ミッドサマー(映画)

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登録日:2020/02/28 Fri 20:30:28
更新日:2024/05/16 Thu 12:48:45NEW!
所要時間:約 3 分で読めます


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アリ・アスター スウェーデン セラピー ハートフル フローレンス・ピュー ミッドサマー ラブストーリー 映画 洋画 癒し 救済





『ミッドサマー』は2020年2月21日に日本公開されたアメリカ合衆国・スウェーデン合作映画。
原題は「Midsommar(ミッドソマー又はミッドソンマル)」。





概要

今乗りに乗っている天才、アリ・アスター監督の第二回長編映画監督作品であり、スウェーデンの夏至祭(ミッドサマー)を舞台にした悲喜交々としたアメリカの大学生のひと夏を描いたラブストーリー。
この作品はアスター氏の失恋と弟の死がきっかけであり、スウェーデンの制作会社が夏至祭の企画を彼に持ち込んだことからこの映画のプロットが生まれたという。


キャストは『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』で第92回アカデミー助演女優賞にノミネートされたフローレンス・ピューなど新進気鋭の若手俳優を軸にしている。




ストーリー

家族を失ったアメリカの大学生・ダニーは恋人のクリスチャン達から論文の研究で訪れるスウェーデン旅行に誘われる。
ちょうどこの夏、クリスチャンの友人のペレの故郷・ホルガでは「90年に1度開催される特別な夏至祭」を開催するため、ダニ達はホルガでお世話になることに。
家族を失ったショックから立ち直れないままのダニーだったが、次第にホルガの村の住人の暖かさに触れ、祭りの楽しさもあって、心が癒されていく…
果たしてダニーは立ち直れるのか?
恋人クリスチャンとの関係はどうなる?
日が沈まないホルガの夏至祭はクライマックスを迎え、村一番の女王(メイクイーン)を決めようとしていた…






登場人物


  • ダニー・アルドール

演:フローレンス・ピュー
本作の主人公。
大学生活の最中、妹含めた家族が亡くなり、恋人のクリスチャンとの関係に溝ができ、失意の日々を送っていたが、なんとか彼女に立ち直って欲しいクリスチャン達の計らいによりホルガ村の夏至祭に参加する。
ホルガ村の住人やペレの優しさに触れ、徐々に立ち直っていく。
後の女スパイの妹分となる。


  • クリスチャン・ヒューズ

演:ジャック・レイナー
ダニーの恋人で文化人類学を専攻する大学生
人生のどん底にいるダニーに何もできない日々を送っていたが、彼女をスウェーデン旅行に誘う。
ペレからダニーを元気付けるアドバイスを受けたりするが、村一番の美女・マヤに一目惚れされているのに気づく。
オートボットと交流のあるヘタレレーサーではない。


  • ジョシュ

演:ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
クリスチャンの友人の黒人男性。
勉強熱心な性格で「夏至祭」をテーマにした論文を提出しようとする。
クリスチャンの不甲斐なさに喧嘩する場面も。


  • マーク

演:ウィル・ポールター
クリスチャンの友人で、ナンパ癖があるやんちゃな青年。
ホルガ村のきれーなおねーちゃんにナンパしようとしたり、ホルガ村の御神木に小便しようとする軽薄な奴。
巨大迷路に閉じ込められてはいない。


  • ペレ

演:ヴィルヘルム・ブロングレン
クリスチャンの友人で、ホルガ村出身の男性。
クリスチャン達の研究(+ダニーの傷心旅行)のために故郷のホルガ村へ案内する。
温厚な性格で、ダニーを慰めたり、クリスチャンにアドバイスしたり、喧嘩を諫めたりする。
実は彼は幼少期に家族を火災で失っており、ホルガ村の住人と生活するうちに立ち直った過去を持つ。


  • サイモン

演:アーチー・マデクウィ

  • コニー

演:エローラ・トルキア
ホルガへの道すがら、ペレの「弟」と共に合流したカップルでクリスチャン達と意気投合するが、サイモンもコニーとの間で見えざる摩擦があるらしく…。


