忠誠派の総主長一覧(ウォーハンマー40K)

ページ名:忠誠派の総主長一覧_ウォーハンマー40K_

登録日:2019/12/21 (土) 12:05:20
更新日:2024/05/16 Thu 10:14:03NEW!
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「知恵と啓蒙の時代は終わりを迎えた。暗黒の時代が始まったのだ。」






総主長(プライマーク)とは、ウォーハンマー40K及び「ホルスヘレシー」(The Horus Heresy)に登場する超人総帥のことである。
皇帝が大征戦を行う際に自分の補佐を行うために作られたという人造人間の超人将帥で、その数は全部で20人。
彼らは皇帝自らの遺伝子が組み込まれており、それぞれ違った性格と皇帝同様の超人的な身体能力と才能を持っている。
どの総主長にも必ず「皇帝の一側面を持っている」という特徴があり、皇帝の息子とも呼ばれている。
総主長たちはウォーハンマー40K本篇から1万年前に起こった「大征戦」時代及び「ホルスの大逆」時代での主人公でもあり、彼らが中心となって物語が進む。


忠誠派の敵となる大逆派の総主長に関してはこちらを参照。


概要

総主長はいわゆる「デザイナーズヒューマン」(人造人間)であり、地球の地下深くに隠された研究所で極秘に製造された。
しかし、〈渾沌の神々〉達は皇帝の計画を察知し、プライマーク達が入っていた保育カプセルを誘拐してしまう。各カプセルは皇帝の加護によって守られていたため〈渾沌の神々〉は手は出せずに、カプセル銀河中に散ってしまう。
散っていったカプセルは、それぞれ別々の惑星に降り立っていった。彼らの出自はそれぞれ違ったものとなっている。
幼きプライマーク達を惑星の住民が温かく迎えてくれる場合もあれば、過酷な環境で抑圧される場合など、それぞれ違う人生を歩んでいく。
そして彼らはそれぞれ波乱に満ちた人生を歩んでいき、皇帝に出会うまで自らの超人的な身体能力と才能を駆使して成長していった。


心身共に成長した彼らは、父たる皇帝と再会し、20個存在する原初のスペースマリーンのレギオン(兵団)を率いて熾烈で過酷な運命に身を投じることとなる。
皇帝への忠義が揺るがながった忠誠派の総主長は、渾沌の神々と契約を交わした”大逆派の総主長”と戦い、帝国を護る英雄として名を刻むこととなる。しかし、勝利までの道のりはあまりにも険しく過酷であり、皇帝の計画を疑問視する者もいれば、気高い理想の下に犠牲を払う者までいるなど彼らにはそれぞれの忠誠の物語が存在するのだ。

画像出典:Wrhero--Anehma氏によるファンアート「Emperor and 18 primarchs!!!!! 40k」より



総主長(プライマーク)と兵団(レギオン)の一覧

総主長と兵団は全員で20あり、それぞれ違った特徴を持っている。各兵団は総主長によって率いられ、スペースマリーンの数も数万人配備されている。
各兵団は総主長の得意な分野や能力、思想が反映されており、それらを体現したスペースマリーンの軍団となっている。


20人いる総主長の中の2人に関しては今でも情報が消されており、兵団に関する情報も全くない。
一体だれが意図的に情報を抹消したのかいまだに明らかにされておらず、全ては皇帝を含むごく一部の者しか真実を知らない・・。




【総主長(プライマーク)及び兵団(レギオン)のリスト】

兵団番号兵団(レギオン)総主長(プライマーク)拠点惑星(ホームワールド)忠誠派or大逆派
1ダークエンジェルライオン・エル=ジョンソンキャリバン(消滅)忠誠派
2全記録抹消 命令者不明
3エンペラーズ・チルドレンフルグリムチュモス(消滅)大逆派
4アイアン・ウォーリアーパーチュラーボオリンビア(消滅)大逆派
5ホワイト・スカージャガタイ・ハーンムンドゥス・プラヌス忠誠派
6スペースウルフレマン=ラスフェンリス忠誠派
7インペリアルフィストローガル・ドルン巨大起動要塞「ファランクス」忠誠派
8ナイトロードコンラッド・カーズノストラモ(消滅)大逆派
9ブラッドエンジェルサングィヌスバール忠誠派
10アイアンハンドフェルス・マヌスメデューサ忠誠派
11全記録抹消 命令者不明
12ワールドイーターアングロン記録なし大逆派
13ウルトラマリーンロブート・グィリマンマクラーグ忠誠派
14デスガードモータリオンバルバラス(消滅)大逆派
15サウザンド・サン赤のマグヌスプロスペロー(消滅)大逆派
16ルナーウルフ(現:ブラックレギオン)ホルスクトーニア(消滅)大逆派
17ワードベアラーローガーコルキス(消滅)大逆派
18サラマンダーヴァルカンノクターン忠誠派
19レイヴンガードコラックスデリヴェランス忠誠派
20アルファレギオンアルファリウス(オメゴン)記録なし大逆派


第I(1)兵団ダークエンジェル総主長「ライオン・エル=ジョンソン」


「人はもっともな理由があれば秘密を守るだろう」



【概要】
ダークエンジェル兵団を率いる忠誠派の総主長。無口ながらも用意の周到さと胸に秘めた熱い意思で、ダークエンジェル兵団を率いて戦った。
ジョンソンの行動は計画的で、一度こうと決めたら、他人が何を言おうと自分をけして曲げない強い意志を持っている。
しかし、ジョンソンが持つ無口でかつ強情な性格は、他の総主長からは不信を抱かせていた。
それに加え、相手の意図や感情を察することが苦手であり、更なる不信感を助長させている。後に彼は、同兵団の親友が起こした裏切りの内戦へと巻き込まれてしまうこととなる。
【装備品】
ウォーギアには、パワーソード「ライオンソード」を装備している。このパワーソードは皇帝直属の武器職人の手によって作られ、皇帝から賜ったものである。後にこのライオンソードは堕ちし天使「サイファー」の手によって盗まれてしまう。


画像出典:小説「The Horus Heresy: Angels of Caliban」表紙イラストより

【ライオン・エル=ジョンソンの出自】
ジョンソンの入った保育カプセルは惑星「キャリバン」の暗い樹海の中に送られて落着し、そこで過酷な幼少期を過ごし、野生児として青年まで樹海の中で生活をしていた。
〈死の惑星〉(デス・ワールド)として恐れられてきた惑星「キャリバン」の獰猛な魔物が跋扈する、危険な樹海でどう生き残ったのかその理由は知られていないし、本人も明かそうとはしなかった。
彼が青年となり、近くの要塞院で”樹海をうろつく危険な野人あり”との知らせを受けた自警組織である〈騎士団〉(オーダー)は早速”野人”であるジョンソンと遭遇する。
そこで〈騎士団〉の一人である騎士「ルシエル」は、名も無きジョンソンを保護し、人間として育てることとした。
【〈騎士団〉(オーダー)での成長】
彼は〈騎士団〉に拾われた後、現地の言葉で「森の息子たる獅子」という意味の名を持つ「ライオン・エル=ジョンソン」という名が与えられ、人間らしい生活習慣と言葉をすぐに身に着けた。
後にジョンソンは〈騎士団〉の一員となり、親友ルシエルと共に功績を挙げ、〈騎士団〉内の位階を駆けのぼった。無口なジョンソンに対し、感情豊かで誰からも好かれるルシエルはジョンソンの弱点補うようにして助けていった。
そして、逆にルシエルの弱点を補うようにして助けていったジョンソンもまた、彼を信頼しており、キャリバン全土で伝説となる武功を次々と立てていく。
それと同時に、〈騎士団〉に加わろうと熱望する若者や拠点となる〈要塞院〉は増加の一途をたどり、〈騎士団〉は以前に比べて巨大な組織と化していた。
ここでジョンソンとルシエルは、今までにない大攻勢を仕掛けていく。それは、キャリバンに住み着いている〈渾沌の魔獣〉達を一掃する征伐戦争を開始したのだ。
度重なる戦いの末、遂にキャリバンは緑あふれる平和な惑星として生まれ変わり、繁栄の時代を勝ち取ったのである。
この時ジョンソンは、「総大守首座」(シュープリム・グランドマスター)の座を手にし、惑星「キャリバン」の王として迎えられたのである。
しかし、この時友を祝福するルシエルは喜びの感情と共に「何故ジョンソンだけが祝福されるのだ」と嫉妬の感情も沸き上がっていたのだ。
【皇帝の降臨とダークエンジェル兵団の誕生】
帝国が押し進める〈大征戦〉のさなか、皇帝は惑星「キャリバン」を再発見する。皇帝はすぐに、キャリバンに降り立って息子である「ジョンソン」と再会を果たした。
行方知れずになった息子を見出した父の喜びは、到底表現できないものであっただろう。
それからすぐにジョンソンは、皇帝から大征戦への参加を申し込まれ、その申し出を快く引き受けるどころか、これまでにないほど熱烈に歓迎したという。
〈騎士団〉を率いるジョンソンの実力に無限の可能性を見出した皇帝は、「スペースマリーン」兵団の指揮権をゆだねる。
それは、最初に作られたスペースマリーン達の部隊でありその兵団は「ダークエンジェル」兵団をと名付けられた。
この名を付けたのはルシエルであり、これはかつて怪物を食い止めたとされる偉大で廉直なる英雄たちの伝説にあやかったものである。
【大征戦での活躍】
ダークエンジェル兵団が設立されたと同時に、惑星キャリバンはダークエンジェル兵団の拠点惑星となり、軍事施設が次々と建設された。
総主長となったジョンソンは、惜しくもキャリバンを離れなければならず、ルシエルは惑星内の新兵のリクルートと育成を担当すると同時に、「総大守首座」(シュープリム・グランドマスター)の代行を任せられたのである。
ジョンソン率いるダークエンジェル兵団は、後にスペースマリーンの戦術を確立させるための実験的な兵器や戦術を、試行錯誤しながら大征戦を戦い抜いた。
【獅子と狼】
大征戦における不名誉な逸話としては、惑星「ドゥラン」における〈紅き要塞〉攻略戦の後半においてジョンソンと「スペースウルフ」兵団の総主長たる「レマン=ラス」が殴り合いに及んだというものがある。
当時、最も多くの戦果を挙げていたのは、ダークエンジェル兵団と、スペースウルフ兵団であった。そのスペースウルフ兵団を率いる総主長のレマン=ラスは、その尊大な態度と我の強さを持っており、皇帝の側近である帝国摂政「マルカドール」公もラスの人間性に頭を悩ませていた。
そんな中ジョンソンは、問題解決のため、マルカドールから「スペースウルフ兵団に対しては試すような態度を取れ」と指示があったために、ラスに対しては喧嘩腰の態度で接していた。
ただでさえ気性の激しいラスは、いわれもないような態度で接されて、当然の如くジョンソンと対立するようになった。
そして、惑星「ドゥラン」においてスペースウルフ兵団とダークエンジェル兵団が共同戦線を張っていた時、その悲劇は起こった。ジョンソン率いるダークエンジェル兵団は、スペースウルフ兵団からの協力や要請を無視して単独で作戦を遂行したのだ。
ダークエンジェル兵団が大将首を取ってドゥランの戦いは終結。先に大将首が取れず、身勝手な行動を起こされたラスはこれにブチ切れ、ジョンソンとの激しい喧嘩が1週間続いた。
ジョンソンはラスに勝利し、この日を境にして、「ダークエンジェル」兵団と「スペースウルフ」兵団は対立。第41千年紀の現在においてもこの確執はなくなっていない。
【大征戦での失態】
大征戦の中期までダークエンジェル兵団は非常に大規模な戦力を有していた。しかし、「第三次ラングダン異種族殲滅戦」において、第一兵団は帝国北部を護るために、五万人もの同胞を失ってしまったのだ。
この途方もなく高い代償はついに完全に回復することはなく、ダークエンジェル兵団はついに「最強のスペースマリーン兵団」という称号を失うこととなった。
代わってこの称号を最終的に名乗るようになったのは、かの「ウルトラマリーン」兵団である。
【ルシエルの内心】
そんな中、ジョンソンの名声が銀河中へと広がるに従い、大征戦における彼の功業や武勇の知らせが拠点惑星キャリバンにも届くようになった。
拠点惑星の留守を任されたルシエルは、その示唆背が届くたびに、彼の得るべき栄誉の取り分が簒奪されていると思うようになった。
惑星の平和を取り戻す時にはジョンソンと共に戦い、彼の弱点となる部分を補ってきた。ルシエル自身はジョンソンと並び立つべき存在だと自負しており、それに見合うだけの承認と名声をひそかに求めていたのだ。
更にルシエルを嫉妬に駆り立てた出来事としては、惑星「サロッシュ」でのジョンソン暗殺事件が挙げられる。
サロッシュの惑星政府は、ジョンソンが乗艦している旗艦へ核弾頭を潜り込ませて暗殺を行おうとしていた。このたくらみを見破ったルシエルは、一瞬嫉妬に飲まれて、このままジョンソンが死ぬかどうか様子を見ることにした。
しかし、ルシエルはサロッシュの暗殺計画を阻止することで、ジョンソンに対する忠誠心を証明した。だが、ルシエルが暗殺をわかっていたうえで様子見をしていたことがジョンソンに知られてしまう。
二人の間に不仲が生じると、ジョンソンはルシエルとダークエンジェルの部隊をキャリバンに置いて行って、自らは大征戦の残りを片付けに向かった。キャリバンに打ち捨てられたという思い、そして混沌信者や窮乏貴族たちによる叛乱への対処が、次第にルシエルと彼の軍勢を総主長への離反へと向かわせていった。
【〈ホルスの大逆〉】
ホルスの大逆が勃発したとき、ダークエンジェル兵団は地球から遠く離れて〈盾なる惑星〉の数々からなるゴルディオン連盟との戦役に従事しており、大逆戦争と直接関われる距離になかった。
それでもライオンは小規模な攻撃部隊を率いて工業惑星「ダイアマット」へ向かい、大逆者の軍勢が重要な補給基地を得ることを防いだ。ひとたび兵団の大部分がゴルディオン連盟との戦争から自由になると、大元帥ホルスは「ナイトロード」兵団に命じ、東部辺境宙域にてダークエンジェルを迎撃させ、皇帝への救援を妨害する。
しかし「スラマス征戦」において大部分のナイトロードの艦隊が待ち伏せされ撃滅されると、ナイトロード総主長「コンラッド・カーズ」はダークエンジェル旗艦にて立ち往生してしまう。しかし彼は捕獲の手を逃れ、送り込まれたあらゆる追っ手を殺戮した。最終的にジョンソン自らカーズに瀕死の重要を負わせて昏睡状態にさせる。
カーズとの戦闘後、兵団は〈歪み〉から出てきた渾沌の悪魔(ディーモン)と遭遇し、戦闘となってしまう。しかし、ディーモンの力は強大でかつ、ディーモンに対抗するためのサイキックの使用を禁止していたので、ダークエンジェル兵団は追い詰められていた。
この時ジョンソンは、「ニカエア公会議」で禁止されていたサイキック能力の使用を解禁し、司書官(ライブラリアン)の役職を再建した。
間一髪で、渾沌の悪魔たちに勝利したダークエンジェル兵団は、地球へと向かおうとしたが、ワードベアラーが召喚した〈破滅の嵐〉(ルインストーム)によって地球への航路は断たれてしまう。その影響によって地球から発せられる〈星辰波〉(アストロノミカン)を頼りにして地球へ航行することが出来なくなってしまった。
〈破滅の嵐〉は地球から発せられる波動である星辰波を完全に遮断する恐ろしき現象である。星辰波の波動が無ければ、ワープ航行時にその方向を完全に見失ってしまい、ワープ航行が不可能となってしまうのだ。
更に、地球とも通信や連絡もできなくなり、ダークエンジェル兵団は帝国の本拠地と完全に分断されてしまったのである。
しかしダークエンジェル兵団は、謎の波動を受信していた。それは、異種族のデバイスである「ファロス」が発せられる波動であった。ファロスは〈破滅の嵐〉の中においても、灯台のような役割を持っている。
ファロスの波動を追えば、〈破滅の嵐〉の中でも迷わずにワープ航行することが出来るのである。
ファロスの波動を手掛かりにして、ダークエンジェル兵団は、ウルトラマリーンの本拠地である「ウルトラマール」宙域に辿り着く。そこで、総主長「ロブート・グィリマン」と「ウルトラマリーン」兵団に加え、総主長「サングィヌス」と「ブラッドエンジェル」兵団に合流することが出来たのだ。
【〈第二帝国〉】
この頃グィリマンとサングィヌス、ジョンソンは、〈破滅の嵐〉の影響によって帝国本拠地の地球に救援へ向かうことができずに陥落する可能性が高いと考え、マクラーグに〈第二帝国〉の創設を行うことを決意する。
グィリマンは最初〈第二帝国〉の皇帝へと着任しようと考えていたが、大元帥ホルスと同じような権力に固執する為政者とみられることを嫌い、前から不信感を抱いていたジョンソンに、その座に就いてもらうよう説得を行ったが、かれはその案を拒否した。
そこでグィリマンはサングィヌスへ〈第二帝国〉の皇帝になって欲しいと依頼をする。本人は乗り気ではないが、サングィヌスは〈第二帝国〉の皇帝としての座を引き受けることとなった。
それと同時に、ジョンソンは第二帝国における大元帥の役職である〈守護大将〉(プロテクター)としての役目を任ぜられる。
順調に〈第二帝国〉の構築が進んでいたその時、ウルトラマリーンに変装していた「アルファレギオン」兵団がグィリマンを暗殺しようと襲撃する。
グィリマンは襲撃をはねのけて生還したが、今度はマクラーグへと忍び込んでいたコンラッド・カーズが、出遇った者を片っ端から殺害していった。
グィリマンとジョンソンは、カーズのいる聖堂へと向かったが、カーズは聖堂にしかけた爆弾を起動した。
爆発に巻き込まれそうになった二人はその時、「ファロス」の持つテレポートの機能によって聖堂を脱出して、一命を取り留めた。
両者を殺害したと思ったカーズは、そのままグィリマンの育ての母をも手に掛けようとしたが、マクラーグで療養していた総主長「ヴァルカン」の復讐に燃えた反撃を受けて阻止された。
この後、ヴァルカンとカーズは激しき決闘を繰り広げたが、"謎の暗殺者"によってヴァルカンが殺害されてしまった。暗殺者と対峙したカーズは、突如出現した〈歪み〉に吸い込まれ、どこかへと消え去ってしまう。
暗殺者はどこかへと逃亡した後、戦死したヴァルカンの告別式が執り行われ、グィリマンとジョンソンは、サングィヌスが居るマクラーグへと戻った。
しかし、彼らはいざ政策議論を進めると、ジョンソンはグィリマンは政策の是非をめぐってたびたび意見が衝突した。
特にジョンソンは、逃亡中のカーズを捕まえることに無我夢中になっており、ジョンソンはマクラーグに戒厳令を敷くことをグィリマンに要求する。
厳戒態勢が敷かれる中でジョンソンは、ダークエンジェル兵団を率いてカーズを捕らえるために追跡へ向かった。
カーズは戒厳令が敷かれたマクラーグ内を逃亡するも、遂に山岳地帯でジョンソンに追い詰められて捕らえられしまう。
【カーズの幻視】
〈第二帝国〉皇帝、サングィヌスの裁きを受けることとなったカーズは、自らの犯行をグィリマン、ジョンソンの面前で認めたが、罪を認めようとはしなかった。自らの行いはこう行動するよう定められたものであり、それ故に犯罪ではないというのだ。
カーズに死刑判決を下したサングィヌスは、自らのサイキックパワーで処刑を行った。傷ついたカーズは「これは自分の死に方ではない!」と叫んだ。それを聞いたジョンソンは処刑を中止するように要請した。
ジョンソン曰く、カーズには"未来を見る予知能力"があり、自らの未来では”皇帝が送った暗殺者によって最期を迎える”ものだと定められているという。すなわち、カーズを生かせば”皇帝はまだ生存している”未来が確定するのだと。
予知によって皇帝が生存しているのであれば、帝国の代わりとなる〈第二帝国〉の意味は成さないことが明らかになり、〈第二帝国〉は解体された。
忠誠派の総主長たちは、皇帝を救助すべく、地球に向かうことを決断する。カーズはジョンソンによって無制限に拘束され、共に地球へと向かうこととなった。
【ダウィンの戦い】
グィリマン、ジョンソン、サングィヌスの三人は、自兵団と艦隊を率いて地球へと救援に向かった。その途中でサングィヌスはカーズを連れて、惑星「ダウィン」へと立ち寄ったサングィヌスはこの旅を通して運命を変えられることを兄弟に示したかったからである。
サングィヌス一行は、ホルスが堕落し呪われたとされる渾沌の暗黒神殿へと向かった。このときカーズは全く予知しなかった展開に混乱してしまう。
その時、突如として渾沌のポータルが開き、サングィヌスはポータルの中へと飲み込まれてしまった。
グィリマンとジョンソンは彼を取り戻す方法をカーズに尋ねたが、予知とは違う展開を前にして慌てふためくばかりであった。まもなく、渾沌の領域からディーモンが次々と地上にあふれ出し、忠誠派軍勢との戦いが始まった。
忠誠派の軍勢は、熾烈なダヴィンでの戦闘に勝利した。ポータル内に閉じ込められていたサングィヌスも戻って来ると、遂に地球へと進める航路を発見する。しかし、そこはホルスの艦隊によって封鎖されていた。
そこでグィリマンとジョンソンは陽動作戦を行い、その隙をついてサングィヌスとブラッドエンジェル兵団、そしてカーズを地球へと送り出すことにした。陽動作戦は成功し、サングィヌスとブラッドエンジェル兵団は最終決戦の〈地球の戦い〉に参戦した。
その後は「地球の戦い」でサングィヌスは戦死し、皇帝は植物人間と化してしまう。
大逆後は、ホルスの手から皇帝を守り切れなかったという事実に打ちのめされながらも、ダークエンジェル兵団とジョンソンは帝国の秩序回復を手助けしていた。
【大いなる裏切り】
数多くの戦いを繰り広げたジョンソンとダークエンジェル兵団は遂に拠点惑星キャリバンに帰還しようとしたが、惑星防衛陣地からの対空砲撃を受ける。
拠点惑星への強襲を余儀なくされたダークエンジェル兵団は、かつての同胞が裏切り者となって〈禍つ神々〉に忠誠を誓って襲い掛かる姿を目の当たりにした。
ジョンソン率いるダークエンジェル兵団はルシエル率いる裏切り者である〈堕ちし天使〉らとの戦いを繰り広げる。
遂に〈堕ちし天使〉を追い詰め、皇帝とホルスの写し鏡のようにエル・ジョンソンとルシエルは壮絶的な一騎打ちを繰り広げる。
最終的にルシエルはかつての友に致命的な一撃を与えるも、かつての親友を討ったという事実に気づき、狂気へ陥り、捕らえられた。しかし、そこに何故かジョンソンの姿は見当たらなかったのだ。
【隠されし真実】
キャリバンでの内戦後はジョンソンの行方が分からず遺体も見つかっていないが、それは表に公開された情報でしかない。
現在は〈岩牢〉にて無動空間(ステイシス・フィールド)に安置されており、彼は復活の時まで眠っている。皇帝と〈岩牢〉を守る戦団員「暗闇の監視者」、そして総大守首座たる「アズラエル」のみがその事実を知る。


