登録日:2020/05/31 (日曜日) 23:01:00
更新日:2024/05/17 Fri 13:23:27NEW!
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コミックボンボン 漫画 打ち切り サイボーグクロちゃん 教師 木 怪人 小学校 横内なおき 講談社 イグドラシル ウッディケーン
概要
コミックボンボンに連載されていた漫画。作者はサイボーグクロちゃんで有名な横内なおき先生。
クロちゃん終了後に始まった作品ではあるが、元々は作者がバイト時代に描いていたものを持ち込み、読み切り漫画として編集して掲載されたのが始まり。よって実はクロちゃんよりも歴史が古い作品だったりする。
ただし読み切り版と連載版ではいろいろ異なるうえ、読み切り版はコミックスや新装版にも収録されていない幻の1編となっている。
未知の樹木イグドラシルと融合してしまった新人教師が生徒達のヒーローになるため悪戦苦闘しながらも成長していく、クロちゃん同様に笑いあり、涙あり、シリアスありの作品である。
登場人物
6年Z組
●大森ケン太
問題児だらけの生徒しかいない6年Z組の担任となった新米教師。ふとしたことからイグドラシルと融合してしまい、その力を欲するハゲタカ組から(主にイグドラシルが宿っている頭部を)狙われる身となってしまう。
優しくて真面目で正義感が強いが気弱な性格。当初は頼りない印象が強かったものの、そんな自分でも慕ってくれる生徒達の交流と怪人達との戦いを通し、彼らのヒーローになるべく少しずつ成長していく。
ユグドラシルと融合して以降は身体が木目柄になっており、一部生徒からは「モクメ」というあだ名を付けられている。実際に「自分自身の意思で身体を自由自在に伸び縮み・変形させられる*1」「身体の一部が欠損しても頭を中心に再生できるそのせいで度々フルチンになる」「植物同様に根(脚)から栄養を摂取する」「木製なので火に弱い」といった木同様の特性を有している。
ウッディケーンとは即ち「木製のケーン(ケン太)」という意味なのだが、作中で人にそう呼ばれたことは一度も無かったりする。
というのも『ウッディケーン』というタイトルはオーディオ機器メーカー「ケンウッド」(Kenwood)から拝借しており、「ケーン」と伸ばすのは『狼少年ケン』の歌や『市民ケーン』の響きを参考にしていた。*2
過去
子供の頃から嵐山という教師に憧れており、彼の影響で教師を目指す。そしてかつて請け負ったクラスにいたヒロといういじめられっ子を彼を助けようと尽力したものの、
周囲からはその正義感を冷笑された挙句クビになってしまい、当のヒロ本人からも拒絶され、以降トラウマとなっている。
その後は現在の学校でZ組の担任として再雇用してもらった模様。
●相田タエコ
Z組で唯一普通に投稿している女子生徒。初期の頃は無表情でやる気が無さげそだったが、ケン太達と交流するうちに少しずつ心境に変化が現れていく。
同時にケン太に対して好意を抱くようになり、堂々とチューまでするようになる。
過去
元々はZ組でなくごく普通の生徒だったのだが、同級生からは度々いじられるなどこの頃からいい扱いは受けていなかった。
ある日、ふとしたことから同級生達の親父狩りの場に居合わせてしまい、挙げ句、共犯者として親父狩りのグループに引きずり込まれてしまう。
その後、犯行現場を警察に目撃され、追い詰められた犯人の生徒達から「自分たちには親の立場・世間体がある」「お前なら普段マジメだから大丈夫」と、庇ってくれるように頼まれる。
彼らを助けるために「自分が皆をそそのかした」ということにして全ての罪を背負った結果、Z組送りになってしまった。
なお、罪を逃れた生徒達はその後一切負い目を感じることもなく、タエコを含めたZ組の襲撃に日常的に荷担している(元々、いざというときのためのスケープゴートとして仲間にしたフシさえある)。
●カズマ