  • マヤ

演:イザベル・グリル
ホルガ村の村一番の美女。ペレの「妹」である。
ミステリアスな雰囲気を醸し出す。
クリスチャンに一目惚れし、ダニーに内密にアプローチを仕掛け…。


  • ダン

演:ビョルン・アンドレセン
ホルガ村に住む72歳を迎えた老人。
共に72歳を迎えた女性と共に村一同で祝祭をあげることになり、ダニー達も参加する。
演者は『ベニスに死す』に出演した伝説的俳優である。


  • ホルガ村の人々

日が沈まない村・ホルガの人々。
村人全員が家族同然のコミュニティを築いている。
皆明るく、和やかな雰囲気を持ち、ペレが連れてきたダニー達を歓迎する。









ようこそ、楽しい追記修正へ
それでは90年に一度の追記修正を愉しみましょう!


乾杯スコール!!


[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\スコール!/


[#include(name=テンプレ3)]










































…この映画の監督があの『ヘレディタリー/継承』のアリ・アスター氏と聞いて、嫌な気がしたwiki篭りの皆さん。正解です。




ラブストーリーというのはあながち間違いではありませんが、この作品はホラー映画であり、先ほどのタグはダミーで、本物は下の方になります。
本当は所要時間もこんなに長いんです。



この作品のジャンルについて語るアリ・アスター氏のコメントを読んでこの先を読んでいただきたい所存です。


「ホラーではないですし、怖くはないんです。」











って信じられるかぁ!!












ミッドサマー(映画)



登録日:2020/02/28 Fri 20:30:28
更新日:2024/05/16 Thu 12:48:45NEW!
所要時間:約 13 分で読めます



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映画 ホラー映画 ラブストーリー ハートフル アリ・アスター ホラー スリラー サスペンス a24 ファントム・フィルム 洋画 失恋 救済 再生 なんだよこの展開… スウェーデン 北欧 北欧神話 儀式 生贄 ネタバレ項目 悪魔のいけにえ trick 見る麻薬 ドラッグムービー トリップ映画 タペストリー ハッピーエンド 白夜 カルト カルト宗教 邪教 r15+ ハートフルボッコ グロ グロ注意 夜這い r18+ アシッド・ムービー ガンニバル オウム真理教 ディレクターズ・カット 因習村 傑作or問題作 傑作 問題作 問題作←良い意味で 名作 リア充鑑賞推奨映画 漢の義務教育 ミッドサマー フェスティバル・スリラー ハートフル←ハートフルボッコ フローレンス・ピュー ジャック・レイナー ウィル・ポールター ウィリアム・ジャクソン・ハーパー ヴィルヘルム・ブロングレン midsommar セラピー 究極の救済 ホルガ ビョルン・アンドレセン 世界一イヤなセックス ウィッカーマン コミューン 燔祭 ハッピーエンド←誰が何と言おうと 夏至祭 夏至 山田と上田教授のいないtrick 実はモデルはスウェーデンじゃなくて日本 土着信仰 姥捨山 2000人の狂人 ひぐらしのなく頃に令 ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で








祝祭



はじまる





5人の学生が招かれたのは、白夜に照らされた狂気の祭りだった―――
恐怖の歴史を覆す“フェスティバル・スリラー”








本当の概要

「ミッドサマー」は2019年7月3日にアメリカで公開され、2020年2月21日に日本で夏休みじゃない時期に公開されたアメリカ・スウェーデン合作映画。


前作『ヘレディタリー/継承』で全世界を恐怖のどん底に叩き落とした奇才、アリ・アスター監督の長編映画第2弾であり、カルト宗教を信仰するスウェーデンの村で行われる夏至祭に招かれた大学生達が生贄として血祭りにあげられるホラー映画である。
前作同様もはや芸術的ともいえるカメラワーク、全シーンに散りばめられた伏線が組み合わさって、見るものを入り込ませ、恐怖のどん底に叩き落とす。


アスター監督曰く「ホラー映画じゃないから怖くない」と信じられることを言っているが、あながち間違いではなく、前に述べたように失恋を絡ませたラブストーリーであり、笑えるブラック・コメディ要素も含まれており、見た人によっては印象が変わってくる秀逸な映画である。
まあアニヲタwiki的には某和製闇鍋ウエスタンよろしく「北欧闇鍋カルトスリラー」というところか。
(一応熊と熊解体と秀逸なエログロの共通点がある)
題材的には「フォーク・ホラー」と呼ばれる宗教信仰系を取り扱った分類らしい。*1やっぱりホラー映画じゃないですか!やだー!