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第V(5)兵団ホワイトスカー総主長「ジャガタイ・ハーン」


【概要】
獰猛なる惑星チョゴリス(別名ムンドゥス・プラヌス)の部族をまとめ上げたホワイトスカー兵団を率いる忠誠派の総主長。騎馬戦と狩人としての才能を持ち、〈大カーン〉、〈戦場の鷹〉の異名で知られている。
彼は蛮族的な獰猛さを持っている一方で、部族的な拠点惑星の部族的な文化を尊ぶ精神を持ち合わせており、他人からの称賛を求めずに孤独に戦ったという。
また、彼の率いる蛮族的な軍団を規律正しくまとめ上げるリーダーシップを持っており、戦団員の獰猛さと騎馬民族的特徴を活かした戦術で多くの勝利を勝ち取った。
【装備品】
ウォーギアには二振りのパワーソード「白虎の双剣」と「アーケオテックピストル」を装備し、パワーアーマーには「ワイルドファイアパノプリー」を着装している。


ちなみにキャラの元ネタは、「チンギス・ハーン」の次男「チャガタイ・ハーン」がモデルとなっている。


画像出典:小説「Jaghatai Khan Warhawk of Chogoris」表紙イラストより

【ジャガタイ・ハーンの出自】
赤子のころのジャガタイの入った保育カプセルは後進惑星「チョゴリス」に落着した。緑の平野と背の高い白い山、青い海のある肥沃な惑星で、人類の文明でいうルネサンス期の文明レベルの人々が暮らしていた。惑星内には複数の部族が土地を支配しており、各部族は封建制の政治を採用している。その中でも当時惑星内で最も巨大な部族が「パラタイン」帝国であった。
ジャガタイは「タラスカルス」と呼ばれる小さな部族の族長である「オン・カーン」によって発見される。そしてジャガタイには偉大な戦士の兆候である「火の目」を持っており、幼い彼をオン・カーンは神の贈り物とみなして育てた。


彼が戦士として十分に育っていたころに大きな悲劇が訪れる。ライバル部族の「クレイド」族が養父である父親を殺害した。彼は報復のために多くの戦士たちを集めてクレイド族の村に襲撃を行った。
完全に村人を一人残らず抹殺し、敵の血を浴びたジャガタイは討ち取った族長の首を自らのテントの上にのせて飾った。彼はそれ以降大いなる名誉を求めず、部族同士の争いを終わらせて団結させるために戦うことを誓ったのだ。
報復の後、彼は部族統一のために他の部族と戦い続けた。彼は戦士としての才能だけでなく軍事的な才能も持ち合わせており、ジャガタイ率いる軍は多くの勝利を勝ち取った。
彼に敗れた部族はカーン族に統合されると同時に、兵役義務を取り付けていった。彼の下で仕える戦士もまた一人増えていき、次第に兵や軍の規模も大きくなる。
10年後、ジャガタイ率いる騎馬軍団は遂にパラタイン帝国との対決に臨むこととなる。しかしパラダイン側はジャガタイを過小評価しており、軽装の騎馬軍団による圧倒的機動力に大敗してしまう。
遂にパラダイン帝国を打ち破ったジャガタイは「大カーン」の称号を名乗り、誓いを立てたあの日から約束通りに惑星内の部族を全て統一するに至った。ここに惑星チョゴリス最大の帝国が誕生したのだ。
【大征戦時の活躍】
統一から半年後、皇帝が惑星チョゴリスに到着した。彼は皇帝に会ってからすぐに「この者なら銀河中全ての惑星を一つの帝国に統一させるという夢を実現するに違いない」と考え、将軍全員の前で片膝をついて皇帝への忠誠を誓った。
そしてジャガタイは第五兵団「ホワイトスカー」の指揮権を皇帝から任命される。
早速彼はホワイトスカーにいる地球(テラ)出身の兵団員をチョゴリスの文化と戦術を叩き込んで同化させることに力を入れる。
逆にチョゴリス出身の兵団員とジャガタイは、帝国の文化や技術を不慣れながらも少しづつ学んでいった。


彼が特に力を入れてきたのは高機動戦術と一撃離脱戦法であり、ジャガタイ自身が研究を重ねて進化させた騎馬戦術を応用してスペースマリーンの戦術に組み込むことによってその真価を遺憾なく発揮することが可能となった。
特にバイクや反重力車両との相性は良く、彼の高機動戦術についてこれるものはごくわずかだった。


ジャガタイは率いるホワイトスカー兵団は破竹の勢いで勝利を重ね、特にウラノールでのオルク帝国との戦いでは、大きな活躍を見せたという。
【ホルスの大逆】
ホルスの裏切りと惑星「イシュトヴァーンV」での〈降下地点での虐殺〉の報が届いた時、ジャガタイ・ハーンと彼の兵団は「チョンダックス」星系のオルクに対する戦役を数年にわたり行なっていた。
しかし、この戦役はアルファレギオンによって意図的に引き伸ばされていたものだった。ホワイト・スカーは急ぎ地球(テラ)へ帰還するよう第七兵団総主長「ローガル・ドルン」に促される。
そこにちょうど惑星「プロスペロ」から帰還した「スペースウルフ」兵団と総主長「レマン=ラス」は自らの軍勢に合流するよう要請するが、「アルファレギオン」兵団からの攻撃を受けてしまう。
このままスペースウルフ兵団を残していくのを懸念したジャガタイは、アルファレギオン兵団との戦闘よりも直ちに緊急要請による地球への帰還を優先するようにした。彼自身で帝国に何が起こっているのかを知るためでもある。
アルファレギオン兵団から振り切れたジャガタイ達のホワイトスカー兵団は、スペースウルフ兵団による攻撃後の惑星「プロスペロ」へと到着し、そこで「サウザントサン」兵団総主長「赤きマグヌス」の霊魂の破片と遭遇する。
マグヌスの霊魂の破片は、今皇帝側の「ロイヤリスト」かホルス側の「トレイター」のどちら側につくかを決めるようにと同時に皇帝を信じてはいけないとジャガタイに嘆願した。しかし、ジャガタイは迷うことなく剣を持って、マグヌスの霊魂の破片を粉々に砕いた。
その後は、デスガード兵団との戦闘や兵団内でのクーデター未遂事件が起こるなどの苦難を乗り越えてようやく地球へと帰還した。
後に見捨ててしまったラスと再会し、彼に怒りをぶつけられたが、地球に急いで救援に向かうためであった理由を説明し怒りを収めた。
【地球の戦い】
ホルス側の大逆兵団が地球に進軍し、帝殿包囲戦が開始される。本拠点である帝殿の外では激しき激戦が繰り広げられていた。
ジャガタイは当初地球周辺の防衛軍を統括する「ローガル・ドルン」によって帝殿の壁外に出ることを禁じられていた。ジャガタイは積極的な防衛戦略が欠如したことに加え、壁の外で戦っている大量の帝国軍一般兵を見捨てていることに憤慨していた。
遂に帝殿に大逆側「デスガード」兵団のスペースマリーンが襲撃し、それを待ち構えていたジャガタイ達ホワイトスカー兵団はバイカー部隊を率いて敵に突撃を掛けた。
高い機動力で敵を一掃するホワイトスカー兵団達だったが、ジャガタイは無数のデスガードの部隊に圧倒されて乗っていたバイクから落とされてしまい、〈歪み〉の刃によって負傷してしまう。この時ジャガタイは初めて病気にかかってしまった。
ジャガタイはやむなく、ホワイトスカー兵団と共に宇宙港へと退却した。
【ハーンの最期】
ホルスの大逆が終戦した7年後、グィリマンが〈戦いの聖典〉(コデックス)の制度の採用を発表した際にはジャガタイは聖典を受け入れ、〈第二期創設〉時にはホワイトスカー兵団は複数の戦団へと分割された。
そんな中、彼らの故郷に危機が迫る。彼らの拠点惑星があるヤサン星域(セクター)にデュカーリ族(ダークエルダー)の軍勢に襲撃される。惑星チョゴリス含む星域の惑星に住む住民たちを奴隷にし、コモラフへと連れ去っていった。
知らせを聞いて激怒したジャガタイは、星域のデュカーリ族を一掃することを誓い、多くのデュカーリ族との戦いに身を投じた。
戦いの中ジャガタイは、デュカーリ族の陰謀団を追うために、相手が略奪の際に使用するワープ通路〈網辻〉(ウェブウェイ)の中へと入っていった。それ以降ジャガタイは未だに帰ってきていない。


今でも戦団員は、偉大なる総主長ジャガタイがいつか〈網辻〉から帰ってくるのを信じて待ち続けている。



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第VI(6)兵団スペースウルフ総主長「レマン=ラス」


【概要】
「大狼王」とも呼ばれるスペースウルフ兵団を率いて戦った忠誠派の総主長。戦と宴が大好きで、いつも哄笑を絶やさない性格だが、「粗にして野だが卑ではない」を体現した仁義を貫き通す熱い漢で、仲間からの人望も篤い。通称40k版宇宙狼ジャスピオン
白兵戦に関しても、総主長の中でもトップクラスの実力を持ち、サラマンダー兵団総主長「ヴァルカン」やワールドイーター兵団総主長「アングロン」と並ぶ屈指の武人として評された。伝説によれば、一太刀で巨大ロボ「ウォーロードタイタン」を破壊したという。
獰猛で荒々しい性格も持っていた彼は、他の総主長とよく対立をすることが多かった。自らが皇帝に最も忠実な息子としてかつ”処刑執行人”であると考え、その聖務を何のためらいもなく行っていたが、途中から考えを改めなおすこととなる。
【装備品】
ウォーギアは複数所持しており、古代の剣に作られしフロストブレード「ムジャルナール」やフロストアックス「ヘルウィンター」、コンビボルター「スコーンスピッター」等を装備している。
パワーアーマーは特注のアーティファイサー・アーマー「アーマー・エラヴァガル」を着装している。このパワーアーマーは、帝国の技術とは異なる原理を持つ発熱フィールドジェネレーターが組み込まれている。


画像出典:小説「The Horus Heresy: Prospero Burns」表紙イラストより

【レマン=ラスの出自】
赤子のころのレマン=ラスの入った保育カプセルは〈死の惑星〉(デスワールド)に分類される惑星「フェンリス」に落着し、極寒の土地に生息するメスの「フェンリシアンウルフ」に拾われ、青年になるまで野生児として育てられる。
彼には常に兄弟の狼である「フレキ」と「ゲリ」の2匹と共に成長し、厳しきフェンリスの世界を共に生き抜いた。
彼が立派な狼青年として成長した同時期、惑星フェンリスの部族に母の狼を殺されてしまう。母を亡くし、必死でフレキとゲリを守るため戦ったラスであったが、部族に掴まってしまい惑星の部族を治める大狼王「テンギール」の前に引き連れられる。
ラスは自分はただの狼ではないということを王の前で証明し、テンギール王はラスに大きな可能性を見出した。最終的にラスはテンギールの家臣として、一人のフェンリシア人として育てられることとなった。
その後はテンギール王のもとで人間としての文化や知識を学んでいき、臣下となっていった。ラスは戦士としての適性を現し始め、数々の戦で経験を積み、千以上の輝かしき勝利をおさめた。
そして、惑星の部族を治める「大狼王」としての地位を継ぎ、惑星を治めし王となったのだ。
【皇帝の到来】
そんな折、大征戦を進めていた皇帝と再会。初めて皇帝が息子の一人である彼を見たときには、そのたぐいまれなる武勇を見届けるために時さえも止まり、彼の豪壮な戦いぶりを見届けたという。
皇帝はレマン=ラスに大征戦に参加を申し出たが、一対一の力比べで皇帝が勝利すれば参加することを条件にして勝負を行う。
力比べで勝利したのは皇帝である。敗北したレマン=ラスは人生で初めての敗北を潔く認めるばかりか、その顔に笑みを浮かべて皇帝との間に深き友情と握手を交わしたのだ。
【大征戦時の活躍】
皇帝に忠誠を誓い総主長として仲間に加わった後は第六兵団「スペースウルフ」兵団を任され、惑星フェンリスは同兵団の拠点惑星となった。
しばらくの間は、皇帝の側近「マルカドール」から帝国の文化や総主長としての知識などの教育を受けてゆき、兵団を率いるのに相応しきリーダーシップを学んでいく。
彼らは圧倒的に不利な状況でもあきらめずに戦い抜いた。特に「ホイールオヴファイア」戦役では何十億というオルク族に対して、「スペースウルフ」兵団と「帝国軍の新兵」達だけで立ち向かい勝利を勝ち取ったのだ。
レマン=ラスは激しい戦いを繰り広げるだけでなく、滑稽な作戦を立てて数多くの征戦を勝ち抜いた。特にスペースウルフ兵団はダークエンジェル兵団と並ぶぐらいの勝利を収めていたという。


しかし、スペースウルフ兵団は全兵団内でも最も扱いにくく、マルカドールも兵団の我の強さや獰猛さには頭を悩ませていた。
【奇妙な槍】
ラスは「ホイールオヴファイア」の戦役の後、報酬として「ラスの槍」と呼ばれる聖遺物が与えられた。謎の力が宿っており、ラスはその力に不快感を覚えてあまりその槍を使おうとはしなかった。
その槍は戦場や会議室で忘れることが多かったが、奇妙なことにその槍は最終的には彼の元に戻ってくるのである。彼は皇帝の機嫌を損ねないためにもしぶしぶその槍を常に持ち歩くようにしていた。
しかし、この槍は後に重要な武器として活躍することとなる。
【総主長との対立】
そんな中、スペースウルフ兵団は不仲の兵団が2つあった。それが、総主長「ライオン・エル=ジョンソン」率いる「ダークエンジェル」兵団であった。
ジョンソンはマルカドールから「スペースウルフ兵団を試すような態度を取れ」と指示があったために、ラスに対しては喧嘩腰の態度で接していた。
ただでさえ気性の激しいラスは、いわれもないような態度で接されて当然の如くジョンソンと対立するようになった。
そして、惑星「ドゥラン」においてスペースウルフ兵団とダークエンジェル兵団が共同戦線を張っていた時、その悲劇は起こった。ジョンソン率いるダークエンジェル兵団はスペースウルフ兵団からの協力や要請を無視して単独で作戦を遂行したのだ。
ダークエンジェル兵団が大将首を取ってドゥランの戦いは終結。先に大将首が取れず、身勝手な行動を起こされたラスはこれにブチ切れ、ジョンソンとの激しい喧嘩が1週間続いた。
この日を境に、「ダークエンジェル」兵団と「スペースウルフ」兵団は対立し、第41千年紀の現在においてもこの確執はなくなっていない。
現在、両兵団間で何かトラブルが起きた際には、総主長の喧嘩にあやかって儀式決闘を行うこととなっている。


もう一方は総主長「赤のマグヌス」率いる「サウザントサン」兵団であった。ラスはサイキックといった超能力の類を嫌っており、それを推奨し研究するマグヌスに対しては嫌悪感を持っていた。
マグヌスはサイキックに関する知識や遺物を収集して自らの拠点惑星にある〈大図書館〉に収めていたのも、皇帝が推奨する〈帝国の真理〉に反する行為に当たるのではないかと不信感を強めていた。
そんな中、サウザントサン兵団とスペースウルフ兵団との共同作戦においては、総主長どうしの意見の違いから、あわや同士討ちになろうとしてた。
この事件を境に、帝国におけるサイカーの扱いを決める〈ニカエア公会議〉では、「デスガード」兵団総主長「モータリオン」と共にサイカーの排斥を強く訴えた。
その結果帝国は、アストロパス(精神感応官)やナビゲイター(航宙士)以外のサイカーのサイキック能力使用が禁止された。


その後、多くの武勲を重ね、帝国に対する強い忠誠心が評価されたラスは、皇帝から”非公式の処刑執行人”として任命される。
【プロスペロ事件】
〈ニカエア公会議〉からしばらくたった後、皇帝はすぐさま彼を禁忌違反の罪で逮捕するように「スペースウルフ」兵団の「レマン=ラス」と近衛兵団である「カストーディアン」、「シスターオヴサイレンス」に命を下した。
大元帥ホルスはこの状況を知ると、マグヌスが居る惑星「プロスペロ」に向かうラスに”マグヌスの逮捕命令”を”プロスペロ破壊命令”へと置き換えるように信じ込ませてしまったのだ。
愚行を犯したマグヌスは自らは皇帝に逮捕されるだろうと予測して、惑星「プロスペロ」周辺の基地の警戒や武装の解除を命じた。愚行を犯した自分のみが逮捕されれば、惑星の住人やサウザントサンの兵団員は助かるだろうと踏んだのである。
ラスは内情も知らずに、皇帝の近衛兵団である「カストーディアン」と共同で惑星「プロスペロ」への攻撃を開始した。必死の抵抗を行ったマグヌスとサウザントサン兵団は不利な状況へと追い込まれたが、突然謎のテレポートによって逃亡されてしまった。
【ホルスの大逆】
数多くの戦いによって何千もの惑星は人類の手に取り戻し、帝国の黄金時代は長く続くかと思われたが、突如として時代は大きな変化を遂げる。大元帥「ホルス」が帝国に反旗を翻してきたのだ。
ラスは反逆の真実も知らぬまま、プロスペロの戦いが終わって引き上げていたそのとき、「アルファレギオン」兵団の艦隊が襲撃を開始した。
先の戦いで兵力が低下していたスペースウルフ兵団は、敵の大艦隊が迫っていることを知り、総主長「ジャガタイ・カーン」と「ホワイトスカー」兵団に救援を求めたが、ジャガタイは誰が味方で誰が敵かを判断できず、それに応えようとはしなかった。
彼は総主長「ドルン」の要請で地球に答を求めに行くために、スペースウルフ兵団をみすててしまったのである。
このときラスは、皇帝に盲目的に仕えることは間違いだったと側近のビヨルンに明かしたという。
増援を得られず一時は絶望したラスだったが、アルファ・レギオン艦隊がやってくると「アラクセス」星雲へと退却した後、陣頭に立って大逆者たちに戦いを挑んだ。
しかし、突如ラスの旗艦に「カタフラクティ・ターミネーター・アーマー」をまとったスペースウルフ親衛隊がテレポートしてきた。しかしそれは変装したアルファリウスであった。
ラスとアルファリウス、二人の総主長は激しい一騎討ちを戦った。
もはやスペースウルフ兵団に勝ち目はないと思われたが、救難信号を受け取った「ダークエンジェル」兵団が援軍に現れて形勢逆転。アルファレギオン兵団の撃退に成功する。