Z組の生徒。元解体屋の倉庫に勝手に住み着いている少年。名字や家族構成は不明だが父親は人を轢いた殺人鬼であるとも言われている。タエコがZ組に入る前からZ組にいた。
横暴ではあるがZ組の中では良識のある方であり、気さくな性格をしている。落涙しながら人々を説得したりなど、意外に弁も立つ。さらに子供ながら大人と互角に渡り合う腕っ節を有し、さらにさらに銃器も平気で扱えメカの整備もお手の物というトンデモ小学生。最もクロちゃんのノリを考えると割と自然に見えてしまうのが恐ろしい
ケン太が使うスーパー消火弾や濃縮ペイント弾銃は彼が自作したものである。
●サラサ
Z組で飼育されているアメリカザリガニ……なのだが、作中では度々タクヤと豊田に毒針を突き刺しており、サソリではないかと疑われている*3。
身体は小さいが単身で解体業者の集団からZ組の教室を守り抜くなど、勇気と度胸は凄まじいものがある。単に業者がヘタレなだけかもしれないけど
●広瀬タクヤ
皮肉屋なガリ勉少年。カズマとは同じクラスだったことがあり、彼を恐れず接する唯一の存在。かつてはZ組襲撃隊の隊長だったが、ケン太とスカイボックスの戦いに巻き込まれたことでZ組に入れられてしまう。タエコが同じクラスだった時から好意を寄せていたが、相手にされていない。
勉強こそ得意だが実際には怪しいネット知識をひけらかしたり、2ちゃん用語を度々口にするなど、実際の実力以上に自分を賢くみせようとする姿は生意気な子供そのもの。
その性格故に度々クラスメート達を見下しており、後に彼らからその報復で壮絶なリンチを受けることになるが、その時「以前は周囲とのなれ合い方が分からず怖かったが、Z組になって前より楽になった」という本心を吐露し、自分がZ組であることを受け入れた。
自身がZ組の一員であることを認めはしたが、納得はしていないようで、しばしばZ組が潰されそうになった時表面上は当然のことと振る舞いつつ、非常に落ち込んでいた。
ハゲタカ組
▲親分
ハゲタカ組の親分。サングラスをかけた小柄な男性。見た目は怖いが部下に休暇を積極的に取らせたり、子供を諭したりなど優しい性格。最強の万能薬としてイグドラシルを開発するも、同時にその危険性にも触れることとなった。
中盤にイグドラシルの触手に攻撃されて重傷を負い、逃げ出した部下達に対する人質としてイグドラシルと繋がった状態で辛うじて生かされる状態となってしまう。
▲豊田
親分を慕うハゲタカ組の部下。良心的な親分に対してこちらは気性が荒く短気な性格であり、自分でも「ろくでなし」、「ドチンピラ」だと自覚している。追い詰められていたとは言え子供に手を挙げることも厭わないが、タクヤの家族に飯を食べさせて貰った礼を返したり、クロちゃんのえげつない行動に対して引いてたりする、また、部下達には優しいらしく慕われている。
ハゲタカ組を教授に乗っ取られたあとは部下達と共にタクヤの家に居候するようになる。
▲教授
イグドラシルを研究するハゲタカ組の教授。自身が生み出したイグドラシルを我が物にしようとするマッドサイエンティスト。自分を認めない親分への下克上を狙っており、後に親分がイグドラシルに攻撃されて倒れた際には組織を掌握し「ネオ・ハゲタカ組」を結成する。
▲アースカッター
ハゲタカ組の怪人。寡黙だが親分の命令には忠実。壁も容易く切断する巨大チェーンソーを武器とする。攻撃方法こそ単純だがそれ故に分かりやすく強いタイプである。
背中のカプセルには赤ん坊が入っており、度々育休を取っているらしい。戦闘中危ないだろーが
後に意外な正体が判明する。
▲ファイヤーマン
ケン太の頭部を回収するために送られた怪人。消防士の姿をしており、ヘルメットには「火の用心」と書かれている。ホース型の火炎放射器を武器としており、全身木製のケン太にとっては天敵と言える存在。「ムキキキキ」という独特な笑い声が特徴で、短時間ながら飛行も可能。
戦闘力は高いものの物忘れが激しく、任務の内容を紙に書かないとわからないというくらい低知能。イグドラシル奪取の任務を与えられていたにもかかわらず戦闘中に失念し、危うくケン太を何度も殺しかけた。
