登録日:2020/08/04 (火曜日) 21:11:51
更新日:2024/05/20 Mon 13:49:53NEW!
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七不思議 江戸 怪談 都市伝説 アニヲタ妖怪シリーズ 東京都 墨田区 江東区 妖怪 幽霊 本所七不思議 本所 置行堀 置いてけ堀 狸囃子 送り提灯 片葉の葦 足洗邸 送撃拆 灯無蕎麦 落葉なき椎 津軽の太鼓
本所七不思議とは、江戸時代に武蔵国江戸本所(東京都墨田区・江東区付近)に伝わっていた一連の怪談群である。
【概要】
日本各地に伝わる七不思議の中でも、何度も講談や落語の題材になった事もあり知名度は高い。
七不思議の例に漏れず怪談の内容には異説があり、現在最も広く伝わるのは浮世絵師・歌川国輝が明治19(1886)年に描いた錦絵「本所七不思議之内」に載る7話だろう。
水木しげる先生も「本所七不思議之内」を模写して妖怪画としている。
【代表的な話】
まずは「本所七不思議之内」に記されたものを紹介する。タイトル表記は錦絵準拠。
置行堀(おいてけぼり)
夜に墨田区錦糸町にあるお堀で魚を釣ると、面白いほど大漁になったが、いざ帰ろうとすると「置いてけ~、置いてけ~」と不気味な声がする。
すぐに釣った魚を放せば何も起こらないが、放さずに帰ると魚籠の中には魚が1匹もいなくなっているという。
誰かに遅れを取ることを「おいてけぼり」と言ったり、『まんが日本昔ばなし』でも2度に渡り放送されているため非常によく知られた怪談。
『まんが日本昔ばなし』を始めとした子供向けの作品では「むじな」の話と組み合わされ、「若い女性に魚を譲ってくれと頼まれたが拒否した所女性はのっぺらぼうになった」という筋になっていることも多い。
正体は狸や河童だと伝えられる事もあるが、「本所七不思議之内」では白い幽霊として描かれている。
後述の鬼太郎3期では白い幽霊のような姿で登場し、鬼太郎を水中に引き摺り込んで息の根を止めようとするが、体内電気で倒された。
狸囃子(たぬきばやし)
「馬鹿囃子(ばかばやし)」とも呼ばれる。
深夜に笛や太鼓などのお囃子の演奏が聞こえてくるが、音のする方に行くと演奏は止み、奏者の姿も見当たらないという。これは狸の仕業とされる。
江戸時代の作家・松浦静山*1は自著『甲子夜話』において人に正体を調べさせたが、とうとう正体を掴む事は出来なかったと記している。
水木先生の妖怪画は「本所七不思議之内」ではなく歌川国芳の錦絵「初午のたぬき」が元になっている。腹鼓でなく八畳敷のキンタマを打つ狸の絵は中々インパクト大。
後述の鬼太郎3期で紹介された絵では伸びた腹鼓を打っている絵に修正されている。まあ目玉おやじも「腹をポコポコ叩いている」と言っていたし、矛盾を避けるためだろう。
送り提灯(おくりちょうちん)
墨田区の法恩寺付近に現れた。
雨の降る朧月夜に出歩いていると、突然目の前にユラユラと提灯の灯りが見え、後をつけていくと目的地でパッと消えるという怪異。
また「本所七不思議之内」には提灯を持った女性の幽霊が描かれており、水木しげるの著書には女性と会話した話も記されているが、民俗資料にはそのような話は見当たらない。
モチロン正体は狐狸の仕業と言われている。
鬼太郎3期でも女性の幽霊の姿で登場。
片葉の葦(かたはのあし)
本所横網町の長屋に留蔵というクズニートがいた。美少女のお駒に惚れた留蔵は何度も彼女に言い寄るものの、日頃の行いもあって全く相手にしてもらえない。
ブチギレた留蔵は短刀でお駒を殺害し、さらに片腕片足を斬り落として死体をドブへ投げ捨ててしまった。それからはドブに葉が片方しかない葦が生えるようになったという。
なんとも胸糞の悪い話だが、片葉の植物の話は全国に伝わっている。またこの話は駒留橋の付近に伝わるが、2人の名前を合わせると「駒留」となり、名前は創作である事が分かる。
ちなみに水木先生は「本所七不思議之内」でこの話だけ妖怪画を描いていない。
鬼太郎3期ではこの片葉の葦にオリジナル妖怪「草かまいたち」が登場した。
足洗邸(あしあらいやしき)
本所三笠町(現・墨田区亀沢)に所在した味野岌之助という旗本の上屋敷でのこと。
毎晩バキバキと天井が割れ、「足洗えやァ!!」という大声とともに血に塗れた巨大な鬼の足が降りてきた。