やっとの思いで地球へと帰還したスペースウルフ兵団とラスであったが、そこにホワイトスカー兵団も帰還してきた。
見捨てられたことに激怒したラスはジャガタイに内訳を聞くと、地球に急いで救援に向かうためであった理由に納得して怒りを収める。
後にラスは皇帝の命令を無視して、ホルスによって惑星プロスペロを攻撃するようにそそのかされたことに対して、遺憾の意を表した。自らの過ちに責任を感じたラスは、ホルスに対して自らの力で決着を付けようと決心する。周りの総主長達はラスが一人で戦いに挑むのに反対したが、誰も彼を止めることは出来なかった。
【ホルスとの対決】
ホルスの居場所を突き止めたラスは、直接ホルスの艦隊へは向かわずに拠点惑星であるフェンリスへと立ち寄った。
ホルスとの直接対決の前に、彼は異能法師(ルーンプリースト)たちと協力してホルスの弱点を探し出すための儀式を行った。
儀式を成功させるには、ラスは儀式によって生成された〈歪み〉の空間に入り、そこで行われる試練を達成しないといけない。
彼は試練を達成すると、そこにはなんと、自分そっくりなもう一人のレマン=ラスが現れたのだ。
偽のラスは本物のラスが持っている「ラスの槍」の能力を明かした。ラスの槍には皇帝の力が宿っており、突き刺した者の真実を見ることが出来るという。
偽のラスは槍で、本物のラスを突き刺すと、彼は”総主長に関する真実”を見せられて絶望した。後にその真実は、ラスが故郷であるフェンリスから遠ざかってしまうだろうと偽のラスは語る。
真実を見せられたラスは、ラスの槍を使えばホルスにダメージを与えるだけでなく、戦況を変えることが出来るかもしれないと悟った。
偽物のラスは消え去り、〈歪み〉の空間から戻ってきたラスは、遂にホルスに対抗する手段を得たのである。


ラスはホルスに勝つことはできなくても、「ラスの槍」を使って負傷をさせることはできるはずだと考えていた。
その為、彼は絶望的な状況のホルスとの戦いの参加は強制ではなく、自発的に行うよう各狼団長(ウルフロード)に呼び掛けた。すると、すべての狼団長がラスと共に戦うことを決意したのである。
ラスはスペースウルフ兵団の艦隊を「トリソリアン星系」へと進軍させ、ホルスが乗船している旗艦「ヴェンジフル・スピリット」の待ち伏せ襲撃を開始した。
激戦のさなか、ラスは精鋭部隊と共に旗艦への潜入に成功し、ホルスのいる部屋へとたどり着いた。ホルスはラスに、自らの軍に来るようにと誘ってきたが、ラスはホルスの勧誘を拒否して戦闘を開始した。ホルスは渾沌の寵愛を受けて強い魔力を得ていたが、強大な魔力にもかかわらず、ラスは槍の加護によって守られていた。
ラスはわざとホルスのライトニングクローを受けて一瞬の隙を作り、手に持っているラスの槍を全力で刺した。槍の力によってホルスの身体から渾沌の魔力が消散し、ホルスは正気を取り戻しつつあった。しかし、ホルスはまだ皇帝に対する敵意が残っており、ラスは一緒に地球に戻るように促したが、もはや遅すぎると言い残して再びホルスは戦い続けた。
ラスは意識を失い、側近の「ビョルン」と「グリムニル」に引き連れられてスペースウルフ兵団はヴェンジフル・スピリットから退却した。
【ラスの最期】
大逆の内戦後、皇帝が黄金の玉座に接続され植物人間と化してしまった。ラスは自分よりも強くて勇敢な男が悲惨な姿になってしまったことをだれよりも憤慨していたという。
それに加えてグィリマンが発表した〈戦いの聖典〉の制度に対しては、スペースマリーン兵団の戦力が削がれてしまうことから異を唱えた。
そしてラスは皇帝の敵を取るために、ケイオススペースマリーンの本拠地である〈恐怖の目〉へと精鋭部隊と共に突撃し、今現在でも彼の行方は不明になっている。



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第VII(7)兵団インペリアルフィスト総主長「ローガル・ドルン」


「訓練、義務、不屈の意志。あらゆる戦士はこれらの基準によって審判される。たとえ武器を持たずして、どれほど長く険しき道のりを歩もうとも、これらの資質を持ち合わせたる戦士は、なお勝利を見出し得るであろう。〈戦闘者〉の神聖なる武装を身に帯びたとき、かの戦士は誠に不滅の存在へと至るのだ。」


【概要】
「インペリアルフィスト」兵団を率いる忠誠派の総主長。厳格でかつ忠義に篤く、皇帝に対しては最も献身的に使えてきたとされている。その半面、融通が利かない頑固な面もみられ、時折その性格が原因となってトラブルを引き起こすこともある。
大征戦の全時期に渡って、皇帝の近衛官(プラエトリアン)としての役目を果たし続けている。
彼は比類ない軍事の天才でかつ、包囲戦及び防衛戦を得意とする。更に、築城の名手としても知られており、その才能を活かして帝国の本拠地である地球(テラ)の防衛網と皇帝の帝殿を作り上げた。
【装備品】
ウォーギアにはあらゆるものを切り裂くチェーンソード「嵐の牙」(ストームズ・ティース)とカストーディアンから贈られた逸品のボルター「ヴォイスオブテラ」を装備している。


画像出典:小説「Heralds of the Siege」表紙イラストより

【ドルンの出自】
渾沌の〈禍つ神々〉に銀河の果てに飛ばされたドルンは、氷河の惑星「インウィット」に漂着した。彼の若き頃がどのような人生だったかはあまり知られておらず、彼自身もそれを語ろうとはしなかったという。
彼らはそこに住む氏族の一つであった「ドルン」家に養子として拾われて育ち、彼に多くの戦技と生存術、そして外交術を叩き込んだ。更に惑星の過酷な環境が彼をより厳しく厳格なる男へと成長させていったのだ。
後に彼は族長である祖父から「自分とは血縁関係が無く、拾われて育った」と明かされた。しかしドルンは、族長に育てられた恩義や絆は深い価値あるものとしてその事実を受け入れたという。
ドルンは惑星インウィット内の部族をまとめ上げ、家の名の下に惑星を統一した。更にドルンはインウィット周辺の星域のリーダとなり、インウィット・クラスターをまとめ上げる「小規模帝国の皇帝」として君臨したのだ。
【皇帝との再開】
彼の祖父が亡くなった40年後、〈大征戦〉を行いながら進軍している皇帝は惑星インウィットを再発見し、上陸を行った。
惑星内の氷結都市を訪れた皇帝の前に現れたドルンは、巨大起動要塞「ファランクス」の舵を取って皇帝をファランクス内のブリッジへと案内した。
そして、「自らが皇帝の息子である」と名乗り出て激しい忠誠を誓った。更にドルンは、皇帝への献上品として巨大起動要塞「ファランクス」や自ら作り上げた軍隊を献上したのである。
皇帝は長きに渡って行方不明だった息子の帰還を歓迎し、ドルンにスペースマリーン第七兵団「インペリアルフィスト」の指揮権を与えた。
皇帝はドルンから受け取った品は返上し、「ファランクス」は「インペリアルフィスト」兵団の要塞院として使われるようになる。
この輝かしき再開と喜びを胸に、彼は総主長として大征戦の過酷な戦いに身を投じるのであった。
【大征戦】
ドルンは皇帝から賜った「インペリアルフィスト」兵団を率いて大征戦に参加した。その際に彼は一度も皇帝に対して恩恵を求めることを行わない強固な意志と自立心に加え、嘘偽りを一切言わない誠実さを持っていた。
また彼は、軍事の天才で比類なき献身を重ねて帝国に奉仕しており、総主長の中でも最も素晴らしい軍人の鑑であると称賛されていたという。
ドルン率いるインペリアルフィスト兵団は常に帝国軍の先陣を切り、大征戦を戦い抜いた。彼らは常に戦場を渡り歩き、征服した惑星の統治を行わずに新兵のみを必要とした。
そして、彼の専門とする分野は「防衛戦」、「包囲戦」であり、その才能を活かして数々の敵要塞を次々と攻略していったのだ。
【地球へ】
惑星「ウラノール」での対オルク帝国との戦いに勝利した後、皇帝は地球(テラ)に隠遁して軍の全指揮権をホルスに譲ったと同時に、ドルンも皇帝と共に地球へ向かった。
皇帝はドルンに「近衛官」(プラエトリアン)の称号を与え、地球に帝殿(インペリアルパレス)の建築と太陽系周辺の防衛網の構築を命じたのだ。
【激しき対立】
しかし、彼をよく思わない総主長が居た。「アイアンウォリアー」兵団の総主長である「パーチュラーボ」であった。ドルンとパーチュラーボは似たような戦術を取っているが、パーチュラーボは合理的でかつ冷酷な手段で兵団を率いていた。
時には兵団員に熾烈な処罰を与え、敵味方関係なく冷酷な姿勢を取っていた。
しかし、ドルンは逆に高い理想をもって戦団を率いた。その為、パーチュラーボのやり方に対しては厳しい批判を続けていた。
更に対立を決定的にしたのが、「エンペラーズチルドレン」兵団の総主長「フルグリム」がドルンに投げかけた質問であった。
フルグリムはドルンに帝殿(インペリアルパレス)はアイアンウォリアー兵団からの攻撃に耐えられるか」と質問したところ、「耐えられる」と回答し、要塞攻略戦が得意なパーチュラーボを激怒させたという。
ドルンとパーチュラーボの溝はもはや埋めることが不可能なほどに深いものになってしまった。
【ホルスの大逆】
ドルンは100万の惑星を治める帝国の心臓部に相応しき物を作ろうと意気揚々と地球へと帰還するさなか、あの忌まわしき「ホルスの大逆」が起こったのだ。
ドルンを乗せたインペリアルフィスト兵団の艦隊は長い時間〈歪みの嵐〉(ワープストーム)に巻き込まれ、その後にデスガード兵団巡洋艦「アイゼンシュタイン」を発見する。そこでドルンはデスガードの兵団員からホルスの裏切りを知り、驚愕した。
早速ドルンは兵団の大半を大逆が勃発した「イシュトヴァーンIII」へと派遣し、残ったベテラン中隊はドルンと共に地球へと戻ってホルスの裏切りについて皇帝へと報告した。
ドルンはその後、急ピッチで帝殿の建設と太陽系周辺の防衛網強化を監督し、大逆者に対しての防衛準備を進めていった。ドルンは太陽系をいくつかの防衛領域に分割して大逆者の進軍を防ごうと考えていた。
そんなさなか、大逆兵団の一つである「アルファ・レギオン」兵団の潜入工作員が帝殿にテロを起こす。
帝殿の中にある〈栄誉の殿堂〉(インベスティアリ)内に飾られた「総主長の彫像」のうち、ドルンと「アルファリウス」(アルファ・レギオン総主長)を除いたすべての彫像が破壊されたのだ。
反逆者を何人たりとも帝殿に入れないように尽力してきたドルンは、易々と侵入して破壊工作を行ったアルファ・レギオン兵団の挑発に激しく激怒した。
それと同時に、アルファレギオンの本隊は冥王星の早期警戒基地を奇襲し、そこを防衛するインペリアルフィスト兵団と激しい戦闘が繰り広げられた。
激戦を耐え忍ぶ中、ドルンは援軍を引き連れてアルファレギオン兵団との戦闘に参加した。ドルンは親衛隊と主に敵将「アルファリウス」の部屋へとテレポートし、壮絶な死闘が開始された。
アルファリウスは隙をついてドルンを槍で貫こうとしたが、それを察知したドルンはわざと槍を肩で受けて、敵の動きを止めたあと、両手に持っていたチェーンソード「嵐の牙」(ストームズ・ティース)でアルファリウスの両手首と首を切り裂いた。
総主長を失った「アルファレギオン」兵団は冥王星から撤退し、インペリアルフィスト兵団は防衛戦に勝利する。
冥王星での戦いの後、ドルンは地球へと戻り、ロイヤリスト側の総主長達による会議が開かれた。そのの中でドルンは「レマン=ラス」と「ジャガタイ・ハーン」の反対を押し切り、太陽系にとどまって防衛を行うことを強行する。
【地球の戦い】
遂に大逆兵団を統べしホルスが率いる「サンオヴホルス」兵団が太陽系へと進軍してきた。サンオヴホルス兵団は破竹の勢いで地球へと進軍し、もはや地球が陥落するのも時間の問題と思われたが、ドルン率インペリアルフィスト兵団はひるまずに戦い続けた。
ここで、皇帝側は大きな賭けに出る。皇帝はドルンとサングィヌスと近衛部隊を率いてホルスの旗艦に直接乗り込んで叩くためにテレポートで移動した。
不幸ななことに、ドルンは皇帝から離れた部屋に飛ばされてしまう。ドルンは皇帝と合流するために敵を蹴散らしながら艦内を進んでいった。
しかし、彼の懸命な努力にもかかわらず、皇帝を発見した時にはすでに倒れていた。ドルンは倒れた皇帝を抱えながら地球へと帰還した。
【大逆後】
大逆兵団に勝利し、皇帝が黄金の玉座に接続された後、ドルンは深い悲しみに包まれた。自らの不甲斐なさによって皇帝は植物人間になって倒れてしまったのだと。
そんな中、グィリマンが〈戦いの聖典〉(コデックス)の制度の採用を発表したとき、ドルンは制度に対して猛反対をした。
皇帝を失い、ゆくべき進路を見失ったドルンは、ある行動に出ることとなる。
それはこれから先どのように行動すべきか見出すために、「ペイングローブ」と呼ばれる自らの体に痛みを与える装置を装着してひたすら瞑想に明け暮れた。
そして、彼は幻視によってこれから先の行動を見出し、救済の道を歩むには痛みと自己犠牲が必要なことを悟ったのだ。自らが歩むべき道を見つけ出したドルンはすぐに〈戦いの聖典〉をインペリアルフィスト兵団に採用し、兵団は戦団へと分割された。
【ドルンの最期】
ドルンは781.M31に起こった「第一次黒き征戦」(ブラッククルセイド)にてケイオス艦隊との戦いにて戦死したといわれており、現在行方不明である。
彼は圧倒的な数のケイオス艦隊に対し、増援が到着するまで戦い抜いた。そして、彼は総大将である「アバドン」が乗艦している戦艦に直接乗り込んで戦ったと伝えられている。



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第IX(9)兵団ブラッドエンジェル総主長「サングィヌス」


【概要】
ブラッドエンジェル兵団を率いて戦った忠誠派の総主長。近接戦闘の名手でもあり、予知能力を持っているサイカーでもある。
幼い時に〈歪み〉の影響によって背中に天使のような羽が生えており、自由に空を飛行することが可能。
彼は気高き理想を追い求め、仲間内では天使のような純潔さで優しく接してくれる良識派。他の総主長からは「皇帝の魂が血に流れる」と称されるぐらいのぐう聖キャラである。
サン様マジ天使。
また、サングィヌスは「何事もより善き方向へと変わり得るのだ」という信条を持ち、どんな無様で、未洗練な者からでも、勇気や、気高さや、高貴さは作られ得ると信じている。


普段は天使のような美丈夫のイケメンキャラだが、キレると悪魔の如く激怒し手が付けられなくなる。
キレさすなよ!?絶対にキレさすなよ!?


皇帝陛下の「オナーガード」(名誉の守り手)として戦い、助言役としても活躍したが、ホルスの大逆における最終決戦にて死亡してしまう。
【装備品】
ウォーギアには、パワーソード「ブレードエンカルミン」と「テレストの槍」を装備している。パワーアーマーには「リスプレンドの聖歌」と呼ばれる黄金の鎧を着装している。このパワーアーマーは高い防護をもたらすと同時に、サングィヌスが空中で自由に飛行できるよう作られている。