一度はケン太に敗れるも、無断出撃してまで再度対峙。新たに追尾ミサイルを装備したが、最後はそのミサイルを投げ返されて倒された。
▲スカイボックス
ファイヤーマンの弟。巨大な飛行ユニットを背負った小柄な男*4。ヘルメットには「空も用心」と書かれている。物腰は柔らかいが、怒ると口調が荒くなる。組織内でも部下から軽く扱われるなど、立場はあまり良くない模様。
ケン太とまともな戦闘をすることが少なかったために最後まで生き延びたが、その後の消息は不明。彼ら怪人の住所は、部下曰く「知らない」「考えた事がありません」とのこと。
▲キラーマンボウ
「天国」と書かれたマンボウ型の巨大ビート板を装備している怪人。長距離遊泳も可能な上にバタ足で海面に立つ身体能力も持つ。武器として飛び魚の形状をしたトビウオサンダーを持つが、ミサイルではないので爆発しない。
ビート板を脱いで表した正体は足だけが筋肉質で他は細長いという超アンバランスな体型。そのせいで「なんか気持ち悪い」と言われオリンピックに出ることが叶わなかった。
こんな身体になったのはスポーツ好き故に色々な競技に手を出してきたが、偏った鍛え方と妙なところにハマってしまった*5ため。
ちなみにビート版がないと泳ぐことができず、最後はそれで自滅した。
▲モーター夫人
「昼」と書かれたマスクを身につけ、バイクから頭と足が生えた外観をした怪人*6。高飛車な性格をしており、チエを挑発してレース勝負を展開する。
最後は両者に爆弾を付けた上でのチキンレースに持ち込むものの、チエはケン太に回収されてしまい独り海にダイブ&爆散した。
特に卑怯な手を使ったわけでないのに自滅に追い込まれた、ある意味可哀想な人。
▲ニセチエシスターズ
一部の戦闘員達がチエに変装した姿で、1~3号までいる。しかしただの戦闘員にカツラをかぶせただけのお粗末なもので、豊田自身も引いていた(曰く「あいつらがやりたいと言った」らしい)。
しかしケン太に間違えられて手を引かれたり、運動会でチエの分身(?)として活躍するなど、偽者としては役立っている。
一般人
■チエ
ケン太の幼なじみで、最近売り出し中のタレント。「キメッ」と独特のポーズを取るのが芸風。ヤンキーや戦闘員にすら知られているなど、知名度はそれなりにある模様。鈴井というマネージャーがいる。
優しい一面もあるがかなり……否、凄く乱暴な性格で、ケン太を度々引っぱたいたり、戦闘員を本気で蹴り飛ばしたり、ドッジボールでは自分のファンから叩き落としていたりする。一方でケン太の変化を簡単に受け入れたり、ハゲタカ組との戦闘にも積極的に参加したりなど、良くも悪くも豪快。
その後も度々Z組に顔を出しており、ケン太をヒーローに仕立てるために協力するようになる。
■PTA会長の息子
本名不明。新たにZ組襲撃隊長を務めるが、実際のところはZ組よりも度々自分達を見下してきたタクヤを目の敵にしていた。後に彼に恨みを持つ生徒達と共にタクヤをリンチにするも、カズマに加勢され全員フルボッコにされる羽目になる。
かつては複数のクラスメートと共にオヤジ狩りをしていたが、その時はタエコに罪を着せることでその場を凌いだ。その後もそれを気にするそぶりも見せないなど、控えめに言ってもぶっちぎりのクズ。
■リン
タエコの元友達。母親は女優。無邪気だがタエコを度々いいように振り回したり、PTA会長の息子らと共にオヤジ狩りに参加したりなどしていた。後に警察に見つかった際には率先してタエコに罪をかぶせ、タエコがZ組に入るきっかけを作った張本人。
運動会でも再登場。借り物競走でタエコを利用しようとする変わらずのクズっぷりを見せたが、無言で報復(クシャポイ)された。
■校長&教頭
ケン太達の小学校の校長と教頭。Z組を邪険にしており、彼らが自主的に学校を出て行くために明らかにアンフェアな運動会を催した張本人。*7
しかしZ組の予想外の奮闘により全競技で敗北することとなる。
■タクヤの家族
