ザナトス(STAR WARS)

ページ名:ザナトス_STAR WARS_

登録日:2020/04/27 Mon 13:30:00
更新日:2024/05/17 Fri 11:28:40NEW!
所要時間:約 20 分で読めます



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スター・ウォーズ star_wars sw ジェダイ ダークジェダイ クワイ=ガン・ジン オビ=ワン・ケノービ パダワン 弟子 テロス ライトセーバー テロリスト レジェンズ ドゥークーの系譜 ザナトス フィーモア グランタ・オメガ 頭脳犯




「あんたは俺が愛したすべてを壊した。あの日、あんたが俺を壊したんだ、クワイ=ガン。
だが、おかげで俺は生まれ変わった。より強く、より賢くなってな。
俺はもうあんたを超えた!」




【概要】

ザナトス(Xanatos)とは、スター・ウォーズ・シリーズの登場人物。
現時点ではレジェンズのみの人物となる。


旧共和国末期、ジェダイの道を歩んだが外道に落ちてしまった、いわゆるダークジェダイ
クワイ=ガン・ジンの二番目の弟子で、オビ=ワン・ケノービにとっては兄弟子となるが、人間性に問題があって俗気が抜けず、暗黒面に落ちてしまった。
なお、クワイ=ガンの一番弟子はフィーモアという人物である。




【人物】

「あんたが尊ぶものこそがあんたを滅ぼす。まだわかってないようだな?」


とにかく頭の回転が速い頭脳派。驚くほどに聡明で機敏、常に相手を一歩も二歩も先んじる。
しかもその知恵というのが小賢しい浅知恵や対処療法ではなく、周囲が予想もしないほどの大胆な計画もぶち上げる。スケールが大きいのだ。
肝心なところでは自ら出張って行動するところもあり、大胆なのは頭脳だけではない。
相手の心を瞬時に理解して漬け込むことにも長けており、相手の心の闇をついて即座に篭絡したり、トラウマを抉って動揺させたりと、相手の心を突き崩すのが抜群にうまい。


もちろん、ダークジェダイらしく利己的で凶悪。公共の福祉などは考えず、常に自分のために行動する
それだけならまだ周囲との折り合いも付けられるのだが(実際、表向きの顔とはいえ支配者としては一定の支持とカリスマがあった)、
もっとも悪いことに、彼の行動原理にはかつてのマスターにして父の仇、クワイ=ガンへの憎悪と復讐が根底にある。
その彼を絶望させるために好んで虐殺などの悪事を絡めようとするため、せっかくの優れた頭脳を持ちながら彼の周囲では惨劇が絶えない。


実は、こうした性格の片鱗はジェダイ候補生になる前から見せていたのだが、クワイ=ガンは彼の才能に魅了されてしまい、つい矯正を後回しにしてしまった
それが結局、長年彼らを苦しめる大敵を産むことになったのである。



ただ、あまりに能力が高すぎるためか、能力の劣る他人を見下して傍若無人に振る舞う傲慢さや、敵を見くびる自信過剰な一面もある。それで隙が産まれることもあった。
父のクレオンへの愛情は暗黒面に落ちてからも変わらず、むしろ強くなっている(親離れできていない)など、精神面では未熟な節も。


またジェダイ時代には、傲慢さの片鱗は見せつつも、師匠に対して(噛み付きながらも)対話を重ねたり、不満や不安を打ち明けたり、同僚になった若い女性ジェダイ(師匠を喪ったばかりで落ち込んでいた)に配慮したりと、彼なりの情も見せている。
暗黒面に落ちたのも、父や妹を目の前で殺されたからであった。
さらに後年は妻子を持つが、妻には仕事を用意させたり、息子にはフォースの素質が欠如したと発覚してもなおできる限りの教育をしたりと、家族にはまっとうに接してもいた。
良くも悪くも情の強いタイプであったようだ。



余談ながら、顔は大変なイケメン。しかも顔は遺伝した。
また若いころは明るい茶髪だったが、成人後は黒髪になった。一億総黒髪の日本人にはピンと来ないが、成人までに金髪が黒髪に変わることは現実でもよくあることのようだ。



