれ、魂魄石のようにアエルダリ族の魂が宿ってる。そのため、機体には霊機のように自らの意思を持っており、パイロットの意識と一体化して機体の操縦を行う。
ファントム・タイタンの両腕には、アエルダリ族の陸戦兵器の中で最も巨大でかつ強力な兵器を装備することが可能である。強力なレーザー兵器である「ファントムタイタンパルサー」や〈歪み〉を利用した「ディストート・キャノン」(次元歪曲砲)、敵を切り裂く巨大なグレイブである「アシュナヴァルクリル」から装備を選択することが出来る。
肩には「ファントムミサイルランチャー」や「パルスレーザー」、またはタイタン級の「スターキャノン」を装備することも出来る。防御機構には、タイタン級の「ホロ・フィールド」が装備され、敵戦車からの砲撃にも耐えうる防御力を誇る。
画像出典:サプリメント「Imperial Armour Volume 11 - The Doom of Mymeara」 P44イラストより
- 「レヴナント・タイタン」
【概要】
クラフトワールドの軍勢が配備しているタイタン兵器の一種で、斥候としての役割を果たす。クラフトワールドの軍勢が持っているタイタンは全て機動性に優れているが、中でもこのレヴナントタイタンはコンパクトなサイズながらも他の機種に比べて高い機動性を誇る。
機体には多数のジャンプジェットと重力モーターを搭載しており、まるで浮遊感を持ったような動きで戦場を駆け巡る。レヴナント・タイタンの機動力をもってすれば、過酷な地形をやすやすと跳躍し、敵陣に対して熾烈な攻撃を行うことも可能だ。レヴナント・タイタンは敵から反撃を受ける前に素早く退却でき、安全な場所へとすぐに移動できるのだ。
コンパクトな機体には機動性を損なうことなく、レヴナント・タイタンは数多くの武装を搭載することが可能である。主力武装にはパルサーと呼ばれるレーザー兵器及び、「ソニック・ランス」と呼ばれる音響兵器が装備できる。
副武装は肩に搭載された「レヴナント・ミサイルランチャー」で、プラズマ弾頭の速射ミサイルで敵歩兵を一掃してしまう。劣等種族の巨大なタイタンは重装甲で機体の防御性能を上げようとするが、レヴナント・タイタンは「ホロ・フィールド」で機体を保護する。
ホロ・フィールドから投影された虚像は機体の見た目を歪め、敵の攻撃をそらして混乱へと陥れる。レヴナント・タイタンに搭乗するパイロットは「ステアマン」の名で知られており、その意識は機体に搭載された「幽骨核」(レイスボーン・コア)内部の魂と融合して一体化している。
更に特筆すべき点としてレヴナント・タイタンのパイロットは、兄弟のペアがそれぞれ2つの機体に搭乗して、2機で1組のペアで戦うことが挙げられる。そのため、レヴナント・タイタンは群れを成して戦闘することが多く、その行動は兄弟によるパイロット同士の精神的な繋がりによって調整されている。
画像出典:サプリメント「Imperial Armour Volume 11 - The Doom of Mymeara」 P204イラストより
【航空機】
- 「ナイトウイング」
【概要】
クラフトワールドの軍勢の主力戦闘機。ドックファイトや敵機の迎撃を目的として設計されており、「フェニックス」などのより大きな航空機と同行させて運用されることが多い。ナイトウイング乗りは、警告なく敵機の上空から急降下攻撃を仕掛け、超自然的な速度と俊敏性で追跡を振り切る戦術を好む。
ナイトウイングは戦闘機または迎撃機としても運用可能であり、帝国海軍がナイトウイングと交戦する際は、数日間の戦闘で75%の損失を被ることも珍しくはない。
武装は2門の「ブライト・ランス」と2門の「ロングバレル・シュリケン・キャノン」を装備しており、優れた火力を発揮する。
機体には保護のための装備も施されている。その一つとして、敵から身を隠すための「ホロ・フィールド」を装備しており、視覚だけでなく、レーダーなどの探知機からも身を隠すことが出来る。
また、アエルダリの成熟された反重力技術によって、「重力減衰コックピット」でパイロットを保護し、物理的に不可能な曲芸飛行を可能としている。
このような超技術とパイロットの操縦技術が加わることによって、ナイトウイングは制空権を迅速に確保し、クラフトワールドの軍勢を勝利へと導くのである。
