登録日:2020/01/23 Thu 10:19:50
更新日:2024/05/16 Thu 11:02:09NEW!
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禁止カード mtg コモン pauper パウパー
ここではTCG『Magic the Gathering』のフォーマットの一つ、パウパー(Pauper)における禁止カードについて述べる。
概要
パウパーとは『Magic Online(MO)』における認定フォーマットの一つであり、コモンカード限定での構築戦である。後に公式フォーマットに昇格した。
『MO』でも紙でもよいので、一度でもエキスパンションやサプリメントセット、構築済みデッキにコモンで収録されればカードプールに加わる。*1
所詮コモンと甘く見るなかれ。
20年以上にわたって継ぎ足され続けた膨大なカードプールにより、他の構築環境に負けないレベルの本格的なデッキを組むことができる。
モダンやレガシーで禁止のカードも使えたりするのだ。ぶっちゃけ魔境度合でいったらレガシーと大差ないレベルである
フォーマット制定当初は主に【ストーム】と【感染】のせいで開幕数ターンで勝負が決まる超高速環境であった。
しかしそれらのキーカードが軒並み禁止になった今現在ではだいぶ速度は落ち着いている。
それでも青有利な環境なあたり、流石カードプールの大元がレガシーと同じなだけはある。
ちなみに、パウパーでの禁止カードが発表される度にパウパープレイヤー以外から「こいつコモンだったのかよ!」と驚かれるのは一種のお約束である。
禁止カード一覧
- 《頭蓋囲い/Cranial Plating》
無色の装備品・アーティファクト。自軍のアーティファクトの数だけ装備者のパワーが上がる。
パウパーでは唯一の、制定時から禁止のカード。
キーカードの多くがコモンのおかげで、パウパーでも【親和】はかなりの完成度で組むことができる。
《頭蓋囲い》がその【親和】と相性がいいのはスタンダードで証明済みなので、事前禁止も致し方なしだろう。
- 《大あわての捜索/Frantic Search》
青の3マナインスタント。カードを2枚引いて2枚捨てた後に土地を3枚アンタップする。
制定時より禁止の《頭蓋囲い》を除くと最初に禁止されたカード。
フリースペルドローはコモン限定構築でもやっぱり許されなかった。
猛威を振るっていた【ストーム】を弱体化させるのが目的であると言われている。
- 《巣穴からの総出/Empty the Warrens》《ぶどう弾/Grapeshot》
赤のストーム持ちソーサリー達。
前者は4マナで1回につき1/1のゴブリンを2体生成。後者は2マナで1回につき1点ダメージを任意の場所に飛ばす。
どちらも【赤系ストーム】のキーカード。
《ぶどう弾》はパウパーでは決まってしまったストームへの対策手段が皆無に近い上に、コンボ成立が非常に早いため禁止。
《巣穴からの総出》は《ぶどう弾》よりは対策カードが存在するが、結局のところ対策カードを引けなければ負けという根本的な問題があるので禁止に。
- 《激励/Invigorate》
緑のインスタント。クリーチャー1体を+4/+4修正を与える。
マナコストを払う代わりに相手ライフを3点回復させる事でも唱えることができる。
【感染】をトップメタに押し上げた戦犯。
毒を10個与えればライフ関係なく殺せる【感染】においては、代替コストの相手のライフを増やすデメリットはほぼ皆無。
なのに効果は実質倍、つまり0マナ+8/+4修正ということになるのだ。
最速2ターンキルはダメなので禁止。
- 《時間の亀裂/Temporal Fissure》《雲上の座/Cloudpost》
前者は青のストーム持ちソーサリー。1回につき種類問わずパーマネントを1枚バウンスする。
後者は「神座」というタイプを持つタップイン土地。「神座」持ちの土地の数だけ出せるマナが増える。
【赤系ストーム】絶滅後に台頭した、【8postストーム】のキーカード。
フリースペルとの組み合わせで大量のマナを生み出す姿はかつての《トレイリアのアカデミー》の如し。