画像出典:小説「The Horus Heresy: The Lost and the Damned」表紙イラストより

【サングィヌスの出自】
渾沌の〈禍つ神々〉に銀河の果てに飛ばされたサングィヌスは渾沌の〈禍つ神々〉の歪みの力によって”背中に羽が生える”変異を受けてしまう。
そして、幼きサングィヌスが入った保育カプセルは、〈死の惑星〉(デスワールド)に分類される砂漠の惑星「バール・セカンダス」に落着した。
幼き総主長を発見し、保護したのは、〈純血の民〉または〈血族〉(ブラッド)と呼ばれる人間の部族であった。
最初部族の多くの者が、翼が生えたサングィヌスを見て「異形」(ミュータント)であると考え、直ちに抹殺すべきと主張した。
しかし、翼の部分を除けば、これまでに見たどんな幼子よりも美しく均整のとれた姿をしていたため、この幼子を受け入れてやるべきだと主張する者もいた。
そして最終的には、部族の者たちに残った”人間的な憐みの心”が天から降臨した幼子の命を救ったのである。
サングィヌスはまさに神童だった。親たちが教えたことは何でもすぐに覚えてしまうのだ。
三週間後には、ほぼ三歳児並みに成長したサングィヌスは、惑星に生息する巨大な「ファイアスコーピオン」を武器を持たずして退治したという。
また、どれほど巨大な猛獣が襲ってきても、サングィヌスが恐れをなすことは決してなかったという。
サングィヌスが成長するにつれ、背中の翼も大きく力強く育ち、彼は砂漠の大空へと舞い上がれるようになった。
このとき若干一歳であったサングィヌスは、活力あふれる姿を持ち、その行動もまた姿に見合うほど成熟したものであったという。
彼は放射能防護服無しで最も汚染の酷い「バール・セカンダス」の砂漠を渡ることができ、素手の一撃で巨岩を粉砕することもできた。様々な武器の扱い方についても、教えたものを凌ぐほどの技術をたちまち身につけたという。
【サングィヌスの覚醒】
砂漠を徘徊する「異形」(ミュータント)の一団が〈血族〉(ブラッド)を襲った時、サングィヌスは本気で怒った姿を現す。
血を煮え立たせんばかりの激しい怒りにとらわれたサングィヌスは、遂に総主長としての力に目覚めたのだ。彼は頭上に光輪(ヘイロー)を輝かせながら、百を超える敵を屠った。
その姿は、見る者を畏怖させずにはおかなかったという・・。
この運命の日以来、サングィヌスは数年間かけて、自分が他の人間たちとは決定的に違うことを認識していった。やがて彼は〈血族〉(ブラッド)のリーダーとして戦いを指揮し、「異形」(ミュータント)の進行を退けた。
その後、彼の活躍によって現地の部族たちは、惑星「バール・セカンダス」の一時的開放を実現する。人々は「サングィヌスならば、恐怖に満ちたこの世界を再び楽園に作り替えることができよう」と信じ、彼を神として崇めた。
【皇帝との再開】
間もなくして、再び運命的な出来事が起きる。失われし幼子らを探し求め、人類の皇帝が銀河を横断してきたのだ。皇帝の持つ比類なきサイキックパワーは、彼自身を惑星「バール」へと導いたのである。
皇帝の乗った宇宙船が〈血族〉(ブラッド)の集会場付近に着陸すると、皇帝は自らサングィヌスの住居に向かって真っすぐに歩を進めた。
初めて皇帝と向かい合った時、総主長の中には皇帝に対して戦いを挑む者もいたと伝えられているが、少なくともサングィヌスの場合はこの限りではなかった。サングィヌスは、一目見るなり、皇帝が何者かであるか直ちに理解したのだ。
サングィヌスは、偉大なる人類の支配者の前に深々と膝を折った。皇帝はサングィヌスを立たせ、その顔を見た。
皇帝は〈血族〉(ブラッド)の仲間たちを見渡し、一人ひとりその端正でかつ高貴な面持ちを見てすべてを理解した。そしてサングィヌスは、第九兵団である「ブラッドエンジェル」兵団の指揮を任され、〈血族〉(ブラッド)の中で最も優秀な戦士たちは、スペースマリーンへと選抜されたのだ。
残された者たちも、バール・セカンダスにおける人類の守護者としての名誉ある勤めを与えられた。
【大征戦での活躍】
ブラッドエンジェル兵団は、サングィヌスが見つかるまで飢餓に狂い血と殺戮を巻き散らす恐ろしく厄介な兵団として嫌われていた。しかし、サングィヌスが兵団のトップに立つや否や、戦役ごとに兄弟愛、美徳、無血で得る平和や慈悲を兵団に教え込み、兵団に染み付いた汚名を払っていった。
彼は総主長としての伝説的活躍をおさめ始めてから間もなく、皇帝の名誉の護り手(オナーガード)として任命されるようになる。
全総主長の中で最も気高きものにして、また最も有能な皇帝の助言者と呼ばれるようになった。
大征戦で栄えある大元帥(ウォーマスター)に任命された親友の「ホルス」でさえも、魂の純潔さではサングィヌスには及ばず、皇帝とサングィヌスの一体感についても他の総主長からも「とうてい近づけぬほど」だったという。
銀河の全域で〈大征戦〉が続き、兄弟の多くが戦闘の喜びに浸りゆく中でも、サングィヌスは固い決意を崩さなかった。
彼は必ずや人類に黄金期が訪れると信じており、その平和と繁栄を護るのだという崇高なる決意のもとに、粛々と戦い続けたのだ。
だが、悲運なことに、皇帝もといサングィヌスの理想は遂に実現しなかったのである・・。
【〈紅き飢え〉】
〈ホルスの大逆〉が起こる数十年前、サングィヌスは大元帥ホルスと共に多くの戦役を共に戦ってきた。ホルスとサングィヌスの関係は良好であり、兄弟間で嫉妬が起こることもあった。
しかしホルスは、野蛮惑星「ダヴィン」で「ワードベアラー」兵団による妖計によって渾沌へと堕ちてしまい、皇帝に反旗を翻すための準備を秘密裏で進めていた。
その際ホルスは、サングィヌスは簡単に皇帝を裏切ることはなく、彼が自分の軍門へと下ることは難しいであろうと見ていた。そこでホルスは"ブラッドエンジェル兵団の兵団員の大義を自分たちの大義に置き換えるよう洗脳する"か、"完全に抹殺を行うか"の二通りの計略を仕掛けようとしていた。
計画は惑星「メルキオール」で行われた「ゼノシダル」戦役時に実行されようとしたが、その時ホルスはサングィヌスの暗き秘密を知ることとなる。
ホルスは破壊された異種族の礼拝堂でサングィヌスと再開したが、なんと彼は目の前で仲間である自らの兵団員をその手で殺害したのだ。ホルスは目の前で起こったことに困惑し、サングィヌスは何故この様なことが起こったかを説明した。
サングィヌスは自らに遺伝子欠陥があり、その影響によって他人の血を求める残忍な流血衝動が起きてしまうという。この遺伝子欠陥による流血衝動が抑えきれずに、仲間を殺害するに至ったのだ。
後にこの遺伝子欠陥は〈紅き飢え〉と名付けられることとなる。この遺伝子欠陥はサングィヌスのみならず、ブラッドエンジェルの兵団員にも見られ、彼は今までこの事を皇帝や他の総主長には明かさずに治療法を探していたのだ。
もしこの事がバレてしまえば、処刑されてしまう可能性があるからだ。ホルスはこの事について、皇帝や他人には開かさないことを約束し、サングィヌスは深く感謝した。
しかしホルスは、サングィヌスの最大の弱点を握ることに成功し、それを存分に利用するように罠を仕掛けていようとしていたのだ。
【ホルスの裏切り】
渾沌へと堕ちたホルスは、全総主長の中でもサングニウスを最も嫉妬によって憎んでおり、かつ恐れていた。ホルスはサングィヌスを抹殺、または捕縛するために数々の計略を仕掛けたが、それはことごとく失敗してしまった。
そんな中、サングィヌスの暗き秘密である遺伝子欠陥を知ったホルスは、その弱点を利用して彼を抹殺するための策略を実行する。何も知らないサングィヌスは、ホルスからシグナス星系に蔓延る異種族を滅ぼすよう指示が下された。
更にホルスはサングィヌスを誘惑するために、ブラッドエンジェル兵団が遺伝子欠陥を治療することが出来る手段をシグナス星系から見つかるかもしれないと彼に知らせた。サングィヌスは親友の言葉を信じ、喜んで支持を承諾した。
だが、シグナス星系には、渾沌の領域から物質宇宙へと実体化した〈上級悪魔〉(グレーターディーモン)が待ち構えていた。〈血に飢えし者〉(ブラッドサースター)の「カ=バンダ」と〈秘密の番人〉(キーパー・オヴ・シークレット)の「カイリス・ザ・パーバース」といった〈上級悪魔〉だけではなく、多くの〈下級悪魔〉(レッサーディーモン)も息をひそめていたのだ。
シグナス星系へと向かったブラッドエンジェル兵団とサングィヌスは、異種族の殲滅を開始した。だが、星系に艦隊が到着するが否や、そこには異種族を始めとした生命反応が存在せず、各惑星はもぬけの殻だった。
しかし、突如としてブラッドエンジェルとサングィヌスに危機が訪れる。〈歪み〉の力がブラッドエンジェル艦隊を包み込むと、突然多くの乗組員が発狂してしまった。発狂した乗組員を拘束しようとしたが、なんとお互いに殺し合いを始めたのだ。更に奇妙なことに、船内のクロノメーターが「666666.M31」というあり得ない数値が表記されていた。
そのような状況の中、旗艦〈紅き涙〉船内にあるサングィヌス私室のモニターに、カイリス・ザ・パーバースの姿が映しだされると、サングィヌスに攻撃を仕掛けてきた。
ブラッドエンジェル艦隊は困惑している中で、突如として現れた敵艦隊からの激しい襲撃を受けて壊滅してしまった。何とか生き残ったサングィヌスは旗艦〈紅き涙〉を操縦して、惑星「シグナスプライム」へと艦を荒々しく緊急着陸させる。
サングィヌスは残った部隊を率いて、カイリス・ザ・パーバースの宮殿である「マルク大聖堂」へと攻撃を仕掛けた。そこには、ケイオスカルティストと〈下級悪魔〉の大群、更には〈上級悪魔〉である「カ=バンダ」が待ち構えており、兵団とサングィヌスは臆せずに渾沌の軍勢とへ立ち向かった。
サングィヌスは兵団の精鋭部隊にマルク大聖堂を包囲させるよう指示を出し、何千にもおよぶ渾沌の軍勢らを切り倒していった。そしてサングィヌスは血に飢えし上級悪魔「カ=バンダ」と対峙する。次の瞬間、ガ=バンダはサングィヌスを嘲り、ホルスが実行しようとしている叛逆計画について暴露をしたのだ。
ディーモンから暴露されし真実を聞いたサングィヌスは激怒し、猛烈な勢いでカ=バンダに襲い掛かった。激情に身を任せ、戦闘の主導権を握ったサングィヌスはパワーソード手にし、ガ=バンダの胸へと飛び込んでソードを突き刺して大きく切り裂いた。
ディーモンの巨体は怒りと痛みに吠え、カ=バンダは手に持っている鞭でサングィヌスの足を打ちつけた。飛行していたサングィヌスはバランスを失うと、カ=バンダが持つ手持ちの斧で地面に叩けつけられてしまってそのまま気絶してしまう。
サングィヌスが気絶から目を覚ますと、カ=バンダはその巨体で上空を飛んでいた。ディーモンはサングィヌスを罵倒し、大きな唸りをあげて戦場を飛翔すると、〈激怒の焔〉(レイジファイア)と呼ばれる渾沌のデバイスを使用して500人ほどのブラッドエンジェル兵団のスペースマリーンを虐殺した。
無惨にも目の前で自らの部下が殺される姿を目の当たりにしてしまったサングィヌスに衝撃が走り、ショックで気を失ってしまう。
その一方でブラッドエンジェル兵団に更なる不幸が襲う。カ=バンダの殺戮によって流された血を目にした他のブラッドエンジェル兵団のスペースマリーンたちは、〈紅き飢え〉は発症してしまい、敵に対して血に飢えし殺戮を始めてしまった。
ブラッドエンジェルの艦隊に参加していた少数の「スペースウルフ」の部隊は、いきなり発狂した同胞に襲われてしまって不幸にも同士討ちによって殺害されてしまった。もはや〈紅き飢え〉に憑りつかれたブラッドエンジェル兵団員たちをだれも止める者はおらず、敵の軍勢はズタズタに引き裂かれて虐殺された。
この〈紅き飢え〉の誘惑に対して、ごく少数が誘惑に抗うものがいた。「ムカニ・カノ」を始めとした元司書官(ライブラリアン)達は〈紅き飢え〉の誘惑に抵抗し、彼らは「ニカエア公会議」で禁止されていたサイキック能力を使って気絶していたサングィヌスを目覚めさせることができた。
気絶から回復したサングィヌスはマルク大聖堂へと向かい、負傷しているのにもかかわらず再びカ=バンダに戦いを挑んだ。激しい戦いの末、ついにサングィヌスはカ=バンダを倒してその魂を〈歪み〉(ワープ)へ戻すことに成功する。
一方、ブラッドエンジェル兵団は〈紅き飢え〉から回復して正気を取り戻したのは、すべてのディーモンや渾沌の軍勢は全滅した後だった。
しかし、まだ〈上級悪魔〉であるカイリス・ザ・パーバースが生き残っていた。カイリスは戦闘態勢に移ることなく、いきなりサングィヌスに対して取引を行った。その取引内容とは、サングィヌスが自分の身を犠牲にして〈激怒の焔〉(レイジファイア)を使用すれば、ブラッドエンジェル兵団が持つ〈紅き飢え〉を治療できるというものであった。
サングィヌスは自らの部下であるブラッドエンジェル兵団員を救うため、取引に応じて〈激怒の焔〉に踏み込もうとした。しかしその時、兵団のアポシカリー(医療官)である「メロス」が代わりに〈激怒の焔〉に踏み込んで犠牲となり、彼はケイオスディーモンの「レッドエンジェル」に体を乗っ取られてしまった。
サングィヌスは身体を乗っ取ったレッドエンジェルに対して身体を返せと要求したが拒否され、彼は〈歪み〉の中へと消えていった。
メロスの尊き犠牲のおかげでカイリスの策略はくじかれたが、レッドエンジェルにメロスの身体を奪われてしまったことに激怒し、サングィヌスはパワーソードでカイリスの頭を切り落とした。断頭されたカイリスは倒され、その魂は〈歪み〉へと戻っていった。
渾沌の軍勢による狡猾な罠を乗り越えたサングィヌスは、いつかメロスの身体を取り戻すと誓うと同時に、親友であるホルスと戦う意思を固めたのであった。
【第二帝国】
被害を出しつつもシグナス星系の戦いに勝利したサングィヌスとブラッドエンジェル兵団は、地球(テラ)へと向かおうとしていた。
しかし、帝国を裏切ったワードベアラー兵団が引き起こした巨大な〈歪みの嵐〉である〈破滅の嵐〉(ルインストーム)を召喚し、その影響で〈星辰波〉(アストロノミカン)を追って地球へ航行することが出来なくなってしまった。
〈破滅の嵐〉は地球から発せられる波動である〈星辰波〉(アストロノミカン)を完全に遮断する恐ろしき現象である。〈星辰波〉(アストロノミカン)の波動が無ければ、ワープ航行時にその方向を完全に見失ってしまい、ワープ航行が不可能となってしまうのだ。
更に、地球とも通信や連絡もできなくなり、ブラッドエンジェル兵団は帝国の本拠地と完全に分断されてしまったのである。
しかし、ブラッドエンジェル兵団は謎の波動をキャッチしていた。それは、異種族のデバイスである「ファロス」の波動であった。
ファロスは〈歪みの嵐〉の中でも灯台のような役割を持っており、〈破滅の嵐〉の中でもファロスの波動を追えば安全に航行することが出来るのである。
ファロスの波動を手掛かりにブラッドエンジェル兵団は、ウルトラマリーンの本拠地である「ウルトラマール」宙域に辿り着き、総主長「ロブート・グィリマン」と「ウルトラマリーン」兵団に加え、総主長「ライオン・エル=ジョンソン」と「ダークエンジェル」兵団に合流することが出来た。
マクラーグへと戻ったグィリマンとサングィヌスは、〈破滅の嵐〉の影響で本拠地の地球が陥落して持たない可能性が高いと考え、マクラーグに〈第二帝国〉の創設を行うことを決意する。
帝国の領土が〈破滅の嵐〉によって分断されている中、忠誠派スペースマリーンの部隊は「ファロス」の導きによってウルトラマールへと集まることができた。
そんな中、「ダークエンジェル」兵団と総主長「ライオン・エル=ジョンソン」が〈破滅の嵐〉を抜けてマクラーグへと到着する。
グィリマンは最初〈第二帝国〉の皇帝へと着任しようと考えていたが、ホルスと同じような権力に固執する為政者とみられることを嫌い、不信感を抱いていたジョンソンにその座に就いてもらうよう説得を行った。
なかなか皇帝が決定しない中で〈第二帝国〉の構築が進んでいたその時、ウルトラマリーンに変装していた「アルファレギオン」兵団がグィリマンを暗殺しようと襲撃する。
グィリマンは襲撃をはねのけて生き残ったが、今度はマクラーグへと忍び込んでいた総主長「コンラッド・カーズ」が出遇う者を片っ端から殺害し、聖堂の中でウルトラマリーンの司令官「フラトゥス・アウスグトン」までもが殺害されてしまう。
グィリマンとジョンソンはカーズのいる聖堂へと向かったが、カーズは聖堂にしかけた爆弾を起動した。爆発に巻き込まれそうになった二人は、「ファロス」の持つテレポートの機能によって聖堂を脱出して一命を取り留めた。
両者を殺したと思ったカーズはそのまま、グィリマンの育ての母をも手に掛けようとしたが、マクラーグで療養していた総主長「ヴァルカン」の復讐に燃えた反撃を受けた。
ヴァルカンとカーズは激しき決闘を繰り広げたが、謎の暗殺者によってヴァルカンが殺害されてしまう。その後、ヴァルカンの告別式が執り行われた後、グィリマンとジョンソンはサングィヌスが居るマクラーグへと戻った。
そこでグィリマンはサングィヌスへ〈第二帝国〉の皇帝になって欲しいと依頼をする。本人は乗り気ではないが、サングィヌスは〈第二帝国〉の皇帝としての座を引き受けることとなった。
しかし、サングィヌス不吉な幻視(ビジョン)が見え、悩まされることとなる。その内容は、サングィヌスがホルスに殺されてしまうという恐るべきものであった。
【カーズの幻視】
サングィヌスが皇帝に着任してしばらく経ったある日、玉座の間で席に着いていたら突如〈歪み〉の中から「コンラッド・カーズ」が姿を現した。カーズはサングィヌスに対してこれから起こるサングィヌスとカーズの最期がどのような結末になるかについての予知を伝えた。
その内容は、"サングィヌスは最終的にホルス旗艦〈ヴェンジフル・スピリット〉上で殺されてしまう"ということと、カーズがどのように最期を遂げるかという衝撃的なものであった。
カーズは、総主長が銀河に散在したことや、自分がノストラーモで生きたこと、ホルスの大逆についても全ては皇帝によって仕組まれた計画であると信じていたのだ。カーズはサングィヌスに訪ねた。何故、皇帝の奴隷であることを受け入れ、渾沌の誘惑に屈しなかったのかと。
サングィヌスは答えた。皇帝への信頼は変わらないと。カーズは悲壮の中、サングィヌスへ"自らを殺してくれ"と頼んだ。
しかし、まだ帝国に戻って贖罪するチャンスはあるとサングィヌスは彼に説いたが、"銀河は永遠の戦争に呪われており、最後に残るのは渾沌のみである"と答え、そして玉座の間から姿を消した。
逃亡後もカーズは、マクラーグでゲリラ活動を続けていた。この時ジョンソンとグィリマン、そしてサングィヌスはカーズを捕らえるための方針を話し合っていた。
しかし、いざ議論を進めるとジョンソンとグィリマンは、方法の是非をめぐってたびたび意見が衝突した。そんな中でもサングィヌスは二人の議論を仲裁しようと努力を続けていたが、会議の進展はなかなか進まなかった。
特にジョンソンはカーズを捕まえることに無我夢中になっており、彼はマクラーグに戒厳令を敷くことを要求してダークエンジェル兵団を率いてカーズを捕らえようとして出撃した。
カーズは戒厳令が敷かれたマクラーグ内を逃亡するも、遂に山岳地帯でジョンソンに追い詰められて捕らえられた。
〈第二帝国〉皇帝、サングィヌスの裁きを受けることとなったカーズは、自らの犯行をグィリマン、ジョンソンの面前で認めたが、罪を認めようとはしなかった。自らの行いはこう行動するよう定められたものであり、それ故に犯罪ではないというのだ。
カーズに死刑判決を下したサングィヌスは、自らのサイキックパワーで処刑を行った。傷ついたカーズは「これは自分の死に方ではない」と叫んだ。それを聞いたジョンソンは処刑を中止するように要請した。
ジョンソン曰く、カーズには"未来を見る予知能力"があり、自らの未来では”皇帝が送った暗殺者によって最期を迎える”ものだと定められているという。すなわち、カーズを生かせば”皇帝はまだ生存している”未来が確定するのだと。
予言によって皇帝が生存しているのであれば代わりとなる〈第二帝国〉の意味は成さないことが明らかになり、サングィヌスは〈第二帝国〉の皇帝の任を降りた。
サングィヌスは彼の予言が正しければ、自分も予言通りの未来になるだろうとカーズの予言を認めた。
忠誠派の総主長たちは皇帝を救助すべく、地球に向かうことを決断する。カーズはジョンソンによって無制限に拘束され、共に地球へと向かうこととなった。
【ダウィンの戦い】
グィリマン、ジョンソン、サングィヌスの三人は、自兵団と艦隊を率いて地球へと救援に向かった。その途中でサングィヌスはカーズを連れて、惑星「ダウィン」へと立ち寄った。
サングィヌスはこの旅を通して運命を変えられることを兄弟に示すために行ったものであり、ダウィンへ立ち寄る展開はカーズが予測したものとは異なるものであった。
カーズはこの予知にない展開に混乱してしまう。その時、突如として渾沌のポータルが開き、サングィヌスはポータルの中へと飲み込まれてしまう。
そこには信じられない光景が広がっていた。サングィヌスはなんと、地球にある帝殿(インペリアルパレス)の庭園に立っていたのだ。それは、彼が死にゆく未来とは異なる幻視(ビジョン)であった。
大逆の総主長「ローガー」はサングィヌスの手によって倒され、残りの大逆派の総主長が鎖で繋がれてサングィヌスの前に連れてこられた。そこに皇帝が現れ、彼はサングィヌスの勝利を祝福し帝国の摂政としてほめたたえたのだ。サングィヌスは皇帝の摂政として、共に銀河の腐敗や反逆者を一掃したという。
そして、今では銀河系は皇帝の支配下に置かれたのだ。しかし、常に皇帝の側で共に過ごしたサングィヌスは彼の態度に対して違和感を感じていた。皇帝の様子を観察し、いつもの皇帝とは違う事に気づく。
サングィヌスは皇帝の正体を見破り、渾沌の悪魔である「マディル」が皇帝に変装していた事を暴いたのだ。そして、サングィヌスが今いる場所は渾沌のポータル内に作られた偽りの空間であったことが判明したのた。
ポータルは元アイアンハンド兵団の艦であり、マディルの旗艦である「ベリタスフェラム」と惑星ダウィンに繋がっており、サングィヌスは艦と惑星の間にある空間へと移動していたのであった。
正体が明らかになったマディルは、惑星ダウィン上にゲートを介してケイオスディーモンの軍勢を解き放つ。惑星ダウィンでは混沌の軍勢と忠誠派スペースマリーンたちとの戦いが繰り広げられ、ポータル内部では、マディルとサングィヌスとの決闘が開始された。
マディルは大量の混沌のディーモン達を呼び寄せると、サングィヌスの周りを包囲されてしまう。サングィヌスはディーモン達に捕らえられてしまうと、マディルは彼に渾沌の神々に忠誠を誓うよう脅しをかけた。
ホルスの代役として大元帥となって渾沌の神々に仕えるか。さもなくばサングィヌスは死に絶え、〈黒き怒り〉の呪いがお前の息子たちであるブラッドエンジェルたちを永遠に苦しませるか。
サングィヌスはこの究極の選択の決断を迫られた。しかし、サングィヌスは渾沌の誘惑をはねのけ、神々に仕えることを拒否した。
サングィヌスは捕縛から逃れるとディーモン達と再び戦い、マディルを追い詰めていく。そして、両手に持っている「ブレードエンカルミン」と「テレストの槍」でマディルを突き刺した。マディルは苦悶の叫び声を上げてその場で倒れ込んだ。
そこにグィリマンとジョンソン、そしてサングィヌスの近衛部隊である「サングィナリーガード」がポータルの近くまで救援へと駆けつけ、戦いはサングィヌス側が優勢となった。
しかし、ポータルの近くにはディーモンが立ちふさがってポータルに侵入が出来なくなった。更にポータルの出入り口が塞がろうとしており、このままではサングィヌスはポータル内に閉じ込められてしまう。
負傷したマディルとサングィヌスは互いに戦い続けるが、その時、思いもよらない救援が駆けつけてきた。それはサングィヌスの影武者である「サングィノール」であった。
彼は元サングィナリーガードの1人である「アルタロン」であり、サングィヌスが〈第二帝国〉の皇帝に着いた時に彼の影武者として仕えていたのだ。
サングィノールは剣を突き立ててマディルに突撃すると、マディルはもがき苦しんだ。サングィヌスは時間がないから早く共に脱出するのだとサングィノールに命じた。
しかし彼は拒否し、仲間たちの犠牲を無駄にしてはいけないとサングィヌスに告げた。次の瞬間、サングィノールは〈歪み〉のエネルギーによって黄金の天使のような姿へと変身した。サングィヌスは彼が犠牲となって救おうとした姿に涙し、叫んだ。
「我が血の息子!我が希望の息子!」
悲しみを振り切りつつ、サングィヌスはポータルの外へと脱出し、その出入り口は堅く閉ざされた。サングィヌスはグィリマンたちと合流し、急いで崩れゆく宮殿を後にした。