父、母(ヨシ子)、妹(マコ)。中盤ハゲタカ組を追われた豊田と部下3人に居候され、同時にケン太の巻き起こす騒動に巻き込まれる羽目になる。
そのうちマコは彼らと過ごしているうちに銃声に慣れてしまった(元々クールな性格ではあったが)。
用語
★イグドラシル
ハゲタカ組が品種改良の末に生み出した巨木。高い薬効成分を有しており、いずれは医療問題だけでなく環境問題なども解決できると期待されていた。しかしアマゾンの奥地に植樹された時、ハゲタカ組も予想だにしない事態が発生してしまう。
植物でありながら高い知能を有していたイグドラシルは自身やこの世界を脅かす最大の存在が人間であると理解しており、その力を人類救済ではなく人類駆逐のために使おうとしていたのである。その後本社に輸送される途中で暴走し、偶然にも落下地点にいたケン太に宿ることとなる。以後ケン太が危機に陥る度に暴走するようになるが、後に克服される。
ハゲタカ組のアジトにも同様の物が存在するがこちらは模造品であり、オリジナルより小さい上に大量の点滴による栄養補給をしなければ生きていくこともできない。さらにケン太と接触したことが原因で度々暴走するようになる。
★6年Z組
とある小学校の隅のボロいプレハブを教室とする、事件を起こしたり周囲とうまくやっていけなかった問題児ばかりを集めたクラス。生徒はタエコやカズマ以外にもいるようだが、誰も登校すらしていないので他に誰がいるかの詳細は不明。
度々他のクラスから暴行・罵倒・殴り込みといった常軌を逸したいじめを受けているものの、学校側は追い出したいと考えているためそれらの行為も全て黙認されているのが現状である。
運動会においても赤組と白組の他にチーム分けされる&真っ先に攻撃対象にされるなどほとんど公開処刑同然の扱いを受けたものの、ケン太や生徒達の奮闘で全競技で勝利。その報酬として教室にプレートを付けてもらった。ショボすぎ
★ハゲタカ組
イグドラシルを狙うヤクザの組織。元は小さな製薬会社だった。
一応裏組織的な存在にもかかわらず(超軟弱な)ホームページを持っている*8。
実は、本編における裏社会での活動だけでなく、自家製のヘリや銃で武装することで、世界中の危険地域でのスタンドプレー的なボランティア活動も行っている。
ハゲタカブランドの医療品を見かけない紛争地帯を探す方が難しいくらいで、一応は慈善団体の側面を持っている。
危険地域にも医療支援を行える実力と裏社会での顔を盾にしているため、公的な機関も手を出すことができず、好き勝手な活動を続けてこれたという背景がある(単純な武力や裏社会からの報復が怖いだけでなく、ハゲタカが無くなれば紛争地域の医療支援も無くなるという問題がある)。
★実験体一号
教授に生み出されたウーパールーパー型のイグドラシル。実験施設を逃走後は町のど真ん中で眠っていたが、ケン太に起こされて暴走。市街地を巻き込んでの大乱闘の末暴走したケン太に惨殺された。
しかし起こされるまで特に暴れたりはしていなかったことと、その正体や目的を(ケン太も含めて)誰も知らないことから、マスコミや世間からはケン太が批判されるだけに終わった。
★実験体二号
クモをベースに生み出された実権体。教授の命令で「号」のポーズを取ったりなど、一号よりはコントロールされている。当初は小型サイズだったが町に出ると同時に巨大化した。
元々不完全な存在だったらしく、どのみち先は長くなかった模様。
余談
- ボンボン掲載当時は運動会で唐突に終了してしまったが、実は単行本ではしっかり最終話まで描かれて完結している。
これは作者が単行本における最大限の残りページを確認した上でノーギャラで描いた物だという。これは新装版でも収録されている。
- 2016年に発売された『新装版 ウッディケーン』に収録された描き下ろし漫画「ウッディケーンVS.サイボーグクロちゃん」ではクロちゃんとコラボしている。
