登録日:2020/09/21 Mon 11:55:06
更新日:2024/05/23 Thu 10:24:20NEW!
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4コマ まんがタイムきららキャラット ニート アルバイト 就活 日常系 就職活動 芳文社 漫画 無職 双見酔 空の下屋根の中
宿題がない
授業のための勉強もない 朝も別に早起きしなくていい
幸せって こういう事だと思う
「ニート」
空の下屋根の中とは、双見酔による4コマ漫画である。
まんがタイムきららキャラットで2008年6月号から2010年6月号まで連載されていた(全2巻)
◆概要
ニートの少女香奈絵による就職活動というなかなか珍しい題材の4コマ漫画。
ニートが主人公といってもこれといって人格的に問題を抱えているでもなく、出会う人々も優しい人物がほとんどのため、
不快な描写や理不尽な罵倒といったストレスの溜まる要素は少ない(ただし後述するが単行本に関しては別)
そのため香奈絵にとって「優しい世界」といえ、基本的には淡々と話が進む日常系の物語。
もっとも都合の良い部分こそあるものの、就活・仕事に関する描写は割と現実的。
むしろストレス要素を省いた分「働くとはどういうことか。何故仕事をするのか」という
根本的な問いに嫌というほど向き合うことになり、何とも考えさせられる作品となっている。
どこか退廃的ながらもほんわかした雰囲気と優しい人々、その中で「仕事」について考える。
現在働いている人、これから働くことになる人にぜひ読んでもらいたい。そんな作品である。
……であるのだが、単行本については「いかにもなテンプレ的クズのニート男」の話が所々に挟まれるのでこれについては賛否両論。というかわざわざ単行本用に描き下ろして1巻の表紙めくったらこれって作者勝負しすぎだろう。
COMIC FUZでは単行本描き下ろし部分(つまりこのキャラ)を除いたほぼ全ての話を読めるので、興味があればそちらを読むとよいだろう。*1
◆あらすじ
笹川香奈絵、高校を卒業したら…ニートでした。職ナシ、資格ナシ、やる気は…あったりなかったり。昼夜逆転にネット三昧。そんな香奈絵に輝ける未来はあるのか!?働いてる人も働いてない人も必見です!!
(まんがタイムきららweb 作品紹介ページより引用)
◆登場人物
- 笹川香奈絵(ささがわ かなえ)
主人公の高卒ニート→アルバイト→無職→会社員。
これ以上勉強する気が起きないことから大学に行かず、就活もする気が起きなかったことから自堕落的に流れで高校卒業後ニートとなった少女。
当人としては「社会人になるまでの長めの休み」というつもりだったようだが、その自身の境遇こそが「ニート」であるとショックを受けたことで就活を始めた。*2
なお、名前は上記の通り「香奈絵」だが、作中ではほぼ「かなえ」と平仮名表記されている。
いいかげんかつ天然・世間知らずな部分も多いものの、根は誠実で良心的な性格の持ち主。
働くように諭す母親にも反発することなく日々求人を探すものの、資格もなく「やりたい事」も思い浮かばないため空振りが続く毎日。
そのような中まずはアルバイトでもと母親に言われ、おもちゃ屋のバイトに応募したところあっさり採用された。
おもちゃ屋では良い仲間に恵まれ、色々と社会経験も積めたのだが、最終的には就活との両立は難しいと考えバイトを辞めることに。
なお、就活を再開する前には美恵に断りを入れており、彼女の正直な性格が見て取れる。
以降は面接を受けては落ちて落ち込む日々。
その中「仕事」や「やりたい事」について考え、とある会社の面接で語った言葉が試験官に感銘を与えたのか無事採用。
彼女が働き始めたところで物語は幕を閉じる。
~台詞・モノローグ集~
「…私 何がやりたいんだろ…」(私… 何ができるんだろ…)
(…店員とお客さんって こんな関係だったのかな…)
「あ」(わかった 私は 一緒に働く仲間が居るのが 楽しい)
(私は 私が必要だから ここに居るんだ)
(バイトは学生のうちの一時しのぎ …今が一時しのぎなら私の「その先」は …何なのだろう)
(「やりたいことがあるから働く」じゃあないんだ やりたい事がなくても 働くんだ)
「百人良い人が来ても 一人嫌な客が来たら 嫌な気分で一日を過ごすんだよね」
(若い人…… 若くない人…… あれ?私けっこう崖っぷち…?)