その後、彼らは〈破滅の嵐〉の亀裂を発見し、遂に地球へと進める航路を発見する。しかし、そこはホルスの艦隊によって封鎖されていた。
そこでグィリマンとジョンソンは陽動作戦を行い、その隙をついてサングィヌスとブラッドエンジェル兵団、そしてカーズを地球へと送り出すことにした。陽動作戦が開始されると、ブラッドエンジェル艦隊は、隙をついて地球へと向かった。
しかし、突如サングィヌスはカーズを冷凍ポッドに封入してしまう。当惑するカーズにサングィヌスはこう答えた。
「自分は地球へ最期の運命へと会いに行く。カーズもまた、暗殺者による死の運命に会いに行くがよい。」
そして、カーズが入った冷凍ポッドが射出された。後にこの冷凍ポッドはナイトロード兵団によって回収されることとなる。
陽動作戦は成功したサングィヌスとブラッドエンジェル兵団は、後に最終決戦の〈地球の戦い〉へと参戦する。
【ベータガーモン星系の戦い】
遂にブラッドエンジェル兵団とサングィヌスは、大逆兵団に包囲された帝国本拠地である地球(テラ)へとたどり着いた。
そこには「ホワイトスカー」兵団の「ジャガタイ・ハーン」、「スペースウルフ」兵団の「レマン=ラス」、「インペリアルフィスト」兵団の「ローガル・ドルン」ら忠誠派総主長が集まっていた。
サングィヌスも含めた4人の総主長と皇帝の側近である帝国摂政「マルカドール」公は、今後の戦略についての会議を行った。その中で、ラスは自らの手でホルスを倒す為に自分の兵団のみで「サン・オヴ・ホルス」兵団を倒すと宣言する。これは、ラスが「プロスペロ事件」の責任を負うためであった。
サングィヌスはラスへ本拠地防衛のためホルスと直接対面するために離れるのではなく、地球に留まってほしいと促した。しかし、ラスの意志は固く、彼はスペースウルフ兵団の中から選抜した討伐隊を率いてホルスの艦隊へと向かった。
地球に残った忠誠派のスペースマリーン兵団は「ホワイトスカー」、「インペリアルフィスト」、「ブラッドエンジェル」の3兵団のみで、一般人の〈帝国軍〉(インペリアルアーミー)、近衛兵団を合わせた少数勢力でホルス側の〈大逆兵団〉と戦わざるを得なかった。
しかし現状とは逆に、サンギニウスの到着は帝国に忠実なメディアによって大々的に報道され、後退を繰り返している帝国の士気を高めるためのプロパガンダとして利用された。
早速サングィヌスはジャガタイと共に大逆軍の進行を食い止めるため、「ベータガーモン」星団へと軍を率いて出撃した。しかし、ワープ航法での移動が困難になったため、1ヶ月遅れてでの参戦となった。
サングィヌスはすぐに混乱した忠誠派の戦線を引き継いで、惑星「ベータガーモンII」に対する大攻勢を開始した。敵味方含んだ1000体以上の巨大ロボット兵器〈巨人機〉(タイタン)が戦場で戦っている中、サングィヌスとサングィナリーガードは、大逆者のインペレーター級タイタン〈アクシス・ムンディ〉へと乗り込み、内部から破壊することに成功する。
しかし、ベータガーモンIIをめぐる戦いはホルスの手にって仕組まれた”おとり”であり、真の標的は惑星「ベータガーモンIII」であった。すぐさま大逆軍はベータガーモンIIIに苛性の暴風雨を生み出す〈渦弾頭〉(ヴォルテックスボム)を爆発させると、都市を守っていたヴォイドシールドはすべて解除されて無防備になってしまった。
そこへ「サン・オヴ・ホルス」兵団と巨兵団「レギオ・モルディス」の巨神機100体を始めとした大逆軍の軍勢が姿を現し、帝国側の防衛軍は大逆軍に圧倒されてベータガーモンIIIは陥落してしまう。
ブラッドエンジェル兵団とホワイトスカー兵団はこの戦いによってほとんどの兵力を失ってしまい、忠誠派の総主長2人は残った軍を地球へと引き上げざるを得なかった。
【地球の戦い】
大逆軍の進行を食い止めることが出来なかった帝国は、遂に本拠地である地球での戦いを余儀なくされる。少ない軍勢での戦いを強いられる中、サングィヌスは包囲された忠誠派の軍勢にとっては正に希望の象徴であり、彼の存在によって軍の士気は保たれていた。
そのため、防衛軍を率いる「近衛官」(プラエトリアン)であったローガル・ドルンはサングィヌスに、野外での飛行及び帝殿の壁外へ出ることを固く禁止した。しかし、彼は仲間を救出するために命令を破ってしまう。
帝殿の包囲戦が始まると、ジャガタイ率いるホワイトスカー兵団は大逆兵団である「デスガード」兵団と交戦を開始する。しかし、対象であるジャガタイは敵の攻撃を受け、疫病にかかってしまった。デスガードの大群に囲まれ、追い詰められたジャガタイはサングィヌスによって空から救出されて一命をとりとめた。更にサングィヌスは敵に包囲された徴兵部隊を鼓舞し、占領された帝殿の周りにある外郭を奪還することに成功する。
その後、大逆軍のスペースマリーン兵団は帝殿の城壁に対する攻撃が本格化すると、帝殿の門の一つである「ヘリオス・ゲート」を中心に、ブラッドエンジェル兵団とインペリアルフィスト兵団、更に巨兵団「レギオ・ソラリア」は反撃を開始する。彼らは城壁の外にいた帝国軍をすぐさま退却をさせれる時間を稼いだ。
この戦いの間、サングィヌスは〈総魔長〉(ディーモンプライマーク)と化したアングロンと対峙した。アングロンはサングィヌスに挑戦状をたたきつけるが、彼はそれを拒否してしまう。
サングィヌスは兄弟たるアングロンに敬礼し、彼らと戦うのは今日ではないと宣言し、その場を去っていった。
城壁突破が芳しくないと判断したホルスは決戦兵器である巨大ロボット、「エンペラー級タイタン」を導入した。その兵器は巨城ほどの大きさを誇り、歩く要塞といっても過言ではなかった。
タイタンからの猛砲撃を受けた城壁は遂に破壊され、聖なる帝殿の中へ邪悪なる大逆者が次々となだれ込んできた。
皇帝の座する〈黄金の玉座〉に通じる巨大な門〈永遠の門〉での激戦が始まると、サングィヌスは上級悪魔であるブラッドサースターとの一騎打ちが繰り広げられた。
しかし、サングィヌスは上級悪魔を倒すことに成功し、大逆者が〈黄金の玉座〉への侵入することは遂にかなわなかった。
帝殿の防衛が成功し、徹底交戦を続けていた帝国軍に朗報が入ってきた。
大逆兵団の阻止を突破して、ダークエンジェル、スペースウルフ、ウルトラマリーンの忠誠派兵団が、地球を救援すべく駆けつけてくるという。
彼らが到着すれば、戦力差は逆転して優勢となる。
サングィヌスら帝国の勝利は確定したかと思われていた。
【サングィヌスの最期】
追い込まれたホルスはこの時なにを思ったのか定かではないが、突如、ホルスが乗船している旗艦「ヴェンジフル・スピリット」のシールド機能がダウンしたのだ。シールド機能が機能しなければ艦内へと侵入が可能となる。
皇帝はこのチャンスを見逃さず、自ら近衛兵とドルン、サングィヌス、忠誠派の精鋭部隊とともにヴェンジフル・スピリット艦内へとテレポートによる強制乗り込みを行ったのだ。
しかし不運なことに、渾沌の祝福を受けた艦内ではテレポートの位置が狂ってしまい、皇帝たちの部隊はばらばらの場所へ散って乗船してしまった。
サングィヌスは最初にホルスの座す艦橋へとたどり着いた。ホルスは親友への服従を求めたが、サングィヌスは拒否し、激しき一騎打ちが始まった。
だが、サングィヌスは〈永遠の門〉での戦闘で疲弊しており、暗黒の祝福を受けて強化されたホルスに太刀打ちが出来なかった。
自分を拒絶したサングィヌスは拷問にかけられて、悲惨な最期を遂げて惨殺されてしまう。
その時のショックによってブラッドエンジェルの全兵団員に〈傷〉(フロー)による精神疾患の呪いがかかってしまった。
だが、サングィヌスの犠牲は無駄では無く、ホルスのパワーアーマーにわずかな傷をつけていた。
彼の死後、すぐにホルスと皇帝による一騎打ちが開始され、皇帝はホルスの傷にサイキックパワーを放ってかろうじて勝利した。
総大将を失った大逆軍は総崩れとなり、帝国は内戦による壊滅を免れた。大逆の内戦後、サングィヌスの遺体は帝国軍によって無事に回収され、故郷バールの地へと埋葬された。
彼の活躍や生き様はその後、伝説として語り継がれ、サングィヌスは悲劇の英雄として祭られることとなる。


総主長の死後から1万年たった現在、ブラッドエンジェル戦団の〈傷〉による呪いは今でも彼らを苦しめている。
しかし、彼の遺したブラッドエンジェル戦団は今でもサングィヌスの気高き遺志を継ぎ、帝国にたゆまぬ奉仕を続けているのだ。


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第X(10)兵団アイアンハンド総主長「フェルス・マヌス」


「人類の運命は決まってなどいない。我らで作るのだ。」


【概要】
「アイアンハンド」兵団を率いて戦った忠誠派の総主長。名前と苗字をはラテン語で「鉄の手」という意味を持つ。
いつもは機械のごとく冷静沈着だが、感情に支配されやすい性質があり、自責の念とあらゆる脆弱さを赦さない性格を持っている。
マヌスの手は特殊な金属と融合しており、高い耐久力と柔軟さを持つ。
「エンペラーズチルドレン」兵団の「フルグリム」と交友関係を持っていたが、大逆後は渾沌に堕ちた「フルグリム」との決闘に臨むこととなる。
【装備品】
ウォーギアには複数のツールと武器をマウントできるバックパック「メドゥーサンバックパック」と、親友である総主長「フルグリム」によって作られたサンダーハンマー〈鍛冶場砕き〉(フォージブレーカー)を手にして戦う。



画像出典:小説「The Horus Heresy: Ferrus Manus The Gorgon of Medusa」表紙イラストより

【マヌスの出自】
渾沌の〈禍つ神々〉に銀河の果てに飛ばされたマヌスは、〈恐怖の目〉の近くにある〈後進惑星〉(フェラルワールド)に分類される山岳惑星「メデューサ」に飛ばされて落着してしまう。
惑星メデューサはかつて人類が入植しようとして失敗した〈後進惑星〉の一つであり、オービタルリングをはじめとした数多くの施設が建造されていた。
惑星にはかつての入植者たちの子孫が住んでおり、遊牧民の氏族を形成している。空は分厚い雲が常にかかっており、暗めの空が広がっている。
地質は非常に不安定で、地震や火山の噴火が山岳地帯や海を絶えず生み出し、破壊している。氏族は残された住居や地下資源をめぐって常に相争っていた。


常に砂塵が渦巻く過酷な環境下の中、彼は青年期まで独りで過ごすこととなる。
彼が青年になるまではどのように過ごしてきて成長していったのかは全く謎に包まれており、何故あの過酷な環境下で力強く育っていったのかは今でも明らかになっていない。
【鉄の手】
マヌスが青年へと成長した後、惑星に点在する様々な氏族に出会った。彼らから氏族の一員として入るよう誘われたが、マヌスはどこの氏族にも入ることはなかった。
ある日、自らを鍛えるべく遺跡の中にいる銀の竜を討伐するために火山へと向かう。
銀の竜との死闘を繰り広げたマヌスは、竜を首根っこから掴んで溶けた溶岩に突き落とした。
銀の竜をドロドロになってとどめを刺すまでその体を押さえつけていたマヌスは、遂に銀の竜をしとめることに成功する。
その際に、溶けた銀の竜の金属がマヌスの両手にまとわりついてしまったために、皮膚との融合を果たした。
こうしてマヌスは丈夫でかつ柔軟な金属の手を得て、後にアイアンハンド兵団を設立する際の名称の由来となった。
【氏族との関わり】
マヌスは惑星に残っていた遺跡を調べて続けており、失われし古代の機械工学に通じていた。
マヌスはどの氏族に着くことせず、様々な氏族に自らの持っている機械工学を授けていくと同時に、惑星に住む凶暴な現生物と戦える武器や機械を次々と作っていった。
更に彼は自らの脆弱さを何よりも憎んでおり、自らと部族の弱さを徹底的に排除するための努力を続けていった。
その結果、多くの氏族が機械技術を習得し、マヌスの教えは惑星内に広がっていった。
マヌスは惑星の住人たちである有力氏族たちから"半神"や"賢者"と呼ばれるぐらいまで崇められるようになった。
そんな中彼は自らを神のように崇めることに関してはよしとせず、代わりに自らの教えを守るようにした。
彼の技術が広がっていった頃には氏族は凍土の奥地に隠れていた暗黒時代の遺物である金属の巨獣とも戦えるだけの強さを手に入れており、惑星内の危険な遺物との戦いに明け暮れていく。
その後もマヌスは様々な氏族の繁栄に力を入れていたが、氏族相手に争ったり、友好な関係を築くことは一切なかった。理由としては、氏族間の戦いや競争は氏族を反映させる健全足る証拠として、あえて氏族同士の戦いを仲裁したり、他の氏族に肩入れする気はなかったのである。
【大征戦への参加】
息子である総主長たちを探して大征戦を進めていった皇帝は、惑星メデューサを再発見して息子であるマヌスを見つけ出す。
現地部族から賢者として迎えられていたマヌスは、すぐさま皇帝の仲間に加わることとなり大征戦への参加を決意する。
第10兵団である「アイアンハンド」兵団を任されたマヌスはすぐさま惑星「メデューサ」を自らの拠点惑星として施設を整えた。自ら得意とする機械工学を駆使して兵団には性能の高いウォーギアが供給された。
更に「アイアンハンド」兵団の部下たちには〈戦闘者〉(アスタルテス)として人生を全うする厳しさと、それに順応するための能力をもたらすことによって、心身ともに脆弱さを排除することに成功したのだ。
【親友との出会い】
地球(テラ)へとやって来たマヌスは鍛冶の腕を鍛えるために、ウラル山脈のふもとにあるナロードニヤ山にある、地球で最も大きな鍛冶場へと赴いた。
そこで、現地の鍛冶職人と日々腕を磨いていた中で、「エンペラーズチルドレン」兵団の総主長「フルグリム」と出会う。
彼は〈大征戦〉で振るうべく為のこの世で最も完璧な武器を作るためにやってきたのだ。
その言葉を見逃さなかったマヌスは大笑すると、「そんな華奢な腕では我が武具に匹敵するものなど作れるはずがない」と言い返し、どちらが優れた武器が作れるかフルグリムに挑戦状をたたきつけた。
何週間も休むことなく武器の作成に打ち込んだ二人は、互いに素晴らしき武器を作り上げた。
フルグリムは、一撃で山塊をも砕く美麗なハンマー〈鍛冶場砕き〉(フォージブレーカー)を、マヌスは永遠に燃えさかる黄金の剣〈焔の剣〉(ファイアブレード)を披露した。
どちらも優れた武器として両社とも互いの武器を誉めあい、マヌスとフルグリムの間に深い友情が結ばれたのだ。
【不吉な予言】
マヌスはアイアンハンド兵団を率いて数々の征戦を戦った。彼の手に落ちた惑星は多く、何千もの惑星が容赦なく帝国の名の下に再征服された。
彼は人類がより強くなるには"人間同士の弱い繋がりを排除するべきだ"と考えており、自他問わずに厳しき試練を課して戦い続けた。
そんな中でも唯一の親友であるフルグリムは心を許すことができる貴重な存在であった。彼は自らの相談によく乗ってくれると同時に、互いにニックネームを付けて呼び合う仲にまでなっていく。マヌスとアイアンハンド兵団はフルグリムが率いるエンペラーズチルドレン兵団と共に戦場を渡り、互いの友情はさらに深まるかと思われた。


ある日マヌスとアイアンハンド兵団は、惑星「1-5-46」(現在ではカラアタンとして知られる)での戦いに参加する。この戦いには総主長「ヴァルカン」と「サラマンダー」兵団、「デスガード」兵団たも参戦する事となっていた。
惑星「1-5-46」にはアエルダリ族の一派である〈還源〉(エクゾダイト)と人間が共存しており、惑星政府は帝国による支配を拒否する。この返答に対して帝国は、惑星への進軍を開始した。
アイアンハンド兵団は砂丘地帯へと進軍し、敵が隠れていると思われる渓谷へとたどり着いた。マヌスはこの渓谷は重要な場所じゃないかと感じていたが、斥候(スカウト)部隊を無しでクリアリングされていない地形を調査するのを嫌っていた。
マヌスは帝国からの支援を待たずに、アイアンハンドの部隊へ谷に降りるよう先遣隊に命令を出した。先遣隊の大部分が谷底へ到着すると、突然謎の暗闇が彼らを包み込み、空は厳しい悪天候へと変わった。
そこへ、アエルダリ族の待ち伏せいていた奇襲部隊が襲い掛かってくる。彼らは〈剣見司〉(ウォーロック)のサイキックパワーを使用して天候を操作していたのだ。
更に奇襲部隊はすぐに謎の装置を使い、アイアンハンド兵団のスペースマリーンに装備されているバイオニクス装備を使用できなくした。突然の奇襲に混乱するアイアンハンド部隊は手も足も出ないと思われたが、そこにアイアンハンドの「ビオン・ヘンリコス」率いる後衛部隊が到着し、アエルダリ族の奇襲部隊を撃退することに成功する。
しかし、一緒にいたはずのマヌスはどこかへと消えてしまった・・。