【能力】

「退路はいつだって確保してる」


突き抜けた知能に負けず劣らず、フォースの法術もライトセーバーの剣術も達人レベル
師父のクワイ=ガンもジェダイ全体でも上位に食い込む戦士だったが、ザナトスもまたそれに追随する実力者で、
ライトセイバーを使えば同年代でもトップクラス、フォースの使い手としてはベテランのクワイ=ガンにも匹敵するほど。
パダワン時代、ナイト昇進の予備テストにおいては「能力だけなら満点」とまで評された。


ライトセイバーの光刃はもともと青色だったが、暴走してからは赤色の光刃へと改良している。


戦闘フォームについては、師父譲りのアタルを中心として、対ライトセイバー戦に長けるマカシ、二刀流のジャーカイなども使用できた。
剣術の腕前もとにかく高く、クワイ=ガンの攻撃の癖を読み取って圧倒したり、経験不足とはいえ確かな才能あるオビ=ワンをあっさり倒したりと、すさまじい能力を持つ。
また、上述した「相手の心を読み、突き崩す」頭脳と話術を戦闘中に併用することで、相手の心をくじいて太刀筋を乱れさせる、といった芸当も可能。



フォースの法術についても懸絶しており、念力、スピード強化、マインドトリック、位置の探知、テレパシー、といったジェダイに伝わる技をいずれも高精度で使える。
暗黒面に落ちてからはそのパワーや技術にますます磨きがかかり、並みのジェダイが一騎打ちでかなう相手ではなかった。


そんな中でも、彼がもっとも長けていたのは隠密能力である。
ザナトスはフォースの気配を消すことにかけては達人並みで、暗黒面のフォースを習得していながらジェダイ聖堂にあっさりと忍び込み、完全に気配を消していた。
当時ジェダイ聖堂にはヨーダメイス・ウィンドゥを含めて数多くの達人がおり、暗黒面のフォースを研究している人物もごく少数ながらいたにもかかわらず、ザナトスが聖堂内部で破壊工作をしていたのに誰も気づけなかった
フォースの気配を隠すことにかけて、これほどの使い手はシスの暗黒卿ぐらいだろう。



これらフォースの使い手としての能力に加えて、技術力にも言語能力にも長けていた。
ブラスターの腕前にも通じており、ライトセイバーをなくしてもとっさにブラスターを拾って狙撃できた。



恐るべきは、これほどの能力を持ちながらもわずか25歳で死んだということであろう。
もし彼が生き延びてさらに腕を磨いていれば、いったいどれほどの達人になったことだろうか。



【経歴】

◆前歴

「父さん。あなたが僕をジェダイに送ったとき、将来還俗して家業を継いでもらうために、と思っていたわけではないでしょう?」


出身は惑星テロス。BBY69(EP1の37年前)の生まれ。
父親は、テロスの知事(支配者)クレオン。妹にネイソンがいる。


マスター・ドゥークーのパダワンを卒業し、ジェダイナイトとなったばかりのクワイ=ガン・ジンは、あるとき惑星テロスⅣを訪れ、惑星の知事(支配者)クレオンの息子ザナトスが強いフォースを持っていることに気づいた。
しかしザナトス少年はすでに物心がつきつつあり、自分の家系が故郷では尊い家柄であることを理解していた。
(当時のザナトスの年齢については三歳といわれる。とすると、当時クワイ=ガンは25歳となる)


当時のジェダイの常識では、フォース感応者は物心つく前に親元から引き離され、聖堂を「家族」として暮らす。そうすることによって、自分の出生にこだわり、故郷や自分のために奉仕するという事態を避けようという意図があった。
もちろん、ジェダイとして成人してからは故郷で活動してもいい。評議会メンバーにもなったイーヴン・ピールキ=アディ=ムンディも自分の故郷に軸足を置いている。
ただそうした故郷のための奉仕は、あくまでジェダイとしての奉仕が先に立たなければならない。