(私は——… 仕事は大変だけど 楽しめるようになりたい ——のかな)
私はこれができる とか こういうのが得意 とか なんにもなくてなさけないんですけど…
「仕事」が 私の「できる事」「自信」になりたいな …って 考えて…ます
- 香奈絵の母親
香奈絵を厳しくも優しく見守る母親。趣味はクロスワードパズル。
ニートの香奈絵に呆れつつ、彼女の自己弁護や屁理屈を正論で説き伏せはするが、理不尽に罵倒するようなことはない良い母親。
ちなみに父親の方は1話だけ登場。
単身赴任でほとんど家におらず、香奈絵が幼稚園の頃以降はほとんど会うこともなかったらしい。
夫婦仲は良好の模様。
- 白井まゆ(しらい まゆ)*3
高校卒業後、スーパーに就職した香奈絵の友人。香奈絵からは「まゆこ」と呼ばれている。
普段は眼鏡をかけているが、仕事の時は外しているようだ。
サービス業という事もあって休みが不定期で、平日休みだと他に遊べる人がいないという理由でよく香奈絵と会っている。
就活に疲れた香奈絵を心配し、気晴らしに温泉旅行に誘うなど気遣いのできる性格。
ちなみに職場では卓球が流行っているらしく達人級に上手い。
なお、しばしば香奈絵と話し込んでいた店「ミルバーガー」は彼女ら以外にほとんど客がいないため心配されていた。ちょっとメタ的。
結局最終話では閉店していた。
- 木津(きづ)
香奈絵とまゆのクラスメートだった男子。
プログラマーとして就職したのだが、そこは仮眠室に空きがないほど長時間残業が常態化したブラック企業であった……
高校の同窓会にも来られず、その際に「次の休みは多分再来月」と漏らし絶句される始末。
さらに入社一年足らずで会社が倒産して無職になるという憂き目に……頑張れ。
その後は懸命に就活を続け無事再就職したらしい。
ただエピローグでは死んだ目で栄養ドリンクを飲んでいるのだが大丈夫だろうか……?
- 美紀(みき)
香奈絵のいとこの小学生の娘さん。母親である裕子が香奈絵の母親と出かけるにあたって一時預けられた。
年齢に合わずしっかりしており、就活中の香奈絵の事を気遣い一人で過ごそうとしていた。
気にせず一緒に遊ぼうとする香奈絵に対し「こういう時にがんばった積み重ねが出来る人と出来ない人をわける差になってるんですよっ」と諭すほど。
……その言葉は香奈絵だけでなく多くの読者にも突き刺さったことであろう。
香奈絵の就職が決まったエピローグでもメールでやり取りしており、そのしっかりとした内容に対する香奈絵の返信がこれである。
「私みたいな大人にならないように頑張ってください」
何だこのいたたまれなさは。
何気に2008年連載にもかかわらずスマホを使っているモバイルIT小学生。*4 つまりけいおん!Shuffleの追記修正要綱を満たせる。
- 八坂美恵(やさか みえ)
香奈絵をバイト採用したおもちゃ屋の店員の女性。
一応バイトで入っているのだが、長く続けているうちにどんどん仕事を任され実質雇われ店長となってしまった。
なお、店長はぎっくり腰で仕事を続けられなくなったため、大体店には青山と2人で立っている。
そのような事情のため彼女は休めず、業務量はともかくとして常に店に立ち続けている。
性格はざっくばらんで細かいことを気にしない気さくな人物。
なのだが、職業柄子供と万引きに関しては常に警戒しており、客の監視を怠らないその対応は香奈絵に世知辛さを味わわせた。
そんな彼女も「これください。お金はありません!」とこの上なく素直な子供には対応に苦慮した模様。
ちなみに店の方は平日なら一人でも手が間に合うくらいの入客量。
とはいえ防犯上の問題、そして何より暇でも話し相手もいないのはつらい事から新しい店員を求めていた。
そんな有様な経営状況ではあるが、それでもなおクリスマスの時期は客が激増し激戦となった。
誠実な香奈絵の事は気に入っており、彼女がバイトを辞めた後も冗談半分に勧誘を続けていた。
- 青山(あおやま)
おもちゃ屋のバイト員の男性。
パソコンで音楽作成をしており、その関係の企業に就職したいようだが上手くいっておらずバイトを続けている。
寡黙で真面目な性格で、奔放な美恵に若干振り回され気味。
美恵が店に一人の時は休み中にもかかわらず食事の買い出しにパシられている。*5
- 住吉智子(すみよし ともこ)
香奈絵が面接を受けた会社の試験官。普段は事務員。
面接の翌日にミルバーガーでばったり出会うという心臓に悪すぎる再登場を果たした。
プライベートで内情をぶっちゃけながら話し込んだためか、採用の連絡の際には非常にフランクな口調であった。
- ニート男
先述の通り、1巻をめくったらいきなりキモイ顔で登場する「働いたら負け」なテンプレ的クズニート。
就活を続けている本編主人公の香奈絵を見下し、完全に親のスネをかじって悠々自適の生活をするつもりであった。
が、当然親が許すわけもなく、両親及び兄から散々現実を突きつけられるも懲りずに引きこもり生活を続けようとするがパソコンが壊れ……
(おそらくは狙っての事であろうが)単行本1巻には随所に彼の話が挟まれるため苦手な人にとってはかなりきつい。
さすがに問題ありと判断されたのか2巻は本編終了後に短編が挟まれるだけとなっている。
私はこれができる とか こういうのが得意 とか
なんにもなくてなさけないんですけど…
「追記・修正」が 私の「できる事」「自信」になりたいな …って
考えて…ます
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▷ コメント欄
- 連載1回目から毎回アンケで高評価入れるくらい好きな作品だったけど、単行本のアレは悪い意味でビックリしたよ…… -- 名無しさん (2020-09-21 22:39:16)
#comment(striction)
*2 つまりこの時点で定義における「ニート」ではなくなっている。
*3 「小野田」と呼ばれていたシーンもあり。
*4 時代柄物理キーボード内蔵式の今となってはレアなタイプ。
*5 実際店を空けるわけにもいかないので仕方ないのだが。
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