ちなみに自身の失恋を基にしたこともあってアスター氏は「別れた方がいいカップル誘ってもいい」ととんでもないコメントを残している。
事実アメリカ公開時、別れたカップルがいたらしいリア充爆発しろ!


日本では前述の通り夏休みから半年経ったくらいの2月に公開され*2、「見る鬱」とか「明るい地獄」というホラー映画としての評価も出るが、「映画館から満面の笑みの客がたくさん出てきた」「みんなおかしくなってしまったんだ」という心配になるほどの話題性を呼んだ。*3
「金田一が来なかった爽やかな『八つ墓村』」だの「山田と上田が来なかった『TRICK』」という評価もある、実際その通りだけど!
他には「『キノの旅』でキノが訪れる国」などの例えもある。遊牧民の国とか。


ちなみにアメリカではR指定(17歳未満の観賞は保護者の同伴が必要)で公開されたが、最初はNC-17指定(17歳以下は鑑賞禁止)を受けていたらしい。マジで何やらかしたんだよ監督…
ちなみに170分のディレクターズカット版が存在しており、アメリカ本国で公開された後、日本でも本作のスマッシュヒットに伴って公開された*4
なお、その日本では劇場公開版は性器にボカシ(アスター監督認定済み)を入れることでR15+指定で公開している。無修正版を見たければR18+のディレクターズカット版かセルソフト版*5を見よう


補足しておくと、合う合わないは存在するため、無暗に「『ミッドサマー』面白いよ」とホラー苦手な人に勧めるのは止めましょう。得意な人でもダメな人は駄目だし。
これ観られないんだけど……と引いてもよし。明るくてグロいので。



嘘偽り無いストーリー


妹による無理心中で家族を失ったアメリカの大学生・ダニーは恋人のクリスチャンに依存し、クリスチャンもダニーに重荷を感じるも別れを切り出せないままでいた。
パーティーに参加したダニーはクリスチャンの計らいで人類学の論文の研究で訪れるスウェーデン旅行についていくことに。
ちょうどこの夏、クリスチャンの友人のペレの故郷・ホルガでは「90年に1度開催される特別な夏至祭」を開催するため、ダニー達はホルガ村へ向かった。
ホルガ村の住人は暖かな雰囲気だが、北欧神話の伝承に基づくペイガニズム*6主義者の村であり、外の世界ではありえない倫理観で動いていた。
ダニーは家族の死のショック、友人達から渡された麻薬による幻覚、クリスチャンの言動、狂った村の儀式に猜疑心を抱き、トラウマを呼び起こされるが、徐々に村人達に惹かれていく…。
そして夏至祭の進行と共に友人が一人、また一人消えていった…。



登場人物・真

日本語吹替は劇場公開版の映像ソフトより(ディレクターズカット版には未収録)

  • ダニー・アルドール

演:フローレンス・ピュー(吹替:井上麻里奈
本作の主人公。
パニック障害の持ち主で、恋人クリスチャンに依存している。心理学専攻の大学生。
双極性障害の妹による無理心中で家族を亡くし、失意の日々を送っていたが、彼女を気遣ったクリスチャンの唐突な誘いによりスウェーデン旅行についていくことに。
ホルガ村で村人による恐ろしい儀式を目の当たりにし、クリスチャン達が自分を置いて逃げる悪夢を見るも、ペレ達ホルガ村の住人の優しさに触れ、女王〈メイクイーン〉を決めるダンス儀式に参加することに。

見事ダンスを最後の一人になるまで踊りきり、メイクイーンに選ばれ、村人に「家族」として歓迎されるが、クリスチャンとマヤのセックスを見て深い悲しみを抱く。
そしてメイクイーンの特権として、最後の生贄にクリスチャンを選びその死に泣き叫ぶも、最後は別れを告げたかのように吹っ切れ、この映画の締め括りとして狂気を秘めた笑みを見せた。