年齢にしても、遅く入門したジェダイだって結構いる。キ=アディ=ムンディやイース・コスは四歳で入門したが、評議会メンバーまで勤めた。クワイ=ガンの想い人のタールに至っては、六歳という完全アウトな年齢だった。


しかしザナトスは、入門ギリギリの年齢という以上に、なまじ聡明なだけにすでに自意識を確立させており、自分の故郷と家族にも強い執着を持っていた
そんな彼が「滅私奉公」できるのか。


当時クワイ=ガンはかなり悩んだそうである。年齢面・精神面を考えれば、ザナトスはジェダイとして迎え入れるのは難しい。
さりとて、ザナトス少年の才能は傑出していた。可能性は飛びぬけている。良い方向に導くことができれば、きっと彼は偉大なジェダイとなるに違いない。



悩んだ末、クワイ=ガンはクレオンに頼み込み、彼を弟子として惑星コルサントへと連れていくことにした。
しかしこの結果、ザナトス少年はすでに確立していた家族や故郷への愛情から引き離され、その断絶に悩むようになる。
また、故郷の支配者として育てられていた彼は、幼いながらに貴族らしい尊大さを持っていた。
彼はコルサントにつくと、同世代の子供たちに「偉大な地方領主の若様」として振る舞おうとした*1
早い話、ザナトスはジェダイとしてふさわしくない素質の持ち主だった。しかしクワイ=ガンは、それでも彼の才能に賭けたのである



◆ジェダイ時代

「あれはいかがでした? 下段から打ちかかったところで、あなたの剣を抑え込むと――」
「ああ、見事だった……左手を守る際に力を緩める、私の癖をお前は見抜いたわけだ」


当時クワイ=ガンは、ナイトになったばかりで弟子を持っていなかった。
そしていくら物心ついていても、三歳のザナトスはいきなりパダワンになれる年ではない。
ザナトスはジェダイ候補生として幼年組に入り、クワイ=ガンはフィーモアという少年を自分のパダワンとして育てた。
数年でフィーモアは順調にジェダイナイトへと成長し、この功績からクワイ=ガンもジェダイマスターに叙任され、もう幼児ではなくなったザナトスも、正式にクワイ=ガンのパダワンになった。


ところが、ザナトスの攻撃性やある種の傲慢さは、ジェダイ候補生時代を経ても矯正されておらず、クワイ=ガンの修行でもうまくいかなかった。
あるとき彼は、兄弟子フィーモアとともにクワイ=ガンを仮想敵としてライトセイバーの訓練を行ったことがある。
クワイ=ガンはジェダイでも上位に食い込む腕前で、フィーモアとザナトスがふたり掛かりでもまだ余裕だったが、
ザナトスは自分がクワイ=ガンの剣を下段で抑え込んだ瞬間、フィーモアに攻撃を「命令」。
クワイ=ガンはフィーモアをフォースで弾き飛ばしたが、それで意識が逸れた隙に、ザナトスは師父の剣を弾き飛ばし、試合には勝利を収めたのだが、弟弟子が兄弟子に「命令」して「利用」したことと、
試合直後に「古来の戦いが示すように、泥中の農夫*2を生来の貴種が用いれば、勝利もできるということです!」と誇ったことは、
彼の人を人とも思わない傲慢さや攻撃性の発露といえた。
この発言でフィーモアは顔色を変え、クワイ=ガンも厳しく叱責した。


クワイ=ガンはそれでも愛弟子をかばったが、ジェダイ評議会は彼をナイトに昇進させることに否定的だった。
それでなくても、何かと評議会に反発してきたクワイ=ガンである。難しい弟子ほどかわいいということもあってか、ザナトスを巡っていろいろな方面で対立するようになった
一方、ザナトスの気性についてはフィーモアも、クワイ=ガンと昵懇の女性ジェダイ、タールも苦言を呈していた。