内容は簡単に言うなら「花見をしようとしたカズマ達とサトコ達が言い争いになり、豊田とクロちゃんが撃ち合いになり、アースカッター・クロ・マタタビ・ケン太の乱闘になり、最後はケン太が桜と融合して町中の絶景スポットになりました」というもの(ゴローがメタルボディの姿であることから時系列はゴロー編で起きた出来事であると思われる)。訳が分からないよ
【以下最終話までのネタバレ】
イグドラシルを手中に収めたつもりでいた教授だが、それは間違いだった。彼は既にイグドラシルに身も心も取り込まれてしまっていたのだ。その危機を感知するかのように親分は目覚め、自力で生命維持装置から脱出。豊田達の助けを得て本社から辛くも脱走することに成功する。
未だに瀕死の状態にもかかわらず親分は豊田に「本社とコピーイグドラシルの破壊」「オリジナルことケン太にはもう関わるな」と命令するが、親分を救いたい豊田は二つ目の命令を拒否。アースカッターと共にケン太を襲撃する。目的はケン太の体液を全て使ってでも親分を助けることだった。
同じ頃親分の元に連れて来られたタエコは、親分にケン太が元に戻れるかを問う。その口から出た答えは……「否」だった。憤りを隠せないタエコに親分は自身の過去を打ち明ける。
生まれた時から貧乏だった彼は成人後も性格を変えられず、老人に詐欺まがいの行為を行うゴロツキとなった。しかし後に妻となる女性との出会いによって改心し、小さな製薬会社を作り過去への贖罪と妻への恩返しのためにまっとうに生きることを選んだ。しかしその妻を病で失ったことから病そのもの憎むようになり、再び裏社会へと立つこととなる。あらゆる手段を用いて金と権力を手に入れた。イグドラシルが人類のための計画など、建前に過ぎなかった。
「イグドラシルが人類のための計画なんてウソっぱちだ!」
「全てはワシの復讐を果たすためだけの建前だ!」
「ワシは…この世の全ての病気をたたき潰すことができる、最強の軍隊(万能薬)が欲しかったのだ!!」
激闘の末カズマと豊田は思う存分に戦って和解し、同時にチエの加勢によりケン太もアースカッターに勝利した。だがそれと同時に彼の正体が自身が慕っていた嵐山先生だと知る。学校と対立して追い出された彼は世界中を旅していたのだが、その途中密林でゲリラの襲撃を受けた(このことでケン太は彼が死んだと思っていた)。ハゲタカ組に助けられそれ以降はアースカッターとして生きてきたのである。
そんな嵐山先生に自分もヒロという少年を助けられなかったことを打ち明けるが、嵐山はそんなケン太を力強く励ます。自分が教師だった頃、後ろめたいことは何も無かった。
「信じる道だけを歩き続けるのは、それなりにキツい」
「多くの敵を作り、闘いたくない相手と闘うことにもなろう!」
「それでも私は、これで良かったと思えるのだ」
「今もこうしてお前達に「好き」だと言ってもらえるのだから」
「ケン太、おまえには立ち向かうべき困難があるだけでおまえ自身に問題などないのだ」
その時、ハゲタカ組の本社を突き破り巨大化したコピーイグドラシルが出現。ケン太を取り込み完全体になるために動き出したのだ。危うく飲み込まれかけたケン太はイグドラシルが地球のために人類を滅ぼそうとしていることを知る。ケン太はそれを止めるため、今度は自分自身がイグドラシルを飲み込むことを決意する。
それが何を意味しているのか、タエコも……おそらくは皆が、理解していた。
コピーイグドラシルは養分タンク諸共ケン太によって一瞬で飲み込まれた。力を出し切ったことでケン太は長い眠りについた。
被害こそ最小限に抑えられたものの町はまるごと崩壊し、人々は去って行った。
そして数ヶ月後、廃墟と化した町に住む者達が表れた。イグドラシルの力を狙って調査に乗り出した各国の保険会社や軍隊を相手に戦うチビッコ愚連隊。その中にはタエコ、カズマ、タクヤ、何故かPTA会長の息子、そしてヒロの姿があった。あの時のケン太の気持ちを理解したヒロは、自分が代わりに子供達を支えていくことを決意したのである。
嵐山先生は子供達を待ちながら、彼らの住まう家となったケン太……「WOODY KEN」を見つめる場面で、物語は幕を閉じる。