画像出典:サプリメント「Imperial Armour Volume 11 - The Doom of Mymeara」 P197イラストより
- 「フェニックス」
【概要】
クラフトワールドの軍勢の地上攻撃戦闘機。「ナイトウイング」と多くの機能を共有しているが、地上攻撃用の武装を輸送するペイロード(積載物)が増加しているため、ナイトウイングに比べて速度と機動性が犠牲となっている。そのため、フェニックスには必ずナイトウイングを同行させて作戦を進めることが多い。
フェニックスは重装備の戦闘機であり、対歩兵や対航空機には1門の「ツインリンク・シュリケンキャノン」と、1門の「パルスレーザー」が装備され、地上攻撃には1基の「ツインフェニックスミサイルランチャー」が装備されている。
機体にはナイトウイング同様の「ホロ・フィールド」や反重力技術を使用しているため、防御性能や飛行性能は優れた性能を持っている。
画像出典:サプリメント「Imperial Armour Volume 11 - The Doom of Mymeara」 P199イラストより
- 「ナイトシェイド・インターセプター」
【概要】
アシュルヤーニ軍の航空機の中でも上位に属する性能を誇る戦闘機。アスペクト・ウォリアーである「クリムゾン・ハンター」によって操縦される。
武装は2門の「ブライト・ランス」、1門の「パルスレーザー」を装備している。ブライト・ランスはレーザー砲の一つであり、〈帝国〉の「ラスキャノン」に匹敵する威力を誇る。
「アエルダリクリスタル」を使用することによって、より効率的に敵機の装甲を貫くことが可能となっている。「パルスレーザー」はブライト・ランスに比べて威力は低いが、発射速度が速く、射程が長いため扱いやすい。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P59イラストより
- 「ヘムロック・レイスファイター」
【概要】
クラフトワールドの軍勢の戦闘機の一つで、機体には同胞の魂が宿った幽骨製の核が搭載されている。これはいわば、無限回路の小型版ともいえる。
パイロットである「スピリットシーア」は魂魄石の中に宿りし同胞の魂と一心同体となって機体を操縦する。また、機体には死せるアエルダリたちの魂を複数、宿している。
これらの魂は、操縦士が行動不能となった場合に副操縦士として期待の制御を行う役割を持つが、死せる魂たちと兵器の機体を共有することに対する無上の重圧を考えれば、これには実に高い危険性が伴う。操縦士に絶え間なく囁き掛ける声が、操縦士を狂気の淵へと立たせることは周知の事実であり、さらに副操縦士たちと何度も更新し続けたスピリットシーアは、自らの肉体だけを操縦席に残し、魂を幽骨製の核の内部に取り込まれてしまうリスクを抱えている。
そのため、〈方舟〉内での評議会では、パイロットに危険が生じるヘムロックの扱いについては、大きな論争の的となっている。
【恐るべき霊能兵器】
機体には様々な特殊装備が内蔵されており、その一つが「マインドショックポッド」と呼ばれる特殊な機器を通して、敵パイロットに対するサイキックパワーの精神攻撃を行うことが出来る。精神攻撃による影響は、敵パイロットを恐怖を与えるとともに、その精神をパニックへと追い込んでいく。
敵パイロットが恐怖のピークに達するとき、ヘムロックの機体に搭載された「ヘビーディストーションサイズ」で、敵の魂を身体から引き裂いて〈歪み〉の潮流へと追放する。これはネクロンの「記憶痕跡」(エングラム)を攪乱させたり、ティラニッドの「群巣意識体」(ハイヴマインド)から個体群を隔絶したりすることも可能だ。
アエルダリは肉体から魂を刈り取るこの行為を「〈老婆〉(クロン)の細紐に縊られる」と呼ばれる。伝説によれば、その務めは老いたる女神モライ=ヘグに託され、神の領分に属する。
すなわち、定命なる者には許されざる所業であるとされているためだ。だが、ヘムロック・レイスファイターの投入に反対する声は年々少なくなっている。