ちなみにピュー女史はファンから精神状態を危惧されたのか、インスタで「後の「若草物語」でイケメン俳優ティモシー・シャラメとイチャイチャできたからヨシ!(意訳)」と語っている。胆力パネェ…。



  • クリスチャン・ヒューズ

演:ジャック・レイナー(吹替:前野智昭
ダニーの恋人で文化人類学を専攻する大学生。
パニック障害を持つダニーを鬱陶しく感じていたが、家族を失った彼女を放って置けず、別れを切り出せぬまま関係を続けていた。
優柔不断なうえ、ダニーに関しては付き合った年数と(白夜で惑わされたとはいえ)彼女の誕生日を忘れていたり、ジョシュの論文のテーマをパクろうとするなど、人として不誠実な面が目立つ。
村一番の処女であるマヤに気に入られ…?

ジョシュ達友人が次々と行方不明になり、さらにダニーがメイクイーンとして村人に歓迎されたこともあり、徐々に孤立していく。そして村人に唆されるまま「新しい血の持ち主」としてマヤとのセックスに耽ってしまう。
事後状況の異常さに怯え、全裸のまま逃亡するも、ジョシュとサイモンの死体を見つけてしまい、捕らえられてしまう。
最期はダニーに生贄として捧げられ、熊の毛皮を着せられて身動きが取れないまま神殿の中でジョシュ達の遺体と共に、ウィッカーマンの如く生きたまま焼かれてしまう。


  • ジョシュ

演:ウィリアム・ジャクソン・ハーパー(吹替:濱野大輝)
クリスチャンの友人の黒人男性。
勉強熱心な性格で「夏至祭」をテーマにした論文を提出しようとする。
ペイガニズムにも詳しく、外部の人間の中では儀式には冷静さを見せる。
クリスチャンの不甲斐なさに呆れ、彼との論文絡みの揉め事で喧嘩する場面も。
論文のネタとして、村の聖書「ルビ・ラダー」に興味を示すも、村人から写真を断られてしまい…

クリスチャン達にも黙って夜にこっそりと村の書物庫へ忍び込み、「ルビ・ラダー」の第19巻をスマホで盗み撮りしようとするが、マークの死体の皮で変装した村人に気を取られハンマーで撲殺される。
死体は植木のように足を出したまま庭に埋められ、最期は生贄として燃やされた。


  • マーク

演:ウィル・ポールター(吹替:沢城千春)
クリスチャンの友人の無神経な青年。
スウェーデン着いたらストックホルムのセックスクラブ行こうとかいったり、ホルガ村のきれーなおねーちゃんをナンパしようとしたりと女好き。
クリスチャンにダニーと別れた方がいいとアドバイスするも呆れる一面もある。
ホルガ村の「先祖の木」と呼ばれる御神木に小便する軽薄さを見せ、ホルガ村の住人の怒りを買い…

インガという女性に誘われたまま行方不明になるが、実は彼は顔と下半身の皮を剥がされ、変装に利用されてしまっていた。
生贄の際は体の方は処分されてしまったのか、人間サイズのわら人形にマークの人皮をかぶせたものを使っている。


  • ペレ

演:ヴィルヘルム・ブロングレン(吹替:落合福嗣)
クリスチャンの友人の留学生で、ホルガ村出身の男性。
クリスチャン達の研究(+ダニーの傷心旅行)のために故郷のホルガ村へ案内する。
温厚な性格で、ダニーを慰めたり、クリスチャンにアドバイスしたり、喧嘩を諫めたりする。
絵が趣味で、上手く、友人の誕生日プレゼントに似顔絵を渡すほど。
実は彼は幼少期に家族を火災で失っており、ホルガ村の住人と生活するうちに立ち直った過去を持ち、ダニーとはシンパシーを感じていた。

この作品の黒幕の一人。実はクリスチャン達をホルガ村の夏至祭の生贄として招待しており、村からその功績として、予言者としての地位を終盤で得る。
しかし、ダニーに対するシンパシーは本物で、彼女を大事に思ってないクリスチャンとは別れたほうがいいと忠告したり、メイクイーンになったダニーに似顔絵を送ろうと書いていた。