そういう状況下で、評議会は本当にザナトスがジェダイたりうるかの試練として、クワイ=ガンとザナトスの師弟を、ザナトスの故郷である惑星テロスに送り込むことにした。
そのころテロスは情勢が悪化していた。原因は、独裁者として暴走を始めたクレオン知事にある。
BBY53、当時クワイ=ガン38歳、ザナトス16歳。父に仕えるかジェダイに仕えるか、試練の年である。


もちろん評議会は、二人だけを送ったわけではない。クワイ=ガンの抑えとして、彼と親しいマスター・タールと、そのパダワン、オリカン・タマリックのチームを支援につけた。
オリカンはトゥイレックの少女で師匠をなくしたばかりであり、弟子を持とうとしないタールに双方の試練として組まされた形である。



◆テロスの惨劇

「ザナトス! 待ってくれ、これは……」
「これが『試験』だっていうのかクワイ=ガン!? これでおれが『合格』したと!?」
「おれのフォースを感じてみろよ、マスター!?」


もともとクレオンは惑星第一の資産家で、星の知事としてテロスの資産をフル活用し、巨額の富を作っていた。
本人の行政手腕そのものが高かったようで、元老院の支援はおろか、参謀すら必要なかったという。この辺は息子にも通じる特性であろう。
ところが、老境に入ってからは過酷な収奪や反対派への弾圧を繰り返すようになり、また近隣惑星にまで侵略の手を伸ばすようになっていた。それでジェダイが派遣されたのである。


一方、クレオンにとっても「息子」を手放したことは後悔の対象であった。
幼児をジェダイにして、子に親への未練を断ち切ることはできても、親が子を子と思うことは防げない。
まして名門とか権力者とかの場合、自分の家を継げるのが出家していたジェダイだけという情勢になると、たとえ還俗させてでも家を継いでほしいと願うものだ*3


クレオンは、やってきたジェダイの片方が息子だと知ると、大喜びで歓迎した。父が培ってきた富と権力を、ともに享受しよう、と。
最初は断ったザナトスだったが、当時クワイ=ガンとはぐれ、一族の宮殿で血族の遺産を知ってしまった彼は我が血の尊さに感激し、師父を捨てて実父の軍に属してしまった


しかしクワイ=ガンにとってはたまったものではない。それに惑星の状態は目に余った。
クワイ=ガンとタール、オリカンの師弟はそれぞれ行動し、現地にいたジェダイ崩れや顧問のひとりとも組んでクレオンの犯罪行為を明かして反体制派を支援する
しかし彼らジェダイの行動は、ひとりクレオンの弾劾のみならず、首都全体を巻き込む内戦にまで勃発。勢いはジェダイのコントロールからも外れる始末になった。


この内戦で、ザナトスの妹ネイソンが暴徒に射殺され、父のクレオンも、クワイ=ガンによって燃え盛る炎の中へと押し込まれ焼死
ザナトスは妹と父親を相次いで、目の前で惨殺されたことで逆上し、怒りの感情を爆発させて暗黒面のフォースに開眼した
クワイ=ガンの謝罪ももはや届かない。
父の燃えたままの指に残る指輪を眼下に押し当て、一族の紋章を文字通り顔に刻み付けたザナトスは、折しも暴徒がなだれ込んだこともあって決着をつけずに逃亡。
宝物庫から運べるだけの財産を運んで、輸送船で脱出した。


「父さん! ネイソン! おれは、『マスター』を殺す!!」



この一件はクワイ=ガンに深い挫折を与えた
自ら見出した弟子を、不安な兆候を感じながらも「自分なら導けるはず」といわば過信し、家族のつながりを軽視しすぎた結果、最悪の事態を引き起こしたのである。
コルサントに帰ったクワイ=ガンは、評議会には「ザナトスはテロスの戦いで死んだ」とだけ報告し、深刻な挫折感に苛まれたまま数年を過ごす。



◆テロスにての復活

一方ザナトスだが、彼は意外にもあっさりと惑星テロスに戻っていた。しかもテロスの正式な市民として、正規の政治家としてである。
彼は死んだ父クレオンが挙げた業績を発表し、裕福で偉大なテロスを作った優れた政治家として表徴。
その跡を継ぐことで惑星住民の、ひいてはテロス星系全体で支持を集めることに成功する。