【赤系ストーム】と【感染】程ではないがコンボ成立が早く、環境で猛威を振るったため禁止に。
《時間の亀裂》はストーム数5くらいで唱えて相手の戦場を土地含め全バウンス、その後土地がなくて何も出来ない相手をゆっくりとビート殺していた。
デッキ構築の関係上ハンデスやカウンターが効きにくいのも理由だろう。
《雲上の座》は【ストーム】以外にも3、4ターン目に大型フィニッシャーを出せてしまうマナ加速性能が危険視されたのもある。
- 《宝船の巡航/Treasure Cruise》
3枚ドローする青のソーサリー。8マナと重いが墓地のカードを追放することでマナの代わりにできる。
何故このご時世でこいつがコモンなのか。
一部デッキのバリエーションを増やすなどの働きもしたが、コモン故の低マナ高パワーカードが跋扈する環境とあってはまあ当然のごとく禁止。
パウパー禁止でフォーマット禁止四冠を達成してしまった。
なお有名な青の探査持ちの片割れである《時を越えた探索》はレアだったおかげで四冠は免れた。ますます何でこいつがコモンだったのか不思議である。
- 《フェアリーの大群/Cloud of Faeries》
青のクリーチャー。2マナ1/1飛行で出た時に土地を2枚アンタップするフリースペル、さらにサイクリング持ちという何かおかしいスペック。
【青単フェアリー】やフリースペルを使った無限コンボデッキ【Familiar Combo】が環境を支配していたため禁止に。
コンボ以外でも【青単】で2ターン目に出す→土地2枚アンタップで《呪文づまりのスプライト》と《対抗呪文》構える、という動きは相当に強い。フリースペルばかり注目されてサイクリングの影が薄い
ちなみにこいつの禁止が発表された時に
「今のパウパーでの土地以外の使用率で、上位10枚は9位まで青いカードで10位が《稲妻》」
というわりと想定内衝撃的な一文があったりした。
- 《流浪のドレイク/Peregrine Drake》
青のクリーチャー。5マナ2/3飛行で出た時に土地を5枚アンタップするフリースペル。
初出の「ウルザズ・サーガ(USG)」ではアンコモンだったが、「エターナルマスターズ(EMA)」でコモン落ちしたことから解禁。
フリースペルって時点で怪しいと思ったそこのあなた、正しい。
直ぐ上にある《フェアリーの大群》と比べて重い代わりに、1度に起こせるマナが増えた結果安定性や爆発力が増している。
自身のサイズも2/3飛行なので戦力にも十分数えられる。
こうして直前に禁止指定された《フェアリーの大群》の後釜としてサクッとデッキに入り、自分の名前を冠する【ドレイク・フリッカー】を生み出した。
しかしプレイヤーがみんな「これはすぐに禁止になるな」と思っていたため、当初の使用率は10%を超える程度だった。
が、そのせいかウィザーズは直後の禁止改訂でこれをスルー。
これにより「最低あと3か月は禁止にならないから使おう」と考えるプレイヤーと「禁止されるまでパウパー休もう」と考えるプレイヤーが増加。
参加者は減ったのに使用率は一気に増え、占有率が20%を超えるほどに。
このわかりやすぎる反応にウィザーズは大慌て。『MO』だけで行われるフォーマットであることも含めて臨時の禁止改定を発表。
ようやく禁止になった。
なお《フェアリーの大群》が禁止になったのにまたフリースペルクリーチャーを解禁するというのは一見して暴挙である。
だが、実は「エターナルマスターズ(EMA)」に入るカードやそのレアリティを決める時期は《フェアリーの大群》を禁止指定にすると決める前だったのだ。
実際に発売後のコラムにて「《フェアリーの大群》が禁止になると分かっていたらコモンでは収録しなかった。」と語られている。
- 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
- 《噴出/Gush》
ヴィンテージ制限レガシー禁止なのにパウパーじゃ4枚使えた青のカード達。
前者は2点ペイで0マナで使える手札覗き&1ドローソーサリー。
後者はマナコストを払う代わりに島を2枚戻す事でも唱えられる2枚ドローのピッチスペルインスタント。
ある意味パウパーの特色であった奴らだが、ついに禁止された。