  • サイモン

演:アーチー・マデクウィ(吹替:三瓶雄樹)

  • コニー

演:エローラ・トルキア(吹替:丸山ナオミ)
ホルガへの道すがら、ペレの「弟」イングマールと共に合流したロンドンのカップル。付き合って3年くらいのラブラブっぷりを見せる。
クリスチャン達と意気投合し、夏至祭を楽しもうとするが、初っ端から残虐な儀式を見せられ、恐怖を抱いた二人は村から出ようと画策。
しかし、コニーは村人に「サイモンは送迎車の都合で君より先に村を出た」と言われ、疑心暗鬼のまま村を出ようとするが、その後ホルガ村中に彼女の悲鳴がこだまし…。


サイモンは先に殺され、鶏小屋でまるで翼を広げた天使のオブジェように吊り上げられ、背中を掻っ捌いて肺と皮膚を翼に見立てるように引きずり出され、眼窩には花を埋め込むという悪趣味極まりない死体としてクリスチャンに発見される。
コニーは殺されるシーンは無いが、ラストシーンでは水死体の状態で神殿へ運ばれ、サイモン共々生贄として捧げられた。


  • マヤ

演:イザベル・グリル
ホルガ村の村一番の処女であり、ペレの「妹」である。
ミステリアスな雰囲気を醸し出す美女で、夏至祭の「新しき血」を迎えるセックスの許可を頂いているという。
クリスチャンに一目惚れし、「恋の魔法」としてまず、彼のベッド下にルーン文字の石を仕込み…?

クリスチャンの夕食のパイに自らの陰毛を、(示唆されているのみだが)レモネードに自らの経血を仕込み、さらに村ぐるみでクリスチャンを孤立させ、さまざまな年齢の全裸の女性達に見守られながらのセックスに励む。なお、この女性達は何故か急に歌い出し、マヤとクリスチャンと一緒に喘ぎ声をだす。え?何言ってるのかわからないって?だってそうとしか説明できないんだもの*7
なお、精子を中に出されたマヤのリアクション「感じるわ…赤ちゃんを」というセリフにビビッときた観客もいたそうな。エロ漫画で使えそう


  • ダン

演:ビョルン・アンドレセン
ホルガ村に住む72歳を迎えた老人。
共に72歳を迎えた女性・イルヴァと共に村一同で儀式をあげることになり、ダニー達も立ち会うが…

イルヴァ同様ホルガ村の「アッテストゥパン」と呼ばれる儀式の主役。
コレは72歳になると命のサイクルを終え、その身を土に返すというもの。
早い話投身自殺であり、崖から飛び降りて崖下の岩に顔を叩きつけ、顔面崩壊を伴う形で自殺すること。『ヘレディタリー/継承』といい、アスター監督は頭部損壊にこだわりがあるのか
だが、即死したイルヴァと異なりダンは運悪く足から落ちてしまい生存、村人達のハンマーによる助力で儀式を完遂した。
序盤の衝撃展開であり、ダニー達(と観客)はショックを受け、物語はここから予想外の方向へ動き出すことに…。

(前述の通り)演者は『ベニスに死す』に出演した伝説的俳優である。よくオファー受けたな…



  • ルビン

ホルガ村で障害を持ったまま生まれてきた青年。
彼は意図的な近親相姦の果てに生まれた純粋な心を持つ者として、聖書「ルビ・ラダー」の記述を任されている。
ちなみに「ルビ・ラダー」の内容は村人でもわからないものらしい。


  • ホルガ村の人々

日が沈まない村・ホルガの人々。村人全員が家族同然のコミュニティを築いている。
皆明るく、和やかな雰囲気を持ち、ペレが連れてきたダニー達を歓迎する。
しかし村人全員ペイガニズム主義の信奉者であり、一般社会では考えられないような倫理観と狂気性の持ち主である*8

クライマックスの生贄としてコニーとサイモンを連れてきたペレの「弟」イングマールと、マークの軽薄さにキレたウルフという男が志願、彼らは生きたまま生贄としてクリスチャン達と焼かれることに…
儀式の最中泣き叫びまくる村人達に狂気を感じた観客は多くいたことだろう…。