また、ザナトスは「オフワールド・コーポレーション」という企業も立ち上げていた。内戦で荒廃したテロスの修復と再建を扱う企業である。
実際に荒廃からの再建としては優れた成果を上げており、故郷テロスはわずか八年足らずで急速に回復していった。
大規模なカジノを開き、その資金もインフラ整備に活用したようである。



一方、会計課の一員にジェダイの息子がいると知るや、ひそかに連絡を取って篭絡しようとしたり(父親が自分にしたように、こちらの道に引き込もうという計画だろう)、
トゥーラ・オメガという女性を妻として、グランタという息子を産ませたりしている(なお、グランタ誕生はYBB50、ザナトス19歳のとき)。
もとジェダイということもあって、フォースの使い勝手の良さをよく分かっていたようである。
グランタが三歳になるころには教育を始めており、ジェダイとクワイ=ガンへの憎悪や、経営手腕、経験から得た知識などを仕込んでいる。
ただ、グランタはミディ=クロリアンが先天的に欠如している体質であったため、フォースはまったく使えなかったが、ザナトスはそれはそれでと、実技以外の知恵は仕込めるだけ仕込んだようである。



◆バンドメア戦

内乱から9年後のBBY44、25歳のザナトスは惑星バンドメアに目をつけ、策略をめぐらせてオフワールド社のためにこの星を搾取するようになる。
これは因縁あるかつての師父クワイ=ガンへの復讐計画でもあった。


ザナトスは用意周到に罠を張り巡らせ、当時の銀河元老院最高議長カルパナのメッセージを偽造してクワイ=ガンをおびき出した。
かくしてザナトスは、疑いつつも訪れた元マスターやバンドメアの幹部らを手玉に取りつつ、ビジネスを誘導。
また、クワイ=ガンについてきていた13歳の少年オビ=ワン・ケノービにも声をかけ、当時ジェダイになれないと思われ、クワイ=ガンへの弟子入りも拒絶されていたオビ=ワン少年の精神を揺さぶり、味方につけようとしている。


しかし彼がオビ=ワンを篭絡しているあいだに、クワイ=ガンはバンドメアを巡る計画を暴いており、帰ってきたザナトスはついにライトセイバーを起動。師弟の戦いが始まった。
暗黒面の力を誇示するザナトスは確かに腕を上げており、クワイ=ガンは肩を負傷するなど苦戦。
しかもザナトスがオビ=ワンから借りたライトセイバーまで使ったのを見ると、ついにクワイ=ガンはオビ=ワン救出を優先して戦いを放棄
その後もザナトスはクワイ=ガンを追撃し、オビ=ワンともども罠にかけて地下道に封印、彼らをイオン爆弾で吹き飛ばすところまで追い詰めた。


しかし、クワイ=ガンについてきていたオビ=ワンが奮闘し、星ごと吹き飛ばしかねない爆弾を解除に成功。
ザナトスの計画は失敗に終わり、事前に用意したメッセージを残して、テロスに戻って再起を期すことになる。



『あんたがこれを読んでいるなら、おれはあんたを見くびりすぎたってことかな。次は、そうはいかない。
マスターと一緒の冒険は楽しかったよ。なぁに、また会えるさ、確信がある』




◆ジェダイ聖堂攻撃

「思ったより掛かったじゃないか、おれが来てるってのに、気付くのが」


それからしばらく、ザナトスは表向きの地位は維持したまま、他の星の政治に関与したりしていたが、目立った動きはしなくなった。
クワイ=ガンのほうも、むやみに刺激して戦争になることを恐れて、積極的に討伐をしなかった。
あるいは単に、今もかわいいかつての愛弟子と、敵対するのが怖かったのかもしれない。