読み切り版
前述の通り、『サイボーグクロちゃん』より早くコミックボンボン95年春休み増刊号に掲載された。
『クロちゃん』と違い、連載版には繋がらない
(むしろ増刊のレギュラーとなってシームレスに連載に繋がったクロちゃんが特殊)。
主な違いとしては、まずタイトルに『ウッディ・ケーン』と中黒が入る他に、下記のような相違点がある。
●ケン太
二十五歳無職。チエによると何の仕事でもとんでもないドジをやって三日と続かないという。
本当にやりたい仕事は正義の味方と言っており、事故で丸太の魂と合体して不死となってからは正義の味方ウッディ・ケーンを名乗る。
基本的な能力は連載版と同じだが、その体は麻薬の原料となる。
不死身となってもドジは治らず被害を拡大させてしまうため撤収させられ体に雑草やキノコが生えるまでに衰弱し、
ハゲタカグループに騙された町の人たちによって引き渡されそうになるが、
真相を知った町の人たちによってその雑草やキノコを口に押し込まれ、伸びた枝を剪定されて復活。
ヘルスパイダーを埋めてしまい、頭を投げ飛ばして戦車の中に乗り込む。
ハゲタカグループからは協力を持ち掛けられるも当然拒否して捕まえ、町の人たちから喝さいを浴びた。
■チエ
職業は不明。ケン太が仕事をクビになったと知って鬼の形相で締め上げたり、
ウッディ・ケーンの評判が悪くて泣いたりと結婚しているのではないかと思われるが、明言はされていない。
■坊主頭と髪の逆立った子供
ケン太を呼び捨てにしてチエ子を「あねご」と呼ぶので二人の子供ではないと思われるが、皆でちゃぶ台を囲んでいたりと関係は不明。
不死身の体となったケン太にウッディ・ケーンとなることを勧めたのは坊主頭の方。
▲ハゲタカグループ
大企業。登場したのはクロちゃんのドクター剛(初期)と似た髪型の社長だけで怪人めいた者は所属しておらず、戦力は巨大戦車と蜘蛛型ロボットヘルスパイダーのみ。
運んでいた丸太及びウッディ・ケーンの身体は万能薬の原料と偽って引き渡しを要求するが、実際は麻薬の生産を目論んでいた。
一度は町の人たちを騙すが、油断してスピーカーのスイッチを切り忘れてチエ達に本当のことを言ってあざ笑ったためにバレてしまい、
町の人たちの協力で復活したウッディ・ケーンに捕まえられる。
★丸太
名前は不明。麻薬の原料となる。
ハゲタカグループによってヘリで輸送される途中、調子に乗った社長が宙返りなどというふざけた操縦をさせたため落下。
真下にいたケン太を押し潰したが、丸太の魂がケン太の体に入り込む事で復活した。
(即ち社長は、ウッディ・ケーン誕生の直接的な要因を作ったとも言える。)
追記・修正、お願いします。
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▷ コメント欄
- 間違いなく名作。今でも特装版があるから手に入りやすいのもいいね -- 名無しさん (2020-05-31 23:34:07)
- 豊田は敵とも味方ともつかず人間臭くていいキャラしてた -- 名無しさん (2020-06-01 02:03:51)
- 実際名作だけど幼年・少年誌に掲載するのは厳しかったよなぁ… -- 名無しさん (2020-06-01 03:00:26)
- 当時小学生だった俺はそのよさはイマイチピンと来なかったなぁ…なぜ児童雑誌で連載した… -- 名無しさん (2020-06-01 09:55:41)
- 大家のお婆さんが融合後のケン太の木目見て心配していてクロちゃんのゴーくんの住んでたアパートのババァと比べてしまった -- 名無しさん (2020-06-01 13:53:49)
- 面白いには面白いんだけど、やっぱりクロちゃん終盤のゴロー編に通じるハードな雰囲気が作品全体から漂いまくってて打ち切りは残当だよなぁ…と当時も読んでて思った。でもコミックス完結編が描かれてるのはボンボン漫画にしては非常に良心的だと思いました(小並感) -- 名無しさん (2020-06-01 15:31:05)