共に《撃退》コモン落ちに伴い【青黒デルバー】が大暴れしたせいである。
《撃退》がコモン落ちする以前まではそこそこ均衡が取れていたが、その後は完全に一強になっていたので致し方なし。
ちなみに禁止理由が他環境と同文。
さらに《ギタクシア派の調査》の方はこれで《宝船の巡航》以来のフォーマット禁止四冠である。
- 《目くらまし/Daze》
青のインスタント。マナコストを払う代わりに島1枚を手札に戻す事でも唱えられるピッチスペルカウンター。
いわゆる不確定カウンターで要求も1マナだが、フルタップからでも使えるのは非常に大きい。レガシーでもよく見る1枚。
素のコストも2マナであり、普通に唱えることも現実的。また《撃退》の代替コスト用の島を調達することもできるため、序盤の隙を潰すのに重宝された。
上述のドローソース達とともに【デルバー】の大暴れを抑止するために禁止された。
この改訂で1度に3枚も禁止にされた【デルバー】系を筆頭とする【青系テンポ】デッキは大幅に弱体化。
他のデッキと違い直近であまり強化もされなかったため、最終的にメタ上位から消えてしまった。
パウパー登場当初から存在したデッキタイプの大幅な衰退により、パウパーのメタゲームは大きく変動することになった。
1マナの氷雪アーティファクト。キャントリップ付きのマナフィルターだが、出す為に支払う1マナは氷雪マナ*2で支払わなければならない。
「モダンホライゾン(MH1)」という、モダンで使えるカードを増やすために作られたパック出身。実際にはぶっ壊れカードを大量に排出しモダン自体をぶっ壊したというのは密に密に
氷雪マナでないと支払えないとはいえ、氷雪基本土地はすべてコモンなのでパウパーでも使用可能。
その上もともと【青赤氷雪デルバー】というデッキが《雪崩し》*3を活用するために氷雪土地を使用していた。
そのデッキで土地基盤の組み方が既に共有されていたため、氷雪マナの捻出は問題にならなかった。
むしろ1マナでカードを引きつつマナフィルターを設置できるという点が注目される。
元々《雪崩し》を使うデッキは青メインで白と赤を足すのが主流であったのだが、このカードの存在によりパウパーなのに色事故とはほぼ無縁となる。
それどころかサイドボード含めて、シングルシンボルのカードを少量ならどの色でもタッチできる事実上の5色デッキとなってしまうことに。
おまけに《コーの空漁師》で使い回すというパウパーおなじみの手法により、手札確保にも使われるように。
以前使われていた似たカードである《予言のプリズム》は2マナだったのでテンポに問題があったのだが、このカードはそれすら克服していた。
更にに1マナなので《粗石の魔道士》でのサーチも可能。序盤に手札に来なくても全く問題が無い。
最後にこのカード自体が氷雪パーマネントなため、上記の《雪崩し》のパワーアップに貢献する。
普通のマナをこれに通して氷雪マナに変え、もう一枚を出すことすら可能だったのだ。
「特殊土地が弱いためマナ基盤に弱点を抱えている」デッキはパウパーにおいて多数存在する。
それを容易に克服させるうえに、アドバンテージ源にもなるカードが弱いはずもなかったのだ。
最終的にこのカードを採用した3色以上の《雪崩し》採用デッキが高い勝率と使用率を出したため禁止となった。
ちなみに後日多色マナデッキの多色化に貢献しすぎているという理由で、パウパー同様にモダンでも禁止になった。地平線の向こう側に行きすぎでしょこのセット
- 《神秘の聖域/Mystic Sanctuary》
島の土地タイプを持つ土地。
他の島を3つ以上コントロールしていないとタップインだが、アンタップインで出せれば墓地のインスタントorソーサリーをライブラリーの上に置ける。
典型的なカードプールが広いほど強くなるカードであり、それはパウパーでも例外ではなかった。
《剥奪》*4などでの再利用が容易なため、ゲームを終わらせるループやロック状態を作り出す手段として利用された結果禁止に。
- 《失墜/Fall from Favor》
「統率者レジェンズ(CMR)」で登場した青のオーラ・エンチャント。
出た時に相手のクリーチャーをタップし、付いている間ターン最初のアンタップを制限する《閉所恐怖症》の亜種。