しかしザナトスは、もちろん野心を捨てたわけではなかった。彼は目標を変え、クワイ=ガンのみならずジェダイ聖堂そのものを破壊しようと企んでいたのである。



そのために彼はひそかにコルサントに乗り込み、潜入・脱出ルートの確保や、目についたジェダイ候補生ブルック・チュン*4の篭絡、ブルックを利用してジェダイのローブを手に入れてからの潜伏などを行い、暗躍。
管理システムをハッキングし、各所に仕掛けた爆弾を炸裂させ、ジェダイ聖堂を混乱の渦に叩き込んだ
しかも聖堂攻撃を完遂させておきながら、事前に調べた潜伏ルートに潜み、追撃から逃れたのである。
彼の襲撃には、グランドマスター・ヨーダですら一杯食わされた。


この混乱の中で、クワイ=ガンと昵懇だった女性マスター・タールは、怪しい動きをしていたブルックを追っており、ついに犯人がザナトスと断定
帰ってきたクワイ=ガンとオビ=ワンは、タールからの連絡を受けて浄水タンクにて潜伏していたザナトスを発見するが、彼はタンクを破壊して水の流れに任せて逃走。
大胆にも聖堂に潜伏を続けて、別のパダワンを人質に誘拐、自分用のスピーダーの燃料補給要求、など散々にジェダイ騎士団を翻弄した


たった一人で、一万人近いジェダイを翻弄したのは過去に例のないことである。
しかし、あまりにもうまくいきすぎて相手を見くびってしまったからか、ザナトスは現在通信で交渉を行う「クワイ=ガンとオビ=ワン」が、別のジェダイの偽装であることに気づかなかった
ジェダイとて無能ばかりではない。彼が仕込んでいた盗聴・盗撮機を発見して逆に利用し、罠を用意したのだ。


ザナトスとブルック、それに人質の三人組は、潜伏地点から移動しようとしたところ、ついにクワイ=ガンとオビ=ワンの奇襲を受けてしまう。
驚きながらも初撃を防いだザナトスはすぐさま反撃に転じ、味方のブルックを殺すかのように見せてクワイ=ガンらを動揺させ、その隙をついてブルックを放ち人質を再確保、と知恵を巡らせ大奮闘
ブルックには人質を連れて殺せと命じ、オビ=ワンはブルックらを追撃。残ったザナトスはクワイ=ガンと一騎打ちを展開し、聖堂の核融合炉に爆弾を仕掛けたと動揺させたうえで、飛行タクシーを強奪して脱出してしまった


幸いにも、別のジェダイ部隊の行動で爆弾は解除され、ブルック・チュンもオビ=ワンに殺された。
しかし、肝心のザナトスはあっさりと封鎖を突破してテロスに帰還し、しかもブルックの父親であるヴォックス・チュンに「オビ=ワンが無情にも惨殺した」と伝えることで、怨恨の念をジェダイに向けることまでできた。


聖堂壊滅まではいかなかったものの、今回はザナトスが勝利を収めた格好である。



◆テロスの死闘

かくも大規模な攻撃を受けたことで、遂にクワイ=ガンとオビ=ワンはテロスⅣに赴いて直接ザナトスを討伐することを決意。
対するザナトスも、自分の培ってきた政治力を投入して、ジェダイこそ裁かれるべき犯罪者として糾弾し、巨額の懸賞金まで賭けた。


果たしてクワイ=ガン師弟は、潜入したところを賞金稼ぎに襲われていきなり捕まってしまう。
そしてザナトスは自分の星で「裁判」を開始してジェダイの「犯罪」行為を堂々と糾弾。しかも息子のブルックを殺されたヴォックス・チュンも登場し、猛然と論弁した。
対するクワイ=ガンらはというと、危険人物という理由で欠席のまま進行。むろん弁護人などもつかない。
茶番以下の「裁判」結果は死刑宣告であった。


「裁判官はお前の虚偽を聞き入れるかもしれん。だが聖堂に知れれば……」
「聖堂が知るころには、あんたの命運はもう尽きてる。それが罰だよジェダイ。もうあんたは死刑を宣告された身だ。そして、おれはその死を見届けるためにここにいる」