- ↑結局最終巻が出ず「書き下ろしするらしい最終決戦はどうなったんですかねぇ…」と読者コーナーで皮肉られたムゲンボーグや、第一巻掲載分の次の回が最終回になった結果、完全版の出た最近まで第一巻が最終巻になってしまっていたロボポン豪の悪口はやめろォ!! -- 名無しさん (2020-06-01 18:43:34)
- ちなみに豊田がケン太の体液を比較的多量にもらっていったため、親分は最終的におそらく助かっている -- 名無しさん (2020-06-01 20:50:26)
- ↑多分チビッコ愚連隊を影ながら支援しているのではないかと推測。ただの子供達(とは言いがたいかもだけど)が軍隊相手に渡り合えるとは思いにくいし -- 名無しさん (2020-06-01 21:10:07)
- 昔読んでた、書き下ろしの完結編があるなんて知らなかったな、今度古本屋探してみよ -- 名無しさん (2020-06-01 22:29:11)
- 古本屋いくより新装版買えよ、表紙もかっこいいぞ -- 名無しさん (2020-06-02 03:32:34)
- マジで名作。記事が出来てうれしいよ -- 名無しさん (2020-06-02 11:44:38)
- クロちゃんって作者なりに子供受けを意識したギャグ(それ自体もちゃんと面白い)と作者本来の持ち味のハード・バイオレンスな作風がお互いを殺し合わずに合わさっていたからこそ人気が出た作品だから、この漫画みたいに最初からガッチガチのハードな作風だと同じようにはいかんよね。いい作品だとは思うけど小学生が読むにしては重過ぎる -- 名無しさん (2020-06-02 14:35:51)
- 読み切りだと、ケンが正義の味方に憧れる無職でタエコは(多分)同い年のケンの奥さん、イグドラシルは強い麻薬の原料だったね、たしか -- 名無しさん (2020-06-04 13:56:53)
- 良い作品だったかもしれないけど掲載された時期が悪すぎた。当時のボンボンはかのクロスハンターが連載されたり、新連載した漫画が次々と打ち切られる等迷走の時を迎えていた。別の雑誌で連載していれば、もしくはもう少し早く世に出ていれば、色々と違っていたかもしれない。 -- 名無しさん (2020-06-04 14:23:54)
- ボンボンそんなグダグダだったのか……編集長の交代と路線変更が休刊の原因と思ってたが、その前から問題抱えていたのかもな。ちょっと載る雑誌間違えたのかもなあ -- 名無しさん (2020-06-04 14:38:02)
- 確かにあの頃は打ち切り多かったな、フェアプレイズ好きだったのに -- 名無しさん (2020-06-11 03:30:37)
- 今は復刊やそれに伴う書き下ろしで救われてる作品も多いけどね。ククナギとか -- 名無しさん (2020-06-12 16:39:49)
- クロちゃんと比較するとシリアスに全振りしすぎた感じよね -- 名無しさん (2021-07-18 14:56:04)
#comment
*2 出典:横内なおき 公式Twitter(@kur0nana) 2016年11月1日ツイートより
*3 その際アメリカンなポーズを取ったのでアメリカザリガニということになっている。いいのかそれで。
*4 身体も当然小柄で、ふとしたことから彼のスーツを脱いだ姿を見たカズマは大爆笑した。
*5 サッカーではスローイン、水泳ではバタ足と、とにかく足だけ使う部分。
*6 チエからは「どういう人生を歩めばあそこにたどり着くのかわからない」と突っ込まれた。
*7 しかもZ組を狙うのが難しいと判断するや標的をタクヤの家族に向けようとするなど、教育者として見ても歪みきっている。
*8 ただし、見くびってチャットを荒そうものなら、即座に住所まで特定され、ヘリによる誘拐&お仕置きを受ける羽目になる。
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