ホルガ村


ホルガは奪い、ホルガは与える


スウェーデンのヘルシングランドの森の奥の何処かにあるのどかな村。
日が落ちない白夜の村で日付がいつ変わったか混乱するくらい。
その実態は村全体がペイガニズムを基盤とする残酷な宗教観で染まった一種のカルト教団。
土地の性質上携帯の電波が通じず、車で片道4時間近くかかるなど半ば陸の孤島と化しており、村人全員が「家族」というコミューンを形成し文明から隔離された牧歌的な生活を送っている。
なお村の存在は原則秘匿されており、口外する事は基本許されていない。


  • 命のサイクル

ホルガ村の人生観であり、
この村で育った人間は72歳になると「命を天に返す」という名目で崖から崖下の岩目掛けて飛び降り自殺し、村で生まれた赤子にその名を受け継がせるルールがある。
なお飛び降り自殺で死に損なった場合は村人が善意で頭蓋をハンマーで潰して殺害する。


ホルガ村で檻に何故か囚われている熊
儀式の際、重要なものらしい…
ちなみにこの作品の制作会社A24は檻入りの熊のミニチュアを通信販売しており、そのCMがホラー映画とは思えない爽やかなものである。
気になる人はyoutubeで「Bear in the cage Midsommar」で検索してみよう。
狂っているようにしか見えないが、所々不穏なアイテムがチラホラ見え隠れするのがある意味安心できる。


ホルガ村のあちこちにある。
純愛ものながらドン引き行為マシマシのラブストーリーが描かれたタペストリーや、炎で焼かれる熊の絵とかこの映画の展開を示唆するものがたくさんある。


  • 愚か者の皮剥ぎスキン・ザ・フール

ホルガ村の子供達の間で流行している遊び。
手を繋いで踊るのがルールだが、その名前はある罰当たりなことをした愚か者の運命を示唆している。
アスター監督考案の遊び、みんなもやってみよう。


  • 呼吸

ホルガ村のしきたりの呼吸、行事の際、人と向き合うか、鏡の中の自分と向き合い、「フッ、ハー」と呼吸する。
この呼吸をすることで儀式に臨めるようだ。
決して波紋が使えたり、極めるとは出たりしない。


  • 女王メイクイーン

ホルガ村の夏至祭では若い女性がダンスコンテストで競い、優勝したものがメイクイーンとして君臨できる。
元ネタはキリスト教圏の風習として夏至頃に実際に行われているお祭り。なお、現実の夏至祭はメイクイーンを決めたりしない。
ただし、ヨーロッパ各地で地域の風習として行われていた五月祭では5月の女王としての「メイクイーン」を決める地域もあるようで、そちらと合わせて発想されたものと思われる。
ホルガ村の宗教がさまざまな宗教的要素を組み合わせたのと同様、本作の夏至祭も様々な祭りの要素が組み合わさっていて、ホルガ村の異質さを味わえるといったところか。
薬の有無を除けば、田舎の地区の運動会とかお祭りを想像してもらえるとわかりやすい。





余談

スウェーデン映画であるが、スウェーデン人の労働時間とロケ地の都合もあり、ハンガリーのブダペストで撮影された。


なお、実際のスウェーデンの夏の気候は映画ほどではなく、夏至祭は天気が悪いまま決行することがあるらしい。










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それでは90年に一度の追記修正を愉しみましょう!