多くのアウタークたちが、そのような古風な流儀はかつての平穏無事な時代にのみ存在するに過ぎないと述べている。今やアシュルヤーニは、恐怖に満ちた銀河系で生存を確保する上で、このような恐るべき兵器すら躊躇なく投入すべきであると主張するのだ。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P65イラストより
【その他】
- 「サポート・ウェポン」
【概要】
後方から火力支援を行う特殊な銃火器プラットフォーム。民兵であるガーディアンの中には、より特殊化した支援火器プラットフォームを扱う者たちもいる。これらの特殊銃火器はあまりにも巨大なため、反重力プラットフォームに乗せながらの射撃もできない。
そのため、どこか固定された場所からでの射撃で前線を支援する。サポート・ウェポンの照準装置は極めて精確で、物陰に潜む敵兵さえもピンポイントで狙撃ができるという。
機体には「ディストート・キャノン」、「ヴィブロ・キャノン」、「シャドウ・ウィーバー」のどれか一つを装備することが出来る。
「ディストート・キャノン」(次元歪曲砲)は、小球状の〈歪み〉エネルギーを発射し、敵をズタズタに引き裂くことが可能だ。
「ヴィブロ・キャノン」(振動砲)は、強烈な共鳴音波を放って標的に衝撃を与え、敵兵を地面にたたきつける。
「シャドウ・ウィーバー」(影つむぎ)は、単繊維ワイヤーを上空へと撃ち出し、敵の上に覆いかぶせる。ワイヤーに捕らえられた敵が、もがけばもがくほど、繊維が敵の肉へと食い込んで動きを止めてしまうのだ。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Vaul's Wrath Support Battery」 商品画像より(2020/9/29閲覧)
霊機(レイス・コンストラクト)
クラフトワールドの軍勢が扱う主力兵器の一つで、死後のアエルダリ族の魂を利用して動作させる亡霊の兵士。
有事の際、アエルダリの魂は死後に留まる世界である「無限回路」(インフィニティー・サーキット)を離れ、特殊な魂魄石の中へと降ろされることがある。この魂魄石を機械の体に装着され、アエルダリの魂で動作する兵器のことを「霊機」(レイス・コンストラクト)と呼ぶ。
いわば、アエルダリの魂で動くロボット兵器であり、痛みも感じない機械の体を持った兵として戦場に送り出される。
この「スピリットシーア」によって行われる「降霊」作業に対して、アエルダリたち自身ですら強い嫌悪感をもよおすと言われているが、それでもなお人員不足の面や強力な戦力としての面を考慮して、今のクラフトワールドの軍勢にとって必要不可欠な兵器であることは否定できない。
弾力性に優れたサイコプラスチックやレイスボーンによって作られた機体は、その耐久力もさながら歩兵では扱えないような強力な重火器を軽々と使いこなせることが出来る。
- 「レイス・ガード」
【概要】
霊機(レイス・コンストラクト)の中でも小型の機体。レイスガードたちは、「スピリットシーア」と呼ばれる「先見」(シーア)によって率いられる。その優雅な流線型のデザインは、アエルダリ族の造形物に共通するものと見受けられる。
しかし、アエルダリ族の魂が宿っている亡霊の兵士たちは、軽快でかつ活発な生身のアエルダリとは正反対の存在であることを忘れてはいけない。彼らはただ黙々と前進を続け、立ちふさがる敵部隊や兵器に対して攻撃を続けるのだ。その静けさはまさに、墓所の如き。
この静寂をかき消すのは彼らの装備する「死霊砲」(レイスキャノン)であり、〈歪み〉と物質世界をつなぐ裂け目をこじ開けて、その次元のはざまで敵を引き裂く恐るべき兵器だ。歩兵にとっては携行することが不可能な兵器だが、機械の体を持つレイスガードにとっては実に使いまわしの良い兵器と化す。
静寂なる戦場で粛々と敵を倒すさまは、まさに死霊の兵といっても過言ではない。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P62イラストより
- 「レイス・ブレイド」
【概要】
レイス・ガードの派生機体で、近接戦闘に特化した装備で武装している。アエルダリ族の中ではレイス・ブレイドの名前をむやみに挙げたり、話をすることは避けられている。何故ならば、カイン神の怒りを煽ることにつながってしまうためだ。