しかしジェダイ師弟も、こんな裁判で服するわけがない。
処刑台に引き出された瞬間、クワイ=ガンとオビ=ワンは隠していたライトセイバーで反撃に転じて採石場へと脱出。
ザナトスはジェダイふたりの顔を公表して指名手配し、住民まで使って探し出すように命令した。


ところが翌日、ジェダイの師弟は捕まえた賞金稼ぎを逆に利用して、ザナトスが長年展開してきた情報操作や詐欺行為を暴露。
群衆が暴動を起こした隙をついて、クワイ=ガンとオビ=ワンは奇襲を開始、退路を断って追い詰めた。
ここに至り、ザナトスは酸のプール*5を背後にしてライトセイバーを構え、最後の決戦に挑んだ。


ザナトスのジェダイ聖堂を突破するほどの腕前は依然として衰えておらず、また相手の心を動揺させる話術も併用して、クワイ=ガンとオビ=ワンを翻弄
特に、若くて場慣れしていないオビ=ワンには、ブルック・チュンを「殺した」感触を思い出させることで精神まで動揺させて圧倒する。
クワイ=ガンはオビ=ワンをかばいつつも激励し、より連携を意識した攻撃を展開。ザナトスは次第に押され始めた。


ついにザナトスは、ジェダイの師弟によって追い詰められた。背後は強酸のプールである。
それでもクワイ=ガンと、彼らに寝返った幹部はザナトスに降伏を勧めたが、彼は最後まで不敵に笑っていた。


「おれはあんたの一番の汚点となるのさ。一生後悔するがいい」


意図を悟ったクワイ=ガンは止めようとしたが、遅かった。
ザナトスは最後までクワイ=ガンの想像を超え、笑いながら酸の池へと身を投げたのである。
わずか数秒で彼の肉体は蒸発し、マントも残さず消えてしまった。時BBY44、享年わずか25歳。



◆死後

彼亡きあと、遺された息子のグランタ・オメガはいったん姿を消す。
彼もまた父の復讐を胸に抱き、長い年月を経て、今度はオビ=ワンとアナキン・スカイウォーカーに挑むこととなる。



【余談】

  • 苗字について

ザナトス一家は名門ということになっているが、その苗字については不明。一族独自の紋章を継承していることからして、無いことはないだろうが……
ドゥークーの場合「『ドゥークー』は苗字で、元は名前もあったが、名乗らなくなった*6」という設定と、「もともと苗字のない一族で、『ドゥークー』は名前である*7」という二つの設定があるため、
クレオン・ザナトス父子も後者のパターンかもしれない。実際、日本の天皇家は苗字を持たない家系である。
ちなみに、息子グランタは母方のオメガ姓を名乗っている。


  • 名前の由来

ザナトス(Xanatos)という名前は、ギリシャ語で「死」を意味する「Thanatos」からとったもの。
母星であるテロス(Telos)はギリシャ哲学で「終わり」を意味し、息子が姓とするオメガ(Omega)はギリシャ語のアルファベットでは最後の文字。
つまり彼の名前は「死」や「終焉」に由来するものがほとんどなのだ。
また彼の家系の紋章は「一部が欠けた円型」だが、オメガの文字「Ω」とよく似ている。


  • シス向きではない?

能力だけなら間違いなく傑出したダークジェダイであり、年齢を考えると伸びしろもありそうである。
にもかかわらず、シス卿が彼を探したことは無い。
ザナトスが三歳で発見された当時(BBY66)、シスはダース・プレイガスがダース・テネブラスを倒してマスターとなった時期(BBY67)であり、ダース・シディアスを見つける(BBY65)までの間があったはずだが、彼の作品でも触れられていない。
ザナトスは気質があまりにも鋭敏すぎて、自分の性格を抑え込むことができない面がある。シスは下克上が特徴だが、実際には「本当に自分はマスターを超えられたのか」「本当に自分はシスマスターを名乗るにふさわしいのか」「これからマスターの助けなしで本当にやっていけるのか」をさんざん悩んで結論を下すという。
つまり慎重に慎重に検討を重ねた結果、為すべしとわかれば断固として行うのがシスの在り方なのだが、ザナトスは断行する意思はあっても「慎重に検討を重ねる」ということができず、忍耐に欠けるため、シス向きではないとみなされたのかもしれない。