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  • おつだが、サイモンはあの時ちゃんと生きてたぜ!(もっとひどい) -- 名無しさん (2020-02-28 21:31:29)
  • ウィッカーマン思い出したね -- 名無しさん (2020-02-28 21:53:10)
  • 論文のネタをパクろうとしたり恋人を完全に厄介者扱いしてたクリスチャンは確かに人としてアレだけど、燃やされる直前に一人だけボロクソ言われてたのには流石にかわいそうだと思った -- 名無しさん (2020-02-29 02:15:56)
  • 閉鎖された地方の村の奇妙な習慣を題材にしたホラー …日本のがありそうで思いつかない。SIRENは、違うしなあ -- 名無しさん (2020-02-29 06:02:34)
  • ↑霊的要素を完全に省いた零シリーズとかが近いかも -- 名無しさん (2020-02-29 07:55:12)
  • 教訓:別れ話は思いたったらしなくてはならなぁ -- 名無しさん (2020-02-29 10:45:47)
  • ケチをつけるわけでは無いがネタとはいえ虚偽のタグをつけるのは管理上よろしくないのでは? -- 名無しさん (2020-02-29 10:48:09)
  • ↑すまん、ちゃんとタグじゃ無かったのね... -- 名無しさん (2020-02-29 10:53:26)
  • この映画で一番怖かったのは監督の元カノというツイート読んで、確かにそうだと思った -- 名無しさん (2020-02-29 11:18:16)
  • ↑この書き込みじゃ分かりづらいな。この映画に一番恐怖を抱いたのは監督の元カノだろうという話 -- 名無しさん (2020-02-29 11:20:05)
  • ルビン役の男の子、めちゃくちゃ可愛くて特殊メイクってすげー!ってなった -- 名無しさん (2020-02-29 18:40:05)
  • 本文中でも話題になってるがフローレンス・ピューはこれのラストシーンの直後に『若草物語』の撮影に向ったらしい。『若草物語』は試写で観たけど、ミッドサマー汚染が酷く「シャラメ絶対クマに入れられて燃やされるな…」と最悪の感想になった -- 名無しさん (2020-03-02 14:08:16)
  • 実はホルガ村の儀式は伝統儀礼とかを適当に混ぜこぜにした新興カルト宗教の村だった…という考察がイヤーン -- 名無しさん (2020-03-02 17:03:46)
  • 山田と上田がいないTRICKに監督が中島哲也ってのを付け加えるとより通じます。まじで青空と青々とした木々、色とりどりの花々の中なのが余計立ち悪くなるよね -- 名無しさん (2020-03-04 00:45:32)
  • ↑↑それは監督が直々に否定してたりする。一応数百年の歴史があって、夏至祭も毎年やってるけど映画のラストで行われたあのキャンプファイヤー(隠語)は90年に1度らしい -- 名無しさん (2020-03-04 05:46:36)
  • 古代の北欧は、史実でも老衰死だとヴァルハラに行けないからと老人を槍で刺し殺したりしていた -- 名無しさん (2020-03-04 08:33:10)
  • ↑2 そうだったのかサンクス。 -- 名無しさん (2020-03-04 09:06:22)
  • 終盤で全体像を見せない肉料理出てきたけどあれマークかなあ -- 名無しさん (2020-03-14 20:00:06)
  • 友人が見よう見ようって佐生ってくるだが当方ホラー耐性は有ってもグロ耐性があまり無いんだがどうした物か…話自体は面白そうなんだが。具体的には所謂スプラッター映画はのようなグロさや痛みを強調するのは見れないけど演出の一環としてのグロさなら耐えれる。 -- 名無しさん (2020-03-15 14:07:00)
  • ↑ 顔面損壊と肺の翼はドアップなので、作り物っぽくても臓物がダメな人はきついかも。村人は共感しまくりだけど、「いってええ!」って観客に鳥肌をたたせる描写はないと思った -- 名無しさん (2020-03-15 18:39:46)
  • ↑ うーんそれくらいなら耐えれるかな?チャレンジしてみるわ -- 名無しさん (2020-03-17 00:49:39)
  • 招待されて、軽率な奴らから一人ずつ消えていって、最後に残ったやつがすべてを得るって、これチャーリーとチョコレート工場だ -- 名無しさん (2020-03-17 20:30:53)