各方舟ではレイス・ブレイドは他の霊機とは別に隔離されている。彼らは執念深き獰猛な戦士であり、それ故に味方を傷付けてしまう恐れがあるためである。
普段は避けられているレイス・ブレイドも、「スピリットシーア」から戦いの呼びかけに応じて、戦場に降り立つ。レイス・ブレイドに搭載された魂魄石は、その呼びかけに応じて目覚めると、死者の怒りに応じて熱く輝く。
彼らが一度目覚めればもはや、敵の血を浴びなければ止まらないほどの怒りに駆られ、目の前の敵を切り裂いていくのだ。
機体の片手に装備された「ゴーストソード」または「ゴーストアックス」は、攻撃が敵の弱点へと命中するように誘導を行う。もう片方の腕部には「フォースシールド」が装備されており、並の攻撃では傷一つ機体に付けることはできない。
激怒の戦士であるレイス・ブレイドは、戦線を押し上げる切り込み隊長なのである。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P63イラストより
- 「レイス・ロード」
【概要】
レイス・ガードよりも大きい霊機で高性能を誇る。レイス・ガード同様、彼らは自分の意志ではなくスピリットシーアに率いられて行動する。
全身がレイスボーンで作られているため、強靭な耐久性をほこる。大彫像を思わせるレイス・ロードの機体は、各〈方舟〉にとって、とても貴重なものである。
スピリットシーアの降霊術によって呼び出される死せしアエルダリの中でも、真の英雄と呼びうるものの魂魄だけが、このレイス・ロードの巨人に命を吹き込むことができるのだ。
死者の持つ魂魄は、生者の持つ「人格」や「意識」が保てず、物質世界と〈歪み〉の間で同時に存在しているのである。思考や感覚がそのまま直接反映される物質世界において、死者の魂魄は夢を見ているかのように、まどろみ、漂っている。
そのような状態の魂魄を、レイス・ロードの機体に宿らせて戦場へと降り立てるように出来るのは、彼らがテレパシーによる対話能力と、数千年に及ぶ経験に他ならない。
レイス・ロードの機体には様々な仕様が存在し、多くはイアンデンの〈方舟〉で製造されたものだ。白兵戦に長けた魂がその機体に宿っているならば、巨大な両手で敵を引き裂くか、「レイスソード」の一振りで敵をまとめて薙ぎ払う装備が相応しいだろう。
もし、射撃を得意とした魂が宿っているのならば、機体には重火器を扱えるようになるパワーが供給できる「エネルギー・コア」が装備されるだろう。
機体の装備は、その魂が生前に得意としていた戦術にあわせてカスタマイズされ、試行錯誤のすえに製造されるものである。
むろん、いかなる仕様であってもレイス・ロードは単独で戦局を変える力を持つことには変わりない。霊機に宿ったアエルダリの英雄の魂は、死後においても伝説の一ページが書き刻まれるだろう。
画像出典:コデックス「エルダー」(codex:Elder)第6版 P77イラストより
- 「レイス・シーア」
【概要】
霊機の一種であり、レイス・ロードと同レベルのサイズを持つ機体。レイス・ロードと異なり、先見の一人である「ウォーロック」の魂が宿っている。そのため他の霊機と異なり、自らの意志で動作するので、スピリットシーアを必要としない。また、他の霊機に命令を与えるのことも可能なので、レイス・ガードやレイス・ロードを率いて戦うことも可能。
第41千年紀よりも前の時代ではレイス・シーアは一般的な霊機の一つであったが、現在ではその数は非常に少ない。
レイス・シーアには巨大な「レイス・スピア」と「レイス・シールド」を標準装備し、オプション装備として「ブライトランス」や「エルダー・ミサイルランチャー」、「スターキャノン」を選択して装備することも可能だ。
更に彼らは他の霊機と異なり、サイキックパワーも使用でき、ウォーロックで培ったサイカーとしての経験を存分に活かすことが出来るのだ。
画像出典:サプリメント「Imperial Armour Volume 11 - The Doom of Mymeara」 P130イラストより
- 「レイス・ナイト」
【概要】
霊機の中でも最大級の巨大な機体。その巨体は戦場を闊歩する戦闘巨人ともいうべき存在で、巨大なエネルギー兵器や近接用のソードを装備することが出来る。