このカードの場合、出した時自分が統治者になれる代わりに統治者でなくなるとアンタップ制限が無くなってしまう。
この「統治者」が何かというと「自分の終了ステップに1ドローできる代わりに、自分が戦闘ダメージを受けると統治者が相手に移る」というもの。
つまり手札を減らさずに相手のクリーチャー1体の動きを止められ、リスクこそあるが上手く行けばさらなるドローも可能という代物。
それでいてマナコストは《閉所恐怖症》から据え置きの3マナ。なぜただでさえ強い青に渡した。
除去としてもドローエンジンとしても強力なため【青赤フェアリー】と始めとした青を使うデッキが強化されすぎてしまった。
最終的にメタゲームに問題を引き起こしているとして1月14日に禁止された。
- 《騒鳴の嵐/Chatterstorm》
「モダンホライゾン2(MH2)」によって現代に蘇ったストーム持ちの1枚。緑のソーサリー。
1回につき1/1のリスを1体生成する。
《ぶどう弾》と違ってトークンなので動くまでに時間がかかり、《巣穴からの総出》と違い致死量に要求されるストーム数*5が倍。
……という僅かながらの調整の跡は、唱えた後に戦場に出たクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せつつ速攻を与える《授業初日》の登場で無に帰した。
最速で2ターンキルという驚異の速度と、全体除去が極端に少ないパウパーのカードプールの相乗効果によって【リスストーム】は大暴れ。
高い使用率と勝率、対処の難しさが相まって2021年9月8日付で禁止となった。
- 《滞留者の相棒/Sojourner's Companion》
無色のアーティファクト・クリーチャー。【親和】の定番パーツである《マイアの処罰者》……の上位互換。
7マナ4/4は変わらないままアーティファクト土地サイクリングが付いた。
2色アーティファクト土地の橋サイクルによって強化された【親和】で、当然のように処罰者とともに8枚体制で採用された。
【ストーム】ほどの勝率こそ無いが、デッキの多様性を減らしているとして【親和】の弱体化のために2021年9月8日付で禁止された。
赤のクリーチャー。アーティファクトを生け贄にする度にターン終了時まで+2/+2修正を得る。
【親和】の定番パーツにして古参の人気クリーチャーでもある。
「《エイトグ》でアーティファクトを食べまくって《大霊堂の信奉者》の能力でライフを削り、でかくなったエイトグを《投げ飛ばし》てトドメを刺す」
という昔懐かしい【グレ親和】デッキの使用率が高かったこと。
仮に《大霊堂の信奉者》を禁止しても他の手段で《エイトグ》の攻撃を通そうとすると考えられたことから、こちらが禁止となった。
- 《予言のプリズム/Prophetic Prism》
無色のアーティファクト。《アーカムの天測儀》でも触れた、出たときにドローできる2マナのマナフィルター。
【トロン】などでよく使われていたが、2マナとはいえ《アーカムの天測儀》と同じ用法ができることがだんだんと問題視されていた。
《エイトグ》禁止による【親和】の抑制と同時に、代わって台頭するであろう【トロン】の抑止もあって同時に禁止となった。
- 《眷者の装飾品/Bonder's Ornament》
無色のアーティファクト。3マナで好きな色が出せる標準的なマナファクトの一種。
さらに4マナで《眷者の装飾品》をコントロールしている全てのプレイヤーが1枚ドローするという効果を持っている。
元々は「統率者2020(C20)」に収録されたカード。
統率者戦であれば、ターンが回ってくるのが遅い中で相手にもドローさせうるのは相応のリスク。
「相手にもドローさせるのを承知で起動するかしないか」「相手に使わせた上で除去してマナを浪費させるか」といった駆け引きが生じる。
しかし2人対戦においては、ただのマナソースとドローソースを兼ねるカードとしてのみ機能する。
【トロン】の有り余るマナ生産力をもってすれば、設置後毎ターン起動するのも容易。もちろん好きな色が出せるマナファクトとしても有用。
こちらも【トロン】の規制の一環として禁止された。
- 《電位式リレー/Galvanic Relay》