一方マヌスは気が付くと、洞窟の中を探索していた。彼は謎の精神世界からなる迷宮へと閉じこめられてしまい、そこで彼は不吉な未来の幻視(ヴィジョン)を観てしまう。それはアイアンハンド兵団が死に絶え、自らも戦死してしまうというものであった。
これらの出来事は”親友である総主長「フルグリム」の裏切り”によって起こされるというものであった。あまりにも受け入れがたい展開を目にしたマヌスは困惑してしまう。
そして、突如として彼の目の前に、”紫色に染まった巨大な蛇の怪物”が目の前に現れ、追われていた。マヌスは洞窟の奥に逃げた後、蛇の怪物に反撃を仕掛けて退却させる。マヌスは洞窟を出て、奇妙な精神世界を探索し続けた。
マヌスは探索を続けると、老朽化した玉座の間へとたどり着いた。そこには腐った死体が置かれ、 巨大なワーム(蠕虫)の怪物が巻き付いていた。そのワームはマヌスが惑星メデューサで殺した怪物の亡霊であり、突如としてそのワームが襲い掛かってきた。
マヌスと巨大なワームは格闘を続けていると、突然ワームはその姿を変え始めた。その姿は彼にとってなじみのある親友「フルグリム」であった。マヌスは激怒し、フルグリムに姿を変えた怪物の上半身を引き裂いて殺した。
その後、突如として玉座の間の扉が開かれると、出口にはマヌスを精神世界へと引き込んだアエルダリ族が立っていた。アエルダリ族はマヌスに、先ほど見た一連の幻視は将来を予言する内容だから気を付けろと警告を発した。
しかしマヌスは、彼らの警告に耳を貸さずに攻撃を仕掛け、この空間から出せと要求する。アエルダリ族はマヌスの要求を受け入れ、精神世界から脱出させた。


一方のアイアンハンド兵団は、指揮官が動けない中で戦い続けなければならなかった。アイアンハンド兵団はワープ通路でおる〈網辻〉(ウェブウェイ)から続々現れるアエルダリ族の猛攻を耐え続けていた。
耐久戦の末、マヌスが再び戻って来ると、すぐさま部隊の体勢を立て直して〈網辻〉へと繋がるゲートである〈網辻門〉を破壊する事に成功する。補給路を断たれたアエルダリ軍は撤退し、帝国軍は勝利した。
しかし、マヌスが見た奇妙な幻視は後に現実のものとなっていく。
【ホルスの大逆】
後にホルスが大逆を起こすきっかけとなる事件の後、すぐにホルスの下へ駆けつけたフルグリムは反乱を止めるよう説得を行った。しかし、ホルスの甘言によってフルグリムの皇帝に対する忠誠心は揺らぎはじめた。
この時フルグリムは海洋惑星「ラエラン」で魔剣〈レーアの銀刃〉を手に入れ、その中に封じられている上級悪魔(グレーターディーモン)の言うがまま動くようになっていたのだ。
魔剣の誘惑の声にも抗いながらも迷っていたが、遂にフルグリムは皇帝が唱導する〈帝国の真理〉は、人類が完璧な存在になるための障害になっていると思い込んだのだ。


フルグリムが大逆派に堕ちたとも知らないマヌスは、彼から会談を申し込まれることとなる。エンペラーズチルドレン兵団の大半を他の大逆兵団と共にイシュトヴァーン星系へと向かわせ、残りの部隊とフルグリムはアイアンハンド兵団の旗艦へと乗り込んだ。
フルグリムは親友であるマヌスを説得しようとしたが、皇帝に対して叛逆を行うフルグリムに対してマヌスは激怒した。マヌスはフルグリムを倒そうと襲い掛かってきたが、その時艦内で大きな爆発が起こり、マヌスは気を失って倒れてしまった。
その隙をついて魔剣の誘惑に従ってマヌスを殺そうとしたが、気絶したマヌスを殺すことはできなかった。艦内でエンペラーズチルドレンとアイアンハンドの同士討ちが発生している中でフルグリムは脱出し、彼は「イシュトヴァーン」星系の戦いへと参戦したのである。
【マヌスの最期】
惑星「イシュトヴァーンIII」での虐殺の後、生き残った忠誠派マリーンからの報告を受けた皇帝は、総主長ローガル・ドルンに命じて、七つの兵団による討伐軍を惑星「イシュトヴァーンV」へと向かわせた。
第一波の攻撃に加わったのは、「レイヴンガード」兵団、「サラマンダー」兵団、「アイアンハンド」兵団の三兵団で、第二波は「アルファレギオン」兵団、「アイアンウォリアー」兵団、「ナイトロード」兵団に加え、「ワードベアラー」兵団の四兵団が参加する大規模攻撃作戦が計画された。
この作戦の指揮官にはマヌスが任命されていたが、マヌスが知らないところでホルスの計略が実行されていた。
第二波に加わっているスペースマリーン兵団は全てホルスの陣営へと密かに加わっていたのだ。その上で味方に成りすまして討伐軍へと参加していたのだ。
討伐艦隊から、何千というドロップポッド(着陸艇)が第五惑星上に降下すると、フェルス・マヌス率いる第一波の軍勢は、「レイブンガード」総主長「コラックス」と「サラマンダー」総主長「ヴァルカン」も加わって、大逆者の要塞を包囲するように攻勢を仕掛けた。
まもなく同胞同士の死闘が始まると、忠誠派の第二波兵団が惑星に降下して第一波の兵団へと合流しようとしていた。
その時、大規模な惨劇である〈降下地点の虐殺〉が始まった。第二波の兵団は突如反旗を翻し、第一波の兵団へと容赦なく襲い掛かったのである。忠誠派は反撃もできないまま次々と倒されてしまった。その様子を見ていたもう片方の大逆派は要塞から反撃を行い、忠誠派は周りを囲まれてしまう。
大逆兵団との死闘のさなか、マヌスはアイアンハンド兵団を直接統率して、絶望的な劣勢の中で獅子奮迅のはたらきを見せていた。燃え上がる焔羅を背景に巨大なハンマーを振るう彼の姿は壮観だったという。
そして、「エンペラーズ・チルドレン」兵団を率いる「フルグリム」の姿を見つけたマヌスは、自身の直属部隊とともに、あらんかぎりの憎しみをもってかつての友の陣へと殺到した。
マヌスの戦いぶりを微笑みながら見ていたフルグリムの表情が凍った。これほどの憎悪をたたきつけられるとは想像もしていなかったのだ。もはや友情は永遠に失われた。死のみが互いの敵意を拭うのだ。
遂に親友である「フェルス・マヌス」と「フルグリム」の激しき一騎打ちの死闘が始まった。フルグリムは〈焔の剣〉を、マヌスは〈鍛冶場砕き〉を。互いに友情をもって褒め称えた武器が、互いへの復讐のために振るわれるのだった。
激しい死闘のさなか、フルグリムは邪悪な魔剣をマヌスの胸部装甲を突き刺し、うめき声をあげて跪いてしまう。そして、魔剣でフェルス・マヌスの首を無慈悲に切りおとしたのだ。アイアンハンドの総主長は、かつて最も親しかった兄弟の手によって、裏切りの中、無念の死を遂げたのだった。


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第XIII(13)兵団ウルトラマリーン総主長「ロブート・グィリマン」


「同胞よ、叡智こそ、無情の価値の宿りし恩寵にほかならぬ。かの恩寵こそ、我らを蛮人、未開人より隔て、我らを定命なる世界を闊歩せる巨人たらしめる印なり。剣を用いるべきか聖銃を用いるべきか、征服すべきか鼓舞すべき時か、それを示すは叡智なり。それは生命に、惑星に、あるいは銀河全域に救済をもたらし得るものなり。同胞よ、善き叡智の使い手たれ。」



【概要】
「ウルトラマリーン」兵団の生みの親であり、同兵団を率いて大征戦や大逆を戦い抜いた忠誠派の総主長。いわゆる本作の主人公枠キャラの一人。
一人の戦士としてだけではなく、指揮官や政治家としてもすぐれた手腕を持つ。リーダとしての人格もすぐれている正にヒーロキャラ。一部のファンからはあまりにも政治的な駆け引きもうまいので腹黒キャラ説も・・。
大逆による内戦後は軍法書「コデックス・アスタルデス」(戦いの聖典)を書き上げるなど、帝国に多大なる功績を残した英雄である。
渾沌の下僕と化した「フルグリム」に敗北し永遠の眠りへとついたが、第41千年紀の現在に奇跡の復活を果たす。
【装備品】
装備品は大逆時代と現在では異なったものを使用してる。


大逆時代に使用していたウォーギアには、パワーガントレット「ドミニオンの手」と、金の刃を持つ剣「グラディウス・インカンドール」、コンビボルター「アービトレーター」を装備している。
また、大逆時代には「理性の鎧」と呼ばれるパワーアーマーを装備していた。この鎧は何度もグィリマン自身が弱点を見つけた際に作り直されており、数多くの改良が重ねられている。


現在使用しているウォーギアにはかつて父たる皇帝陛下が使用していた燃えさかる「エンペラーソード」を装備している。この剣には渾沌の悪魔に苦痛を与える効果が付与されており、その魂を完全に消滅させることも可能となっている。
また、現在使用しているパワーアーマーは専用のアーティファイサー・アーマー〈宿命の鎧〉(アーマー・オヴ・フェイト)を着装する。このアーマーはベリサリウス・カウルが一万年かけて制作したものであり、内部には高度な生命維持装置が組み込まれている。


画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:スペースマリーン第8版」(codex:Space Marines)P94 イラストより

【グィリマンの出自】
赤子の時に〈渾沌の神々〉によって自分が入ってる育成カプセルを地球から遠い惑星「マクラーグ」へと送られて落着してしまった彼は、筆頭執政官「コノール」に拾われて自らの息子として育てられる。
驚異的な軍事的適正を持つグィリマンは、若いころに惑星北方へのイリリア蛮族討伐軍の指揮権を与えられ、超人的な活躍で惑星北方を平定する。
討伐軍が首都に帰還するやいなや、反コノール派によるクーデターが勃発。そして、父コノールの命も奪われてしまう。
怒りに燃えたグィリマンはすぐさまクーデターを鎮圧。その後は父の意思と思いを受け継ぎ、グィリマンが惑星マクラーグの新たな執政官として市民に歓喜と共に受け入れられた。
その後は執政官として父親譲りの政治手腕で、惑星マクラーグを豊かでかつ平和な都市として発展させ、栄えさせた。
【大征戦での活躍】
息子たちである総主長を探しながら大征戦を進めていた皇帝は、惑星マクラーグの発展に驚嘆し、グィリマンに面会を申し出る。
自らが総主長である真実を皇帝が息子であるグィリマンに話すと、帝国の大征戦に加わって欲しい申し出を行う。
グィリマンは喜んでその真実と申し出を受け取り、この日を境に第13番目のスペースマリーン兵団である「ウルトラマリーン」を率いることになる。
グィリマンは銀河南方の平定を担当し、多くの惑星や星系を併合してきた。平定してきた惑星は例外なしに有能な後見人を立てて、惑星の政治的な安定が保てるように努めていた。更に安定した惑星には必ず征戦を進めるための産業を成長させ、安定した物資の供給を行えるようにした。
グィリマンのこうした努力によってウルトラマリーン兵団は、征戦の速度や範囲を拡大することに成功したのである。
兵団がマクラーグに設立されてから数か月以内に、要塞修道院へ新兵が続々と入隊してウルトラマリーンの兵団員数は増加の一途を辿っていった。兵団員もウルトラマール宙域から募集をかけるだけでなく、平定してきた惑星からも募集を掛けたことによって、ホルスが大元帥の称号を得たころにはウルトラマリーンは約25万人を超える最も大規模な兵団へと成長したのだ。
そして彼には一番信頼できるとした4人の総主長がいた。それは、「ローガル・ドルン」、「サングィヌス」、「レマン=ラス」、「フェルス・マヌス」の四人である。
彼らは「ドーントレス フィウ」と呼び、彼らの兵団と組めばどんな戦争にも勝てると断言するぐらいに尊敬に値する人物として称していた。
【ワードベアラー兵団の処罰】
ウルトラマリーン兵団とは逆に征戦の進行速度が非常に遅い「ワードベアラー」兵団は、皇帝を神と崇める宗教活動を行っていたことが判明する。これは皇帝が推奨する〈帝国の真理〉に反する行為であるためだ。
このことについて皇帝はグィリマンへと相談し、問題解決のための勅命を彼に命じたのだ。勅命を受けたグィリマンとウルトラマリーン兵団は、皇帝直属の黄金の近衛兵団と、帝国摂政「マルカドール」公とともに惑星「クール」へと向かった。
惑星の首都である「モナーキア」はワードベアラー兵団が総主長「ローガー」の命によって作られた礼拝都市であり、皇帝を崇める大聖堂で記念碑で埋め尽くされていた。ウルトラマリーン兵団及び派遣軍は、この都市を徹底的に破壊しつくした。
総主長ローガーをはじめ十万人におよぶワードベアラーの全兵団員は、焦土と化したモナーキアに集められると、皇帝自身によって譴責を受け、サイキック・パワーによって屈従を強制されてしまう。このことが後にローガーが大逆を起こすきっかけとなってしまったのである。
【ホルスの大逆】
ワードベアラーの策略によって渾沌の大元帥と化してしまったホルスは、周りから渾沌の勢力であることを悟られないようにしつつ、反乱を起こすための策略を裏で進めていた。
その一つとして、オルク族の進撃に備えると称して、ワードベアラー兵団をウルトラマール領域の中にある惑星「カルス」へと向かわた。ホルスはそこでウルトラマリーン兵団と合流するようにグィリマンへと指示を下したのである。
何も知らないグィリマンは、ウルトラマリーン兵団と共にカルスへと向かっていった。そして、ウルトラマリーンの艦隊が惑星軌道上に着いた瞬間、ワードベアラー艦隊から奇襲を猛烈な受けた。ワードベアラー兵団は首都「モナーキア」での雪辱を果たすため、猛烈な勢いでカルスへと進軍していった。
惑星カルスの軌道上にいたウルトラマリーンの艦隊はあえなく壊滅し、地上に降りている忠誠派スペースマリーンも、上空からの核攻撃によって虐殺された。
グィリマンは激しい襲撃を受けたが、乗艦している旗艦はかろうじて生き残っていた。グィリマンは艦の修理を急ぎつつ、拠点惑星であるマクラーグへとアストロパス(精神感応官)による急報を送信した。
一方、カルスの地上にも僅かながらウルトラマリーン兵団が生き残っており、彼らは地下の洞窟網に退避して、粘り強い抗戦を行った。
グィリマンは地上の部隊と連絡を取りながら、生き残った艦隊を指揮つつ一撃離脱戦法で、ワードベアラー大艦隊との戦闘を続けた。持久戦を続けた結果、マクラーグからの援軍が到着し、戦況はウルトラマリーン側へと傾いた。そして、ワードベアラー艦隊を見事撃破することに成功する。
しかし、ワードベアラー兵団は驚くべき行動を取った。カルスを照らす恒星「ヴェリディアン」を砲撃して不安定化させ、カルス地表を放射線による不毛の大地に変貌させてしまう。
そして、死闘で流された血と苦痛を糧に巨大な〈歪みの嵐〉である〈破滅の嵐〉(ルインストーム)を召喚し、ウルトラマール領域全体を孤立させたのである。
〈破滅の嵐〉は地球から発せられる波動である〈星辰波〉(アストロノミカン)を完全に遮断する恐ろしき現象である。〈星辰波〉(アストロノミカン)の波動が無ければ、ワープ航行時にその方向を完全に見失ってしまい、ワープ航行が不可能となってしまうのだ。
更に、地球とも通信や連絡もできなくなるため、ウルトラマリーン兵団は帝国の本拠地と完全に分断されてしまったのである。
これによって、グィリマンとウルトラマリーン兵団は地球救援へと向かうことが困難となってしまった。
【影の征戦】
ウルトラマール領域を孤立させると、ローガーは別働隊を率いて影の征戦と呼ばれる作戦に移った。
この作戦は、総主長「アングロン」率いる「ワールドイーター」兵団と協力して、ウルトラマール領域中枢へと侵攻する大作戦であった。この両兵団による殺戮と征服はすさまじく、何十もの惑星が一夜のうちに血の雨の中で滅ぼされた。
この作戦によって〈破滅の嵐〉(ルインストーム)は更に勢いを増してしまった。
カルスでの戦闘後、グィリマンは大逆兵団に対抗すべく、「ブラッドエンジェル」兵団の少数部隊と合流して大逆兵団との徹底抗戦を開始する。
激しい戦闘のさなか、グィリマンはローガーを討つべく、別働隊を率いて惑星「ヌケリア」へと向かった。
ヌケリアに到着すると、裏切られた怒りに燃え上がるウルトラマリーン兵団は、ワードベアラーとワールドイーターの両兵団へと猛烈な攻撃開始する。
大逆兵団とウルトラマリーン兵団が戦う中、グィリマンはローガーとの一騎打ちを行った。
ローガーとの戦闘でグィリマンは驚愕した。かつてはあれだけ戦闘力が低かったローガーが今では自らと同等の戦闘力を持ち、戦況がこう着していたことに。
一騎打ちの決着が定まらない中その時、アングロンが現れた。
アングロンとグィリマンの戦闘が開始すると、グィリマンの冒涜的な行為に大して激しき怒りをぶつけた。
グィリマンが圧倒される中、ローガーは隙を見て謎の儀式を開始する。そして、アングロンは渾沌のエネルギーに包まれると、〈血の神〉コーンの恩寵を受けた紅蓮の肉体持つ総魔長(ディーモン・プライマーク)が誕生したのだ。
総魔長と化したアングロンにグィリマンは太刀打ち出来ず、間一髪でヌケリアを脱出して撤退した。
【第二帝国】
ウルトラマリーン兵団本拠地であるマクラーグへと戻ったグィリマンは〈破滅の嵐〉を抜けてきた「ブラッドエンジェル」兵団と総主長「サングィヌス」と合流する。
グィリマンは、〈破滅の嵐〉の影響で本拠地の地球が陥落して持たない可能性が高いと考え、マクラーグに〈第二帝国〉の創設を行うことを決意する。
帝国の領土が〈破滅の嵐〉によって分断されている中、忠誠派スペースマリーンの部隊は異種族のデバイスである「ファロス」の導きによってウルトラマールへと集まることができた。
「ファロス」から発せられる波動は、〈破滅の嵐〉を航行中の宇宙船へ向けた灯台のような道しるべとして機能していた。
そんな中、「ダークエンジェル」兵団と総主長「ライオン・エル=ジョンソン」が〈破滅の嵐〉を抜けてマクラーグへと到着する。
グィリマンは最初〈第二帝国〉の皇帝へと着任しようと考えていたが、ホルスと同じような権力に固執する為政者とみられることを嫌い、不信感を抱いていたジョンソンにその座に就いてもらうよう説得を行った。
なかなか皇帝が決定しない中で〈第二帝国〉の構築が進んでいたその時、ウルトラマリーンに変装していた「アルファレギオン」兵団がグィリマンを暗殺しようと襲撃する。
グィリマンは襲撃をはねのけて生き残ったが、今度はマクラーグへと忍び込んでいた総主長「コンラッド・カーズ」が出遇う者を片っ端から殺害し、聖堂の中でウルトラマリーンの司令官「フラトゥス・アウスグトン」までもが殺害されてしまう。
グィリマンとジョンソンはカーズのいる聖堂へと向かったが、カーズは聖堂にしかけた爆弾を起動した。
爆発に巻き込まれそうになった二人は、「ファロス」の持つテレポートの機能によって聖堂を脱出して一命を取り留めた。
両者を殺したと思ったカーズはそのまま、グィリマンの育ての母をも手に掛けようとしたが、マクラーグで療養していた総主長「ヴァルカン」の復讐に燃えた反撃を受けた。
この後、ヴァルカンとカーズは激しき決闘を繰り広げたが、謎の暗殺者によってヴァルカンが殺害されてしまう。
ヴァルカンの告別式が執り行われた後、グィリマンとジョンソンはサングィヌスが居るマクラーグへと戻った。
そこでグィリマンはサングィヌスへ〈第二帝国〉の皇帝になって欲しいと依頼をする。本人は乗り気ではないが、サングィヌスは〈第二帝国〉の皇帝としての座を引き受けることとなった。
しかし、いざ政策議論を進めるとジョンソンはグィリマンは、政策の是非をめぐってたびたび意見が衝突した。特にカーズを捕まえることに無我夢中になっており、ジョンソンはマクラーグに戒厳令を敷くことを要求してダークエンジェル兵団を率いてカーズを捕らえようとした。
カーズは戒厳令が敷かれたマクラーグ内を逃亡するも、山岳地帯でジョンソンに追い詰められて捕らえられた。
【カーズの幻視】
〈第二帝国〉皇帝、サングィヌスの裁きを受けることとなったカーズは、自らの犯行をグィリマン、ジョンソンの面前で認めたが、罪を認めようとはしなかった。自らの行いはこう行動するよう定められたものであり、それ故に犯罪ではないというのだ。
カーズに死刑判決を下したサングィヌスは、自らのサイキックパワーで処刑を行った。傷ついたカーズは「これは自分の死に方ではない」と叫んだ。それを聞いたジョンソンは処刑を中止するように要請した。
ジョンソン曰く、カーズには未来を見る予知能力があり、自らの未来では”皇帝が送った暗殺者によって最期を迎える”ものだと定められているという。すなわち、カーズを生かせば”皇帝はまだ生存している”未来が確定するのだと。
予言によって皇帝が生存しているのであれば代わりとなる〈第二帝国〉の意味は成さないことが明らかになり、忠誠派の総主長たちは皇帝を救助すべく、地球に向かうことを決断する。カーズはジョンソンによって無制限に拘束され、共に地球へと向かうこととなった。
【ダウィンの戦い】
グィリマン、ジョンソン、サングィヌスの三人は、自兵団と艦隊を率いて地球へと救援に向かった。その途中でサングィヌスはカーズを連れて、惑星「ダウィン」へと立ち寄ったサングィヌスはこの旅を通して運命を変えられることを兄弟に示したかったからである。
サングィヌス一行は、ホルスが堕落し呪われたとされる渾沌の暗黒神殿へと向かった。このときカーズは全く予知しなかった展開に混乱してしまう。
その時、突如として渾沌ポータルが開き、サングィヌスはポータルの中へと飲み込まれてしまった。
グィリマンとジョンソンは彼を取り戻す方法をカーズに尋ねたが、予知とは違う展開を前にして慌てふためくばかりであった。まもなく、渾沌の領域からディーモンが次々と地上にあふれ出し、忠誠派軍勢との戦いが始まった。
忠誠派の軍勢は、熾烈なダヴィンでの戦闘に勝利した。ポータル内に閉じ込められていたサングィヌスも戻って来ると、遂に地球へと進める航路を発見する。しかし、そこはホルスの艦隊によって封鎖されていた。
そこでグィリマンとジョンソンは陽動作戦を行い、その隙をついてサングィヌスとブラッドエンジェル兵団、そしてカーズを地球へと送り出すことにした。
陽動作戦は成功し、サングィヌスとブラッドエンジェル兵団は最終決戦の〈地球の戦い〉に参戦した。カーズはサングィヌスによって強制的に冷凍ポットへ入れられて、どこかへと漂流していった。
その後は「地球の戦い」でサングィヌスは戦死し、皇帝は植物人間と化し、ウルトラマリーンが大逆の内戦ほとんど参戦しない形で終戦を迎える。
【コデックスとチャプターの誕生】
皇帝無き後の帝国ではグィリマンを中心にスペースマリーン部隊の再編成「第二期創設」が行われた。かの有名な軍法書〈戦いの聖典〉こと「コデックス・アスタルテス」がグィリマンの手によって著され、一部の兵団を除いたほとんどの兵団で採用され、軍法書の通りに組織が運営された。
そして、コデックスのルールに基づいて1万人単位の兵団(レギオン)が、1千人単位の戦団(チャプター)へと分割される。理由としては、スペースマリーンの強大な力を一人の者にコントロールさせにくくするるために分割が行われた。
分割した戦団は銀河に瞬く間に救援へと向かい、治安が不安定であった帝国の諸惑星における危機を救っていった。
【グィリマン、斃(たお)れる】
数多くの戦いを勝ち抜き、優れた政治的手腕で帝国を支えてきたグィリマンだが、惑星「テッサラ」の戦いにおいて総魔長と化した「フルグリム」との戦闘で負傷してしまう。
フルグリムの持つ毒の刃がグィリマンの首元をかっきり、彼はその場で倒れてしまった。すぐに仲間によってグィリマンは回収された後、アポシカリー(医療官)によって「ステイシスフィールド」(無動空間)による保存が行われた。
その身体は故郷の惑星「マクラーグ」へと運ばれ、約一万年間彼は、同惑星にあるスペースマリーンの霊廟にて長きにわたる眠りについたのである。
【第41千年紀での復活】
「テッサラの戦い」から約一万年後のM41(第41千年紀)の現在、惑星「ケイディア」が陥落し、渾沌の軍勢によって〈大亀裂〉(グレートリフト)と呼ばれる歪みの裂け目を造り出すことに成功する。〈大亀裂〉は帝国の領土を分割する巨大な裂け目であり、裂け目で分断された星域は、移動や連絡が全くできない状況に陥った。
そんな中長きにわたる眠りについているグィリマンが、「アエルダリ」族の神の一柱「インナード」神と帝国技術局長「ベリサリウス・カウル」の手によって奇跡の復活を果たす。
復活したグィリマンは、早速皇帝との謁見のために、マクラーグから地球へと旅立っていった。しかし、地球への航路にはグィリマンの復活を察知した渾沌の軍勢が襲い掛かってきた。彼は次々と敵をなぎ倒しつつ危険な航路を抜けて、遂に地球へと到着する。
そこでグィリマンは一人皇帝と謁見し、三日三晩彼らは語り続けていた。グィリマンと皇帝の間で何が語られていたかは本人のみが知っており、その内容を頑なに話そうとはしなかった。
その後、グィリマンは、分断された帝国を再統一するため、〈不屈なる征戦〉(インドミトゥス・クルセイド)と呼ばれる征戦を行うことを宣言する。帝国軍は彼の手によって再編成されると共に、新型マリーン「プライマリススペースマリーン」の配備が行われ、帝国の版図を解放すべく戦い続けた。
〈不屈なる征戦〉は成功し、多くの帝国の領土の奪還に成功するが、すでに帝国軍の限界点を迎えてしまった。
その後、全スペースマリーンを統括する「ロードコマンダー」の役職に就いたが、グィリマンは1万年後の現在の帝国における大きな衰退や狂信的な体制を目の当たりにしてしまい、帝国の体制改革を着手する。
グィリマンは改正したコデックスである「コデックス・インペリアリス」を著し、更に帝国の歴史書の改変を行うなど、帝国が1万年以上もわたって抱え続けてきた不合理な体制や闇を改革しようと今、奮戦している。