  • フィーモアとザナトスについて

クワイ=ガン・ジンの一番弟子、フィーモアについて知っている人はほとんどいない。
それもそのはず、彼の設定はさんざん変遷した末の後付けだからである。


1999年の映画「EP1」で初登場したクワイ=ガン・ジンは、オビ=ワン・ケノービを弟子としていたが、彼以前にも弟子を取っていたことは割合早くから設定されていた。
しかし、当初のスピンオフ作品(ザナトスが活躍したシリーズなど)では「ザナトスは一番弟子」とされており、フィーモアの設定は影も形もなかった。
その後、とある資料集で「ザナトスの前にもうひとり弟子がいた」という設定が後付けで盛られ、続編でそのジェダイを描こうとした。
こちらの設定では「女性」となっており、フィーモアとはまた別の設定があったらしい。
しかし諸事情でこの続編は頓挫し、「ザナトスの姉弟子」は消滅。2002年には再び「ザナトスが一番弟子」に戻る。
ところが、一部に「ザナトスは二番弟子」設定がわずかに残っていて、放置されたまま九年が経過。


そして2011年のコミック作品にて、クワイ=ガンを相手にザナトスが兄弟子のフィーモアと組んで試合を組むシーンが描かれた。
資料集で仄めかされてから完成するまで12年の歳月がかかったのである。


……それは裏を返せば、彼の存在は割とどうでもいいということでもあるが。





「思ったより掛かったじゃないか、おれの項目が出来てるってのに、追記・修正を施すのが。まぁあんたの高貴で愚鈍な脳味噌じゃあ無理もないか……」



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  • お久しぶりです。英語資料の機械翻訳をベースに、情報を想像して構築したものです。またキャラの口調は意訳とイメージ優先です。作成者自身の英語能力は本当に最低レベルなので、詳しい方々の修正をマジでお願いします。次はロリアン・ノッドとサーム・セルリアンの予定です。 -- 作成者 (2020-04-27 13:30:56)
  • 毎度読み応えのある記事乙です -- 名無しさん (2020-04-27 15:42:33)
  • ドゥークー、クワイガンの問題児の系譜からオビワンみたいな優等生が生まれた奇跡。大抵はザナトスみたいになりそう -- 名無しさん (2020-04-28 19:30:07)
  • コメント少なっwww -- 名無しさん (2020-04-28 22:03:38)
  • プレイガスがザナトスを勧誘しなかったのは、既にジェダイオーダーにいた(ジェダイに顔が割れている)というのもありそう。プレイガスやシディアスのように強いフォースセンシティブでなおかつジェダイに調査されてないが条件にあったんでは。ドゥークーの場合は、勧誘した時は、もうシスの復活はバレてたし -- 名無しさん (2023-01-24 17:18:36)

#comment(striction)

*1 ウィルハフ・ターキンも似た話がある。少年時代に故郷の礼服でコルサントに来たところ、「閣下」と散々からかわれた。ザナトスも同じように周囲の同年代から浮いたことは間違いない。ターキンほどの社交性もないとなればなおさらである。
*2 フィーモアは農夫の子であった。
*3 実際、パルパティーンの先代のナブー元老院議員は、妻子が殺されてしまったため、ジェダイとなっていた息子を還俗させようとしていた。しかし子供は父を「ルーツ」と呼んでも「家族」としては共感できないといって断っている
*4 オビ=ワンの同期だが、長年彼と対立していた。少年時代には罠に嵌めたことさえある。
*5 かつてはテロスⅣの聖なる泉と呼ばれていた場所だったが、オフワールド・コーポレーションによるテロスⅣの資源の違法採掘により猛毒性の廃棄物に汚染され、毒の沼地へと変貌してしまった。
*6 そのため甥に「アダン・ドゥークー」という人物がいる。主にレジェンズ設定の模様
*7 主にカノン設定の模様。

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