  • 個人的には非常に刺さる内容で満足。ただ上映終了後に前の席のカップルが「気分が悪くなった」と蹲っていたのと、その隣の野郎二人組が「これは反省会だろ!」って大声で文句垂れていたのに全部持ってかれた。満足(自分)、悪心(カップル)、不満(二人組)と狭い範囲内に全く違う結果の人々が集中しているのが興味深かった。 -- 名無しさん (2020-03-22 01:42:05)
  • ホラー映画を観ていた筈が、終盤急に逆NTRモノの伝奇エロゲーが始まり、俺氏、困惑… 実際、グロ耐性とは別に、額面通りの”ホラー”要素、リアクションを期待して見に行くと肩透かしを食らうかもしれない。叫びも全部、”恐怖”じゃなく”悲嘆”のだし -- 名無しさん (2020-04-07 22:13:04)
  • 九日間って話だったのに実際は四日くらいしか経ってないとか。映画内で描かれていることは全て「毎年」行われていることだと聞いてゾッとした。あとサイモンは多分あれ死んでないのよね。呼吸あったし生きたまま掻っ捌かれたってことだと思う。 -- 名無しさん (2020-08-06 20:32:17)
  • 狂気の沙汰でないならそれは正気では -- 名無しさん (2020-11-26 12:30:29)
  • ホルガ村ごと焼き払って後顧の憂いを断ち切りたい -- 名無しさん (2020-11-26 15:02:58)
  • フローレンス・ピュー、劇中じゃ最初はそこまででもなかったのに時間が経つにつれてどんどん魅力的に見えてくるから不思議だった。展開のなせる業なのかそれほどの演技力なのか -- 名無しさん (2020-11-26 15:13:46)
  • 写真の女王が沢山いたけど1人も出てない、、、祭の最後の生贄はまさか?9日間の祭が途中で映画が終わってるから勘ぐってしまう。 -- 名無しさん (2020-11-26 23:36:11)
  • 新興宗教説好き -- 名無しさん (2021-09-09 19:26:54)
  • 視聴した9割くらいの人は不快に思うが1割の人は笑顔になれる、そんな映画 -- 名無しさん (2021-09-09 19:31:24)
  • インスタ映えする変態村だとか 骨餓身峠死人葛も思い出した -- 名無しさん (2021-09-24 12:25:14)
  • いや骨餓身峠は炭鉱村だからそんな和やかでは無かったけども -- 名無しさん (2021-09-24 12:30:24)
  • 日本人にとってグロさや生贄に怖さを覚えるのだが、キリスト教圏だとまず土着の信仰という時点で恐怖な人も結構な数でいるそうな。文化の違いだねえ。 -- 名無しさん (2021-10-04 17:32:16)
  • 記事でも少し触れられてるけど、ホルガ村の宗教をちょっと批判的な意味合いのあるペイガニズムって表現されてることからわかるように、キリスト教圏の外の文化にはいまだに少し否定的というか蔑視が残ってるからね。それに基づいた恐怖感ってのは日本人には貯とぴんと来ないかな。 -- 名無しさん (2022-08-17 12:46:04)
  • oh… -- 名無しさん (2023-03-09 16:24:34)
  • この凄惨な生け贄の儀式の後、ダニーとペレは恋人同士になったのかな。 -- 名無しさん (2023-07-03 02:22:44)
  • ↑ ホルガの価値観からすると、子どもは作りそうだけど、お互いの感情はホルガに向けられそう -- 名無しさん (2023-07-03 08:32:41)
  • 死体の処理の仕方がバラバラだったのが残念だったかなぁ。血のワシという意味深な殺し方した死体(あの時点でまだ生きてたけど)とその場で殴り殺して何故か一回適当に埋めた死体とを同じ括りの生贄にしたのが割と腑に落ちない -- 名無しさん (2023-11-26 20:42:08)

#comment

*1 日本ではあまり馴染み無い分類で有名どころは1973年の映画『ウィッカーマン』
*2 11月を皮切りに先行上映イベントも開催されていた、だがやっぱり冬である。
*3 アメリカでは17回見た猛者がいて、主演のピューから「セラピー受けたほうがいい」と心配された
*4 元は3時間45分=225分だったらしい。
*5 セルソフト版は劇場公開版、ディレクターズカット版共に無修正仕様となっている(レンタルの劇場公開版は修正あり)。
*6 自然崇拝や多神教を包括する意味合いで使われている。侮蔑語として使われることがある。
*7 なお、腰振り中のクリスチャンのケツを後ろから押してアシストするババアもいる…
*8 例として、儀式殺人、麻薬の常習、ごくわずかなケースだが意図的な近親相姦…etc。

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