赤のストーム持ちソーサリー。1回にデッキトップを1枚追放し、次の自分のターンの間プレイできるようにする。
一度稼いだストーム数をこれで手札に変換して次のターンにさらにストーム数を稼ぐ、という使い方をする。
上述の【リスストーム】で使われていたが、その際は規制されなかった。
……だが「神河:輝ける世界(NEO)」で登場した《実験統合機》をきっかけに【赤黒ストーム】が大幅強化。
明確な弱点の少なさもあってか『MO』のデータで、ミラーマッチ除く勝率60%という非常に高い勝率を記録した。
その中でも後々他のカードと組んで問題を起こす可能性が高いのはこのカードである、として禁止された。
- 《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
黒のクリーチャー。アーティファクトが1つ墓地に置かれるたびに相手1人のライフを1点失わせる。
かつてスタンの【親和】デッキでも禁止された問題児ではあるが、パウパーで一度【親和】を規制することになった時は見送られた。
しかしその規制をもってしても【親和】がトップメタから脱落することはなく、むしろ《クラーク族のシャーマン》と組み合わせたコンボへと先鋭化。
そして【親和】が不利な【ストーム】の核である《電位式リレー》の禁止が決定。
【親和】にも何らかの規制が必要なことから、コンボ性の核で代替が効きにくいこのカードが禁止されることになった。
- 《アーラコクラの隠密/Aarakocra Sneak》
- 《物騒なバトルレイジャー/Vicious Battlerager》
- 《奮起させるバード/Stirring Bard》
- 《アンダーダークの探検者/Underdark Explorer》
「統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い(CLB)」で追加されたメカニズム「イニシアチブ」を得るクリーチャー達。
「イニシアチブ」とは、効果またはイニシアチブを持つ相手に1体以上で戦闘ダメージを与えることで得ることができる統治者と似たようなシステム。
そしてこれを得たときと保持した状態での自分のアップキープ時に、進むごとに恩恵のある専用のダンジョン「地下街」を1マス進めるというものである。
問題はこのメカニズムが統率者戦という多人数戦、すなわち「持つ者への集中攻撃でイニシアチブを奪い合うこと」を前提としたギミックであること。
地下街内の進行時効果もスタンダードで出たダンジョンに比べ非常に強力であり、2人対戦で集中攻撃も無いパウパーでは大暴れ。
多くのデッキが《暗黒の儀式》と《水蓮の花びら》によるマナ加速でイニシアチブの早期獲得を狙うようになり始めた。
果てはそれ自体を目的とした【ターボイニシアチブ】なるデッキが生まれるまでに至った。
そうした状況が看過されるわけもなく、この4枚が速攻で禁止された。
禁止されたものの内、上から3種は4マナと比較的緩い手札から出せてイニシアチブを得れるのが問題視された。
残った《アンダーダークの探検者》は5マナだが、黒故に《暗黒の儀式》で早く出しやすいのが原因であった。
一方でイニシアチブ自体がこの改定で全て排斥されたわけではなく、生き残ったカードも少数存在する。
こうしてギミックの強さが周知されたイニシアチブは今度は他レアリティのカードを携えてレガシーなどに進出するのだが、それはまた別のお話。
- 《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》
1マナ1/2速攻・果敢というシンプルながらアグロ戦術にガッチリ噛み合う性能で登場以来あらゆる環境で活躍する傑作クリーチャー。
「ダブルマスターズ2022」でコモンにて再録されたことでパウパーの舞台に降り立ち、【赤単カルドーサ】を始めとする赤単アグロデッキを一気に躍進させた。
が、躍進しすぎて赤単デッキの第1ゲームでの勝率が余りにも高くなりすぎたことで、多くのデッキがサイドボードに赤単メタカードを大量投入させられるハメになった。