他の霊機と異なり、レイス・ナイトの動作には機体に魂を宿らせるだけでなく、生身のアエルダリのパイロットが必要となる。
レイス・ナイトのパイロットはそれぞれ生まれた”双子の戦士”が担当する。アエルダリ族の双子は比類なき精神的なつながりを持っており、相手の気分や思考をお互いに感知、共有することすらできるという。
しかし、この双子の片方が戦死した場合、残された片割れは徐々に衰弱してゆくことが多い。これは兄弟の死があたかも自分自身の肉体が喪失したかのように、強い喪失感を感じ取ってしまうからだという。
そのような悲痛な離別が生じた際は、生き残っている双子の片割れは残りの人生をレイス・ナイトのパイロットとして全うしなければならない。戦死した双子の魂をレイス・ナイトに搭載された魂魄石に宿らせ、一方の生き残った兄弟はレイス・ナイト胸部装甲の背後にある空洞部に体を収める。兄弟がともに力を合わせて1つの戦闘巨人を操作するのだ。
機体内にで操縦を行うパイロットは、レイス・ナイトに宿った魂やかつてのパイロットの魂とも交信することが出来る。生身のパイロットの快活さや軽快さが反映され、レイス・ナイトは他種族の巨大な「タイタン」などと異なり、まるでアエルダリのようなスムーズでかつアクロバティックな動作を実現している。
レイス・ナイトの多くは〈老婆の惑星〉におけるスピリットストーンの回収などの困難な作戦において配備される。そのため、決戦兵器としての側面が強く、むやみに出撃させることは少ない貴重な機体となっている。
圧倒的な性能を誇るレイスナイトだが、パイロットの数は年々減少している。各〈方舟〉におけるアエルダリ族の人口減少による影響により、パイロットである双子のアエルダリが生まれる数が年々減少している。そのため、レイス・ナイトのパイロットはとても少なく貴重である。
レイスナイトの乗り手は、双子の片割れを戦いで失った「レヴナント・タイタン」の乗り手たちの中から集められるのだが、死者と生者のつながりを再び強めることは、彼らにレイスナイトの操縦者として黄昏の生を送らねばならぬ犠牲を強いる。
大いに不穏なことではあるが、いくつかの方舟の評議会においては、レイスナイトの乗り手となる候補者たちに拒否権を与えぬものもあるという。
機体に装備された「レイスキャノン」、「サンキャノン」は圧倒的な火力をもたらし、巨大な剣である「ゴーストグレイヴ」は敵の兵器を一刀両断する。そして、機体片腕に装備されている「スキャッターシールド」は、敵からの砲撃に対して機体を保護するのだ。
その優雅な戦闘巨人はクラフトワールドの軍勢の戦局を大きく変え、敵に多大なる破滅をもたらすことだろう。
画像出典:コデックス「クラフトワールド」(codex:Craftworlds)第8版 P64イラストより
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- すごい!…けど画像多すぎ&大きすぎじゃない?ページ容量大丈夫? -- 名無しさん (2020-10-10 16:21:23)
- 唐突なシュリケンでNRS起こしかけた。訴訟。 -- 名無しさん (2020-10-10 17:18:24)
- こいつらが数少ないのって元々の特性だっけ?それともスラーネッシュ対策で禁欲してるから? -- 名無しさん (2020-10-10 17:39:59)
- ↑禁欲っつってもこいつら未来見て柔軟に動けるんだから肉欲と繁殖を同一視して忌み嫌うことは無いと思うな 寿命の長さ故に出産適齢期来るのが遅い・失墜でアホほど死んだ・度々戦いで若いのが死ぬ あたりが原因じゃない? -- 名無しさん (2020-10-30 10:50:06)
- ほんと設定が凝ってて面白いけど、人口が少ないの一点だけで旺盛な多種族と比べると厳しすぎる -- 名無しさん (2021-08-16 05:31:19)
- ワープスパイダーのフェニックスロードどこ行ったんだろう?多くのアスペクト集合絵でもハブられること多いし不遇 -- 名無しさん (2021-09-25 22:38:07)
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