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第XVIII(18)兵団サラマンダー総主長「ヴァルカン」


「いつの日か、剣を置く日が来る事を私は望んでいる。その日までは、この切っ先は研ぎ続けよう、ただ敵を殺さんがために」



【概要】
「サラマンダー」兵団を率いて大征戦を戦った忠誠派の総主長。火山惑星「ノクターン」の鍛冶の匠下で育てられ、忍耐強くひたむきな気質と人間性を尊ぶ心を持つ。黒い肌と赤い目を持っており、見た目がかなり怖い。
また、無実の味方や一般市民に危害が加わった際には激しく怒り、敵に情け容赦ない裁きの鉄槌を下す。
彼は驚異的な能力を持っており、決して死ぬことのない〈永生者〉(パーペチュアル)の特徴を持つ。たとえ四肢や頭を切り落とされても、煮ても焼かれても、気化されたとしてもトカゲのしっぽの如く身体が再生、復活してしまうのだ。
【装備品】
ウォーギアにはサンダーハンマー「ドーンブリンガー」と、プラズマピストル「ファーネスハート」を装備しており、パワーアーマーは「ドラケンスケイル」と呼ばれるバロック式のパワーアーマーを着装している。
特に「ドーンブリンガー」は元々ホルスに贈呈する予定の逸品であり、破壊が不可能なほどの耐久力を持っていると言われている。更に、距離に関係無くテレポート移動を行うことも可能。


画像出典:小説「Old Earth」表紙イラストより

【ヴァルカンの出自】
渾沌の〈禍つ神々〉に銀河の果てに飛ばされたヴァルカンは、惑星「ノクターン」へと落着した。保育カプセルは現地に住む鍛冶の匠である「ン・ベル」に発見され、ヴァルカンは養子として迎えられた。
「ン・ベル」はヴァルカンを育て、ヴァルカンは彼を父として受け入れていく。ヴァルカンは他の総主長と同じく急速に成長し、3歳になるころには住んでいる町の中でも誰よりも巨体でかつ、聡明であり、誰もが知っているもっとも偉大な鍛冶屋として育ったのだ。
更にヴァルカンは自らの鋳造技術を高めていったと同時に、他の者にも技術を教えて、広めていった。


ヴァルカンが4歳のころに住んでいる町に異種族であるデュカーリ族(ダークエルダー)が襲撃をしてきた。デュカーリ族は定期的にノクターンの住民を襲撃して略奪を行っていた。デュカーリ族は高度な科学力の武器と残忍な戦闘力を誇る戦士を抱えており、敵に対する反撃もままならなかった。
その為、ノクターンの住人はデュカーリ族が襲ってきた際には地下に作られた秘密のシェルターに隠れて籠るしかなかった。
しかしヴァルカンは逃げも隠れもせず、鍛冶の金槌を手にしてデュカーリ族の略奪者に立ち向かったのだ。
驚異的な戦闘力と耐久力を持つヴァルカンは、次々とデュカーリ族を金槌を振るって葬っていき、一人で100人のデュカーリ族を撲殺したという。
ヴァルカンの勇敢なる戦いを見た街の住人たちは勇気を奮い立たせ、彼に付き従う者たちが増えていった。
後にヴァルカンはノクターンの有力な氏族の首長たちに会うために惑星を旅し、侵略者に対しては隠れるのではなく敢然と立ち向かうことを首長達に誓わせたのである。
デュカーリ族襲撃の日を境に彼は考え方を変え、ノクターンの住人と共に度重なる襲撃を戦い抜いたのだ。
【謎の旅人】
旅から帰ってきた後に、デュカーリ族の略奪者に対して勝利を収めたことを祝う大いなる祭典が催された。こうした祝祭の場では様々な力比べの大会が行われていた。
この時の誇り高きヴァルカンの気質は人々の知るところであり、彼は力比べの最優勝候補として注目されていた。
力比べ大会の開会式が行われていたその時、一人の”見知らぬ旅人”が参加をした。見知らぬ旅人は大柄な体格を持ち、肌も青白かった。
彼はなんと、「力比べに負けた方が勝った方に対して永遠の忠誠を誓う」という条件を持ち込んでヴァルカンに勝負を挑んだのだ。ヴァルカンは微笑みながらその挑戦を受けて立った。
力比べが開始されたその時、超人のヴァルカンと見知らぬ旅人の勝負は常人にはとても真似できぬ凄まじい攻め合いを繰り広げた。ファイアブラッドの河で武器を鍛え、溶岩の流れ込む三角州を鉄床を担いで渡るなど、様々な人間離れした競い合いが繰り広げられた。勝負はどちらも同点となり、最終勝負はノクターンの山岳地帯に生息するサラマンダーを巨大な物を狩った方が勝利となるハンティングで決着をつけることとなった。ヴァルカンは巨大なサラマンダーをしとめたが、不運にも近くの火山が噴火してしまい、衝撃で吹き飛ばされてしまった。
噴火で生じた巨大な切れ目に何とか獲物を片手に持ちながら掴まり、ぶら下がっていた。眼下には溶岩流が流れていて獲物を手放さなければ助からない。絶体絶命のピンチに陥ったその時、見知らぬ旅人がヴァルカンよりも大きなサラマンダーを抱えて助けに来たのだ。
見知らぬ旅人は手に持っていた獲物のサラマンダーを溶岩流に投げ込んで橋をかけると、ヴァルカンを担いで渡り、彼を救ったのである。
無事に2人とも祭りの場である町に戻り、獲物を持って帰ったヴァルカンに勝利の称号が与えられた。しかし、ヴァルカンは見知らぬ旅人に跪いたのだ。
「およそあらゆる人間の中で、神に仕えるに値するは、己が名誉を捨ててでも、躊躇なく友の命を救う人物なり」という言葉を共にヴァルカンは見知らぬ旅人に忠誠を誓ったのである。
そして、見知らぬ旅人はその正体を、自らが人類の皇帝であることを明かした。皇帝はヴァルカンに征戦に加わってスペースマリーン兵団を率いることを彼に命じたのだ。
この時、ヴァルカンは自ら率いる兵団名を祭典で2人を結んだ獲物にちなんで「サラマンダー」兵団と名付けたのである。
【大征戦での活躍】
ヴァルカンは最初はサラマンダー兵団を率いるのではなく、皇帝の下で聖務を果たしながら指導を受けていた。
ヴァルカンはサラマンダー兵団を7つの戦士宗族に再編した。惑星ノクターンの各七つの巨大な居住域から大部分の候補者を集め、兄弟としての結びつきも含めた広い範囲で、極めて緊密な絆を作り上げるのである。
しばらく教えを受けていたヴァルカンはサラマンダー兵団を3000人率いる総主長として大規模なオルクとの戦いに救援へと駆け付け勝利を収め、彼らはその無私にして勇猛果敢なる戦いぶりで名高き兵団となったのだ。