最大で8枚ものサイドスロットを捧げてようやく全体勝率を50%前後に抑え込める程度という状況では「勝率5割なら健全だよね」とは言える訳もなく、サイドボードへの負担を減らすことで多くのデッキが環境に残る余地を生み出すために、2023年12月4日に禁止となった。
- 《きらきらするすべて/All That Glitters》
自分のエンチャントとアーティファクトの数だけ+1/+1修整を与える2マナのオーラ。
元々はアンコモンだったものが「統率者マスターズ」でパウパー入りしたのだが、パウパーではアンタップインのアーティファクト・土地が無制限のため他のフォーマット以上の修整値を出せてしまい、うかつにフルタップすると即死が見える恐怖のカードに。
結果、極端な速度での決着の是正と、その爆発力によってデッキの幅が狭まることを防ぐために2024年5月13日付で禁止に。
このカードもまた【親和】が絡んだ規制だが、声明によるとアーティファクト・土地は定番カードとしてできる限り残す方針の模様。
特殊な事例
- 《ハーダの自由刃/Hada Freeblade》
- 《炎の円/Circle of Flame》
- 《次元の歪曲/Spatial Contortion》
「パック収録時」にはアンコモンであったカード達。
パウパーはコモンしか使えないフォーマットなので、こいつらは本来は使えない。
しかし「『MO』内のプロモカード」においてコモンで印刷されていたために、実はMOのパウパーで使用できてしまっていたのだ。
「プロモでのみコモンなのに使えるのはおかしい」ということで禁止に。
正直な話アンコモンのカードをパウパーのデッキに入れようとするプレイヤーなど皆無であったので、禁止はある意味驚かれた。
こういう理由なため、今後正式にパック収録時にコモンで収録された場合に解除される可能性が高い。
《堂々巡り》のように紙ではアンコモンのみだが、『MO』のパックではコモンなので使用可能という例もある。
- 《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》
- 《陥没孔/Sinkhole》
- 《満潮/High Tide》
冒頭で述べたように、パウパーは元々『MO』のみのフォーマットから紙においても公式フォーマットになったという経緯がある。
その際、使用可能なカードとして『MO』だけでなく紙でコモンとして収録されたカードも使用可能となった*6。
よって「紙のカードではコモンのカードが存在するが『MO』ではアンコモン以上のものしか存在しない」カードも使用可能になった。
そして、その中でも明らかにカードパワーのおかしいこの3枚がパウパーの公式化と同時に禁止になった。
それぞれ上から「2マナで2枚ランダムハンデス」「2マナで土地破壊」「1マナで1ターンの間、島から出る青マナが増える」効果。
どれも強力であり、むしろ何故コモンなのかと問いたくなるレベルである。
ちなみに海外のとある大規模コミュニティでは、公式化の前にも「紙だけコモンでも使える特殊ルール」で対戦が行われることがあった。
その場合、上記に加えて《ゴブリンの手投げ弾》と《商人の巻物》が禁止になっていた。
- 《プラデッシュの漂泊民/Pradesh Gypsies》
- 《Stone-Throwing Devils》
パウパーどころか全フォーマット禁止扱いで存在を抹消されたカード。その理由はこちらの「使用禁止カード」の項目参照。正直どちらも採用しているデッキはなかったので環境的には影響が皆無だった
- ステッカー・アトラクションを用いるカード全般
レガシー・ヴィンテージでも禁止されたが、早い話がトーナメントシーンで使うことを想定していないカード。日本語の禁止制限告知の公式訳でPauperが抜け落ちているが、原文見れば禁止とすぐわかる。
禁止指定されていたが解除されたカード
- 《探検の地図/Expedition Map》
無色のアーティファクト。1マナで設置して、2マナとタップ&生贄で好きな土地をサーチできる。
パウパーでも特に有力なデッキの【トロン】において安定してウルザランド*7を設置するために用いられてきた。
【トロン】の動きを強固なものにしていたとして禁止されたが、《予言のプリズム》と《眷者の装飾品》の禁止後しばらくしてから解除された。