落ち着いて洗ってやると足は消えるが、洗わないと大暴れして多額の損害を出したという。
味野が興味を示した同僚と家を交換した所、なぜか巨大な足は現れなくなった。
鬼太郎3期では目玉おやじがぬらりひょんによってこの屋敷に監禁され、そこへ現れた鬼太郎を葬るための罠として登場。
原作では足のみの妖怪だが、鬼太郎3期の「足洗い」は屋根裏に体が潜んでおり、目から光線を放つ他、実体がないためいくら攻撃しても無駄である。こんな奴どう倒すんだ…と思ったら吹っ飛ばされた鬼太郎が屋根に開けた穴から日光を浴びると骨になって消滅してしまった。こ、こんな呆気ないやられ方でええんか…
送撃拆(おくりひょうしぎ)
大横川にある北辻橋の近くの入江町の鐘付近で火の用心を叫びながら拍子木を打つと、後に続いて自分とは違う拍子木の音が聞こえてきた。
夜が静かなための反響ではないかと言われている。
鬼太郎3期では片葉の葦と送り提灯の間に拍子木の音のみ登場。
灯無蕎麦(あかりなしそば)
お腹を空かせた人が夜鳴きソバ屋を見つけたが、なぜか店員はおらず店の灯りもない。気を利かせて灯りをつけると必ずその人の家が凶事に見舞われるという。
同じように店員がいないにもかかわらず24時間灯りがともっている「消えずの行灯」というものもあり、灯りを消すと必ず家が凶事に見舞われたと伝わる。
水木先生は著書で「空腹からくる幻覚」ではないかと考察している。
鬼太郎3期では提灯から小さな炎が現れて来た客を火炙りにするという方法で鬼太郎とねずみ男が焼かれかけた。
またこの際鬼太郎は雷獣、狐者異とも対決した。
また、墨田区公式サイトでは上記の「足洗邸」「送撃拆」の代わりに次の話を紹介している。タイトル表記は当該サイト準拠。
落葉なき椎(おちばなきしい)
墨田川沿いの松浦家(松浦静山の息子が当主だったこともある家)の屋敷には大きな椎の木があったが、いつ見ても落葉が1枚もなかったという。
ちなみに椎の木は常緑樹であり落葉は少ない。
津軽の太鼓(つがるのたいこ)
大名屋敷の火の見櫓は拍子木を打つ決まりだが、なぜか南割下水近くの津軽家だけは太鼓を打っていた。なぜ太鼓を打っていたのかは誰も知らない。
【その他の話】
民俗学者の中尾清太郎はエッセイで以下の話を挙げているが、いずれも詳細は伝わらない。
- 入江町の時なし
- 割下水のほいかご
- 亀戸の逆竹
- 骸骨の行列
- 首洗いの井戸
- 幽霊橋の下駄の音
- 埋蔵の溝
- 三ツ目橋の火
- 吉良邸の怪
- 植村のどぶ
- 赤豆婆
- 姥の足痕
- 姥ヶ蔵
- 鳴かぬ蜩
- 駒止石
【本所七不思議が登場する作品】
最新版「妖怪本所七ふしぎの巻」及びアニメ第3期最終話「鬼太郎ファミリーは永遠に」に登場。
漫画では「総大将」と呼ばれる謎の妖怪、アニメではぬらりひょんが鬼太郎殺害のため「本所七不思議の刑」を仕組む。
またアニメ第4期「鬼太郎魚と置いてけ堀」にも妖怪・置いてけ堀が登場。
- 足洗邸の住人たち。(みなぎ得一)
主人公が住まうアパートとして「足洗邸」が登場するが、名前を借りただけで特に巨大な足が登場したりはしない。
- 本所深川ふしぎ草紙(宮部みゆき)
タイトル通り本所七不思議を題材にした七編のオムニバス式ミステリ短編小説。
採用された七不思議は「送り提灯」・「片葉の葦」・「置行堀」・「落葉なき椎」・「馬鹿囃子」・「足洗邸」・「消えずの行灯」。
ミステリであってホラーではなく、「この世には不思議なことなどなにも無いのだよ」・「人間の心模様が一番不思議」が主旨。
スクエニが発売したテキストアドベンチャーゲーム。
本所でかつて反魂の秘術が行われた結果、七不思議の元となる呪いが生まれた、という設定。
ゲーム本編は昭和の時代に蘇った呪いを巡るホラー……と思わせつつ呪いの力による能力バトル展開を経て、何が起こったのかを解き明かすミステリー・サスペンス展開となっていく。
詳細は項目にて。
追記・修正は江戸本所を訪れてお願いします。
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- 「足洗邸の住人たち。」の足洗邸にも巨大な足は出てきてなかったか?味野のじーさん踏み潰した千束ってやつ -- 名無しさん (2020-08-06 01:22:51)
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