数々の征戦を勝ち抜いてきたヴァルカンにはある逸話が残っている。総主長「コンラッド・カーズ」率いる「ナイトロード」兵団と共に、惑星「1-5-46」(現在ではカラアタンとして知られる)での戦いに参加する。
この戦役の中でヴァルカンはナイトロード兵団が住民に恐怖を植え付けるために、都市全体の一般市民を虐殺したことを知って激怒した。ナイトロード兵団の残忍な戦術に異を唱えたヴァルカンとカーズに激しい対立が生まれ、激しい議論が巻き起こった。
この期を境に、サラマンダー兵団とナイトロード兵団の間に確執が生まれ、大逆の内戦でも両兵団が激しい戦いを繰り広げることとなる。
戦役が終わった後にヴァルカンはナイトロード兵団の虐殺を、大元帥「ホルス」とインペリアルフィスト兵団総主長「ドルン」に報告する。しかしこの時ヴァルカンは、ホルスに大きな心の闇を見出してしまい、ホルスに献上するはずだったサンダーハンマーの「ドーンブリンガー」を差し出さなかった。
【ホルスの大逆】
惑星「イシュトヴァーンIII」での虐殺の後、生き残った忠誠派マリーンからの報告を受けた皇帝は、総主長ローガル・ドルンに命じて、七つの兵団による討伐軍を惑星「イシュトヴァーンV」へと向かわせた。
第一波の攻撃に加わったのは、「レイヴンガード」兵団、「サラマンダー」兵団、「アイアンハンド」兵団の三兵団で、第二波は「アルファレギオン」兵団、「アイアンウォリアー」兵団、「ナイトロード」兵団に加え、「ワードベアラー」兵団の四兵団が参加する大規模攻撃作戦が計画された。
この作戦の指揮官にはマヌスが任命されていたが、マヌスが知らないところでホルスの計略が実行されていた。
第二波に加わっているスペースマリーン兵団は全てホルスの陣営へと密かに加わっていたのだ。その上で味方に成りすまして討伐軍へと参加していたのだ。
討伐艦隊から、何千というドロップポッド(着陸艇)が第五惑星上に降下すると、フェルス・マヌス率いる第一波の軍勢は、「レイブンガード」総主長「コラックス」と「サラマンダー」総主長「ヴァルカン」も加わって、大逆者の要塞を包囲するように攻勢を仕掛けた。
アイアンヴォリアー兵団から発射された核ミサイルで忠誠派である3つの兵団はほとんどの同胞を失ったが、ヴァルカンと少数の同胞は生き残った。しかし、アイアンヴォリアーとナイトロード両兵団のスペースマリーンに囲まれてしまったサラマンダー兵団は、刺し殺され、銃で射殺され、ヴァルカンは意識不明となった。
コンラッド・カーズは倒れたヴァルカンを捕虜にして処刑船に連れて行った。そこで数か月間に及ぶ卑劣な拷問が行われた。喉を切り裂き、頭を切り落とし、内臓を取り出し、宇宙船のスラスターで燃やすなどの常人では耐えられない拷問の数々を行ったが、ヴァルカンは決して死なずに蘇ったのだ。
全く死なないヴァルカンに対して激怒したカーズは、決闘で決着を付けようとしたが、ヴァルカンは隙をついてテレポーターで処刑戦から逃亡することに成功する。テレポート先は運よくもウルトラマリーンの拠点惑星「マクラーグ」の大気圏であり、生身のまま大気圏突入したヴァルカンは黒焦げになって地表に落着した。
黒こげになったヴァルカンの体は、数か月で再生してウルトラマリーン兵団に救出された。ヴァルカンは総主長「ロブート・グィリマン」の元へ呼び出され、何故空から突然落ちてきたのかその理由を答えられなかった。
彼は再生能力によって身体は元通りになったが、大気圏突入によって神経がマヒしており、精神が不安定になっていた。その為、この時のヴァルカンは”支離滅裂な発言をする暴力的な性格”に変わっていた。
その後、ダークエンジェルの旗艦に忍び込んでいたコンラッド・カーズはマクラーグに旗艦が到着すると、マクラーグの首都に忍び込んでテロを開始した。
この時ヴァルカンはカーズの気配を察知し、グィリマンの私兵から武器を奪取した後にカーズを討伐するために首都へと向かった。
カーズはグィリマンの育ての母を手に掛けようとしたその時、ヴァルカンは復讐の一撃をカーズに与え、間一髪で彼女を助け出す。そして、ヴァルカンとカーズは首都の街中で激しい一騎討ちを行った。
ヴァルカンは戦闘中、自らの再生能力を使いこなせるようになっていた。自らの意志を再生に集中させることによって意図的にかつ素早く再生できるようになったのだ。カーズはヴァルカンを崖に追い詰め、ヴァルカンの頭を撃ち抜いて崖から落としたが、ヴァルカンは地面に着くよりも早く再生を行った。
戦況はヴァルカンが優勢だったが、状況は思いもよらない方向へと向かっていく。謎めいた組織〈謀議団〉(カバル)の暗殺者「ジョン・グラマティカス」が介入したのだ。その手には不死身の〈永生者〉を唯一殺せると伝わる鉱石「フルグライト」を埋め込んだ槍を持っていたのだ。
グラマティカスはフルグライト鉱石の槍をヴァルカンの胸に突き刺して殺害した。カーズはその鉱石を奪い取ろうとするが、グラマティカスの放ったディーモンによってカーズは〈歪み〉の中に引きずり込まれてしまった。
ヴァルカンはフルグライト鉱石の影響によって再生能力が使用できず、彼が復活することはなく戦死した。
【ヴァルカンの復活】
惑星マクラーグは現在、グィリマンが構想している〈第二帝国〉の首都として機能していた。ワードベアラー兵団の儀式によって造り出された巨大な渾沌嵐である〈破滅の嵐〉(ルインストーム)は、忠誠派の軍勢が地球へと向かうための航路を完全に遮断してしまった。
この〈第二帝国〉は皇帝が座す地球が陥落して皇帝が戦死した場合に備え、帝国の政府機能の代わりを果たすためのものである。グィリマンは地球がホルスの手によって陥落するのは不可避と予測したうえでの対策であった。
〈第二帝国〉の皇帝には「ブラッドエンジェル」の総主長である「サングィヌス」が迎えられており、「ダークエンジェル」の総主長である「ライオン・エル=ジョンソン」も〈第二帝国〉を構築するための補佐として参加していた。
ヴァルカンが戦死したその後、わずかに生き残っていたサラマンダー兵団がマクラーグに到来し、ヴァルカンの追悼に参加した。サラマンダー兵団の兵団員たちは偉大なる総主長の死を悼んだ。ヴァルカンは重厚に装飾された金の棺に納められた。
しかし、この時参列者であったサラマンダー兵団の兵団員は棺の中から心臓の鼓動が聞こえたという報告が多数上がっていた。
この報告を聞いたサラマンダー兵団の第一中隊長であった「アルテルス・ヌメオン」中隊長はヴァルカンはまだ復活できるのではないかと考え、彼を故郷の惑星であるノクターンへ戻すことを決意して残った仲間たちと遠征隊を結成する。
しかし、マクラーグからノクターンへの航路には吹き荒れる〈破滅の嵐〉(ルインストーム)を通過しないといけない危険な状況を突破しなければならなかった。
ヌメオンは危険を承知でグィリマン、ジョンソン、サングィヌスの三人に許可を取り、ヴァルカンが納められた棺と共に遠征隊を乗せた旗艦は、惑星ノクターンへ続く危険な航路へと旅立っていった。
惑星ノクターンへの旅路は容易なものではなかった。大逆派のスペースマリーン兵団からの相次ぐ襲撃を振り切り、サラマンダー兵団員の英雄的犠牲によってかろうじて惑星ノクターンへと到着した、しかし、そこには大逆派兵団である「デスガード」兵団も惑星に到着していたのだ。
この絶望的な状況でヌメオンは大きな賭けに出る。大切なヴァルカンの棺と20人の生存している兵団員と共に、サンダーホークガンシップでノクターンにある要塞院へと逃亡した。
幸運なことに要塞院に駐在している仲間たちと合流し、ヴァルカンの棺は要塞院へと無事に運ばれた。援軍を得たサラマンダー兵団は一気に反撃を開始し、デスガード兵団からノクターンを防衛することに成功する。
防衛戦が終了した後はヴァルカンの死を追悼するための儀式が執り行われた。棺に納められたヴァルカンはパワーアーマーに身を包みながらその手には、ドーンブリンガーを握りしめたままであった。彼の胸に刺さったフルグライト鉱石の槍は、取り除くことが出来ずに刺さったままであった。
ヴァルカンは聖なる火山である「デスファイア」山のマグマに入れられて火葬されたが、数時間、数日たっても彼が再び起き上がることはなかった。
追悼式から一週間後、ヴァルカンが復活すると信じていたヌメオンは絶望の淵に立たされていた。この時、ヌメオンはある言葉を思い出す。それは以前、サウザントサン兵団の総主長「赤のマグヌス」からの質問であり、「あとどれだけの代償を支払えばヴァルカンは復活する?」と投げかけられた。
彼の中で答えは出た。ヌメオンはスペースマリーンとしての地位を捨て、自らの身体をデスファイア山の火口へと投げ打ったのだ。自分自身を犠牲にすればヴァルカンは復活すると信じて。
その後、行方不明のヌメオン探しに3人のサラマンダー兵団員たちがデスファイア山へ捜索に向かった。しばらく捜索するとそこに虚弱で不審な人物を見つけた。探していたヌメオンが見つかったと喜んでいたが、その人物の正体を見て兵団員たちは驚愕する。
そこには、なんと”死んだはずのヴァルカンが復活していたのだ。”
【地球(テラ)へ・・。】
復活したヴァルカンは「とんそう状態」(記憶や人格を失って徘徊したりする状態)に陥っており、記憶を一部失っていた。彼は兵団員たちに発見される前、デスファイア山の洞窟で目覚めると、「火の化身」と称する謎の老人に出会ったという。
「火の化身」はヴァルカンに地球(テラ)へ向かうよう促した。それと同時に、彼に〈七槌の護符〉と呼ばれるお守りとサンダーハンマー「ウルドラクル」を持っていくようにと提言した。〈七槌の護符〉と「ウルドラクル」はヴァルカン自身が作った物だが、彼はそれを作った覚えが無かった。
ヴァルカンは自分を見つけた三人の兵団員たちに指示を与えた。3日以内に要塞院へと帰還し、自分が復活したことは誰にも話すなと。その後3人は再びヴァルカンの元へと戻り、彼らを「ヴァルカンズ ドラークズワード」と命名して、彼らを旅の仲間として同行させた。
ヴァルカンは地球へと向かうのに宇宙船を使用せずに、銀河に張り巡らされたワープ通路であるウェブウェイ(網辻)を利用することにした。地球へたどり着くにはウェブウェイを利用して惑星に到着し、再び惑星内のポータルを使って繰り返し移動する必要がある。
その際には〈七槌の護符〉の導きがあれば迷わずに地球へとたどり着けるという。ヴァルカン達はノクターンの奥深くにあるポータルを開いてウェブウェイへと突入した。
ウェブウェイを使ったワープ移動には幾多の試練が待ち構えていた。ウェブウェイの旅路の途中には仄暗き都「コモラフ」を通りぬけ、デュカーリ族との戦闘と繰り広げた。
次に彼らは、「シャドラク・メドソン」率いるアイアンハンド兵団の部隊と合流した。彼らは戦死した「フェルス・マヌス」の代わりの人形を作り上げたことを聞いたヴァルカンは、あまりにも情けない現状に兄弟に顔向けできないために人形を破壊して彼らの下から離れてしまった。
〈七槌の護符〉に導かれながら旅を続けるヴァルカン達は惑星「カルデラ」へ到着し、アエルダリ族と遭遇した。しかし彼らに敵意はなく、ファーシーアの一人である「エルドラド・ウルスラーン」の命によってウェブウェイのポータルへと案内された。
ヴァルカン達はウェブウェイ内にある都市「カラスター」へたどり着くと、待ち構えていたケイオスディーモン達との戦いに参加した。ヴァルカンは〈七槌の護符〉を使用し、ケイオスディーモンの軍団に立ち向かった。〈七槌の護符〉はケイオスディーモンを完全に消滅させる力を持っており、襲い掛かってきたディーモン達を次々と消滅させた。
しかし、ケイオスディーモンの数はあまりにも多く、ヴァルカン達はディーモンに包囲されてしまった。その時、エルドラド・ウルスラーンが救援へと向かい、ヴァルカン達は命を救われた。この時、ウルスラーンは「火の化身」と称する謎の老人の正体は自分である事をヴァルカンへと明かした。
ウルスラーンは地球にある帝殿へとつながるウェブウェイの出口を開くと、ヴァルカン達は出口へと向かった。そこを抜けると帝殿の前に到着し、インペリアルフィスト兵団の総主長「ローガル・ドルン」と再会を果たした。
すぐにヴァルカン達はカストーディアンに連れられて皇帝と対面した。そこには一切動けない植物人間と化した皇帝が静かに黄金の玉座へと座していた。変わり果てた皇帝の姿を見たヴァルカンは深い悲しみに包まれて嘆いた。
「父よ、私は帰ってきました。望みのままに。」
玉座に収められた皇帝は、サイキック能力でヴァルカンに語り掛けた。プライマークが作られた目的は〈七槌の護符〉の監視を行ってディーモンを封じることにあると語った。〈七槌の護符〉は前例のないほどの強大な武器であり、この装置は皇帝が死ぬか、玉座が破壊されると即座に地球(テラ)のすべてを破壊してしまうデッドマンスイッチであった。
〈七槌の護符〉はもしウェブウェイを封じられない場合の最終手段として用意された自爆スイッチとして起動するのである。
ヴァルカンは皇帝の指示のもとに〈黄金の玉座〉へ〈七槌の護符〉を装着した。
【大逆後】
大逆の内戦後、裏切りという過ちを2度と繰り返さないために〈戦いの聖典〉(コデックス)が作られ、スペースマリーンの運用マニュアルとして各兵団に採用を行おうとしていた。コデックスのルールの中には兵団は戦団へと分割しなくてはいけなかった。
しかし、サラマンダー兵団は戦団に分割できるほど人数が少ないために、ヴァルカンはコデックスを著したグィリマンに反対した。
グィリマンとヴァルカンは討論を続け、最終的にはグィリマンが折れてサラマンダー兵団は分割されずに戦団として運用されることとなり、ヴァルカンはコデックスを採用するに至った。
【ヴァルカンの最期】
彼の最期については殆ど記録が残っていないが、ある記録にすら残っていない任務の遂行中に消息を絶ったり、また戻って来たりを繰り返していたという。ヴァルカンが最後に姿を消した後、彼は〈焔の秘本〉と呼ばれる書物を残している。
その書物の中にはサラマンダー戦団のために遺した聖遺物にまつわる情報が記されているが、聖遺物の場所までの情報は記されていなかった。
伝説によれば、すべての聖遺物が発見された時、ヴァルカンが再び姿を現し、己が戦士を率いて人類の敵に対して最後の戦いを挑むのだという・・。
第41千年紀現在でも、サラマンダー戦団の同胞たちは、その伝説を信じて聖遺物を探している。残る聖遺物はあとわずかで揃うとき、彼は果たして本当に帰ってくるのか。今、総主長の帰還の時が迫ろうとしている。


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第XIX(19)兵団レイヴンガード総主長「コルヴス・コラックス」


「我らは殺戮する影、感知できぬ隠れた死そのもの」



【概要】
「レイヴンガード」兵団を率いて大征戦を戦った忠誠派の総主長。圧政下にあった惑星「リカイオス」の労働者から革命家として成長した彼は、ゲリラ戦とヒットアンドラン戦術、潜入工作を得意とする。
緘黙でキツイ辛辣な物言いをする皮肉屋な性格だが、常に冷静でかつ良識的な判断を下す。若き頃に奴隷労働経験があったが故に、圧政を敷く暴君に対しては強き怒りを覚える。
【装備品】
ウォーギアには2丁の「アルケテックピストル」を射撃に使用し、接近戦では「レイヴンタロン」として知られているライトニングクローを両腕に装備している。
特注のパワーアーマーである「セーブルアーマー」は隠密行動に適しており、自身が発するエネルギー機器のノイズが立たないように加工されている。また、敵の通信を妨害することも可能だ。
更にコラックスは強力な能力である「レイススリップ」と呼ばれる特技を持っている。彼は周囲の陰に溶け込んで、敵の視界から姿を消すことができる。姿が消えた総主長は、闇から必殺の一撃で敵を葬るのだ。
また〈歪み〉の力によって、大鴉や暗闇にも変身することも可能となっている。


画像出典:小説「CORAX」表紙イラストより

【コラックスの出自】
渾沌の〈禍つ神々〉に銀河の果てに飛ばされたコラックスは、惑星「キアヴァール」の衛星、惑星「リカイオス」へと落着した。
惑星リカイオスは高度な工業惑星であり、都市規模の工場と大規模な奴隷鉱山によって工業品が生産され、惑星キアヴァールへと生産品が運ばれていった。住人は圧政下の中にあり、武装した監査官による監視下の中で奴隷労働を強いられていた。
そんな中、コラックスは奴隷の少女であった「ナストゥリ・エフレニア」に発見された。コラックスは彼女や他の労働者に育てられ、周りの労働者と同様に、過酷な奴隷労働に勤しんでいた。
しかし、彼はただ労働を行っていたわけではない。彼は雇われている監査官に見つからないように、ナストゥリから様々なスキルや能力を学んでいった。
指導者としてのスキルや戦士としての素質、政治学や哲学などを驚異的な速さで覚えていった彼は、次第に周りの労働者にとっての希望となり、救世主として見られるようになった。
【リカイオスの反乱】
指導者としてかつ反乱軍として教育を受けたコラックスは、周りの労働者を戦闘部隊として編成し、次第にリーダーとしての頭角を現し始める。
彼はまず巨大な武器庫を秘密裏に構築し、それらがばれないように多くの武器を隠し始めた。更に労働者の反乱軍とそれらの支持者を増やして反乱の準備を整えていった。
次にコラックスは、駐屯している監査官を別の場所におびき寄せるために、別動隊に暴動とストライキを開始するように命じた。
その隙にコラックス率いる部隊は、重要なセキュリティーポイントを占拠して破壊し、リカイオスの防衛軍を全て壊滅することに成功する。
そして、ここから反乱軍による大攻勢が始まったのだ。
リカイオスの支配者層は遂に軍を率いて本格的な反撃を開始する。しかし、コラックスはすでに反撃に対する準備を整えていた。リカイオス軍を出し抜いて待ち伏せと強襲を仕掛け、補給線を断たせることに成功する。
更に、惑星キアヴァール内の5大都市を核兵器で攻撃を行い、何千人にも及ぶ市民が犠牲になってしまったが、何百万人もの人々が解放された。もはや壊滅状態のリカイオス軍は、最大の拠点都市が陥落した後に降伏を行った。


リカイオスの市民は遂に、キアヴァールの圧政から解放されたのだ。そしてこの日を境に、惑星「リカイオス」は”解放”の意味を持つ惑星「デリヴェランス」と改名された。
【大征戦】
惑星「デリヴェランス」に改名され、市民が勝利の余韻に浸っているちょうどその時期に、皇帝がデリヴェランスへと現れた。反乱軍を率いて英雄となったコラックスは、遂に実の父である皇帝と再会する。
皇帝と共に一晩過ごした後、彼はある条件付きで「レイヴンガード」兵団を任されることとなる。それは、かつて支配者層が住んでいた惑星「キアヴァール」に平和をもたらす援助を行うことだった。
すぐさま〈帝国技術局〉による介入が行われ、惑星「キアヴァール」は再建された。かつて「デリヴェランス」にあった監査官の拠点であった黒い塔は、兵団の要塞修道院〈大鴉の塔〉(レイヴンスパイア)として生まれ変わったのだ。
こうして彼は、第19兵団を率いる総主長として大征戦に身を投じることとなったのだ。


コラックスが率いたレイヴンガード兵団は、彼の得意とする戦術すなわち、暗殺、浸透戦術、破壊工作、隠密行動を重要な戦略基盤として発展させ、こうした分野における兵団の能力はどの兵団においても増して卓越したものとなった。
圧政を敷く惑星の暴君を倒し、望まず奴隷にされた人々は次々と解放されていったという。
しかし、彼は兵団内にいる地球出身の兵団員に対してた不信感を抱いていた。特にコラックスは「ナイトロード」兵団の総主長「コンラッド・カーズ」頻繁に比較されることが多かった為に嫌悪感を強めた。
コラックスとコンラッドは隠密行動や暗殺の戦術を好むところで共通点を持っているが、コンラッドは作戦を実行する際に非道な手段を用いて敵を惨殺する点では異なっている。この残虐な行為を行うコンラッドと比較されることに、コラックスは苛立ちを覚えていたのである。
そして逆に、コンラッドは比較されるたびにコラックスを憎むようになった。
【ホルスの大逆】
大元帥「ホルス」が皇帝に反旗を翻し、惑星「イシュトヴァーンIII」での虐殺が行われた。生き残った忠誠派マリーンからの報告を受けた皇帝は、総主長ローガル・ドルンに命じて、七つの兵団による討伐軍を惑星「イシュトヴァーンV」へと向かわせた。
第一波の攻撃に加わったのは、「レイヴンガード」兵団、「サラマンダー」兵団、「アイアンハンド」兵団の三兵団で、第二波は「アルファレギオン」兵団、「アイアンウォリアー」兵団、「ナイトロード」兵団に加え、「ワードベアラー」兵団の四兵団が参加する大規模攻撃作戦が計画された。
この作戦の指揮官にはマヌスが任命されていたが、マヌスが知らないところでホルスの計略が実行されていた。
第二波に加わっているスペースマリーン兵団は全てホルスの陣営へと密かに加わっていたのだ。その上で味方に成りすまして討伐軍へと参加していたのだ。
討伐艦隊から、何千というドロップポッド(着陸艇)が第五惑星上に降下すると、フェルス・マヌス率いる第一波の軍勢は、「レイブンガード」総主長「コラックス」と「サラマンダー」総主長「ヴァルカン」も加わって、大逆者の要塞を包囲するように攻勢を仕掛けた。
しかし、敵の卑劣きわまる罠に陥ることになり、レイヴンガード兵団は一方的な虐殺を受けて兵団員の大半が失ってしまう。
コラックスは、ワードベアラー兵団総主長「ローガー」と戦闘となり、装備したライトニングクローでローガーを貫いた。そして、止めの一撃を加えようとしたその時、総主長「コンラッド」が戦闘に介入。ローガーの止めは刺せなかったが、その隙をついてコラックスはその場からの逃亡に成功する。
彼は生き残った少数の兵団員と共に、イシュトヴァーンVでゲリラ戦を余儀なくされた。そして98日後、レイヴンガード兵団の救援が到着し、惑星から命からがら脱出する。
すぐさま地球へと帰還したコラックスは、兵団を立て直すために皇帝との謁見を希望したが、極秘プロジェクトである網辻(ウェブウェイ)の再利用の件で忙殺されているために皇帝との謁見が出来なかった。
その時、皇帝はコラックスが抱えている問題をサイキック能力で察知し、彼にヒマラヤ山脈地下深くにあるスペースマリーン研究所の場所をサイキック能力でコラックスに教えることができた。
コラックスは隠されたスペースマリーン研究所から遺伝種子(ジーンシード)の複製方法を得ることに成功し、早速惑星デリヴェランスで500人のスペースマリーンを製造して部隊を再編成した。
しかし、新たに製造されたスペースマリーンには恐るべき罠が仕込まれていた。アルファレギオン兵団の総主長「オメゴン」がレイヴンガード兵団の兵団員となって紛れ込み、新たに作られたスペースマリーンの遺伝種子にウイルスを混ぜて汚染工作を行っていた。
その結果、新たに製造されたスペースマリーンの肉体は、先祖返りを思わせるおぞましき怪物じみた変異が生じたのだ。
アルファレギオン兵団の侵入者を発見した時には時すでに遅く、コラックスはレイヴンガード兵団の再編成を中止せざるを得なくなった。突然変異したスペースマリーンの中でも少数は戦闘が可能だったために、何とか少数の部隊を編成して再びホルスの軍勢に熾烈な報復を挑んだのである。
【大逆後】
大元帥「ホルス」の敗北後、コデックスのルール通りに戦団を分割する〈第二期創設〉によってレイヴンガード兵団は戦団へと分割された。コラックスは、グィリマンの示した理想像が帝国を救うのに必要不可欠だったことをよく理解していたのだ。


そんな中コラックスは、大逆の内戦後も自らの過ちを悔いていた。自らの稚拙な判断のせいで、増員した戦団員が変異に苦しんでいるのだと。彼は自らの罪を償うために何をすべきか考えた結果、変異に苦しむ戦団員を安楽死処分を行うことにした。
処分後、罪の意識に捕らわれたコラックスは彼らの魂は救われるべきだと祈願し、1年ほど〈大鴉の塔〉に籠って皇帝陛下の慈悲を乞っていたという。
1年と1日以後、〈大鴉の塔〉から出た彼は渾沌の軍勢の拠点へである〈恐怖の眼〉(アイ・オヴ・テラー)へと旅立った。現在でもコラックスの行方は不明で、最後に「これ以上はない」と言い残して去っていった。


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  • こうして見るとホルスの大逆後、生存が確認されてる総主長がグィリマンのみで他は殆ど戦死か行方不明… -- 名無しさん (2021-01-02 02:36:55)
  • コラックスは生きてる(ロウガーが引きこもったのはコラックスにぶん殴られたせい)、ラスは生きてるらしいんだけど、どうなんでしょうねえ、かな -- 名無しさん (2022-10-07 10:01:19)
  • 戻ったら戻ったで、先に復帰したグィリマンともめそうな奴らばっかり -- 名無しさん (2022-10-07 10:55:04)
  • ヴァルカンやジャガダイとかが戻ってきた所で荒廃した帝国の再建の方を優先しそうだから、とりあえず混沌や異種族を殴る能力だけはありそうなライオンが蘇ってきてそしてずっと前線に出ていてくれないかな? -- 名無しさん (2022-12-19 16:37:17)
  • 現在のコラックスは歪みの力で化け物に成り果て、ワードベアラーを襲いまくってます。総魔長のローガーですら追い払うのがやっとだとか。 -- 名無しさん (2023-03-09 18:34:26)
  • ライオン「おはよう」 -- 名無しさん (2023-03-23 13:13:05)
  • ライオンさん老けたな… -- 名無しさん (2023-03-23 16:36:44)
  • ライオン「フォールン?許すよ」 -- 名無しさん (2023-05-01 15:32:06)
  • ライオン復活したし内政に専念できるね、やったねグィリマン、なんとかしろ!(丸投げ) -- 名無しさん (2023-07-04 19:45:37)
  • そういえばみんな叛逆後に攻めてきたティラニドやタウとの戦いは未経験なのか -- 名無しさん (2023-07-05 17:34:13)
  • ↑グィリマンがティラニッド相手に「Victory…(死にそうな声)」してるな -- 名無しさん (2023-07-13 23:49:39)
  • 10版のコーデックス読んだら、ライオン、復活してからハッスルして笑った。断絶領域に独立国家でも作りそうな勢いだけど、グィリマンとはしゃべったんだろうか。 -- 名無しさん (2023-10-18 13:45:41)
  • ちなみに第二帝国やら独立国家設立は帝国の内輪揉めのタネと認識してるらしく、モータリオンはグィルマン対立時に「第二帝国?それ知った民草はどうするかなあ?」と煽る発言をしている -- 名無しさん (2023-11-26 10:18:34)

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