色マナの安定化と長期戦でのアドバンテージ獲得能力の双方を失ったことで【トロン】自体が大きく弱体化したためである。
また、《予言のプリズム》ほど暴れずに色マナの供給部分を補えるカードとして白羽の矢が立ったのも理由の一つ。あと禁止した時もそんなに影響がなかったというのもある
追記・修正は《灰のやせ地》を4枚揃えてからお願いします。
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▷ コメント欄
- 禁止カード(MtG)より独立しました -- 名無しさん (2020-01-23 10:22:36)
- 乙 -- 名無しさん (2020-01-23 11:22:53)
- どうでもいいが(パウパー)だとなんか気ぃ抜けるなw -- 名無しさん (2020-01-24 21:18:01)
- pauperって貧困層とか持たざる者って意味だからむしろ公式フォーマットにした段階で変えとけ、とは思うがな -- 名無しさん (2020-01-26 00:08:03)
- channelがコラムでノーチェンジorトロンランドorゆらめき/存在or地図or高官or目くらまし解除のどれだ!?ってやってるな。禁止出るかもな -- 名無しさん (2020-02-13 11:09:47)
- 遂に地図がお縄に、 -- 名無しさん (2020-07-15 08:45:36)
- 正直聖域禁止によるクロパの弱体化と地図禁止によるトロン弱体化のバランスが取れてない。トロンは禁止以前に地図0構築も登場してたし、クロパはここ1年ほどで4枚も禁止食らってるから弱体化が酷い -- 名無しさん (2020-07-15 09:54:31)
- 目くらまし撃退とか剥奪ロックとか正直青の暗黒面やってるししゃーない -- 名無しさん (2020-08-19 15:17:39)
- 正直失墜あってもトロンが最強だったんだけどどうなるんですかねこれ -- 名無しさん (2021-01-15 10:01:30)
- リスと親和とかいう環境粉砕してるゴミどもを早く収監しろ。絶対失墜の最速記録更新したら文句言われそうだから時間経つの待ってるだけだろ -- 名無しさん (2021-07-20 18:12:31)
- リスストーム禁止きたわね。残念でもないし当然 -- 名無しさん (2021-09-09 07:36:03)
- ストーム持ちをコモンに入れること自体が間違いなのでは -- 名無しさん (2021-10-09 05:46:22)
- さらばエイトグ -- 名無しさん (2022-01-21 13:32:56)
- 動画勢で楽しみに見てるけど禁止カード見てると対策カードってアンコやレアばっかりなんだっていうのを思い知るわ -- 名無しさん (2022-04-15 23:25:59)
#comment
*2 氷雪パーマネントから出されるマナ。基本的には氷雪土地(《冠雪の○》という名前の基本土地)から出るが、氷雪マナクリや氷雪マナファクトからも出る。
*3 赤の1マナインスタント。クリーチャー1体に自分のコントロールする氷雪パーマネント分のダメージを与える。
*4 青のインスタント。(青)(青)と追加コストで自分の土地を手札に戻すことで唱えられる打ち消し。要は土地を手札に戻す追加コストが付け加えられた《対抗呪文》である。
*5 ストーム持ち呪文を唱えるまでに唱えた呪文の数。【ストーム】においては勝利のために重要となる。
*6 ただし古いエキスパンション内でのみ存在する、簡単に言うと一番出にくいコモンである「コモン1」として収録されたカードはアンコモン扱いとされて使用不可能とされた。《露天鉱床》《ミシュラの工廠》《イス卿の迷路》などが該当する。パックからの出現率を計算するとアンコモンと変わらない上に、強力すぎるカードが多いので使えたとしても禁止カードが増えるだけという理由があったのだろう。
*7 3種類を場に揃えると計7マナ出せる土地シリーズの総称。
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